説明

混雑情報表示システムおよび混雑情報制御装置

【課題】リアルタイムで投票所の正確な混雑状況を表示できる混雑情報制御装置および混雑情報表示システムを提供する。
【解決手段】投票端末9の接客時間計測部31は、接客監視周期T1時間T1ごとに接客時間T2を計測し、稼働率算出部33は、稼働率Tを算出する。混雑情報制御装置5は、ホストシステム3を介して各投票所の投票端末9の稼働率Tを取得する。混雑データ演算部43は、投票所毎の投票端末の平均稼働率を算出する。表示データ作成部45は、平均稼働率に基づいて混雑状況データ100を生成し、さらに生成された混雑状況データ100に基づき、混雑表示データを作成し、各投票所に備えられた表示盤13等に送信する。表示盤13等では、混雑表示データを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混雑情報表示システムおよび混雑情報制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
競馬や競輪などの公営競技では、投票券を購入するための投票端末は、複数の各投票所に複数台設けられている。投票券を購入する利用者は、適宜利用しやすい投票所を選んで投票券を購入する。このとき、案内係員の誘導や、案内放送等により空いている投票所を利用者に伝え、効率よく投票券を購入できるような試みがなされている。このとき、投票端末に人を感知するセンサを設け、そのセンサにより人を検出する方法を用いて投票所の混雑を把握する方法が採用されている場合がある。
【0003】
しかし、そのような人を検知するセンサにより投票所の混雑状況を把握しようとしたとしても、実際に検出された人が端末を使っているかどうかが分からず、正確な混雑状況が判断できないことがある。また、各投票所の混雑状況が把握できたとしても、係員による誘導では、例え締め切り前の混雑する時間帯に空いている投票所があっても、その投票所に効率よく利用者を分散させることができない。よって、締切り時間に間に合わずに投票券を購入できなくなる場合があり、売り上げの減少となってしまう。
【0004】
このため、利用者の投票端末の操作時間を短縮するために、一定時間投票端末に入力操作が行われないことを判別すると、入力を促すために表示や音声による促進案内を行うことがある。このとき、投票端末の稼働率を算出し、稼働率が低い閑散時には、入力を促すまでの設定時間を長めにし、稼働率が高い混雑時には、設定時間を短めにするようにした例がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平3−214353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のような方法では、使用している投票端末だけを効率よく利用できるようにしただけである。他に空いている投票端末は、効率は変わらず、空いた状態のままとなっている。
また、現状の投票所のシステムには、投票端末の混雑情報を表示するシステムはない。更に、利用者は、案内係員の誘導や案内放送では混雑情報をリアルタイムに把握することができず、その結果、他の離れている投票所の空いている投票端末の状況を容易に知ることができない。よって、締め切り間際に投票端末が利用できないことによる、投票券の購入漏れを防止するには至らない。
【0007】
そこで本発明は、投票端末装置の混雑状況を正確に把握し、混雑状況を表す情報を利用者に知らせて空いている投票所に誘導することにより、混雑を緩和して投票券の購入漏れを減少させることの可能な、混雑情報制御装置および混雑情報表示システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る混雑情報表示システムは、投票端末装置と、混雑情報制御装置と、表示装置とを備えた混雑情報表示システムであって、前記投票端末装置は、複数の投票所にそれぞれ少なくとも一台備えられ、利用者の購入操作により入力された投票内容に基づき投票券を発券する発券部と、前記購入操作および前記発券が行われている接客時間を計測する接客時間計測部と、前記接客時間に基づき稼働率を算出する端末稼働率算出部と、を有し、前記混雑情報制御装置は、前記投票端末装置が算出した前記稼働率に基づき前記投票所毎の前記投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出部と、前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成部と、前記混雑情報を表示させるための表示データを作成する表示データ作成部と、を備え、前記表示装置は、前記複数の投票所にそれぞれ少なくとも一台備えられ、前記表示データに基づき前記混雑情報を表示する、ことを特徴としている。
【0009】
本発明に係る混雑情報制御装置は、投票所毎の投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出部と、前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成部と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明に係る投票端末装置は、利用者の購入操作により入力された投票内容に基づき投票券を発券する発券部と、前記購入操作および前記発券が行われている接客時間を計測する接客時間計測部と、前記接客時間に基づき稼働率を算出する端末稼働率算出部と、を有することを特徴としている。
【0011】
本発明に係る混雑情報制御方法は、投票所毎の投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出工程と、前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成工程と、を有することを特徴としている。
【0012】
なお、上述した本発明に係る混雑情報制御方法をコンピュータに行わせるためのプログラムであっても、このプログラムを当該コンピュータによって実行させることにより、上述した本発明に係る方法と同様の作用・効果を奏するので、前述した課題が解決される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、投票端末を利用する利用者は、リアルタイムで投票所の混雑状況が正確に把握できるので、係員による誘導を必要とせず、締め切り前の混雑する時間帯でも空いている投票所をいち早く確認でき、利用者の判断で空いている投票所や、混み時間の少なそうな投票所に移動し、投票券を購入することができるので、利用者を空きのある投票所へ分散させることができる。よって、締切り時間に間に合わずに投票券を購入できなくなる利用者が減少する。また、投票端末を効率よく利用することにより、投票券の売り上げも増加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態による混雑情報表示システムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態による投票端末の構成を示すブロック図である。
【図3】第1の実施の形態による混雑情報制御装置の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の実施の形態による投票端末の動作を示すフローチャートである。
【図5】第1の実施の形態による混雑情報制御装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施の形態による混雑状況データのデータ構成の一例を示す図である。
【図7】第1の実施の形態による混雑状況の表示例を示す図である。
【図8】第2の実施の形態による稼働率データ作成の動作を示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態による表示データ作成の動作を示すフローチャートである。
【図10】第2の実施の形態による混雑状況データのデータ構成の一例を示す図である。
【図11】第2の実施の形態による混雑状況の表示例を示す図である。
【図12】第2の実施の形態による混雑状況の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(第1の実施の形態)
以下、図面を参照しながら本発明の第1の実施の形態による混雑情報制御装置および混雑情報表示システムについて説明する。図1は、第1の実施の形態による混雑情報表示システム1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、混雑情報表示システム1は、ホストシステム3、混雑情報制御装置5、複数のA投票所、B投票所等にそれぞれ備えられた複数の投票端末9−1、・・・、9−130(まとめて投票端末9ともいう)、表示盤13、19を備えている。本明細書において、例えば、一つの建物の中の複数のフロアにそれぞれ投票端末が設けられているような場合には、それぞれのフロアをそれぞれ「投票所」という。
【0016】
ホストシステム3は、各投票端末9と接続され、投票端末9に利用者により入力された投票券購入のための投票内容を受信し、投票端末9に投票券発券の承認を与える。また、ホストシステム3は、混雑情報制御装置5に接続されており、各投票端末9の稼働率を取得して、混雑情報制御装置5に送信する。混雑情報制御装置5は、ホストシステム3から取得した各投票端末の稼働率に基づき、混雑状況を示す混雑表示データを作成し、各投票所の表示盤13、19等に表示させる。
【0017】
投票端末9は、利用者が入力した投票内容をホストシステム3に送信し、発券許可を受信すると、投票券を発券する。また、投票端末9は、投票券購入のための投票内容の入力や、発券等の操作を行っている接客時間を計測し、投票端末9の稼働率を算出し、ホストシステム3に送信する。表示盤13、19は、混雑情報制御装置5からの制御に基づき混雑状況を示す情報を表示する。
【0018】
図2は、投票端末9の構成を示すブロック図である。図2に示すように、投票端末9は、制御部21、紙幣硬貨ユニット23、マークカードユニット25、投票券発券ユニット27、データメモリ部29、接客時間計測部31、および稼働率算出部33を有し、通信手段35を介して混雑情報制御装置5と接続されている。
【0019】
紙幣硬貨ユニット23は、投票券を購入するための紙幣または硬貨を受け入れ、真贋および金額を判別し、料金を受領し必要に応じておつりを排出する。マークカードユニット25は、投票内容が記載されたマークカードを読み取り、投票内容を取得する。投票券発券ユニット27は、マークカードユニット25が読取った投票内容を制御部21を介してホストシステム3に送信し、投票内容に関してホストシステム3から投票券発券許可が得られると、紙幣硬貨ユニット23における料金の受領後に投票内容に応じた発券を行う。
【0020】
接客時間計測部31は、利用者が投票券の発券のための操作を始めてから、発券が終了するまで、または発券が許可されずに貨幣またはマークカードが返却されるまで等の接客時間を計測する。稼働率計算部33は、所定時間毎に接客時間計測部31が計測した時間を集計し、所定時間に占める集計した接客時間の割合を稼働率として算出する。カードデータメモリ部29は、マークカードから読取った投票内容を一時的に記憶したり、接客時間計測部31が取得した接客時間や、稼働率算出部33が算出した稼働率等を記憶したりする。制御部21は、上記各部の動作を制御することにより投票端末9の動作を制御する。なお、通信手段35は、有線または無線によるネットワークである。
【0021】
図3は、混雑情報制御装置5の構成を示すブロック図である。図3に示すように、混雑情報制御装置5は、制御部41、混雑データ演算部43、表示データ作成部45、データメモリ部47を有し、通信手段35を介してホストシステム3および表示盤13、19等に接続されている。混雑データ演算部43は、ホストシステム3を介して各投票端末9から取得された各投票端末9の稼働率を、各投票端末9が備えられている投票所毎に平均し、平均稼働率を算出する。表示データ作成部45は、混雑データ演算部43が算出した平均稼働率が所定以上の場合には「混雑」と判断して「混雑中」という表示データを作成するなど、投票所毎の混雑状況を表示するためのデータを作成する。データメモリ部47は、所定時間毎の投票端末9の稼働率や、各投票所毎の平均稼働率などの稼働率に関するデータ49などを記録する。制御部41は、上記各部の動作を制御することにより、混雑情報制御装置5の動作を制御する。
【0022】
次に、図4から図7を参照しながら、第1の実施の形態による混雑情報表示システム1の動作について説明する。まず、図4を参照しながら、投票端末9の動作について説明する。図4は、投票端末9の動作を示すフローチャートである。図4に示すように、投票端末9の制御部21は、まず、接客監視周期を設定する(S51)。接客監視周期とは、稼働率の算出対象となる所定時間であり、ここでは接客監視時間T1とする。次に、利用者が現金かマークカードを入れたか否かを検出する(S52)。制御部21は、紙幣・硬貨ユニット23が入金を検知したか否か、または、マークカードユニット25が、マークカードの挿入を検知したか否かを検出する。検出した場合には、接客時間計測部31は、接客時間T2の計測を開始し(S53)、検出しない場合には、S56の処理に進む。制御部21は、投票券発券ユニット27が、投票券の発券を完了したか否かを検出する(S54)。発券が完了したことが検出されると、接客時間計測部31は、接客時間T2の計測を終了する(S55)。発券の完了が検出されない場合には、S54の処理に戻る。
【0023】
続いて、制御部21は、接客監視時間T1が経過したか否かを判別し(S56)、経過しない場合には、S52の処理に戻る。経過した場合、稼働率算出部33は、稼働率T=T2/T1×100を算出し(S57)、制御部21は、ホストシステム3を介して混雑情報制御装置5へ稼働率Tを含む稼働情報データを送信する(S58)。稼働情報データは、稼働率Tの他に、例えば、投票端末9およびその所属する投票所を識別する情報を含むことができる。制御部21は、その日の投票対象の競馬、競輪などの開催が終了したか否かを判別し(S59)、終了していなければS52の処理に戻り、終了ならば、投票端末9の処理を終了する。
【0024】
次に、図5から図7を参照しながら、第1の実施の形態による混雑情報制御装置5の動作について説明する。図5は、混雑情報制御装置5の動作を示すフローチャート、図6は、混雑状況データのデータ構成の一例を示す図、図7は、混雑状況の表示例を示す図である。
【0025】
図5に示すように、まず混雑情報制御装置5の制御部41は、通信手段35およびホストシステム3を介して、稼働情報データを取得することにより、ホストシステム3に接続されている全ての投票端末9ごとの稼働率Tを取得する(S71)。混雑データ演算部43は、各投票所毎の投票端末9の移動率Tの平均値を算出する(S72)。すなわち、例えば図1に示すA投票所について、投票端末9−1、・・・、9−20の稼働率を合計し、台数である「20」で割り、平均稼働率を算出する。
【0026】
表示データ作成部45は、算出された投票所毎の平均稼働率が、閾値以上であるか否かを判別する(S73)。第1の実施の形態においては、閾値は80%としている。この値は、例えば、投票端末9の1人の利用者に対する平均接客時間を20秒、前の利用者から次の利用者へ入れ替わる時間を平均5秒とし、連続して投票端末9が利用されているとすると、稼働率が、20/(20+5)×100=80(%)となることから設定している。平均稼働率が閾値以上の場合には、表示データ作成部45は、投票端末9がほぼ休みなく利用されていると判断して「混雑中」という表示データを作成し(S73、YES)、閾値未満の場合には、「空いています」という表示データを作成する(S73、NO)。以下、表示データ作成部45は、全ての投票所について、平均稼働率に基づき混雑状況を表示する表示データを作成する。
【0027】
ここで、図6を参照しながら、混雑データ演算部43及び表示データ作成部45が作成する混雑状況データの構成について説明する。図6は、各投票所の混雑状況を示す混雑状況データの構成の一例を示す表である。混雑状況データ100は、項目102として投票所名、項目104として投票端末の端末番号、項目106として、投票端末9毎の稼働率、項目108として、各投票所の投票端末9の平均稼働率、項目110に、各投票所の混雑状況を示す表示データを有している。混雑状況データ100は、以下の内容を含んでいる。例えば、A投票所には、端末番号1〜20の投票端末9がある。例えば、ここで、端末番号1の投票端末を投票端末9−1ということにすれば、投票端末9−1の、ある接客監視時間T1における稼働率は80%である。A投票所の20台の端末の平均稼働率は、85%であり、この稼働率により「混雑中」という表示データが作成されている。以下同様に、B投票所は、「空いています」、投票所Dは、「混雑中」である。なお、作成された混雑状況データ100は、データメモリ部47に稼働率データ49として記憶するようにしてもよい。
【0028】
図5に戻って、制御部41は、ホストシステム3と接続されている全投票所について混雑状況データを作成済みか否かを判別し(S79)、作成済みでなければS73に戻る。作成済みの場合には、S81の処理に進む。
【0029】
表示データ作成部45は、混雑状況データ100に基づいて表示盤13、19等に表示させるための混雑表示データを作成する。すなわち表示データ作成部45は、作成した表示データを、投票所と関連付けて表示させるための混雑表示データを作成する。制御部41は、混雑表示データを表示盤13等に送信する(S81)。表示盤13等では、混雑表示データは例えば表示例95のように表示される。
【0030】
ここで、図7を参照しながら、混雑状況の表示例について説明する。図7は、混雑状況を表示する混雑表示データの表示例95を示す図である。図7に示すように、表示例95において、例えば表示項目91に、投票所名としてA投票所、項目93に混雑状況として「混雑中」と表示する。
【0031】
図5に戻って、制御部41は、表示盤13等における混雑状況表示の更新周期が経過したか否か判別する(S83)。この更新周期は、例えば、接客監視時間T1とすることができるが、別の周期としてもよい。続いて、その日の投票対象の開催が終了したか否かを判別する(S85)。終了していない場合には、S71に戻って処理を繰り返し、終了した場合には処理を終了する。
【0032】
以上詳細に説明したように、第1の実施の形態による混雑情報制御装置5および混雑情報表示システム1によれば、投票端末9の接客時間計測部31は、接客監視時間T1ごとに接客時間T2を計測し、稼働率算出部33は、稼働率Tを算出する。混雑情報制御装置5は、ホストシステム3を介して各投票所の投票端末9の稼働率Tを含む稼働情報データを取得する。混雑データ演算部43は、投票所毎の投票端末の平均稼働率を算出する。表示データ作成部45は、平均稼働率に基づいて混雑状況データ100を生成し、さらに生成された混雑状況データ100に基づき、混雑表示データを作成する。制御部41は、混雑表示データを各投票所に備えられた表示盤13等に送信する。表示盤13等では、混雑表示データに基づき各投票所の混雑状況を表示する。上記一連の処理は、所定時間ごとに開催終了まで行われる。なお、第1の実施の形態による接客監視周期は、本発明の第1の所定時間の一例である。
【0033】
以上のように、第1の実施の形態による混雑情報制御装置および混雑情報表示システムによれば、投票端末の接客時間を監視することにより、実際の稼働率をリアルタイムで検出できる。このとき、センサで人を検知することにより混雑状況を把握するわけではないので、人検知センサを設ける必要がなく、コストが安く済む。また、検出した稼働率を混雑情報制御装置で投票所毎に平均し、閾値以上の稼働率の場合には、投票所が混雑していると判別するので、正確な混雑状況を取得することが可能である。また、投票所毎の投票端末の平均稼働率に基づき「混雑中」「空いています」など平易な表示を各投票所において行うことにより、利用者にエリアごとの正確な混雑状況を提供できる。また、利用者を空いている投票所に適切に誘導し、特に締め切り前の混雑によって、投票券を購入し損なうことを防止できる。さらに、購入し損なうことによる売り上げの減少を予防することが可能になる。
【0034】
(第2の実施の形態)
以下、図8から図12を参照しながら、本発明の第2の実施の形態による混雑情報制御装置および混雑情報表示システムについて説明する。第1の実施の形態による混雑情報制御装置および混雑情報表示システムと同様の構成及び動作については、同一の参照番号を付し、詳細説明を省略する。
【0035】
第2の実施の形態による混雑情報表示システムの構成は、第1の実施の形態による混雑情報表示システム1と同様であり、投票端末9が、稼働率Tを取得する動作も、第1の実施の形態で説明した動作と同様であるので、詳細説明を省略する。ここでは、混雑情報制御装置5の動作について説明する。
【0036】
図8は、第2の実施の形態による混雑情報制御装置5の稼働率データ作成の動作を示すフローチャートである。図8に示すように、混雑情報制御装置5の制御部41は、投票端末9からホストシステム3を介して投票端末9毎の稼働率Tを取得する(S121)。混雑データ演算部43は、制御部41が取得した稼働率Tに基づき、投票端末9が設けられている各投票所毎に稼働率Tの平均値を算出する(S122)。制御部41は、混雑データ演算部43が算出した稼働率の平均値を、データメモリ部47の稼働率データ49において、例えば締め切りn分前のデータエリアに平均稼働率として格納する(S123)。このとき、算出した平均稼働率を締切りn分前のデータエリアに上書きし、それ以外のデータエリアは、直前の投票対象のレースの投票締め切り前に格納されたデータを残す。
【0037】
制御部41は、更新周期が経過するまで、経過したか否かの判別を繰り返す(S124)。更新周期は、例えば1分とすることができる。経過した場合には、その日の投票対象の開催が終了しているか否かを判別し、終了していない場合には、S121からの処理を繰り返す(S125)。終了している場合には、稼働率データ作成処理を終了する。
【0038】
上記処理において、平均稼働率の算出は、第1の実施の形態による混雑情報制御装置5と同様の計算方法により行われる。また、第2の実施の形態においては、投票所毎の平均稼働率を投票の締め切りまでの時間(例えば何分前か)に関連付けて記憶している。
【0039】
次に、図9を参照しながら、第2の実施の形態による混雑情報制御装置5における表示データ作成の動作について説明する。図9は、混雑情報制御装置5における表示データ作成の動作を示すフローチャートである。図9に示すように、制御部41は、予め定められた更新周期が経過するまで判別を繰り返す(S131)。更新周期は、例えば、接客監視時間T1と同一とすることができる。更新周期が経過すると、表示データ作成部45は、ある一箇所の、例えばm投票所の平均稼働率を取得する(S132)。このとき、上述のように、平均稼働率は、データメモリ部47に格納されている。表示データ作成部45は、データメモリ部47に記憶されたm投票所の平均稼働率のデータから締め切りn分前のデータを取得し、一定の閾値以上であるか否かを判別する(S133)。平均稼働率が閾値以上である場合には、表示データ作成部45は、混雑中を示す例えば赤色の表示データを作成し(S134)、平均稼働率が閾値未満である場合には、混雑なしを示す黒色(不点灯)の表示データを作成する(S135)。制御部41は、全投票所の締め切りn分前の表示データが作成済みか否かを判別する(S136)。作成済みでない場合には、S132の処理に戻る。
【0040】
ここで、図10を参照しながら、第2の実施の形態による混雑状況データ200について説明する。図10は、混雑状況データのデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、混雑状況データ200は、締め切りまでの時間が異なる複数のデータを含んでおり、項目212に、そのデータが締め切り何分前のデータであるかが記載されている。データメモリ部47は、各投票所の例えば各N分間分、例えば図10の例では10分間分の情報を保管する。項目102、104、106、108については、混雑状況データ100と同様であるので、詳細説明は省略する。項目210には、表示データが記載されているが、第2の実施の形態においては、表示の色で混雑か否かを表す。よって項目210には、表示の色が記載されている。ここで、「赤」及び「橙」は混雑中であることを示し、「黒」は空いていることを示す。表示例の詳細は後述する。
【0041】
図9に戻って、S136において、表示データ作成部45が、投票締め切りn分前について全ての投票所に関して混雑状況データを作成済みの場合には、制御部41は、現在の時刻が締め切りの所定時間前であるか否かを判別する(S137)。所定時間は、例えば10分とすることができる。締め切りの所定時間前に至っていない場合には、S139の処理に進み(S137、NO)、表示盤13等に表示データを送信する。締め切りの所定時間前、例えば10分前になると、表示データ作成部45は、混雑状況データ200における、所定時間から締め切りまでの前レースの混雑を表す表示データの「赤」を、現在の投票対象のレースの混雑状況と区別するために、別の色、例えば「橙」に変える(S138)。すなわち、第2の実施の形態において、表示データの「赤」は当レースの混雑状況を示し、「橙」は前レースの混雑状況を示す。制御部41は、混雑状況データ200に基づいて表示データ作成部45が作成した混雑表示データを表示盤13等に送信し(S139)、表示を更新する。
【0042】
ここで、図11、図12を参照しながら、混雑状況の表示例について説明する。図11、図12は、第2の実施の形態による混雑状況の表示例を示す図である。図11は、締め切り直前の混雑表示例220を示している。図11に示すように、項目222には、投票所名が示されている。表示帯224は、項目226に示すように締め切りまでの時間に応じて枠が設けられ、それぞれの時間帯での混雑状況を枠の中の色で表すようにしている。図11では、色の代わりにハッチングを変えて示している。例えば、斜線は「赤」で、当該投票所の現在の投票対象のレースのための投票端末9の平均稼働率が閾値以上で、投票所が混雑していることを示す。空白は「黒」で、投票端末9の平均稼働率が閾値未満で、投票所が空いていることを表す。例えば、A投票所においては、3分前から混雑していると判断されていることを示している。
また、上記の表示の方法については、1例であり、他に「〇」や「×」など、文字、記号、図や色他の方法で、投票端末を利用する利用者が、混雑かどうかが分かる表現で表示する方法でも良い。
【0043】
図12は、締め切り3分前の混雑表示例250を示している。図11と同様に、表示帯228により混雑状況を表示している。図12では、横縞は「橙」で、一つ前の投票対象のレースの混雑を示している。例えばA投票所では、当レースの購入に関しては、投票締め切り3分前に混雑と判断されたことを示し、前レースは、投票締め切りの少なくとも0分前から2分前までは混雑していたことを示している。
【0044】
図9に戻って、制御部41は、当日の投票対象の開催が終了したか否かを判別し、終了していなければS131からの処理を繰り返し、終了していれば、表示データ作成処理を終了する(S140)。
【0045】
以上詳細に説明したように、第2の実施の形態による混雑情報制御装置5および混雑情報表示システム1によれば、投票端末9の接客時間計測部31は、接客監視時間T1ごとに接客時間T2を計測し、稼働率算出部33は、稼働率Tを算出する。混雑情報制御装置5は、ホストシステム3を介して各投票所の投票端末9の稼働率Tを取得する。混雑データ演算部43は、投票締め切りまでの時間に応じて投票所毎の投票端末の平均稼働率を算出する。表示データ作成部45は、投票締め切りの例えばn分前の投票端末9の平均稼働率に基づいて混雑状況データ200を生成し、さらに生成された混雑状況データ200に基づき、混雑表示データを作成する。制御部41は、作成された混雑表示データを、各投票所に備えられた表示盤13等に送信し、表示させる。混雑状況の表示は、更新周期である所定時間ごとに更新する。この更新周期は、本発明の第2の所定時間の一例である。また、予め決められた締め切り前の時間になると、投票対象の当レースの締め切りまでの時間に応じた混雑状況と、前レースの投票締め切り時間前の時間に応じた混雑状況とを区別して表示する。上記一連の処理は、当日の投票対象のレースの開催終了まで行われる。
【0046】
以上のように、第2の実施の形態による混雑情報制御装置および混雑情報表示システムによれば、投票端末の接客時間を監視することにより、実際の稼働率をリアルタイムで検出できる。このとき、センサで人を検知することにより混雑状況を把握するわけではないので、人検知センサを設ける必要がなく、コストが安く済む。また、検出した稼働率を混雑情報制御装置で投票所毎に平均し、閾値以上の平均稼働率の場合には、投票所が混雑していると判別するので、正確な混雑状況を取得することが可能である。
【0047】
さらに、投票締め切りの所定時間前から更新周期毎の時間帯に関連付けて、各投票所の混雑状況を表示することにより、利用者は、現在の場所からできるだけ近く混雑少ない投票所を見極めて、投票券購入の為に移動するように適切に誘導することができる。また、前レースの混雑状況を合わせて表示するので、前レースの混雑状況を参考に早めに空いている投票所へ利用者を移動させるように促すこともできる。このため、特に締め切り前の混雑によって、投票券を購入し損なうことを防止できる。さらに、購入し損なうことによる売り上げの減少を予防することが可能になる。
【0048】
なお、第1及び第2の実施の形態において、投票端末9は、本発明の投票端末装置の一例であり、投票券発券ユニット27は、発券部の一例であり、稼働率算出部33は、端末稼働率算出部の一例であり、混雑データ演算部43は、稼働率算出部の一例であり、表示データ作成部45は、混雑情報作成部の一例である。また、ホストシステム3は、本発明のホスト装置の一例である。
【0049】
本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を採ることができる。例えば、混雑情報制御装置5は、ホストシステム3とは独立して設ける構成について記載したが、ホストシステム3の中に混雑情報制御装置5の機能を持たせるようにしてもよい。また、混雑情報制御装置5は、ホストシステム3を介して投票端末9の稼働率を受信するようにしたが、直接受信するようにしてもよい。さらに、混雑状況データのデータ構成や混雑表示データの表示例については、上述のものに限定されず、さまざまな変形例も本発明の範囲である。また、第1の所定時間は、必ずしも接客監視周期と同一でなくてもよく、例えば、接客監視周期の整数倍など、投票所の状況に合わせて適宜決めるようにしてもよい。第2の所定時間となる更新周期については、一定でなくてもよく、例えば締め切り時間までの時間に応じて変化させてもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 混雑情報表示システム
3 ホストシステム
5 混雑情報制御装置
9 投票端末
13、19 表示盤
21、41 制御部
23 紙幣・硬貨ユニット
25 マークカードユニット
27 投票券発券ユニット
29、47 データメモリ部
31 接客時間計測部
33 稼働率算出部
35 通信手段
43 混雑データ演算部
45 表示データ作成部
49 稼働率データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投票端末装置と、混雑情報制御装置と、表示装置とを備えた混雑情報表示システムであって、
前記投票端末装置は、複数の投票所にそれぞれ少なくとも一台備えられ、
利用者の購入操作により入力された投票内容に基づき投票券を発券する発券部と、
前記購入操作および前記発券が行われている接客時間を計測する接客時間計測部と、
前記接客時間に基づき稼働率を算出する端末稼働率算出部と、を有し、
前記混雑情報制御装置は、
前記投票端末装置が算出した前記稼働率に基づき前記投票所毎の前記投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出部と、
前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成部と、
前記混雑情報を表示させるための表示データを作成する表示データ作成部と、
を備え、
前記表示装置は、
前記複数の投票所にそれぞれ少なくとも一台備えられ、前記表示データに基づき前記混雑情報を表示する、
ことを特徴とする混雑情報表示システム。
【請求項2】
前記投票端末装置および前記混雑情報制御装置に接続され、
前記投票端末装置に入力された前記投票内容を取得し、前記投票内容に基づき前記投票券の発券許可を与える発券許可部と、
前記投票端末装置の稼働率を取得し、前記混雑情報制御装置に送信する稼働率送信部と、
を有するホスト装置、
をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の混雑情報表示システム。
【請求項3】
前記混雑情報は、直前の第1の所定時間の前記各投票所の混雑状況を示すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の混雑情報表示システム。
【請求項4】
前記混雑情報は、第2の所定時間毎の混雑状況を複数の時間帯について示すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の混雑情報表示システム。
【請求項5】
前記混雑情報は、前回の投票締め切り時間前の前記第2の所定時間毎の混雑状況をさらに示すことを特徴とする請求項4に記載の混雑情報表示システム。
【請求項6】
投票所毎の投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出部と、
前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成部と、
を有することを特徴とする混雑情報制御装置。
【請求項7】
前記混雑情報は、直前の第1の所定時間の前記各投票所の混雑状況を示すことを特徴とする請求項6に記載の混雑情報制御装置。
【請求項8】
前記混雑情報は、第2の所定時間毎の混雑状況を複数の時間帯について示すことを特徴とする請求項6に記載の混雑情報制御装置。
【請求項9】
前記混雑情報は、前回の投票締め切り時間前の前記第2の所定時間毎の混雑状況をさらに示すことを特徴とする請求項8に記載の混雑情報制御装置。
【請求項10】
利用者の購入操作により入力された投票内容に基づき投票券を発券する発券部と、
前記購入操作および前記発券が行われている接客時間を計測する接客時間計測部と、
前記接客時間に基づき稼働率を算出する端末稼働率算出部と、
を有することを特徴とする投票端末装置。
【請求項11】
投票所毎の投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出工程と、
前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成工程と、
を有することを特徴とする混雑情報制御方法。
【請求項12】
コンピュータに、
投票所毎の投票端末装置の平均稼働率を算出する稼働率算出処理と、
前記平均稼働率に基づき、所定時間毎に前記投票所別に混雑か否かを示す混雑情報を作成する混雑情報作成処理と、
を行わせるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−141672(P2012−141672A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292273(P2010−292273)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】