説明

清拭物品

【課題】 本願の出願人が先に発明した等張液の特徴を生かした清拭物品に関する。
【解決手段】 清拭材5と、清拭材を収容する包装体6とから成り、清拭材は清拭素材2に少なくとも保存剤9と海水又は海洋深層水由来の等張液3とを含浸しており、清拭材が焼却可能な清拭素材から成るウェットティシュ51と紙おしぼり52と濡れコットン53の何れか1つであることを特徴とする。
海洋深層水が日本海固有冷水Nであり、等張液は日本海固有冷水Nを希釈水4、特に日本海固有冷水より分離した深層水系淡水n1により生理食塩液と同等の浸透圧200〜400mOsmに調整したものである。また、清拭材に等張液と共に補助成分7を含浸することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティシュや紙おしぼり又は濡れコットン等の清拭材を収容した清拭物品に関するもので、特に皮膚に対する洗浄効果と保湿効果と保護効果等に優れ、願わくは、治癒力を備えた清拭物品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本願の出願人は、先に海水又は海洋深層水由来の等張液を発明し、特願2007−152498(以下、先願等張液とする)として出願している。この先願等張液は明細書に記載した通り、自然界に存在する海洋深層水又は海水を用いることで、人工塩から成る生理食塩液より無機栄養塩類に富んでいる。しかも希釈水として、海洋深層水又は海水を、同じ海洋深層水又は海水より分離した深層水系淡水を用いて浸透圧を200〜400mOsmに調整したことにより、人工塩から成る生理食塩液より動物臓器や組織細胞の保存に適することが実験例によって証明されています。
【0003】
一方、清拭物品(衛生用繊維ウェブ製品とも称する)の清拭材として、ウェットティシュ(濡れティシュとも称する)や紙おしぼり(以下、ウエットタオルも含む)、或は濡れコットンが広く一般に用いられている。その内、ウェットティッシュは、手を洗浄した後の手ふき、赤ちゃんや大人用の身体又はお尻拭き用として使用されているし、乳幼児の玩具、食卓、食器、調理器具等の清拭にも使用されているばかりか、台所や調理場等において、調理台やまな板、或は食器類や調理器具の清拭に使用したり、油切りや野菜の水切りにも用いられている。
また、紙おしぼりとして、アルコール水溶液等を含浸させたウェットタオル(綿タオル、又は紙タオルとも称する)を包装したものが知られている。
【0004】
濡れコットンは、清浄及び清拭を目的とする清浄綿と、洗浄と消毒を目的とする消毒綿に区別され、その内、清浄綿は、脱脂綿等に薬液を染み込ませ、フイルムパックで密封し、滅菌処理するものであり、開封しない限り無菌状態に保たれる。その用途は一般家庭での使用を中心としており、例えば、(1)赤ちゃんの肌若しくわ口まわりを綺麗に拭く、(2)授乳時に乳首や乳房を綺麗に拭く、(3)オムツ交換時にお尻を綺麗に拭く、(4)生理時や出産後、局部を綺麗に拭く、(5)目の回りを綺麗に拭く等に使用され、消毒綿は、注射を打つ前に使用される等、医療現場での使用を中心としており、即ち、手指・皮膚の洗浄・消毒、傷面の洗浄・消毒に使用されている。また、使い捨て濡れコットンの如く、不織布やパルプ繊維の乾式パルプシートに水や清浄剤、或は保存剤等をしみ込ませ、包装したものも知られている。
これらのウェットティシュ、紙おしぼり、濡れコットンの清拭物品には、水、アルコール(清涼感を得る)、保湿成分(肌あれ防止)、洗浄成分(油脂分の除去)等を含浸させると共に、カビや細菌の繁殖を抑える保存剤を含浸している。例えば、保存剤として防腐剤(塩化セチルピジウム、安息香酸、安息香塩酸、ソルビン酸、酢酸、亜硫酸塩等)を含浸させたり、消毒剤(エタノール、アクリノール、塩化ベンザルコニウム、次亜塩素酸ナトリウム等)や殺菌剤(サルチル酸、尿素、塩酸クロルヘキシン、酸化亜鉛等)を含浸させ、或は肌あれを抑える目的等で、アロエベラエキスー2、ヒアロン酸等の保湿成分の一種類以上を含浸させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平07−204148号公報
【特許文献2】特開平07−204118号公報
【特許文献3】特開平11−28171号公報
【特許文献4】特開2006−149989公報
【特許文献5】特開2008−303182公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
清拭物品の清拭材に、水分と、水分による酸化変色や細菌繁殖を防ぐための保存剤(消毒剤、抗菌剤、防腐剤等)とを含浸しているが、水分して工業用水を用いる場合、保存剤を大量に含浸する必要があるし、水分して飲料水を用いる場合、飲料水の処理に用いた殺菌消毒剤との関係で、保存剤の種類や使用量に制限があった。
また、水分してアルコール類を用いることも可能であるが、アルコール類は揮発性が高いので、その取扱に熟練を要する問題があった。
そこでこの発明は、使用するまで清潔性を保ち得る清拭物品を開発し得ないものかと研究していた所、本願の出願人が先に発明した先願等張液の特徴を生かすことによって柔軟で安全性に優れ、特に、皮膚に対する洗浄効果と保湿効果と保護効果等に優れ、しかも、治癒力をも期待できる清拭物品を開発するに至ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の清拭物品は前記課題を解決するため、請求項1として清拭材と、清拭材を収容する包装体とから成り、清拭材は清拭素材に少なくとも海水又は海洋深層水由来の等張液と保存剤を含浸していることを特徴とする。
請求項2は、請求項1の清拭物品において、海洋深層水が日本海固有冷水であり、等張液は日本海固有冷水と希釈水により生理食塩液と同等の浸透圧200〜400mOsmに調整したものであることを特徴とする。
請求項3は、請求項2の清拭物品において、希釈水が日本海固有冷水より分離した深層水系淡水であることを特徴とする。
【0008】
ここで清拭素材とは、少なくとも吸水性と柔軟性に富むパルプや繊維から成るガーゼ、織布、不織布を言い、例えば木材繊維(針葉樹、広葉樹)、非木材植物繊維(麻、靱皮繊維、木綿、ケナフ等)、その他の天然繊維(木綿、羊毛、絹等)、合成繊維であるポリオレフィン繊維(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリアクリル繊維、ナイロン繊維等、更に半合成繊維(レーヨン/合繊、コットン、パルプ/合繊及びパルプ/レーヨン/合繊)等を言い、これらの繊維は単独で用いてもよく、又は2種以上を混合して用いてもよい。なめらかさ、しなやかさ、引張強さ、肌触り性のよいことが好ましい。更に、下水に投下し得る素材や焼却可能な素材を用いることが望ましい。
清拭材とは、紙性の清拭素材に等張液と保存剤、又は更に補助成分を含浸させたもの、不織布の清拭素材に等張液と保存剤、又は更に補助成分を含浸させたものを言う。この清拭材の製造手段として、清拭素材に予め等張液と保存剤を含浸させ、等張液と保存剤を含浸した清拭材を包装体にて収容して封止するか、包装体の開口部より内部に保存剤と海水又は海洋深層水由来の等張液を一定量入れ、その等張液と保存剤に清拭素材を浸かるように収容して封止する。
【0009】
ここで海洋深層水とは、海面下200メートル以上の深海から取水したものであり、無機栄養塩類に富み、有機物や細菌類が少なく清浄性があるものを言い、日本海固有冷水とは、富山湾の沖合いの深度約320mより採取される深層水であって、深層水の3大要素である「低温性」と「清浄性」と「富栄養性」とを全て満足させ、特に「低温性」にあっては年間を通じて2℃以下の低温で水温変化が少なく、現在日本で採取されている他地域の深層水温度の8〜10℃に比較して、とても低いことが挙げられる。
ここで生理食塩液とは、化学的に製造された合成塩(人工塩とも称する)を主とし、塩化ナトウリウムを0.85〜0.95w/v%を含む水溶性の注射剤であり、主に細胞外液欠乏、ナトリウム欠乏、クロル欠乏時の補給に20〜1000ミリリットルを、皮下・静脈内注射又は点滴静注に用いられている。また、大量出血等に伴う体液喪失時の補給、各種注射薬の溶解や希釈にも広く利用されている。更に、皮膚・創傷面・粘膜の洗浄、湿布及び含嗽、噴霧吸収剤として気管支粘膜洗浄に用いる。その他、医療用器具の洗浄にも用いられている。
ここで浸透圧とは、血液の浸透圧(280〜300mOsm/L、pH7.2〜7.4)を言い、等張液とは、本願の出願人が先に発明した先願等張液を言い、その特徴は、海水又は海洋深層水を浸透圧200〜400mOsmに調整することで、生理食塩液より動物臓器や組織細胞の保存に適することである。
【0010】
請求項4は、請求項1乃至請求項3の清拭物品において、清拭材に補助成分を含浸しており、補助成分は化粧品に使用されている化粧品成分と、趣向性を有する趣向成分との少なくとも1成分であることを特徴とする。
請求項5は、請求項1乃至請求項4の清拭物品において、清拭材が清拭素材から成るウェットティシュ、紙おしぼり、濡れコットンの何れか1つであることを特徴とする。
【0011】
ここで希釈水とは、塩分濃度を薄めることの出来る水で、天然水や人工水であっとも良いが、好ましくは飲用可能な水を言い、深層水系淡水とは、日本海固有冷水を例えば出願人が開発した多段式電気透析処理手段を用いて脱塩したものを言うが、脱塩によって日本海固有冷水に含有していたミネラル成分の総てが失われることはない。
ここで保存剤とは、人体に安全で、清拭材を使用するまで病原菌(大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌)が発生しないようにするもので、(社)日本衛生材料工業会の基準、及び化粧品基準に準拠する殺菌剤、消毒剤、防腐剤等を言い、殺菌・消毒剤として、例えばアクリノール、エタノール、塩化ベンザルコニウムや、薬事法で医薬部外品となっているクロルヘキシジングロコン塩酸、ベンザルコニウム塩化物等を用いる。
ここで補助成分とは、使用目的に応じて添加する成分を言い、例えば化粧品成分や趣向成分を言う。その内、化粧品成分とは、汗をぬぐったり、汚れ落し、化粧落し、顔拭き等として用いる保湿剤、溶剤等を言い、保湿剤として、例えばグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、平均分子量200以上1000未満のポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等の多価アルコール類、果糖、ブドウ糖、オリゴ糖、トレハロース、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸、乳酸ナトリウム等を用いる。また、趣向成分とは、香料・精油、色素等を言う。
【0012】
請求項6は、請求項1乃至請求項5の清拭物品が、ウェットティシュを収納するポケットタイプとピロー包装タイプと詰換タイプとボックスタイプとボトルタイプ、及び紙おしぼりを収納するスティックタイプ、濡れコットンを収納するパックタイプであることを特徴とする。
【0013】
ここでウェットティシュとは、濡れティシュとも称され、例えば、化粧用又は衛材用、及び吸収体製品のキャリアーとして広く一般的に使用され、且つ肌拭き(手、顔、赤ちゃんの尻等)として使用するものを言い、紙おしぼりとは、お手拭きや拭き紙とも称され、広く一般的に使用され、主に手拭きや身辺器具拭きとして用いるものを言う。
ここで濡れコットンとは、ウェットティシュより厚手で、強度が強く、破れにくく、保水性に優れ、拭き心地が大変良いものを言い、大きさにおいて区別すると、8cm各程度を濡れコットンと称し、15cm角程度を濡れナプキンと称する。また、目的別に区別すると、清浄及び清拭を目的とする清浄綿と、洗浄と消毒を目的とする消毒綿とに区別され、その内、清浄綿は、脱脂綿等に薬液を染み込ませ、フイルムパックで密封し、滅菌処理するものであり、開封しない限り無菌状態に保たれる。その用途は一般家庭での使用を中心としており、例えば、(1)赤ちゃんの肌若しくわ口まわりを綺麗に拭く、(2)授乳時に乳首や乳房を綺麗に拭く、(3)オムツ交換時にお尻を綺麗に拭く、(4)生理時や出産後、局部を綺麗に拭く、(5)目の回りを綺麗に拭く等に使用される。他方、消毒綿は、注射を打つ前に使用される等、医療現場での使用を中心としており、即ち、手指・皮膚の洗浄・消毒、傷面の洗浄・消毒に使用されている。
これらのウェットティシュ、紙おしぼり、濡れコットン(以下、濡れナプキンを含むものとする)は、室内(柱、障子、戸、ドア等)、室内器具(冷蔵庫、電話機、蛍光燈、電球、テレビやパソコンの画面等)、身辺器具(テーブル、椅子等)の清掃、台所で使用する食器類、まな板、包丁、調理器具から水分を拭き取り等、その利用範囲は自由である。
【0014】
ここで包装体とは、清拭材を取出し可能に収容し、その清拭材の機能を一定期間に渡り維持するものであり、ウェットティシュの包装体は、少なくとも通水不能な樹脂フイルムやラミネートフイルムから形成され、ウェットティシュの収納量に応じて形態が異なるものを言い、小袋体とピロー袋体と角筒袋体、及び合成樹脂又は厚紙から成る箱状容器と筒状容器を言い、紙おしぼりの包装体は、小袋体を長手方向に延長した長細袋体を言い、濡れコットンの包装体は、ラミネートフイルムから成るパック袋体を言う。これらの包装体は、焼却可能なものが好ましい。小袋体と長細袋体には透明樹脂を用い、内部が透視可能にすることが望ましい。
ここでポケットタイプとは、小袋体内にウェットティシュを1枚収納する使い捨てタイプと、数枚収納する携帯タイプとを言い、ピロー包装タイプとは、ピロー袋体内にウェットティシュを適宜枚数まとめて収納し、或はウェットティシュを互い違いに折り重ねて積層し、その積層体を収納し、袋取出口を塞いでいるピローを剥がし、取出口より一枚ずつ取出して使用するものを言い、ボックスタイプとは、箱状容器内にウェットティシュを一定量収納し、蓋取出口より取出して使用するものを言い、ボトルタイプとは、筒状容器内にウェットティシュを一定量収納し、底取出口より取出して使用するものを言い、詰替タイプとは、角筒袋体内にウェットティシュを適宜まとめて収納し、ボックスタイプやボトルタイプのウェットティシュを使い切った時に補充するものを言う。
ここでステックタイプとは、長細袋体を筒状に膨らませ、内部に紙おしぼりを一枚収容するものを言い、パックタイプとは、パック袋体内に濡れコットンを一枚〜適宜枚数収容するものを言う。
【0015】
清拭材における水分含浸率として採用し得る範囲は0.01〜50重量%、好ましい範囲は0.1〜30重量%である。0.01重量%未満であると、湿り気不足でなめらかさが十分に得られず、肌触り効果も少なくなり、50重量%以上であると水残りが発生する場合がある。特に肌に対する保護保湿感、べたつきの無さ等を考慮して含浸することが好ましい。尚、ウェットティシュの紙湿潤強度を、0.5〜3.0N/2mm、好ましくは1.8〜2.0N/25mmとすれば、使用後、下水に流して処理し得る。
紙湿潤強度は、JIS P8135に従って測定し、水分含浸率は、乾燥状態にある清拭素材の重量に対する含浸される水分重量の比率を示す。
紙おしぼりと濡れコットンは、下水に流して処理することがないので、ウェットティシュより紙湿潤強度を高め、水分含浸率をより低くすることも可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の清拭物品は上記のとおりであるから、次に記載する効果を得ることができる。
請求項1の清拭物品は、清拭素材に等張液と保存剤を含浸し、その清拭材を包装体にて密封しているので、包装体を開封して清拭材を取出すまで等張液と保存剤が蒸発することが少ない。清拭材に等張液と保存剤を含浸しているが、そのことにより使用が制限されることはなく、従来の清拭材と同様の用途に使用し得る。
また、清拭体に含浸する等張液として、皮膚の清潔維持等に役立つこと、及び自然治癒の助勢に役立つこと等が証明されている先願等張液を用いているので、先願等張液との相乗効果が期待できる。即ち、等張液と保存剤を含浸した清拭材で肌(以下、皮膚を含む)を拭けば、肌の汚れを綺麗に拭き取り、清潔にすることができるばかりか、肌に対する自然治癒の助勢(肌の保護)に役立つこと等が期待できる。特に、使用するまで清拭材におけるカビ類の増殖を抑制することも期待できる。その結果、皮膚用の化粧品類として特に有益である。
また、等張液と保存剤を含浸する清拭体で身体を拭いても、べたつきやガサつきがなく、良好な肌触り(保護保湿感)を得ることができるし、身体の熱傷、ほてり、日焼時、患部の湿布等に使用すれば、それらの治癒に役立つことも推測し得る。
【0017】
請求項2の清拭物品は、請求項1の特徴に加えて、等張液(先願等張液)を生理食塩液と同等の浸透圧200〜400mOsmに調整してあるから、肌の清拭体として最適である。また、乳幼児の玩具、食卓、食器、まな板等の清拭に安心して使用できる。
更に、マグネシウムに患部を湿潤する効果があることが知られているが、等張液(先願等張液)にマグネシウムを多く含有する日本海固有冷水を用いているので、身体の熱傷、ほてり、日焼等における治癒の一部を担う効果が期待できる。
請求項3の清拭物品は、請求項2の特徴に加えて、希釈水として日本海固有冷水より分離した深層水系淡水を用いているので、清拭素材に含浸する水分の総てが日本海固有冷水由来となる。その結果、一段と効果が向上する。
【0018】
請求項4の清拭物品は、請求項1,2,3の特徴に加えて、等張液に補助成分を添加することで相乗効果が期待できる。例えば、補助成分として化粧品成分を添加すると、その相乗効果によって肌用の清拭物品として有益であるし、補助成分として趣向成分を添加すると、その相乗効果によっていやし効果が期待できる。
請求項5の清拭物品は、請求項1乃至4の特徴に加えて、清拭材がウェットティッシュや濡れコットンの場合、風合い(肌触り及び柔軟性)が良好であるので、主に肌拭き(手、指、顔、赤ちゃんや介護用の尻拭き等)としての利用、即ち、化粧用又は衛材用として使用すると効果を発揮する。また、乳幼児の玩具、食卓上の食べこぼし等の水分を含んだ汚れを拭き取りにも使用し得る。
清拭材が紙おしぼりの場合、主に手拭きや身辺器具拭きとして利用し得るばかりか、食卓、食器類、台所で使用するまな板、包丁、調理器具から水分を拭き取る場合にも利用し得る。更に、ウェットティシュ、紙おしぼり、濡れコットンは、室内(柱、障子、戸、ドア等)、室内器具(冷蔵庫、電話機、蛍光燈、電球、テレビやパソコンの画面等)、身辺器具(テーブル、椅子等)の清掃時にも利用する場合もあり、その利用範囲は自由である。
【0019】
請求項6の清拭物品は、請求項1乃至5の特徴に加えて、清拭材は少なくとも等張液と保存剤を含浸しているが、ウェットティッシュである場合、ポケットタイプとピロー包装タイプと詰替タイプとボックスタイプと、ボトルタイプとして提供し得るし、紙おしぼりである場合にはスティックタイプとして、また、濡れコットンである場合にはパックタイプとして提供できる。即ち、従来の清拭物品と同様の形態として提供できるので、安心感がある外、等張液特有の効果を期待し得る。また、そのことにより包装形態を大きく変更する必要がないので、包装体を安価に提供し得る。
特にウェットティッシュと濡れコットンは、吸水性に優れると共に、風合い(肌触り及び柔軟性)が良好になるので、身体(主に手、指)における汚れの拭き取り、赤ちゃんや介護用のおしり拭き、身の回りにある器物の汚れ拭き取り等に有益である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1−1】本発明による清拭物品の類例を示す斜視図であり、その内、(イ)はポケットタイプ、(ロ)はピロー包装タイプ、(ハ)は詰替タイプを示す。
【図1−2】本発明による清拭物品の類例を示す斜視図であり、その内、(イ)はボックスタイプ、(ロ)はボトルタイプを示す。
【図2】本発明による清拭物品の類例を示す斜視図であり、その内、(イ)はスティックタイプ、(ロ)はパックタイプを示す。
【図3】本発明に用いる清拭材の構成例を示すブロック線図である。
【図4−1】本発明による清拭物品の第一製造工程図である。
【図4−2】本発明による清拭物品の第二製造工程図である。
【図4−3】本発明による清拭物品の第三製造工程図である。
【図5】多段式電気透析処理手段による海水・海洋深層水の分離工程と、等張液及び希釈水との関係を示すブロック線図である。
【図6】レトルト装置の平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明による清拭物品の第一実施形態を使い捨てポケットタイプ11において説明すれば、ポケットタイプ11は図1−1(イ)の如く、清拭材5と、清拭材5を収容密封する包装体6とから成り、清拭材5は清拭素材2に少なくとも保存剤9と海水又は海洋深層水由来の等張液3とを含浸するものであり、具体的には、清拭素材2としてパルプ性の吸水性繊維を、海洋深層水として日本海固有冷水Nを用い、この吸水性繊維に対し図3の如く等張液3と保存剤9を好ましくは0.1〜30重量%含浸させてウェットティッシュ51と成し、このウェットティッシュ51を樹脂フイルムから成る小袋体61にて少なくとも水密状態に密封するものであり、ウェットティッシュ51を1枚収納するものを使い捨てタイプと言い、2枚〜3枚収納するものを携帯タイプと言う。
ウェットティッシュ51は図4−1の製造工程に示す如く、保存剤9と日本海固有冷水Nの等張液3との混合液を貯えた貯液槽20に清拭素材2を浸し、清拭素材2に予め保存剤9と等張液3を所要量含浸させ、これを小袋体61の開口部61aより内部に一枚入れ、開口部61aを密封したものである。
保存剤9は、浸透圧を200〜400mOsmに調整した等張液3に混合する場合と、等張液3に保存剤9を混合した状態で浸透圧を200〜400mOsmに調整する場合とがある。そして、保存剤9を含浸することでウェットティッシュ51の品質を一定期間に亘り保つことが出来るし、等張液3との相乗効果により治癒力が期待できるので、傷口の拭き紙としても有益である。
【0022】
等張液3(先に発明した先願等張液)は、図5の如く日本海固有冷水Nを希釈水4で希釈調整し、生理食塩液と同等の浸透圧200〜400mOsmに調整したものであり、具体的には、日本海固有冷水Nを、日本海固有冷水Nより分離した深層水系淡水n1で浸透圧200〜400mOsmに希釈したものである。
深層水系淡水n1は本願の出願人が独自に開発した多段式電気透析処理手段8にて日本海固有冷水Nより分離したものであり、多段式電気透析処理手段8は図5の如く第一処理槽81にて日本海固有冷水Nを深層水系淡水n1と濃縮深層水n2に分離し、第二処理槽82にて濃縮深層水n2をミネラル濃縮水n3と濃塩水n4に分離するものである。
上記の如く製造したポケットタイプ11を使用する場合、先ず小袋体61を開口し、開口部61aよりウェットティッシュ51を取出し、そのウェットティッシュ51で手や肌の汚れを拭き取る。
ウェットティッシュ51における等張液3と保存剤9の含浸量が、0.1重量%未満であると湿り気不足を生じるし、30重量%を超えると拭き取り面に水残りを生ずる。
【0023】
本発明による清拭物品の第二実施形態を、第一実施形態と相違する点について説明すれば、清拭素材2に対する等張液3と保存剤9の含浸手段が相違するものであって、第二実施形態の清拭材5は図4−2の如く、包装体6の小袋体61を開口し、小袋体開口部61aより内部に先ず保存剤9と日本海固有冷水N由来の等張液3を一定量入れ、次いで清拭素材2を等張液3と保存剤9との混合液に浸かるように収容した後、小袋体61の開口部61aを密封したものである。
清拭素材2としてパルプ性の吸水性繊維を用いているので、小袋体61に収容した後、小袋体61に入れられていた等張液3と保存剤9との混合液を製造工程から保管に至るまでに吸い上げ、等張液3を均等に含浸した清拭材5、即ち、ウェットティッシュ51を収容することとなる。
等張液3の含浸手段が第一実施形態と相違するものの、生産工場からの出荷時、及び消費者において使用する時には相違がない。
【0024】
本発明による清拭物品の第三実施形態を、第一第二実施形態と相違する点について説明すれば、清拭物品1が図1−1(ロ)のピロー包装タイプ12であり、このピロー包装タイプ12にあっては、例えば、所要長さの清拭素材2に等張液3と保存剤9を含浸し、清拭材5を形成した後、その清拭材5を互い違いに折り重ね、所要枚数(10枚程度)からなる積層体をつくり、これをラミネートフィルムから成るピロー袋体62に入れて密封するか、先ず、所要長さの清拭素材2を互い違いに折り重ね、所要枚数からなる積層体をつくり、その積層体を等張液3と保存剤9の混合液に浸漬した後、包装工程へ移行して密封するものである。
ピロー包装タイプ12にあっては、使用時にピロー袋体62の袋取出口62aを塞いでいるピロー62bの一部を剥がし、袋取出口62aを開口し、必要数のウェットティッシュ51を取出した後、袋取出口62aをピロー62bで塞ぎ、次に使用するまで密封しておくものである。
図1−1(ハ)の如く詰替タイプ13の清拭物品1にあっては、包装体6として角筒袋体63を用いる以外、ピロー包装タイプ12と略同様の手段で製造し得るから、説明を省略する。
【0025】
本発明による清拭物品の第四実施形態を、第一乃至第三実施形態と相違する点について説明すれば、清拭物品1が図2(イ)の如くスティックタイプ16であり、スティックタイプ16の清拭材5は等張液3と保存剤9を含浸した紙おしぼり52で、包装体6は小袋体61を長手方向に延長した細長袋体66であり、細長袋体66を筒状に膨らませ、内部に紙おしぼり52を1枚収納して密封したものである。
紙おしぼり52は、清拭素材2としてパルプ性の給水不織布を用い、この不織布に予め等張液3と保存剤9を含浸しておき、その清拭素材2を一端側より他端側に向けて巻付けてロール状とするか、一定の大きさを有する清拭素材2を一端側より他端側に向けて巻付けてロール状とし、そのロール状清拭素材2を等張液3と保存剤9の混合液に浸し、後からを含浸するものである。
この紙おしぼり52は、ウェットティッシュ51と同様に、身体(主に手、指)における汚れの拭き取り、赤ちゃんや介護用のおしり拭き、身の回りにある器物の汚れ拭き取り等に利用する。
【0026】
本発明による清拭物品の第五実施形態を、第一乃至第四実施形態と相違する点について説明すれば、清拭物品1が図2(ハ)の如くパックタイプ17であり、このパックタイプ17の清拭材5は等張液3と保存剤9を含浸した濡れコットン53で、包装体6はラミネート材から成るパック袋体67であり、そのパック袋体67に濡れコットン53を1枚〜複数枚密封したものである。
濡れコットン53は、清拭素材2としてパルプ性の給水性厚手不織布を用い、この厚手不織布に予め等張液3と保存剤9を含浸するか、パック袋体67に等張液3と保存剤9を入れ、その混合液に厚手不織布を浸し、後から含浸するものである。
厚手不織布の代わりに、一定の大きさを有する清拭素材2を用い、これに予め等張液3と保存剤9を含浸し、その等張液3等を含浸した清拭素材2を二つ折り又は三つ折りに折り重ねるか、一定の大きさを有する清拭素材2を先ず二つ折り又は三つ折りに折り重ね、その折り重ね状態で等張液3と保存剤9の混合液に浸し、包装体6に収納することも可能である。
【0027】
本発明による第六実施形態を、第一乃至第五実施形態と相違する点について説明すれば、図3の如く清拭材5は清拭素材2に等張液3と保存剤9の他に補助成分7を含浸するのもであり、補助成分7として化粧品の効能を有する化粧品成分71と、趣向性を有する趣向成分72との少なくとも1成分を用いる。
補助成分7は、浸透圧を200〜400mOsmに調整した等張液3に、保存剤9と共に混合する場合と、等張液3と保存剤9と補助成分7の混合状態において浸透圧を200〜400mOsmに調整する場合とがある。
即ち、清拭材5に化粧品成分71と等張液3と保存剤9を含浸し、肌の拭き紙等として使用すれば、その相乗効果により肌の保護保湿効果を一層向上させることができるし、趣向成分72と等張液3と保存剤9を含浸すれば、その相乗効果によりいやし効果等が期待できる。
【0028】
実験例1(本発明による清拭材5の検証)
試料1=第一実施形態にて製造した清拭材5のウェットティッシュ51
試料2=第三実施形態にて製造した清拭材5のウェットティッシュ51
試料1,2の希釈水4=日本海固有冷水Nを多段式電気透析処理手段8にて分離・精製した深層水系淡水n1を用いる。
試料1,2の等張液3=日本海固有冷水Nと深層水系淡水n1とを用いて浸透圧305mOsmに調整した。浸透圧は自動浸透圧測定装置(OM−6030、京都第一科学(株))にて測定した。
試料1,2の清拭素材2と包装体6の種類、及び清拭素材2に対する水分(等張液3と保存剤9)の含浸率は表1の通りである。
【0029】
【表1】

【0030】
第六実施形態による等張液3と補助成分7を含浸させた清拭物品。
試料3=試料1に化粧品成分71を含浸させたウェットティッシュ51
試料4=試料2に化粧品成分71を含浸させたウェットティッシュ51
化粧品成分71=グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ブドウ糖、トレハロース、グリシンベタイン、ピロリドンカルボン酸、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸等の1種類以上を用いる。
試料3,4の包装体6には、試料1,2と同じものを用い、水分の含浸率も試料1,2と同等に調整した。
【0031】
対照品1=ポケットタイプのウェットティッシュ
清拭材=パルプ性の吸水性繊維を抗菌処理したもの。
対照品2=ピロー包装タイプのウェットティッシュ(出願人の製品)
清拭材=天然コットンに水、エタノール、ベルザルコニウムクロリド、グルコン酸クロルヘキサシジン、デヒドロ酢酸Naを含浸させたもの。
対照品1,2の清拭素材は、試料1,2と同様のものを選択した。
対照品1,2の水分含浸率は、試料1,2と同様のものを選択した。
【0032】
試料1〜4と対照品1,2をパネラーによって以下の項目毎に官能試験を行った。
パネラー=出願人の企業に勤務する社員25名
(官能試験日の前2ケ月間に健康を害したことのない者を選んで実施した)
パネラー25名の性別と年代
【表2】

【0033】
(1)なめらかさ
類似した試料と対照品を個別に手で触り、その触感を下記の評価基準で比較した。
対照品より大変になめらかである:2点
対照品よりややなめらかである:1点
対照品と変わらない:0点
対照品よりなめらかさがない:―1点
その結果を表3に示す。
【0034】
【表3】

【0035】
(2)しなやかさ
類似した試料と対照品を個別に手で触り、その触感を下記の評価基準で比較した。
対照品より大変にしなやかである:2点
対照品よりややしなやかである:1点
対照品と変わらない:0点
対照品よりしなやかさがない:―1点
その結果を表4に示す。
【0036】
【表4】

【0037】
(3)べたつき状態
類似した試料と対照品で個別に肌(腕)を拭き、腕のべたつき状態を下記の評価基準で比較した。
対照品よりべたつきを感じない:2点
対照品よりべたつきをやや感じる:1点
対照品と変わらない:0点
対照品よりべたつきを感じる:―1点
その結果を表5に示す。
【0038】
【表5】

【0039】
(4)肌に対する保護保湿感
水道水で手を洗った後、類似した試料と対照品で個別に水を拭き取り、拭き取った後の手肌の感触を下記の評価基準で比較した。
対照品より爽快感を感じる:2点
対照品より爽やかさを感じる:1点
対照品と変わらない:0点
対照品より違和感を感じる:―1点
その結果を表6に示す。
【0040】
【表6】

【0041】
表2〜表5から、試料1〜4は対照品1,2に比べてなめらかさ、しなやかさが優れており、何れも肌触り性が優れていると共に、べたつきの無さ、保護保湿感も優れているとされた。特に、試料3,4は、何れの官能試験においても試料1,2より高い評価が得られたが、その要因として、等張液3の他に補助成分7の化粧品成分71を含浸させたことにあると思われる。
全般的に見て、試料1〜4の総ては、各官能試験において好評価を得ており、その要因として、浸透圧を200〜400mOsmに調整した等張液3を用いたことにあると思われる。何れにしても、使用上、全く問題がないものと思われる。
【0042】
実験例2(試料1乃至試料の日焼に対する検証)
パネラー=出願人の企業に勤務する社員24名
(実験日の前2ケ月間に健康を害したことのない者を選び実施した)
実験日の天候=晴天、平均気温=30℃
実験時間=12〜15時までの3時間、
日焼箇所=両腕を衣類より外に出し、野外作業を行った。
パネラー24名の性別と年代
【表7】

各年代の男女を4班に分けた。
【0043】
1,第一班(男性3名、女性3名)
左腕の日焼部を試料1で覆い、右腕の日焼部を対照品1で覆い、そのまま略30分程度放置しておき、30分経過後、試料1と対照品1を取外すと、試料1の覆い部では日焼けによるほてりは略おさまったが、対照品1の覆い部では日焼けによるほてりと痛みがあった。そのまま一中夜経過した時点では、試料1の覆い部では、ほてりや痛みはなかったが、対照品1の覆い部にはほてりや痛みが残った。
2,第二班(男性3名、女性3名)
左腕の日焼部を試料2で覆い、右腕の日焼部を対照品2で覆い、そのまま略30分程度放置しておき、30分経過後、試料2と対照品2を取外すと、試料2の覆い部の日焼けによるほてりはおさまった。そのまま一中夜経過した時点でもほてりや痛みを感じなかったが、対照品2の覆い部にははほてりや痛みが残った。全体的に、試料1との相違点は少なかった。
3,第三班(男性3名、女性3名)
左腕の日焼部に試料3で覆い、右腕の日焼部を対照品1で覆い、そのまま略30分程度放置しておき、30分経過後、試料3と対照品1を取外すと、試料3の覆い部の日焼けによるほてりは解消した。そのまま一中夜経過した時点でもほてりや痛みもなく快調であった。対照品1の覆い部は、30分経過時点でほてりや痛みが残った。
4,第四班(男性3名、女性3名)
左腕の日焼部を試料4で覆い、右腕の日焼部を対照品2で覆い、そのまま略30分程度放置しておき、30分経過後、試料4と対照品2を取外すと、試料4の覆い部の日焼けによるほてりは完全に解消していた。そのまま一中夜経過した時点でもほてりや痛みもなく快調であった。対照品2の覆い部ははほてりや痛みが残った。
試料3との相違点は少なかったが、試料3,4は試料1,2より良い結果が得られた。
【0044】
実験例3(試料3のかすり傷に対する検証)
パネラー=出願人の企業に勤務する男性社員1名
(右肘にかすり傷をした者、被験者に実験の目的を伝え、了解を得て行う)
かすり傷の範囲=腕の長さ方向に約10cm、幅方向に約4cm
実験方法=かすり傷部の半分を試料3のウェットティッシュ51で拭き、新たなウェットティッシュ51で覆い、残り半分を対照品2のウェットティッシュで拭き、新たな対照品2で覆い、12時間に亘り経過を観察した所、試料3で処理したかすり傷部の痛みはほとんど感じなかったが、対照品2で処理したかすり傷部に痛みが残った。その後、約12時間毎に新しいウェットティッシュ51と対照品2を取替え、3日後の経過において、本発明品のウェットティッシュ51で処置した箇所の回復が早かった。
このことは、先願等張液の実験例からも伺い知ることができることです。
【0045】
実験例4(スティックタイプ16の検証)
試料5=第四実施形態にて製造したスティックタイプ16の紙おしぼり52
試料6=試料5に化粧品成分71を含浸させた紙おしぼり52
試料5,6の希釈水4=試料1,2と同じ深層水系淡水n1を用いる。
試料5,6の等張液3=試料1,2と同じ浸透圧305mOsmに調整した。
試料5,6の清拭素材2としてパルプ性の給水不織布を用いた。
試料5,6の包装体6=長細袋体66を用いる。
対照品3=スティックタイプの紙おしぼり
サンナップ株式会社(東京都千代田区神田佐久間町3−21−2)
清拭材=バージンパルプの不織布に水、アルコール、保存剤等を含浸させたもの。
【0046】
試料5,6と対照品3の官能試験を行った。
パネラー=出願人の企業に勤務する社員20名
(官能試験日の前2ケ月間に健康を害したことのない者を選んで実施した)
パネラー20名の性別と年代
【表8】

各パネラーに試料5,6と対照品3を与え、実験例1と同様に、(1)なめらかさ、(2)しなやかさ、(3)べたつき状態、(4)肌に対する保護保湿感について試験を行った。
その結果の集計を表9に示す。
【0047】
【表9】

その結果、試料5,6は対照品3より有意であったが、ウェットティッシュ51や濡れコットン53より「なめらかさ」と「しなやかさ」では少し劣った。但し「べたつき状態」や「肌に対する保護保湿感」については、略同様の感想が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明による清拭素材2の製造工程は実施形態に限定されるものではなく、例えば図4−3の如く、清拭素材2にスプレー21で等張液3と保存剤9の混合液を吹付けるか、等張液3と保存剤9と補助成分7との混合液を吹付けて含浸させることも可能である。
希釈水4として、深層水系淡水n1の代わりに、海水より分離した海水系淡水を用いて希釈調整することも可能である。更に、陸系淡水と人工的に製造した蒸留水との少なくとも一方を用いることも可能である。何れにしても、浸透圧を200〜400mOsmに希釈調整することが重要である。
【0049】
清拭物品1がボックスタイプ14の場合、包装体6として図1−2(イ)の如く合成樹脂製又は紙製の箱状容器64を用いる。この箱状容器64は、箱本体64a内に等張液3と保存剤9を浸させたウェットティッシュ51を一定量収容するものであり、蓋体64bの蓋取出口64cからウェットティッシュ51を一枚ずつ引き出すものである。
清拭物品1がボトルタイプ15の場合、包装体6として図1−2(ロ)の如く合成樹脂製又は紙製の筒状容器65を用いる。この筒状容器65は、有底筒体65a内に等張液3と保存剤9を浸させたウェットティッシュ51を一定量収容するものであり、蓋体65bを開放し、有底筒体65aの底取出口65cからウェットティッシュ51を一枚ずつ引き出すものである。
【0050】
清拭素材2は、紙製に限定されるものではなく、材質は自由であり、例えば布製、不織布、抗菌性繊維を用いることも可能である。また、所要長さに裁断した清拭素材2を互い違いに折り重ね、積層体をつくり、それを等張液3と保存剤9の混合液中へ浸漬し、等張液3と保存剤9を含浸させることも可能である。
本発明の清拭物品は、上述した製品以外にも、皮膚に直接接触して使用する各種の衛生用繊維製品、例えばガーゼ、清拭布、カット綿等にも適用可能である。
【0051】
ピロー包装タイプ12と詰替タイプ13にあったは、ウェットティッシュ51を互い違いに折り重ねて積層し、その積層体を収納することも可能である。
紙おしぼり52は、前記実施例に限定されるものではなく、調理時又は食事の際に使用されるシート状の前掛け、或は布巾や拭き紙、キッチンタオルを含むものである。
ポケットタイプ11と詰替タイプ13とスティックタイプ16とパックタイプ17、特にパックタイプ17の清拭物品1にあっては、これらを包装食材において一般に用いられている滅菌手段と同様に、図6の如くレトルト装置30によりレトルト処理すれば、缶詰や瓶詰と原理は同じで、1年以上の保存性を得ることができる。即ち、レトルト装置30の扉31を開放し、釜32を開口し、釜32の内部に清拭物品1を入れ、扉31を締め、エアタンク33により釜32内を例えば圧力0kg/cm2、温度100〜120℃で4〜20分間以上に亘り加圧加熱殺菌する。
【0052】
実験例2において、試料1,3の日焼部に対する効果を検証しなかったが、試料1,3と試料2,4は略同じウェットティッシュ51であるから、少なくとも試料2,4と同様の効果が得られるものと思われる。
実験例3において、試料1,2及び試料4のかすり傷に対する効果を検証しなかったが、試料1,2は試料3と略同様の効果が得られるものと思われるし、試料4は更に有意な効果が得られるものと思われる。
尚、本発明による清拭物品の保存試験、具体的には、試料1〜6におけるカビや細菌の繁殖状態を、経時変化調査する予定である。
【符号の説明】
【0053】
1 清拭物品、11 ポケットタイプ、12 ピロー包装タイプ、13 詰替タイプ
14 ボックスタイプ、15 ボトルタイプ
16 スティックタイプ、17 パックタイプ
2 清拭素材
3 等張液
4 希釈水
5 清拭材、51 ウェットティシュ、52 紙おしぼり
53 濡れコットン
6 包装体
61 小袋体,61a 開口部
62 ピロー袋体、62a 袋取出口、62b ピロー
63 角筒袋体
64 箱状容器、64a 箱本体、64b 蓋体、64c 蓋取出口
65 筒状容器、65a 有底筒体、65b 蓋体、65c 底取出口
66 長細袋体
67 パック袋体
7 補助成分、71 化粧品成分、72 趣向成分
8 多段式電気透析処理手段、81 第一処理槽、82 第二処理槽
9 保存剤
20 貯液槽
21 スプレー
30 レトルト装置、31 釜、32 扉、33 エアタンク
N 海洋深層水(日本海固有冷水)
n1 深層水系淡水、n2 濃縮深層水、n3 ミネラル濃縮水、n4 濃塩水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清拭材(5)と、清拭材(5)を収容する包装体(6)とから成り、清拭材(5)は清拭素材(2)に少なくとも海水又は海洋深層水由来の等張液(3)と保存剤(9)を含浸していることを特徴とする清拭物品。
【請求項2】
請求項1の清拭物品において、海洋深層水が日本海固有冷水(N)であり、等張液(3)は日本海固有冷水(N)を希釈水(4)により生理食塩液と同等の浸透圧200〜400mOsmに調整したものであることを特徴とする清拭物品。
【請求項3】
請求項2の清拭物品において、希釈水(4)が日本海固有冷水(N)より分離した深層水系淡水(n1)であることを特徴とする清拭物品。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の清拭物品において、清拭材(5)に補助成分(7)を含浸しており、補助成分(7)は化粧品に使用されている化粧品成分(71)と、趣向性を有する趣向成分(72)との少なくとも1成分であることを特徴とする清拭物品。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4の清拭物品において、清拭材(5)が清拭素材(2)から成るウェットティシュ(51)と紙おしぼり(52)と濡れコットン(53)の何れか1つであることを特徴とする清拭物品。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の清拭物品が、ウェットティシュ(51)を収納するポケットタイプ(11)と、ピロー包装タイプ(12)と、詰換タイプ(13)と、ボックスタイプ(14)と、ボトルタイプ(15)、及び紙おしぼり(52)を収納するスティックタイプ(16)と、濡れコットン(53)を収納するパックタイプ(17)であることを特徴とする清拭物品。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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