説明

清掃シート、および清掃具

【課題】清掃シートにおける被清掃面との接触面を全面的に用いて塵や埃を十分に拭い取ることができ、さらには、その接触面にて比較的大きくて硬い塵等も効果的に絡め取ることが可能な清掃シートを提供する。
【解決手段】清掃シート1を台座に取り付けるための取り付け構造4を有する取り付け片21からなる複数の取り付け部2と、該清掃シート1を台座に取り付けた場合に台座の底面に対して対面する清掃部3とを備え、清掃部3は、異なる取り付け部2の間に挟まれるとともに、清掃部3の側縁部9に取り付け片21を接合して接合部6を形成しており、取り付け片21は、清掃シート1を台座に取り付けた場合に清掃部3と台座の底面との間に隙間部が形成されるような位置に、取り付け構造4を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃シート、および清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
タンス等の家具、建物の内壁、敷居、床、窓等に付着した塵や埃を除去するための清掃具として、様々な清掃シートが提案されている。
【0003】
たとえば、一枚の不織布シートに多数の切れ目を設けた清掃シートが提案されている(特許文献1)。この清掃シートによれば、切れ目に塵や埃が捕捉されることで被清掃物などの被清掃面の埃等が拭い取られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平3−65548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の清掃シートをモップの台座に取り付けてなる清掃具を用いて床面等の被清掃面に付着した塵や埃の清掃を行う時(すなわち清掃時)には、清掃シートが床面等の被清掃面に押し当てられる。そして、清掃シートの面における被清掃面との接触面に位置する切れ目で塵や埃が捉えられる。ここで、清掃シートには、接触面の全体に対して台座から強い力が加えられる。すると、被清掃面の塵や埃は、清掃シート端縁付近に位置する切れ目で集中的に捕捉されやすくなり、清掃シート端縁付近よりも清掃シート中央側に位置する切れ目にまでは到達しにくくなる。したがって、特許文献1の清掃シートでは、清掃時に、埃や塵を拭い取るために清掃シートの接触面を全面的に効果的に使用することができなかった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑み、清掃シートにおける被清掃面との接触面を全面的に用いて塵や埃を十分に拭い取ることができ、さらには、その接触面にて比較的大きくて硬い塵等も効果的に絡め取ることが可能な清掃シート、および清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、(1)台座に取り付けられて清掃具として用いられる清掃シートであって、
該清掃シートを台座に取り付けるための取り付け構造を有する取り付け片からなる複数の取り付け部と、該清掃シートを台座に取り付けた場合に台座の底面に対して対面する清掃部とを備え、
清掃部は、異なる取り付け部の間に挟まれるとともに、清掃部の側縁部に取り付け片を接合して接合部を形成しており、
取り付け片は、清掃シートを台座に取り付けた場合に清掃部と台座の底面との間に隙間部が形成されるような位置に、取り付け構造を有している、ことを特徴とする清掃シート、
(2)清掃部は、不織布シートからなる清掃部材を複数枚重ね合わせて形成されている、上記(1)に記載の清掃シート、
(3)清掃部材は、表裏両面に、それぞれ多数の凹部と凸部を交互に形成してなる凹凸面を有し、且つ、一方の面の凹部と他方の面の凸部とを表裏一体に形成しており、
清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の凸部と他方の清掃部材の凸部とを向かい合わせて形成されている、上記(2)に記載の清掃シート、
(4)清掃部材は、多数の小隙間を形成しており、
清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の小隙間と他方の清掃部材の小隙間の非形成領域とを向かい合わせて形成されている、上記(2)または(3)に記載の清掃シート、
(5)清掃部は、取り付け片を複数の清掃部材の間に清掃部の厚み方向に挟みこみつつ清掃部の側縁部にて取り付け片を接合している、上記(2)から(4)のいずれかに記載の清掃シート、
(6)取り付け部は、不織布シートからなる取り付け片を複数重ね合わせて形成されており、
清掃部は、重なり合う取り付け片の間に清掃部の側縁部を挟まれつつ取り付け片を接合している、上記(1)から(4)のいずれかに記載の清掃シート、
(7)上記(1)から(6)のいずれかに記載の清掃シートを台座に取り付けてなる清掃具、を要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、清掃シートを清掃具の台座に取り付けた場合に清掃部と台座の底面との間に隙間部が形成され、清掃シートは台座に対して弛みを持って取り付けられる。すると、本発明の清掃シートを取り付けた清掃具が、清掃時に、床面などの被清掃面に対して押し付けられたとき、清掃シートの清掃部が被清掃面に接触するとともに清掃部の露出表面に襞状の凹凸部分(襞部)が形成される。このとき、清掃シートは、清掃部の襞部によって、被清掃面に対してやや不均一に接触するようになる。このため、被清掃面の塵や埃は、清掃シートの清掃部に対して清掃部の側縁付近で接触するのみにとどまらず、塵や埃の一部は、清掃部の中央位置付近で清掃シートの清掃部に対して接触できるようになる。したがって、本発明によれば、効果的に清掃シートの清掃部を全面的に用いて被清掃面に付着した塵や埃を拭いとらせることができるようになる。
【0009】
本発明によれば、清掃部は、複数枚の不織布シートを重ね合わせて形成されることにより、清掃シートの清掃部に多様な襞部を形成することができる。このため、清掃部と被清掃面との接触状態も多様になり、より効果的に清掃シートの清掃部を全面的に用いて被清掃面に付着した塵や埃を拭いとらせることができるようになる。
【0010】
本発明においては、清掃部を構成する複数の清掃部材として、多数の凹部と凸部を交互に形成してなる凹凸面を表裏両面に有し、且つ、一方の面の凹部と他方の面の凸部とを表裏一体に形成している不織布シートを用いることができる。さらに、このとき、清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の凸部と他方の清掃部材の凸部とを向かい合わせて形成されている、ことが好ましい。このような清掃シートの清掃部では、対面する清掃部材のそれぞれの凸部同士が向かい合わせに配置される。この場合、清掃シートを取り付けた清掃具を用いた清掃が行われる際、台座から清掃部に向けて力が加えられると、2枚の清掃部材それぞれの両面に形成された個々の凸部が押し潰されてそこに襞状の折り重なりが多数形成される。このとき、清掃部材の見かけ厚みが、折り重なり部分で増すこととなり、折り重なり部分とその部分以外とで厚み差が生じる。また、厚み差の生じる箇所は多数箇所におよぶ。そして、清掃時に清掃具がさらに被清掃面に押し付けられると、対面する2枚のうちの一方の清掃部材(台座に近いほうの清掃部材)の折り重なり部分が、他方の清掃部材(被清掃面に近いほうの清掃部材)を、台座から被清掃面に向かう方向に押し出す。これにより、他方の清掃部材の表面には、台座から被清掃面に向かう方向に新たな凸部が多数箇所に形成される。本発明によれば、清掃部の最表面に、より多数の凸部を形成させることで、さまざまな塵や埃を効率的にかきとらせることが容易になる。
【0011】
また、この清掃シートを取り付けた清掃具を用いた清掃が行われる際、対面する2枚の清掃部材の面のうちの一方の清掃部材(台座に近いほうの清掃部材)の面に形成された凸部が、他方の清掃部材(被清掃面に近いほうの清掃部材)の面に形成された凸部を、台座から被清掃面に向かう方向に押圧することも生じうる。そして、これにともない、被清掃面に近いほうの清掃部材では、押圧された凸部に対して表裏一体の位置にあり清掃部の最表面に形成されている凹部が被清掃面に向けて押し出され、その凹部の位置に新たな凸部が突出形成される。したがって、このような清掃シートによれば、清掃時に台座から清掃部に加えられる圧力の大きさに応じて、より多様な凹部と凸部とを有する凹凸面を清掃部に形成でき、清掃部と被清掃面との接触状態を一層多様化させることができる。そして、本発明によれば、被清掃面の塵や埃の状態に応じて、清掃部にさまざまな凸部を形成させることで、それらの凸部にさまざまな塵や埃をかきとらせることが容易になる。
【0012】
本発明においては、清掃部を構成する複数の清掃部材には、多数の小隙間が形成されていてもよい。また、このとき、清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の表面の小隙間を他方の清掃部材の表面の小隙間の非形成領域に向かい合わせて形成されていることが好ましい。この場合、「清掃時に、被清掃面の塵や埃が小隙間取り込まれる際、それらの塵や埃が、重なり合う全ての清掃部材の小隙間を通りぬけてしまって清掃部に捕捉されなくなる」という虞が低減される。なお、本明細書において、小隙間は、切れ目及び/又は小孔である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための平面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態における清掃シートを装着した清掃具の1実施例を説明するための概略斜視図である。
【図3】(a)本発明の第1の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略断面図である。(b)本発明の第2の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略断面図である。
【図4】(a)本発明の第3の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略断面図である。(b)本発明の第3の実施形態における清掃シートの他の1実施例を説明するための概略断面図である。
【図5】(a)清掃シートを装着した清掃具が床面に対して接触する直前の状態を説明するための模式図である。(b)清掃シートを装着した清掃具が床面に対して接触した状態を説明するための模式図である。(c)清掃シートを装着した清掃具が床面に対して接触し、さらに、清掃具が床面に対して動いた際における、清掃シートと床との接触状態を説明するための模式図である。
【図6】(a)本発明の第4の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略斜視図である。(b)本発明の第4の実施形態における清掃シートの他の1実施例を説明するための概略斜視図である。
【図7】(a)本発明の第5の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略斜視図である。(b)本発明の第5の実施形態における清掃シートの他の1実施例を説明するための概略斜視図である。
【図8】(a)本発明の第4の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略分解断面図である。(b)本発明の第5の実施形態における清掃シートの1実施例を説明するための概略分解断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第1の実施形態>
本発明の清掃シート1は、図1に示すように、取り付け部2と清掃部3を備えてなり、また図2に示すように、清掃具75を構成する台座70に取り付けられるものである。
【0015】
図1の清掃シート1は、清掃部材31の側縁部9で、帯状の取り付け片21,21を接合して接合部6(6a,6b)を形成しており、また図3(a)に示すように、清掃シート1のうち清掃部材31の占める部分が清掃部3となり、取り付け片21,21における接合部6よりも清掃部3の面外方向に位置する部分が取り付け部2(2a,2b)となっている。このとき、清掃部3は、取り付け部2a、2bの間に挟まれる。清掃シート1においては、清掃部3と取り付け部2a、2bは、両者の境界を接合部6a、6bの外側端縁(図1の例では、A−B方向が接合部6の内外方向に対応する)で画されている。なお、図1において、接合部6a、6bは、清掃部3の面外方向に間隔を隔て、清掃部3の側縁部9に沿って、直線状に形成されている。接合部6a、6bにつき、その長手方向と、取り付け部2a、2bの長手方向(図1の例では、C−D方向)とが揃っている。
【0016】
また、清掃部3は、清掃シート1のうち、清掃具75を構成する台座70に清掃シート1を取り付けた場合に台座70の底面80に対して対面する部分、である。
【0017】
取り付け部2は、清掃シート1を台座70に取り付けるための取り付け構造4を所定位置に有する。すなわち、取り付け部2において取り付け構造4を設ける位置は、清掃シート1を台座70に取り付けた場合に清掃部3と台座70の底面80との間に隙間部8が形成されるような位置である。ここで、図1の清掃シート1の取り付け部2において、清掃シート1を台座70に取り付けた場合に清掃部3と台座70の底面80との間に隙間部8が形成されないような位置に、取り付け構造4が設けられた場合を想定する。この場合において、想定される取り付け構造4の取り付け位置が想定位置Pである。ただし、隙間部8が形成されないとは、清掃シート1を台座70に取り付けた場合に清掃部75を被清掃面に押し当てない状態で台座70の底面80との間に隙間部8が形成されない状態を示すものとする。本発明の清掃シート1においては、取り付け構造4を設ける位置は、想定位置Pよりも清掃部3から面外方向に離れる方向にずれた位置(図1中、ずれ幅がΔX)となっている。なお、隙間部8は、清掃シート1を台座70に取り付けるとともに台座70の底面80を清掃部3に押し当てた場合に清掃部3に襞状の凹凸部分が形成可能となるような大きさ、となっていることが好ましい。したがって、ずれ幅ΔXの大きさは、清掃部3に襞状の凹凸部分が形成できる程度に大きい値であることが好ましい。
【0018】
図1の清掃シート1の例では、取り付け部2aは、取り付け構造4a、4cを有し、取り付け部2bは、取り付け構造4b、4dを有する。取り付け構造4(4a、4b、4c、4d)の構造は、台座70に対して清掃シート1を係止可能な構造であれば、切れ込み、貫通孔、粘着層など、特に限定されるものではない。そして、具体的に図1の清掃シート1の例では、取り付け構造4a、4b、4c、4dは、取り付け部2a、2bの所定位置に形成される切り込みである。なお、取り付け構造4が切り込みである場合、切り込みの形状は、図1に示すような十字型の切り込みに限られず、適宜設定できる。
【0019】
取り付け部2と清掃部3を構成する部材(取り付け片21や清掃部材31や、後述する取り付け片22や清掃部材32)の材料については、特に限定されず、紙シート、織布シート、合成樹脂シート、不織布シートを用いることができる。不織布シートが上記に挙げたほかの材料に比べて軽量性、強度、耐久性、接着性に優れる観点からは、取り付け片21,22と清掃部材31,32は不織布シートであることが特に好ましい。
【0020】
取り付け片21,22と清掃部材31,32が不織布シートである場合、不織布シートとしては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、サーマルボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布等のシートを用いることができる。不織布シートを構成する繊維は、天然繊維、合成繊維、複合繊維等を用いることができる。
【0021】
ただし、清掃シート1を用いた清掃時に清掃部3に形成される後述の襞部の状態を変化させやすくするためには、清掃部3を構成する清掃部材31,32は、のびやすい材質からなるものであることが好ましい。そこで、清掃部材31,32は、スパンレース不織布を用いられることが好ましい。また、清掃具75で清掃を実施するにあたり、清掃シート1を台座70にしっかりと固定する観点から、取り付け片21,22の材質は、のびの少ない材質からなるものであることが好ましい。そこで、清掃シート1において、取り付け片21,22は、スパンボンド不織布もしくはエアスルー不織布であることが好ましい。
【0022】
取り付け片21,22、清掃部材31,32としては、それぞれ上記したような不織布シートなどのシート1枚にてなるものが用いられてよいほか、それぞれ、そのような不織布シートを複数枚重ねあわせてなるものが用いられてよい。
【0023】
なお、本発明の清掃シート1を説明するにあたり、取り付け片21,22の形状は帯状であり、清掃部材31,32の形状は矩形状であるが、これらの形状は、帯状や矩形状に限定されない。取り付け片21,22と清掃部材31,32は、それぞれ適宜所望の形状に加工されてよい。したがって、取り付け片21,22と清掃部材31,32の形状としては、多角形、楕円形状、閉曲線でなる形状などを挙げることができる。
【0024】
また、接合部6は、直線状に形成されているが、接合部6はこれに限られず、曲線状、破線状、点状、帯状、波形状など、適宜形状に形成されてよい。また、清掃シート1においては、個々の接合部6の幅(短手方向(図1の清掃シートの例ではA−B方向)の寸法)は、適宜定めることができる。
【0025】
図1の清掃シート1において、接合部6は、次のように形成される。すなわち、矩形状の清掃部材31の4つの側縁部(矢印A−B方向に向かいあう2つの側縁部、および、C−D方向に向かいあう2つの側縁部)のうち、互いに向かい合う2つの側縁部(図1の清掃シート1の例では、A−B方向に向かいあう側縁部9,9)のそれぞれに、取り付け片21,21の長手方向側縁部分を重ね合わせて、清掃部材31と取り付け片21の両者が重なりあう部分で、これらが接合されている。そして、その接合部分が接合部6をなす。
【0026】
このような接合部6の形成方法としては、ヒートシールを用いた接合方法、接着剤による接合方法、超音波シールによる接合方法を挙げることができる。
【0027】
ヒートシールを用いた接合方法は、取り付け片21と清掃部材31とを接合しようとする部分に対する加熱がなされ、その加熱部分にて取り付け片21と清掃部材31が貼り合わされるという方法であり、従前より公然知られたヒートシール機を用いて実現可能である。
【0028】
超音波シールによる接合方法は、取り付け片21と清掃部材31とを接合しようとする部分に対して微細な超音波振動と圧力を加えることによって取り付け片21と清掃部材31とを瞬時に溶融し、両者を接合する方法であり、従前より公然知られた超音波シール機を用いて実現可能である。具体的に、超音波シール機は、取り付け片21と清掃部材31を接合しようとする部分において取り付け片21と清掃部材31に微細な超音波振動と圧力を加えて強力な摩擦熱を発生させる。そして、取り付け片21と清掃部材31は溶融され、互いに結合する。
【0029】
また、接着剤を用いた取り付け片21と清掃部材31の接着により、取り付け片21と清掃部材31が接合される場合、接着剤としては、二液硬化型接着剤、熱可塑性樹脂系接着剤、エラストマー系接着剤、熱硬化樹脂系接着剤、瞬間接着型接着剤、ホットメルト型接着剤等を用いることでことができる。接着剤は、加熱・冷却による迅速な接着作業が可能である観点からはホットメルト型接着剤が好ましい。また、取り付け部2と清掃部3が不織布である場合、不織布内部への浸透性の良さの観点からは溶液型またはエマルジョン型の、熱可塑性樹脂系接着剤またはエラストマー系接着剤が好ましい。なお、基材シートと表面シートのうち、予め接着剤を塗布しておく面はこれらのいずれでもよく、また両方でもよい。
【0030】
本発明の清掃シート1を取り付けた清掃具について具体的に説明する。
【0031】
<清掃シート1を取り付けた清掃具75>
本発明の清掃シート1を取り付けた清掃具75は、例えば床清掃用のモップであり、柄72を付けた台座70に清掃シート1を取付けてなる(図2)。図2は、図1に示す清掃シート1を台座70に取り付けた清掃具75を示す斜視図である。
【0032】
台座70の上面には予め定めた位置に係止片71が設けられており、清掃シート1が台座70に取り付けられるにあたっては、清掃シート1の清掃部3を台座70の底面80に対して対面させ、清掃シート1の取り付け部2を折り曲げて台座70の上面に巻き付け、取り付け構造4で台座70の上面の係止片71に係止させることで清掃シート1が台座70に取付けられ、清掃具75が得られる。具体的に、係止片71は、台座70より上方に突出した出っ張り片であり、台座70の上面側端部よりやや内側の所定位置として予め選択された4箇所に設けられている。そして、係止片71をなす出っ張り片に対して、取り付け構造4をなす十字形の切り込みが嵌めつけられることで、清掃シート1が台座70に係止されて固定される。
【0033】
清掃具75において、清掃シート1の清掃部3は、少なくとも台座70の底面80と側面81との境界部分(境界部R)まで形成されている。
【0034】
清掃シート1が台座70に取り付けられると、清掃部3と台座70の底面80との間に空間が形成されて隙間部8をなしている。このとき、清掃シート1は台座72に対して弛みを持って取り付けられている。隙間部8をなす空間の大きさは、清掃シート1を台座70に取り付けるとともに清掃時に台座70の底面80を清掃部3に押し当てた場合に清掃部3に襞部20が形成可能な程度の大きさとなっている。
【0035】
<清掃シート1が塵や埃を拭い取る機構>
本発明において、清掃時に、清掃シート1が塵や埃を拭い取る機構には、おおよそ次のような機構がある(図5(a)(b)(c))。図5(a)(b)(c)は、清掃シート1を台座70に装着した清掃具75を用いて被清掃物としての床50を清掃する場合において、清掃シート1が被清掃面としての床面51に対して清掃中にどのように接触するかという、清掃時の清掃シート1の状態を説明するための模式図である。なお、図5(a)(b)(c)に示す清掃具75の例において、台座70に装着される清掃シート1は、図1に示す清掃シート1である。
【0036】
基材シート1が、清掃具75の台座70に装着されるとともに床面51に押し当てられた場合、清掃部3には、清掃部3の一部が折り重なって襞状の凹凸部分(襞部20)が形成される(図5(b))。このとき、清掃部3の露出表面は、襞部20により不規則な凹凸面をなす。ここで、清掃時には、清掃具75は、床50の床面51に対して所定の方向に移動する。例えば、清掃具75が、図5(b)の矢印Fで示す方向(F方向)をその移動方向(清掃方向)として移動する。このとき、清掃部3の露出表面において、襞部20の形成位置や大きさなどの状態が不規則に変化する(図5(c))。このような襞部20の不規則な変化は、清掃具75が、図5(b)(c)の矢印Eで示す方向(E方向)をその移動方向(清掃方向)として移動する場合にも生じる。すると、清掃部3の露出表面が不規則な表面凹凸を有することとなり、被清掃面の塵や埃は、清掃部3に対して、清掃部3の周縁部分で接触するだけでなく、清掃部3の周縁部分を通過して清掃部3の面内方向内側の位置で接触するようになる。こうして、清掃シート1によれば、清掃部3の露出表面全体を、塵や埃の拭い取りに用いることができる。
【0037】
<第2の実施形態>
第1の実施形態の清掃シート1において、清掃部3が複数の清掃部材31,32を重ねあわせて形成されている場合、清掃部3には、取り付け片21が図3(b)に示すように接合されてもよい(第2の実施形態)。
【0038】
図3(b)に示す第2の実施形態の清掃シート1においては、取り付け片21は、その側縁部が清掃部3をなす清掃部材31,32の側縁部に対面するように配置されている。さらに、取り付け片21は、その側縁部分が重なり合う清掃部材31,32の間に挟まれるように配置されており、その挟み込まれた部分にて清掃部3に接合されている。そして、清掃部3に取り付け片21が接合されている部分が、接合部6をなす。また、取り付け片21,21のうち接合部6よりも外方向の部分が取り付け部2(2a,2b)をなす。なお、接合部6を形成する際に用いられる接合方法については、第1の実施形態における取り付け片21と清掃部材31との接合方法と同じ方法を用いることができる。
【0039】
接合部6は、清掃部材31,32と取り付け片21を重ねてこれら全てを同時に接合して形成されてよいほか、取り付け片21を清掃部材31,32のそれぞれに対して個別に接合して形成されてもよい。
【0040】
<第3の実施形態>
第1の実施形態の清掃シート1において、取り付け部2(2a,2b)が複数の取り付け片21,22を重ねあわせた構造を有する場合、清掃部3には、取り付け片21,22が図4(a)(b)に示すように接合されてもよい(第3の実施形態)。
【0041】
図4(a)(b)に示す第3の実施形態の清掃シート1においては、取り付け片21,22は、それぞれ、その側縁部分が清掃部3の側縁部に対面するように配置される。さらに、取り付け片21,22は、その側縁部分で清掃部3の厚み方向に清掃部3を挟みこみ、その挟み込む部分で清掃部3に接合されている。そして、清掃部3に取り付け片21,22が接合されている部分が、接合部6をなす。
【0042】
接合部6は、取り付け片21,22を清掃部3に重ねてこれら全てを同時に接合して形成されてよいほか、それぞれの取り付け片21,22を清掃部3に対して個別に接合して形成されてもよい。なお、接合方法は、第1の実施形態における取り付け片21と清掃部材31との接合方法と同じ方法を用いることができる。また、複数の取り付け片21,22が直接対面して重なりあう部分につき、取り付け片21,22が互いに接合されていてもよい。
【0043】
なお、清掃部3は、1枚の清掃部材で形成されていてもよいほか(図4(a))、複数枚の清掃部材で形成されてもよい(図4(b))。
【0044】
<第4の実施形態>
第1、第2、第3の実施形態のいずれかの清掃シート1においては、清掃部3に多数の凹部11と凸部12が交互に形成されていてもよい(図6(a)(b)、図8(a))(第4の実施形態)。このとき第4の実施形態の清掃シート1においては、清掃部3には、凹凸面13が形成される。このような清掃部3は、凹凸面13を有する清掃部材31から形成される。ここで、清掃部材31は、その表裏両面に多数の凹部11と凸部12を交互に配置して凹凸面13を形成している。清掃部材31においては、一方面の凹部11の真裏の位置に他方面の凸部12が形成されており、一方面の凹部11と他方面の凸部12が表裏一体に形成されている。そのような清掃部材31は、エンボス加工を施されたシートにより具体的に準備可能である。
【0045】
なお、第4の実施形態の清掃シートでは、図6(a)(b)、図8(a)に示すように、清掃部3は、複数の清掃部材31,32を重ねあわせて形成されていることが好ましい。清掃部材32は、その表裏両面に、清掃部材31と同じく、多数の凹部11と凸部12を交互に配置して凹凸面13を形成している。清掃部3は、多数の凹部11と凸部12を交互に形成した清掃部材31,32を重ね合わせて形成される。
【0046】
また、このとき、清掃部3は、対面する清掃部材31,32のうちの一方の清掃部材31の凸部12と他方の清掃部材32の凸部12とを向かい合わせて形成されていることが好ましい。
【0047】
清掃部材31を台座70に対面させつつ第4の実施形態の清掃シート1を取り付けた清掃具を用いた清掃が行われる場合、台座70から清掃部3に向けて力が加えられると、2枚の清掃部材31,32それぞれの両面に形成された個々の凸部12が押し潰されて、押し潰された部分に襞状の折り重なりが形成される。このとき、清掃部材31,32の見かけ厚みが、折り重なり部分で増し、折り重なり部分とその部分以外の部分とで、見かけ厚みに差が生じている。ここに、清掃部材31,32において凸部12の形成箇所に応じて折り重なり部分が多数箇所で生じており、見かけ厚みに差を生じた箇所も多数箇所におよぶ。そして、清掃時には、対面する2枚のうちの台座70に近いほうの清掃部材31の折り重なり部分が、被清掃面に近いほうの清掃部材32を、台座70から被清掃面に向かう方向に押圧し押し出す。すると、清掃時に、清掃部材32の表面には、清掃部材31の折り重なり部分の形成箇所に対応して、台座70から被清掃面に向かう方向に新たな凸部が多数箇所に形成されることになる。こうして清掃シート1は、清掃時に、清掃部3の最表面に、より多くの凸部を形成できるものとなるため、塵や埃を効率的にかきとることが一層容易なものとなる。
【0048】
<第5の実施形態>
第1、第2、第3、第4のいずれかの実施形態の清掃シート1においては、清掃部3に多数の小隙間が形成されていてもよい(図7(a)(b)、図8(b))(第5の実施形態)。ここに、小隙間は、小孔及び/又は切れ目を示す概念である。図7(a)(b)、図8(b)は、小隙間が小孔15である場合の清掃シート1を示すためのそれぞれ斜視図、分解断面図である。
【0049】
清掃部3の小孔15は、例えば、清掃部3を構成する清掃部材31を貫通する孔を穿つことで具体的に形成可能である。このような清掃シート1によれば、清掃時に、清掃部3の小孔15の形状を変化させることができ、小孔15の隙間に変化を生じさせることができるので、その隙間に比較的大きな塵等を効果的に絡め取ることができる。小孔15の形状は、多角形状、円形状など特に限定されないが、小孔15を開閉させて塵や埃を効率的に絡めとる観点から、小孔15は、細長な形状であることが好ましい。また、塵や埃を絡めとる能力を向上させる観点から、小孔15の形状は、ギザギザな形状であることが好ましい。
【0050】
なお、第5の実施形態の清掃シートでは、図7(a)(b)、図8(b)に示すように、清掃部3は、複数の清掃部材31,32を重ねあわせて形成されていることが好ましい。清掃部材32は、清掃部材31と同じく、多数の小孔15を配置している。清掃部3は、多数の小孔15を交互に形成した清掃部材31,32を重ね合わせて形成される。
【0051】
また、このとき、清掃シート1においては、清掃部3が、対面する清掃部材31,32のうちの一方の清掃部材31の小孔15と他方の清掃部材32の小孔15の非形成領域16とを向かい合わせて形成されていることが好ましい。このような清掃シート1では、清掃部3を構成する清掃部材31の小孔15奥方に、清掃部材32の非形成領域16が対面するとともに、清掃部材32の小孔15奥方に、清掃部材31の非形成領域16が対面するように、小孔15が清掃部3に配置されることになる。このため、清掃シート1を台座70に装着した清掃具75を用いて清掃が行われる時、小孔15で絡め取られた塵や埃が、清掃部3を厚み方向に清掃部3の外方露出表面から台座70に向かってすり抜けてしまわずに、清掃部3を構成する清掃部材31,32の間に保持される。これにより、この清掃シート1によれば、被清掃面の塵や埃を清掃シート1にしっかりと絡め採らせることが可能となる。
【0052】
清掃シート1において、小隙間は、清掃部3を構成する清掃部材31,32を貫通する小孔15に限定されず、小孔15の形成位置の全て又は一部につき、小孔15に替えて切れ目が形成されていてもよい(図示しない)。切れ目の形成は、清掃部材31,32をその厚み方向に直線状に切れ込むことで直線状の切れこみを形成することにより実現できる。この場合、直線状の切れこみにあたる部分が切れ目をなすことになる。
【0053】
切れ目の形状は、上記したような直線状の形状に限定されない。切れ目の形状は、曲線状の形状、屈曲線の形状、直線と曲線の組み合わせにてなる形状のいずれでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、塵や埃を除去するための清掃シートとして家庭などで用いるのに有益である。
【符号の説明】
【0055】
1 清掃シート
2,2a,2b 取り付け部
3 清掃部
4,4a,4b,4c,4d 取り付け構造
6 接合部
8 隙間部
9 側縁部
11 凹部
12 凸部
13 凹凸面
15 小孔
16 非形成領域
20 襞部
21,22 取り付け片
31,32 清掃部材
50 床
51 床面
70 台座
71 係止片
72 柄
75 清掃具
80 底面
81 側面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台座に取り付けられて清掃具として用いられる清掃シートであって、
該清掃シートを台座に取り付けるための取り付け構造を有する取り付け片からなる複数の取り付け部と、該清掃シートを台座に取り付けた場合に台座の底面に対して対面する清掃部とを備え、
清掃部は、異なる取り付け部の間に挟まれるとともに、清掃部の側縁部に取り付け片を接合して接合部を形成しており、
取り付け片は、清掃シートを台座に取り付けた場合に清掃部と台座の底面との間に隙間部が形成されるような位置に、取り付け構造を有している、ことを特徴とする清掃シート。
【請求項2】
清掃部は、不織布シートからなる清掃部材を複数重ね合わせて形成されている、請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
清掃部材は、表裏両面に、それぞれ多数の凹部と凸部を交互に形成してなる凹凸面を有し、且つ、一方の面の凹部と他方の面の凸部とを表裏一体に形成しており、
清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の凸部と他方の清掃部材の凸部とを向かい合わせて形成されている、請求項2に記載の清掃シート。
【請求項4】
清掃部材は、多数の小隙間を形成しており、
清掃部は、対面する清掃部材のうちの一方の清掃部材の小隙間と他方の清掃部材の小隙間の非形成領域とを向かい合わせて形成されている、請求項2または3に記載の清掃シート。
【請求項5】
清掃部は、取り付け片を複数の清掃部材の間に清掃部の厚み方向に挟みこんで清掃部の側縁部にて取り付け片を接合している、請求項2から4のいずれかに記載の清掃シート。
【請求項6】
取り付け部は、不織布シートからなる取り付け片を複数重ね合わせて形成されており、
清掃部は、重なり合う取り付け片の間に清掃部の側縁部を挟まれつつ取り付け片を接合している、請求項1から4のいずれかに記載の清掃シート。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の清掃シートを台座に取り付けてなる清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−234045(P2010−234045A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229318(P2009−229318)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(595007552)
【Fターム(参考)】