説明

清掃シート

【課題】より良好な拭き取り清掃を可能にする清掃シートを実現する。
【解決手段】清掃シート100は、掃除具50の下面に配置されて床面をこすり、こびりついてしまった汚れを拭き取り、床面上の埃や塵を拭き集めることに適した拭面部20と、狭い隙間にも入り込み、床面上の埃や塵を絡め取ることに適した集塵フラップとして利用できる自由端部30とを備えており、特に自由端部30は、掃除具50に清掃シート100を装着するための取付端部としても利用できるので、この清掃シート100を使用することによって、より良好な拭き取り清掃を行うことを可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃シートに係り、特に掃除具に装着して用いる清掃シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅などにおいて床の汚れや埃などを拭き取り、除去するための清掃シートが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特許第3349125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来技術の清掃シート200をモップ状の掃除具50に装着して用いる場合、図9に示すように、清掃シート200の両端部230を掃除具50の上面側に固定するように巻き付けた状態で使用するため、その掃除具50の厚みより狭い隙間や、床が壁と接するコーナーの隅部など、掃除具50が接触し難い箇所に拭き残しが生じてしまうことがあった。
また、清掃シート200の両端部230は、掃除具50への取付端部となるので、その両端部230を清掃に使用することができなかった。
【0004】
本発明の目的は、より良好な拭き取り清掃を可能にする清掃シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、
掃除具の下面を覆い、その掃除具に装着される清掃シートであって、
積重された複数のシートの最外層同士を止着する少なくとも2箇所の止着部と、
前記止着部間に位置し、前記掃除具の下面側に配置される拭面部と、
前記止着部から前記拭面部の両端側に延在する自由端部と、
を備えることを特徴とする。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の清掃シートにおいて、
前記拭面部において積重されたシートの間に介装される清掃補助材を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の清掃シートにおいて、
前記拭面部において積重されたシートの最外層同士の少なくとも一部が止着されていることを特徴とする。
【0008】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の清掃シートにおいて、
前記自由端部に、切込部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4の何れか一項に記載の清掃シートにおいて、
前記止着部において、前記シートはプリーツ状に止着されていることを特徴とする。
【0010】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の清掃シートにおいて、
前記止着部は、前記掃除具の下面の長手方向に対応する互いに略平行な2本の線状に形成されており、その止着部の間の距離は前記掃除具の幅に対応していることを特徴とする。
【0011】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の何れか一項に記載の清掃シートにおいて、
前記拭面部と前記自由端部とは、それぞれ異なる清掃機能が付与されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清掃シートは、掃除具の下面に配置されて床面を擦り、汚れを拭き取ることに適した拭面部と、狭い隙間にも入り込み、床面上の埃や塵を拭き取ることに適した集塵フラップとして利用できる自由端部とを備えており、その自由端部は掃除具への取付端部としても利用することもできるので、この清掃シートを使用することによって、より良好な拭き取り清掃を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
本発明に係る清掃シートは、掃除具に装着して用いる取り替え式の清掃シートである。
【0014】
(実施形態1)
清掃シート100は、図1(a)(b)に示すように、積重された複数(本実施形態1においては2枚)のシートである不織布1、2からなり、その不織布1、2同士を止着する2箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置し、掃除具50(図2参照)の下面側に配置される拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、を備えている。
【0015】
この清掃シート100は、図2に示すように、モップ状の掃除具50の下面を覆うように装着されて使用される。
掃除具50には、その掃除具50を操作するためにユーザが握る把持棒51が連結されており、掃除具50の上面には、清掃シート100を装着するための固定部50a,50aが設けられている。なお、固定部50a,50aは、把持棒51を挟んだ両側に配されている。
【0016】
不織布1、2は、例えば、スパンレース、エアスルー、エアレイド、ポイントボンド、スパンボンド、ニードルパンチ等、周知の技術により製造される不織布であり、その構成素材は、レーヨンやコットン、パルプ等のセルロース繊維、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)等のポリオレフィン系やPET(ポリエチレンテレフタレート)等のポリエステル系の合成繊維など、清掃シートの用途等に応じて任意の繊維を適用することができ、それらを任意の配合率で混合して製造されたシート状の不織布である。
また、不織布1、2には、繊維同士を相互に融着させるバインダー繊維が含まれていることが好ましく、例えば、鞘部に芯部より融点の低い樹脂を用いた芯鞘構造の熱融着繊維や、芯鞘構造でない単一成分の熱融着繊維などが不織布に配合されている。
なお、不織布1と不織布2は、同一種類の不織布であってもよく、異なる種類の不織布であってもよい。
【0017】
不織布1と不織布2とは矩形状を呈し、略同じ大きさを有しており、それら2枚の不織布が上下に重ねられた状態で、少なくとも2箇所に形成された止着部10によって止着されて繋がり、清掃シート100として形成されている。
止着部10は、ヒートシール、超音波接着、ホットメルト、エンボス、縫合などの手法によって形成されている。
この止着部10は、掃除具50の下面の長手方向に対応する互いに略平行な2本の線状に形成されており、それら止着部10の間の距離は掃除具50の幅に対応している。
なお、止着部10は、最外層同士のシートを直接止着していてもよく、また、三層以上のシートが積重されている場合、中間層を介して最外層同士を間接的に止着していてもよい。
【0018】
拭面部20は、清掃シート100が掃除具50に装着された際に、掃除具50の下面側となる部分であり、不織布1と不織布2とが積層された比較的厚い部分である。
【0019】
自由端部30は、不織布1の自由端部である端部31,31と、不織布2の自由端部である端部32,32と、を有している。
この自由端部30は、清掃シート100を掃除具50に装着する際の取付端部として機能するとともに、清掃シート100が掃除具50に装着された際に、その掃除具50の縁から離間する方向に延出し、不織布の柔軟性に応じて自由に変形可能となる端部である。
【0020】
次に、清掃シート100の使用方法について説明する。
【0021】
まず、清掃シート100を掃除具50に装着する。
図2に示すように、掃除具50の下面に対して清掃シート100の拭面部20を当てがって、自由端部30における掃除具50側となった不織布1の端部31,31を掃除具50の上面に対して折り返し、その端部31を固定部50aに挟み込むなどして取り付けて、清掃シート100を掃除具50に装着する。
この際、2つの止着部10間の領域として規定される拭面部20は、掃除具50の下面の形状に対応しているので、掃除具50に対して清掃シート100を位置合わせしやすく装着しやすくなっている。
【0022】
そして、ユーザは、清掃シート100が装着された掃除具50の把持棒51を握り、その掃除具50で床面を磨き擦るように操作し、清掃シート100で床面を拭き掃除する。
なお、この状態で清掃シート100の不織布2が掃除具50の下面側において露出して床面に接触可能となっているので、まず、この不織布2側を使った第一の掃除が行われることとなる。
【0023】
この拭き掃除の際、清掃シート100の拭面部20は、掃除具50によって床面に押さえ付けられるので、その掃除具50の移動に応じて床面に擦り付けられることとなって、その床面に付着した汚れを拭い取る作用を奏する。
特に、拭面部20は、不織布1と不織布2が二枚重なった比較的厚い部分であり、強度が比較的高い部分であるので、床面にこびりついた汚れを擦り落とすことや、床面を磨き上げる仕上げ拭きに適している。
【0024】
また、この拭き掃除の際、清掃シート100の自由端部30における不織布2の端部32は、掃除具50の移動に応じて床面を撫でるように掃くこととなって、その床面上の埃や塵を絡め取る作用を奏する。つまり、清掃シート100の自由端部30は、集塵フラップとして機能する。
特に、自由端部30(端部32)は、不織布一枚分の厚さであるので、掃除具50が入り込めない狭い隙間にも侵入して、その隙間の埃や塵をかき出すようにして拭き取ることを可能にする。
また、自由端部30(端部32)は、不織布の柔軟性に応じて自由に変形可能であるので、掃除具50が壁に突き当たる際には、その自由端部30は折れ曲がり丸まるように変形し、その壁と床とのコーナーの隅部にフィットするので、その隅部の埃や塵を拭き残さないように絡め取ることができる。
【0025】
そして、清掃シート100の不織布2側での掃除を終えた場合には、清掃シート100の不織布1の端部31を固定部50aから外し、清掃シート100を裏返した後、今度は自由端部30における不織布2の端部32を掃除具50の固定部50aに取り付けて、再度清掃シート100を掃除具50に装着する。この状態で、清掃シート100の不織布1が掃除具50の下面側において露出し、床面に接触可能となっているので、不織布1側を使った第二の掃除が行われることとなる。
【0026】
特に、清掃シート100を裏返して使用するため、拭面部20には不織布1の新しい面が露出するとともに、それまで取付端部として機能していた不織布1の端部31が新しい集塵フラップとして機能するので、汚れの付着が無い清掃シート100部分によって新品同様の掃除が可能となる。
また、使用済みの不織布2は、汚れ等が付着した面が内側(掃除具50側)に覆い隠されるように、清掃シート100が掃除具50に装着されているので、第二の掃除の際に第一の掃除において拭き取った汚れが清掃シート100から脱落してしまうことを防ぐようになっている。
【0027】
このように、清掃シート100は、床面を強く擦り、こびりついてしまった汚れを拭き取ることに適した拭面部20と、狭い隙間にも入り込み、床面上の埃や塵を絡め取ることに適した自由端部30とを備えているので、この清掃シート100を使用することによって、より良好な拭き取り清掃を行うことができる。
特に、清掃シート100は、自由端部30を掃除具50への取付端部として利用することと、集塵フラップとして利用することに使い分けることで、好適に両面を使用して2回の拭き掃除を可能にする清掃シートである。
【0028】
なお、清掃シート100における不織布1と不織布2を、同一種類の不織布で構成した場合、第一の掃除と第二の掃除とは同様の拭き掃除を繰り返すことになるが、不織布1と不織布2とを異なる種類の不織布で構成することによって、第一の掃除と第二の掃除とで異なるタイプの拭き掃除を行うことが可能になる。
【0029】
例えば、吸水性に優れたスパンレース不織布(1)と、繊維が嵩高く塵埃の捕捉性に優れたエアスルー不織布(2)とを組み合わせた清掃シート100であれば、水分を拭き取る掃除と、塵埃を拭き取る掃除とに、使い分けることができる。
また、不織布1と不織布2を同一種類の不織布(例えば、スパンレース不織布)で構成するものの、各不織布に異なる薬剤を処理する加工を施すことで、不織布1と不織布2に異なる機能(例えば、吸水性、着塵性などの清掃機能)を付与するようにしてもよい。
【0030】
また、濃色に着色した不織布(1)と、淡色に着色した不織布(2)とを組み合わせた清掃シート100であれば、埃などの白っぽい汚れを目立たせて、その拭き取りを確認することと、髪の毛などの黒っぽい汚れを目立たせて、その拭き取りを確認することを可能にする掃除に使い分けることができる。
【0031】
(実施形態2)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0032】
清掃シート110は、図3に示すように、積重された二枚の不織布1、2同士を止着する二箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置する拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、拭面部20において積重された不織布1と不織布2の間に介装される清掃補助材3と、を備えている。
【0033】
清掃補助材3は、清掃シート110を用いた拭き掃除を行う際に、その清掃機能を向上させたり、新たな機能を付与したりするためのシート材である。
なお、清掃補助材3は、予め不織布1と不織布2の間に介装されていてもよく、また、その使用を所望する際に適宜介装するようにしてもよい。
【0034】
例えば、清掃補助材3として防水性のフィルム材を不織布1と不織布2の間に介在させることで、第一の掃除において不織布2側で拭き取った水分が裏面側の不織布1に浸透してしまうことを防ぎ、第二の掃除において使用する不織布1を新品同様に維持することができる。
【0035】
また、清掃補助材3として、水拭き用の水様成分や、ワックス掛け用の油状成分(例えば、艶出し剤、コーティング剤など)が、それぞれ含浸された不織布シート材を不織布1と不織布2の間に介在させることで、それぞれ水拭き掃除やワックス掛け掃除を行うことを可能にする。
特に、通常は清掃補助材3を備えない状態の清掃シート100として、から拭き掃除に使用し、所望する際に特殊用途用の薬液が含浸された清掃補助材3を不織布1と不織布2の間に介在させることで清掃シート110を構成し、高機能の清掃シート110として使用することも可能である。
【0036】
このように、清掃補助材3を付加することによって、清掃シート110の清掃機能を向上させたり、清掃シート110に新たな清掃機能を付与したりすることが可能になる。
【0037】
(実施形態3)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態3について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0038】
清掃シート101は、図4に示すように、積重された二枚の不織布1、2同士を止着する二箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置する拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、自由端部30の先端側に形成された複数の切込部30a…と、を備えている。
【0039】
切込部30aは、清掃シート101の自由端部30である不織布1の端部31および不織布2の端部32の何れにも形成されている。
複数の切込部30a…が形成された自由端部30の先端側は、複数に分割されて総状を成している。
なお、切込部30aの数や切り込みの深さは任意であり、所望する総形状に応じて形成すればよい。
【0040】
このように、清掃シート101の自由端部30には、複数の切込部30a…が形成されており、その自由端部30の先端側は複数に分割された総状を成しているため、自由端部30を集塵フラップとして使用する際に、自由端部30をより小さな隙間に侵入させることができ、また、総状の自由端部30に埃や塵が絡み付きやすくなるので、より一層良好な掃除を行うことが可能になる。
【0041】
(実施形態4)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態4について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0042】
清掃シート102は、図5に示すように、積重された二枚の不織布1、2同士を止着する二箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置する拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、止着部10部分に形成されたプリーツ部40と、を備えている。
【0043】
プリーツ部40は、止着部10において不織布1と不織布2とがプリーツ状に止着されて成る複数の襞を有する。
プリーツ部40は、例えば、不織布1と不織布2とに皺や襞をよせた状態で、止着部10を形成することによって得られる。また、不織布1と不織布2との間にテンションをかけた弾性体や熱収縮性の繊維を挟み込んで止着部10を形成することによってもプリーツ部40を形成することができる。
このプリーツ部40が形成された清掃シート102の拭面部20及び自由端部30は、襞状の凹凸を有する。
なお、プリーツ部40の襞の数や襞の長さ・深さは任意であり、所望するプリーツ形状に応じて形成すればよい。
【0044】
このように、清掃シート102の拭面部20及び自由端部30には、プリーツ部40による皺や襞の凹凸が形成されているので、清掃シート102の表面に埃や塵が絡み付きやすくなるので、より一層良好な掃除を行うことが可能になる。
【0045】
(実施形態5)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態5について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0046】
清掃シート103は、図6に示すように、積重された二枚の不織布1、2同士を止着する二箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置する拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、拭面部20に形成された接着部21と、を備えている。
【0047】
接着部21は、拭面部20において積重された不織布1と不織布2の少なくとも一部がエンボス加工やホットメルトなどにより止着あるいは接着されてなる部分である。
特に、本実施形態5の清掃シート103の場合、拭面部20において積重された不織布の最外層同士である不織布1と不織布2の少なくとも一部がエンボス加工により止着されて、波形状の四本の接着部21が形成されている。
この接着部21が形成されたことによって、不織布1と不織布2とが止着されて互いにずれ難くなる。また、拭面部20の表面に凹凸が形成される。
【0048】
なお、接着部21の数や形状、止着方法は任意であり、所望する凹凸形状や、止着程度に応じて形成すればよい。
また、接着部21において、最外層同士のシートが直接止着されていてもよく、また、三層以上のシートが積重されている場合、中間層を介して最外層同士が間接的に止着されていてもよく、最外層と中間層とが止着されていてもよい。
【0049】
このように、清掃シート103の拭面部20には、接着部21が形成されており、その表面が凹凸を有するので、拭面部20に埃や塵が絡み付きやすくなって、より一層良好な掃除を行うことが可能になる。
また、その接着部21によって、不織布1と不織布2とが互いにずれ難くなっているので、拭面部20の最外層の不織布(1、2)が撚れたりせずに床面に密接し、拭面部20で床面を良好に拭き上げることができる。
【0050】
(実施形態6)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態6について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0051】
清掃シート104は、図7に示すように、積重された二枚の不織布1、2同士を止着する二箇所の止着部10,10と、それら止着部10間に位置する拭面部20と、各止着部10から拭面部20の両端側に延在する自由端部30,30と、不織布1、2に形成された無数のスリット部12…と、を備えている。
【0052】
スリット部12は、不織布1と不織布2にそれぞれ形成されており、不織布の大きさに比べて短い長さに切り裂かれてなる線状の開口部である。
このスリット部12が開くことによって不織布面に凹凸が生じるようになり、その表面が嵩高くなる。
なお、スリット部12の数や長さや形状は任意であり、所望する表面嵩高さに応じて形成すればよい。
【0053】
このように、清掃シート104の表面の不織布1、2には、無数のスリット部12…が形成されており、掃除の際に不織布1、2が床面に擦れてスリット部12が開くことによって清掃シート104の表面が嵩高くなるので、その表面に埃や塵が絡み付きやすくなって、より一層良好な掃除を行うことが可能になる。
特に、開いたスリット部12が閉じる作用で、スリット部12の開口部分でゴミを保持するように集塵することができ、効率的な集塵が可能になる。
【0054】
(実施形態7)
次に、本発明に係る清掃シートの実施形態7について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同一符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0055】
清掃シート120は、図8に示すように、不織布4と、不織布4の両端をそれぞれ挟むように積重された不織布5,6と、積重された不織布5、4、6同士を止着する二箇所の止着部10,10と、を備えており、不織布4が拭面部20をなし、不織布5,6が自由端部30をなしている。
【0056】
この清掃シート120を用いて掃除を行い場合、例えば、第一の掃除では、不織布5を取付端部として使用し、その不織布5の先端側を掃除具50の固定部50aに取り付け、清掃シート120を掃除具50に装着して、不織布6を集塵フラップとして使用することができ、また、第二の掃除では、不織布6を取付端部として使用し、その不織布6の先端側を掃除具50の固定部50aに取り付け、清掃シート120を掃除具50に装着して、不織布5を集塵フラップとして使用することができる。
【0057】
特に、清掃シート120においては、拭面部20と自由端部30とをそれぞれ異なる不織布とすることができるので、不織布4と、不織布5,6との組み合わせによって、様々な特殊用途用の清掃シートを構成することが可能になる。
例えば、吸水性に優れたスパンレース不織布4からなる拭面部20と、繊維が嵩高く塵埃の捕捉性に優れたエアスルー不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120であれば、水分を拭き取る掃除と、塵埃を拭き取る掃除との両方に適した清掃に用いることができる。なお、繊維が嵩高く塵埃の捕捉性に優れたエアスルー不織布4からなる拭面部20と、吸水性に優れたスパンレース不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120であってもよい。
また、極細繊維からなる不織布を拭面部20用の不織布4として適用すれば、床面に付着した汚れを好適に拭き取ることが可能になる。この場合、極細繊維で作られた不織布4からなる拭面部20と、エアスルー不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120としてもよく、また、極細繊維で作られた不織布4からなる拭面部20と、スパンレース不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120としてもよい。
また、濃色に着色した不織布4からなる拭面部20と、淡色に着色した不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120であれば、埃などの白っぽい汚れを目立たせることと、髪の毛などの黒っぽい汚れを目立たせることができ、掃除の仕上がりを確認することが可能になる。なお、淡色に着色した不織布4からなる拭面部20と、濃色に着色した不織布5,6からなる自由端部30とを備える清掃シート120であってもよい。
【0058】
また、不織布4と不織布5,6を同一種類の不織布(例えば、スパンレース不織布)で構成するものの、各不織布に異なる薬剤を処理する加工を施すことで、拭面部20となる不織布4と、自由端部30となる不織布5,6に異なる清掃機能を付与するようにしてもよい。
例えば、不織布4に吸水加工、不織布5,6に着塵加工を施した清掃シート120、また、不織布4に着塵加工、不織布5,6に吸水加工を施した清掃シート120とすれば、水分と塵埃を両方拭き取る掃除に適した清掃シートとすることができる。
また、ワックス掛け用の油状成分(例えば、艶出し剤、コーティング剤など)を含浸させた不織布4(拭面部20)と、吸水加工または着塵加工が施された不織布5,6(自由端部30)とからなる清掃シート120とすれば、ワックス掛けをしながら掃除を可能にする清掃シートとすることができる。
【0059】
なお、吸水加工としては、不織布繊維の吸水性を向上させる薬液処理の他、高分子吸収体を不織布の表面や内部に付着させる加工であってもよい。
また、着塵加工としては、不織布繊維の着塵性(例えば、静電帯電性や湿潤吸着性等)を向上させる薬液処理の他、粘着体を不織布の表面や内部に付着させる加工であってもよい。
また、芳香成分や防虫成分などを床面に付与するための薬液処理を、拭面部20となる不織布4や、自由端部30となる不織布5,6に施してもよい。
また、不織布5と不織布6に、それぞれ異なる薬液処理を施すなどして、それぞれ異なる機能を付与するようにしてもよい。
【0060】
このように、拭面部20と自由端部30とに、それぞれ異なる清掃機能を付与することによって、清掃シート120をより高機能化することが可能になる。
【0061】
なお、以上の実施の形態においては、不織布であるシートを積重した清掃シートを例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、清掃シートを構成するシートとして、紙や布や樹脂フィルムなどを清掃用途に応じて用いてもよい。
また、不織布や紙やフィルムが混在して積重された清掃シートであってもよい。
【0062】
また、以上の実施の形態においては、単層の不織布を複数積重して止着部10によって止着する構成にしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、スパンレース不織布とエアスルー不織布などが積層されてなる多層型の不織布同士を止着して清掃シートを製造するようにしてもよい。
【0063】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る清掃シートを示しており、清掃シートを示す斜視図(a)と、図1(a)のb−b線における断面図(b)である。
【図2】清掃シートを掃除具の装着した状態を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態2における清掃シートを示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態3における清掃シートを示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態4における清掃シートを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態5における清掃シートを示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態6における清掃シートを示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態7における清掃シートを示す断面図である。
【図9】従来の清掃シートを掃除具の装着した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
1、2 不織布(シート)
3 清掃補助材
4、5、6 不織布(シート)
10 止着部
20 拭面部
30 自由端部
31 端部
32 端部
12 スリット部
21 接着部
30a 切込部
40 プリーツ部
50 掃除具
50a 固定部
51 把持部
100 清掃シート
101、102、103、104 清掃シート
110 清掃シート
120 清掃シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除具の下面を覆い、その掃除具に装着される清掃シートであって、
積重された複数のシートの最外層同士を止着する少なくとも2箇所の止着部と、
前記止着部間に位置し、前記掃除具の下面側に配置される拭面部と、
前記止着部から前記拭面部の両端側に延在する自由端部と、
を備えることを特徴とする清掃シート。
【請求項2】
前記拭面部において積重されたシートの間に介装される清掃補助材を備えることを特徴とする請求項1に記載の清掃シート。
【請求項3】
前記拭面部において積重されたシートの最外層同士の少なくとも一部が止着されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の清掃シート。
【請求項4】
前記自由端部に、切込部が形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の清掃シート。
【請求項5】
前記止着部において、前記シートはプリーツ状に止着されていることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の清掃シート。
【請求項6】
前記止着部は、前記掃除具の下面の長手方向に対応する互いに略平行な2本の線状に形成されており、その止着部の間の距離は前記掃除具の幅に対応していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の清掃シート。
【請求項7】
前記拭面部と前記自由端部とは、それぞれ異なる清掃機能が付与されていることを特徴とする請求項1〜6の何れか一項に記載の清掃シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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