説明

清掃ブラシ

【課題】鉄塔内部の水抜きのために形成された溝状通路の清掃作業の容易化を図る。
【解決手段】金属製の棒状部材に毛材部材を起毛させてなるコンデンサブラシ10、棒状部材の一端部から延びるガイドバー20と、棒状部材の他端部から延びる把持バー22とを備え、表面に溝状通路70を有する下部フランジ52を、鉄塔を構築する中空の柱材60と鉄塔の土台50との間に介在させることで溝状通路70の両端部に形成される水抜き穴80に対して、ガイドバー20を挿通するとともにコンデンサブラシ10を挿通し、把持バー22を往復動させることによって溝状通路70を清掃する清掃ブラシ1であって、棒状部材、ガイドバー20及び把持バー22は、同軸に配置されており、ガイドバー20及び把持バー22は、硬質部材からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプ鉄塔の下部フランジにある水抜き穴の清掃に用いる清掃ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、送電線用の鉄塔としてパイプ鉄塔がある。パイプ鉄塔は、基礎(土台)に中空のパイプを塔状に組み立てた構造である。基礎(土台)とパイプとの間には、下部フランジが介在しており、この下部フランジには、パイプの内部の水を外部に抜くための溝状通路が設けられている。この溝状通路の端部が、パイプと下部フランジとの間に形成された水抜き穴となり、この水抜き穴を介して、パイプの内部に結露した水が排出される。
【0003】
ここで、水抜き穴を介して、蜂がパイプの内部に侵入して営巣したり、土砂が入り込んだりすることなどによって、溝状通路に異物が堆積するという事態が発生している。このような異物を放置すると、水抜き穴が異物によって詰まり、パイプの内部に結露した水が排出されず、パイプの内部を腐食させるおそれがある。このため、作業員が、パイプ鉄塔の普通巡視時において、水抜き穴に棒やブラシを差し込んで水抜き穴を清掃している。
【0004】
また、従来、水抜き穴の清掃に関する技術として、特許文献1で提案されている技術がある。特許文献1によれば、鋼管内の土砂、蜂の巣及びごみ等の固まりを粉砕する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3056395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、水抜き穴に棒やブラシを差し込んで清掃したとしても、清掃によって落とされた異物を外部に掻き出さなければ、溝状通路に異物が残るために、水抜き穴が異物によって詰まるおそれがある。このため、棒やブラシを用いた水抜き穴の清掃において、ごみを外部に掻きだすためには、水抜き穴に対してブラシを抜き差しする必要がある。ここで、確実に清掃を行うためには、ごみを外部に掻きだす作業を複数回行う必要があるが、この場合、ごみを外部に掻きだすために棒やブラシを水抜き穴から抜き取るたびに、再度、同じ水抜き穴にブラシを差し込む必要がある。このため、作業効率が悪いという問題点がある。
【0007】
また、特許文献1に記載された技術によれば、土砂や蜂の巣を粉砕できたとしても、この粉砕した異物を外部に掻き出す必要がある。このため、土砂や蜂の巣を粉砕した後に、水抜き穴に棒やブラシを差し込んで清掃を行う必要がある。また、特許文献1に記載された技術によれば、動力となる駆動部を用いなければならず、普通巡視における持ち運びが困難である。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決し、溝状通路の清掃作業の容易化を実現した清掃ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記目的を達成するため、下記に記載する構成を備えている。
【0010】
(1) 棒状部材に毛状部材を起毛してなるブラシ体と、前記棒状部材の一端部から延びるガイドバーと、前記棒状部材の他端部から延びる把持バーとを備え、表面に溝状通路を有する下部フランジを、鉄塔を構築する中空パイプと前記鉄塔の土台との間に介在させることで前記溝状通路の両端部に形成される開口部に対して、前記ガイドバーを挿通するとともに前記ブラシ体を挿通し、前記把持バーを往復動させることによって前記溝状通路を清掃する清掃ブラシであって、前記棒状部材、前記ガイドバー及び前記把持バーは、同軸に配置されており、前記ガイドバー及び前記把持バーは、硬質部材からなることを特徴とする清掃ブラシ。
【0011】
(1)によれば、棒状部材、ガイドバー及び把持バーが同軸に配置されており、それぞれ金属部材からなるため、棒状部材、ガイドバー及び把持バーは一本の直線状の金属部材となり、開口部を介して溝状通路にブラシ体を通しやすくすることができる。また、作業者が把持バーを持って、開口部(水抜き穴)にガイドバー及び清掃ブラシを挿通し、さらに、作業者が把持バーを往復動させて溝状通路をブラシ体で清掃し、清掃ブラシを開口部から外部に露出させることにより、溝状通路の異物が外部に掻き出される。このとき、ガイドバーが開口部内に挿入された状態であるため、作業者が把持バーを押し込むことにより、ガイドバーが開口部内に進入し、さらにブラシ体が進入する。このように、ブラシ体の抜き差しが容易に可能になり、その結果、溝状通路の清掃作業の容易化を図ることが可能になる。また、ブラシ体と、ガイドバーと、把持バーとによって構成されるため、軽量で持ち運びの負担が少ない清掃ブラシを提供することが可能になる。
【0012】
(2) (1)において、前記ガイドバーの先端部は、尖状に形成されていることを特徴とする清掃ブラシ。
【0013】
(2)によれば、ガイドバーを開口部に、容易に挿入することが可能になる。
【0014】
(3) (1)、(2)において、前記ガイドバーの先端部は、前記ガイドバーの中心軸に対して離れていくように反っていることを特徴とする清掃ブラシ。
【0015】
(3)によれば、開口部に若干の異物が詰まっている場合に、ガイドバーの先端部を用いて異物を掻き取ることが可能になる。
【0016】
(4) (1)〜(3)において、前記硬質部材は、金属部材であることを特徴とする清掃ブラシ。
【0017】
(4)によれば、棒状部材、ガイドバー及び把持バーが同軸上に並んでいる状態を維持することが可能になる。このため、一方の開口部から挿入したガイドバーを他方の開口部から出しやすくすることが可能になる。
【0018】
(5) (1)〜(4)において、前記把持バーは、前記溝状通路よりも長く、前記ガイドバーの長さは、前記開口部から前記中空パイプの中心軸までの長さよりも長いことを特徴とする清掃ブラシ。
【0019】
(5)によれば、ガイドバー及びブラシ体を一方の開口部に挿通させて、ガイドバー及びブラシ体を他方の開口部から突出させた場合に、溝状通路全体に把持バーが挿通された状態となる。これにより、作業者が把持バーを引いた場合に、ガイドバー及びブラシ体を他方の開口部に進入させることが可能になる。また、例えば、溝状通路が複数形成されている場合には、円筒状の中空パイプの中心で交差していることから、作業者が把持バーを押し込んでブラシ体を開口部に進入させた場合に、ガイドバーの先端を、複数の溝状通路の交差部位を越えた位置に位置付けることが可能となる。このため、ガイドバーの先端が複数の溝状通路の交差部位で他の溝状通路に進入することが防止できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、溝状通路の清掃作業の容易化を図ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態における清掃ブラシの構成を示す側面図である。
【図2】ガイドバーの先端部の形状を示す説明図である。
【図3】パイプ鉄塔の土台付近の構成を示す説明図である。
【図4】下部フランジの表面を示す説明図である。
【図5】清掃ブラシによる清掃作業の様子を示す説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態における清掃ブラシによる清掃作業の様子を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態における清掃ブラシの構成を示す側面図であり、図1(a)は清掃ブラシの全体構成を示し、図1(b)は清掃ブラシに係るコンデンサブラシの構成を示すものである。清掃ブラシ1は、図1(a)に示すように、ブラシ体に相当するコンデンサブラシ10、ガイドバー20及び把持バー22を備えている。
【0024】
コンデンサブラシ10は、図1(b)に示すように、金属製の棒状部材12に毛材部材14を起毛させたものである。具体的には、例えば、4本の金属製の芯線の間に毛材部材を井桁状に配列し、芯線にねじりを加えることによってコンデンサブラシ10が製造される。毛材部材14は、棒状部材12の一部を囲むようにロール状に起毛されている。また、ロール状の毛材部材14の両側から棒状部材12の両端部が延在している。
【0025】
また、図1(a)において、ガイドバー20及び把持バー22は、硬質部材、例えば円筒状の真鍮パイプからなり、ガイドバー20は、コンデンサブラシ10の棒状部材12の一端部に挿入された状態で圧着固定されている。把持バー22は、コンデンサブラシ10の棒状部材12の他端部に挿入された状態で圧着固定されている。このため、棒状部材12、ガイドバー20及び把持バー22が同軸に配置される。
【0026】
図2は、ガイドバーの先端部の形状を示す説明図である。ガイドバー20の先端部は、平面が形成されるように圧縮処理が施されており、2つのテーパによって尖状に形成されている。また、ガイドバー20の先端部は、ガイドバー20の中心軸に対して離れていくように沿っており、所謂、耳かき型に形成されている。
【0027】
図3は、パイプ鉄塔の土台付近の構成を示す説明図である。パイプ鉄塔は、例えば、4箇所に設けた土台50上に下部フランジ52を介して中空パイプに相当する柱材60を組み上げ、さらに4箇所の土台50から延びた柱材60に骨組みとなる鋼材を取り付けることによって構築される。
【0028】
下部フランジ52は、フランジ部54と、遮水板56とを備えている。フランジ部54は、円柱部54aと、円柱部54aの片方の縁部から径方向に円板状に延出してなる鍔部54bとによって構成されている。また、遮水板56は円板体であり、遮水板56の半径は、円柱部54aの中心から鍔部54bの外周までの長さに略等しい。
【0029】
遮水板56の表面には、図4に示すように、2本の溝状通路70が形成されている。この2本の溝状通路70は、遮水板56の表面における円の中心を通り、かつ遮水板56の両端部を切り欠いてなる溝である。このため、遮水板56の中心には交差部72が形成されている。また、外周部には、複数のボルト穴58が形成されている。なお、図示していないが、鍔部54bにも、遮水板56の複数のボルト穴58と同一の位置に複数のボルト穴が形成されている。そして、フランジ部54上に遮水板56を、遮水板56の2本の溝状通路70の形成面が上面となり、かつ遮水板56のボルト穴58と鍔部54bのボルト穴が一致するように載置することによって、下部フランジ52が構成される。
【0030】
また、図3に示すように、柱材60は、円筒部60aと、円筒部60aの両側の縁部から径方向に円板状に延出してなる鍔部60bとによって構成されている。円筒部60aの中心から鍔部60bの外周までの長さは、円柱部54aの中心から鍔部54bの外周までの長さに等しい。また、鍔部60bには、複数のボルト穴(図示せず)が形成されている。
【0031】
そして、遮水板56上に鍔部60bを、鍔部60bの複数のボルト穴の位置が複数のボルト穴58の位置に一致してそれぞれ貫通孔になるように重ね合わせ、鍔部60bのボルト穴にそれぞれボルト64を通して、鍔部60bと鍔部54bとを連結することにより、下部フランジ52上に柱材60が、互いの中心軸が同一軸となるように固定される。
【0032】
このとき、溝状通路70の壁面と鍔部60bの表面とによって、下部フランジ52と柱材60との連結部分に、水抜き穴80が形成される。本実施形態においては、2本の溝状通路70が形成されており、溝状通路70の両端部に水抜き穴80が形成されるため、計4箇所に水抜き穴80が形成される。また、溝状通路70の両端に形成される水抜き穴80の開口部81に、清掃ブラシ1(図1参照)を抜き差しすることにより、溝状通路70上の異物が外部に掻き出される。
【0033】
図5は、清掃ブラシによる清掃作業の様子を示す説明図である。本実施形態においては、ガイドバー20の長さは、開口部81から遮水板56の中心、言い換えれば、下部フランジ52及び柱材60の中心軸までの長さに設定されている。また、把持バー22は、遮水板56の直径よりも長く設定されている。具体的には、把持バー22の長さは、遮水板56の直径に、作業員が把持する部分の長さを加えた程度に設定されている。
【0034】
次に、作業手順について説明する。なお、以下の説明の便宜上、作業員がガイドバー20を差し込む一方の水抜き穴80を水抜き穴80a、他方の水抜き穴80を水抜き穴80bと称する。また、水抜き穴80aの開口部81を開口部81a、水抜き穴80bの開口部81を開口部81bと称する。まず、作業員は、清掃対象となる溝状通路70の水抜き穴80aの開口部81aにガイドバー20を差し込む。ここで、水抜き穴80aが異物で詰まっている場合には、ガイドバー20の先端部を用いて、異物を掻き出してからガイドバー20を差し込む。ガイドバー20を差し込む際には、先端部を下方に向け、両側のテーパが溝状通路70の側壁に対向している状態で差し込むことが望ましい。
【0035】
図5(a)は、水抜き穴80aにコンデンサブラシ10を挿入する直前の状態を示すものである。作業員が、開口部81aにガイドバー20を差し込み、把持バー22を押し込んで、コンデンサブラシ10の先端が水抜き穴80aの直前に位置するまでガイドバー20を奥に進入させると、ガイドバー20の先端部は、2本の溝状通路70が交差している位置に到達する。そして、さらに把持バー22を押し込んで、コンデンサブラシ10が水抜き穴80aを通過して柱材60の中空部に到達する時には、ガイドバー20の先端部が、2本の溝状通路70が交差している交差部72を越えている。ここで、ガイドバー20の先端部が、2本の溝状通路70に交差部72を通過する際に、ガイドバー20の先端部の進行方向が若干ずれたとしても、交差部72にガイドバー20の先端部のテーパが当接する。このため、ガイドバー20の先端部は、ガイドバー20を挿通させている溝状通路70側を向くようになる。これにより、ガイドバー20が、交差部72で別の溝状通路70に進入することを防止することができる。
【0036】
図5(b)は、水抜き穴80aにコンデンサブラシ10を挿通した状態を示すものである。作業員が、水抜き穴80aにコンデンサブラシ10を挿入し、そのまま把持バー22を押し込むことにより、溝状通路70上の異物がコンデンサブラシ10によって掻き落とされ、コンデンサブラシ10の移動とともに押し出される。さらに、作業員が、把持バー22を押し込むことにより、ガイドバー20の先端部が水抜き穴80bに進入し、さらにコンデンサブラシ10が水抜き穴80bに進入して、開口部81bからガイドバー20に次いでコンデンサブラシ10が外部に露出する。この時、コンデンサブラシ10によって押し出された異物は、コンデンサブラシ10とともに開口部81bから外部に排出される。
【0037】
図5(c)は、開口部81bからコンデンサブラシ10が露出した状態を示すものである。図5(c)に示す状態においては、溝状通路70の両端にわたって把持バー22が挿通された状態となる。
【0038】
次に、作業員は、開口部81bから露出したコンデンサブラシ10から異物を取り払った後に、把持バー22を引き戻す。把持バー22を引き戻すと、開口部81bを介して水抜き穴80bにコンデンサブラシ10が進入し、さらにガイドバー20が水抜き穴80bに進入する。そして、溝状通路70上の異物は、コンデンサブラシ10によって掻き落とされて、コンデンサブラシ10の移動とともに水抜き穴80a側に移動する。さらに、把持バー22を引き戻すことにより、開口部81aから把持バー22に次いでコンデンサブラシ10が外部に露出する。ここで、コンデンサブラシ10が外部に露出した時点で把持バー22の引き戻しを終了することにより、ガイドバー20が水抜き穴80aに挿入された状態を維持する。コンデンサブラシ10によって引き出された異物は、コンデンサブラシ10とともに開口部81aから外部に排出される。そして、再度、溝状通路70を清掃する場合には、把持バー22を押し込むことによって、ガイドバー20とともにコンデンサブラシ10が開口部81aを介して水抜き穴80aの内部に進入する。このような、コンデンサブラシ10の抜き差し作業を数回行い、溝状通路70上においてコンデンサブラシ10を往復移動させることによって、溝状通路70の異物が外部に排出される。
【0039】
このように構成された本実施形態によれば、棒状部材12、ガイドバー20及び把持バー22が同軸に配置されており、それぞれ金属部材からなるため、棒状部材12、ガイドバー20及び把持バー22は一本の直線状の金属部材となり、開口部81を介して溝状通路70にコンデンサブラシ10を通しやすくすることができる。
【0040】
また、本実施形態によれば、作業者が、把持バー22を持って、開口部81を介して水抜き穴80aにガイドバー20及びコンデンサブラシ10を挿通させ、さらに、作業者が把持バー22を往復動させて溝状通路70をコンデンサブラシ10で清掃し、コンデンサブラシ10を水抜き穴80aの開口部81a又は水抜き穴80bの開口部81bから外部に露出させることにより、溝状通路70上の異物が外部に掻き出される。また、把持バー22を引き出してコンデンサブラシ10を外部に露出させた場合に、ガイドバー20が水抜き穴80a内に挿入された状態であるため、作業者が把持バー22を押し込むことにより、ガイドバー20が水抜き穴80a内に挿入され、さらにコンデンサブラシ10が再挿入される。このように、コンデンサブラシ10の抜き差しが容易に可能になり、その結果、水抜き穴80及び溝状通路70の清掃作業の容易化を図ることが可能になる。
【0041】
また、本実施形態によれば、把持バー22を、溝状通路70よりも長く設定したことにより、ガイドバー20及びコンデンサブラシ10を、開口部81aを介して水抜き穴80aに挿通させて、ガイドバー20及びコンデンサブラシ10を水抜き穴80bの開口部81bから突出させた場合に、溝状通路70全体に把持バー22が挿通された状態となる。これにより、作業者が把持バー22を引いた場合に、ガイドバー20及びコンデンサブラシ10を水抜き穴80bに挿入させることが可能になる。また、ガイドバー20の長さを、水抜き穴80から下部フランジ52までの長さに設定したことにより、2つの溝状通路70が遮水板56の中心で交差していることから、作業者が把持バー22を押し出して、コンデンサブラシ10を水抜き穴80aから柱材60の中空部に到達させた時点で、ガイドバー20の先端を、2本の溝状通路70の交差部72を越えた位置に位置付けることが可能となる。これにより、コンデンサブラシ10が、2つの溝状通路70の交差部72で他の溝状通路70に進入することを防止できる。
【0042】
また、清掃ブラシ1の長さは、具体的に、溝状通路70の長さが30cm程度であれば、70cm〜100cmぐらいとなる。また、清掃ブラシ1は、コンデンサブラシ10と真鍮パイプによって構成され、比較的軽量であることから、作業者にとって、清掃ブラシ1の持ち運びの負担が少なくなる。
【0043】
なお、第1実施形態においては、ガイドバー20の長さが、開口部81aから遮水板56の中心までの長さに設定されているが、開口部81aから遮水板56の中心までの長さよりも若干長く設定する。これにより、ガイドバー20を開口部81aに挿入し、コンデンサブラシ10の先端が水抜き穴80aの直前に到達した時点で、ガイドバー20の先端部が2本の溝状通路70の交差部72を確実に越えるようにしてもよい。
【0044】
[第2実施形態]
図6は、本発明の第2実施形態における清掃ブラシによる清掃作業の様子を示す説明図である。本発明の第2実施形態は、第1実施形態における清掃ブラシ1において、ガイドバー20の長さが異なっている。すなわち、第2実施形態の清掃ブラシにおいては、ガイドバー20の長さは、遮水板56の直径程度の長さに設定されている。なお、図6に示す第2実施形態おいて、図1〜図5に示す第1実施形態における部材と同一の部材及び同一機能の部材については、同一の符号を付して、詳細な説明は省略した。
【0045】
図6(a)は、開口部81aにコンデンサブラシ10を進入させる直前の状態を示すものである。作業員が、開口部81aを介して水抜き穴80aにガイドバー20を差し込み、把持バー22を押し込んで、ガイドバー20を奥に進入させ、コンデンサブラシ10の先端1が水抜き穴80aに到達する直前の状態、あるいは把持バー22を引き込んで、コンデンサブラシ10が開口部81aから露出した状態においては、ガイドバー20が水抜き穴80a及び水抜き穴80bに挿通された状態にある。
【0046】
すなわち、コンデンサブラシ10が開口部81aから露出した状態においては、図6(a)に示すように、溝状通路70全体にガイドバー20が挿通された状態となり、コンデンサブラシ10が開口部81bから露出した状態おいては、図6(b)に示すように、溝状通路70全体に把持バー22が挿通された状態となる。その結果、コンデンサブラシ10が、ガイドバー20及び把持バー22によってガイドされるため、溝状通路70上におけるコンデンサブラシ10の移動を円滑に行うことが可能になる。
【0047】
しかも、水抜き穴80aにコンデンサブラシ10を挿入して、コンデンサブラシ10が柱材60の中空部に位置した際に、毛材部材14によってガイドバー20あるいは把持バー22が若干浮き上がったとしても、既に、水抜き穴80bにガイドバー20が挿通した状態にあるため、柱材60の中空部から水抜き穴80bにコンデンサブラシ10を安定して進入させることが可能になる。
【0048】
なお、第2実施形態においては、ガイドバー20の長さは、遮水板56の直径程度の長さに設定されているが、それに限るものではなく、例えば、柱材60の内径程度の長さに設定してもよい。この場合には、開口部81aを介して水抜き穴80aにガイドバー20及びコンデンサブラシ10を挿入してコンデンサブラシ10が水抜き穴80aから柱材60の中空部に移動する際に、ガイドバー20の先端部が水抜き穴80bに入り込むようになる。これにより、柱材60の中空部から水抜き穴80bにコンデンサブラシ10を安定して挿入させることが可能になる。
【0049】
なお、本発明の実施形態は、上述したものに限るものではない。例えば、ガイドバー20又は把持バー22を複数のパイプ管に分割し、それぞれのパイプ管にねじ山とねじ溝を形成し、複数のパイプ管を螺合により連結して、一本のガイドバー20又は把持バー22としてもよい。これにより、溝状通路70の長さに応じて、ガイドバー20又は把持バー22の長さを調整することが可能になる。
【符号の説明】
【0050】
1 清掃ブラシ
10 コンデンサブラシ
12 棒状部材
14 毛材部材
20 ガイドバー
22 把持バー
50 土台
52 下部フランジ
54 フランジ部
54a 円柱部
54b 鍔部
56 遮水板
58 ボルト穴
60 柱材
60a 円筒部
60b 鍔部
62 ボルト穴
64 ボルト
70 溝状通路
72 交差部
80、80a、80b 水抜き穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状部材に毛状部材を起毛させてなるブラシ体と、
前記棒状部材の一端部から延びるガイドバーと、
前記棒状部材の他端部から延びる把持バーとを備え、
表面に溝状通路を有する下部フランジを、鉄塔を構築する中空パイプと前記鉄塔の土台との間に介在させることで前記溝状通路の両端部に形成される開口部に対して、前記ガイドバーを挿通するとともに前記ブラシ体を挿通し、前記把持バーを往復動させることによって前記溝状通路を清掃する清掃ブラシであって、
前記棒状部材、前記ガイドバー及び前記把持バーは、同軸に配置されており、
前記ガイドバー及び前記把持バーは、硬質部材からなることを特徴とする清掃ブラシ。
【請求項2】
前記ガイドバーの先端部は、尖状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の清掃ブラシ。
【請求項3】
前記ガイドバーの先端部は、前記ガイドバーの中心軸に対して離れていくように反っていることを特徴とする請求項1又は2記載の清掃ブラシ。
【請求項4】
前記硬質部材は、金属部材であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の清掃ブラシ。
【請求項5】
前記把持バーは、前記溝状通路よりも長く、
前記ガイドバーの長さは、前記開口部から前記中空パイプの中心軸までの長さよりも長いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の清掃ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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