説明

清掃具

【課題】 清掃具において、柄を持って操作する作業者が身体を大きく曲げることなく清掃でき、かつ作業者が柄に加える清掃操作力を清掃面へ清掃圧として伝わり易くすること。
【解決手段】 柄11と清掃ヘッド13とを連結する連結部12を有する清掃具10であって、連結部12はその一方側において清掃ヘッド13とヒンジ結合されるとともに、その他方側において柄11と連続し、ヒンジ結合とは異なる位置において連結部12と清掃ヘッド13との間に弾性体14を介してなるもの。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃具として、特許文献1に記載の如くの柄付きブラシがある。柄付きブラシは、柄の先端にブラシ本体を連結したものであり、柄とブラシ本体の交差角度を固定化している。このような柄付きブラシによりバスタブの側面や底面を清掃するときには、作業者は身体を大きく曲げる必要がある。
【0003】
他方、特許文献2に記載の清掃具(モップ)は、柄の先端に弾性のある湾曲板の一端側を設け、この湾曲板の他端側にモップを取付けている。作業者は、バスタブの側面や底面を清掃するに際し、柄とモップをつなぐ湾曲板の弾性変形を利用し、柄とモップの交差角度を自在に変更し、身体を大きく曲げることなく清掃できるとするものである。
【特許文献1】特許3826010
【特許文献2】実公昭60-16351
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載の清掃具にあっては、作業者が柄とモップをつなぐ湾曲板の弾性変形を利用し、柄と清掃ヘッドの交差角度を自在に変更することにより身体を大きく曲げることなく清掃できるとしても、作業者が柄に加える清掃操作力が湾曲板の変形によって大きく緩和され、清掃ヘッドから清掃面への清掃圧として伝わりにくく、汚れ除去性能の向上に困難がある。
【0005】
本発明の課題は、清掃具において、柄を持って操作する作業者が身体を大きく曲げることなく清掃でき、かつ作業者が柄に加える清掃操作力を清掃面へ清掃圧として伝わり易くすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、柄と清掃ヘッドとを連結する連結部を有する清掃具であって、連結部はその一方側において清掃ヘッドとヒンジ結合されるとともに、その他方側において柄と連続し、ヒンジ結合とは異なる位置において連結部と清掃ヘッドとの間に弾性体を介したものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
清掃具10は、図1〜図3に示す如く、柄11と清掃ヘッド13を連結部12により連結し、連結部12はその一方側のヒンジ結合部12Aにおいて清掃ヘッド13とヒンジ結合されるとともに、その他方側において柄11と連続し、ヒンジ結合部12Aとは異なる位置において連結部12と清掃ヘッド13との間に弾性体14を介している。ここで、連結部12のヒンジ結合部12Aに対して柄11が連続する他方側とは、連結部12の他方端部だけでなく、連結部12のヒンジ結合部12Aとは異なる位置の中間領域も含まれる。
【0008】
柄11は基端をグリップ11Aとし、清掃ヘッド13の側で連結部12と連続し、図1〜3に示す如く柄11と連結部12との連続部分が屈曲部11Bをなして一体に形成されている。尚、柄11と連結部12との連続は、一体に形成されるほか、着脱可能に結合されたものであっても良い。
【0009】
連結部12は、端部を先端突部12Bとし、先端突部12Bとは異なる位置において清掃ヘッド13との間に弾性体14を介している。図1〜図3に示す連続部12は、清掃ヘッド13とのヒンジ結合部12Aと屈曲部11Bとの間の領域において清掃ヘッド13との間に弾性体14を備える。また、連結部12の中間領域において柄11と連結部12とが連続する場合には、ヒンジ結合部12Aとは異なる位置であれば、柄11との連続位置によらず連結部12と清掃ヘッド13との間に弾性体14を設けることができる。
【0010】
清掃ヘッド13は板状をなし、清掃ヘッド13の裏面にスポンジ又はブラシ等の清掃手段15を着脱可能に設けている。清掃ヘッド13は表面の前端側に孔状の取付凹部13Aを備え、連結部12の先端突部12Bを清掃ヘッド13の後方に臨む取付凹部13Aの開口から該取付凹部13Aに差し込んで連結部12のヒンジ結合部12Aを構成する。柄11は連結部12のヒンジ結合部12Aを中心として清掃ヘッド13に対し主として前後方向に回転し、柄11と清掃ヘッド13の交差角度a(図1)を変更可能にする。尚、連結部12を基準に柄11に対して清掃ヘッド13の側を前方で清掃具10による清掃進み方向とし、清掃ヘッド13に対する柄11の側を後方で反清掃進み方向とする。
【0011】
弾性体14は蛇腹状筒体14Aからなり、適宜の伸縮強度(伸縮に対する抵抗力)を備える。蛇腹状筒体14Aは清掃ヘッド13の表面で連結部12のヒンジ結合部12Aの後方であって、連結部12の下面に接着等により固定され、又は着脱可能に設けられる。蛇腹状筒体14Aは、好ましくは連結部12における柄11と連続する位置(屈曲部11B)の近傍で清掃ヘッド13と連結部12との間に伸縮可能にその両端を固定され、又は着脱可能に設けられる。
【0012】
清掃具10は、柄11のグリップ11Aを下方に押下する力を連結部12のヒンジ結合部12Aまわりで弾性体14(蛇腹状筒体14A)に伝えてこの弾性体14を圧縮し、柄11を連結部12のヒンジ結合部12Aまわりで清掃ヘッド13に対し回転し、柄11と清掃ヘッド13の前述の交差角度aを適宜の小角度ax(図2)に変更可能にする。柄11と清掃ヘッド13の交差角度aは概ね直角であっても良いが、直角よりも小さな鋭角であることが好ましい。また、清掃具10は、柄11のグリップ11Aを前後に押し引きする力を連結部12のヒンジ結合部12A及び弾性体14(蛇腹状筒体14A)に伝え、清掃ヘッド13に設けてある清掃手段15を清掃面上で摺動させ、清掃面上の汚れを除去する。
【0013】
清掃具10は、清掃ヘッド13の裏面に清掃手段15を着脱することにより、新旧の清掃手段15を簡易に交換できる。尚、清掃ヘッド13に清掃手段15を一体にし、清掃ヘッド13及び清掃手段15を一体で交換させる場合には、清掃ヘッド13に対し柄11と弾性体14の両者を着脱するものになる。
【0014】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(請求項1)
(a)作業者は、バスタブの側面や床面を清掃するに際し、柄11と清掃ヘッド13を連結する連結部12のヒンジ結合部12Aの回転、及び連結部12と清掃ヘッド13の間の弾性体14(蛇腹状筒体14A)の弾性変形を利用し、柄11と清掃ヘッド13の交差角度を自在に変更し、身体を大きく曲げることなく清掃できる。
【0015】
(b)作業者が柄11に加える清掃操作力は連結部12のヒンジ結合部12Aを介することにより、弾性体14(蛇腹状筒体14A)によって大きく緩和されることなく、清掃ヘッド13から清掃面への清掃圧として伝わり易く、汚れ除去性能を向上できる。
【0016】
(請求項2)
(c)清掃ヘッド13が柄取付凹部13Aを備え、連結部12の先端突部12Bを清掃ヘッド13の柄取付凹部13Aに差し込むことにより、連結部12のヒンジ結合部12Aを簡易に構成できる。
【0017】
(請求項3)
(d)弾性体14が蛇腹状筒体14Aからなるものとすることにより、弾性体13の耐座屈性を確保し、連結部12に対する清掃ヘッド13の屈曲性に一定の節度を与え、柄11と清掃ヘッド13の交差角度の変更の安定を図ることができる。また、蛇腹状筒体14Aの伸縮力(ばね力)の設定により、作業者が柄11に加える清掃操作力の清掃ヘッド13への伝達性能も適宜に調整でき、汚れ除去性能を一層向上できる。
【0018】
(請求項4)
(e)柄11と連結部12とが屈曲部11Bを介して連結しているので、作業者が柄11に加える力は、清掃ヘッド13に清掃方向に進める力と被清掃面を押圧する力の両方を効果的に与えることが可能となり、作業者が柄11に加える清掃操作力は、ヒンジ結合部12Aを介して被清掃面に伝わり易く、汚れ除去性能を向上できる。
【0019】
尚、清掃具10において、柄11、連結部12、清掃ヘッド13、弾性体14(蛇腹状筒体14A)は合成樹脂からなるものとすることが防錆上好ましく、金属等であっても良い。
【0020】
また、清掃具10において、弾性体14は、蛇腹状筒体14Aに限らず、コイルばね、板ばね等であっても良い。
【0021】
また、清掃具10において、連結部12のヒンジ結合部12Aは、連結部12の先端と清掃ヘッド13をピン等のヒンジ部材により連結するもの、あるいは、清掃ヘッド13と連結部12と一体形成した薄肉部分であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は清掃具の自由状態を示す模式図である。
【図2】図2は清掃具の柄と清掃ヘッドの交差角度を変更した状態を示す模式図である。
【図3】図3は図1の要部拡大図である。
【符号の説明】
【0023】
10 清掃具
11 柄
11B 屈曲部
12 連結部
12A 先端突部
12A ヒンジ結合部
12 ヒンジ
13 清掃ヘッド
13A 柄取付凹部
14 弾性体
14A 蛇腹状筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柄と清掃ヘッドとを連結する連結部を有する清掃具であって、
連結部はその一方側において清掃ヘッドとヒンジ結合されるとともに、その他方側において柄と連続し、
ヒンジ結合とは異なる位置において連結部と清掃ヘッドとの間に弾性体を介している清掃具。
【請求項2】
前記清掃ヘッドが取付凹部を備え、連結部の先端突部を清掃ヘッドの取付凹部に差し込んでヒンジを構成する請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記弾性体が蛇腹状筒体からなる請求項1又は2に記載の清掃具。
【請求項4】
柄と連結部とが屈曲部を介して連続する請求項1〜3のいずれかに記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−188183(P2008−188183A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−24792(P2007−24792)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】