説明

清掃具

【課題】清掃面を覆って装着された清掃シートの広範囲な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させながら、被清掃面の清掃を効率良く行うことのできる清掃具を提供する。
【解決手段】ベース体15の下面は、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xと、平面視して垂直な方向Yでの断面が山部17と谷部18とが交互に連続配置された波形断面形状となっている波形凹凸面部19を備える。波形凹凸面部19の谷部18は、ベース体15の所定の方向Xと対向する辺部15aに端部が開口していると共に、所定の方向Xに対して斜めに延設して、清掃シート13への塵埃等の付着物を被清掃面の払拭に伴って斜め方向に誘導する斜め谷部18aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃面を覆って清掃シートが装着された清掃具本体により被清掃面の塵埃や汚れを取り除く清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃面を覆って不織布等からなる清掃シートが装着された清掃具本体によって床面等の被清掃面の塵埃や汚れを取り除く清掃具は、清掃具本体に取り付けられたハンドル部を手で持って被清掃面を払拭することにより清掃シートに塵埃や汚れを付着させて、手軽に清掃を行うことができる。
【0003】
かかる清掃具によれば、清掃面となる清掃具本体の下面が単に平坦な面であると、清掃面の周縁部分に塵埃や汚れが付着し易くなって、清掃面の全体で被清掃面を払拭することが困難なになることから、清掃具本体の清掃面の形状を工夫することで清掃効率を向上させた清掃具が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3027345号公報
【特許文献2】特開2007−54337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の清掃具や特許文献2の清掃用具は、弾性クッション材による清掃具本体の下面の清掃面を湾曲した形状として、塵埃や汚れを清掃面の周縁部分から内側に取り込みやすくしたり、清掃面に多数の凹凸や波形突条を設けて、平坦ではない被清掃面を清掃しやすくしたり、被清掃面の汚れを掻き取りやすくすることができる。これらの清掃具や清掃用具では、上述の機能が効果的に発揮されるが、その一方で、特に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物が、清掃面の内側の一部の領域に留まりやすい。したがって、清掃面を覆って装着された清掃シートの広範な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させながら、被清掃面の清掃を効率良く行うことを可能にする新たな技術の開発が望まれている。
【0006】
本発明は、清掃具本体の清掃面を覆って装着された清掃シートの広範囲な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させながら、被清掃面の清掃を効率良く行うことのできる清掃具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、清掃ヘッドと、該清掃ヘッドの下面を覆って取り付けられたベース体とからなる清掃具本体と、前記清掃ヘッドの下面と反対側の面に取り付けられたハンドル部とを備え、前記ベース体の下面による清掃面を覆って清掃シートが装着されて、該清掃シートにより被清掃面を払拭する清掃具であって、前記ベース体の下面は、前記清掃具本体によって清掃を行う所定の方向と平面視して垂直な方向での断面が山部と谷部とが交互に連続配置された波形断面形状となっている波形凹凸面部を備えており、該波形凹凸面部の前記谷部は、前記ベース体の前記所定の方向と対向する辺部に端部が開口していると共に、前記所定の方向に対して斜めに延設している斜め谷部を有している清掃具を提供することにより、上記目的を達成したものである。
【0008】
なお、本発明の実施形態では前後左右上下の方向を規定しているが、これは本発明の構成要素の相対関係を簡単に説明するために便宜的に規定したものであり、本発明を実施する場合の製造時や使用時の方向を限定するものではない。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清掃具によれば、清掃具本体の清掃面を覆って装着された清掃シートの広範囲な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させながら、被清掃面に塵埃等が不均一に分布していても清掃シート全体に塵埃等を分散させることができ、被清掃面の清掃を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具の全体構成を説明する斜視図である。
【図2】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具の要部を説明する、(a)は清掃具本体の正面図及びA部拡大図、(b)は清掃具本体の底面図である。
【図3】清掃具本体の構成を説明する分解斜視図である。
【図4】清掃具本体の構成を説明する図3のA−Aに沿った断面図である。
【図5】清掃具本体の構成を説明する図3のB−Bに沿った模式断面図である。
【図6】ハンドル部の柄部を説明する分解斜視図である。
【図7】ハンドル部のロッド部の連結部を説明する分解斜視図である。
【図8】(a)〜(c)は、ハンドル部のロッド部を構成するパイプ部材を連結する状況を説明する破断斜視図である。
【図9】ハンドル部のロッド部を構成するパイプ部材の連結を解除する状況を説明する破断斜視図である。
【図10】(a)〜(f)は、波形凹凸面部の他の形態を例示する清掃具本体の底面図である。
【図11】本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具を用いて清掃作業を行った後の塵埃等の付着物の付着状況を説明する、付着物が付着した清掃シートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1に示す本発明の好ましい一実施形態に係る清掃具10は、清掃具本体11の清掃面12を覆って着脱交換可能に使い捨て用の清掃シート13を取り付けて、例えば床面を被清掃面として清掃作業を行う際に用いられる。本実施形態の清掃具10は、清掃具本体11によって被清掃面を払拭する際に、特に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を、清掃具本体11の清掃面12を覆う清掃シート13の広範囲な領域に付着させながら、被清掃面の清掃を行えるようにする機能を備えている。
【0012】
本実施形態の清掃具10は、清掃ヘッド14と、この清掃ヘッド14の下面を覆って取り付けられた弾性変形可能なベース体15とからなる清掃具本体11と、清掃ヘッド14の下面と反対側の面に取り付けられたハンドル部16とを備え、ベース体15の下面(清掃面12)を覆って清掃シート13が装着されて、この清掃シート13により被清掃面を払拭する。清掃シート13が装着されていない状態の図2(a),(b)に示すように、ベース体15の下面は、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xと、ベース体15の下面を平面視して垂直な方向(直角方向)Yでの鉛直方向の断面が山部17と谷部18とが交互に連続配置された波形断面形状となっている波形凹凸面部19を備えている。この波形凹凸面部19の谷部18は、ベース体15の所定の方向Xと対向する辺部15aに端部が開口していると共に、所定の方向Xに対して斜めに延設して、清掃シート13への付着物(綿埃等の塵埃や髪の毛やごみ等の固形物)を被清掃面の払拭に伴って清掃シート13に付着させつつ斜め方向に清掃シート13の表面に沿って誘導することができる斜め誘導部(斜め谷部)18aを有している。また波形凹凸面部19の山部17には、少なくとも谷部18の斜め誘導部(斜め谷部)18aに沿った部分に、当該山部17の頂部17aから突出する突リブ20が頂部17aの延設方向に間隔をおいて複数設けられていることが好ましい。
【0013】
ここで、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xは、清掃具本体11によって効率良く清掃することが可能な方向(清掃方向)であり、清掃具10の使用者が、清掃する場所の状況に従って、選択できる方向である。例えば、本実施形態では、矩形平面形状を有するベース体15の長辺部15aと直交する方向Xを清掃方向として説明するが、幅狭部を清掃する場合には、ベース体15の短辺方向と直交する方向Yを清掃方向とすることもできる。
【0014】
また本願で斜め誘導部18aとは、ベース体15の中央方向に向って全体的に、清掃シート13への付着物を被清掃面の払拭に伴って斜め方向に誘導することができる波形凹凸面部19の谷部18を指し、斜め谷部、斜め溝部でもある。
【0015】
また、本実施形態の清掃具10では、ベース体15の下面の波形凹凸面部19は、ベース体15の全面に波紋状に広がる凹凸面の一部として設けられており、この波紋状に広がる凹凸面は、ベース体15の全面に円形状に広がる凹凸面となっている。
【0016】
本実施形態では、清掃具本体11を構成する清掃ヘッド14は、図3及び図4にも示すように、長辺が200〜300mm程度、短辺が50〜150mm程度の大きさの矩形平面形状を有するプラスチック製の平板状部材である。清掃ヘッド14の天面部14aの周縁部は下方に折れ曲がって周壁部14bを形成している。こられの四方の周壁部14bによって囲まれる清掃ヘッド14の下面側の扁平な中空部には、当該中空部を縦横に横断して、複数の補強リブ21が、天面部14aから下方に突出して設けられている。
【0017】
清掃ヘッド14の開口面となった下面とは反対側の面である、清掃ヘッド14の天面部14aによる上面には、これの中央部分を隆起させて、ハンドル支持ジョイント部22が一体として設けられている。このハンドル支持ジョイント部22に、ハンドル部16の下端部に設けられた回転ジョイント部23を回転可能に接合することで、当該ハンドル部16を清掃具本体11に対して上下方向のみならず左右方向にも回動させながら、清掃具10による清掃作業を行うことが可能になる。
【0018】
また、清掃ヘッド14の天面部14aには、係着スリット24aが形成された柔軟な弾性材料からなる公知のシート保持部24が設けられている。清掃ヘッド14の下面側に一体として取り付けられたベース体15の下面(清掃面12)を下方から覆うようにして、清掃シート13を清掃ヘッド14に巻き付けた後に、清掃シート13の端部を、天面部14aに設けられたシート保持部24の係着スリット24aに押し込んで係着することにより、清掃シート13を清掃具本体11に着脱交換可能に容易に装着することができる(図1参照)。
【0019】
清掃ヘッド14と共に清掃具本体11を構成するベース体15は、弾性変形可能な合成樹脂材料として、例えばウレタンやEVA(エチレン酢酸ビニル共重合物)樹脂等からなる。ベース体15は、清掃ヘッド14よりも一回り大きな矩形平面形状を備える。ベース体15は、底面部15cと、底面部15cの周縁部に設けられた周壁部15dとからなる。底面部15cは、例えば0.5〜3mm程度の薄い肉厚で形成されている。周壁部15dは、略三角形の断面形状を備える。四方の周壁部15dによって囲まれるベース体15の上面側には、清掃ヘッド14が嵌め込まれる凹嵌部15eが形成される。
【0020】
本実施形態では、図5にも示すように、清掃ヘッド14の下面とベース体15の底面部15cとの間にクッション材25を介在させて、凹嵌部15eに清掃ヘッド14を嵌め込み、清掃ヘッド14とベース体15とを接着剤等を用いて接着することにより、これらが一体となった清掃具本体11が形成される。
【0021】
清掃ヘッド14の下面とベース体15との間に介在させるクッション材25は、ベース体15よりも柔らかいクッション材料として、例えばスポンジ(材質は例えばウレタンフォーム等)からなる。本実施形態では、クッション材25は、ベース体15の凹嵌部15eと略同じ大きさの矩形平面形状を有する上側スポンジ材25aと、これよりも一回り小さな矩形平面形状を有する下側スポンジ材25bとからなる。クッション材25は、これらのスポンジ材25a,25bを重ね合わせた状態で、清掃ヘッド14の下面側に設けられた複数の補強リブ21と、ベース体15の底面部15cとの間の隙間を充填するようにして、清掃ヘッド14の下面の略全域に亘って装着される。
【0022】
清掃ヘッド14の下面とベース体15の底面部15cとの間にクッション材25を介在させて清掃具本体11が形成されていることで、クッション材25によってベース体15の底面部15cを、これの背面側から面状に支持した状態で押し出すことか可能になる。また、清掃面12となる底面部15cの下面を、クッション材25による柔らかな弾性付勢力を介して緩やに湾曲する湾曲形状に下方に突出させた状態とすることが可能になる(図5参照)。これらによって、例えばハンドル部16から清掃具本体11へ僅かな押圧力しか加えられていない状態では、湾曲する清掃面12を被清掃面50にフィットさせたソフトな感触で清掃作業を行うことが可能になるとともに、塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を清掃シートの中心部付近まで取り込むことができる。また、清掃面12を被清掃面50に押し付けて清掃作業を行うためにハンドル部16から清掃具本体11へ相当の押圧力を加えた状態では、クッション材25は全体に亘ってバランスよく容易に押し潰されて、ソフトなクッション感を伴いながら、清掃シート13によって覆われたベース体15の下面を、広範囲に亘って被清掃面50にフィットする平坦な面とすることが可能になる。
【0023】
なお、清掃ヘッド14の下面とベース体15の底面部15cとの間に介在させるクッション材25としては、ベース体15よりも柔らかいクッション材料として、スポンジの他、例えば空気や液体が封入された扁平な袋等を用いることもできる。
【0024】
また、本実施形態では、ベース体15の周縁部を構成する周壁部15dは、略三角形の断面形状を有していることで、ベース体15の外周部分がベース体15の下面に対して鋭角なテーパー面となる。これによって、例えば壁面と床面との角部分の床面や、壁面の入隅部分の床面に対しても、ベース体15の外周縁部を壁面に当接させつつ、効果的に清掃作業を行うことが可能になる。
【0025】
さらに、本実施形態では、清掃面14を覆って清掃具本体11に取り付けられて、塵埃や汚れ等を付着させる清掃シート13としては、例えばオレフィン系極細繊維不織布等の公知の各種の清掃シートを用いることができる。
【0026】
そして、本実施形態の清掃具10では、図2(a),(b)及び図4に示すように、ベース体15の底面部15cの下面に、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xと、ベース体15の下面を平面視して垂直な方向(直角方向)Yでの鉛直方向の断面が山部17と谷部18とが交互に連続配置された波形断面形状となっている波形凹凸面部19を備える。本実施形態では、ベース体15は矩形平面形状を有しており、清掃具本体11によって効率良く清掃することが可能な所定の方向Xは、ベース体15(清掃具本体11)の短辺部15bに沿った方向となっており、清掃具本体11による所定の方向Xと、ベース体15の下面を平面視して垂直な方向Yは、ベース体15(清掃具本体11)の長辺部15aに沿った方向となっている。
【0027】
本実施形態では、波形凹凸面部19は、ベース体15の中心部分から円形状に広がる波紋状の凹凸面の一部として構成されている。すなわち、本実施形態では、ベース体15の下面のうち、4箇所の角部分を除く略全域に波紋状の凹凸面が形成されている。かかる波紋状の凹凸面における中心部分から6番目の谷部18と10番目の谷部18とによって挟まれる領域が、これらの谷部18の端部がベース体15の長辺部15aに開口していることで、波形凹凸面部19となっている(図2(a)、図2(b)参照)。波形凹凸面部19は、ベース体15の中心部分を挟んだ長辺部15a方向の両側に配置されて一対設けられる。
【0028】
また、波形凹凸面部19における各谷部18は、ベース体15の長辺部15aに開口する端部から、ベース体15の短手方向中心線Cに向けて、円弧状に湾曲しつつ清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xに対して斜めに延設して、その略全長が、清掃シート13への付着物(塵埃や髪の毛やごみ等の固形物)を被清掃面の払拭に伴って清掃シート13の表面に沿って斜め方向に誘導することができる斜め誘導部(斜め谷部)18aとなっている。
【0029】
さらに、本実施形態では、波形凹凸面部19の谷部18は、例えば2〜10mm程度の幅を有すると共に、山部17の頂部17aから例えば0.5〜3mm程度の深さを有する略円弧断面形状の溝として形成されている。また、波形凹凸面部19の谷部18は、ベース体15の中心部分を中心とする同心状に配置されて、当該中心部分を挟んだ長辺部15a方向の両側に各5本、合計10本設けられている。さらに、波形凹凸面部19の谷部18は、斜め誘導部(斜め谷部)18aの所定の方向Xに対する広がり角度θ(図2参照)が、0度より大きく90度より小さく設けられ、10度以上80度以下が好ましく、15度以上75度以下となっていることがより好ましい。ここで広がり角度θは、谷部18が円弧状の場合には、谷部18に接する接線と清掃方向Xとの角度である。斜め誘導部(斜め谷部)18aの広がり角度が係る角度となっていることにより、付着物が清掃時に斜め誘導部(斜め谷部)18aに沿って清掃シート13の表面に付着しつつ、拡散しやすくなり、清掃シート13の全体を使った効率的な清掃が可能になる。なお、広がり角度θが0度の場合(すなわち、谷部18がベース体15の短手方向に沿っている場合)と広がり角度θが90度の場合(すなわち、谷部18がベース体15の長手方向に沿っている場合)には、清掃シート13表面の広範囲な領域への付着物の拡散がしにくくなる。
【0030】
なお、本実施形態では、波形凹凸面部19の山部17や谷部18は、ベース体15の短手方向中心線Cを挟んで対称に配置されている。これによって、例えば所定の方向Xの前方側に清掃具本体11を移動させながら被清掃面を払拭する際のみならず、所定の方向(清掃方向)Xの後方側に清掃具本体11を移動させながら被清掃面を払拭する際にも、あるいは所定の方向Xの前後方向に往復移動させながら被清掃面を払拭する際にも、清掃シート13の表面の広範囲な領域に塵埃等の固形物を付着させることが可能になる。またベース体15をハンドル部16に対して180度回転させることで前後を適宜入れ換えて、さらに効率良く塵埃等の固形物を付着させることが可能になる。
【0031】
また、本実施形態では、ベース体15の下面には、両側の波形凹凸面部19に挟まれる中央部分に、同心状に配置された円環リング形状の複数の山部17”及び谷部18”からなる中央波形凹凸面部19”が、波紋状の凹凸面の一部として形成されている。中央波形凹凸面部19”の各谷部18”は、ベース体15の長辺部15aに端部が開口することなく、閉塞した円環リング形状となっている。
【0032】
さらに、本実施形態では、各谷部18,18”における、ベース体15の略三角形の断面形状を有する周壁部15dと重なる部分には、後述する補助波形凹凸面部19’の谷部18’の周壁部15bと重なる部分を含めて、谷部18,18’,18”の底部をさらに深く切り込んで形成された深溝部26が設けられている。周壁部15dと重なる部分の谷部18,18’,18”に深溝部26を設けることで、肉厚の大きな周壁部15dの厚さが部分的に薄くなって、周壁部15dの鋭角な外周部分の先端を下方に撓みやすくする。これによって、例えばベース体15の外周縁部を床面との角部分の壁面に当接させた際に、外周縁部が上方にめくれ上がるのを効果的に回避することが可能になる。
【0033】
なお、当該深溝部26は、肉厚の大きな周壁部15bの厚さを部分的に薄くすることにより、ベース体15を成形で製造する場合に、成形工程での冷却時にヒズミが発生することを防止する効果もある。
【0034】
そして、本実施形態では、波形凹凸面部19における各隣接する谷部18によって挟まれる部分は、山部17となっている。本実施形態では、円弧状に湾曲して斜めに延設する谷部18は、その略全長が斜め誘導部(斜め谷部)18aとなっていることから、各山部17の少なくとも谷部18の斜め誘導部(斜め谷部)18aに沿った部分として、当該山部17の略全長に亘って、複数の突リブ20が設けられている。複数の突リブ20は、各山部17の頂部17aから突出して、頂部17aの延設方向に例えば2〜10mm程度の間隔をおいて複数設けられている。
【0035】
また、本実施形態では、突リブ20は、好ましくは谷部18の斜め誘導部(斜め谷部)18aの延設方向と、ベース体15の下面を平面視して垂直(直角)な、山部17の幅方向に設けられた線状リブ片となっている。突リブ20が山部17の幅方向に設けられた線状リブ片となっていることにより、被清掃面の払拭に伴って、清掃シート13の表面の、山部17と接触する部分と被清掃面とに挟まれた付着物あるいは、清掃シート13の表面の、突リブ20と接触する部分周辺にある付着物を隣接する谷部18方向に拡散させるとともに、谷部18の斜め誘導部(斜め谷部)18aによって誘導される清掃シート13の表面の付着物を、突リブ20間の隙間を介して隣接する谷部18方向に清掃シート13の表面に沿って送り出す機能を、さらに効果的に発揮させることが可能になる。また、突リブ20は、掻き取り効果により、被清掃面上の汚れや塵埃等を清掃シート13にさらに付着させやすくする機能も有している。
【0036】
本実施形態の清掃具10は、前記所定の方向Xに対して斜めに設けられている線状リブ片20aを有している。かかる線状リブ片20aを有していると、被清掃面の払拭に伴って、塵埃等の付着物が清掃シート13の表面全体に拡散しやすくなるとともに、被清掃面上の汚れや塵埃等を清掃シート13にさらに付着させやすくなる。
【0037】
また、塵埃等の移動のしやすさとベース体15の製造のしやすさの観点で、突リブ20の高さ(山部17の頂部から突リブ20の頂部までの距離)は、被清掃面上の塵埃等を除去でき、塵埃等を清掃シート13に付着させながら広範囲に拡散させることができる観点で、0.3〜1mmが好ましく0.4〜0.7mmがより好ましい。一方、谷部18の深さ(山部17頂部から谷部18の最深部までの距離)は0.7〜3mmが好ましく、0.8〜2mmが好ましい。突リブ20の高さは谷部18の深さより小さい方が好ましい。
【0038】
なお、本実施形態では、中央波形凹凸面部19”の複数の円環リング形状の山部17”にも、複数の突リブ20”が、山部17”の幅方向に設けられた線状リブ片として、各山部17”の頂部17a”から突出して頂部17a”の延設方向に間隔をおいて複数設けられている。中央波形凹凸面部19”の山部17”にも突リブ20”が設けられていることにより、被清掃面の払拭に伴って、波形凹凸面部19の谷部18によって誘導される付着物を、突リブ20”間の隙間を介して中央波形凹凸面部19”の谷部18”方向に清掃シート13の表面に沿って送り出すことで、さらに広い領域に付着物を付着させることが可能になる。
【0039】
また、本実施形態では、ベース体15の中心部分から円形の波紋状に広がる凹凸面によって構成される、波形凹凸面部19及び中央波形凹凸面部19”の山部17,17”は、その頂部17a,17a”の幅が、例えば外側の円弧面による頂部から、中央側の山部17,17”になるほど段階的に又は徐々に広くなっていることが好ましい。これによって、清掃ヘッド14にハンドル部16が連結される少なくとも中心部分の山部17”の頂部17a”は、相当の幅を有する平面状の頂部となっていることが好ましい。ハンドル部16が連結される中心部分の山部17”の頂部17a”が平面状の頂部となっていることにより、清掃面12を被清掃面に押し付けて清掃作業を行うためにハンドル部16から清掃具本体11へ押圧力が加えられた際に、大きな押圧荷重が負荷されるハンドル部16の近傍の中心部分において、平面状の頂部17a”による広い面積で押圧荷重を安定した状態で支持することが可能になる。これによって、中央部分の谷部18”が潰れやすくなるのを、効果的に回避することが可能になる。好ましくは、少なくとも中心部分の山部17”の頂部17a”が平面状の頂部を有し、それ以外の頂部17aが曲面状の頂部を有していると、ハンドル部16から清掃具本体11へ押圧力が加えられた際に、ベース体15の下面全体を平坦な面とすることができる。
【0040】
さらに、本実施形態の清掃具10では、ベース体15の下面の4箇所の角部分に、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xでの鉛直方向の断面が山部17’と谷部18’とが交互に連続配置された波形断面形状となっている補助波形凹凸面部19’を備えている。
【0041】
本実施形態では、各補助波形凹凸面部19’には、4半円形状に延設する谷部18’が各角部を中心とする同心状に配置されて4本設けられている。各谷部18’は、各々ベース体15の矩形平面形状の短辺部15bに一端部が開口していると共に、他端部がベース体15の矩形平面形状の長辺部15aに開口している。各谷部18’は、4半円形状に延設するので、その略全長が、湾曲した状態で短辺部15bに対して斜めに延設する補助斜め誘導部(補助斜め谷部)18a’となっている。
【0042】
補助波形凹凸面部19’における各隣接する谷部18’によって挟まれる部分は、山部17’となっている。本実施形態では、谷部18’の略全長が補助斜め誘導部(補助斜め谷部)18a’となっていることから、各山部17’の少なくとも谷部18’の補助斜め誘導部(補助斜め谷部)18a’に沿った部分として、当該山部17’の略全長に亘って、複数の突リブ20’が設けられていることが好ましい。複数の突リブ20’は、各々、好ましくは谷部18’の延設方向と、ベース体15の下面を平面視して垂直(直角)な、山部17’の幅方向に設けられた線状リブ片となっている。複数の突リブ20’は、各山部17’の頂部17a’から突出して、頂部17a’の延設方向に例えば2〜10mm程度の間隔をおいて複数設けられている。
【0043】
ベース体15の下面に、短辺部15bに端部が開口すると共に短辺部15bに対して斜めに延設する谷部18’を有し、頂部17a’に複数の突リブ20’を備える山部17’を有する補助波形凹凸面部19’が設けられていることにより、清掃具本体11による所定の方向Xと、ベース体15の下面を平面視して垂直な方向Yを清掃方向として、例えば床面と壁面との角部分に沿って清掃作業を行う際にも、塵埃等の固形物による付着物を、谷部18’及び山部17’の突リブ20’によって誘導して、清掃面12を覆う清掃シート13の広範囲な領域に付着させることが可能になる。
【0044】
また、本実施形態では、補助波形凹凸面部19’の谷部18’は、他端部がベース体15の長辺部15aに開口しているので、清掃具本体11によって所定の方向Xに清掃作業を行う際にも、塵埃等の固形物による付着物を、波形凹凸面部19の谷部18及び山部17の突リブ20と共に、谷部18’及び山部17’の突リブ20’によって誘導して、清掃面12を覆う清掃シート13のさらに広範囲な領域に付着させることが可能になる。
【0045】
そして、本実施形態の清掃具10では、図1及び図3に示すように、清掃ヘッド14の天面部14aに取り付けられたハンドル部16を備えている。ハンドル部16は、上端部分の柄部27と、清掃ヘッド14と柄部27との間に介在するロッド部28とからなる。ロッド部28は、複数のパイプ部材29を連結部30を介して軸方向に連結することで、柄部27を含めたハンドル部16の全体が、清掃作業を行うのに適した例えば100〜150cm程度の長さとなるように組み立てられる。ロッド部28の下端部には、回転ジョイント部23が設けられている。上述のように、この回転ジョイント部23を、清掃ヘッド14の天面部14aに設けられたハンドル支持ジョイント部22に回転可能に接合することで、ハンドル部16を、清掃具本体11に対して上下方向及び左右方向に回動させることが可能になる。ロッド部28の上端部には、後述するパイプ部材29の連結部30と略同様の構成を有するジョイント部31を介して、柄部27が着脱可能に取り付けられる。
【0046】
柄部27は、例えばABS(アクリルニトリルブタジエンスチレン)樹脂からなる成形品であって、図6にも示すように、手で把持しやすい太さ及び外形の略円柱形状を備える。本実施形態では、柄部27の上端部には、柔らかい素材として、例えばEVA(エチレン酢酸ビニル)樹脂からなる滑止め端部材32が、エンドキャップとして一体として取り付けられる。柄部27の上端部に滑止め端部材32が取り付けられていることにより、例えば清掃具10を壁面に立てかけた際に、壁面に当接する柄部27の上端部の当該壁面に対する摩擦力を向上させて、清掃具10を倒れ難くすることが可能になる。また滑止め端部材32の端面を、斜めにカット、成型等することで、傾斜面になっているテーパー面32aとしておくことにより、柄部27の上端部を壁面に安定した状態で当接させて、摩擦力をさらに向上させることが可能になる。
【0047】
柄部27の下端部には、ロッド部28を連結するためのジョイント部31が設けられている。ジョイント部31は、ロッド部28を構成する最上部のパイプ部材29が挿入される端部スリーブ部33、柄部27の下端部外周面を切り欠いて形成される円環帯溝34、内周面に係合突起36を有する切欠きリング部材35、切欠きリング部材35の切欠き部35aに装着されるボタン部材37等からなる。ジョイント部31は、後述するパイプ部材29の連結部30と略同様の着脱構造によって、ロッド部28のパイプ部材29の縮径されたオス側端部29aを端部スリーブ部33に挿入させた状態で、ロッド部28を着脱可能に連結する。
【0048】
本実施形態では、ロッド部28を構成するパイプ部材29は、例えばアルミ合金やABS樹脂からなる成形品であって、図7にも示すように、略円柱形状を備える。パイプ部材29の一方の端部は、縮径したオス側端部29aとなっている。パイプ部材29の他方に端部は、端面に開口するパイプ挿入穴38が形成されていて、メス側端部29bとなっている。パイプ部材29は、連結スリーブ39、切欠きリング部材35、ボタン部材37等を用いた連結部30によって一体として連結される。
【0049】
連結部30によって一対のパイプ部材29を連結するには、図8(a)〜(c)に示すように、連結スリーブ39を一方のパイプ部材29のメス側端部29bに装着する。連結スリーブ39には、円環帯溝40、突起係合穴(突起挿入孔)43a、位置決め案内リブ42等が設けられている。また連結スリーブ39は、例えば軸方向に切込みが形成されていることで、拡径可能に弾性変形できるようになっている。連結スリーブ39は、円環帯溝40に形成された突起係合穴(突起挿入孔)43aを、パイプ部材29のメス側端部29bに形成された突起係合穴(突起挿入孔)43bに合致させると共に、突起係合穴(突起挿入孔)43aとは径方向反対側に配置された位置決め案内リブ42を、パイプ部材29のメス側端部29bに形成された位置決め係止穴44に挿入係止して、パイプ部材29のメス側端部29bに装着される。これによって、位置決め案内リブ42はメス側端部29bの内周面から内側に突出した状態となる。
【0050】
また、連結スリーブ39には、切欠きリング部材35やボタン部材37が取り付けられる。すなわち、切欠きリング部材35は、切欠き部35aを押し広げて弾性変形させながら、中央上部の内側面から内側に突出する係合突起36を、合致した連結スリーブ39の突起係合穴(突起挿入孔)43aとメス側端部29bの突起係合穴(突起挿入孔)43bに係合させた状態で、連結スリーブ39の円環帯溝40に嵌め込むように装着される。これによって、係合突起36の先端部分は、当該先端部分に設けられたテーパー面36aをパイプ挿入穴38の開口側に向けた状態で、パイプ部材29のメス側端部29bの内周面から内側に突出して配置される。
【0051】
ボタン部材37は、例えば外周面が緩やかな湾曲面となった楕円平面形状を有するブラスチック製の成形品であって、一対の押出し脚部37aを備えている。ボタン部材37は、切欠きリング部材35の切欠き部35aと連続する部分に設けられた係止溝35bに押出し脚部37aを係止して、切欠き部35aの領域の円環帯溝40を覆って、円環帯溝40との間に隙間47を保持した状態で装着される。
【0052】
一方のパイプ部材29のメス側端部29bに連結される、他方のパイプ部材29のオス側端部29aは、メス側端部29bのパイプ挿入穴38に挿入可能なように縮径している。オス側端部29aには、メス側端部29bの突起係合穴(突起挿入孔)43b及び連結スリーブ39の突起係合穴(突起挿入孔)43aと合致可能な突起係合穴(突起挿入孔)43cが形成されされている。またオス側端部29aには、突起係合穴(突起挿入孔)43cとは径方向反対側に配置されて、オス側端部29aの縁部から軸方向に延設する案内溝45が形成されている。
【0053】
そして、図8(a)に示すように、連結スリーブ39や切欠きリング部材35が装着された一方のパイプ部材29のメス側端部29bのパイプ挿入穴38に向けて、他方のパイプ部材29のオス側端部29aを挿入する。かかる挿入操作は、図8(b)に示すように、メス側端部29bの内側面から突出する位置決め案内リブ42に、オス側端部29aに軸方向に延設して設けられた案内溝45を係止して案内させることで、位置決めしながら安定した状態でスムーズに行うことが可能になる。
【0054】
また、オス側端部29aの先端の縁部がメス側端部29bの内側面から突出する係合突起36のテーパー面36aに当接するまでオス側端部29aが挿入された後に、さらにオス側端部29aを挿入する。これによって、係合突起36のテーパー面36aがオス側端部29aの先端の縁部に乗り上げることで、切欠きリング部材35が拡径すると共に、係合突起36が押し上げられる。
【0055】
図8(c)に示すように、オス側端部29aの突起係合穴(突起挿入孔)43cが、メス側端部29bの突起係合穴(突起挿入孔)43b及び連結スリーブ39の突起係合穴(突起挿入孔)43aと合致するまでオス側端部29aが挿入されると、拡径した状態の切欠きリング部材35の内側への付勢力によって、係合突起36が押し下げられる。係合突起36が押し下げられることで、合致したオス側端部29aの突起係合穴(突起挿入孔)43cと、メス側端部29bの突起係合穴(突起挿入孔)43bと、連結スリーブ39の突起係合穴(突起挿入孔)43aとに跨った状態で、係合突起36がこれらの突起係合穴(突起挿入孔)43a,43b,43cに同時に挿入、係合することになる。これによって、重ね合わされたオス側端部29aとメス側端部29bとによって、一対のパイプ部材29が強固に連結されることになる。
【0056】
本実施形態では、係合突起36が突起係合穴(突起挿入孔)43a,43b,43cに同時に挿入、係合した状態では、メス側端部29bの開口周縁部に、縮径したオス側端部29aの基端部46が突き当たった状態となるので、メス側端部29bの開口周縁部を基端部46によって支持して、さらに安定した状態で一対のパイプ部材29を連結することが可能になる。
【0057】
また、本実施形態では、連結部30によって連結された一対のパイプ部材29の連結状態を解除するには、図9に示すように、円環帯溝40との間の隙間47(図8参照)を埋めるようにして、ボタン部材37を押圧する。ボタン部材37を押圧することで、切欠きリング部材35は、係止溝35b(図7参照)に係止された押出し脚部37aを介した押出し力によって、切欠き部35aを拡開しながら円環帯溝40の外周面に沿って外側に押し出される。切欠きリング部材35が外側に押し出されることにより、係合突起36は、少なくともオス側端部29aの突起係合穴(突起挿入孔)43cから外れることになる。この状態で、メス側端部29bからオス側端部29aを抜き出して、一対のパイプ部材29の連結状態を容易に解除することが可能になる。
【0058】
なお、本実施形態の連結部30の構造によれば、メス側端部29bへのオス側端部29aの挿入を案内する位置決め案内リブ42や案内溝45が、突起係合穴(突起挿入孔)43a,43b,43cと周方向に離れた、これらと径方向反対側の部分に設けられているので、さらに安定した状態でオス側端部29aを挿入して行くことが可能になる。位置決め案内リブ42や案内溝45は、突起係合穴(突起挿入孔)43a,43b,43cと周方向に離れた位置であれば、径方向反対側の部分に設けられていなくても良い。またこれによって、オス側端部29aの突起係合穴(突起挿入孔)43cやメス側端部29bの突起係合穴(突起挿入孔)43bには、これらの周縁部に連続する突起案内溝等を設ける必要がなくなるので、突起係合穴(突起挿入孔)43b,43cの開口周縁部に突起案内溝等による段差部分が存在しなくなって、このような段差部分を介して係合突起36が外れやすくなるのを効果的に回避することが可能になる。
【0059】
そして、上述の構成を備える本実施形態の清掃具10によれば、清掃具本体11の清掃面12を覆って装着された清掃シート13の広範囲な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させながら、被清掃面の清掃を効率良く行うことが可能になる。
【0060】
すなわち、本実施形態によれば、清掃具本体11を構成するベース体15の下面は、山部17と谷部18とが連続配置された波形凹凸面部19を備えており、波形凹凸面部19の谷部18は、清掃具本体11によって清掃を行う所定の方向Xと対向する長辺部15aに端部が開口していると共に、所定の方向Xに対して斜めに延設する斜め誘導部(斜め谷部)18aを有しており、好ましくは、波形凹凸面部19の山部17には、頂部17aから突出する突リブ20が頂部17aの延設方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0061】
したがって、清掃面12を覆って清掃シート13を装着して、ハンドル部16から押圧力を加えつつ、清掃具本体11を所定の方向Xに移動させながら床面等の被清掃面を払拭すれば、被清掃面に存在する塵埃や髪の毛やごみ等の固形物は、長辺部15aに開口する谷部18の端部に接している清掃シート13部分から清掃面12の下方に取り込まれる。取り込まれた塵埃等の固形物は、斜め誘導部(斜め谷部)18aによって清掃シート13の表面に沿って誘導可能となると共に、斜めに誘導された塵埃等の固形物の一部は、斜め誘導部(斜め谷部)18aに接する清掃シート13部分からはずれて、山部17方向にも移動し、山部17の頂部17aに設けられた突リブ20の間の隙間に接する清掃シート13部分を介して、あるいは突リブ20に接する清掃シート13部分に衝突して、隣接する谷部18の方向に清掃シート13の表面に沿って送り出され、清掃シート13の全体に広がることになる。また、突リブ20が被清掃面に密着した髪の毛や固形物をかき取る事で清掃シート13に捕集、付着されることになる。これらによって、塵埃や髪の毛やごみ等の固形物は、付着物として清掃シート13の広範囲な領域に効率良く付着することになる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、ベース体の下面の波形凹凸面部は、円形状の波紋状に広がる凹凸面の一部として設けられている必要は必ずしも無く、図10(a),(b)に示すように、ひし形状に波紋状に広がる凹凸面の一部として設けられいても良い。また、波紋状に広がる凹凸面は、ベース体の中心部分を中心として波紋状に広がる凹凸面の他、中心部分からずれた位置を中心として波紋状に広がる凹凸面であっても良い。また、中心部分が複数個あっても良い。さらに、波形凹凸面部は、図10(c)〜(f)に示すように、波紋状以外のその他の形状のものであっても良い。なお、図10(c)〜(f)は谷部を模式的に描いた図である。
【0063】
また、突リブは、山部の幅方向に設けられた線状リブ片である必要は必ずしも無く、点状の突リブであっても良い。清掃具本体は、矩形平面形状以外の、楕円形、長円形等、その他の種々の平面形状を備えていても良い。さらに、補助波形凹凸面部や中央波形凹凸面部を設ける必要は必ずしもない。斜め誘導部(斜め谷部)は、直線状に斜めに延設していても良い(図10(c)〜(f)参照)。
【0064】
また、谷部の底部や山部の頂部は平面でも曲面でも良い。清掃ヘッドの下面とベース体との間に介在させるクッション材は1枚であっても3枚以上であっても良い。
【0065】
なお、ベース体は注型成形や射出成形等の一般的な製造方法で製造することができる。
【実施例】
【0066】
上記実施形態の清掃具と同様の構成を備える清掃具(図2、図3参照)を用いて、下記の清掃方法によって被清掃面の清掃作業を行ない、清掃具本体11の清掃面12を覆って装着された清掃シート13への塵埃や髪の毛やごみ等の固形物の付着状況を観察した。試験結果を図11に示す。
【0067】
〔清掃方法〕
清掃場所:一般家庭(夫婦、小・中学生の子供2人の4人家族)室内犬1匹
清掃範囲:フローリング約25畳、廊下、階段
清掃シート(商品名):クイックルワイパー・ドライシート(花王株式会社製)
ベース体:材質 ウレタン樹脂
寸法 255mm×100mm
製造方法 注型成形
突リブの高さ 0.5mm
突リブの長さ 3mm
突リブの幅 0.5mm
谷部の深さ 1mm
波形凹凸面部の山部の頂部間隔 10mm
クッション材:発泡ウレタンスポンジ
上側スポンジ材
寸法 245mm×90mm×3mm
下側スポンジ材
寸法 210mm×65mm×3mm
通常の掃除を行い、そのまま通常の生活。翌日に本願の清掃具を用いて上記清掃範囲を清掃した。
【0068】
図11に示す試験結果によれば、本発明の清掃具を用いることで、清掃具本体の清掃面を覆って装着された清掃シートの広範囲な領域に塵埃や髪の毛やごみ等の固形物を付着させて、被清掃面の清掃を効率良く行えることが判明した。
【符号の説明】
【0069】
10 清掃具
11 清掃具本体
12 清掃面
13 清掃シート
14 清掃ヘッド
14a 清掃ヘッドの天面部
15 ベース体
16 ハンドル部
17,17’,17” 山部
17a,17a’,17a” 山部の頂部
18,18’,18” 谷部
18a,18a’ 谷部の斜め誘導部(斜め谷部)
19 波形凹凸面部
19’ 補助波形凹凸面部
19” 中央波形凹凸面部
20,20’,20” 突リブ
21 清掃ヘッドの補強リブ
22 ハンドル支持ジョイント部
23 回転ジョイント部
24 シート保持部
24a 係着スリット
25 クッション材
27 柄部
28 ロッド部
29 パイプ部材
30 連結部
50 被清掃面
C ベース体の短手方向中心線
X 清掃具本体によって清掃を行う所定の方向
Y 清掃具本体によって清掃を行う所定の方向と平面視して垂直(直角)な方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
清掃ヘッドと、該清掃ヘッドの下面を覆って取り付けられたベース体とからなる清掃具本体と、前記清掃ヘッドの下面と反対側の面に取り付けられたハンドル部とを備え、前記ベース体の下面による清掃面を覆って清掃シートが装着されて、該清掃シートにより被清掃面を払拭する清掃具であって、
前記ベース体の下面は、前記清掃具本体によって清掃を行う所定の方向と、平面視して垂直な方向での断面が山部と谷部とが交互に連続配置された波形断面形状となっている波形凹凸面部を備えており、
該波形凹凸面部の前記谷部は、前記ベース体の前記所定の方向と対向する辺部に端部が開口していると共に、前記所定の方向に対して斜めに延設している斜め谷部を有している清掃具。
【請求項2】
前記波形凹凸面部の前記山部には、少なくとも前記谷部の斜め谷部に沿った部分に、当該山部の頂部から突出する突リブが前記頂部の延設方向に間隔をおいて複数設けられている請求項1記載の清掃具。
【請求項3】
前記突リブは、前記山部の幅方向に設けられた線状リブ片となっている請求項2記載の清掃具。
【請求項4】
前記線状リブ片は、前記所定の方向に対して斜めに設けられている請求項3記載の清掃具。
【請求項5】
前記波形凹凸面部は、前記ベース体の全面に波紋状に広がる凹凸面の一部として設けられている請求項1〜4の何れか1項記載の清掃具。
【請求項6】
前記波紋状に広がる凹凸面は、前記ベース体の全面に円形状又はひし形状に広がる凹凸面である請求項5記載の清掃具。
【請求項7】
前記清掃具本体は、矩形平面形状を有しており、前記ベース体の前記所定の方向と対向する辺部は、前記矩形平面形状の長辺部である請求項1〜6の何れか1項記載の清掃具。
【請求項8】
前記ベース体の下面は、前記所定の方向での断面が山部と谷部とが交互に連続配置された波形断面形状となっている補助波形凹凸面部を備えており、
該補助波形凹凸面部の前記谷部は、前記ベース体の前記矩形平面形状の短辺部に端部が開口していると共に、前記短辺部に対して斜めに延設する補助斜め谷部を有している請求項7記載の清掃具。
【請求項9】
前記補助波形凹凸面部の前記山部には、少なくとも前記谷部の補助斜め谷部に沿った部分に、当該山部の頂部から突出する突リブが前記頂部の延設方向に間隔をおいて複数設けられている請求項8記載の清掃具。
【請求項10】
前記清掃ヘッドの下面と前記ベース体との間に介在させて、クッション材が前記清掃ヘッドの下面の略全域に亘って装着されており、前記クッション材により前記ベース体を押し出して前記ベース体の下面を湾曲形状に突出させた状態から、前記ハンドル部による前記清掃具本体への押圧力によって前記クッション材が押し潰されて、前記清掃シートによって覆われた前記ベース体の下面を平坦な面とする請求項1〜9の何れか1項記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−183153(P2011−183153A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−27446(P2011−27446)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】