説明

清掃具

【課題】被清掃面の表面状態に拘わらずにスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体が確実に回転して優れた清掃性能が得られる清掃具を提供すること。
【解決手段】本発明の清掃具1は、被清掃面S上の清掃対象物Gを掻き上げる掻上ロール体3と、掻上ロール体3が掻き上げた清掃対象物Gを収容する除去物収容部5とを備え、掻上ロール体3と被清掃面Sとの接触状態を一定に維持するガイド手段6を有し、
前記ガイド手段6が、前方に向かうにつれて上方に持ち上がったソリ部61と平坦な下面を有する平坦後方部63とを有するガイド部、又はローラー状のガイド部であり、ガイド部は掻上ロール体3の下部前方に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住居内で絨毯やフローリング等の床面を清掃する際に好適に用いられる清掃具に関し、特に、被清掃面に接しながら回転し、該被清掃面上の塵埃等を掻き上げて除去する手動式の清掃具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、主として絨毯からなる床面を清掃する手動式の清掃具として、被清掃面に接触して回転する駆動輪と、該駆動輪に連動して回転するロール状のブラシとを具備し、回転するブラシにより被清掃面の塵埃等を掻き上げさせて除去するようにした回転ブラシ式の清掃具が知られている(特許文献1〜3参照)。
しかし、絨毯には毛足の長いものや短いもの、表面に凹凸を設けて模様を表したもの等、多くの種類が存在しており、従来の回転ブラシ式の清掃具は、毛足が長いものや表面に凹凸を持つ絨毯などの場合には、清掃具を動かす際にブラシや他の部分が大きな抵抗を受けたり、引っかかったりしてスムーズに清掃できなかったり、ボディが絨毯に接触して駆動輪が回らず、その結果、掻き取りが不十分となったりする場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭63−111831号公報
【特許文献2】特開2004−81810号公報
【特許文献3】特許平1−262827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、被清掃面の表面状態に拘わらずにスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体が確実に回転して優れた清掃性能が得られる清掃具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、清掃具に加えられる操作力により回転する駆動輪と、前記駆動輪から得られる回転力により回転して被清掃面上の清掃対象物を掻き上げる掻上ロール体と、前記掻上ロール体を支持し、該掻上ロール体の回転軸高さ位置を前記駆動輪の回転軸高さ位置に対して上下に変位させるスイング体と、前記掻上ロール体が掻き上げた清掃対象物を収容する除去物収容部とを備え、前記掻上ロール体と前記被清掃面との接触状態を一定に維持するガイド手段を有している清掃具を提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の清掃具は、被清掃面の表面状態に拘わらずにスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体が確実に回転して優れた清掃性能が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態に係る清掃具を示す斜視図である。
【図2】図1の清掃具の主要部を前方から視た状態を示す図である。
【図3】図1のA−A線模式断面図である。
【図4】図1のB−B線模式断面図である。
【図5】掻上ロール体を回転させる機構を説明する図である。
【図6】図6(a)〜図6(d)は、図1に示す清掃具のガイド手段であるガイドアームを示す図であり、図6(a)及び図6(b)には、スイング体に固定した状態のガイドアームが示されており、図6(c)〜(d)には、スイング体に固定する前あるいはスイング体から取り外した状態のガイドアームが示されている。
【図7】図1に示す清掃具で毛足の長い絨毯を清掃する様子を示す図である。
【図8】図1に示す清掃具で表面に凹凸を有する絨毯を清掃する様子を示す図である。
【図9】掻上ロール体の他の例を示す斜視図である。
【図10】スイング体が被清掃面から離れる理由を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本実施形態の清掃具1は、図1〜図4に示すように、清掃具に加えられる操作力により回転する駆動輪2,2と、駆動輪2,2から得られる回転力により回転して被清掃面上の清掃対象物を掻き上げる掻上ロール体3と、掻上ロール体3を支持し、掻上ロール体3の回転軸高さ位置を駆動輪2,2の回転軸高さ位置に対して上下に変位させるスイング体4と、掻上ロール体3が掻き上げた清掃対象物を収容する除去物収容部5とを備え、掻上ロール体3と被清掃面との接触状態を一定に維持するガイド手段6を有している。
【0009】
本実施形態の清掃具1は、主として絨毯からなる床面の清掃に用いられるものである。絨毯を清掃する場合の被清掃面は、多数の毛が存在する絨毯の表面である。
【0010】
清掃具1における駆動輪2,2は、清掃具操作用の操作部71を取り付け可能な操作基部(取付部)72を有する本体7に回転自在に支持されている。
本体7は、掻上ロール体3の軸長方向(図1の左右方向)と同方向に長い細幅板状の背面部73と、該背面部73の長手方向の両端から前方に向かって略垂直に延びる軸保持部74,74とを有する。背面部73の長手方向中央部には前述した操作基部72が突設されており、該操作基部72には、棒状の操作部71を脱着自在に取り付け可能である。図1には、操作基部72に操作部71を取り付けた状態が示されている。
本実施形態における操作基部72は、取付部として機能すると共に、操作部71の実質的な長さを長くする機能を有する。
なお、操作基部72を、人手で直接把持したり、或いは、操作基部72に直接把持部75を接続することにより、いわゆるハンディタイプの清掃具とすることもできる。操作基部72を人手で直接把持して使用する実施形態は、操作基部72自体が操作部である。
【0011】
図1に示す操作部71は、清掃作業を行う者が手で握る把持部75を一端部付近に有しており、また、その長さを調節可能である。操作基部72に操作部71を脱着自在に取り付ける機構としては各種公知の機構を採用できる。また、操作部71の長さを調節可能とする方法としては、各種公知の方法を採用でき、例えば、外筒に対する内筒の挿入の程度を適宜に変更した上でその状態を固定できる機構の採用や、複数本の棒状体のなかから任意に選択した本数の棒状体を継ぎ足す方法等がある。本体に操作部を取り付けるための取付部は、操作基部72のように突出したものに限られず、本体の背面部等に設けたねじ孔であっても良い。
【0012】
清掃具1における駆動輪2,2は、図3に示すように、駆動輪2のボス部23が、軸保持部74に回転自在に支持されている。本実施形態では図3に示すように、ボス部23は一定幅の細径部230を有する円筒形状を有していて、駆動輪2が回転自在になるように該細径部230が前記軸保持部74の切り欠き部740にはめ込まれている。該細径部230と切り欠き部740とは直接回転摺動させても良く、ベアリングを介して、駆動輪2を回転自在となしても良い。当該切り切り欠き部740の内周面又は端面には細径部230が抜け出ない為に、ストッパー等の従来技術が適宜施されている。また、軸体21は駆動輪2のボス部23の軸体挿入孔235に挿入され、従来から使用されている軸固定用のセットボルト(六角穴付き止めねじ)や、軸体挿入孔235との嵌合等で固定される。軸体21の、前記ボス部23の反対側長手方向には、第1ギア22が従来技術で固定されている。なお、本実施形態では前記軸体21は、前記スイング体4の側面を貫通して、該側面の内面とC型リング等の固定具で回転摺動可能にスイング体4に取り付けられている。
【0013】
スイング体4は、本体7に対する角度が、被清掃面の表面状態に応じて変動可能なように、該本体7に連結されている。
より詳細に説明すると、スイング体4は、本体7の軸保持部74,74間に位置し、一の軸体21Aがスイング体4の一の側壁部45Aを貫通している。また、他方の軸体21Bがスイング体4の他の側壁部45Bを貫通して、前記一の軸体21Aと他方の軸体21Bは別体としてスイング体4に取り付けられている。スイング体4は、駆動輪2の回転軸でもある軸体21とボス部23を介して本体7と連結されており、該軸体21を中心軸として回動自在(スイング動作自在)となっている。このように、スイング体4が軸体21を回動軸として回動自在であることによって、本体7に対する相対角度が、被清掃面の表面状態に応じて自在に変動可能である。また、軸体21を中心軸として回動可能であることによって、スイング体4の軸体21から離間した位置に保持されている掻上ロール体3の回転軸高さ位置が、駆動輪2の回転軸高さ位置に対して上下に変位する。ここで回転軸高さとは、被清掃面に対して垂直方向の、被清掃面と各軸中心までの距離をいう。
【0014】
本実施形態におけるスイング体4は、図4に示すように、掻上ロール体3の保持部41と、掻上ロール体3によって掻き上げられた清掃対象物を収容する除去物収容部5とが一体化された構成を有している。スイング体4は、上壁部43、下壁部44及び左右の側壁部45,45を有しており、掻上ロール体3は、スイング体4の前部4Aにおける、上壁部43、下壁部44及び左右の側壁部45,45に囲まれた空間内に、その軸体31を回転可能に支持された状態で保持されている。スイング体4の後部4Bにおける、上壁部43、下壁部44及び左右の側壁部45,45に囲まれた空間内には、6面体の6面のうち掻上ロール体3に臨む面を開口させた形状の箱状体46が脱挿自在に嵌合されており、該箱状体46の内部が除去物収容部5となっている。除去物収容部5の内部には、掻上ロール体3に掻き上げられた清掃対象物が収容される。
【0015】
図4に示すように、スイング体4の前部4Aにおける下壁部44は、掻上ロール体3の外周面に沿う断面円弧状の形状を有し、掻上ロール体3が掻き上げた清掃対象物がスムーズに除去物収容部5へと導かれる。また、スイング体4の保持部41と除去物収容部5との間の下壁部44には段差47が形成されており、除去物収容部5に収容された清掃対象物Gの逆戻りが防止されている。
【0016】
本実施形態の清掃具1における掻上ロール体3は、回転ブラシであり、円柱状の軸体31の周囲にブラシ部32を有している。ブラシ部32は、ぶた毛などの獣毛や合成樹脂等からなる毛が、軸体31又は軸体31の周囲に同軸に固定された円筒状部材(図示せず)に放射状に植設されてなる。軸体31は、掻上ロール体3の両端それぞれから突出し、突出した軸体31は、スイング体4の側壁部45を貫通している。軸体31における、側壁部45から外部に突出する部分には、図5に示すように、第2ギア33が固定されている。軸体31は、掻上ロール体3と第2ギア33との間を側壁部45に設けた貫通孔(図示せず)に支持された状態で、掻上ロール体3と第2ギア33と共に一体的に回転する。
【0017】
スイング体4の左右両側において、第1ギア22と第2ギア33は、図5に示すように、両ギアに噛み合う第3ギア48を介して連動して回転するようになっている。また、第1ギア22、第2ギア33及び第3ギア48は、スイング体4の両側それぞれに形成されたギアボックス49内に収容されている。ギアボックス49は、スイング体4の後部4Bにおける各側壁部45と、各側壁部45に一体的に形成した周壁部49aと、周壁部49aの開口周縁部に嵌合した蓋部49bとに囲まれた空間として形成されている。側壁部45と蓋部49bには、第1ギア22の軸体21及び第2ギア33の軸体31が貫通する貫通孔が形成されている。また、第3ギア48の回転軸となる軸体48aの両端は、側壁部45と蓋部49bとに回転自在に固定されている。
【0018】
本実施形態の清掃具1には、ガイド手段6として、前方に向かうにつれて上方に持ち上がったソリ部61を有するガイドアーム62(ガイド部)が設けられている。図6に示すように、ガイドアーム62は、スイング体4の側壁部45の外面下部に固定されており、非固定側の端部である前端部にソリ部61を有している。図6(a)及び図6(b)には、スイング体4に固定した状態のガイドアーム62が示されており、図6(c)〜(e)には、スイング体4に固定する前あるいはスイング体から取り外した状態のガイドアーム62が示されている。図6に示すように、ガイドアーム62は、断面円弧状の下面を有するソリ部61と平坦な下面を有する平坦後方部63とを有している。
ガイドアーム62(ガイド手段)は、掻上ロール体3の下部前方に、前述したソリ部61を有することが好ましい。掻上ロール体3の下部前方とは、掻上ロール体3の回転軸の中心線の位置より下方に位置し、該中心線より進行方向の前方(図4の左方向)に位置する部分である。平坦後方部63の面積は、本実施形態の清掃具1の使用時に、駆動輪2の回転によって発生するトルクをスイング体4が受けて、掻上げロール体3が被清掃面Sに深く沈むことを防止できる大きさにすることが好ましい。
【0019】
本実施形態におけるガイドアーム62は、スイング体4に対する取り付け角度を調節可能である。より具体的には、ガイドアーム62は、側壁部45から突出する第1の突起64を回動軸として回動させることができる。回動可能な範囲は、円弧状の長孔65の一端部に側壁部45に突設されたボルト部66が位置する位置(図6(a)参照)から、長孔65の他端部に、前記ボルト部66が位置することになる位置(図6(b)参照)までの範囲である。ガイドアーム62は、突起64を中心として任意の位置まで回動させた後、ボルト部66にナット(図示略)を螺合させて締め付けることで、その位置に固定することができる。
このように、本実施形態の清掃具1は、ガイドアーム62のスイング体4に対する取り付け角度を調節可能であるため、本実施形態の清掃具は、清掃する絨毯の種類や毛足の長さ等に応じて、掻上ロール体3と被清掃面との位置関係が適切な状態となるように取り付け角度を調整した後、清掃することができる。
【0020】
本実施形態の清掃具1を用いて床面の絨毯を清掃する場合には、図7に示すように、清掃具1を被清掃面S上に置き、把持部75を握って操作部71を押して、清掃具1を前方に向かって(図7中の矢印X方向)に移動させる。この移動に伴い、被清掃面Sに接触している駆動輪2が回転し、操作部71を介して加えた操作力が回転力に変換され、その回転力は、駆動輪2と一体的に回転する第1ギア22、第1ギア22に噛み合う第3ギア48及び第3ギア48に噛み合う第2ギア33を介して、掻上ロール3へと伝達される。清掃具1に加えられる操作力は、該清掃具1を移動させるために該清掃具1に加えられる力である。第1ギア22と第3ギア48とのギア比及び第3ギア48と第2ギア33とのギア比は、清掃具1の進行速度V1より掻上ロール体3の外周部における周速度V2が早くなるように設定してあり、掻上ロール3は、進行速度V1より速い周速度V2で、図4及び図7中、矢印Y方向に回転する。
この掻上ロール3の回転によって、被清掃面S上の清掃対象物Gが掻き上げられ、掻き上げられた清掃対象物Gが除去物収容部5内に収容される。本実施形態の清掃具1は、当該清掃具の進行速度V1よりも速い周速度V2で掻上ロール体を速く回転させることにより、被清掃面上の清掃対象物除去を効果的に行い、清掃効果を増す機能を有している。除去物収容部5内に、清掃対象物Gがある程度たまった場合には、箱状体46をスイング体4から引き出して、内部の塵埃等を廃棄し、スイング体4に再度セットして用いるか、又は箱状体46を廃棄して新しいものと交換する。
【0021】
本実施形態の清掃具1は、掻上ロール体3を支持するスイング体4が本体7に対して回動可能であると共にガイドアーム62(ガイド手段)6を有するため、図7に示すように、絨毯の毛足が長く、駆動輪2が絨毯に大きくめり込むような場合であっても、掻上ロール体3は、駆動輪2に対して上方に変位するために(すなわち、回転軸高さ位置が高くなるために)、過度にめり込むことがなく、掻上ロール体3と被清掃面Sとの接触状態が一定に維持される。そのため、清掃作業中に清掃具1が受ける抵抗が小さく、清掃具1を小さな力でスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体3が確実に回転して優れた清掃性能が得られる。
【0022】
また、絨毯には、表面に毛足の長い部分と短い部分とを設け、それらによって表面に模様等を表したもの等、表面に凹凸を有するものがあるが、そのような絨毯を清掃する場合にも、掻上ロール体3を支持するスイング体4が本体7に対して回動可能であると共にガイドアーム62(ガイド手段)6を有するため、図8に示すように、掻上ロール体3が毛足の短い部分から毛足の長い部分に移行する際には、掻上ロール体3が上方に変位し、絨毯の表面に生じている段差に、掻上ロール体3が引っかかること等が防止される。そのため、清掃作業中に清掃具1を小さな力でスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体3が確実に回転して優れた清掃性能が得られる。
このように、本実施形態の清掃具1によれば、被清掃面の表面状態に拘わらずにスムーズに動かすことができ、操作性に優れていると共に、掻上ロール体が確実に回転して優れた清掃性能が得られる。
【0023】
また、本実施形態の清掃具1の駆動輪2は、正逆両方向に回転可能であるが、清掃具1を前進させた時、即ち駆動輪2を矢印C方向に回転させたときには、その回転力が掻上ロール体3に伝達されて掻上ロール体3が回転する一方、清掃具1を後進させた時、即ち駆動輪2を矢印D方向に回転させたときには、その回転力が掻上ロール体3に伝達されずに掻上ロール体3が回転しないようになっている。具体的には、駆動輪2に、前進時のみ回転力を軸体21に伝達し、後進時には空回りして軸体21に回転力を伝達しないラチェット機構(図示せず)を設けてある。
このように、掻上ロール体3の逆回転を防止する逆転防止機構を設けることで、掻き上げた清掃対象物Gが再び外部に放出されることを防止することができる。
掻上ロール体3の逆回転を防止する逆転防止機構としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができ、特許文献2の〔0021〕〜〔0024〕に記載されている機構を採用することもできる。
【0024】
また、前述のように、スイング体4の保持部41と除去物収容部5との間の下壁部44には段差47が形成されており、除去物収容部5に収容された清掃対象物Gの逆戻りが十分に防止されている場合等には、逆転防止機構を使用しないこともできる。この場合、把持部75を持って、清掃具を後退させて、掻上ロール体3を逆回転した時には、スイング体4が軸体21を回動軸として上方向に回動することにより、被清掃面Sから離れ、被清掃面Sとの摩擦抵抗を減らして操作力を少なくすることができる。スイング体4が被清掃面Sから離れる理由は、以下の通りであると考えられる。
即ち、図10に示すように、清掃具を後退時の操作力は、駆動輪2に固定されている第1ギア22を逆回転(図10では右回転)させる回転トルクに変換される。この回転トルクは第3ギア48を回転させる力F1と第3ギア軸を支えるスイング体4を持ち上げようとする力F2に分解される。軸体21まわりのモーメントを考えると、L2×F2>L1×Wの場合にスイング体4が持ち上がる。ここで、L2は、軸体21の中心から第2ギア中心軸までの距離、F2は、スイング体4を持ち上げようとする力、L1は、軸体21の中心からスイング体4の重心までの距離、Wはスイング体4の自重である。また、第3ギア48と第2ギア33との減速比が大きいほど第3ギアの回転抵抗が増加する為、第3ギア48を回転させる力F1が減少する。従って、スイング体4を持ち上げようとする力F2が増大するため、清掃具を後退させた時に掻き上げロール体3が逆回転する間もなく、スイング体4が持ち上がることになる。
【0025】
本発明は、上記実施形態に制限されず、種々の変更が可能である。
例えば、ガイド手段6として、上述したガイドアーム62に代えて、ローラーを設けることもできる。ローラーは、被清掃面に接触して回転することで被清掃面からの抵抗を受けにくいものであり、駆動輪2が絨毯に大きくめり込むような場合であっても、掻上ロール体3を上方に変位させて該掻上ロール3が絨毯にめり込むことを防止し、掻上ロール体3と被清掃面Sとの接触状態を一定に維持することができる。このようなローラーも、掻上ロール体3の下部前方に設けることが、掻上ロール体3と被清掃面Sとの接触状態の維持等の観点から好ましい。
【0026】
また、掻上ロール体としては、上述したような植毛ブラシに代えて、ねじりブラシや、ゴムやスポンジなどのブレードを一つあるいは複数備えたものを用いることもできる。図9に、ゴムやスポンジなどからなるブレード34を円柱状のロール本体35の周囲に周方向に離間させて複数設けた掻上ロール体3Aを示した。
【0027】
また、駆動輪2の回転力を掻上ロール体3に伝達する機構や清掃具1の移動速度より掻上ロール体3の周速度を早くする機構としては、ギアを組み合わせたものに代えて、プーリー、チェーンなどを用いたもの、あるいはこれらを組み合わせた機構を採用することもできる。また、特許文献2の段落〔0025〕〜〔0027〕に記載の機構を採用することもできる。また、上述した清掃具1においては、一対の駆動輪2,2それぞれの回転力をギアにより掻上ロール体3に伝達したが、一方の駆動輪2のみの回転力により掻上ロール体3を回転させることもできる。
【0028】
本体は、清掃具操作用の操作部を取り付け可能な取付部(操作基部72等)を有するものに代えて、清掃具操作用の操作部が脱着不可能に設けられているものであっても良い。また、スイング体4は、駆動輪2の回転軸となる軸体21を回動の軸とするものに代えて、該軸体21とは別に該軸体21と平行に設けた軸体を回動の軸として回動するものであっても良い。
【符号の説明】
【0029】
1 清掃具
2 駆動輪
3 回転ブラシ(掻上ロール体)
4 スイング体
5 除去物収容部
6,62 ガイドアーム(ガイド手段)
7 本体
X 清掃具の進行方向
Y 掻上ロール体の回転方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被清掃面上の清掃対象物を掻き上げる掻上ロール体と、前記掻上ロール体が掻き上げた清掃対象物を収容する除去物収容部とを備え、前記掻上ロール体と前記被清掃面との接触状態を一定に維持するガイド手段を有し、
前記ガイド手段が、前方に向かうにつれて上方に持ち上がったソリ部と平坦な下面を有する平坦後方部とを有するガイド部、又はローラー状のガイド部であり、
前記ガイド部は前記掻上ロール体の下部前方に設けられている清掃具。
【請求項2】
前記掻き上げロール体の周速度は清掃具の進行速度より速い請求項1に記載の清掃具。
【請求項3】
前記ガイド手段が、前記掻上ロール体と被清掃面との位置関係を調節可能に設けられている請求項1又は2に記載の清掃具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−81829(P2013−81829A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−23089(P2013−23089)
【出願日】平成25年2月8日(2013.2.8)
【分割の表示】特願2008−188878(P2008−188878)の分割
【原出願日】平成20年7月22日(2008.7.22)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)