説明

清掃用シート及びその製造方法

【課題】基材シートに長繊維集合体を接合させてなる清掃用シートにおいて、絡みやすいゴミ及び絡みにくい粒状ゴミを捕集できる清掃用シート及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の清掃用シートは、基材シート20の片面又は両面に、長繊維11が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体10を、長繊維11の配向方向に離間させて接合させてなり、基材シート20を利用して、ヘッド部31及びヘッド部31に連結された柄32を備えた清掃具30におけるヘッド部31に装着されて使用される清掃用シート1であって、基材シート20には、長繊維集合体10を基材シート20に接合するための集合体粘着部41、及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部42が設けられており、集合体粘着部41は、長繊維集合体10における基材シート20との対向面の一部のみを基材シート20に接合しており、ゴミ粘着部42は、離間した長繊維集合体10,10の間の基材シート20に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材シートに、長繊維が一方向に配向して集合してなる長繊維集合体を接合させてなり、該基材シートを利用してヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シート、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートとして、基材シートに、長繊維が一方向に配向して集合してなる長繊維集合体を接合させてなるものが知られている。
しかし、長繊維集合体を備えた清掃用シートによれば、長繊維の自由度が高いため、髪の毛や綿埃等の絡みやすいゴミの捕集性能は高いものの、パン屑やゴマ等の絡みにくい粒状ゴミの捕集性能が低い。
【0003】
一方、清掃面を不織布及び粘着部から構成した清掃用シートが知られている(例えば、下記特許文献1,2参照)。
しかし、特許文献1,2に記載の清掃用シートにおいては、パン屑やゴマ等の粒状ゴミを粘着部の粘着力により効率的に捕集することができるものの、不織布は、構成繊維の自由度が低く、絡みにくいため、粘着部の粘着力が低下した後においては、髪の毛や綿埃等のゴミの捕集性能が大幅に低下する。
【0004】
【特許文献1】特開平9−164110号公報
【特許文献2】特開平9−224895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の第1の目的は、基材シートに、長繊維が一方向に配向して集合してなる長繊維集合体を接合させてなり、該基材シートを利用してヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートにおいて、髪の毛や綿埃等の絡みやすいゴミ及びパン屑やゴマ等の絡みにくい粒状ゴミの何れに対しても効率的に捕集することができ、捕集性能が高い清掃用シートを提供することにある。
【0006】
また、本発明の第2の目的は、上記清掃用シートを効率的に製造することができる清掃用シートの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材シートの片面又は両面に、長繊維が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体を、長繊維の配向方向に離間させて接合させてなり、該基材シートを利用して、ヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートであって、前記基材シートには、前記長繊維集合体を該基材シートに接合するための集合体粘着部、及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部が設けられており、前記集合体粘着部は、前記長繊維集合体における前記基材シートとの対向面の一部のみを該基材シートに接合しており、前記ゴミ粘着部は、離間した前記長繊維集合体の間の前記基材シートに設けられている清掃用シートを提供することにより、上記第1の目的を達成するものである。
【0008】
本発明は、基材シートの片面又は両面に、長繊維が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体を長繊維の配向方向に離間させて接合させてなり、該基材シートには、前記長繊維集合体を該基材シートに接合するための集合体粘着部及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部が設けられており、該基材シートを利用してヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートを製造する方法であって、前記基材シートに、前記集合体粘着部及び前記ゴミ粘着部を同一の塗工装置により塗工して設ける清掃用シートの製造方法を提供することにより、上記第2の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清掃用シートによれば、基材シートに、長繊維が一方向に配向して集合してなる長繊維集合体を接合させてなり、該基材シートを利用してヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートにおいて、髪の毛や綿埃等の絡みやすいゴミ及びパン屑やゴマ等の絡みにくい粒状ゴミの何れに対しても効率的に捕集することができ、捕集性能が高い。
また、本発明の清掃用シートの製造方法によれば、上記清掃用シートを効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の清掃用シートについて、その好ましい一実施形態である第1実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
図1には、本発明の清掃用シートの第1実施形態の斜視図が示されている。図2(a)には、図1に示す清掃用シートの平面図が示され、図2(b)には、図2(a)に示すB−B線断面図が示されている。
【0011】
第1実施形態の清掃用シート1は、図1及び図2に示すように、基材シート20の片面に、長繊維11が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体10を、長繊維11の配向方向に離間させて接合させてなる清掃用シートである。長繊維11は、通常、製造時におけるその素材の搬送方向に配向している。ここでいう「長繊維11が一方向に配向している」には、製造上の誤差等によって、一部の長繊維11の配向方向が、その他の大部分の長繊維11の配向方向からずれた場合も含まれる。
【0012】
また、第1実施形態の清掃用シート1は、図3に示すように、基材シート20を利用して、ヘッド部31及びヘッド部31に連結された柄32を備えた清掃具30におけるヘッド部31に装着されて使用される清掃用シートである。長繊維集合体10がヘッド部31に装着された状態において、長繊維11は、清掃具30の清掃方向D1に配向している。
【0013】
「清掃具30の清掃方向D1」とは、通常の使用態様において清掃具30のヘッド部31を移動させる方向であり、第1実施形態においては、平面視で長方形状のヘッド部31における短辺に沿う方向である。ここでいう「長繊維11は、清掃具30の清掃方向D1に配向している」には、一部の長繊維11の配向方向が、その他の大部分の長繊維11の配向方向からずれた場合も含まれる。
【0014】
長繊維集合体10の平面視形状は、巨視的に視て長方形状であり、その幅方向(短手方向)と長繊維11の配向方向とが一致している。
第1実施形態においては、長繊維集合体10は、基材シート20の片面のみに接合されている。長繊維集合体10は、基材シート20の一面につき、長繊維11の配向方向に離間し、並列して2個設けられている。
【0015】
基材シート20は、長方形状であり、その長手方向と長繊維集合体10の長手方向とを一致させて、換言すると、その幅方向と長繊維集合体10の幅方向とを一致させている。基材シート20の詳細については後述する。
基材シート20には、長繊維集合体10を基材シート20に接合するための集合体粘着部41、及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部42が設けられている。
【0016】
集合体粘着部41は、長繊維集合体10における基材シート20との対向面の一部のみを基材シート20に接合しており、ゴミ粘着部42は、離間した長繊維集合体10,10の間の基材シート20に設けられている。
尚、以下の説明においては、特に明記のない限り、「長手方向」とは、長繊維集合体10、基材シート20、集合体粘着部41又はゴミ粘着部42の長手方向を意味し、「幅方向」とは、長繊維集合体10、基材シート20、集合体粘着部41又はゴミ粘着部42の幅方向を意味する。
【0017】
長繊維集合体10は、長繊維11が所定の厚みをもって配向されて形成されている。長繊維11は、基材シート20の幅方向に配向している。従って、長繊維集合体10は、その配向方向が基材シート20の長手方向と直交するように、基材シート20に接合されている。
【0018】
長繊維集合体10の長さ(長繊維11の配向方向と直交する方向に沿う長さ)は、好ましくは200〜350mm、更に好ましくは250〜300mmである。長繊維集合体10の幅(長繊維11の配向方向に沿う長さ)は、好ましくは20〜150mm、更に好ましくは40〜135mmである。
長繊維集合体10の厚み(高さ)は、好ましくは0.5〜30mm、更に好ましくは1〜10mmである。長繊維集合体10の厚みは、0.3kPaの荷重下において測定した値である。
長繊維集合体10における長繊維11の質量は、好ましくは0.5〜15g、更に好ましくは1.5〜5gである。
【0019】
長繊維集合体10においては、長繊維11は、その配向方向と直交する方向の全域に連続的に延びる1本の接合線12によって接合されている。接合線12は、巨視的に視て、長繊維11の配向方向と直交する方向に延びていればよい。接合線12は、公知の接合手段、例えばヒートシール、ホットメルト系接着剤等による接着により形成される。長繊維11が接合線12によって接合されることにより、長繊維集合体10は、長繊維11の集合状態が維持されている。
【0020】
長繊維集合体10において、長繊維11は、接合線12:1cmあたり、片側に1〜5本設けられていることが好ましく、2〜4本設けられていることが更に好ましい。
【0021】
長繊維11の繊維長は、埃の絡み取り性の観点から、好ましくは30〜150mm、更に好ましくは50〜120mmである。長繊維11の繊維長とは、接合線12から長繊維11の先端までの長さである。第1実施形態においては、このような繊維長を有する長繊維11を繊維束(トウ)の状態で用いる。繊維束は、公知の開繊装置を用いて十分に開繊しておくことが好ましい。
長繊維11の太さは、特に臨界的ではないが、埃の絡み取り性や清掃対象面への傷付き防止性の観点から、0.1〜200dtex、特に2〜30dtexであることが好ましい。
【0022】
長繊維11として捲縮性繊維を用いると、埃の絡み取り性が一層向上するので好ましい。捲縮性繊維としては、二次元捲縮又は三次元捲縮したものを用いることができる。捲縮率(JIS L0208)は、埃の絡み取り性の向上の点から、5〜50%、特に10〜30%であることが好ましい。捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さAに対する、繊維を引き伸ばしたときの長さAと元の繊維の長さBとの差の百分率で定義され、下記の式から算出される。
捲縮率=(A−B)/A × 100(%)
【0023】
元の繊維の長さBとは、繊維が自然状態において、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばしたときの長さAとは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばしたときの最小荷重時の長さをいう。
【0024】
また、捲縮によりジグザク形状に屈曲している長繊維11は、その捲縮数〔1インチあたりの捲縮数(山と谷との合計数の1/2)〕が1インチあたり、3〜80個であることが好ましく、5〜50個であることが更に好ましい。1インチあたりの捲縮数は、JIS L1015 8.12.1に準じて測定し、1インチあたりに換算する。
【0025】
長繊維11には、土埃等の微粒状ゴミの捕集性を向上させるために、吸着剤を含ませておくことが好ましい。
長繊維11としては、製品としての外観の向上、付着汚れの見え易さの向上等のため、白色以外の色(例えば、オレンジ色、水色)のものを用いることもできる。
【0026】
基材シート20の長さ〔清掃方向(長繊維11の配向方向)と直交する方向D2に沿う長さ〕は、長繊維集合体10の長さとほぼ同じになっている。基材シート20の幅〔清掃方向D1(長繊維11の配向方向)に沿う長さ〕は、2個の長繊維集合体10及びゴミ粘着部42の幅の合計よりも更に広くなっており、基材シート20における長繊維集合体10よりも幅方向外方の領域(以下「フラップ21」という)は、清掃具30のヘッド部31に装着される際に用いられる(詳細は後述)。
【0027】
基材シート20は、その長手方向に柔軟性を有しており、清掃対象面に沿って追随し易くなっている。そのため、基材シート20に接合されている長繊維集合体10も、清掃対象面に沿って追随し易くなるので、清掃用シート1によるゴミ、埃等の捕捉効果が高くなっている。
基材シート20の形成材料としては、従来の清掃用シートに用いられている不織布等の繊維シートを用いることができる。特に、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布が好ましい。また、基材シート20の形成材料は、不織布、ネット状シート、フィルム、合成紙又はそれらの複合材料でもよい。
【0028】
長繊維集合体10は、集合体粘着部41によって基材シート20に接合されている。集合体粘着部41は、長繊維集合体10における基材シート20との対向面の一部のみを基材シート20に接合している。長繊維集合体10における基材シート20との対向面の全面を基材シート20に接合すると、長繊維11の自由度が低くなり過ぎるため好ましくない。
【0029】
集合体粘着部41は、面状に設けることができ、接合線12に対応する部分のみに線状に設けることもできるが、第1実施形態においては、接合線12に対応する部分及び該部分よりも幅方向内方の部分に設けられており、ゴミ粘着部42と一体的に設けられている。一方、接合線12に対応する部分よりも幅方向外方の部分には、集合体粘着部41は設けられていない。即ち、基材シート20の一面につき、粘着部は、集合体粘着部41とゴミ粘着部42とが一体化してなる1個の一体粘着部40のみが設けられている。
【0030】
第1実施形態におけるゴミ粘着部42は、一体粘着部40のうち、離間した長繊維集合体10,10に挟まれた、ゴミを粘着捕集する部分である。自ずと、ゴミ粘着部42は、長繊維集合体10と基材シート20との接合には寄与しない。ゴミ粘着部42の幅は、粒状ゴミの粘着捕集性を確保する観点から、好ましくは20〜80mm、更に好ましくは40〜60mmである。
【0031】
集合体粘着部41及びゴミ粘着部42は、所望の粘着特性を有する公知の粘着剤(例えばホットメルト系粘着剤)から形成することができる。ただし、第1実施形態のように、集合体粘着部41とゴミ粘着部42とが一体化している形態においては、集合体粘着部41の粘着特性とゴミ粘着部42の粘着特性とを異ならせることは事実上困難である。従って、集合体粘着部41及びゴミ粘着部42(一体粘着部40)の粘着特性は、長繊維集合体10と基材シート20との接合性及び粒状ゴミの粘着捕集性を兼ね備えた特性を有していることが好ましい。このような粘着特性を有する粘着剤として、特にゴム系のホットメルト系粘着剤を選択することが好ましい。
【0032】
第1実施形態の清掃用シート1は、基材シート20を利用して、図3に示すように、ヘッド部31及びヘッド部31に連結された柄32を備えた清掃具30におけるヘッド部31に装着されて使用される。
図3に示す清掃具30は、第1実施形態の清掃用シート1が装着可能なヘッド部31、及びヘッド部31に自在継手33を介して連結された棒状の柄32から構成されている。ヘッド部31の装着面(底面)は、平面視で長方形状であり、通常の使用態様においては、清掃具30は、ヘッド部31をその幅方向に移動(特に往復移動)させて清掃を行う。つまり、清掃具30の清掃方向D1は、ヘッド部31の幅方向である。
【0033】
清掃用シート1は、基材シート20における長繊維集合体10が設けられていない側がヘッド部31の装着面(底面)に対向するように、ヘッド部31に装着される。次に、基材シート20におけるフラップ21,21をヘッド部31の上面側に折り返す。更にフラップ21を、ヘッド部31における、放射状のスリットを有する可撓性の複数のシート保持部34内に押し込む。このように基材シート20を使用して、清掃用シート1を清掃具30のヘッド部31に固定することができる。尚、基材シート20がネット状シートから形成されている場合には、基材シート20とシート保持部34との係合力が高い点で好ましい。第1実施形態の清掃用シート1は、この状態で、例えば、フローリングの掃き掃除に用いることができる。従って、長繊維集合体10における長繊維11は、清掃具30の清掃方向D1に配向することになる。
【0034】
また、ヘッド部31の幅は、清掃用シート1における2個の長繊維集合体10,10及びゴミ粘着部42の幅の合計よりも狭くなっており、そのため、図3に示すように、基材シート20における清掃方向D1の両端部に位置する2個の長繊維集合体10は、清掃用シート1が基材シート20を利用して清掃具30のヘッド部31に装着された状態において、それぞれ、長繊維集合体10における清掃方向D1の外端部(長繊維11の先端)が、ヘッド部31よりも外方に位置することになる。
尚、ヘッド部31の装着面は、平坦状でもよく、下方に向けて凸に湾曲していてもよい。また、基材シート20をヘッド部31に固定する構成は、フラップ21及びシート保持部34を用いる構成に制限されない。
【0035】
以上の構成を有する第1実施形態の清掃用シート1によれば、清掃具30のヘッド部31に装着した状態で、通常のモップ用の清掃具と同様に、フローリング部屋の掃き掃除(床掃除)等の清掃に供することができる。詳細には、通常の使用態様(清掃用シート1を清掃対象面Mに向けて軽く押圧して使用する態様)においては、長繊維集合体10のみが清掃対象面Mに接触するが、ゴミ粘着部42は、長繊維集合体10の厚み(嵩)によって清掃対象面Mから離間し、清掃対象面Mには接触しない。しかも、長繊維11の自由度が適度な大きさとなっている。従って、長繊維集合体10によって、髪の毛や綿埃等の絡みやすいゴミを効率的に捕集することができる。
一方、長繊維集合体10によれば、パン屑、ゴマ等の粒状ゴミは、絡みにくいため、ほとんど捕集されない。長繊維集合体10によって捕集されなかった粒状ゴミは、清掃方向に並列した2個の長繊維集合体10,10の間で且つゴミ粘着部42と清掃対象面Mとの間に溜まる。
【0036】
而して、第1実施形態の清掃用シート1によれば、長繊維集合体10によっては捕集が困難な粒状ゴミを、以下の手順で容易に捕集することができる。掃き操作をやめると、粒状ゴミは2個の長繊維集合体10,10の間に位置することになる。その後、清掃具30を介して、清掃用シート1を清掃対象面Mに向けて強く押し付ける。これにより、長繊維集合体10の厚みによって清掃対象面Mから離間していたゴミ粘着部42が、長繊維集合体10,10の間に位置する粒状ゴミに接触し、ゴミ粘着部42の粘着力により、粒状ゴミをゴミ粘着部42に粘着捕集することができる。尚、長繊維集合体10の間に溜められた粒状ゴミのみならず、清掃作業中に見つけた粒状ゴミを、ゴミ粘着部42によって適宜、粘着捕集してもよい。
【0037】
このように、髪の毛や綿埃等の絡みやすいゴミは、通常の掃き操作によって長繊維集合体10によって捕集することができ、また、絡みにくい粒状ゴミは、清掃用シート1を清掃対象面Mに向けて強く押し付けることで、ゴミ粘着部42の粘着力により、ゴミ粘着部42に粘着捕集することができる。
【0038】
また、基材シート20における清掃方向D1の両端部に位置する長繊維集合体10は、清掃用シート1が基材シート20を利用してヘッド部31に装着された状態において、長繊維集合体10における清掃方向D1の外端部(長繊維11の先端)がヘッド部31よりも外方に位置している。そのため、ヘッド部31よりも外方に位置する長繊維11は、その先端によって、部屋の隅、部屋の内壁(側面)等にも追従し、ゴミを捕集することができる。
【0039】
次に、本発明の清掃用シートの製造方法の一実施態様について、上述した第1実施形態の清掃用シート10を製造する場合を例にして、図4を参照しながら説明する。
巻回状態の基材シート素材20S(基材シート20の素材)から基材シート素材20Sを巻き出す。塗工装置T1によって、基材シート素材20Sの所定位置に集合体粘着部41及びゴミ粘着部42を一体的に塗工する(一体粘着部40を塗工する)。
【0040】
折り畳まれて圧縮された状態の長繊維素材11S(長繊維11の素材)から長繊維素材11Sを繰り出す。長繊維素材11Sは、搬送途中で順次開繊され、拡幅される。その後、一対の接合線形成ロールR1によって搬送方向に所定間隔で接合線12が形成される。接合線12が形成された長繊維素材11Sは、一対の集合体切断ロールR2によって、隣接する接合線12の間において切断され、長繊維集合体10が形成される。長繊維集合体10は、一体粘着部40における一方(前方)の集合体粘着部41の部分に接合される。
【0041】
同様の手順により形成された他方の長繊維集合体10は、一体粘着部40における他方(後方)の集合体粘着部41の部分に、一方の長繊維集合体10から離間して接合される。
一体粘着部40における一方及び他方の集合体粘着部41,41以外の部分は、ゴミ粘着部42となる。
2個の長繊維集合体10が接合された基材シート素材20Sは、一対の基材切断ロールR3によって、隣接する一体粘着部40の間において切断され、図1に示す第1実施形態の清掃用シート1が得られる。
【0042】
本実施態様の清掃用シートの製造方法によれば、1台の塗工装置T1により集合体粘着部41及びゴミ粘着部42(一体粘着部40)を塗工することができるため、第1実施形態の清掃用シート1を効率的に製造することができる。
【0043】
次に、本発明の清掃用シートの別の実施形態について説明する。別の実施形態については、第1実施形態と異なる点について説明し、同様の点については説明を省略する。特に説明しない点については、第1実施形態についての説明が適宜適用される。別の実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が奏される。
【0044】
第2実施形態の清掃用シート1は、図5に示すように、第1実施形態に比して、集合体粘着部41とゴミ粘着部42とが分離している点が主として異なる。集合体粘着部41は、面状に設けることもできるが、第2実施形態においては、接合線12に対応する部分のみに線状に設けられている。
【0045】
第2実施形態の清掃用シート1によれば、第1実施形態と同様の効果が奏される。また、第2実施形態においては、集合体粘着部41及びゴミ粘着部42を一体的に塗工することができないため、生産性が若干低下するものの、その一方で、集合体粘着部41とゴミ粘着部42とで、異なる粘着特性を有する粘着剤を用いることができる。例えば、集合体粘着部41には長繊維集合体10の接合性に優れる粘着剤を用い、ゴミ粘着部42には粒状ゴミの粘着捕集性に優れる粘着剤を用いることができる(粘着剤の使い分け)。
【0046】
本発明の清掃用シートは、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、基材シート31の一面につき、少なくとも2個の長繊維集合体10が設けられ、その間にゴミ粘着部42が設けられた構成を有していれば、更に長繊維集合体10(集合体粘着部41)及び/又はゴミ粘着部42が設けられていてもよい。
長繊維集合体10(集合体粘着部41)及びゴミ粘着部42は、基材シート20の両面に設けることができる。
【0047】
本発明の清掃用シートの製造方法は、前述した実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、図5に示す第2実施形態の清掃用シート1のような、基材シート20に集合体粘着部41及びゴミ粘着部42が分離して設けられた清掃用シート1を製造する場合には、同一の塗工装置T1により集合体粘着部41及びゴミ粘着部42をそれぞれ塗工すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明の清掃用シートの第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図2(a)は図1に示す清掃用シートの平面図で、図2(b)は図2(a)に示すB−B線断面図である。
【図3】図3(a)は、図1に示す清掃用シートを清掃具のヘッド部に装着した状態を示す斜視図、図3(b)は図3(a)に示すB−B線断面図である。
【図4】図4は、本発明の清掃用シートの製造方法の一実施態様を示す模式図である。
【図5】図5は、本発明の清掃用シートの第2実施形態を示す断面図〔図2(b)対応図〕である。
【符号の説明】
【0049】
1 清掃用シート
10 長繊維集合体
11 長繊維
12 接合線
20 基材シート
21 フラップ
30 清掃具
31 ヘッド部
32 柄
40 一体粘着部
41 集合体粘着部
42 ゴミ粘着部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材シートの片面又は両面に、長繊維が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体を、長繊維の配向方向に離間させて接合させてなり、該基材シートを利用して、ヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートであって、
前記基材シートには、前記長繊維集合体を該基材シートに接合するための集合体粘着部、及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部が設けられており、
前記集合体粘着部は、前記長繊維集合体における前記基材シートとの対向面の一部のみを該基材シートに接合しており、前記ゴミ粘着部は、離間した前記長繊維集合体の間の前記基材シートに設けられている清掃用シート。
【請求項2】
前記長繊維集合体における長繊維は、前記清掃具の清掃方向に配向している請求項1記載の清掃用シート。
【請求項3】
前記基材シートにおける清掃方向の両端部に位置する前記長繊維集合体は、前記清掃用シートが該基材シートを利用して前記ヘッド部に装着された状態において、該長繊維集合体における清掃方向の外端部が該ヘッド部よりも外方に位置している請求項2記載の清掃用シート。
【請求項4】
前記長繊維集合体は、前記基材シートに接合されていない状態において、前記長繊維の配向方向と直交する方向の全域に延びる接合線により、該長繊維の集合状態が維持されている請求項1〜3の何れかに記載の清掃用シート。
【請求項5】
基材シートの片面又は両面に、長繊維が一方向に配向して集合してなる複数個の長繊維集合体を長繊維の配向方向に離間させて接合させてなり、該基材シートには、前記長繊維集合体を該基材シートに接合するための集合体粘着部及びゴミを粘着捕集するためのゴミ粘着部が設けられており、該基材シートを利用してヘッド部及び該ヘッド部に連結された柄を備えた清掃具における該ヘッド部に装着されて使用される清掃用シートを製造する方法であって、
前記基材シートに、前記集合体粘着部及び前記ゴミ粘着部を同一の塗工装置により塗工して設ける清掃用シートの製造方法。
【請求項6】
前記基材シートに、前記集合体粘着部及び前記ゴミ粘着部を一体的に塗工して設ける請求項5記載の清掃用シートの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−272147(P2008−272147A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−118093(P2007−118093)
【出願日】平成19年4月27日(2007.4.27)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】