説明

清掃用具及び清掃部材

【課題】抜け止め防止をより確実に行うことができる清掃用具及び清掃部材を提供する。
【解決手段】一側面に清掃部3を備えた清掃部材5と、この清掃部材5を着脱交換自在な保持部材7とを備えている清掃用具1であって、前記保持部材7は、前記清掃部材5に備えた係止穴9内へ挿入自在な挿入本体11の基端部側に把持柄15を備え、かつ前記基端部側に係止突起部21を備えており、前記清掃部材5は、前記係止穴9への前記挿入本体11の挿入時に、前記把持柄15によって押進される被押進部31を前記係止穴9の入口部27に備えると共に、前記被押進部31の移動時に引っ張られて前記係止突起部21に係止される抜け止め係止部33を、前記被押進部31に対応して前記係止穴9の入口部27に備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一側面に清掃部を備えた清掃部材と、この清掃部材を着脱交換自在な保持部材とを備えている清掃用具及び清掃部材に係り、さらに詳細には、前記保持部材に対して前記清掃部材の装着を容易に行うことができ、かつ、保持部材に対する清掃部材の装着後の抜け止め防止が確実に行われ得る清掃用具及び清掃部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、清掃用具として、一側面に清掃部を備えた清掃部材と、この清掃部材を着脱交換自在の保持部材とを備えている構成のものは各種提案されている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】実用新案登録第3107950号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記特許文献1に記載の清掃用具101は、図5に示すように、一側面に清掃部103を備えた清掃部材105と、この清掃部材105を着脱自在の保持部材107とを備えた構成である。そして、前記保持部材107は、前記清掃部材105に備えた係止穴109内へ挿入自在な挿入本体111の基端部側に把持柄113を備えた構成であって、前記挿入本体111には、抜け止め防止用の係止突起115が複数箇所に備えられている。
【0004】
上記構成により、清掃部材105に備えた係止穴109に対して保持部材107の挿入本体111を挿入することによって、清掃部材105と保持部材107とを一体化することができ、清掃用具101として使用することができる。すなわち、保持部材107に対して清掃部材105を着脱交換して使用することができる。
【0005】
前記清掃用具101において、前記清掃部材105と保持部材107との一体化の保持は、清掃部材105の係止穴109に保持部材107の挿入本体111を挿入したとき、上記挿入本体111に備えた係止突起115と前記係止穴109の内面との摩擦によって行われるものである。したがって、清掃用具101の使用時に、保持部材107から清掃部材105が外れることがあるという問題がある。
【0006】
そこで、前記係止突起115を例えば鉤状に形成して、清掃部材105の取外しを行うときに係止突起115に引っ掛かるようにすることも可能であるが、この場合には取り外しが難しくなるという問題を生じることになる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は前述のごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、一側面に清掃部を備えた清掃部材と、この清掃部材を着脱交換自在な保持部材とを備えている清掃用具であって、前記保持部材は、前記清掃部材に備えた係止穴内へ挿入自在な挿入本体の基端部側に把持柄を備え、かつ前記基端部側に係止部を備えており、前記清掃部材は、前記係止穴への前記挿入本体の挿入時に、前記把持柄によって押進される被押進部を前記係止穴の入口部に備えると共に、前記被押進部の移動時に引っ張られて前記係止部に係止される抜け止め係止部を、前記被押進部に対応して前記係止穴の入口部に備えていることを特徴とするものである。
【0008】
また、前記清掃用具において、前記把持柄は、前記被押進部を押進し持ち上げるために、前記挿入本体に対して交差する方向の立ち上がり部を備え、前記係止部は、前記挿入本体とほぼ同一平面に設けてあることを特徴とするものである。
【0009】
また、一側面に清掃部を備えた清掃部材であって、一側面に清掃部を備えた清掃基材に、当該清掃基材とほぼ同一形状のカバー基材部を重ねて係止穴を備えた袋状に形成し、上記係止穴の入口部におけるカバー基材部の端縁部付近を曲げるように前記端縁部を持ち上げたとき、前記入口部における清掃基材の端縁部が引っ張られて持ち上がる構成としてあることを特徴とするものである。
【0010】
また、前記清掃部材において、前記清掃基材及びカバー基材部は一方向に長く形成してあり、前記係止穴の入口部は前記清掃基材及びカバー基材部の長手方向の一端縁部において前記係止穴とほぼ同一幅に形成してあることを特徴とするものである。
【0011】
また、前記清掃部材において、前記カバー基材部側の一部に、つまみ部を備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、清掃部材に備えた係止穴に対して保持部材の挿入本体を挿入すると、前記係止穴の入口部に備えられた抜け止め係止部が前記挿入本体の基端部側に備えた係止部に係止されるので、清掃部材と保持部材との一体化が容易であると共に使用時には外れ難くなるものである。そして、保持部材に対して清掃部材を強く引っ張ると、前記係止部から前記抜け止め係止部が外れるので、保持部材に対する清掃部材の着脱交換が比較的容易に行われ得るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照するに、本発明の実施形態に係る清掃用具1は、一側面に清掃部3を備えた清掃部材5と、この清掃部材5を着脱交換自在な保持部材7とを備えている。なお、清掃部材5の清掃部3として、繊維を束状にした繊維束又は短冊状のシートなどを備えた刷毛の構成として例示してある。しかし、前記清掃部3の構成としては、公知のモップなど種々の構成を採用することができるものである。
【0014】
前記保持部材7は、図2に示すごとき構成である。すなわち、保持部材7は、前記清掃部材5に備えた係止穴9内へ挿入自在な平板状の挿入本体11を備えている。この挿入本体11の先端部13は、前記係止穴9へ挿入し易いように円弧状の曲面に形成してある。そして、前記挿入本体11の基端部側には把持柄15が備えられている。この把持柄15は、前記挿入本体11の上面に対して交差する上方向へ適宜に傾斜して延びた立ち上がり部17を備えると共に上記立ち上がり部17の端部側に把持部19を備えた構成である。
【0015】
さらに、保持部材7における前記挿入本体11の基端部側には、前記先端部13とは反対方向へ突出した係止部(係止突起部)21が備えられている。なお、上記係止部21は、挿入本体11に限ることなく、前記把持柄15における立ち上がり部17に設けた構成とすることも可能である。この場合、前記立ち上がり部17は挿入本体11と一体構成であるから、立ち上がり部17に係止突起部(係止部)21を設けた構成であっても、挿入本体11に係止突起部21を設けた構成に相当するものである。なお、係止部21の構成としては、挿入本体11の基端部側の角部とすることも可能である。
【0016】
前記清掃部材5は、一側面に前記清掃部3を備えた清掃基材23に、この清掃基材23とほぼ同一形状,寸法のカバー基材部25を重ね合わせて備えた構成であって、上記清掃基材23とカバー基材部25の周縁部は、接着又は縫着などの適宜の一体化手段によって一体化してある。上記清掃基材23及びカバー基材部25は、一般的なモップと同様の材質によって構成してあって、一方向に長く形成してある。そして、前述のごとく周縁部を一体化することによって清掃基材23とカバー基材部25との間に前記係止穴9を備えた構成である。
【0017】
前記清掃基材23,カバー基材部25の長手方向の一端側に前記係止穴9の開口部(入口部)27が形成してある。前記入口部(開口部)27は、前記清掃基材23とカバー基材部25の周縁の一端縁部の一体化してある一体化端部29A,29Bの間に形成してあるものであって、入口部27の幅寸法(一体化端部29A,29Bの間隔寸法)は、前記係止穴9の幅寸法(前記挿入本体11の幅寸法より僅かに大きな幅寸法)とほぼ同一寸法に形成してある。
【0018】
前記清掃基材23,カバー基材部25の長手方向の寸法は、前記保持部材7における前記挿入本体11全体が前記係止穴9内に入り込み可能なように、前記挿入本体11の長手方向の寸法よりも大きく構成してある。そして、前記係止穴9に対して前記挿入本体11を前記入口部(開口部)27から挿入するとき、前記保持部材7の前記立ち上がり部17によって押進される被押進部31を前記入口部27に備えている。さらに入口部27には、前記被押進部31が前記立ち上がり部17によって押進されて次第に上方に移動されるときに引っ張られて、前記係止突起部(係止部)21の端縁側を覆うように上方向に移動して、上記係止部21に係止される抜け止め係止部33が前記被押進部31に対応し(対向して)備えられている。
【0019】
ところで、前記清掃部材5の構成として、清掃基材23とカバー基材部25とを別個に設け、上記清掃基材23とカバー基材部25とを重ね合せて周縁部を一体化した場合について説明した。しかし、清掃部材5の構成としては、清掃基材23の両側にカバー基材部25を、例えば翼を広げた形態と同様の構成に予め一体に備え、上記翼を折り畳むように、前記カバー基材部25を清掃基材23上に両側から折り重ねて、カバー基材部25の重なり合った部分を接着,縫着等によって一体化した構成とすることも可能である。すなわち、清掃基材23とカバー基材部25とを予め一体に設けた構成としてもよいものである。
【0020】
以上のごとき構成において、清掃部材5の入口部27から保持部材7における挿入本体11を係止穴9内に挿入し、上記保持部材7の立ち上がり部17が前記入口部27に達すると、上記入口部27の端部においてカバー基材部25側に備えられている被押進部31が前記立ち上がり部17によって押進される。したがって、前記係止穴9に対する挿入本体11の挿入が進行すると、図3に示すように、前記被押進部31は前記立ち上がり部17に対して相対的に次第に上昇されることになる。すなわちカバー基材部25の入口部27付近は、立ち上がり部17に沿って上方向に折り曲げられる態様となる。
【0021】
前述のごとく、カバー基材部25に備えた被押進部31が前記立ち上がり部17に沿って相対的に上方向に移動されると、清掃基材23の入口部27付近が前記被押進部31によって引っ張られる。そして、前記挿入本体11の基端部側に備えた前記係止突起部21が前記入口部27を越えて係止穴9内に進入すると、図3に示すように、清掃基材23の入口部27付近に備えた抜け止め係止部33が前記被押進部31に追従して上方向へ折り曲げるように移動される。すなわち、前記抜け止め係止部33は、前記係止突起部21を覆うように上方向へ移動し、挿入本体11が係止穴9から容易に抜け出ないように、係止突起部21を係止することになる。
【0022】
上記説明より理解されるように、清掃部材5の係止穴9内に保持部材7における挿入本体11を挿入した状態においては、前記入口部(開口部)27は、前記係止穴9から前記挿入本体11を抜き出す方向に対して交差する方向を指向して開口しているものである。したがって、図3に示すごとき状態において、清掃部材5の係止穴9から保持部材7の挿入本体11を右方向へ引き抜こうとすると、挿入本体11に備えた係止突起部21が、上記引き抜き方向に対して交差した方向の抜け止め係止部33に引っ掛かる態様となる。すなわち、保持部材7の挿入本体11からの清掃部材5の抜け止めを効果的に行うことができるものである。
【0023】
なお、保持部材7に対して清掃部材5を強力に引っ張ることにより、保持部材7から清掃部材5を取り外すことができるものであり、保持部材7に対して清掃部材5を着脱交換して使用することができるものである。
【0024】
ところで、保持部材7からの清掃部材5の取外しを行い易いように、図4(A)に示すように、清掃部材5の先端部側にタブ状のつまみ35を設けた構成や、図4(B)に示すように、清掃部材5の適宜位置に紐状又は帯状のつまみ37を設けることが望ましいものである。このような構成とすることにより、汚れた掃除部3に触れることなく、保持部材7から掃除部材5を取り外すことができるものである。
【0025】
以上のごとき説明より理解されるように、清掃部材5における係止穴9に対して保持部材7における挿入本体11を挿入すると、前記係止穴9の開口部(入口部)27は前記挿入本体11の挿入方向に対して交差する方向を指向して、前記挿入本体11に備えた係止突起部21を係止するので、すなわち前記入口部27に備えた抜け止め係止部33と前記係止突起部21との引っ掛かりを生じるので、保持部材7からの清掃部材5の抜け止めを効果的に行うことができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る清掃用具の斜視説明図である。
【図2】上記清掃用具の保持部材と清掃部材の斜視説明図である。
【図3】清掃用具の断面説明図であった。
【図4】清掃部材の別の実施形態の説明図である。
【図5】従来の清掃用具の説明図である。
【符号の説明】
【0027】
1 清掃用具
3 清掃部
5 清掃部材
7 保持部材
9 係止穴
11 挿入本体
15 把持柄
17 立ち上がり部
19 把持部
21 係止突起部(係止部)
23 清掃基材
25 カバー基材部
27 開口部(入口部)
31 被押進部
33 抜け止め係止部
35,37 つまみ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側面に清掃部を備えた清掃部材と、この清掃部材を着脱交換自在な保持部材とを備えている清掃用具であって、前記保持部材は、前記清掃部材に備えた係止穴内へ挿入自在な挿入本体の基端部側に把持柄を備え、かつ前記基端部側に係止部を備えており、前記清掃部材は、前記係止穴への前記挿入本体の挿入時に、前記把持柄によって押進される被押進部を前記係止穴の入口部に備えると共に、前記被押進部の移動時に引っ張られて前記係止部に係止される抜け止め係止部を、前記被押進部に対応して前記係止穴の入口部に備えていることを特徴とする清掃用具。
【請求項2】
請求項1に記載の清掃用具において、前記把持柄は、前記被押進部を押進し持ち上げるために、前記挿入本体に対して交差する方向の立ち上がり部を備え、前記係止部は、前記挿入本体とほぼ同一平面に設けてあることを特徴とする清掃用具。
【請求項3】
一側面に清掃部を備えた清掃部材であって、一側面に清掃部を備えた清掃基材に、当該清掃基材とほぼ同一形状のカバー基材部を重ねて係止穴を備えた袋状に形成し、上記係止穴の入口部におけるカバー基材部の端縁部付近を曲げるように前記端縁部を持ち上げたとき、前記入口部における清掃基材の端縁部が引っ張られて持ち上がる構成としてあることを特徴とする清掃部材。
【請求項4】
請求項3に記載の清掃部材において、前記清掃基材及びカバー基材部は一方向に長く形成してあり、前記係止穴の入口部は前記清掃基材及びカバー基材部の長手方向の一端縁部において前記係止穴とほぼ同一幅に形成してあることを特徴とする清掃部材。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の清掃部材において、前記カバー基材部側の一部に、つまみ部を備えていることを特徴とする清掃部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−215826(P2007−215826A)
【公開日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−40736(P2006−40736)
【出願日】平成18年2月17日(2006.2.17)
【特許番号】特許第3868990号(P3868990)
【特許公報発行日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(000104939)クリーンテックス・ジャパン株式会社 (13)
【出願人】(506056767)有限会社 ハイロン (2)
【Fターム(参考)】