説明

清掃用具

【課題】低コストでデザイン性を付与でき、かつデザイン50を施した部分が汚れにくいモップなどの清掃用具10を提供すること。
【解決手段】その下底面に清掃部22を備えた清掃部材20と、把持柄32を備えた保持部材30と、清掃部材20及び保持部材30とをそれぞれ連結する連結部材40とを備える清掃用具であって、清掃部材20は、その上底面の少なくとも一部に、面ファスナーのループ面24を具備し、保持部材30は、その下底面に挿入部34を具備し、連結部材は、その素材が布帛または編物であって、その下底面にループ面27に対応する位置に面ファスナーのフック面42を具備し、かつその上底面に開口部を具備し、清掃部材20と連結部材40とは、ループ面24とフック面42とを接触させて脱着容易に連結され、保持部材30と連結部材40とは、挿入部34を開口部に挿入することにより連結されるものする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取り外し可能な清掃部を備えた、モップなどの清掃用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、床面の拭き掃除には、塵や埃などの汚れをふき取る清掃部と、掃除をする人が把持することのできる把持柄とを具備するモップなどの清掃用具が用いられている。モップには、机上の塵や埃などを除去するためのハンディタイプのモップ(ハンディモップ)も存在する。
【0003】
かかるモップの中には、把持柄から清掃部を取り外すことのできるものがある(例えば特許文献1−3)。このように清掃部を取り外し可能にすることにより、清掃部の汚れを落とすために洗浄する際、清掃部のみを洗浄することができ、また汚れやすい清掃部のみを取り換えることができ、経済的であるなどの利点がある。
【0004】
ところで近年、家庭内において、客間,応接間以外の家庭のプライベート空間に配置されるような白物家電やクローゼットなど、従来機能性を主に求められた機器や設備にも、デザイン性が求められるようになってきた。しかしモップなどの清掃用品に関してはデザイン性の高い製品の実用化は成功例が多くない。これは清掃用品という性質上、使用することで清掃用品自体が汚れてしまうので、新品の清掃用品にデザインを施しても、使用によって間もなく損なわれてしまうためである。
【0005】
かかるモップのような清掃用品の場合、清掃に直接使用される清掃部、特に清掃部の下底面が使用により直ちに汚れてしまう。このためモップなどにデザインを付与するには、例えば把持柄や清掃部の上底面など比較的汚れにくい位置にデザインを施すことが考えられる。しかし、把持柄は材質が、塩化ビニルなどの硬性の合成樹脂、アルミニウムなどの金属、木材などであり、デザイン付与にはコストがかかるという問題がある。一方、清掃部の上底面へデザイン付与することも考えられるが、使用後清掃部の洗浄時(水洗い時)に清掃部下底面の汚れが上底面に移り、付与したデザイン性を損ねる問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−327427号公報
【0007】
【特許文献2】特開2004−188075号公報
【0008】
【特許文献3】特許第3868990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記を鑑みて、本発明では、低コストでデザイン性を付与でき、かつデザインを施した部分が汚れにくい清掃用具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の清掃用具では、
その下底面に清掃部を備えた清掃部材と、把持柄を備えた保持部材と、前記清掃部材及び前記保持部材とをそれぞれ連結する連結部材とを備える清掃用具であって、
前記清掃部材は、その上底面の少なくとも一部に、面ファスナーのループ面を具備し、
前記保持部材は、その下端に挿入部を具備し、
前記連結部材は、その素材が布帛、編物または不織布であって、その下底面に前記ループ面に対応する位置の少なくとも一部に面ファスナーのフック面を具備し、かつその上底面に開口部を具備し、
前記清掃部材と前記連結部材とは、前記ループ面と前記フック面とを接触させることにより脱着容易に連結され、
前記保持部材と前記連結部材とは、前記挿入部を前記開口部に挿入することにより連結されることを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、連結部材の素材が布帛、編物または不織布であるので、低コストでその上底面にデザインを施すことができる。またデザインが施された連結部材は、清掃部と脱着容易に連結されているので、清掃部材のみを洗浄(水洗い)することができるので、清掃部材の洗浄により、連結部材に設けられたデザイン部が汚れることはない。
【0012】
また、連結部材の下底部に面ファスナーのフック面を配し、清掃部材の上底面に面ファスナーのループ面を配したことで、清掃部材を取り外して水洗いなどを行った場合でも、再度面ファスナーで連結させたときの連結力が弱まることがない。
【0013】
また、保持部材と連結部材との連結を、保持部材の挿入部を連結部材の開口部への挿入により行うようにしたことで、清掃用具のデザインを変更させて気分を変えたいときなどに、連結部材のみをデザインの異なるものに取り換えて、保持部材をそのまま使用することができる。このことは、連結部材と清掃部材とを脱着容易に連結させたことによって、連結部材が比較的長期間使用できることになったことにより、新たに生じた利点である。
【0014】
また、清掃部材が取り換え必要な程度まで汚れた際には、連結部材から外して清掃部材のみを取り換えることができるので、経済的であるとともに環境にも優しい。
【0015】
また、本発明の清掃用品を使用すると、汚れた床面に直接接する清掃部材と連結部材とは汚れの度合いが大きく異なる。従って清掃部材と保持部材と連結部材を脱着容易に連結することで、それぞれの部材に応じた洗浄が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の清掃用具の全体斜視図である。
【図2】図1の清掃用具を構成する保持部材の斜視図である。
【図3】図1の清掃用具を構成する連結部材上底面(A)及び下底面(B)の斜視図である。
【図4】図1の清掃用具を構成する連結部材上底面(開いた場合)の斜視図である。
【図5】図1の清掃用具を構成する清掃部材の斜視図である。
【図6】図1の清掃用具のA−A’面断面図である。
【図7】本発明の別の様態の清掃用具の全体斜視図である。
【図8】図7の清掃用具を構成する保持部材の斜視図である。
【図9】図7の清掃用具を構成する連結部材上底面(A)及び下底面(B)の斜視図である。
【図10】図7の清掃用具を構成する清掃部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を用いて本発明を詳しく説明するが、本発明は図面に示された様態に限られるものではない。図1〜6は、モップタイプの清掃用具10の説明図である。図7〜10は、ハンディモップタイプの清掃用具12の説明図である。
【0018】
(全体概要)
本発明の清掃用具は、少なくとも清掃部材20、保持部材30及び連結部材40から構成される。清掃部材20は、その下底面の清掃部22で汚れを拭き取る部材である。保持部材30は清掃用具を把持するための把持柄32を具備する部材である。連結部材40は、清掃部材20と保持部材30とを連結するための部材である。
【0019】
(清掃部材)
清掃部材20は、その下底面に汚れを直接ふき取る清掃部22を備えている。清掃部22の様態として、図5ではスポンジタイプを例示し、図10の様態では房糸タイプを例示したが、これらに限らず、布帛の様態などモップにおける公知の様態を取ることができる。
【0020】
また前記清掃部材20は、その上底面の少なくとも一部に、面ファスナーのループ面24が設けられている。清掃部22とループ面24とは、接着又は縫着などの適宜の一体化手段によって一体化される。ここで面ファスナーとは、日本では一般にマジックテープ(登録商標)として一般的に知られているものであり、フック状に起毛された一方側(フック面)とループ状に密集して起毛された他方側(ループ面)を密着させると、それだけで両者が脱着自在に貼り付くようになっているものである。なお、フック面には糸くずなどが付着しやすいという特性がある。
【0021】
ループ面24の縁は、図5,図10に示したように、縁取り26により補強することが好ましい。ループ面24は後述のとおり、連結部材40と清掃部材20とを脱着容易に設けるものであるから、少なくとも清掃部材20上底面の一部に設ければ足りるが、清掃用具使用時も不意に外れることなくしっかり連結するためには、縁取り26部分を除く上底面全面をループ面24とすることが好ましい。
【0022】
(保持部材)
前記保持部材30は、図2,図8に示したように、清掃用具を把持するための把持柄32を備えるとともに、その下端に挿入部34を具備する。把持柄32は、挿入部34の上底面に対して交差する上方向へ適宜に傾斜して伸びている。
【0023】
保持部材30の素材としては、塩化ビニルなどの硬性の合成樹脂、アルミニウムなどの金属、木材など、形態保持性を有し、公知のモップの柄として使用される材料であれば制限なく用いることができる。なお、清掃用具10のA−A’断面図(図6)では、保持部材30の素材として硬性の樹脂を用いた例を示している。
【0024】
挿入部34は後述のとおり、連結部材40の開口部44に挿入することにより保持部材30と連結部材40とを連結するための部位であり、清掃用具使用時に保持部材30と連結部材40とが容易に外れないようにする必要がある。このため図2,図8に示したように、把持柄32の根本位置から前方に挿入部34が伸びるとともに、把持柄32の根本位置から後方には係止部36が伸びる様態であることが好ましい。
【0025】
(連結部材)
連結部材40は、清掃部材20と保持部材30とを連結するための部材であるとともに、その上底面にデザイン50を施しうる部位である。連結部材40に用いる素材としては形態可変性を有し、かつ破れにくい素材が用いられる。具体的には布帛、編物または不織布が用いられる。なかでも伸縮性の小さい布帛または不織布が好ましく、特に布帛が経済的にも好ましい。布帛、編物または不織布の表面に撥水性加工をしたものや多層化したものを用いることもできる。
【0026】
図3及び図9には連結部材40の様態の例を示した。各図の(A)は上底面の斜視図であり、(B)は下底面の斜視図である。また図4は、図3の連結部材40に保持部材30を脱着容易に連結するために上蓋48(フラップ)を開いた様態である。
【0027】
図3(A),図9(A)に示したように、連結部材40の上底面には、保持部材30を連結するための開口部44を設ける。開口部44は、ホックとホック穴、ボタンとボタン穴或いは面ファスナーなどによって、図4に示したように連結部材40を連結する際に、開口部44を広げられる様態でもよいし(図3(A),図4には、ホック491とホック穴492による連結の例を示した。)、図9(A)に示したような、単に連結部材40を連結できる切れ目(孔)を設けた様態であってもよい。
【0028】
図3(B),図9(B)に示したように、連結部材40の下底面には下底面にループ面24に対応する位置に面ファスナーのフック面42を設ける。フック面42はループ面24と密着することで、連結部材40と清掃部材20を連結するものであるから、フック面42はループ面24とは対応する位置同士にそれぞれ設けられることが好ましいが、必ずしも完全に対応している必要はない。例えばフック面42は露出状態では糸くずなどを付着させやすい。このため、ループ面24と密着させた場合に位置が若干ずれたとしてもフック面42が露出しないように、フック面42をループ面24よりも小さい面積にして、ループ面24に“遊び”となる非対応部分をもたせることも好ましい。またフック面42の縁は、図3(B),図9(B)に示したように縁取り46により補強することが好ましい。
【0029】
連結部材40の下底面であるフック面42は、接着又は縫着などの適宜の一体化手段によって、上底面と一体化される。また上底面に施されるデザイン50は、連結部材40自体のデザインであってもよいし、連結部材40の上底面に接着又は縫着などの適宜の手段によって一体化された別の布帛、編物、不織布或いは縫糸によるデザインであってもよい。図3(A),図9(A)には連結部材40上底面に縫糸でデザイン50が施された例を示した。
【0030】
(連結手段)
清掃部材20と連結部材40とは、清掃部材20の上底面であるループ面24と、連結部材40の下底面にあるフック面42とが接触することにより、面ファスナーの作用で脱着容易に連結される。
【0031】
一方、保持部材30と連結部材40とは、保持部材30の挿入部34を連結部材40の開口部44に挿入することにより連結される。挿入部34の挿入によって両者を連結し、かつ清掃用具使用時に容易に両者が分離しない連結手段としては、様々な公知の手段を用いることができる。具体的には、例えば連結部材40の挿入部34に把持柄32の直径よりも長い幅を持つ係止部36を設け、該係止部36を含めて挿入部34全体を連結部材40で被覆し、把持柄32が突き出る開口部44以外を裁縫などにより閉じてしまう方法を例示できる。
【0032】
上記のように保持部材30と連結部材40との連結は、脱着が容易でない方法により行うこともできるが、連結部材40の取り換え容易性の観点からは、保持部材30と連結部材40とは脱着容易に連結させることが好ましい。具体的には、図3(A)に示したように連結部材40の上底部の更に上方に、上蓋48(フラップ)を設け、ホックとホック穴、ボタンとボタン穴、或いは面ファスナーなどの手段(図3(A),図4ではホック491とホック穴492)によって、図4に示したように上蓋48が連結部材40の上底部とを前方開放容易にすることで、上蓋48開放時に、把持柄32根本位置より前方に伸びる挿入部34とともに後方に伸びる係止部36を設けた挿入部34を開口部44に挿入し、その後、開放している上蓋48を閉じることにより、保持部材30は連結部材40としっかりと連結され、清掃用具使用時にも両者が外れることはない。
【0033】
または図9(A)に示したように、連結部材40の開口部44が左右方向に伸びるスリットであって、把持柄32根本位置より前方に伸びる挿入部34とともに後方に伸びる係止部36を設けた挿入部34を持つ保持部材30を用いる様態において、挿入部34を開口部44に差し入れて前方に向かって挿入し、その後、開口部44を後方に広げ、係止部36を差し入れて後方に向かって挿入することでも保持部材30は連結部材40としっかりと連結され、清掃用具使用時にも両者が分離することはない。なお、このような方法による連結は、特許文献3にも詳細に説明されており(ただし、本発明にいう連結部材40と保持部材30の連結ではなく、清掃部材と保持部材の連結として)、本発明でも応用して用いることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の清掃用具は、経済的にデザインを施すことのできる清掃用具として高い需要が見込まれるので、産業上の利用価値が高い。
【符号の説明】
【0035】
10 清掃用具(モップ)
12 清掃用具(ハンディモップ)
20 清掃部材
22 清掃部
24 面ファスナーのループ面
26 (ループ面の)縁取り
30 保持部材
32 把持柄
34 挿入部
36 係止部
40 連結部材
42 面ファスナーのフック面
44 開口部
46 (フック面の)縁取り
48 上蓋
491 ホック
492 ホック穴
50 デザイン部位




【特許請求の範囲】
【請求項1】
その下底面に清掃部を備えた清掃部材と、把持柄を備えた保持部材と、前記清掃部材及び前記保持部材とをそれぞれ連結する連結部材とを備える清掃用具であって、
前記清掃部材は、その上底面の少なくとも一部に、面ファスナーのループ面を具備し、
前記保持部材は、その下端に挿入部を具備し、
前記連結部材は、その素材が布帛、編物または不織布であって、その下底面に前記ループ面に対応する位置の少なくとも一部に面ファスナーのフック面を具備し、かつその上底面に開口部を具備し、
前記清掃部材と前記連結部材とは、前記ループ面と前記フック面とを接触させることにより脱着容易に連結され、
前記保持部材と前記連結部材とは、前記挿入部を前記開口部に挿入することにより連結されている清掃用具。
【請求項2】
前記保持部材と前記連結部材とが脱着容易に連結されている請求項1記載の清掃用具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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