説明

清掃用物品並びにその起毛方法及びその製造方法

【課題】清掃時において繊維層が有効に働き、利便性が十分に考慮され、清掃性能が優れた清掃用物品並びに該清掃用物品の起毛方法及び該清掃用物品の製造方法を提供すること。
【解決手段】扁平で筒状の把手挿入部15を有し、把手挿入部15の上下それぞれに繊維束からなる繊維層11A〜11Dを具備しており、把手を把手挿入部15内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品10であって、清掃用物品10の幅方向において、把手挿入部15を形成する部材13A,13Bの幅方向の長さが前記繊維束からなる繊維層11A〜11Dの幅方向の長さよりも短くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手挿入部を有し、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品並びに該清掃用物品の起毛方法及び該清掃用物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、把手挿入部を有し、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品が知られている。
また、基材シートの上面及び下面に、それぞれ繊維束からなる繊維層を設けた清掃用物品が知られている。繊維層は、基材シートに複数本の連続シール線により接合されることが一般的である(例えば、下記特許文献1参照)。
一方で、基材シートの片側に繊維束からなる繊維層があり、両者が線状接着と非連続の点状接着により接合されている清掃用物品が知られている(下記特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−369783号公報
【特許文献2】国際公開2005/099549号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1記載の清掃用物品においては、繊維層と基材シートのほかに短冊片を有しており、繊維束が清掃に有効に寄与しない。
一方で、特許文献2記載の清掃用物品においては、繊維層が片側にしかなく、片面でしか清掃できないため、清掃作業が煩雑であり、利便性が十分に考慮されていない。
【0005】
従って、本発明の目的は、清掃時において繊維層が有効に働き、利便性が十分に考慮され、清掃性能が優れた清掃用物品並びに該清掃用物品の起毛方法及び該清掃用物品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、扁平で筒状の把手挿入部を有し、該把手挿入部の上下それぞれに繊維束からなる繊維層を具備しており、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品であって、前記清掃用物品の幅方向において、前記把手挿入部を形成する部材の幅方向の長さが前記繊維束からなる前記繊維層の幅方向の長さよりも短くなっている清掃用物品を提供することにより、上記目的を達成するものである。
【0007】
また、本発明は、扁平で筒状の把手挿入部及び該把手挿入部の上下それぞれに中央連続シール線により接合された繊維束からなる繊維層を具備し、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品に対し、前記繊維束からなる前記繊維層を開繊して、前記中央連続シール線を覆うように該繊維層を3次元方向にランダムに起毛させて略円柱状になす清掃用物品の起毛方法を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、連続した繊維束からなる第1繊維層及び第1帯状部材を有し、該第1帯状部材の長手方向両端部が折り重ねて固定され、該第1帯状部材の外面側に該第1繊維層が重ねて固定された第1連続体と、連続した繊維束からなる第2繊維層及び第2帯状部材を有し、該第2帯状部材の長手方向両端部が折り重ねて固定され、該第2帯状部材の外面側に該第2繊維層が重ねて固定された第2連続体とを重ねて固定し、その後に、前記第1繊維層及び前記第2繊維層の上にそれぞれ連続した繊維束からなる第3繊維層及び第4繊維層を重ねて固定して積層体を形成し、形成された該積層体を切断して個々の清掃用物品を得る清掃用物品の製造方法であって、前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材は、一対の破断誘導線に挟まれた中央部分と、該破断誘導線を介して該中央部分に連設された外方部とを有しており、前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材に、それぞれ該第1帯状部材及び該第2帯状部材の長手方向全域に亘る前記破断誘導線を間欠的に形成する工程と、前記第1連続体及び前記第2連続体に、それぞれ前記第1繊維層及び前記第2繊維層の長手方向全域に亘る中央連続シール線を間欠的に形成する工程と、前記第1連続体及び前記第2連続体に、それぞれ前記第1繊維層及び前記第2繊維層の長手方向全域に亘るサイド非連続シールを間欠的に形成する工程と、前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材から、前記一対の破断誘導線に挟まれた前記中央部分を残して、該破断誘導線を介して該中央部分に連設された前記外方部を切り取る工程と、前記繊維層を3次元方向にランダムに起毛するように開繊する工程とを有する清掃用物品の製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清掃用物品によれば、清掃時において繊維層が十分に寄与し、清掃対象物の凹凸面への追従性が高く、清掃に寄与する繊維先端が清掃用物品の表面の全域に亘り覆っているため清掃性能が優れている。更に利便性が十分に考慮され、狭い隙間などの清掃においては、両面同時の清掃も可能である。
また、本発明の清掃用物品の起毛方法によれば、清掃用物品における繊維層を効率的に起毛させることができる。
また、本発明の清掃用物品の製造方法によれば、清掃用物品を効率的に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の清掃用物品について、その好ましい一実施形態である第1実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の清掃用物品10は、図1〜図4に示すように、全体として縦長で扁平形状を有しており、幅方向に一対の扁平筒状の把手挿入部15,15を備えている。本実施形態の清掃用物品10においては、一対の把手挿入部15,15内に、把手20における一対の挿入部22,22(詳細は後述)をそれぞれ挿入して取り付け可能になっている。
尚、以下の説明において、「長手方向」及び「幅方向」とは、特に明記のない限り、それぞれ把手挿入部15の長手方向(挿入方向)及び幅方向を意味する。
【0011】
把手挿入部15は、その上下の繊維層11,11間に介在させた2つの部材13A,13Bを、把手挿入部15の長手方向両側に接合部16A,16Bが形成されるように接合して形成されている。詳述すると、把手挿入部15は、対向した2枚の第1把手挿入部形成シート13A,第2把手挿入部形成シート13Bが所定位置の中央連続シール線16A,サイド非連続シール16B(詳細は後述)で接合されて形成されている。
【0012】
把手挿入部形成シート13における把手挿入部15の上面及び下面には、それぞれ繊維束からなる繊維層11が1層以上設けられている。本実施形態においては、把手挿入部15の上面に、第1繊維層11A、第3繊維層11Cの2層の繊維層が設けられており、把手挿入部15の下面に、それぞれ第2繊維層11B、第4繊維層11Dの2層の繊維層が設けられている。
【0013】
尚、第1把手挿入部形成シート13A及び第2把手挿入部形成シート13Bに共通する説明を行う際には「把手挿入部形成シート13」の表現を用いる。第1繊維層11A、第2繊維層11B、第3繊維層11C及び第4繊維層11Dに共通する説明を行う際には「繊維層11」の表現を用いる。第1繊維層11A及び第2繊維層11Bに共通する説明を行う際には「内側繊維層11P」の表現を用いる。第3繊維層11C及び第4繊維層11Dに共通する説明を行う際には「外側繊維層11Q」の表現を用いる。
【0014】
第1繊維層11A及び第2繊維層11Bは、繊維層11のうち最も把手挿入部形成シート13側の繊維層である。第3繊維層11C及び第4繊維層11Dは、それぞれ第1繊維層11A及び第2繊維層11Bの外側の繊維層である。従って、本実施形態の清掃用物品10においては、上層から下層に向けて、第3繊維層11C、第1繊維層11A、第2繊維層11B、第4繊維層11Dの順で積層した4層の繊維層が形成されている。
【0015】
繊維層11は、繊維束が所定の厚みをもって配向されて形成されている。繊維束は、把手挿入部15の幅方向に略配向している。従って、第1繊維層11A〜第4繊維層11Dは、繊維の配向方向が把手挿入部形成シート13の長手方向と略直交するように積層されている。各繊維層11は、略矩形の平面視形状を有しており、それぞれ実質的に同形となっている。
【0016】
繊維層11を構成する繊維束の繊維長は、埃の絡み取り性の観点から、好ましくは30〜150mm、更に好ましくは50〜120mmである。本実施形態においては、このような繊維長を有する繊維を繊維束(トウ)の状態で用いる。その際には公知の開繊装置を用いて繊維を十分に開繊しておくことが好ましい。
繊維の太さは、特に臨界的ではないが、埃の絡み取り性や清掃対象面への傷付き防止性の観点から、0.1〜200dtex、特に2〜30dtexであることが好ましい。
【0017】
繊維層11を構成する繊維として特に捲縮繊維を用いると、埃の絡み取り性が一層向上するので好ましい。捲縮繊維としては、二次元捲縮又は三次元捲縮したものを用いることができる。捲縮率(JIS L0208)は、埃の絡み取り性の向上の点から、5〜50%、特に10〜30%であることが好ましい。捲縮率は、繊維を引き伸ばしたときの長さAと、元の繊維の長さBとの差の、繊維を伸ばしたときの長さAに対する百分率で定義され、下記の式から算出される。
捲縮率=(A−B)/A × 100(%)
【0018】
元の繊維の長さBとは、繊維が自然状態において、繊維の両端部を直線で結んだ長さをいう。自然状態とは、繊維の一方の端部を水平な板に固定し、繊維の自重で下方に垂らした状態をいう。繊維を引き伸ばした時の長さAとは、繊維の捲縮がなくなるまで伸ばした時の最小荷重時の長さをいう。
繊維の捲縮率は前述の通りであり、捲縮数は、1cmあたり2〜20個であることが好ましく、1cmあたり2〜10個であることが更に好ましい。捲縮数の測定方法は、JIS L 1015 8.12.1に準ずる。
【0019】
また、該繊維に流動パラフィン等のオイル成分を塗工し、微細ダスト等の粒子状物を保持できるようにすることも好ましい。流動パラフィン以外の成分としては、一般に油剤として知られている、シリコーン、ポリエチレングリコール、ポリエチレンワックス等を用いることもできる。さらにこれら成分に吸水性の向上、帯電防止能力の向上等のため、界面活性剤を添加することも有効である。
一方、製品としての外観の向上、付着汚れの見え易さの向上のため、白色以外の繊維を用いることも有効である。
【0020】
把手挿入部形成シート13は、略矩形状で、それらの長手方向が清掃用物品10の長手方向と一致している。把手挿入部形成シート13の長さは、繊維層11の長さとほぼ同じになっている。把手挿入部形成シート13の幅は、繊維層11の幅よりも狭くなっている。換言すると、清掃用物品10の幅方向において、把手挿入部15を形成する部材13の幅方向の長さは、繊維束からなる繊維層11の幅方向の長さよりも短くなっている。
【0021】
把手挿入部形成シート13は、その長手方向に柔軟性を有しており、清掃対象面に沿って追随し易くなっている。そのため、把手挿入部形成シート13に接合されている繊維層11も、清掃対象面に沿って追随し易くなるので、清掃用物品10によるゴミ、埃等の補足効果が高くなっている。
把手挿入部形成シート13の形成材料としては、従来の清掃用物品に用いられている不織布等の繊維シートを用いることができる。特に、エアスルー不織布又はスパンボンド不織布が好ましい。また、不織布、フィルム、合成紙、それらの複合材料でも良い。
【0022】
繊維層11と把手挿入部形成シート13とは、それらの幅方向中央部を一致させて、把手挿入部形成シート13の長手方向に亘って接合されている。
詳細には、第1繊維層11Aは、第1把手挿入部形成シート13Aに、幅方向中央部においては長手方向に連続的に延びる中央連続シール線16Aにより接合されており、中央連続シール線16Aから幅方向外方にそれぞれ離間した位置においては長手方向に非連続的に延びるサイド非連続シール16Bにより接合されている。同様に、第2繊維層11Bは、第2把手挿入部形成シート13Bに、中央連続シール線16A及びサイド非連続シール16Bにより接合されている。
また、第3繊維層11C及び第4繊維層11Dは、それぞれ第1把手挿入部形成シート13A及び第2把手挿入部形成シート13Bに、幅方向中央部においてのみ中央連続シール線16Aにより接合されている。
【0023】
本実施形態の清掃用物品10においては、その幅方向中央部に位置している中央連続シール線16Aは、連続直線状で、把手挿入部形成シート13の長手方向の前後端部間に亘って形成されている。尚、中央連続シール線16Aの幅方向位置は、把手挿入部形成シート13の幅方向中央部でもある。
【0024】
把手挿入部形成シート13の少なくとも一方の長さは、繊維層についての把手挿入部15の挿入方向に沿う長さの100%以上である。把手20の挿入位置の確認しやすさ、挿入操作のしやすさ等から、第1把手挿入部形成シート13A及び第2把手挿入部形成シート13Bの両方が繊維層11より長いことが好ましい。把手挿入部形成シート13の長手方向端部は、繊維層11の長手方向端部から1mm〜40mm延出していることが好ましく、1mm〜30mm延出していることがさらに好ましい。
【0025】
また、該清掃用物品10のように把手20を持って清掃する場合、清掃用物品10の先端部のみが汚れる傾向がある。この傾向に配慮し、清掃面を無駄なく使用できるようにする観点から、図1に示す把手20の挿入方向の反対側、即ち図1の右側からも把手20を挿入可能なように、もう一つの挿入口を設けることも有効である。本実施形態の清掃用物品10は、後述するように、このような形態を有している。この場合も、上記と同様に、把手挿入部形成シート13の長手方向端部は、もう一つの挿入口側においても、繊維層11Aの長手方向端部から延出していることが好ましい。
【0026】
把手挿入部形成シート13は、把手挿入部15の端部において、本実施形態においては繊維層11より延出している部分において、装着性の向上のため、少なくとも1mm以上の未接合の部分を有していることが好ましい。該未接合の部分は5mm以上であることが更に好ましい。
【0027】
中央連続シール線16Aの幅方向外方にはそれぞれサイド非連続シール16B,16B(図3において破線で囲まれた部分)が設けられている。
サイド非連続シール16Bは、長手方向に離間した2〜100個の点シール18の集合体から構成されている。集合体を構成する点シール18の個数は、更に好ましくは2〜50個である。本実施形態の点シール18は、円形のヒートシールから形成されている。点シール18は、長手方向位置を一致させて配列しており、長手方向に等間隔に並んで形成されている。点シール18の長手方向間隔は、把手20を把手挿入部15に挿入する際に引っ掛からないようにする観点から、5〜40mmであることが好ましい。
【0028】
中央連続シール線16Aとサイド非連続シール16Bとの幅方向間隔W1は、好ましくは5〜90mm、更に好ましくは5〜45mmである。
前記幅方向間隔W1は、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bが重なった状態において、サイド非連続シール16Bを形成している点シール18の幅方向内側の縁端と、中央連続シール線16Aの幅方向外側の縁端との間を、把手挿入部形成シート13の幅方向に沿って測った距離である。本実施形態においては、前記幅方向間隔W1は、把手挿入部15の幅となる。
【0029】
サイド非連続シール16Bのシール総長さ(サイド非連続シールについて非連続部分を仮想的に詰めて連続線とみなしたときの長さ)は、内側繊維層11Pについての把手挿入部15に沿う長さの10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましい。また、サイド非連続シール16Bのシール総長さは、中央連続シール線16Aについての把手挿入部15の挿入方向に沿う長さの10%以上であることが好ましく、15%以上であることが更に好ましい。
【0030】
サイド非連続シール16Bにおける、長手方向に隣接した点シール18,18間の領域においては、把手挿入部形成シート13と内側繊維層11Pとの間及び対向した把手挿入部形成シート13A,13Bの間(詳細は後述)は接合されていない。
尚、点シール18の形状は、例えば、楕円形、矩形等でもよい。点シール18の長手方向間隔は、等間隔でなくてもよい。
【0031】
従って、内側繊維層11Pは、幅方向に沿う縦断面視において、図4(a)に示すように、中央連続シール線16A及び2個のサイド非連続シール16Bの3箇所で接合されているか、又は図4(b)に示すように、中央連続シール線16Aのみの1箇所で接合されている。外側繊維層11Qは、幅方向に沿う縦断面視において、図4(a)及び図4(b)に示すように、どの断面においても中央連続シール線16Aのみの1箇所で接合されている。
尚、図4(a)及び図4(b)においては、第2繊維層11B及び第4繊維層11Dの図示を省略している。
【0032】
また、図4(c)に示すように、繊維層11Aの幅方向端部は、把手挿入部形成シート13の幅方向端部から延出していることが好ましい。把手挿入部形成シート13は、幅方向において、少なくとも内側繊維層11Pよりも片側で1〜20mm短いことが好ましく、2〜15mm短いことが更に好ましい。
【0033】
本発明の清掃用物品は、把手挿入部形成シート13の幅方向の長さが、清掃用物品の幅方向において上記繊維層11を形成している繊維束の幅方向の長さより短いため、清掃用物品10の表面に存在するのは、該繊維束による繊維層11のみとなる。さらに繊維層11のシール位置が複数あり、複数のパターンの刷毛が形成されて起毛方向が異なるため、エアブロー等により繊維は容易に立ち上がり、互いに支え合う形になる。そのため、図5に示すように清掃用物品10の全周を繊維による刷毛の先端で覆うような形態にすることが可能である。この際、繊維層11を略円筒状に起毛させて、中央連続シール線16Aを覆い隠すようにして清掃用物品10の全表面を覆うことが好ましい。
【0034】
図5に示す略円柱状の繊維層11の起毛形態の形成には、本発明の清掃用物品の起毛方法が好適に用いられる。本発明の清掃用物品の起毛方法は、扁平で筒状の把手挿入部15及び把手挿入部15の上下それぞれに中央連続シール線16Aにより接合された繊維束からなる繊維層11を具備し、把手20を把手挿入部15内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品10に対し、繊維束からなる繊維層11を開繊して、中央連続シール線16Aを覆うように繊維層11を3次元方向にランダムに起毛させて略円柱状になす方法である。繊維層11の開繊する方法としては、例えばエアーの吹き付けが用いられる。
【0035】
中央連続シール線16A,サイド非連続シール16Bは、ヒートシール、接着剤による接着等の公知の接合手段により形成されている。把手挿入部形成シート13が熱融着性の材料から構成されている場合には、中央連続シール線16A,サイド非連続シール16Bは、熱融着によって形成することもできる。
【0036】
扁平筒状の一対の把手挿入部15,15は、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bが、3本のサイド非連続シール16B,中央連続シール線16A,サイド非連続シール16Bで接合されて形成されている。即ち、3本のサイド非連続シール16B,中央連続シール線16A,サイド非連続シール16Bは、把手挿入部形成シート13と繊維層11との接合シール部と、対向した把手挿入部形成シート13A,13B同士の接合シール部とを兼ねている。
【0037】
把手挿入部15は、把手挿入部形成シート13の長手方向の前後端部間の全長に亘って形成されている。把手挿入部15,15においては、把手20が挿入されていない状態では、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bが当接し得る状態にあるが、把手20が挿入された状態では、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bが離間し、筒状の空間が形成されるようになっている。
【0038】
把手挿入部15は、把手挿入部形成シート13における長手方向の前後端部それぞれに挿入口を有している。そのため、把手20は、把手挿入部15内に何れの挿入口からも挿入可能となっている。
【0039】
次に、把手20について説明する。把手20は、図6に示すように、把持部21と、把持部21の先端から2股に分岐した一対の挿入部22,22とを備えている。把持部21と挿入部22とは所定の角度をなしている。挿入部22は細長い扁平板状の形状を有している。挿入部22がこのような形状となっていることで、挿入部22に可撓性が付与される。挿入部22に可撓性が付与されていると、曲面や凹凸を有する清掃対象面を清掃した場合に、清掃用物品10が清掃対象面に追従し易くなり、埃の除去効率が高まる観点から有利である。
【0040】
一対の挿入部22は、清掃用物品10における一対の把手挿入部15内にそれぞれ挿入し得るようになっている。挿入部22,22間には、挿入部22よりも短い長さを有するフック部23が設けられている。フック部23はその先端が所定の角度をなして上方を向いている。フック部23は、挿入部22が把手挿入部15内に挿入された状態において、清掃用物品10における切れ込み19(詳細は後述)と係合することで、挿入部22を清掃用物品10から抜け難くしている。
【0041】
把手20の形成材料としては、熱可塑性樹脂が好ましく、具体的には、成型加工性及び可撓性の観点から、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂等が好ましい。
【0042】
本実施形態の清掃用物品10は、把手20における一対の挿入部22,22をそれぞれ一対の把手挿入部15,15に挿入固定した状態で清掃に用いられる。
把手挿入部15の幅は、把手20が把手挿入部15に入り易く且つ清掃中には把手挿入部15から外れ難くする観点から、把手20の挿入部22の幅と略同じ長さにすることが好ましい。把手20の一対の挿入部22,22が清掃用物品10の一対の把手挿入部15,15にそれぞれ挿入されている状態において、把手挿入部15は、その幅方向に挿入部22の厚み相当分だけ伸び、挿入部22を締め付けている。
【0043】
把手挿入部形成シート13における長手方向の前後端部は、それぞれ内側に長手方向中央部に向けて折り返されており、折り返されている部分の幅方向中央部は、中央連続シール線16Aにより、把手挿入部形成シート13に接合されている。
把手挿入部形成シート13における長手方向の前後端部には、把手20のフック部23と係合する係合手段(把手20と係合可能な部分)として切れ込み19が設けられている。
【0044】
切れ込み19は、コの字状をしており、フック部23が係合することにより、把手挿入部形成シート13の長手方向内側から上方に向けて開くようになっている。切れ込み19がフック部23に係合されると、把手20は、把手挿入部15における長手方向の動き、特に長手方向外側への動きが規制されるため、挿入された把手20が清掃用物品10に安定して固定されるようになっている。
【0045】
切れ込み19は、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bの両方に形成されているため、把手20は、フック部23を清掃用物品10の上面側又は下面側の何れに配置しても、把手挿入部15に挿入して固定することができる。
尚、本実施形態では、把手挿入部15の長さが繊維層11の長さ(把手挿入部15の挿入方向に沿う長さ)とほぼ同じ長さになっているが、本発明においては、装着性等を考慮し、把手挿入部形成シート13の長さを繊維層11の長さよりも長くして、把手挿入部15の長さを繊維層11の長さよりも長く設けることが好ましい場合もある(図示せず)。
【0046】
さらに把手挿入部形成シート13の端部は、把手20に装着時に力を入れやすく、また力を入れたときの破断を防止するために、既知の補強手段より補強することが好ましい。本実施形態においては、2枚の把手挿入部形成シート13の端部は、把手挿入部15において折り返されて一体化されてシート破断強度が高められている。
【0047】
シート破断強度を高める構成としては他に以下の構成がある。第1の例としては、2枚の把手挿入部形成シート13が熱溶融性繊維から形成され、その端部は把手挿入部形成シート13を溶融フィルム化してシート破断強度が高められている構成が挙げられる。第2の例としては、2枚の把手挿入部形成シート13の端部は、他のシート材料が接合されてシート破断強度が高められている構成が挙げられる。
さらに前述のように把手20と係合する係合手段として切れ込み19を形成する場合には、その周辺のみを前述の補強手段などにより補強することが好ましい。
【0048】
このように構成された本実施形態の清掃用物品10によれば、繊維層11のうち最も把手挿入部形成シート13側の内側繊維層11Pは、把手挿入部形成シート13に、幅方向中央部においては長手方向に連続的に延びる中央連続シール線16Aにより接合されており、中央連続シール線16Aから幅方向外方にそれぞれ離間した位置においては長手方向に非連続的に延びるサイド非連続シール16Bにより接合されている。
【0049】
そのため、中央連続シール線16Aにのみで把手挿入部形成シート13に接合されている内側繊維層11Pにより、清掃用物品10の幅方向中央部の下側の繊維束(トウ)による刷毛が形成される。
【0050】
一方、中央連続シール線16A及びサイド非連続シール16Bで把手挿入部形成シート13に接合されている内側繊維層11Pにおいても、清掃用物品10の幅方向端部付近の刷毛が形成される。
【0051】
また、中央連続シール線16Aのみで把手挿入部形成シート13に接合されている外側繊維層11Qにより、清掃用物品10の幅方向中央部の上側の繊維束(トウ)による刷毛が形成される。
【0052】
本発明の清掃用物品のように、繊維のシール位置が複数あり、複数のパターンの刷毛が形成される場合は、各々の刷毛により起毛状態の繊維を支えるパターンが異なり、起毛状態の繊維の支え合いが効果的になされ、起毛方向が異なる清掃用物品が形成される。この傾向は、使用時、使用後等の荷重を掛けられた後でも有効に働き、一定以上の圧縮回復性を示す。この効果により該清掃用物品において表面の刷毛が清掃操作に有効なように清掃用物品10の全表面を覆うことになる。さらに、エアブロー等により繊維は立ち上がり、互いに支え合う形になり、図5に示すように清掃用物品10の全周を繊維による刷毛の先端で覆うような形態にすることが可能である。この際、中央連続シール線16Aを覆い隠すようにして清掃用物品10の全表面を覆うことが好ましい。
【0053】
本実施形態においては、これらの効果が組み合わさり、清掃時において繊維層11の起毛性、繊維層11の圧縮回復性が優れ、清掃対象物の凹凸面への追従性が高く、清掃性能が優れている。さらに本発明は、把手挿入部形成シート13が、清掃用物品の幅方向において繊維層11を形成している繊維束より短いため、清掃用物品の表面に存在するのは、該繊維束による繊維層11のみとなる。これにより繊維束がより有効に機能し、清掃性能が高まる。例えば、清掃対象物の表面への追随性が高く、凹凸部分の清掃性に優れる。さらにデリケートな扱いが必要な清掃対象物の清掃も可能になる。
【0054】
次に本発明の第2実施形態の清掃用物品10について、図7を参照しながら説明する。第2実施形態について、特に説明しない点については、第1実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図7において、図1〜図6と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0055】
第2実施形態の清掃用物品10は、図7に示すように、把手挿入部15が一つだけ設けられている。2枚の同形で縦長の把手挿入部形成シート13A,13Bが、その長手方向に亘る2つのサイド非連続シール16B,16Bで貼り合わされて、筒状の把手挿入部15が形成されている。2つのサイド非連続シール16B,16B(図7において点線で囲まれた部分)においては、図7に示すように、円形のヒートシールによる点シール18が、該把手挿入部形成シート13A,13Bの長手方向に等間隔に並んで形成されている。第1実施形態の清掃用物品に設けられていた線状のヒートシールによる中央連続シール線16Aは、把手挿入部形成シート13と繊維層11との接合をしているが、2枚の把手挿入部形成シート13A,13B同士の接合をしていない。
本実施形態において、把手20の挿入部の形状は、その幅が把手挿入部15と略同じ幅を有していれば、第1実施形態と同様に図6に示すように2股に分岐していても良いし、図8に示すように分岐していない一体的形状であっても良い。
【0056】
第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。また、把手20の挿入部が図8に示すように2股に分岐していない一体的形状を有している場合には、該挿入部の剛性が把手20により高められているため、部屋等の隅部や壁と家具との間の隙間などを清掃する場合、又は清掃対象面にこびりついたゴミを掻き取り、除去する場合において、操作性が向上する。
【0057】
次に、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様について、上述した図7に示す第2実施形態の清掃用物品10を製造する場合を例にして、図9〜図14を参照しながら説明する。尚、図13においては、第2連続体32B側の製造工程は、第1連続体32A側の製造工程と実質的に同じであるため、図示を省略している。
【0058】
本実施態様の製造方法においては、下記(1)〜(5)の工程を経て、清掃用物品10を製造する。
(1)第1連続体及び第2連続体の製造工程
(2)第1連続体と第2連続体とを重ねて固定し、更に第1連続体と第2連続体の上に、それぞれ連続した繊維束からなる第3繊維層及び第4繊維層を重ねて固定して積層体を形成する積層体の製造工程
(3)積層体を切断して個々の清掃用物品を得る工程
(4)清掃用物品における第1帯状部材及び第2帯状部材から、一対の破断誘導線に挟まれた中央部分を残して、該中央部分に連設された外方部を切り取る工程
(5)清掃用物品の繊維層を3次元方向にランダムに起毛するように開繊する工程
【0059】
(1)第1連続体及び第2連続体の製造工程
尚、第1連続体32Aについてのみ説明し、第2連続体32Bについての説明は省略するが、第2連続体32Bについても第1連続体32Aと同様に製造される。
本工程は、図9、図10及び図13に示すように、連続した繊維束からなる第1繊維層11Aと、連続した不織布からなる第1帯状部材31Aとを重ねて中央連続シール線16Aにより固定して、第1連続体32Aを製造する工程であり、通常、連続した繊維束からなる第3繊維層11Cを重ねて固定して積層体34を製造する工程(2)の前に行う。
【0060】
本工程においては、図13に示すように、連続した不織布からなる第1帯状部材31Aを巻き出した後、図9に示すように、第1帯状部材31Aの長手方向の両端部を折り重ねるようにして接合し、第1帯状部材31Aにミシン目(破断誘導線)加工を施して破断誘導線41を形成する。破断誘導線41は、第1帯状部材31Aの長手方向全域に亘って間欠的に形成される。その結果、第1帯状部材31Aは、一対の破断誘導線41に挟まれた中央部分42と、破断誘導線41を介して中央部分42に連設された外方部43とに区画される。更に、図10及び図13に示すように、第1帯状部材31Aの上(外面側)に、連続した繊維束からなる第1繊維層11Aを供給して、第1帯状部材31Aと第1繊維層11Aとを中央連続シール線16Aにより接合し、第1連続体32Aとする。中央連続シール線16Aは、第1繊維層11Aの長手方向全域に亘って間欠的に形成される。
【0061】
このように、第1繊維層11Aが配される前に、第1帯状部材31Aにミシン目(破断誘導線)41を形成することで、第1帯状部材31Aから、一対の破断誘導線41に挟まれた中央部分42を残して、該破断誘導線41を介して該中央部分42に連設された外方部43を切り取る工程(4)の際に、繊維層11が破壊することのないように、第1帯状部材31Aの破断がしやすくされている。
【0062】
(2)第1連続体と第2連続体とを重ねて固定し、更に第1連続体と第2連続体の上にそれぞれ連続した繊維束からなる第3繊維層及び第4繊維層を重ねて固定して積層体を形成する積層体の製造工程
本工程においては、図11〜図13に示すように、第1連続体32Aと第2連続体32Bとを重ねて固定し、更にその上にそれぞれ連続した繊維束からなる第3繊維層11C及び第4繊維層11Dを重ねて固定して積層体34を製造する。
【0063】
本実施態様においては、図11及び図13に示すように、第1連続体32Aと第2連続体32Bを供給して重ね合わせて、両者をサイド非連続シール16Bにより固定し、連続体接合体33を形成する。サイド非連続シール16Bは、第1繊維層11A及び第2繊維層11Bの長手方向全域に亘って間欠的に形成される。尚、把手挿入部15の挿入口を確保できるように、把手挿入部15近傍の点状のサイド非連続シール16Bは、その間隔を広げて形成されていることが好ましい。
【0064】
更に、図12及び図13に示すように、第1連続体32Aの上に連続した繊維束からなる第3繊維層11Cを重ねて中央連続シール線16Aにより固定し、また第2連続体32Bの上に第4繊維層11Dを重ねて中央連続シール線16Aにより固定する。これらの固定は、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段により剥離不能に行う。なお、これらの固定は、多数のドット、格子状、スパイラル状等による部分的な接合であっても良い。またホットメルトによる接合であっても良い。これにより、連続する第1繊維層11A及び第2繊維層11Bと、連続する第3繊維層11C及び第4繊維層11Dとが長手方向に間欠的に形成された積層体34が得られる。
【0065】
(3)積層体を切断して個々の清掃用物品を得る工程
本工程においては、図13に示すように、積層体34を切断して個々の清掃用物品35を得る。尚、清掃用物品35は、未完成状態の清掃用物品を意味する。
【0066】
(4)清掃用物品における第1帯状部材及び第2帯状部材から、一対の破断誘導線に挟まれた中央部分を残して、該中央部分に連設された外方部を切り取る工程
本工程においては、図12及び図14に示すように、切断された個々の清掃用物品35について、第1帯状部材31A及び第2帯状部材31Bそれぞれから、予め形成された一対の破断誘導線41を用いて、該破断誘導線41に挟まれた中央部分42を残して、該中央部分42に連設された外方部43を切り取ることで、清掃用物品10を得る。外方部43が切り取られた後の中央部分42は、把手挿入部形成シート13となる。また、対向した把手挿入部形成シート13A,13Bの間が把手挿入部15となる。
【0067】
(5)清掃用物品の繊維層を3次元方向にランダムに起毛するように開繊する工程
本工程は、製造の最終段階であり、本工程においては、破断誘導線41に挟まれた中央部分42を残して外方部43を切り取られた清掃用物品10における繊維層11に対して、エアブローを行い、繊維層11を開繊させて起毛させ、図5に示すような、中央連続シール線16Aを覆い隠すようにして清掃用物品10の全周を繊維による刷毛の先端で覆うような形態にした清掃用物品10を得る。
清掃用物品10は、このようにして、効率的に製造することができる。
【0068】
本実施態様の製造方法においては、下記工程(6)を更に有していることが好ましい。
(6)第1帯状部材31A及び/又は第2帯状部材31Bの中央部分42における少なくとも破断誘導線41の近傍を補強する工程
本工程は、第1連続体32A及び第2連続体32Bに中央連続シール線16Aを間欠的に形成する工程の前で、且つ第1連続体32A及び第2連続体32Bに破断誘導線41を間欠的に形成する工程の前、後又は途中に行われる。即ち、本工程は、破断誘導線41を間欠的に形成する工程の前、後又は途中の何れにおいても行うことができるが、中央連続シール線16Aを形成すると、第1繊維層11A及び第2繊維層11Bによって破断誘導線41が隠れてしまうため、中央連続シール線16Aを間欠的に形成する工程の前に行うことが必要である。
【0069】
本工程においては、第1帯状部材31A及び第2帯状部材31Bの両方又は第1帯状部材31Aのみ若しくは第2帯状部材31Bのみに対して補強をすることができる。補強は、中央部分42における少なくとも破断誘導線41の近傍について行えばよく、幅20〜3mmの領域に対して行うことが好ましい。
【0070】
第1帯状部材31A及び第2帯状部材31Bを補強する方法としては、例えば、帯状部材自体を溶融フィルム化する方法、帯状部材にホットメルト系接着剤等の接着剤を塗布する方法が挙げられる。これらの溶融フィルム化、接着剤の塗布等は、第1帯状部材31A及び第2帯状部材31Bの両方に対して施してもよく(その場合、両部材を接合することが好ましい)、何れか一方のみに施してもよい。
【0071】
本工程を経て製造された清掃用物品においては、第1帯状部材31A及び/又は第2帯状部材31Bの中央部分42における破断誘導線41の近傍が補強されているため、把手挿入部形成シート13の幅方向端部による掻き出し力が向上している。
【0072】
本発明の清掃用物品は、前述した実施形態に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、2枚の把手挿入部形成シート13A,13Bは、図15に示すように、把手挿入部15の端縁の位置をずらせて接合することができる。
繊維層11は、把手挿入部形成シート13に1層のみ(即ち、内側繊維層11Pのみ)設けられていてもよい。繊維層11は、3層以上設けることができる。
【0073】
把手挿入部15は、幅方向に折り返された1枚の把手挿入部形成シート13を所定位置で接合して形成してもよい。換言すると、把手挿入部15は、その上下の繊維層11,11間に介在させた1つの把手挿入部15を形成する部材を、把手挿入部15の長手方向両側に接合部が形成されるように接合して形成してもよい。
【0074】
一対のサイド非連続シール16B,16Bを構成する点シール18,18は、長手方向位置をずらして配列させることができる。そのような形態においては、内側繊維層11Pは、幅方向に沿う縦断面視において、中央連続シール線16A及び一方のサイド非連続シール16B(点シール18)の2箇所で接合された断面形状も有することになる。
サイド非連続シール16Bは、中央連続シール線16Aから幅方向外方の片側に離間した位置のみに設けることができる。
把手挿入部15は、把手20における挿入部22を挿入することができれば、1個の清掃用物品10に3個以上設けられていてもよい。把手20の形態にも制限はない。
【0075】
例えば、把手20の挿入部22は、図6に示す把手20の挿入部22に比して、図16に示すように、その基部22Aからその先端部22Bに向かう途中領域から、好ましくは挿入部22における長手方向中央部から2股に分岐する形状を有していてもよい。2股に分岐した挿入部22を備えた把手20と組み合わせて用いられる清掃用物品10においては、第1実施形態における中央連続シール線16A及びサイド非連続シール16Bを省略する代わりに、長手方向に離間した複数個の点シール18の集合体から形成された中央非連続シール16Cを設けた構成とすることができる。中央非連続シール16Cは、第1実施形態における中央連続シール線16Aと同様に、把手挿入部形成シート13の幅方向中央部に設けられており、2股に分岐した挿入部22を備えた把手20と組み合わせた状態においては、2股に分岐した挿入部22に挟まれる。中央非連続シール16Cを形成する点シール18においては、第1実施形態におけるサイド非連続シール16Bを形成する点シール18に関する説明が適宜適用される。
【0076】
また、中央非連続シール16Cに代えて、2股に分岐した挿入部22を備えた把手20と組み合わせた状態において、2股に分岐した挿入部22に挟まれる位置に、長手方向に連続した中央連続シール線(図示せず)を設けることができる。
【0077】
また、把手20の挿入部22は、図6に示す把手20の挿入部22に比して、図17に示すように、その先端部22B側がその基部22A側よりも細くなった形状とすることができる。このような形状の挿入部22においては、先端部22B側の幅と基部22A側の幅と差によって生じる外側縁部の段差は、挿入部22における長手方向中央部付近であることが好ましい。このような段差を有する挿入部22を備えた把手20と組み合わせて用いられる清掃用物品10においては、長手方向に離間した複数個の点シール18の集合体から形成された中央非連続シール16Cに加え、前記段差に対応する位置に、幅方向に一対の円形の段差対応点シール18Aを設けることができる。段差対応点シール18Aを設けることにより、清掃用物品10と把手20との適合性が高まる。段差対応点シール18Aは、必ずしも幅方向に一対設ける必要はなく、一方のみに設けても問題はない。
【0078】
尚、図16に示す清掃用物品10及び図17に示す清掃用物品10の何れにおいても、第1実施形態と同様に、切れ込み19が設けられており、そのため、使用時における清掃用物品10のズレが効果的に抑制される。
【0079】
また、本発明の清掃用物品の起毛方法及び清掃用物品の製造方法は、前述した実施態様に制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。
例えば、本発明の清掃用物品の製造方法は、第1実施形態の清掃用物品のように2個の把手挿入部15を有する清掃用物品の製造に適用することができ、また、3個以上の把手挿入部15を有する清掃用物品の製造に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】図1は、本発明の清掃用物品の第1実施形態に把手を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示す清掃用物品の分解斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す清掃用物品における把手挿入部形成シートを示す平面図である。
【図4】図4(a)は図3に示すIVA−IVA断面図、図4(b)は図3に示すIVB−IVB断面図、図4(c)は図1に示す清掃用物品の分解断面図である。
【図5】図5は、図1に示す清掃用物品における繊維層を毛羽立たせた状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、図1に示す把手の斜視図である。
【図7】図7は、第2実施形態の清掃用物品における把手挿入部形成シートを示す平面図(図3対応図)である。
【図8】図8は、図7に示す清掃用物品に取り付けられる把手の斜視図である。
【図9】図9は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様における第1帯状部材を示す図で、(a)は平面図、(b)は幅方向に沿う縦断面図である。
【図10】図10は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様における第1連続体を示す図で、(a)は平面図、(b)は幅方向に沿う縦断面図である。
【図11】図11は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様における第1連続体と第2連続体との連続体接合体を示す図で、(a)は平面図、(b)は幅方向に沿う縦断面図である。
【図12】図12は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様における積層体を示す図で、(a)は平面図、(b)は幅方向に沿う縦断面図である。
【図13】図13は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様の全容を模式的に示す図である。
【図14】図14は、本発明の清掃用物品の製造方法の一実施態様により製造された清掃用物品を示す図で、(a)は平面図、(b)は幅方向に沿う縦断面図である。
【図15】図15は、別の形態の把手挿入部形成シートを示す図で、(a)は平面図(図3対応図)、(b)は長手方向に沿う分解断面図である。
【図16】図16は、別の形態の清掃用物品及びそれと組み合わせて用いられる把手を、組み合わされた状態で示す平面図である。
【図17】図17は、更に別の形態の清掃用物品及びそれと組み合わせて用いられる把手を、組み合わされた状態で示す平面図である。
【符号の説明】
【0081】
10 清掃用物品
11A 第1繊維層
11B 第2繊維層
11C 第3繊維層
11D 第4繊維層
13A 第1把手挿入部形成シート
13B 第2把手挿入部形成シート
15 把手挿入部
16A 中央連続シール線
16B サイド非連続シール
18 点シール
20 把手
22 挿入部
31A 第1帯状部材
31B 第2帯状部材
32A 第1連続体
32B 第2連続体
33 連続体接合体
34 積層体
35 (未完成状態の)清掃用物品
41 破断誘導線
42 中央部分
43 外方部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平で筒状の把手挿入部を有し、該把手挿入部の上下それぞれに繊維束からなる繊維層を具備しており、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品であって、
前記清掃用物品の幅方向において、前記把手挿入部を形成する部材の幅方向の長さが、前記繊維束からなる前記繊維層の幅方向の長さよりも短くなっている清掃用物品。
【請求項2】
前記把手挿入部は、その上下の前記繊維層間に介在させた2つの前記部材を、該把手挿入部の長手方向両側に接合部が形成されるように接合して形成されている請求項1記載の清掃用物品。
【請求項3】
前記把手挿入部は、その上下の前記繊維層間に介在させた1つの前記部材を、該把手挿入部の長手方向両側に接合部が形成されるように接合して形成されている請求項1記載の清掃用物品。
【請求項4】
前記2つの部材は2枚のシートであり、該2枚のシートは、前記把手挿入部の端部に未接合の部分を有している請求項2記載の清掃用物品。
【請求項5】
前記2枚のシートは、前記把手挿入部の端縁の位置をずらせて接合されている請求項4記載の清掃用物品。
【請求項6】
前記2枚のシートの前記端部は、前記把手挿入部において折り返されて一体化されてシート破断強度が高められている請求項4記載の清掃用物品。
【請求項7】
前記2枚のシートは熱溶融性繊維から形成されており、その前記端部は該シートを溶融フィルム化してシート破断強度が高められている請求項4記載の清掃用物品。
【請求項8】
前記2枚のシートの前記端部は、他のシート材料が接合されてシート破断強度が高められている請求項4記載の清掃用物品。
【請求項9】
前記2枚のシートの前記端部は、前記把手と係合可能な部分を有している請求項4記載の清掃用物品。
【請求項10】
扁平で筒状の把手挿入部及び該把手挿入部の上下それぞれに中央連続シール線により接合された繊維束からなる繊維層を具備し、把手を該把手挿入部内に挿入して取り付け可能になされている清掃用物品に対し、前記繊維束からなる前記繊維層を開繊して、前記中央連続シール線を覆うように該繊維層を3次元方向にランダムに起毛させて略円柱状に成す清掃用物品の起毛方法。
【請求項11】
連続した繊維束からなる第1繊維層及び第1帯状部材を有し、該第1帯状部材の長手方向両端部が折り重ねて固定され、該第1帯状部材の外面側に該第1繊維層が重ねて固定された第1連続体と、連続した繊維束からなる第2繊維層及び第2帯状部材を有し、該第2帯状部材の長手方向両端部が折り重ねて固定され、該第2帯状部材の外面側に該第2繊維層が重ねて固定された第2連続体とを重ねて固定し、その後に、前記第1繊維層及び前記第2繊維層の上にそれぞれ連続した繊維束からなる第3繊維層及び第4繊維層を重ねて固定した積層体を形成し、形成された該積層体を切断して個々の清掃用物品を得る清掃用物品の製造方法であって、
前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材は、一対の破断誘導線に挟まれた中央部分と、該破断誘導線を介して該中央部分に連設された外方部とを有しており、
前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材に、それぞれ該第1帯状部材及び該第2帯状部材の長手方向全域に亘る前記破断誘導線を間欠的に形成する工程と、
前記第1連続体及び前記第2連続体に、それぞれ前記第1繊維層及び前記第2繊維層の長手方向全域に亘る中央連続シール線を間欠的に形成する工程と、
前記第1連続体及び前記第2連続体に、それぞれ前記第1繊維層及び前記第2繊維層の長手方向全域に亘るサイド非連続シールを間欠的に形成する工程と、
前記第1帯状部材及び前記第2帯状部材から、前記一対の破断誘導線に挟まれた前記中央部分を残して、該破断誘導線を介して該中央部分に連設された前記外方部を切り取る工程と、
前記繊維層を3次元方向にランダムに起毛するように開繊する工程とを有する清掃用物品の製造方法。
【請求項12】
前記第1連続体及び前記第2連続体に前記中央連続シール線を間欠的に形成する工程の前で、且つ前記第1連続体及び前記第2連続体に前記破断誘導線を間欠的に形成する工程の前、後又は途中に、
前記第1帯状部材及び/又は前記第2帯状部材の前記中央部分における少なくとも前記破断誘導線の近傍を補強する工程を更に有する請求項11記載の清掃用物品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−6260(P2008−6260A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281743(P2006−281743)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】