説明

清掃装置、画像形成装置、およびカートリッジ

【課題】 本発明は、清掃装置等に関し、現像剤を安定的に堰き止めるとともに新たな現像剤への更新を行なうことを目的とし、
【解決手段】 回転しながら現像像を保持し現像像を被転写体に転写する像保持体表面の、転写後の部分に接触し、像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、上下両端のうちの一端154cが支持され他端154dが自由端であって、除去部材と搬送部材との間において上下方向および回転軸方向に広がり、除去部材により像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材154とを有し、その堰き止め部材154が、上記他端154dから回転軸方向Eに傾いて上記一端154cに向かい、さらにその回転軸方向Eに折れ曲がった形状の、回転軸方向Eに並ぶ複数のスリット1541,1542を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃装置、画像形成装置、およびカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置の場合、像保持体上に現像像を形成してその現像像を転写し、転写後に像保持体上に残存する現像剤を清掃装置で除去する構成が採用される。また、その像保持体や清掃装置をカートリッジとして一体化し、そのカートリッジを交換自在とする構成もよく採用されている。
【0003】
ここで、特許文献1には、像保持体に接触して現像剤を除去する除去部材と、除去部材により除去された現像剤を受け入れ、収容する収容容器と、収容された現像剤を搬送する搬送部材と、除去部材から搬送部材に向けて移動する現像剤の一部を堰き止める堰き止め部材とを有する清掃器が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、除去部材、収容容器、搬送部材、および堰き止め部材に加えさらに、堰き止め部材に接触して振動を付与する振動付与部材を有する清掃器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−72538号公報
【特許文献2】特開2010−78718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
堰き止め部材は、現像剤を堰き止め過ぎないように、‘適度’な量だけ堰き止める必要があり、かつ常に新たな現像剤に更新する必要がある。
【0007】
本発明は、現像剤を安定的に堰き止めるとともに新たな現像剤への更新を行なうことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の清掃装置は、
回転しながら現像像を保持し現像像を被転写体に転写する像保持体表面の、転写後の部分に接触し、像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
除去部材により像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
収容容器内に配置され、像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、収容容器内の現像剤をその回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、除去部材と搬送部材との間において上下方向および回転軸方向に広がり、除去部材により像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
上記堰き止め部材が、上記他端から回転軸方向に傾いて上記一端に向かい、さらにその回転軸方向に折れ曲がった形状の、回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有することを特徴とする。
【0009】
請求項2の清掃装置は、請求項1の清掃装置において、上記スリットが、上記他端から上記一端側に向かうに従って、搬送部材による現像剤搬送方向下流側寄りに延び、さらにその搬送方向下流側に折れ曲がった形状のスリットであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の清掃装置は、請求項1又は2の清掃装置において、上記堰き止め部材が、上記回転軸方向について、像保持体両端部の、現像像を保持しない非保持部と、それら両端部の非保持部に挟まれた、現像像を保持する保持部とに跨って広がった部材であり、上記複数のスリットのうちの非保持部に対面した領域に形成された第1のスリットが、保持部に対面した領域に形成された第2のスリットよりも長尺なスリットであることを特徴とする。
【0011】
請求項4の画像形成装置は、
静電潜像が形成され、さらに現像を受けて現像像を保持する像保持体と、
像保持体に形成された静電潜像を現像する現像器と、
像保持体上の現像像を記録媒体に転写する転写器と、
記録媒体に転写された現像像を記録媒体に定着する定着器と、
像保持体の、現像像転写後の部分に残存する現像剤を除去することにより像保持体を清掃する清掃器とを有し、
上記清掃器が、
像保持体表面の、転写後の部分に接触し、像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
除去部材により像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
収容容器内に配置され、像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、収容容器内の現像剤をその回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、除去部材と搬送部材との間において上下方向および回転軸方向に広がり、除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
上記堰き止め部材が、上記他端から前記回転軸方向に傾いて上記一端に向かい、さらにその回転軸方向に折れ曲がった形状の、回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有することを特徴とする。
【0012】
請求項5の画像形成装置は、請求項4の画像形成装置において、上記スリットが、上記他端から上記一端側に向かうに従って、搬送部材による現像剤搬送方向下流側寄りに延び、さらにその搬送方向下流側に折れ曲がった形状のスリットであることを特徴とする。
【0013】
請求項6の画像形成装置は、請求項4又は5の画像形成装置において、上記堰き止め部材が、上記回転軸方向について、像保持体両端部の、現像像を保持しない非保持部と、それら両端部の非保持部に挟まれた、現像像を保持する保持部とに跨って広がった部材であり、上記複数のスリットのうちの非保持部に対面した領域に形成された第1のスリットが、保持部に対面した領域に形成された第2のスリットよりも長尺なスリットであることを特徴とする。
【0014】
請求項7のカートリッジは、
回転しながら帯電され露光光の照射を受けて静電潜像が形成され現像により現像像を保持して該現像像を被転写体に転写する像保持体と、
像保持体を帯電する帯電器と、
像保持体の、現像像転写後の部分に残存する現像剤を除去することにより像保持体を清掃する清掃器を有し、
上記清掃器が、
像保持体表面の、転写後の部分に接触し、像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
除去部材により像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
収容容器内に配置され、像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、収容容器内の現像剤をその回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、除去部材と搬送部材との間において上下方向および回転軸方向に広がり、除去部材により像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
上記堰き止め部材が、上記他端から回転軸方向に傾いて上記一端に向かい、さらにその回転軸方向に折れ曲がった形状の、回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有する清掃器であることを特徴とする、画像形成装置に着脱自在に装着されるカートリッジである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1,4,7の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、現像剤が安定的に堰き止められ、かつ堰き止められた現像剤が新たな現像剤に更新される。
【0016】
請求項2,5の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、現像剤がより安定的に堰き止められる。
【0017】
請求項3,6の発明によれば、本構成を有しない場合に比較して、非保持部と保持部とのそれぞれについて現像剤がより安定的に堰き止められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【図2】感光体、帯電器およびクリーナが組み込まれたカートリッジの外観斜視図である。
【図3】クリーナの概略構成図である。
【図4】現像器の外観斜視図である。
【図5】図4に示す現像器を、現像ロールの回転軸に垂直な平面で断面して示した図である。
【図6】図4に示す現像器の一方の端部を示した図である。
【図7】図3に示すクリーナを構成する堰き止めシールを示した図である。
【図8】スリットが形成された堰き止めシールの作用説明図である。
【図9】堰き止めシールに堰き止められている現像剤の模式図である。
【図10】図9に示す長さSの変化を示した図である。
【図11】第2実施形態のクリーナの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態の画像形成装置の概略構成図である。
【0021】
この図1に示す画像形成装置1には、本発明の清掃装置の一実施形態であるクリーナ15が搭載されている。
【0022】
この画像形成装置1は、感光体11を備えている。この感光体11は、図1の紙面に垂直な回転軸を有し、その回転軸の回りに矢印A方向に回転するドラム形状の感光体である。
【0023】
この感光体11の周囲には、帯電器12、現像器13、転写器14、およびクリーナ15が配置されている。また、感光体11の上方には露光器16が配置されており、感光体11は、帯電器12による帯電を受けた後、露光器16から発せられる露光光161の照射を受ける。
【0024】
ここで、この感光体11と、帯電器12と、クリーナ15は、この画像形成装置1の本体部に対し一体的に着脱自在なカートリッジとして構成されている。さらに現像器13を含めた構成をカートリッジ化してもよい。
【0025】
また、この画像形成装置1の下方には、2台の用紙収容部21が配置されており、各用紙収容部21には、用紙Pが積み重ねられた状態に収容されている。それらの用紙収容部21のいずれかから用紙Pが1枚取り出され、搬送ローラ22により矢印B,Cの向きに搬送され、最終的に排紙台24の上に排出される。
【0026】
画像形成にあたっては、矢印A方向に回転する感光体11の表面が帯電器12により帯電され、露光器16からの、画像を表わす露光光161の照射を受けて静電潜像が形成され、現像器13によりその静電潜像が現像されて感光体11上に現像像が形成される。
【0027】
用紙収容部21から取り出され矢印B,Cで示す向きに搬送されてきた用紙Pは、感光体11上に形成された現像像が、転写器14が配置されている転写位置に達するのと同期してその転写位置に搬送され、転写器14の作用により感光体11上の現像像が用紙P上に転写される。
【0028】
現像像の転写を受けた用紙はさらに搬送され、定着器23により加熱および加圧を受けて現像像が定着され、その用紙上に定着された現像像からなる画像が形成される。この画像が形成された用紙はさらに搬送され、排紙台24上に排紙される。
【0029】
また感光体11は、転写器14の作用により用紙上に現像像を転写した後、クリーナ15により感光体11上に残存する現像剤の除去を受け、帯電器12により再び帯電される。
【0030】
図2は、感光体、帯電器およびクリーナが組み込まれたカートリッジの外観斜視図である。
【0031】
このカートリッジ30は、図1にも示した感光体11、露光器12、およびクリーナ15が一体に構成されている。感光体11が摩耗したときは、このカートリッジ30を単位として一体に交換される。感光体11は、矢印A方向に回転する。帯電器12は、感光体11に接し、感光体11を帯電させる帯電ロール121と、帯電ロール121に付着した現像剤などを除去する清掃ロール122を有する。クリーナ15は、この図2では感光体11の背後に隠れた位置にあり、感光体11の長手方向と平行に延在している。
【0032】
図3は、クリーナの概略構成図である。この図3は、感光体11の回転軸に垂直な平面で断面したときの概略形状を示している。
【0033】
このクリーナ15は、筐体150と、ブレード151と、筐体150により形成された収容容器152と、搬送部材153と、堰き止めシール154と、下部シール155とを有する。
【0034】
ブレード151は、本発明にいう除去部材の一例に相当しており、その上部が筐体150に固定され、下縁が感光体11に接し、感光体11が矢印A方向に回転することにより感光体11が運んできた現像剤80を掻き取って感光体11から除去する。下部シール155は、下端部が筐体150に支持され上端部が感光体11に接していて、感光体11から掻き取られた現像剤80が下にこぼれ落ちるのを防止する役割りを担っている。
【0035】
感光体11から掻き落とされた現像剤は堰き止めシール154により一旦堰き止められた後、収容容器152に収容される。堰き止めシール154の詳細については後述する。
【0036】
収容容器152に収容された現像剤は、搬送部材153により、感光体11の回転軸方向(図3の紙面に垂直な方向)に搬送され、このクリーナ15の外に置かれたタンク(図示せず)内に収容される。
【0037】
堰き止めシール154についての説明はさらに後に譲り、次に現像器13(図1参照)について説明する。
【0038】
図4は、現像器の外観斜視図である。
【0039】
この現像器13は、現像剤を収容した筐体131と、その筐体131から一部が外部に露出した現像ロール132と、現像ロール132上の現像剤の層厚を規制する層厚規制部材133とを有する。
【0040】
現像ロール132は、矢印D方向に回転し、筐体131に内蔵されている現像剤をその表面に保持してその露出した部分に搬出するが、その際、層厚規制部材133による層厚の規制を受け、規制された層厚の現像剤層を表面に保持した状態となる。
【0041】
この現像器13は、現像ロール132の、筐体131の外部に露出した部分が感光体11と対面する姿勢に配置され、現像ロール132への現像バイアスの印加を受けて、現像ロール132により感光体11との対面領域に運ばれた現像剤が感光体11の静電潜像に飛翔し、静電潜像が現像剤で現像される。
【0042】
筐体131内の現像剤は、凝固を防止し、かつ摩擦帯電を生じさせるよう、筐体131の内部に設けられたオーガ等の搬送部材により、現像ロール132の回転軸に沿って循環移動するように搬送される。
【0043】
図5は、図4に示す現像器を、現像ロールの回転軸に垂直な平面で断面して示した図である。
【0044】
また図6は、図4に示す現像器の一方の端部を示した図である。
【0045】
筐体131は、層厚規制部材133を固定するための固定部131aを有する。この固定部131aは、現像ロール132の回転軸方向両端部に設けられており、現像剤は、それらの固定部131aに挟まれた領域131bに収容されている。
【0046】
このため、現像ロール132には、図6に示すように、現像剤が収容された領域131bに対応した、現像剤を表面に保持する保持部132aと、その保持部132aの両端部に、現像剤を保持しない非保持部132bとが形成されている。保持部132aは現像剤を保持し、静電潜像の現像に寄与する部分であり、非保持部132bは、現像剤を保持せず、静電潜像の現像には寄与しない部分である。したがって、感光体11上には、現像ロール132の保持部132aに対応する領域にのみ静電潜像を形成するように、システムが構成されている。
【0047】
図7は、図3に示すクリーナを構成する堰き止めシールを示した図である。
【0048】
この堰き止めシール154は、感光体11(図3参照)の回転軸方向(図3の紙面に垂直な方向)に長尺なPETフィルム等のシート材で形成されている。この堰き止めシール154は、図3に示すように、その下端部154cが筐体150に固定され、上端154dが自由端となっている。この堰き止めシール154には、その長手方向に並ぶ複数のスリット1541,1542が形成されている。各スリット1541,1542は、自由端である上端154dから感光体11の回転軸方向(堰き止めシール154の長手方向)に傾いて下端部154cに向かう第1部分1541a,1542aと、その第1部分1541a,1542aの端から回転軸方向に折れ曲がって延びた第2部分1541b,1542bを有する。ここで、この堰き止めシール154は、収容容器152(図3参照)に収容された現像剤が、搬送部材153により図7に示す矢印Eの向きに搬送されるように、クリーナ13の筐体131に固定される。すなわち、この堰き止め部材154に設けられたスリット1541,1542の第1部分1541a,1542aは、自由端である上端154dから下端部154cに向かうに従って、搬送部材153(図3参照)による現像剤搬送方向(図7に矢印Eで示す方向)下流側(図7の左側)に延び、第2部分1541b,1542bは、その第1部分1541a,1542aの先端からさらにその搬送方向下流側(矢印Eで示す向き)に折れ曲がって延びている。ここで、この堰き止めシール154の長手方向中央部154aのスリット1541と両端部(図7には一方の端部154bのみ示してある)のスリット1542とを比べると、端部154bのスリット1542の第2部分1542bの方が、長さが中央部154aのスリット1541の第2部分1541bの長さよりも長く形成されている。
【0049】
この堰き止め部材154は、感光体11の回転軸方向について、現像ロール132(図4〜図6参照)の、現像剤を保持している保持部132aと現像剤を保持しない非保持部132bとに跨って広がったロールである。ここで、堰き止め部材154の中央部154aは、感光体11の回転軸方向について、現像ロール132の保持部132a(図6参照)に対応した位置にあり、端部154bは、現像ロール132の、現像剤を保持していない非保持部132b(図6参照)に対応した位置にある。保持部132aは、感光体11については、静電潜像および現像像の形成に使用される画像部に相当し、非保持部132bは、感光体11については、静電潜像や現像像の形成には使用されない非画像部に相当する。現像ロール132上の保持部132aに相当する感光体11上の画像部は、現像像が形成され、転写後に一部の現像剤が残存する部分であり、現像ロール132上の非保持部132bに相当する感光体11上の非画像部は、現像像は形成されず、したがって残存する現像剤も少ない部分である。堰き止め部材154の中央部154aと端部154bのスリット1541,1542の形状の違いは、残存する現像剤の多少に応じた違いである。端部154bのスリット1542は、中央部154aのスリット1541と比べ、第2部分1542bが長く、その分現像剤が収容容器152(図3参照)内に移り易く、したがって、中央部154aに堰き止められていた現像剤が端部154bに移り易くなっている。
【0050】
このように、堰き止めシール154のスリット1541,1542は、感光体11上の画像部と非画像部とでそれぞれ適量の現像剤が堰き止められ、堰き止められている現像剤がそれぞれ適切な速さで収容容器152内に移るように工夫されている。
【0051】
尚、この図7では、中央部154aと端部154bとでスリット1541,1542の第2部分1541b,1542bの長さを変えることで、画像部と非画像部の現像剤の残存量の違いを吸収して画像部と非画像部のいずれにも適応する堰き止めシール154を形成しているが、スリット1541,1542の第1部分1541a,1542aの長さを変える(スリット1542の第1部分1542aの長さをスリット1541の第1部分1541aよりも長くする)ことにより、画像部と非画像部の双方に適応する堰き止めシールを形成してもよい。あるいは、スリット1541,1542の第1部分1541a,1542aと第2部分1541b,1542bの双方の長さを調整することにより、画像部と非画像部との双方に適応する堰き止めシールを形成してもよい。
【0052】
図8は、スリットが形成された堰き止めシールの作用説明図である。図8(A)は、比較例、図8(B)は、図7に示す形状のスリットが形成された、本実施形態で採用されている堰き止め部材を示している。
【0053】
図8(A)に示す比較例の堰き止めシール1541’は、斜めに一直線にのみ延びるスリット1541’が形成されている。すなわち、このスリット1541’は、図7に示す堰き止めシール154のスリット1541,1542の第1部分1541a,1542aに相当し、第2部分1541b,1542bに相当する部分は形成されていない。
【0054】
この図8(A)の堰き止めシール154’を採用すると、その堰き止めシール154’に堰き止められた現像剤の量が増えると自由端である上辺dが矢印X1のようにほぼ一様に傾き、領域Dに堰き止められていた現像剤が収容容器152内に一斉に送り出される。
【0055】
これに対し、図8(B)に示す、本実施形態で採用している堰き止めシール154の場合、スリット1541は、第1部分1541aに加え、第2部分1541bが形成されているため、この堰き止めシール154に堰き止められている現像剤の量が増えると、自由端である上辺の鋭角側の角aから矢印X2のように斜めに傾き、領域D1に堰き止められていた現像剤が収容容器152に送り出される。一方、領域D2に堰き止められている現像剤は堰き止められている状態のまま残る。かつ領域D1に堰き止められていた現像剤は、上辺dのうちの角aの側に堰き止められていた現像剤が先に送り出され、先に送り出された現像剤が搬送部材153により矢印E方向に搬送される間に領域D1の現像剤が徐々に送り出される。この徐々に送り出される間、先に送り出された角a側の現像剤が矢印E方向に搬送されているため、その搬送された現像剤が抵抗となって領域D1の現像剤のうち後から送り出される現像剤が勢いよく送り出されるのが防止され、送り出される速度が緩やかになる。さらに、領域D1の現像剤が送り出された後、傾いた領域D1が元に戻ろうとして跳ね、その際に領域D2に堰き止められていた現像剤の塊りを崩す作用もある。
【0056】
このように、図8(B)の形状のスリットを形成した堰き止めシール154の場合、図8(A)の形状のスリットの堰き止めシール154’と比べ、そこに堰き止められている現像剤が少しずつ緩やかに送り出され、そこに堰き止められる現像剤の量の変化を小さく抑えることができる。
【0057】
ここで、堰き止めシール154のスリット1541,1542に第2部分1541b,1542bを形成したことで堰き止められている現像剤が送り出されやすくなることの実験データを示しておく。
【0058】
図9は、堰き止めシールに堰き止められている現像剤の模式図である。図9の下側は、感光体11側であり、上側は堰き止めシール154側である。また、図10は、図9に示す長さSの変化を示した図である。
【0059】
ここでは先ず、マゼンタ(M)色の現像剤を使って面積率50%のハーフトーンの一様画像を323mmの幅で200mmの長さを4本に渡って形成し、感光体11と堰き止めシール154との間にマゼンタ(M)色の現像剤を溜める。その後、シアン(C)色の現像剤を使って1%のハーフトーンの一様画像をA310枚分形成する。シアン(C)色の現像剤を使って一様画像を形成していくと、感光体11と堰き止めシール154との間の、感光体11側にシアン(C)色の現像剤が溜まり、その分マゼンタ(M)色の現像剤が堰き止めシール154から収容容器152(図3参照)内に送り出される。その結果、図9に示すように、感光体11と堰き止めシール154との間のうちの感光体11側はシアン(C)色の現像剤で占められ、堰き止めシール154側がマゼンタ(M)色の現像剤で占められた状態となる。ここでは、上記の条件に従い、シアン(C)色の現像剤を使って1%のハーフトーンの一様画像をA310枚分形成した後、感光体11側からの、シアン(C)の現像剤の厚さSを測定している。
【0060】
図10は、堰き止めシール154(図7参照)の中央部154aについての実験結果である。横軸の‘0’,‘1’,‘2’は、スリット1541の第2部分1541bの長さ(mm)を表わしており、縦軸は、厚さS(μm)を表わしている。
【0061】
スリット1541に第2部分1541bを形成することにより堰き止めシール154により堰き止められる現像剤が新たな現像剤に置き換わり易くなっていることが分かる。またここにはあらわれていないが第2部分1541bを形成した方が新たな現像剤への置き換わる速度の変化も小さく、滑らかに置き換わっている。
【0062】
図11は、第2実施形態のクリーナの断面図である。
【0063】
このクリーナ15Aは、図3に示すクリーナ15に代えて採用することのできるクリーナであり、図3に示すクリーナ15の構成要素に対応する構成要素には、図3において付した符号と同一の符号を付して示し、相違点についてのみ説明する。
【0064】
図11に示すクリーナ15Aには、堰き止めシール154Aが備えられている。この堰き止めシール154Aは、そのシールを形成しているシート材の厚みや、上下方向の長さ等は、このクリーナ15Aに適合するように変更されているものの、その形状的な特徴は図3,図7に示す堰き止めシール154と同一である。ただし、図11に示す堰き止めシール154Aは、上端部が筐体150に固定されており、下端が自由端となっている。すなわち、この堰き止めシール154Aは、図7の堰き止めシール154の下端部154Cが上になって筐体150に固定され、図7の堰き止めシール154の上端154dが下端となるように、図7に示す堰き止めシール154を上下逆にした形状となっている。
【0065】
この図11に示すクリーナ15Aも、図8を参照して説明した作用と同様の作用を有する。すなわち、第1部分1541a,1542aと第2部分1541b,1542bとを有するスリット1541,1542が形成されている堰き止めシール154Aを採用しているため、その堰き止めシール154Aにより常に適量の現像剤が堰き止められ、新たな現像剤に滑らかに置換される。
【0066】
尚、ここでは、感光体11上に残存する現像剤を除去するクリーナについて説明したが、本発明は、クリーナの設置場所の如何を問うものではない。例えば感光体上に現像像を形成し、その現像像を中間転写体に転写した後、その中間転写体上の現像像を用紙上に転写するという、いわゆる中間転写タイプの画像形成装置における中間転写体上に残存する現像剤を除去するクリーナにも本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0067】
1 画像形成装置
11 感光体
12 帯電器
13 現像器
14 転写器
15,15A クリーナ
16 露光器
21 用紙収容部
22 搬送ローラ
23 定着器
24 排紙台
30 カートリッジ
80 現像剤
121 帯電ロール
122 清掃ロール
131,150 筐体
131a 固定部
131b,D1,D2 領域
132 現像ロール
132a 保持部
132b 非保持部
133 層厚規制部材
151 ブレード
152 収容容器
153 搬送部材
154,154A 堰き止めシール
154a 中央部
154b 端部
154c 下端部
154d 上端
155 下部シール
161 露光光
1541,1542 スリット
1541a,1542a 第1部分
1541b,1542b 第2部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転しながら現像像を保持し該現像像を被転写体に転写する像保持体表面の、転写後の部分に接触し、該像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
前記収容容器内に配置され、前記像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、該収容容器内の現像剤を該回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、前記除去部材と前記搬送部材との間において上下方向および前記回転軸方向に広がり、前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
前記堰き止め部材が、前記他端から前記回転軸方向に傾いて前記一端に向かい、さらに該回転軸方向に折れ曲がった形状の、該回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有することを特徴とする清掃装置。
【請求項2】
前記スリットが、前記他端から前記一端側に向かうに従って、前記搬送部材による現像剤搬送方向下流側寄りに延び、さらに該搬送方向下流側に折れ曲がった形状のスリットであることを特徴とする請求項1記載の清掃装置。
【請求項3】
前記堰き止め部材が、前記回転軸方向について、前記像保持体両端部の、現像像を保持しない非保持部と、該両端部の非保持部に挟まれた、現像像を保持する保持部とに跨って広がった部材であり、前記複数のスリットのうちの前記非保持部に対面した領域に形成された第1のスリットが、前記保持部に対面した領域に形成された第2のスリットよりも長尺なスリットであることを特徴とする請求項1又は2記載の清掃装置。
【請求項4】
静電潜像が形成をされ、さらに現像を受けて現像像を保持する像保持体と、
前記像保持体に形成された静電潜像を現像する現像器と、
前記像保持体上の現像像を記録媒体に転写する転写器と、
前記記録媒体に転写された現像像を該記録媒体に定着する定着器と、
前記像保持体の、現像像転写後の部分に残存する現像剤を除去することにより該像保持体を清掃する清掃器とを有し、
前記清掃器が、
前記像保持体表面の、転写後の部分に接触し、該像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
前記収容容器内に配置され、前記像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、該収容容器内の現像剤を該回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、前記除去部材と前記搬送部材との間において上下方向および前記回転軸方向に広がり、前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
前記堰き止め部材が、前記他端から前記回転軸方向に傾いて前記一端に向かい、さらに該回転軸方向に折れ曲がった形状の、該回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
前記スリットが、前記他端から前記一端側に向かうに従って、前記搬送部材による現像剤搬送方向下流側寄りに延び、さらに該搬送方向下流側に折れ曲がった形状のスリットであることを特徴とする請求項4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記堰き止め部材が、前記回転軸方向について、前記像保持体両端部の、現像像を保持しない非保持部と、該両端部の非保持部に挟まれた、現像像を保持する保持部とに跨って広がった部材であり、前記複数のスリットのうちの前記非保持部に対面した領域に形成された第1のスリットが、前記保持部に対面した領域に形成された第2のスリットよりも長尺なスリットであることを特徴とする請求項4又は5記載の画像形成装置。
【請求項7】
回転しながら帯電され露光光の照射を受けて静電潜像が形成され現像により現像像を保持して該現像像を被転写体に転写する像保持体と、
前記像保持体を帯電する帯電器と、
前記像保持体の、現像像転写後の部分に残存する現像剤を除去することにより該像保持体を清掃する清掃器を有し、
前記清掃器が、
前記像保持体表面の、転写後の部分に接触し、該像保持体に残存する現像剤を除去する除去部材と、
前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を収容する収容容器と、
前記収容容器内に配置され、前記像保持体の回転軸と平行な回転軸の回りに回転して、該収容容器内の現像剤を該回転軸の方向に搬送する搬送部材と、
上下両端のうちの一端が支持され他端が自由端であって、前記除去部材と前記搬送部材との間において上下方向および前記回転軸方向に広がり、前記除去部材により前記像保持体から除去された現像剤を一時的に堰き止める堰き止め部材とを有し、
前記堰き止め部材が、前記他端から前記回転軸方向に傾いて前記一端に向かい、さらに該回転軸方向に折れ曲がった形状の、該回転軸方向に並ぶ複数のスリットを有する清掃器であることを特徴とする、画像形成装置に着脱自在に装着されるカートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−78467(P2012−78467A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222095(P2010−222095)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】