説明

清掃装置及び清掃方法

【課題】対象物の表面の凹凸の境界付近を拭くことができる清掃装置及び清掃方法を提供することを課題とする。
【解決手段】本実施例の清掃装置1は、回転部材40と、変形可能なスポンジ60と、スポンジ60を包んだ状態で回転部材40に取付けられた清掃用の布50と、を備え、布50は、回転部材40の回転によりスポンジ60に作用する遠心力を利用して清掃の対象物の表面を拭く。また、スポンジ60は、清掃の対象物と回転部材40とに挟まれて対象物を押圧する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は清掃装置及び清掃方法に関する。
【背景技術】
【0002】
清掃の対象物の表面が凹凸を有していた場合には、手作業により布等で対象物の表面を拭くことが行なわれる。手作業で清掃することにより、凹凸の境界付近の付着物をも除去できる。特許文献1、2には、清掃に関連した技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公平6−18547号公報
【特許文献2】実開平5−12332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
手作業による清掃は時間を要する。また、このような清掃作業を装置などを用いて自動化した場合、対象物の凹凸の境界付近の付着物を適切に除去できない恐れがある。
【0005】
そこで本発明は、対象物の表面の凹凸の境界付近を拭くことができる清掃装置及び清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に開示の清掃装置は、回転部材と、変形可能な変形部材と、前記変形部材を包んだ状態で前記回転部材に取付けられた清掃用の布と、を備え、前記布は、前記回転部材の回転により前記変形部材に作用する遠心力を利用して清掃の対象物の表面を拭く。
【0007】
本明細書に開示の清掃方法は、変形可能な変形部材を清掃用の布で包み、前記変形部材に遠心力が作用するように前記布を回転させて前記布により清掃の対象物の表面を拭く、清掃方法。
【発明の効果】
【0008】
対象物の表面の凹凸の境界付近を拭くことができる清掃装置及び清掃方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、清掃装置の説明図。
【図2】図2A、2Bは、清掃装置の説明図。
【図3】図3は、清掃装置の清掃過程の説明図。
【図4】図4A〜4Dは、本実施例とは異なる清掃方法の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施例に係る清掃装置について説明する。
図1は、清掃装置の説明図である。
清掃装置1は、支持部材3、支持台10、可動機構20a、20b、回転機構30、回転部材40、布50、スポンジ60等を含む。携帯電話100は、清掃の対象物である。携帯電話100は、折り畳み可能に連結された表示部110、本体部120を有している。図1は、本体部120の表面122を清掃している状態を例示している。表示部110には不図示のディスプレイが設けられている。
【0011】
支持部材3は、水平壁3a、垂直壁3bを含む。水平壁3aには、可動機構20aが設置されている。可動機構20aは、アクチュエータ22aを有している。アクチュエータ22aの回転軸にはスクリューが連結さている。このスクリューは可動板28aと連結されている。スクリューは本体部24a内に収納されている。スクリューが回転することにより、可動板28aは、本体部24aの溝26aに沿って直進方向に往復動する。また、アクチュエータ22aの回転を停止することにより、可動板28aを所望の位置で停止させることができる。可動板28a上には支持台10が設置されている。支持台10上には携帯電話100が設置されている。
【0012】
可動機構20bは、垂直壁3bに固定されている。可動機構20bは、基本的な構造は可動機構20aと同様である。可動板28bには、回転機構30が固定されている。可動機構20bは、鉛直方向に沿うように垂直壁3bに固定されている。従って、可動板28bが鉛直方向に往復動する。これにより、回転機構30、回転部材40、布50は、鉛直方向に往復動する。アクチュエータ22bの回転を停止することにより、回転機構30等を所望の高さ位置で停止させることができる。アクチュエータ22a、22bは、コントローラ80からの指令に応じて駆動する。以上のように、可動機構20a、20bは、回転部材40と、清掃の対象物である携帯電話100との相対的な位置関係を変更するこができる。
【0013】
回転機構30は、不図示のアクチュエータを内蔵している。回転機構30に内蔵されたアクチュエータは、コントローラ80からの指令に応じて駆動する。回転部材40は、回転機構30に内蔵されたアクチュエータにより回転する。回転部材40は、棒状である。回転部材40は、その軸方向が支持台10の平行面と交差しないように配置されている。即ち、回転部材40は、清掃対象物である携帯電話100の表面と平行になるように配置されている。
【0014】
回転部材40には清掃用の一枚の布50が取付けられている。布50は、スポンジ60を包むように回転部材40に取付けられている。布50は、回転部材40に接着剤で取付けられてもよい。また、布50にスリットを設け、スリットに回転部材40が挿入されて取付けられていてもよい。その他の方法により回転部材40に布50が取付けられていてもよい。
【0015】
スポンジ60は、変形可能である。スポンジ60は、発泡体である。尚、スポンジ60の代わりに、ゴムのような弾性体、袋体に密封された液体、又は袋体に密封された流動体を用いてもよい。流動体とは、例えば粘性のあるゲル状の物質などである。
【0016】
コントローラ80は、例えばCPU、ROM、RAMなどから構成される。コントローラ80は、可動機構20a、20bや、回転機構30の駆動を制御する。コントローラ80は、アクチュエータ22a、22bや、回転機構30のアクチュエータとケーブル等により電気的に接続されている。コントローラ80は、例えばコンピュータである。
【0017】
清掃装置1による清掃作業の手順について簡単に説明する。
まず支持台10に清掃の対象物である携帯電話100を設置する。次にコントローラ80を操作して、携帯電話100を清掃可能となる位置まで可動板28a、28bを移動させる。次に、回転機構30のアクチュエータを回転させる。これにより、回転部材40と共に布50、スポンジ60も回転して携帯電話100の表面122を拭くことができる。尚、回転部材40が回転し続けた状態で、可動板28aを移動させてもよい。
【0018】
図2Aは、清掃装置1が停止した状態での回転部材40、布50、スポンジ60を例示している。図2Aは、回転部材40に吊り下げられた状態の布50、スポンジ60を示している。布50は、略矩形状である。布50は、スポンジ60を部分的に包んでいる。従って、清掃装置1が停止していれば、スポンジ60の交換作業は容易にできる。
【0019】
図2Bは、清掃装置1が駆動している状態を例示している。
回転部材40がR方向に回転することにより、スポンジ60には遠心力が作用される。即ち、スポンジ60には、回転部材40から離れる方向に向かう遠心力が作用する。表面122には、操作キー124が複数設けられている。操作キー124は、表面122から僅かに突出している。布50が携帯電話100の表面122に衝突すると、スポンジ60は、表面122と操作キー124とに対応するように変形する。このように、スポンジ60は清掃の対象物の凹凸に対応するように変形する。これにより、操作キー124と表面122との境界B付近の付着物を布50により除去することができる。
【0020】
図3A〜3Dは、清掃装置1の清掃過程の説明図である。
図3Aに例示すように、スポンジ60に遠心力が付与された状態で、布50、スポンジ60が携帯電話100の表面122に衝突する。更に回転部材40が回転すると、図3Bに例示すように、スポンジ60は表面122と操作キー124との形状に対応するように変形し、布50が表面122、操作キー124上を拭く。
【0021】
更に回転部材40が回転すると、図3Cに例示すようにスポンジ60が回転部材40と携帯電話100との間に挟まれる。更に回転部材40が回転すると、図3Dに例示すように、スポンジ60は回転部材40と携帯電話100との間を通過して、布50は表面122から離れる。この際に、布50、スポンジ60は、それまでに作用していた圧力から解放されて、スポンジ60の加速度が上昇する。清掃装置1は、このようにして表面122を拭くことができる。
【0022】
このように、スポンジ60は携帯電話100に衝突した際に変形するため、布50と携帯電話100との接触面積を確保することができる。これにより、広い範囲にわたって表面122を拭くことができる。
【0023】
図2B、3Cに例示すように、布50、スポンジ60は、携帯電話100と回転部材40との間に挟まれる。換言すれば、回転部材40により布50、スポンジ60が携帯電話100側へ押圧される。これにより表面122を十分に拭くことができる。
【0024】
このように、スポンジ60に作用する遠心力と、回転部材40が布50、スポンジ60に与える押圧力とにより、布50を表面122の広い範囲に亘って押し付けて拭くことができる。また、回転部材40と携帯電話100の表面122との距離は、布50、スポンジ60が、回転部材40と携帯電話100に挟まれる距離に設定されている。
【0025】
清掃対象物の種類に応じて、スポンジ60の代わりに容量や質量の異なるものに変更することができる。また、本実施例の清掃装置1により、手作業で清掃する場合と比較し作業時間を短縮することができる。
【0026】
図4A〜4Dは、本実施例とは異なる清掃方法の説明図である。
清掃具1x、1yを用いて手作業で清掃する場合を想定する。図4Aに例示すように、清掃具1xは、作業者が掴むための柄40xと、柄40xの先端に固定された清掃部材50xとを有している。清掃部材50xはローラ状である。図4Bに例示すように、清掃部材50xを表面122に押し付けて、表面122上で清掃部材50xを方向Rに回転させることにより表面122を拭く。表面122と操作キー124との境界B付近の付着物は除去できない恐れがある。この理由は、清掃部材50xが側面視で円形状だからである。また、境界B付近の付着物を除去するためには、作業者が清掃部材50xを境界Bの方向Pに向けて強い力で押圧しながら清掃部材50xを表面122上で回転させる必要がある。このような作業により清掃時間は長期化する恐れがある。
【0027】
図4Cに例示すように、清掃具1yは、柄40y、柄40yの先端に固定された清掃部材50yとを有している。図4Dに例示すように、清掃部材50yの下端面を表面122に押し付けて、柄40yを軸回りの方向Rに回転させることにより表面122を清掃する。この場合であっても境界B付近の付着物は除去できない恐れがある。このように、手作業によっても充分に清掃できない恐れがある。また、作業者の熟練度により清掃時間、清掃状態にバラツキが起こり得る。
【0028】
しかしながら、本実施例の清掃装置においては、凹凸部の形状に沿うようにスポンジ60が変形して、凹凸の境界B付近の付着物を除去することができる。また、本装置の清掃装置により清掃作業を自動化することができ、これにより清掃時間を短縮することができる。
【0029】
尚、スポンジ60の代わりに袋体に包まれた液体又は流動体を用いた場合、スポンジ60に超音波などの振動を与えることにより、流動体を対流させることで、清掃性能を向上させることができ得る。
【0030】
以上本発明の好ましい一実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0031】
尚、清掃の対象物は、携帯電話に限られず、その他の携帯型の機器、又は据置型の機器であってもよい。携帯型の機器とは、例えば、ノートパソコン、電子辞書、外付け用のキーボードなどである。
【符号の説明】
【0032】
1 清掃装置
20a、20b 可動機構
30 回転機構
40 回転部材
50 布
60 スポンジ(変形部材)
80 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転部材と、
変形可能な変形部材と、
前記変形部材を包んだ状態で前記回転部材に取付けられた清掃用の布と、を備え、
前記布は、前記回転部材の回転により前記変形部材に作用する遠心力を利用して清掃の対象物の表面を拭く、清掃装置。
【請求項2】
前記変形部材は、前記対象物と前記回転部材とに挟まれて前記対象物を押圧する、請求項1の清掃装置。
【請求項3】
前記変形部材は、発泡体、弾性体、液体及び流動体、の少なくとも一つを含む、請求項1又は2の清掃装置。
【請求項4】
前記回転部材と前記対象物との相対的な位置関係を変更する可動機構を備えている、請求項1乃至3の何れかの清掃装置。
【請求項5】
変形可能な変形部材を清掃用の布で包み、
前記変形部材に遠心力が作用するように前記布を回転させて前記布により清掃の対象物の表面を拭く、清掃方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−36764(P2011−36764A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184550(P2009−184550)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】