説明

渓流取水用の網場

【課題】 本発明は、渓流に設けられる渓流取水施設に使用される場合に、渓流を流れる流木等の塵芥によって損傷を受けることなく設置することができる渓流取水用の網場を提供することを課題とする。
【解決手段】 山間部の渓流81に設けられる渓流取水施設80に使用され、該渓流取水施設80の取水口86に漂着する塵芥90を捕集するための渓流取水用の網場1であって、2以上の長尺状の木材21,21を並列させて構成される浮体2と、該浮体2に対して下方に突出する複数の突出部材3,…と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山間部の渓流に設けられる取水施設(渓流取水工)に使用され、該取水施設の取水口に漂着する塵芥を捕集するための渓流取水用の網場に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流れ込み式やダム水路式の水力発電所には、発電設備に発電用水を導水するための導水路が設けられている。この導水路に導水するために河川やダム湖から取水する取水施設には、常時、発電用水として河川やダム湖から取水する本流取水施設や、この本流取水施設からの取水量が不足する際にその取水量を補うために渓流から取水する渓流取水施設などがある(特許文献1の段落[0002]等参照)。
【0003】
本流取水施設には、導水路を漂流する塵芥を取り除く除塵設備が常備されている。しかし、渓流取水施設には、通常、渓流からの取水口の手前にスクリーンなどは設けるが、除塵設備は設置されないことが多い。しかし、渓流取水設備であっても、スクリーンだけでは、塵芥等で取水口を詰まらせることがあり、除塵設備を設置することが望ましい(非特許文献1 「2.渓流取水工の概要」等参照)。
【0004】
従来から実施されている除塵設備には、水流を通過可能なスクリーンを側面に備えた円筒形のドラムであって、当該ドラムを水流中に浸漬させて筒芯中心に回転させることにより、水流中の塵芥を捕捉して除塵する水流用除塵機がある(特許文献2参照)。また、他の除塵設備には、通常、流れの穏やかなダム湖などに設けられる網場があり、この網場を渓流取水設備に設けて塵芥を捕集し、定期的に当該捕集した塵芥を取り除くようにすることも考えられる(特許文献3 [従来の技術]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−186870号公報
【特許文献2】特開2006−307518号公報
【特許文献3】特開2000−273844号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】小野真、汲田義一、北出幸哉、三重用水の渓流取水工の改良について −冷川取水工の設計・施工および河内谷川取水工の設計上の留意点−、[online]、[2011年2月8日検索]、インターネット<http://www.water.go.jp/chubu/mieyosui/gijyutu/images/keiryuusyusui.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2の水流用除塵機は、常時使用しない山間部の渓流取水施設に設けることを考慮すれば費用がかかりすぎ、場合によってはその設置に適した場所が確保できない場合もあって、現実的ではない。
【0008】
また、特許文献3の網場は、渓流による一定の流れのある場所である渓流取水施設に設けると、洪水時などで大量の落ち葉や流木等が流れ着いた際に破損や損傷を受ける場合が想定され、適当ではない(非特許文献1 「1.はじめに」等参照)。
【0009】
よって、本発明は、かかる事情に鑑み、渓流に設けられる渓流取水施設に使用される場合に、渓流を流れる流木等の塵芥によって損傷を受けることなく設置することができる渓流取水用の網場を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る渓流取水用の網場は、山間部の渓流に設けられる渓流取水施設に使用され、該渓流取水施設の取水口に漂着する塵芥を捕集するための渓流取水用の網場であって、2以上の長尺状の木材を並列させて構成される浮体と、該浮体に対して下方に突出する複数の突出部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、渓流を流れる流水の水面を漂流する塵芥は、浮体の側面で捕集する。流水の水中を漂流する塵芥は、突出部材に引っ掻けて捕集する。また、洪水時に渓流を勢いに乗って漂流する流木等の塵芥は、2以上の木材で水面上に浮かぶ浮体にその長手方向の側面に衝突するため、当該網場が転覆するなどして損傷を受けることがなく山間部の渓流取水施設に設置することができる。
【0012】
また、本発明によれば、前記突出部材は、前記浮体の長手方向に対して塵芥の通過を阻止可能な間隔をあけて設けられることが好ましい。かかる構成によれば、渓流を流れる流水の水中を漂流する塵芥は、突出部材の間を通り抜けることなく、確実に突出部材に引っ掻けて捕集することができる。
【0013】
また、本発明によれば、前記突出部材は、前記浮体を構成する木材間を下方に突出させる突出部と、該突出部を木材に固定される固定部と、を備えることが好ましい。かかる構成によれば、突出部は、固定部によって木材同士に固定されるため、水中を漂流する塵芥が引っ掛かっても容易に浮体から脱落することなく保持される。2以上の木材を略平行に並列させて設けられた浮体が流水の水面に安定した姿勢に保たれていることから、その木材間を下方に突出させる突出部は、流水の勢いで下流側に押されて、傾くことなくその姿勢を維持することができる。すなわち、この網場は、突出部に一度捕集した塵芥を下流側に流してしまうようなことがない。
【0014】
また、本発明によれば、前記取水口の入り口側に係留するための係留手段を前記浮体の両端部に備えることが好ましい。かかる構成によれば、係留手段は、例えば、取水口の両側に長尺状の浮体を係留することにより、取水口に漂着する塵芥を漏れなく捕集することができるとともに、網場をそのような位置に固定(係留)させておくことができる。
【発明の効果】
【0015】
以上の如く、本発明に係る渓流取水用の網場によれば、渓流に設けられる渓流取水施設に使用される場合に、渓流を流れる流木等の塵芥によって損傷を受けることなく設置することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る渓流取水施設の概略配置図を示す。
【図2】同実施形態に係る渓流取水用の網場の外観図であって、(a)は、上面図を示し、(b)は、長手方向の側面図を示す。
【図3】同実施形態に係る渓流取水用の網場の塵芥の捕集可能範囲を表す説明図を示す。
【図4】(a)〜(c)は、他の実施形態に係る渓流取水用の網場の外観図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係る渓流取水用の網場について、図面を参照しつつ説明する。まず、本渓流取水用の網場を適用する渓流取水施設の具体例を、渓流取水施設の概略配置図である図1を参照して簡単に説明する。
【0018】
渓流取水施設80は、山間部又は該山間部から平野部への移行部に位置し、河床の勾配が急で、増水時には大量の落葉や流木などの塵芥が漂流する渓流81を流れる河川水を取水する施設である。この渓流取水施設80は、発電用水として取水するために使用され、本流取水施設の取水量が不足する場合にこの取水量を補うため、渓流81から取水することを目的として設けられた施設である。渓流取水施設80は、渓流81を流下する河川水を取水堰82で堰き止めて河川水を溜める溜池83に設けられ、該溜池83から取水した河川水を取水路84に引き込み、本流取水施設に導水する導水路85に設けられた取水口86から当該河川水を取水する。
【0019】
取水口86には、縦格子状にバーが配置されて開口全面を覆う除塵スクリーン87が設けられている。該除塵スクリーン87は、渓流81を漂流する塵芥90を捕集して、導水路85に流れ込むのを阻止する。本実施形態に係る渓流取水用の網場1は、この溜池83から導水路85に河川水を取水する取水口86の手前、具体的には、溜池83内の取水路84の手前に係留される。この網場1は、渓流81から取水口86に向かって流れる河川水の流れを妨げる水面上の位置に係留され、取水口86に向かって流れる河川水とともに漂流する塵芥90を堰き止めて捕集する。
【0020】
次に、本実施形態に係る渓流取水用の網場の構成について、図2を参照しつつ説明する。網場1は、2本の長尺状の木材21,21を並列させて構成される浮体2と、該浮体2に対して下方に突出する複数の突出部材3,…と、浮体2の両端部に設けられ、取水口86の入り口側に係留するための係留手段4と、を備える。
【0021】
浮体2は、2本の木材21,21と、該木材21,21を結束する結束手段22と、を備える。この2本の木材21,21は、長手方向の周側面が隣り合うように並べられ、それぞれが略平行となるように配置される。
【0022】
本実施形態に係る木材21は、例えば、材木を用材として用いるために伐採(主伐)された樹木ではなく、密集した樹木を間引いた間伐材を利用することができる。結束手段22は、U字状に形成された連結金具(例えば、かすがいなど)を木材21,21の端面にそれぞれ軸方向に打ち込むことにより端部を結束する第1の結束手段23,23と、容易に断線しない硬質なワイヤを巻き付けることにより略平行に並列された2本の木材21,21を結束する第2の結束手段24,24と、を備える。
【0023】
突出部材3,…は、浮体2の長手方向に対して塵芥の通過を阻止可能な間隔をあけて設けられる。突出部材3は、浮体2の長手方向の一端部から他端部まで約300mmピッチの間隔で配置されている。各突出部材3は、浮体2を構成する木材21,21同士に固定する固定部31と、該固定部31から木材21,21間を下方に突出させる突出部32と、該突出部32の姿勢をガイドするガイド部材33,33と、を備える。ここでいう「下方」とは、水面から川底に向かう方向を指すものとする。固定部31と突出部32とは、共に略直線状の鉄骨を流用したものであり、固定部31の略中央に突出部32の一端を略直角となるように溶接して一体に成形したものである。ガイド部材33,33は、U字状に形成された金属製連結金具(例えば、かすがいなど)である。
【0024】
固定部31は、略平行に並列される木材21,21の両方に架け渡すことが可能な長さを有して、2本の木材21,21に架け渡して連結する連結部材34と、該連結部材34の端部を各木材21,21に支持する支持金具35,35と、を備える。
【0025】
突出部32は、木材21,21間に架け渡されて固定される固定部31にその一端を接続し、当該木材21,21間を通過して木材21,21の側面から他端が突出する長さを有する。木材21,21間から突出する長さは、網場1を水面に浮かばした際に、水中を漂流する塵芥を捕集可能な深さに相当する。
【0026】
突出部32は、木材21,21の長手方向の一端部から他端部まで均一間隔に配置される。各突出部32の重量は、略同一であり、突出部32,…は、長手方向の中心から均一に配置されることが好ましい。このようにすれば、突出部32を固定する浮体2に対して均一に突出部32の重量がかかり、浮体2が水面に対して略均一に沈める(水没させる)ことができる。この浮体2を沈下させる沈下量は、漂流する塵芥を浮体2の側面で堰き止めて捕集可能な(水面からの深さ)範囲に相当する。
【0027】
浮体2に固定される各突出部32,…の重量は、浮体2を沈下させる沈下量に合わせて決定してもよい。すなわち、各突出部32,…は、木材21,21を沈下させる沈下量を確保するために必要な重量を浮体2に固定する数量で割った重量としてもよい。また、浮体2に固定する突出部32,…は、浮体2が所定の沈下量となるまで固定するようにして、所定の沈下量を確保するようにしてもよい。その際、突出部32,…の相互間隔は、捕集することを想定している塵芥90の大きさ以下となることが好ましい。
【0028】
ガイド部材33,33は、当該木材21,21間を通過して木材21,21間から突出する突出部32の当該木材21,21の長手方向の両側に配置され、該突出部32がこの長手方向に傾かないようにガイドする。ガイド部材33,33は、略平行に並列される木材21,21の連結部材34が架け渡される面(上面)と反対の面(下面)に、U字状に形成された金属製連結金具(例えば、かすがいなど)を打ち込んで設けられている。
【0029】
係留手段4,4は、溜池83の網場1を係留する両岸に設けられる係留部88,88と、網場1の両端部との間の長さを有する係留ワイヤ41,41と、該係留ワイヤ41,41を浮体2に連結するために、U字状に形成された金属製連結金具(例えば、かすがいなど)を木材21,21の両端に打ち込んで固定される固定金具42,42と、を備える。
【0030】
次に、本実施形態に係る渓流取水用の網場による塵芥の捕集方法について、図1及び図3を参照しつつ説明する。塵芥90は、図1に示すように、渓流81から溜池83の水面や水中の様々な深さを漂流して取水口86に流れてくる。網場1は、その取水口86(に通じる取水路84)の入口側に溜池83の両岸に設けられる係留部88,88に係留手段4で係留される。網場1は、2本の木材21,21が水面に沿って並列され、突出部32が浮体2から川底に向かって延出するように浮かばせる。
【0031】
網場1は、突出部材3,…が2本の木材21,21の長手方向に略均一に一端部から他端部まで固定されているため、水面に対して略平行して沈下する。また、網場1は、突出部材3,…が木材21,21の間に位置しており、更に、木材21,21の下方に突出しておりその重心が下方に位置するため、容易に転倒しないバランスのよい構造となっている。
【0032】
網場1は、渓流81から流下する塵芥90を堰き止めることで捕集する。図3に示すように、水面からH1の範囲を漂流する塵芥90は、浮体2の側面で堰き止めることによって捕集される。ここで、H1は、水面から浮体2が最も深く沈んだ側面(川床に対向する下側の底面)までの範囲であり、以下、浮体2の捕集可能範囲と呼ぶ。この浮体2の捕集可能範囲H1では、略溜池83の両岸間に連続して配置された浮体2が軽量で微小な塵芥90まで捕集する。
【0033】
また、水面からH1の深さからH2の範囲を漂流する塵芥90は、浮体2の側面(底面)より下方に突出した突出部32に引っ掛けて捕集する。ここで、H2は、水面から浮体2が最も深く沈んだ側面から、当該側面から下方に突出した突出部32の端部までの範囲であり、以下、突出部32の捕集可能範囲と呼ぶ。この突出部32の捕集可能範囲H2では、浮体2から所定間隔おきに下方に延出して形成された複数の突出部32,…が大きな容積を有する塵芥90を捕集する。
【0034】
また、捕集可能範囲H2の突出部32,…の間の隙間は、塵芥90の通過を阻止(捕集)するが、取水口86から流下する河川水の通過を許容しないため、河川水の直撃を避けることができる構造となっており、河川水の水圧によって容易に破損しない構造となっている。
【0035】
このようにして、渓流81を流れる流水の水面を漂流する塵芥90は、浮体2の長手方向の側面で捕集する。流水の水中を漂流する塵芥90は、突出部材3に引っ掻けて捕集される。また、洪水時に渓流81を勢いに乗って漂流する流木等の塵芥90は、2以上の木材21,21で水面上に浮かぶ浮体2にその側面に衝突するため、当該網場1が転覆するなどして損傷を受けることがなく山間部の渓流取水施設80に設置することができる。
【0036】
また、渓流81を流れる流水の水中を漂流する塵芥90は、突出部材3の間を通り抜けることなく、確実に突出部材3に引っ掻けて捕集することができる。
【0037】
また、突出部32は、木材21,21同士に固定されるため、水中を漂流する塵芥90が引っ掛かっても容易に浮体2から脱落することなく保持される。2以上の木材21,21を略平行に並列させて設けられた浮体2が流水の水面に安定した姿勢に保たれていることから、その木材21,21間を下方に突出させた突出部32,…は、流水の勢いで下流側に押されて、傾くことなくその姿勢を維持することができる。すなわち、この網場1は、突出部32,…に一度捕集した塵芥90を下流側に流してしまうようなことがない。
【0038】
また、係留手段4は、例えば、取水口86の両側に長尺状の浮体2を係留することにより、取水口86に漂着する塵芥90を捕集することができるとともに、網場1をそのような位置に固定(係留)させておくことができる。
【0039】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0040】
上記実施形態に係る渓流取水用の網場1は、発電用水として取水する渓流取水施設に使用される例を説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、本願発明に係る渓流取水用の網場は、生活用水や農業用水、工業用水等の利水目的で渓流から取水する渓流取水施設に使用することもできる。
【0041】
上記実施形態に係る渓流取水用の網場1は、浮体2として間伐材を用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、浮体は、渓流から漂流した流木や不要となった廃材など、浮力のある木材であればどのようなものも含まれる。なお、ここでいう木材には、竹なども含み、すなわち、木材同様に浮力を有する長尺状の植物性材料を含む。このようにすれば、浮体は、山間部で容易に調達することができ、渓流取水施設の近くで組み立てることによって、搬入等の手間を低減するとともにその費用も安く抑えることができる。
【0042】
上記実施形態に係る渓流取水用の網場1は、突出部材3を鉄骨とする例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、突出部材は、鉄骨などの金属以外にも、コンクリート製であってもよい。また、突出部材は、浮体の長手方向に対して略直角方向に当該浮体をその一部を残して沈下させることができる重量を有しておればどのような材料で成形されたものであってもよい。具体的には、突出部材は、ステンレス鋼を加工したものであってもよい。このようにすることにより、突出部材は、常に水中に沈下させて用いるが、腐食に強く、長期間の利用に適する。また、突出部材は、その先端部(浮体側と反対側、すなわち、川床側)に重量物を設けるようにして、その先端部を加重したものであってもよい。このようにすることにより、突出部材は、その重心を(川床側に)下げることができ、より網場の姿勢を安定させることができる。
【0043】
上記実施形態に係る渓流取水用の網場1は、浮体2が2本の木材21,21で形成される例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、浮体は、3以上の長尺状の木材であってもよい。3以上の長尺状の木材は、長手方向と直交する方向にそれぞれが略平行に並列させて浮体を形成する。
【0044】
上記実施形態に係る渓流取水用の網場1は、突出部材3が浮体2に対して固定部31の連結部材34の両端を支持金具35で固定する例を説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図4(a)に示すように、突出部材103は、固定部131の端部が突出部32と同一方向に屈曲してその端部を浮体2の木材21,21にそれぞれ突き刺すものであってもよい。図4(b)に示すように、突出部材203は、固定部231の端部が突出部32と反対方向に屈曲してその端部を浮体2の木材21,21の下面(底面)から突き刺すものであってもよい。図4(c)に示すように、突出部材303は、木材21,21に打ち込んで固定すべく、先端を尖らせた固定部331と、該固定部331から直線状に形成された棒状の突出部332とを備え、突出部332が浮体2の各木材21,21の下面(底面)にその一端を突き刺したものであってもよい。さらに、固定部331が木材21,21同士に掛け渡されて固定されないため、木材21,21間の固定を補うべく、U字状に形成された支持金物(かすがいなど)で木材21,21同士を結束する第1の結束手段323を木材21,21の上面に打ち込むようにした結束手段322を備えるようにしてもよい。なお、突出部332は、2本の木材21,21に突き刺す位置を交互になるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…(渓流取水用の)網場、2…浮体、21…木材、22…結束手段、23…第1の結束手段、24…第2の結束手段、3…突出部材、31…固定部、32…突出部、33…ガイド部材、34…連結部材、35…支持金具、4…係留手段、41…係留ワイヤ、42…固定金具、80…渓流取水施設、81…渓流、82…取水堰、83…溜池、84…取水路、85…導水路、86…取水口、87…除塵スクリーン、88…係留部、90…塵芥、103…突出部材、131…固定部、203…突出部材、231…固定部、303…突出部材、322…結束手段、323…第1の結束手段、331…固定部、332…突出部、H1…浮体の捕集可能範囲、H2…突出部の捕集可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
山間部の渓流に設けられる渓流取水施設に使用され、該渓流取水施設の取水口に漂着する塵芥を捕集するための渓流取水用の網場であって、
2以上の長尺状の木材を並列させて構成される浮体と、該浮体に対して下方に突出する複数の突出部材と、を備えることを特徴とする渓流取水用の網場。
【請求項2】
前記突出部材は、前記浮体の長手方向に対して塵芥の通過を阻止可能な間隔をあけて設けられる請求項1に記載の渓流取水用の網場。
【請求項3】
前記突出部材は、前記浮体を構成する木材間を下方に突出させる突出部と、該突出部を木材に固定される固定部と、を備える請求項1又は2に記載の渓流取水用の網場。
【請求項4】
前記取水口の入り口側に係留するための係留手段を前記浮体の両端部に備える請求項1〜3のいずれか1項に記載の渓流取水用の網場。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−207399(P2012−207399A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72272(P2011−72272)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】