説明

減衰装置を有する家具用ヒンジ

減衰装置を有する家具用ヒンジであり、該減衰装置は、筐体がヒンジの他の構成要素とともに組み立てられる前に、ヒンジの筐体のなかに挿入及び固定されることが可能である。このようにすることによって、減衰装置は、例えば衝撃や圧力といった、装置の機能にダメージ又は影響を与え得る外的作用から、鉄又は他の硬い材料からなる同様の筐体によって保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家具用ヒンジに関する。特には、ドアが開く及び/又は閉じる間に作動する減衰装置が設けられた、ドアのための又は一般的に適切に動かされることが可能な家具部材のためのスプリングを有するヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
水平又は垂直の軸の周囲を回転することによって構成部材を閉めたり開けたりするためのドア又はウィング(wings)が設けられた家具には、様々なタイプのヒンジが用いられている。今日広く使用されているヒンジは、ドアが閉じられた位置にあるとき、家具の外側からは見えないようになっているタイプのものである。
【0003】
今日、このタイプのヒンジは、幾つもの利点を有することから家具産業においてよく用いられ市場にも広まっている。既存のヒンジの幾つかの実施形態には、ドアが閉じるときには戻る力を、ドアが開くときには押す力を生み出す様々なタイプのスプリングが設けられている。こうすることで、ドアを非常に精密に閉じる又は開くことが可能となる。
【0004】
しかしながら、そういったヒンジに、スプリングの弾性反応によるドアの運動を減衰及び/又は制動するための装置を設けることは望ましい。これらの装置の目的は、ドアが閉じるときに家具の体部に対して勢いよくぶつかることによって生じる騒音を防ぐことである。
【0005】
従来技術のヒンジの幾つかには、ヒンジの揺動部に設置されたカムによって動かされる長方形のスライダが高粘性グリスによって制動されるディスクに運動を伝達するという制動装置が設けられている。既存の装置はヒンジの筐体の外部下側に配置されており、揺動部のカムは同様の筐体の底部に設けられた開口部を通ってスライダと係合している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
不利なことに、上記の配置構成だと、製造している間又はヒンジをパッキングしている間の衝撃、又は家具にヒンジを組み付ける際におけるドアの圧延穴(milled hole)の中にヒンジ筐体を挿入するときの圧力といった、不意の及び望ましくない外力を装置が受ける可能性がある。こういった衝撃又は圧力は、減衰装置又は減速器の機能に損傷又は多くの場合において好ましくない影響を与える。
【0007】
さらに、このタイプの装置が有するもう1つの欠点は、揺動部のカムと装置のスライダの間にある筐体の底部の圧力に起因するものであり、すなわち、該圧力は減速器を保持するために利用可能な小さな空間を十分に利用する可能性を、又はそれと関係する構成要素を好ましく形作る可能性を制限する。
【0008】
したがって、前記欠点を克服することが可能な減衰装置を備えた家具用ヒンジを製造することが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の主な目的は、ヒンジの筐体がヒンジの他の構成要素とともに組み立てられる前に、ヒンジの筐体のなかに挿入可能かつそこに固定可能な減衰装置が設けられた家具用ヒンジを作ることである。このようにすることで、減衰装置は、外部作用、例えば装置の機能にダメージ又は影響を及ぼす可能性のある衝撃又は圧力から、鉄又は他の硬い材料からなる同様の筐体によって保護される。
【0010】
さらなる目的は、前記ヒンジの内部の空間をより実際的に使用することが可能な構成を有するヒンジを作ることであり、そうすることで、従来技術における既存のシステム、例えば回転減衰機、又は円筒かつピストン減衰機に基づく減衰機を使用することさえ可能となる。
【0011】
したがって、本発明は、請求項1の特徴を有する減衰装置を備えた家具用ヒンジを製造することによって、上述した課題を解決することができる。
【0012】
有利なことに、本発明にしたがうヒンジの減衰装置は、その構成要素としてヒンジ筐体自体を提供することが可能であり、又は減衰装置は筐体から分離可能な諸要素から完全に構成され得るのであり、そういった諸要素は、予め1つにされ、それから該要素を固定する又は保持するための適切な手段が設けられた筐体のなかに挿入されることが可能である。このようなモジュール方式によって、装置の構成及び最終組み立てをより簡単にすることができる。
【0013】
ヒンジの改善された性能は、ヒンジの適切な領域にある粘性媒体を有する摩擦表面を増大させることによって、及び/又は、粘性媒体と接触する制動要素として作動する少なくとも1つの環状要素、例えばディスクの角速度の調節を可能とすることによって得られる。
【0014】
最後に、さらなる利点は、減衰装置がコンパクトで筐体要素の内部に設置されるために、減衰装置が家具のドアの厚さ以内に収まるので、したがってドアが開かれるときにそれが外から見えず、美的観点からしても改善されているということである。
【0015】
従属請求項には、本発明の好ましい実施形態が記載されている。
【0016】
本発明のさらなる特徴及び利点は、非限定的な例が記載されている図面を参照しながら、制動装置を有する家具用ヒンジの好ましいが排他的ではない実施形態の詳細な記載によってより明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1において、符号50で本発明のヒンジの全体が示されており、該ヒンジは固定要素又はヒンジアーム1からなり、それは家具の側部パネル又は他の適切な要素の壁部に一体となるように順に固定された底部又はプレートに固定されている。
【0018】
ヒンジには、2つの揺動部2及び3が設けられており、それらはアーム1の側壁にある穴に保持されている2つのピン4、5の周囲をそれぞれ回転することが可能な第1の端部を各々備えている。アーム1は、家具のドア又はウィングの壁部、もしくは家具の他の適切な回転要素の壁部の内側に作られたキャビティに固定された筐体要素6又は単なる筐体に結合されている。揺動部2及び3の2つのそれぞれの第2の端部は、第1の2つのピン4、5に平行な軸で2つの他のピン7、8に回転するように保持されている。4つのピン4、5、7、8は、関節でつながった四角形状を形成している。
【0019】
関節ピン5の周囲において、揺動部3がアーム1に結合するように、弾性要素又はスプリング9が設けられる。前記弾性要素の一方のアーム10の1つはヒンジアーム1上に留められており、他方のアーム11は揺動部2に留められている。弾性要素9のアーム10、11を閉じることによって、この要素9は図1に示されている位置まで揺動部2に押す力を加えるように働く。このドアを開く開放角度、すなわち約15°から20°を超えると、弾性要素9がごくわずかにだけアームに圧縮力を加えるだけで、ドアの回転運動の残りの部分は弾性力の存在に影響を受けない状態で自由に実行される。
【0020】
一方、ドアが閉じる段階では、約15°から20°という大きさを有する最終的な角度においてドアが精密及び自発的に閉まるように、弾性要素9は戻る力を生み出す。
【0021】
ブッシング12は、弾性要素9とピン5の間に適切に挿入されることが可能である。別法では、要素9は、ピン5から分離されて、ヒンジアーム1に既知の方法で固定されることも可能である。
【0022】
筐体要素6の内部には、有利なことに、騒音を減少させてドアの開閉段階を快適及び滑らかに実行することができるように、ドアを開ける及び/又は閉めるときに生じる騒々しい音を出す動きを適切に減少させることが可能な減衰及び/又は制動装置13が設置されている。
【0023】
この装置13は、ケーシング又は覆い14と筐体要素6の一部から形成されるハウジングからなっている。該ハウジングの内部には、有利なことに、スライダ18と、例えばグリスといった高粘性媒体に浸された少なくとも1つの制動要素とが入れられている。
【0024】
ケーシング14の形状は、揺動部2及び3の第2の端部の周囲をそれぞれ回転する同様のピン7、8の手段によって、筐体要素6に固定されることが可能なようになっている。該ピン7、8は、ケーシング14の穴70、71と、筐体要素6にある対応する穴80、81を通過する。
【0025】
ケーシング14の内部には穴又は開口部15が設けられており、その穴によって、結合要素、好ましくは筐体要素又は該筐体要素を有する全体の関節部となるピン8の周囲を回転する、揺動部3の下方にある端部に固定されるカム要素6を、スライダ18に係合させることが可能であり、それによって、ヒンジの回転方向と対応する第1又は第2の方向に平行するようにスライダをコントロールできる。
【0026】
図1から図6には、本発明にしたがうヒンジの第1の好ましい実施形態が示されており、それには標準的なサイズ又は従来技術のタイプの筐体よりもわずかに深く作られた鉄製の筐体要素又は筐体6が設けられているのであるが、そういった筐体でも家具のドアに作られた穴に該筐体を挿入するのは難しくはない。
【0027】
前記筐体6には、家具にドア又はウィングの内壁に固定するための少なくとも1つのフランジ90が設けられている。
【0028】
図6により明瞭に示されているように、筐体6の底部には環状同心溝40とリブ41が設けられており、それらは制動ディスク23の下部表面に設けられた同様の溝40’とリブ41’と完全に組み合うことが可能であり、それらの間には粘性グリスが設けられている。以上のように、粘性媒体を有する摩擦表面が組み合わされることによって、摩擦する表面が拡張するために、より静かに及びより効果的に装置が作動することが可能となる。
【0029】
制動ディスク23は螺旋状の溝30を有する上部表面に設けられており、そして、スライダ18の下部突起部29は、揺動部3のカム要素16を通じて伝達されたスライダ18の動きを制動ディスク23の回転へと変換するために該ディスクとかみ合っている。
【0030】
特に、突起部29は前記溝の鋸歯状断面と相補的な断面を有する手段によって螺旋状の溝30の少なくとも1つとかみ合っている。
【0031】
図1に示されているドアが開く段階において、スライダによる運動の伝達は、最初の溝と隣接している溝にかみ合う突起部29を持ち上げることによって実行され、その間、制動ディスク23は動かない。このスライダ18はケーシング14の内部に設けられた開口部15の端部によって動きを導かれるのであり、該ケーシングは自身と筐体6の間でスライダ18と制動ディスク23を取り囲んでいる。
【0032】
一方、ドアが閉まる段階において、結合要素であるカム突起部16は、スライダの運動の伝達、及び溝30にある突起部29とかみ合う手段によって制動ディスク23の回転運動を引き起こすスライダ18の対応する突出部に作用するのであり、したがって減衰動作を生み出す。減衰装置の全ての要素には、粘性媒体が設けられている。
【0033】
有利なことに、突起部29には、実質的に先のとがった端部42が設けられており、それによって、例えばドアが完全に開ききっていないという普通でない状況においてさえ、ヒンジの減衰装置を正しく作動させることが可能であり、ドアは家具に対する切り込み位置(rabbet position)からわずかに小さい角度で動かされた後に再びすぐさま閉められる。このような状況において、スライダ18は、カム要素16の側部突起部によって押されることで、螺旋状の溝30によって形成された頂部に留まっている突起部29とともに、図1に示されている位置にあることが可能である。もしドアが再び閉められる場合、カム要素16の端部は先のとがった端部42の傾斜のある表面上に留まり、ヒンジに対して全体的な制動効果を得るように、通常の動作の新しい位置に達するまで、制動ディスク23の減速回転を生み出す溝30によって形成される歯の頂部に圧力を加えるために、該先のとがった端部を下方に押す。
【0034】
先のとがった端部42がなかったら、ドアが図1にある位置から再び閉められるとき、揺動部3と結合したカム要素16は、反時計方向から時計方向へと進むことによって、スライダ18の突起部29を左の方に移動させるため、この突起部は溝30によって形成される鋸歯状断面とかみ合うことがない。したがって、制動効果を得ることもできなくなる。この手段は、下記にあるヒンジの第2の実施形態においても使用されることが可能である。
【0035】
本発明にしたがうヒンジのケーシング14の内部は既存のヒンジの標準的な筐体の内部と実質的に同じであり、減衰装置が設けられる前の筐体6の上面図が記されている図2により詳しく示されている。ケーシング14の外部表面はシリンダの外部表面と実質的に同じであるが、互いが平行になる及び前記シリンダの底部円周上の弧部に沿って位置決めされたそれぞれと平行になる平らな表面が設けられている揺動部2、3の間接ピン7、8を保持するための穴70、71と対応する点で異なっている。
【0036】
また、筐体6の記載の部分には、実質的に円筒状をした、ケーシング14の外部形状と対応する形状の側壁が設けられており、それによって、揺動部2、3のピン7、8を保持するための各々の穴80、81は、設置位置において、ケーシング14の穴70、71と並ぶ。
【0037】
有利なことに、その壁部の3つの点において、筐体6には切り込み部及び突起部を内側に有するタブ20が設けられている。該タブ20はケーシング14の端部に設けられている対応する止め平面部21を押すのに適しており、それによって該ケーシングが設置される前の位置において該ケーシングを保持する。
【0038】
別法では、タブ20及び止め平面部21は、ケーシング14の壁部及び筐体6の端部に各々配列されている。この場合、タブは外に向かって突出している。
【0039】
スライダ18及び制動ディスク23はケーシング14の下部に設けられた下部円筒状キャビティ22の中に保持されており、該キャビティの端部は粘性グリスのための密封要素として働く。
【0040】
上記の第1の実施形態と異なり、図7及び8に示されている本発明のヒンジの第2の好ましい実施形態にしたがうと、筐体6の底部は完全に滑らかであり、スライダ及び制動ディスクを保持しているケーシングの下部円筒状キャビティ22は平坦要素26によって、もしくは減衰装置の閉鎖プレートによって閉じられており、該筐体には制動ディスク23の下部表面のリブ41’及び溝40’のそれぞれと組み合わさる同心溝40及びリブ41が設けられている。この平坦要素26があることで、ケーシング14の下部端部に設けられた対応する形状をしたシート部に適切にかみ合うことができる適切な周辺突起部24の手段で閉じて減衰装置を固定することが可能である、又は該要素26は例えば超音波溶接手段によってケーシング14に固定されることが可能である。
【0041】
ケーシング14、スライダ18、制動ディスク23及び平坦要素26からなって組み立てられた減衰装置は、それから、単純かつ素早い1つの操作で前記タブ20及び止め平面部21によって筐体6に挿入及び固定される。したがって、この場合、筐体要素は制動装置の諸要素を設置する間の支持要素として働くことはない。予め設置された減衰装置を有する筐体6は、通常の方法でヒンジの他の構成要素とともに組み立てられる準備ができている。
【0042】
以上の第1及び第2の実施形態において、さらに、リブ41、41’の頂部及び溝40、40’の底部の平坦な部分は、それらが接触する際において、例えば高粘性グリスといった粘性媒体を用いて密着性を高めるために、荒削りの状態で製造されることが可能である。有利なことに、この実施形態ではグリスが放射方向により移動し難くなるので、筐体要素6の底部とケーシング14の間、又は前記平坦要素26とケーシングの間にガスケットを用いる必要がなくなる。
【0043】
図9において概略的に示されている、本発明のヒンジの第3の実施形態にしたがうと、ケーシング14の内部において、前記スライダの運動伝達方向と平行している、スライダ18のガイド側端部と筐体の壁部との間からなる空間は、筐体6の底部に対し垂直で、スライダ18の前記側端部に沿って設けられた各々のラック45によって適切に回転させられることが可能な、ピン17と係合する歯状ホイール25が設けられた既存のタイプの回転減速機を保持するために使用される。歯状ホイール25は、突出部分(不図示)に順に設けられたピンに係合され、該突出部分は適切な容器において回転しかつ粘性流体に浸けられている。そうであるので、減衰効果は、ドアが閉じる及び/又は開く段階において前記歯状ホイールが回転する間に発生する。
【0044】
図10に示されているのは、ヒンジの第4の実施形態であり、スライダ18のガイド側端部と筐体6の壁部との間にある利用可能な空間は、代わりに、ピストン47が軸に沿って可能ならばスプリング48による張力をかけられて滑動する円筒状シート部46をその両端において得るために使用される。有利なことに、2つのピストン47は、C字形状に曲がった共通ロッド49を有している。各々の円筒状シート部46は、グリス又はオイルといった減衰流体を含むために、関連するガスケットを有するプラグ60によって閉鎖されている。
【0045】
スライダ18は、ドアが閉じる段階においてヒンジの揺動部3が回転することで発生する伝達運動を前記ロッドに伝えることができるように、C字型ロッド49に適切に結合されている。この場合、復元スプリングとしても知られているスプリング48が、ピストンの、及びしたがってカム結合要素16に通常は設けられた特別な復元要素の代わりであるスライダの復元を確実にするために設けられることが可能である。
【0046】
有利なことに、本発明のヒンジを使用することで、ドアが開く及び閉じる段階のどちらか又は両方の段階において、減衰及び/又は制動動作を生み出すかどうかを選択することが可能となる。
【0047】
別法では、結合要素16の機能は、揺動部3が作られているものと同様のシート状金属に設けられる適切な形状をしたタブ手段によって生み出されることが可能である。
【0048】
本発明のヒンジは、全ての実施形態において、減衰装置が非常にコンパクトであるため、標準的なヒンジの全体寸法に変化を加えることなく効果的な動作をなすことが可能である。
【0049】
これまでに記載された製造の特殊な方法は本発明の範囲を限定するものではなく、請求項に規定された本発明の全ての実施形態を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】半開きの位置にある本発明のヒンジの第1の実施形態の断面図である。
【図2】図1に示されているヒンジの一部分の上面図である。
【図3】図1に示されているヒンジの第1の構成要素の断面図である。
【図4】図1に示されているヒンジの第2の構成要素の側面図である。
【図5】図1に示されているヒンジのさらに1つの構成要素の断面図である。
【図6】図1に示されているヒンジのさらに1つの構成要素の断面図である。
【図7】半開きの位置にある本発明のヒンジの第2の実施形態の断面図である。
【図8】図7に示されているヒンジの一部分の拡大図である。
【図9】本発明のヒンジの第3の実施形態の一部分の上面図である。
【図10】本発明のヒンジの第4の実施形態の一部分の上面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 ヒンジアーム
2 揺動部
3 揺動部
4 ピン
5 ピン
6 筐体要素
7 ピン
8 ピン
9 スプリング
10 弾性要素のアーム
11 弾性要素のアーム
12 ブッシング
13 減衰及び/又は制動装置
14 ケーシング又は覆い
15 穴又は開口部
16 カム
17 ピン
18 スライダ
20 タブ
21 止め平面部
22 キャビティ
23 制動ディスク
24 周辺突起部
25 歯状ホイール
26 平坦要素
29 下部突起部
30 螺旋状の溝
40 環状同心溝
40’ 溝
41 リブ
41’ リブ
42 先のとがった端部
45 ラック
46 円筒状シート部
47 ピストン
48 スプリング
49 ロッド
50 ヒンジ
60 プラグ
70、71 ケーシングの穴
80、81 筐体要素の穴
90 フランジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家具用ヒンジであって、
前記家具用ヒンジは、
家具の要素に固定するための第1の部材と、
前記家具の要素のドアに固定するための、筐体(6)からなる第2の部材と、
からなり、前記第1の部材は前記筐体(6)を有する少なくとも1つの第1の関節ピン(8)の周囲を相対的に回転運動して適切に動くことが可能であり、
前記家具用ヒンジはさらに、前記回転運動を減衰させるための減衰手段(13)に前記第1の部材を結合させるための結合手段(16)を有しており、該減衰手段は、
−前記結合手段(16)によって運動を伝達されて作動するスライダ(18)と、
−減衰力を生み出すことができるように前記スライダ(18)によって適切に動かされることが可能な、粘性媒体に浸された少なくとも1つの減衰要素と、
からなり、スライダ(18)及び前記少なくとも1つの減衰要素は筐体(6)の底部と減衰要素の実質的に円筒状の覆い(14)の間に保持されており、該筐体(6)の底部は一体的でかつ閉鎖されており、該覆いは筐体の内部に固定され、かつ結合要素(16)とスライダ(18)を結合させるための開口部(15)が内部に設けられていることを特徴とする家具用ヒンジ。
【請求項2】
プレート(26)が筐体(6)の底部と減衰要素の実質的に円筒状の覆い(14)の間に配置されており、該プレート(26)は覆い(14)に作られたキャビティ(22)の内部にスライダ(18)と前記少なくとも1つの減衰要素を閉じこめるように、覆い(14)の下部端部に固定されていることを特徴とする請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
弾性係合手段(20、21)が、前記筐体(6)に前記覆い(14)を予め組み付けるために設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記弾性係合手段は、対応する止め平面部(21)を適切に押すことが可能なタブ(20)からなっており、該タブ及び止め平面部は筐体(6)の壁部及び覆い(14)の壁部、又はその逆に各々設けられていることを特徴とする請求項3に記載のヒンジ。
【請求項5】
タブ(20)及び止め平面部(21)は、筐体の壁部及び覆い壁部の3つの対応する点に各々設けられていることを特徴とする請求項4に記載のヒンジ。
【請求項6】
筐体(6)には、家具の前記要素にドアを固定するための少なくとも1つの固定フランジ(90)が設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項7】
前記結合要素はカム要素(16)であることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項8】
前記少なくとも1つの減衰要素は、ヒンジの動きと対応して制動力を生み出すために、運動の伝達方向と垂直の軸の周囲を適切に回転することが可能な実質的に平坦な形状をしたディスク(23)を有していることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項9】
スライダの運動を軸の周囲を回転するディスク(23)の回転運動へと適切に変換することが可能な、運動変換のための運動学的手段が設けられており、該運動学的手段は、ディスク(23)の第1の表面にある一続きの溝(30)と、スライダの運動伝達の1つの方向においてのみディスクの回転を生じさせるような形状を有する、少なくとも1つの溝(30)と適切にかみ合うことが可能な、スライダ(18)に固定された突起部(29)と、からなることを特徴とする請求項8に記載のヒンジ。
【請求項10】
溝(30)は螺旋状の形状をしており、かつ鋸歯状の断面を有しており、及び、スライダ(18)上の突起部(29)は、溝(30)の断面と相補的な形状をした断面を有していることを特徴とする請求項9に記載のヒンジ。
【請求項11】
スライダ(18)上の突起部(29)には、部分的に開いた位置から始まるドアの閉まる段階において、螺旋状の溝(30)の鋸歯状の断面を適切に押すことができる、1つの実質的にとがった端部(42)が設けられていることを特徴とする請求項10に記載のヒンジ。
【請求項12】
適切な環状同心溝(40’)及びリブ(41’)がディスク(23)の第2の表面に設けられており、該溝及びリブは、該第2の表面と前記筐体の底部の間に配置された前記第2の筐体(6)の底部又はプレート(26)に設けられた対応するリブ(41)及び溝(40)と各々かみ合わされることを特徴とする請求項8から11のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの減衰要素は、歯状ホイール(25)からなっており、該歯状ホイールは、スライダの側面に沿って配置されており、かつスライダによる運動伝達と対応する各々の軸の周りに該歯状ホイールを回転させるように、該スライダの側端部に作られた各々のラック(45)とかみ合うことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの減衰要素は、粘性媒体を含む円筒状シート部(46)で垂直方向に滑動し、かつスライダの側面に沿って配置されている複数のピストン(47)からなっており、該複数のピストン(47)は、スライダがその運動をピストン(47)に伝達することができるように、スライダ(18)と適切に結合された共通のロッド(49)を共有していることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項15】
前記第1の部材は2つの要素からなっており、該要素の第1のものは、前記家具の要素に固定するための固定アーム(1)であり、該要素の第2のものは、前記筐体(6)を有する第1の関節ピン(8)の周囲及び該固定アーム(1)を有する第2の関節ピン(5)の周囲を適切に回転することが可能な第1の揺動部(3)であり、及び、該筐体(6)を有する第1の関節ピン(7)の周囲及び該固定アーム(1)を有する第2の関節ピン(4)の周囲を適切に回転することが可能な第2の揺動部(2)が設けられていることを特徴とする前記請求項のいずれか1項に記載のヒンジ。
【請求項16】
関節ピン(7、8)からなる、筐体(6)及び覆い(14)を固定するための固定手段が設けられており、それは、覆い(14)の第1の穴(70、71)及び筐体(6)の対応する第2の穴(80、81)と適切にかみ合うことが可能であることを特徴とする請求項15に記載のヒンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−536700(P2009−536700A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508388(P2009−508388)
【出願日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際出願番号】PCT/EP2007/054520
【国際公開番号】WO2007/131933
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(503427382)アルツロ サリス ソシエタ ペル アチオニ (9)