説明

温室用空調装置

【課題】、温室内の空気の温度制御及び湿度制御を簡単な構造で効果的に行うことのできる温室用空調装置の提供を目的とする。
【解決手段】空調用入口部21の冷房用角ダクト27内に冷房用熱交換器37を設ける。また、空調用入口部21の加温用角ダクト29内に加温用熱交換器39を設ける。そして、加温用熱交換器39よりも出口41側で、加温用角ダクト29内に空気循環ファン43を配置する。冷房用角ダクト27の底部45に排水孔47をあけ、この排水孔47を地面7に設けた排水溝49に連通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パプリカなどの植物を栽培するための温室に関し、特に、温室内の空気の温度や湿度を調整するための温室用空調装置(エアートリートメントユニット)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パプリカは、例えば、栽培棚を地面から所定高さとなるように設置した温室内で栽培されていて、外気温が低下する冬期には、温室に設けられた暖房装置によって温室内が加温される。外気温が上昇する夏期では、特に温室内の温度調整に細かな注意が払われない場合も多いが、より行き届いた温度制御を行おうとするときや、外気温が比較的高くなる地域では、温室に冷房構造を構成して、夏期の高温状態に対処する場合もある。
【0003】
温室内の温度を冷暖房制御する構造としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載された温度制御構造は、栽培ベッドの下側にダクトを設け、このダクト内に散水管を通すとともに、ダクトの一端に送風機を取り付けて構成され、この送風機によって温室内の空気をダクト内に吸い込み、ダクトの他端から再び温室内に送り出すといった機能を有している。そして、ダクト内を通過する温室内の空気と、散水管から噴射された地下水とを接触させ、熱交換することにより、ダクトの他端から送り出される空気の温度を適切に制御している。
【0004】
また、夏期の高温多湿な状態は、パプリカにうどんこ病や灰色かび病などの病気を発生させるおそれがある。したがって、例えば特許文献2には、温室内の上層部と施肥室との間に、換気扇を設けたダクトを配置し、上層部の空気をダクト内を通過させることにより、再び温室内に戻すようにした空気循環設備で、ダクト内の空気の水分が施肥室で結露し、ダクトから再び温室内に送り出される空気が除湿されるように構成した湿度調整構造が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−330640号公報
【特許文献2】特開2007−061014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献2に記載されたような湿度調整構造では、ダクト内の空気の湿度を十分に低下させようとすれば、ダクトから再び温室内に送り出される空気の温度は、それだけ低下する。しかしながら、温室内の少なくとも大幅な温度の低下は、パプリカなどの栽培植物によい影響を与えないことは明らかである。
【0007】
そこで本発明は、温室内の空気の温度制御及び湿度制御を簡単な構造で効果的に行うことのできる温室用空調装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するための本発明の温室用空調装置は、植物栽培用の温室内を空調する温室用空調装置であって、空気循環用ファンが設けられた空調用ダクトと、この空調用ダクト内の空気又はこの空調用ダクト内を通過する前記温室内の空気の温度を調整するための又は調整するために用いられる空調流体供給源と、を備え、前記空調用ダクトは、吸気口及び出口を有する空調用入口部と、この空調用入口部の前記出口に接続されたダクト本体と、を有し、前記空気循環用ファンの作動によって、前記温室内の空気を、前記空調用入口部の前記吸気口から吸い込み、前記空調用入口部の前記出口を通過させて前記ダクト本体から前記温室内に戻すように構成され、前記空調用入口部には、この空調用入口部内を通過する前記温室内の空気を冷却するための冷却用熱交換器(例えば間接式熱交換器)が設けられるとともに、この冷却用熱交換器よりも前記出口側で、前記空調用入口部内を通過する前記温室内の空気を暖めるための加温用熱交換器(例えば間接式熱交換器)が設けられていて、前記空調流体供給源は、前記冷却用熱交換器に冷却流体を供給し、かつ、前記加温用熱交換器に加温流体を供給するものである。空調流体供給源は、例えば、冷却用熱交換器への冷却流体の供給及び加温用熱交換器への加温流体の供給を別々に行うことも同時に行うこともできるように構成される。
【0009】
冷却用熱交換器(冷房用熱交換器)に、空調流体供給源から冷却流体を供給することにより、空調用入口部に吸い込まれた温室内の空気を、冷却流体との熱交換により冷却することができる。また、加温用熱交換器に、空調流体供給源から加温流体を供給することにより、空調用入口部に吸い込まれた温室内の空気を加温流体との熱交換により加温することができる。ここで、冷却用熱交換器に冷却流体を供給し、加温用熱交換器に加温流体を供給しなければ、空調用入口部に吸い込まれた温室内の空気は冷却されてダクト本体内に流入する。逆に、加温用熱交換器に加温流体を供給し、冷却用熱交換器に冷却流体を供給しなければ、空調用入口部に吸い込まれた温室内の空気は加温されてダクト本体内に流入する。そして、冷却用熱交換器に冷却流体を供給し、かつ、加温用熱交換器に加温流体を供給すれば、空調用入口部に吸い込まれた温室内の空気を冷却し、空気中の水分を結露させて空気の除湿を行い、その後、除湿された空気を加温してダクト本体内に流すことができる。冷却用熱交換器及び加温用熱交換器は、例えば、空調用入口部内に設けられる。
【0010】
循環用ファンが、送風容量を制御できるように構成されていれば、より精緻な温室内の空調が可能となる。また、空調用入口部に結露水排水構造を設けるのが得策である。
【0011】
本発明では、空調用入口部が、一端に吸気口を有する冷却部(冷房部)と、この冷却部の他端に一端が接続され、冷却部と角度を有して延びる加温部と、を有し、冷却用熱交換器が冷却部(例えば冷却部内)に設けられるとともに、加温用熱交換器が加温部(例えば加温部内)に設けられ、ダクト本体が、加温部の他端の出口に接続されるといったように構成できる。このように構成しておけば、冷却用熱交換器に空気が接触して生じた結露水が、加温用熱交換器に接触するといったことを防止することが可能となる。冷却部が垂直下方又はほぼ垂直下方に延び、加温部が、冷却部の下端から水平方向又はほぼ水平方向に延びるように構成できる。ここでは、例えば、冷却部と加温部との境界位置で、空調用入口部に結露水排水構造が設けられる。
【0012】
本発明の温室用空調装置に用いる空調流体供給源では、種々の熱源を用いることができる。例えば、ヒートポンプを用いれば省力的構成となるし、ボイラを用いれば強力な加熱効果を期待できる。また、環境に配慮してLPGを使用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明の温室用空調装置では、暖房、冷房及び除湿された空気の加温をダクト内に構成した熱交器により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】パプリカ栽培用温室の全体的構造を示すための図である。
【図2】空調用入口部個所の構造を示すための図である。
【図3】温室用空調装置が温室内を暖房している状態を示す図である。
【図4】温室用空調装置が温室内を冷房している状態を示す図である。
【図5】温室用空調装置が温室内を除湿している状態を示す図である。
【図6】温水冷水循環配管又は温水冷水供給流路を地熱ヒートポンプシステム17及び温水ボイラシステム19とともに示す図である。
【図7】温水冷水循環配管の暖房モードを示す図である。
【図8】温水冷水循環配管の冷房モードを示す図である。
【図9】温水冷水循環配管の除湿モードを示す図である
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0016】
図1はパプリカ栽培用温室の全体的構造を示すための図である。
【0017】
パプリカ栽培用温室1は、透明のガラス又はビニールで構成された側壁3及び天井5を有して構成され、内部に、地面7から所定の高さとなるように吊紐9で吊り下げられた細長い栽培棚10を、所定の間隔で複数列備えている。それぞれの栽培棚10上には、長さ方向に沿って所定の間隔で、パプリカ11が栽培されている。そして、温室1内にはまた、温室用空調装置(エアートリートメントユニット)13が設けられていて、この温室用空調装置13は、空調用ダクト15と、地熱ヒートポンプシステム17及び温水ボイラシステム19(空調流体供給源、図6参照)とを備え、空調用ダクト15は、空調用入口部21と、この空調用入口部21に接続されたダクト本体23とを有している。空調用入口部21は、上端に吸気口25を有する縦型の冷房用角ダクト27(冷房部)の下端に、横型の加温用角ダクト29(加温部)を一体的に接続してL字形に構成され、ダクト本体23は、加温用角ダクト29の先端に接続されて、栽培棚10と直交する方向に延びるメインダクト31と、このメインダクト31からそれぞれの栽培棚7の下側を通って延びる複数本の分岐ダクト33とを有している。それぞれの分岐ダクト33には、小さな排気孔35が長さ方向に沿って多数設けられていて、冷房用角ダクト27の吸気口25から吸い込まれた温室1内の空気は、空調用入口部21からダクト本体23に入り、分岐ダクト33の排気孔35から温室1内に放出される。
【0018】
図2は空調用入口部21個所の構造を示すための図である。
【0019】
空調用入口部21の冷房用角ダクト27内には、例えばコイル式又はフィンチューブ式の冷房用熱交換器37が設けられている。また、空調用入口部21の加温用角ダクト29内には、例えばコイル式又はフィンチューブ式の加温用熱交換器39が設けられ、この加温用熱交換器39よりも出口41側で、空気循環ファン43が配置されている。冷房用角ダクト27の底部45には排水孔47が開けられていて、この排水孔47は、地面7に設けられた排水溝49に連なっている。
【0020】
図3乃至図5は温室用空調装置13の作動状態を示す図であり、図3は温室用空調装置13が温室1内を暖房している状態を示す図、図4は温室用空調装置13が温室1内を冷房している状態を示す図、図5は温室用空調装置13が温室1内を除湿している状態を示す図である。
【0021】
図3に示す温室用空調装置13の暖房モード(例えば冬期でのモード)では、空調用入口部21の加温用角ダクト29内に配置された加温用熱交換器39又は加温用熱交換器39の内部に、温室用空調装置13の温水冷水循環配管又は温水冷水供給流路から、例えばほぼ45度あるいは40度以上の温水が供給されていて、空気循環ファン43の作動により空調用入口部21内に吸い込まれた温室1内の空気は、加温用熱交換器39又は加温用熱交換器39の壁と接触して加温され、ダクト本体23に送られて温室1内に戻される(太矢印参照)。この暖房モードでは、冷房用熱交換器37に冷却水は供給されていない。また、図4に示す温室用空調装置13の冷房モード(例えば夏期でのモード)では、空調用入口部21の冷房用角ダクト27内に配置された冷房用熱交換器37又は冷房用熱交換器37の内部に、温水冷水循環配管から、例えばほぼ7度あるいは7度乃至10度程度の冷却水が供給されていて、空気循環ファン43の作動により空調用入口部21内に吸い込まれた温室1内の空気は、冷房用熱交換器37又は冷房用熱交換器37の壁と接触して冷却され、ダクト本体23に送られて温室1内に戻される(太矢印参照)。ここで、生じた結露水51は、冷房用角ダクト27の底部45の排水孔47から排水溝49に排水される。この冷房モードでは、加温用熱交換器39に加温水は供給されていない。さらに、図5に示す温室用空調装置13の除湿モード(例えば夏期でのモード)では、空調用入口部21の冷房用角ダクト27内に配置された冷房用熱交換器37又は冷房用熱交換器37の内部に、温水冷水循環配管から、例えばほぼ7度あるいは7度乃至10度程度の冷却水が供給されるとともに、空調用入口部21の加温用角ダクト29内に配置された加温用熱交換器39又は加温用熱交換器39の内部に、温水冷水循環配管から、所定温度の又は適温の温水が供給されていて、空気循環ファン43の作動により空調用入口部21内に吸い込まれた温室1内の空気は、冷房用熱交換器37又は冷房用熱交換器37の壁と接触して冷却され、結露した水分53が取り除かれた後に、加温用熱交換器39又は加温用熱交換器39の壁と接触して加温され、ダクト本体23に送られて温室1内に戻される(太矢印参照)。ここで、生じた結露水53は、冷房用角ダクト27の底部45の排水孔47から排水溝49に排水される。
【0022】
図6は温水冷水循環配管又は温水冷水供給流路を地熱ヒートポンプシステム17及び温水ボイラシステム19とともに示す図である。
【0023】
温水冷水循環配管は、地熱ヒートポンプシステム17の第1システムポート57から冷房用熱交換器37の入口側に延びる冷却水供給路59と、冷房用熱交換器37の出口側から地熱ヒートポンプシステム17の第2システムポート61に延びる熱回収水戻り路63とを有する第1の循環配管又は第1の流路を備えている。第1の循環配管では、冷却水供給路59に、冷房用熱交換器37の入口側近くで冷水用ポンプ65が配置され、また、冷水用ポンプ65よりも上流側で冷水用3方バルブ67が設けられている。また、熱回収水戻り路63からは、循環路69が分岐し、この循環路69は冷水用3方バルブ67に接続されている。したがって、第1の循環配管では、冷水用3方バルブ67の切り換えにより、冷水用3方バルブ67から冷房用熱交換器37及び循環路69を通って冷水用3方バルブ67に戻る第1の閉回路を構成することができる。
【0024】
また、温水冷水循環配管は、地熱ヒートポンプシステム17の第2システムポート61から加温用熱交換器39の入口側まで延びる第1の加温水供給路71と、加温用熱交換器39の出口側から地熱ヒートポンプシステム17の第1システムポート57に延びる第1の熱放出水戻り路73とを有する第2の循環配管又は第2の流路を備えている。第1の加熱水供給路71では、上流側から下流側に向かって、第1の温水用3方バルブ75、第2の温水用3方バルブ77、そして温水用ポンプ79が順次配置されている。そして、第1の熱放出水戻り路73からは、循環路81が分岐し、この循環路81は、第1の温水用3方バルブ75に接続されている。したがって、第2の循環配管は、第1の温水用3方バルブ75の切り換えにより、第1の温水用3方バルブ75から、第2の温水用3方バルブ77、加温用熱交換器39及び循環路81を通って第1の温水用3方バルブ75に戻る第2の閉回路又は第2の循環回路を構成することができる。
【0025】
そして、温水冷水循環配管は、地熱ヒートポンプシステム17とは別の空調流体供給源である温水ボイラシステム19の高温供給側83から、第2の温水用3方バルブ77及び温水用ポンプ79を通り、加温用熱交換器39の入口側まで延びる第2の加温水供給路85と、加温用熱交換器39の出口側から、第1の温水用3方バルブ75を通って温水ボイラシステム19の低温戻り側87まで延びる第2の熱放出水戻り路89とを有する第3の循環配管又は第3の流路を備えている。第2の加温水供給路85は、第2の温水用3方バルブ77から下流側を、第1の加温水供給路71と供給し、第2の熱放出水戻り路89は、加温用熱交換器39の出口側から循環路81までを、第1の熱放出水戻り路73と共有している。そして、第3の循環配管は、第2の温水用3方バルブ77の切り換えにより、第2の循環配管と同様に、第2の閉回路又は第2の循環回路を構成することができる。
【0026】
地熱ヒートポンプシステム17は、ヒートポンプ91と、井戸ポンプ93を有し、井戸水をヒートポンプ91の第1の熱交換器95に循環させて、ヒートポンプ91の冷媒配管97との間で熱交換を行わせる地熱循環路99と、地熱ヒートポンプシステム17の第1システムポート57及び第2システムポート61としてのタンクポートを有するバランシングタンク101と、作動水循環路103と、を備えている。作動水循環路103は、バランシングタンク101の第3タンクポート105から4方バルブ107の第1ポート109に延びる第1ライン111と、バランシングタンク101の第4タンクポート113から4方バルブ107の第2ポート115に延びる第2ライン117と、4方バルブ107の第3ポート119からヒートポンプ91の第2の熱交換器121の入口側に延びる、循環ポンプ123を有する第3ライン125と、第2の熱交換器121の出口側から4方バルブ107の第4ポート127に延びる第4ライン129と、を有し、バランシングタンク101及び配管内の水を冷媒配管97と熱交換させる。ヒートポンプ91の冷媒配管97には、圧縮器(ポンプ)131、4方バルブ133及び膨張バルブ135が設けられ、加熱運転と冷却運転とを切り換えることができるように構成されている。
【0027】
温水ボイラシステム19では、温水ボイラ137から温水が高温供給側83に供給されるとともに、低温戻り側87から温水ボイラ137に、より低い温度水が戻されるように構成されている。なお、高温供給側83から延び、上流側から、暖房用3方バルブ139、暖房用ポンプ141を順次有する暖房用供給ライン143及び低温戻り側87に戻って接続される暖房用戻りライン145は、栽培棚10の下側の循環パイプ(図示せず)に温水を循環させて、栽培棚10付近を暖房するためのものであり、夏期には使用しない場合が多い。また、暖房用戻りライン145からは、循環ライン147が分岐して暖房用3方バルブ139に接続されていて、暖房用3方バルブ139の切り換えにより、循環パイプ用の閉回路を構成することができるようになっている。
【0028】
図7乃至図9はそれぞれ、温水冷水循環配管の暖房モード、冷房モード及び除湿モードを示す図である。
【0029】
暖房モードでは、図7に示すように、地熱ヒートポンプシステム17の4方バルブ107の第1ポート109と第4ポート127とが連結されるとともに、4方バルブ107の第2ポート115と第3ポート119とが連結され、加熱運転状態であるヒートポンプ91の第2の熱交換器121の出口側から、ほぼ45°に加熱された温水が、循環ポンプ123によって供給され、第4ライン129及び第1ライン111を通り、第3タンクポート105からバランシングタンク101内に入る(白矢印参照)。一方、バランシングタンク101の第4タンクポート113からは、例えば40度程度のより低温の温水が引き出され、第2ライン117及び第3ライン125を通過して第2の熱交換器121の入口側に入る(黒矢印参照)。また、温水冷水循環配管の第2の循環配管を使用して加温用熱交換器39に温水を供給する。第2の循環配管では、第2の閉回路を構成し、温水用ポンプ79を作動させて、加温用熱交換器39に温水を供給するのを基本とし(内側白矢印参照)、第2の閉回路の温度(具体的には加温用熱交換器39の入口側近くの温度)を監視して、温度が低下したときに、第1の温水用3方バルブ75を切り換えて、バランシングタンク101の第2タンクポート61から、温水用ポンプ79を用い、温水を加温用熱交換器39に供給し(外側黒矢印参照)、その後は、第1の温水用3方バルブ75を切り換えて、再び第2の閉回路を構成する。なお、第2の閉回路の温度が低下したときに、第2の温水用3方バルブ77を切り換えて、温水ボイラシステム19から温水を加温用熱交換器39に供給してもよい(除湿モード参照)。また、暖房モードでは、暖房用供給ライン143と暖房用戻りライン145とを用いて循環パイプに温水を循環させる場合があるが、ここでも、循環パイプ用の閉回路を構成し、暖房用ポンプ141を作動させて温水を循環させるのを基本とし(内側白矢印参照)、循環パイプ用の閉回路の温度が低下したときに、暖房用3方バルブ139を切り換えて、暖房用ポンプ141を用い、高温供給側83から温水を供給する(外側黒矢印参照)。
【0030】
冷房モードでは、図8に示すように、地熱ヒートポンプシステム17の4方バルブ107の第1ポート109と第3ポート119とが連結されるとともに、4方バルブ107の第2ポート115と第4ポート127とが連結され、冷却運転状態であるヒートポンプ91の第2の熱交換器121の出口側から、ほぼ7°に冷却された冷却水が循環ポンプ123によって供給され、第4ライン129及び第2ライン117を通り、第4タンクポート113からバランシングタンク101内に入る(白矢印参照)。一方、バランシングタンク101の第3タンクポート105からは、例えば12度程度のより暖かい冷水が引き出され、、第1ライン111及び第3ライン125を通過して第2の熱交換器121の入口側に入る(黒矢印参照)。また、温水冷水循環配管の第1の循環配管を使用して冷房用熱交換器37に冷却水を供給する。第1の循環配管では、第1の閉回路を構成し、冷水用ポンプ65を作動させて、冷房用熱交換器37に冷却水を供給するのを基本とし(内側白矢印参照)、第1の閉回路の温度(具体的には冷房用熱交換器37の入口側近くの温度)を監視して、温度が上昇したときに、冷水用3方バルブ67を切り換えて、バランシングタンク101の第1タンクポート57から、冷水用ポンプ65を用い、冷却水を冷房用熱交換器37に供給し(外側黒矢印参照)、その後は、冷房用3方バルブ67を切り換えて、再び第1の閉回路を構成する。
【0031】
除湿モードでは、図9に示すように、温水冷水循環配管の第1の循環配管及び冷房モードの地熱ヒートポンプ17システムを使用して、冷房モードと同様に、冷房用熱交換器37に冷却水を供給する。また、温水冷水循環配管の第3の循環配管を使用して加温用熱交換器39に温水を供給する。第3の循環配管では、第2の閉回路を構成し、温水用ポンプ79を作動させて、加温用熱交換器39に温水を供給するのを基本とし(内側白矢印参照)、第2の閉回路の温度(具体的には加温用熱交換器39の入口側近くの温度)を監視して、温度が低下したときに、第2の温水用3方バルブ77を切り換えて、温水用ポンプ79を用い、高温供給側83から温水を加温用熱交換器39に供給し(外側黒矢印参照)、その後は、第2の温水用3方バルブ77を切り換えて、再び第2の閉回路を構成する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
以上説明したように、本発明の温室用空調装置は、植物栽培用温室に設置して、キメの細かい温室内の空調を行うことができる。
【符号の説明】
【0033】
1 パプリカ栽培用温室
13 温室用空調装置
15 空調用ダクト
17 地熱ヒートポンプシステム
19 温水ボイラ
21 空調用入口部
23 ダクト本体
37 冷房用熱交換器
39 加温用熱交換器
43 空気循環ファン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物栽培用の温室内を空調する温室用空調装置であって、
空気循環用ファンが設けられた空調用ダクトと、この空調用ダクト内の空気の温度を調整するために用いる空調流体供給源と、を備え、
前記空調用ダクトは、吸気口及び出口を有する空調用入口部と、この空調用入口部の前記出口に接続されたダクト本体と、を有し、前記空気循環用ファンの作動によって、前記温室内の空気を、前記空調用入口部の前記吸気口から吸い込み、前記空調用入口部の前記出口を通過させて前記ダクト本体から前記温室内に戻すように構成され、
前記空調用入口部には、この空調用入口部内を通過する前記温室内の空気を冷却するための冷却用熱交換器が設けられるとともに、この冷却用熱交換器よりも前記出口側で、前記空調用入口部内を通過する前記温室内の空気を暖めるための加温用熱交換器が設けられていて、
前記空調流体供給源は、前記冷却用熱交換器に冷却流体を供給し、かつ、前記加温用熱交換器に加温流体を供給するものである、ことを特徴とする温室用空調装置。
【請求項2】
前記空調流体供給源は、前記冷却用熱交換器への冷却流体の供給及び前記加温用熱交換器への加温流体の供給を別々に行うことも同時に行うこともできるように構成されている、ことを特徴とする請求項1記載の温室用空調装置。
【請求項3】
前記循環用ファンは送風容量を制御できるように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の温室用空調装置。
【請求項4】
前記空調用入口部は、一端に前記吸気口を有する冷却部と、この冷却部の他端に一端が接続され、前記冷却部と角度を有して延びる加温部と、を有し、前記冷却用熱交換器は前記冷却部に設けられ、前記加温用熱交換器は前記加温部に設けられていて、前記ダクト本体は、前記加温部の他端の前記出口に接続されている、ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の温室用空調装置。
【請求項5】
前記冷却部は垂直下方又はほぼ垂直下方に延び、前記加温部は、前記冷却部の下端から水平方向又はほぼ水平方向に延びている、ことを特徴とする請求項4記載の温室用空調装置。
【請求項6】
前記空調用入口部には、結露水排水構造が設けられている、ことを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の温室用空調装置。
【請求項7】
前記空調用入口部には、前記冷却部と前記加温部との境界位置で、結露水排水構造が設けられている、ことを特徴とする請求項4又は5記載の温室用空調装置。
【請求項8】
前記空調流体供給源には、ヒートポンプ、ボイラ又はLPGなどが用いられる、ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の温室用空調装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−200634(P2010−200634A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−47460(P2009−47460)
【出願日】平成21年2月28日(2009.2.28)
【出願人】(591169629)トミタテクノロジー株式会社 (1)
【Fターム(参考)】