説明

温度センサ

【課題】 異なる方向にある複数の測定対象物の温度を測定可能であると共に複数の配線設置が不要な温度センサを提供すること。
【解決手段】 一つの側面に開口部4aが形成された複数のセンサブロック体4が、互いに凹状コネクタ部に凸状コネクタ部2を嵌め込んで連結可能とされ、センサブロック体4が、開口部4a内に設置されていると共に測定対象物から放射される赤外線を開口部4aを介して受光して測定対象物の温度を検出するセンサ素子と、少なくとも一つが該センサ素子に接続されて凸状コネクタ部2から凹状コネクタ部まで配設された複数の内蔵配線と、凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部とに設けられ連結時に複数のセンサブロック体4のセンサ素子のうちいずれかに内蔵配線を介して電気的に接続可能な複数の端子S,t1,t2と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異なる方向にある複数の測定対象物の温度を測定することができる温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、組電池などの電池セルの温度監視が必要な装置において、複数の電池セルの温度を測定するために、複数の温度センサを設置している。例えば、特許文献1には、直列又は並列に接続された複数の二次電池と、二次電池の温度を検出するため二次電池に接近して配設される温度検出素子を有する複数の温度検出回路と、を備えるバッテリーパックが提案されている。
【0003】
また、特許文献2には、電池を直線状に連結している複数本の電池モジュールと、電池モジュールの温度を検出する複数の温度センサと、を備えた車両用の電源装置が提案されている。
さらに、測定対象物の表面を面として捉えて温度を測定する方法としては、赤外線イメージセンサなどの光学手法を用いて、測定対象物の表面から放射される輻射による赤外線を受けて温度測定する方法も知られている。例えば、特許文献3には、測定対象物であるヒートローラの表面温度を非接触で測定する温度センサであって、ヒートローラの表面に近接して非接触で保持される赤外線透過性フィルム上に赤外線吸収ガラスで溶封されたサーミスタ素子を有する非接触温度センサが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−126780号公報
【特許文献2】特開2006−74869号公報
【特許文献3】特開2004−205417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、複数の電池セル等の温度を測定するために、複数の温度センサを配置するには、温度センサの設置数に応じて取付工数が増大すると共に複数の配線及びハーネスが必要になり、設置コスト及び部材コストが増えてしまう不都合があった。また、温度センサの設置数に応じて配線等の本数が増え、重量増加や線材の耐振動に対する信頼性低下などが生じる問題があった。さらに、並列に並べられた複数の電池セルの隙間に複数の温度センサを設置する場合、設置スペースが狭いと共に組立が複雑になって工数が増加するため、設置作業や電池交換等のメンテナンスの作業性に不都合があった。また、通気のための空間が多数の配線や取付治具などにより占有されてしまい、電池セルの放熱の妨げになるおそれもあった。
また、赤外線イメージセンサなどにより温度分布を測定する場合、画像処理などの演算コストが膨大であり、組電池などの温度監視に使用することは不適である。さらに、測定対象物の全体を赤外線の視野角に入れる必要があり、取付場所に制限があり、狭い設置スペースでは利用困難な場合がある。
さらに、赤外線センサを並列に並んだ複数の電池セルの隙間に設置する場合、少なくとも二方に電池セルが配置されているため、複数の赤外線センサを互いに異なる方向の電池セルに向けて設定する必要があり、設置位置の確保が難しいと共に設置作業に手間がかかってしまう問題があった。
【0006】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、異なる方向にある複数の測定対象物の温度を測定可能であると共に複数の配線設置が不要な温度センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、本発明の温度センサは、凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とを有すると共に一つの側面に開口部が形成された複数のセンサブロック体が、互いに前記凹状コネクタ部に前記凸状コネクタ部を嵌め込んで互いに異なる向きに前記開口部を向けて連結可能とされ、前記センサブロック体が、前記開口部内に設置されていると共に測定対象物から放射される赤外線を前記開口部を介して受光して前記測定対象物の温度を検出するセンサ素子と、少なくとも一つが該センサ素子に接続されて前記凸状コネクタ部から前記凹状コネクタ部まで配設された複数の内蔵配線と、前記凸状コネクタ部と前記凹状コネクタ部とに設けられ連結時に複数の前記センサブロック体の前記センサ素子のうちいずれかに前記内蔵配線を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えていることを特徴とする。
【0008】
この温度センサでは、複数のセンサブロック体が、互いに凹状コネクタ部に凸状コネクタ部を嵌め込んで互いに異なる向きに開口部を向けて連結可能とされ、センサブロック体が、一つの側面に形成した開口部内に、測定対象物から放射される赤外線を開口部を介して受光して測定対象物の温度を検出するセンサ素子を備えているので、異なる方向に開口部を向けて複数のセンサブロック体を連結することで、異なる方向にある複数の測定対象物の温度を測定することができる。
また、少なくとも一つがセンサ素子に接続されて凸状コネクタ部から凹状コネクタ部まで配設された複数の内蔵配線と、凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とに設けられ連結時に複数のセンサブロック体のセンサ素子のうちいずれかに内蔵配線を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えているので、連結するだけで他の連結されたセンサブロック体のセンサ素子に電気的に接続され、各端子に対応するセンサ素子の検出温度を個別に測定することが可能になる。
すなわち、互いに嵌合された凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とにより連結したセンサブロック体の端子同士が接続されて、対応するセンサ素子と電気的に接続されることで、連結端に配されたセンサブロック体の凸状コネクタ部又は凹状コネクタ部の端子から、対応するセンサブロック体におけるセンサ素子の検出温度を個別に測定することができる。
【0009】
また、本発明の温度センサは、前記凸状コネクタ部及び前記凹状コネクタ部のそれぞれの中心軸上に形成され互いに電気的に接続された一対のコモン端子と、前記凸状コネクタ部の外周部及び前記凹状コネクタ部の内周部にそれぞれ同心円上に形成され前記凸状コネクタ部と前記凹状コネクタ部とで対応する対同士で互いに電気的に接続された複数対の接続端子と、前記凸状コネクタ部の外周部又は前記凹状コネクタ部の内周部に形成され前記センサ素子を介して前記コモン端子に電気的に接続されたセンサ端子と、を備えていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、凸状コネクタ部及び凹状コネクタ部に、一対のコモン端子と、複数対の接続端子と、センサ端子と、を上記配置構成で備えているので、開口部を異なる方向に向けて複数のセンサブロック体を連結しても、互いに嵌合する凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とにより、センサ端子と接続端子の一つとが接続されて、連結状態の端部に配された凸状コネクタ部又は凹状コネクタ部のセンサ端子及び所定の接続端子で、対応するセンサブロック体におけるセンサ素子の検出温度を個別に測定することができる。
【0010】
また、本発明の温度センサは、前記凸状コネクタ部が、複数の外側面に前記センサ端子及び前記接続端子を有する多角柱形状とされていると共に、前記凹状コネクタ部が、前記凸状コネクタ部が嵌合可能で複数の内側面に前記接続端子を有する穴形状とされていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、凸状コネクタ部が、複数の外側面にセンサ端子及び接続端子を有する正多角柱形状とされていると共に、凹状コネクタ部が、凸状コネクタ部が嵌合可能で複数の内側面に接続端子を有する穴形状とされているので、多角柱形状とされた凸状コネクタ部を中心軸を中心に外側面単位で周回させて凹状コネクタ部に嵌め込むことで、各センサブロック体のセンサ端子と対応する接続端子とを個別に接続することができる。したがって、多角柱形状とされた凸状コネクタ部の外側面の数だけセンサブロック体を連結可能であると共に配線することができる。
【0011】
また、本発明の温度センサは、前記凸状コネクタ部が、前記センサブロック体の先端に設けられていると共に、前記凹状コネクタ部が、前記センサブロック体の後端に設けられていることを特徴とする。
すなわち、この温度センサでは、凸状コネクタ部が、センサブロック体の先端に設けられていると共に、凹状コネクタ部が、センサブロック体の後端に設けられているので、複数のセンサブロック体が直線状に連結され、配列された電池セルの隙間などに容易に挿入配置することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係る温度センサによれば、複数のセンサブロック体が、互いに凹状コネクタ部に凸状コネクタ部を嵌め込んで互いに異なる向きに開口部を向けて連結可能とされ、センサブロック体が、一つの側面に形成した開口部内に、測定対象物から放射される赤外線を開口部を介して受光して測定対象物の温度を検出するセンサ素子を備えているので、異なる方向に開口部を向けて複数のセンサブロック体を連結することで、異なる方向にある複数の測定対象物の温度を測定することができる。
また、本発明に係る温度センサは、少なくとも一つがセンサ素子に接続されて凸状コネクタ部から凹状コネクタ部まで配設された複数の内蔵配線と、凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とに設けられ連結時に複数のセンサブロック体のセンサ素子のうちいずれかに内蔵配線を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えているので、連結するだけで他の連結されたセンサブロック体のセンサ素子に電気的に接続されて、各端子に対応するセンサ素子の検出温度を個別に測定することができる。
このように、本発明の温度センサでは、複数の測定対象物に対して、任意の指向角で複数の検出角を有して赤外線を受光可能なマルチビーム方式の非接触温度センサを容易に構成することができる。また、センサ素子毎に個別の配線を別途配設する必要が無く、複数のセンサブロック体を異なる検出角で連結しても互いに凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とを嵌合させるだけで、配線接続が行われるため、配線コスト及び部材コストを削減可能であると共に設置やメンテナンス等の作業性にも優れている。さらに、配線増による重量増加や線材の耐振動に対する信頼性低下を抑制可能であると共に、配線スペースを極力省くことができ、狭い設置スペースでも容易に設置可能で通気性も確保可能である。
したがって、本発明の温度センサは、組電池を構成する電池セルの隙間に設置して周囲の複数の電池セルの温度監視を行う温度センサとして好適である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る温度センサの一実施形態において、2つのセンサブロック体を連結した温度センサを示す斜視図である。
【図2】本実施形態において、センサブロック体を示す平面図、側面図及び底面図である。
【図3】図2の(a)のA−A線矢視断面図である。
【図4】本実施形態において、センサブロック体を示す正面図及び背面図である。
【図5】本実施形態において、センサブロック体の各端子間の配線を示す回路図である。
【図6】本実施形態において、3つのセンサブロック体を連結した際の各端子間の接続状態を示す図である。
【図7】本実施形態において、3つの測定対象物の隙間に温度センサを配した場合について、3つのセンサブロック体を異なる向きに連結した際の赤外線検出方向を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る温度センサの一実施形態を、図1から図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能又は認識容易な大きさとするために縮尺を適宜変更している。
【0015】
本実施形態の温度センサ1は、例えば測定対象物として直列に並んだ複数の電池セルの列を並列に並べて構成された組電池の温度監視を行うために電池セルの隙間に設置される非接触温度センサである。この温度センサ1は、図1から図4に示すように、凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とを有すると共に一つの側面に開口部4aが形成された複数のセンサブロック体4が、互いに凹状コネクタ部3に凸状コネクタ部2を嵌め込んで互いに異なる向きに開口部4aを向けて連結可能とされ、開口部4a内に設置されていると共に測定対象物から放射される赤外線を開口部4aを介して受光して測定対象物の温度を検出するセンサ素子5を備えたものである。
【0016】
上記センサブロック体4は、図5に示すように、少なくとも一つがセンサ素子5に接続されて凸状コネクタ部2から凹状コネクタ部3まで配設された複数の内蔵配線6と、凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とに設けられ連結時に複数のセンサブロック体4のセンサ素子5のうちいずれかに内蔵配線6を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えている。
【0017】
すなわち、このセンサブロック体4は、上記端子として、凸状コネクタ部2及び凹状コネクタ部3のそれぞれの中心軸上に形成され互いに内蔵配線6を介して電気的に接続された一対のコモン端子Cin,Coutと、凸状コネクタ部2の外周部及び凹状コネクタ部3の内周部にそれぞれ同心円上に形成され凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とで対応する対同士で互いに内蔵配線6を介して電気的に接続された複数対の接続端子t1〜t5と、凸状コネクタ部2の外周部に形成されセンサ素子5を介してコモン端子Cin,Coutに内蔵配線6で電気的に接続されたセンサ端子Sと、を備えている。
【0018】
上記センサブロック体4は、例えば樹脂成形で略直方体形状に本体が形成され、その一側面に長方形状に開口した穴部である開口部4aが設けられている。
上記センサ素子5は、例えばチップ型のサーミスタ素子である。このサーミスタ素子として、NTC型、PTC型、CTR型等のサーミスタがあるが、本実施形態では、NTC型サーミスタを採用している。このサーミスタ素子は、Mn−Co−Cu系材料、Mn−Co−Fe系材料等のサーミスタ材料で形成されている。
【0019】
上記凸状コネクタ部2は、複数の外側面にセンサ端子S及び接続端子t1〜t5を有する正六角柱形状とされていると共に、凹状コネクタ部3が、凸状コネクタ部2が嵌合可能で複数の内側面に接続端子t1〜t5を有する穴形状とされている。
また、上記凸状コネクタ部2は、センサブロック体4の先端に設けられていると共に、凹状コネクタ部3が、センサブロック体4の後端に設けられている。
【0020】
例えば、第1から第3の3つのセンサブロック体4A,4B,4Cを連結して温度センサ1を構成する場合について、図6を参照して説明する。
【0021】
まず、第1のセンサブロック体4Aの凹状コネクタ部3に第2のセンサブロック体4Bの凸状コネクタ部2を嵌め込んで互いに連結する。この際、第2のセンサブロック体4Bのセンサ端子Sが第1のセンサブロック体4Aの接続端子t1に接続されるようにして、第1のセンサブロック体4Aと第2のセンサブロック体4Bとの開口部4aの向きを互いに変えて連結する。このとき、第2のセンサブロック体4Bの開口部4aの向きと第1のセンサブロック体4Aの開口部4aの向きは、60°異なる。
【0022】
次に、第2のセンサブロック体4Bの凹状コネクタ部3に第3のセンサブロック体4Cの凸状コネクタ部2を嵌め込んで互いに連結する。この際、第3のセンサブロック体4Cのセンサ端子Sが第2のセンサブロック体4Bの接続端子t1に接続されるようにして、第2のセンサブロック体4Bと第3のセンサブロック体4Cとの開口部4aの向きを互いに変えて連結する。また、同時に、第2のセンサブロック体4Bの接続端子t1は、第1のセンサブロック体4Aの接続端子t2に接続される。このとき、第3のセンサブロック体4Cの開口部4aの向きと第2のセンサブロック体4Bの開口部4aの向きとは、60°異なると共に、第3のセンサブロック体4Cの開口部4aの向きと第1のセンサブロック体4Aの開口部4aの向きとは、120°異なる。
【0023】
したがって、第1のセンサブロック体4Aのセンサ端子Sとコモン端子Cin,Coutとの間で抵抗測定を行うことで、第1のセンサブロック体4Aのセンサ素子5における温度検出を行うことができる。また、第1のセンサブロック体4Aの接続端子t1とコモン端子Cin,Coutとの間で抵抗測定を行うことで、第2のセンサブロック体4Bのセンサ素子5における温度検出を行うことができる。さらに、第1のセンサブロック体4Aの接続端子t2とコモン端子Cin,Coutとの間で抵抗測定を行うことで、第3のセンサブロック体4Cのセンサ素子5における温度検出を行うことができる。
【0024】
例えば、3つの電池セルである測定対象物Bのそれぞれの温度を測定する場合、図7に示すように、3つの測定対象物Bの隙間に第1から第3の3つのセンサブロック体4A,4B,4Cを連結した温度センサ1を設置する。
この際、第1から第3の3つのセンサブロック体4A,4B,4Cの開口部4aを互いに異なる測定対象物Bに向けて連結する。すなわち、第1のセンサブロック体4Aの開口部4aの向きと第2のセンサブロック体4Bの開口部4aの向きとは、120°異なるように連結すると共に、第1のセンサブロック体4Aの開口部4aの向きと第3のセンサブロック体4Cの開口部4aの向きとは、240°異なるように連結する。
【0025】
このように本実施形態の温度センサ1では、複数のセンサブロック体4が、互いに凹状コネクタ部3に凸状コネクタ部2を嵌め込んで互いに異なる向きに開口部4aを向けて連結可能とされ、センサブロック体4が、一つの側面に形成した開口部4a内に、測定対象物Bから放射される赤外線を開口部4aを介して受光して測定対象物Bの温度を検出するセンサ素子5を備えているので、異なる方向に開口部4aを向けて複数のセンサブロック体4を連結することで、異なる方向にある複数の測定対象物Bの温度を測定することができる。なお、図3に示すように、開口部4aの開口面積や形状と開口部4a内のセンサ素子5の受光面との位置関係で、赤外線を入射させる際の任意の指向角θを設定することもできる。
【0026】
また、少なくとも一つがセンサ素子5に接続されて凸状コネクタ部2から凹状コネクタ部3まで配設された複数の内蔵配線6と、凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とに設けられ連結時に複数のセンサブロック体4のセンサ素子5のうちいずれかに内蔵配線6を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えているので、連結するだけで他の連結されたセンサブロック体4のセンサ素子5に電気的に接続され、各端子に対応するセンサ素子5の検出温度を個別に測定することが可能になる。
【0027】
すなわち、互いに嵌合された凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とにより連結したセンサブロック体4の端子同士が接続されて、対応するセンサ素子5と電気的に接続されることで、連結端に配されたセンサブロック体4の凸状コネクタ部2の端子から、対応するセンサブロック体4におけるセンサ素子5の検出温度を個別に測定することができる。
【0028】
特に、凸状コネクタ部2及び凹状コネクタ部3に、一対のコモン端子Cin,Coutと、複数対の接続端子t1〜t5と、センサ端子Sと、を上記配置構成で備えているので、開口部4aを異なる方向に向けて複数のセンサブロック体4を連結しても、互いに嵌合する凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とにより、センサ端子Sと接続端子t1〜t5の一つとが接続されて、連結状態の端部に配された凸状コネクタ部2又は凹状コネクタ部3のセンサ端子S及び所定の接続端子t1〜t5で、対応するセンサブロック体4におけるセンサ素子5の検出温度を個別に測定することができる。
【0029】
したがって、センサ素子5毎に個別の配線を別途配設する必要が無く、複数のセンサブロック体4を異なる検出角で連結しても互いに凸状コネクタ部2と凹状コネクタ部3とを嵌合させるだけで、配線接続が行われるため、配線コスト及び部材コストを削減可能であると共に設置やメンテナンス等の作業性にも優れている。また、配線増による重量増加や線材の耐振動に対する信頼性低下を抑制可能であると共に、配線スペースを極力省くことができ、狭い設置スペースでも容易に設置可能で通気性も確保可能である。
【0030】
さらに、凸状コネクタ部2が、複数の外側面にセンサ端子S及び接続端子t1〜t5を有する正多角柱形状とされていると共に、凹状コネクタ部3が、凸状コネクタ部2が嵌合可能で複数の内側面に接続端子t1〜t5を有する穴形状とされているので、正多角柱形状とされた凸状コネクタ部2を中心軸を中心に外側面単位で周回させて凹状コネクタ部3に嵌め込むことで、各センサブロック体4のセンサ端子Sと対応する接続端子t1〜t5とを個別に接続することができる。したがって、正多角柱形状とされた凸状コネクタ部2の外側面の数だけセンサブロック体4を連結可能であると共に配線することができる。すなわち、正六角柱形状とされた凸状コネクタ部2の場合、6つの外側面を有するので、6つのセンサブロック体4を連結可能であると共に配線することができる。
【0031】
また、凸状コネクタ部2が、センサブロック体4の先端に設けられていると共に、凹状コネクタ部3が、センサブロック体4の後端に設けられているので、複数のセンサブロック体4が直線状に連結され、配列された電池セルの隙間などに容易に挿入配置することができる。
【0032】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0033】
例えば、上記実施形態では、凸状コネクタ部が、正六角柱形状とされていると共に、凹状コネクタ部が、凸状コネクタ部が嵌合可能な穴形状とされているが、凸状コネクタ部を四角柱や八角柱等の他の正多角柱形状にして、これを嵌合可能な穴形状の凹状コネクタ部としても構わない。この場合、凸状コネクタ部の外側面数が増える程、連結可能なセンサブロック体の数が増加する。
【0034】
また、正多角柱形状の外側面に各端子を設けて凸状コネクタ部を構成しているが、各端子をピン状にして突出させた凸状コネクタ部とし、これら各端子のピンが差し込み可能な複数の挿入孔で構成された凹状コネクタ部としても構わない。
さらに、凸状コネクタ部が、センサブロック体の先端に設けられていると共に、凹状コネクタ部が、センサブロック体の後端に設けられているが、先端や後端以外の部分に凸状コネクタ部又は凹状コネクタ部を設けても構わない。この場合、直線的な直列連結だけでなく、直角方向や2方向や3方向等の複数方向への連結も可能になり、さらに三次元的な多方向に複数の開口部を向けて温度を測定することが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
1…温度センサ、2…凸状コネクタ部、3…凹状コネクタ部、4,4A,4B,4C…センサブロック体、4a…開口部、5…センサ素子、B…測定対象物、Cin,Cout…コモン端子、S…センサ端子、t1〜t5…接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸状コネクタ部と凹状コネクタ部とを有すると共に一つの側面に開口部が形成された複数のセンサブロック体が、互いに前記凹状コネクタ部に前記凸状コネクタ部を嵌め込んで互いに異なる向きに前記開口部を向けて連結可能とされ、
前記センサブロック体が、前記開口部内に設置されていると共に測定対象物から放射される赤外線を前記開口部を介して受光して前記測定対象物の温度を検出するセンサ素子と、
少なくとも一つが該センサ素子に接続されて前記凸状コネクタ部から前記凹状コネクタ部まで配設された複数の内蔵配線と、
前記凸状コネクタ部と前記凹状コネクタ部とに設けられ連結時に複数の前記センサブロック体の前記センサ素子のうちいずれかに前記内蔵配線を介して電気的に接続可能な複数の端子と、を備えていることを特徴とする温度センサ。
【請求項2】
請求項1に記載の温度センサにおいて、
前記凸状コネクタ部及び前記凹状コネクタ部のそれぞれの中心軸上に形成され互いに電気的に接続された一対のコモン端子と、
前記凸状コネクタ部の外周部及び前記凹状コネクタ部の内周部にそれぞれ同心円上に形成され前記凸状コネクタ部と前記凹状コネクタ部とで対応する対同士で互いに電気的に接続された複数対の接続端子と、
前記凸状コネクタ部の外周部又は前記凹状コネクタ部の内周部に形成され前記センサ素子を介して前記コモン端子に電気的に接続されたセンサ端子と、を備えていることを特徴とする温度センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度センサにおいて、
前記凸状コネクタ部が、複数の外側面に前記センサ端子及び前記接続端子を有する正多角柱形状とされていると共に、前記凹状コネクタ部が、前記凸状コネクタ部が嵌合可能で複数の内側面に前記接続端子を有する穴形状とされていることを特徴とする温度センサ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度センサにおいて、
前記凸状コネクタ部が、前記センサブロック体の先端に設けられていると共に、前記凹状コネクタ部が、前記センサブロック体の後端に設けられていることを特徴とする温度センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−33360(P2011−33360A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−177119(P2009−177119)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】