説明

温度制御システム及び温度制御方法

【課題】例えば自宅内と車両内を行き来する者が、当該車両内と自宅内との間の温度差に起因する不快感を抱くことを当該者に負担をかけることなく効果的に抑制することが可能な温度制御システム等を提供する。
【解決手段】車両内の温度を検出する温度検出部1と、自宅内の温度を検出する温度検出部10と、検出された車室内の温度及び自宅内の温度に基づき、当該車室内の温度と自宅内の温度との差が予め設定された閾値以下となるように、当該車室内の温度又は自宅内の温度との少なくともいずれか一方を制御する制御部3及び12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、温度制御システム及び温度制御方法の技術分野に属し、より詳細には、車両等の移動体と固定施設との間で連携して各々の内部の温度を制御する温度制御システム及び温度制御方法の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
例えば冬において、車両を運転して帰宅した使用者が自宅内に入った場合、当該自宅内が暖房されていないと、暖房された車内から寒い自宅内に急激に移動することで、極めて不快に感じることとなる。またこの場合、自宅内が極端に寒い場合には、心臓発作等、様々な突発性の病気の要因ともなり得る。
【0003】
一方夏においては、これとは逆に、冷房が効いていた車内からそれまで無人であった自宅内に入ったときの「ムッ」とする暑さの感覚は、時に耐え難いものがある。
【0004】
そこで、車両が自宅に到達する前に、当該自宅内の温度を制御しておくことが考えられる。これに関連する文献としては、例えば下記特許文献1が挙げられる。
【特許文献1】特開2007−206966公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示されている技術は、単に、車両内で任意に設定した温度となるように自宅内の温度を制御するものであり、あくまで運転者が事前に所望される自宅内の温度を入力しなければならず、車両を運転する立場からすると不便極まりないものであった。
【0006】
また、上記特許文献1には、自宅内の温度と車両の車室内の温度とを自動的に連係させる構成については、開示も示唆もない。
【0007】
そこで、本願は上記の要請に鑑みて為されたもので、その課題の一例は、例えば自宅内と車両内を行き来する者が、当該車両内と自宅内との間の温度差に起因する不快感を抱くことを当該者に負担をかけることなく効果的に抑制することが可能な温度制御システム等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、移動体内の温度を移動体温度として検出する温度検出部等の移動体温度検出手段と、固定施設内の温度を固定施設温度として検出する温度検出部等の施設温度検出手段と、夫々検出された前記移動体温度及び前記固定施設温度に基づき、当該移動体温度と当該固定施設温度との差が予め設定された閾値以下となるように、当該移動体温度又は当該固定施設温度の少なくともいずれか一方を制御する温度制御を行う制御部等の制御手段と、を備える。
【0009】
上記の課題を解決するために、請求項5に記載の発明は、移動体内の温度を移動体温度として検出する移動体温度検出工程と、固定施設内の温度を固定施設温度として検出する施設温度検出工程と、夫々検出された前記移動体温度及び前記固定施設温度に基づき、当該移動体温度と当該固定施設温度との差が予め設定された閾値以下となるように、当該移動体温度又は当該固定施設温度の少なくともいずれか一方を制御する制御工程と、を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本願を実施するための最良の形態について、図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する各実施形態は、移動体としての車両における車内温度と当該車両の目的地である自宅内の温度とを夫々制御する温度制御システムに対して本願を適用した場合の実施の形態である。
【0011】
(I)第1実施形態
始めに、本願に係る第1実施形態について、図1及び図2を用いて説明する。なお、図1は第1実施形態に係る温度制御システムの概要構成を示すブロック図であり、図2は当該温度制御システムの動作を示すフローチャート等である。
【0012】
図1に示すように、第1実施形態に係る温度制御システムSは、車両内に搭載されている車両システムCと、自宅内に固定設置されている自宅システムHと、により構成されている。そして、車両システムCは、移動体温度検出手段としての温度検出部1と、エアコンディショナ等である温度制御部2と、図示しないCPU及びメモリ等からなる制御手段及び位置検出手段としての制御部3と、アンテナ5を備えた無線部4と、により構成されている。一方自宅システムHは、施設温度検出手段としての温度検出部10と、エアコンディショナ等である温度制御部11と、図示しないCPU及びメモリ等からなる制御手段としての制御部12と、アンテナ14を備えた無線部13と、により構成されている。このとき、車両システムC内の無線部4と自宅システムH内の無線部13とは、夫々アンテナ5及び14並びにインターネット等のネットワークNTを介して相互にデータの授受が可能とされている。
【0013】
この構成において、車両システムC内の温度検出部1は、従来と同様の手法により車両の車室内の温度を検出し、当該検出結果を制御部3に出力する。これにより制御部3は、無線部4及び無線部13、アンテナ5及び14並びにネットワークNTを介して当該検出結果を自宅システムHと共有することにより、設定すべき車室内の温度を決定する。
【0014】
その後制御部3は、車室内が当該決定後の温度となるように、温度制御部2を介して当該車室内の温度を制御する。
【0015】
なお、車両システムC内の制御部3は、上記した動作の他に、図示しないセンサからの出力に基づいて当該車両の現在位置を検出する動作等を行いつつ、図示しないディスプレイにおける表示や図示しないスピーカを用いた音声出力等により当該車両を案内するナビゲーション動作を行う。
【0016】
一方、自宅システムH内の温度検出部10は、従来と同様の手法により自宅内の温度を検出し、当該検出結果を制御部12に出力する。これにより制御部12は、無線部13及び無線部4、アンテナ14及び5並びにネットワークNTを介して当該検出結果を車両システムCと共有することにより、設定すべき自宅内の温度を決定する。
【0017】
その後制御部12は、自宅内が当該決定後の温度となるように、温度制御部11を介して当該車室内の温度を制御する。
【0018】
次に、主として上記制御部3及び12により実行される第1実施形態に係る温度制御動作について、図2を用いて説明する。なお、以下に説明する第1実施形態に係る温度制御動作では、自宅内の温度を検出し、その検出結果を用いて車両の車室内の温度のみを制御する。
【0019】
すなわち、第1実施形態に係る温度制御動作としては、図2(a)に示すように、図示しない操作ボタン等が操作されることにより車両においてその目的地が設定されると(ステップS1)、制御部3は、当該設定された目的地が自宅であるか否かを確認する(ステップS2)。そして、当該目的地が自宅でない場合(ステップS2;NO)、制御部3は、そのまま第1実施形態としての温度制御動作を終了する。
【0020】
一方、ステップS2の判定において、目的地が自宅である場合(ステップS2;YES)、制御部3は次に、当該自宅を目的地として経路探索を実行すると共に、その探索結果を用いて車両の案内動作を開始する(ステップS3)。
【0021】
次に制御部3は、温度検出部1を介して、その時の車両の車室内の温度を検出して上記メモリ内に一時的に記憶し(ステップS4)、その検出された温度がその直前までに記憶されている温度から変化しているか否かを確認する(ステップS5)。そして当該検出された温度に変化がない場合(ステップS5;NO)、制御部3は引き続き車室内の温度の検出を継続する。一方、ステップS5の判定において、車室内の温度に変化があることが判明したとき(ステップS5;YES)、制御部3は、その変化を上記メモリに記憶し(ステップS6)、更に上記ステップS3において開始された案内動作において検出されている自車位置から自宅までの現在の距離が、予め設定されている既定距離以下となっているか否かを確認する(ステップS7)。
【0022】
ここで、当該既定距離としては、温度制御部2における温度制御能力(換言すれば、目標温度までの到達するために必要な時間)に応じた既定の一定距離であっても良いし、或いはそのときの車両の速度と上記温度制御能力とに応じて可変とされる距離であってもよい。この後者の場合、車両の速度が速く、また温度制御部2の温度制御能力が低いほど、当該温度制御部2による温度制御のために必要な時間を確保すべく、当該既定距離が長くなるように可変とされることが望ましい。
【0023】
ステップS7の判定において、自車位置から自宅までの現在の距離が上記既定距離より長い場合(ステップS7;NO)、制御部3は、温度制御部2による温度制御を開始するには尚早であるとして、上記ステップS4の動作に戻って上記した動作を繰り返す。一方、ステップS7の判定において、当該現在の距離が既定距離以内となっているとき(ステップS7;YES)、制御部3は次に、無線部4等を介して自宅内の温度を検出する(ステップS8)。
【0024】
ここで、当該ステップS8の動作として具体的には、制御部3は、無線部4、アンテナ5及びネットワークNTを介して、自宅システムH内の制御部12に当該自宅内の温度を示す温度データを送信する旨の要求を送信する。そして、当該要求を受信した制御部12から送信されて来た温度データをもって、自宅内の温度を認識する。
【0025】
次に制御部3は、直前に実行されたステップS4の動作において検出されている車室内の温度と、上記ステップS8の動作として検出した自宅内の温度との差を算出し、その差が予め設定されている閾値以内であるか否かを確認する(ステップS9)。
【0026】
ここで、当該閾値としては、車両内から自宅内に移動した際の温度差に起因してその移動した人が不快感を抱かない温度差として予め実験的又は統計的に設定されている閾値が用いられる。例えば冬の場合は、一般に車室内の方が自宅内より暖かいので、その差の閾値としては、急に温度が低いところに移動したときに感じる不快感が少なくなるような閾値とされる。一方夏の場合は、一般に車室内の方が自宅内より温度が低い場合が多いので、その差の閾値としては、急に温度が高いところに移動したときに感じる不快感が少なくなるような閾値とされる。なおこの閾値については、性差又は年齢差のあるものであるので、車両内の図示しない操作部により任意に変更可能とされていても良い。
【0027】
ステップS9の判定において、当該算出された差が閾値以内である場合(ステップS9;YES)、制御部3は、そのまま後述するステップS11の動作に移行する。一方、ステップS9の判定において当該算出された差が閾値より大きい場合(ステップS9;NO)、制御部3は次に、当該差が閾値以下となるように温度制御部1を介して車室内の温度を制御する(ステップS10)。この場合制御部3は、車室内の温度が自宅内の温度より低いときは当該車室内の温度を上げるように温度制御部1を制御し、一方車室内の温度が自宅内の温度より高いときは当該車室内の温度を下げるように温度制御部1を制御することとなる。
【0028】
また、当該ステップS10としての温度制御動作としては、例えば図2(b)に例示するように、目的地に近づくに従ってなだらかに差が小さくなるように車室内の温度を制御しても良いし、或いは、図2(c)に例示するように、一定の距離に近づくまでは余り温度を変えずに、当該一定の距離以降に差が小さくなっていくように制御しても良い、更に、これらの温度変化の態様を使用者が選択できるように構成することもできる。なお、図2(b)及び(c)では、夫々の横軸を右にいくほど、自宅に近づいていることを意味している。
【0029】
次に制御部3は、車両が自宅に到着したか否かを確認し(ステップS11)、未だ到着していないときは(ステップS11;NO)、上記ステップS8の動作に戻って上述した一連の動作を繰り返す。一方、ステップS11の判定において自宅に到着したことが確認されたとき(ステップS11;YES)、制御部3は、第1実施形態としての温度制御動作を終了する。
【0030】
以上説明したように、第1実施形態の温度制御システムSの動作によれば、夫々検出された車両の車室内の温度及び自宅内の温度に基づき、当該車室内の温度と自宅内の温度との差が予め設定された閾値以下となるように当該車室内の温度を自動制御するので、自宅内と車室内を行き来する使用者が、車室内と自宅内との間の温度差に起因する不快感を抱くことを、当該使用者に負担をかけることなく抑制することができる。
【0031】
また、車両と自宅との間の位置関係を検出し、車両が自宅に近づいているときに車室内の温度と自宅内の温度との差を閾値以下とするので、例えば自宅を目的地として移動して来た車両が自宅に到着してその使用者が自宅内に入ったときにおいて、互いの温度差に起因して感じる不快感を抱くことを、当該使用者に負担をかけることなく抑制することができる。
【0032】
(II)第2実施形態
次に、本願に係る他の実施形態である第2実施形態について、図3を用いて説明する。なお、図3は第2実施形態に係る温度制御システムの動作を示すフローチャートである。また、第2実施形態に係る温度制御システムの構成自体は、基本的には第1実施形態に係る温度制御システムSと同様のものであるので、以下の説明では当該温度制御システムSと同様の部材番号を用いることとして、その細部の説明は省略する。更に、図3に示すフローチャートにおいて、第1実施形態に係る温度制御システムSと同様の動作については、同様のステップ番号を付して細部の説明は省略する。
【0033】
上述した第1実施形態においては、車室内の温度と自宅内の温度とを検出し、それらを用いて車室内の温度のみを制御する場合について説明したが、以下に説明する第2実施形態は、これとは異なり、自宅内の温度を制御して車室内の温度との調整を図る場合における実施形態である。
【0034】
図3に示すように、主として上記制御部3及び12により実行される第2実施形態に係る温度制御動作では、初めに、第1実施形態に係る温度制御動作と同様のステップS1乃至S7の動作が実行される。ここで、第2実施形態に係るステップS4乃至S6の動作においては、以下に説明する平均化動作(ステップS20)に供させるべく、車室内の温度が新たに検出される度(ステップS5;YES)に、その検出された温度とその検出されたタイミングとが対として図示しないメモリ内に蓄積記憶される。
【0035】
そして、当該ステップS7の判定において、車両と自宅との間の現在の距離が上記既定距離以内となっているとき(ステップS7;YES)、制御部3は次に、予め設定された期間検出されて蓄積記憶されている(ステップS4乃至S6)車室内の温度の平均値を算出する(ステップS20)。その後制御部3は、当該算出された平均値を示す平均値データと、車両の移動開始からの走行時間を示す走行時間データと、を、無線部4、アンテナ5及びネットワークNTを介して自宅システムHに送信し(ステップS21)、第2実施形態に係る車両システムCとしての温度制御動作を終了する。
【0036】
次に、当該平均値データ及び走行時間データを夫々受信した(ステップS30)自宅システムH内の制御部12は、温度検出部10を用いてそのときの自宅内の温度を検出し(ステップS31)、当該検出された自宅内の温度と平均値データにより示される車室内の温度の平均値とを比較する(ステップS32)。このステップS32の判定において、自宅内の温度が車室内の温度の平均値より高いとき(ステップS32;T>T)、制御部12は、後述するステップS38の動作に移行する。
【0037】
一方、ステップS32の判定において、自宅内の温度と車室内の温度の平均値とが等しい時(ステップS32;T=T)、制御部12は、後述するステップS41の動作に移行する。他方、ステップS32の判定において、自宅内の温度が車室内の温度の平均値未満であるとき(ステップS32;T<T)、制御部12は次に、受信した(ステップS30)走行時間データに基づき、車両の移動開始からの走行時間が予め設定されている既定走行時間以上となっているか否かを確認する(ステップS33)。このステップS33の動作は、自宅内の温度を調整するための時間を、この後においてどの程度確保できるかを確認する動作である。
【0038】
ステップS33の判定において、車両の走行時間が上記既定走行時間未満であるとき(ステップS33;NO)、制御部12は、自宅内の温度を制御するために使用できる時間(すなわち車両が自宅に到着するまでの時間)が十分あるとして、温度制御部11における自宅内の温度制御の目標値を、受信した(ステップS30)平均値データにより示される車室内の温度の平均値として設定し(ステップS42)、当該目標値となるように自宅内の温度を上昇させる温度制御を、温度制御部11を介して実行する(ステップS43)。その後制御部12は、後述するステップS40の動作に移行する。なおこのステップS43の動作においては、例えば、横軸を時間(右方向が時間増加方向)に、縦軸を自宅内の温度に、夫々置き換えて読み替える図2(b)又は(c)に例示する態様の上下を逆さまにしたようにして、自宅内の温度が上昇するように制御することが望ましい。
【0039】
他方、ステップS33の判定において、車両の走行時間が上記既定走行時間以上であるとき(ステップS33;YES)、制御部12は、自宅内の温度を制御するために使用できる時間が十分ではないとして、当該自宅内の温度を急速に上げるべく、先ず温度制御部11における自宅内の温度制御の目標値を、受信した(ステップS30)平均値データにより示される車室内の温度の平均値に予め設定された値α°を加算した温度として設定し(ステップS34)、当該設定された目標値となるように自宅内の温度を急速に上昇させる温度制御を、温度制御部11を介して実行する(ステップS35)。なお当該予め設定された値α°は、温度制御部11における温度制御能力に応じて予め設定されるものである。
【0040】
その後制御部12は、自宅内の温度が当該目標温度(すなわち、車室内の温度の平均値+α)に到達するまで温度制御部11による当該上昇制御を継続する(ステップS36、S36;NO)。そして、自宅内の温度が当該目標温度にまで到達したとき(ステップS36;YE7)、制御部12は、自宅内を十分に且つ均一に暖めるべく、自宅内の温度を予め設定された時間だけ当該目標温度に到達させたまま維持する(ステップS37、S37;NO)。なおこの予め設定された時間もまた、温度制御部11における温度制御能力に応じて予め設定されるものである。
【0041】
ステップS37の判定において当該時間が経過したとき(ステップS37;YES)、制御部12は次に、温度制御部11における自宅内の温度制御の目標値を、受信した(ステップS30)平均値データにより示される車室内の温度の平均値に変更し(ステップS38)、当該目標値となるように自宅内の温度を下降させる温度制御を、温度制御部11を介して実行する(ステップS39)。なおこのステップS39の動作においても、例えば、横軸を時間に、縦軸を自宅内の温度に、夫々置き換えて読み替える図2(b)又は(c)に例示する態様のようにして、自宅内の温度が下降するように制御することが望ましい。
【0042】
そして制御部12は、自宅内の温度がその時の目標温度(平均値データにより示される車室内の温度の平均値。ステップS38又はS42参照。)となったか否を、温度検出部10を介して確認する(ステップS40)。これにより、自宅内の温度が当該目標温度にまで到達していないとき(ステップS40;NO)、制御部12は、上記ステップS39又はS43としての温度制御動作を継続させる。一方ステップS40の判定において、自宅内の温度が当該目標温度にまで到達したとき(ステップS40;YES)、制御部12は、それ以降、当該自宅内の温度を目標温度に維持する温度制御を、温度制御部11を介して実行し(ステップS41)、第2実施形態に係る自宅システムHとしての動作を終了する。
【0043】
以上説明したように、第2実施形態に係る温度制御システムの動作によれば、第1実施形態に係る温度制御システムSの動作による効果に加えて、車室内の温度の平均値と自宅内の温度とを用いて、当該平均値と自宅内の温度との差が閾値以下(すなわち、第2実施形態の場合は0°)となるように自宅内の温度を制御するので、ある程度車両内にいた時間が長い使用者が車室内と自宅内との間の温度差に起因する不快感を抱くことを、当該使用者に負担をかけることなく抑制することができる。
【0044】
また、自宅内の温度を仮の目標温度(平均値データにより示される車室内の温度の平均値+α°)まで一旦到達させた後、本来の目標温度まで戻すように温度制御を行うので、より短時間に夫々の目標温度にまで自宅内の温度を到達させることができる。
【0045】
なお、上述してきた各実施形態では、車室内の温度又は自宅内の温度のいずれか一方のみを制御として双方の差を閾値以内とする構成について説明したが、これ以外に、車室内の温度及び自宅内の温度の双方を同時並行的に制御してその差を短時間で閾値以内とするように当該温度制御を実行してもよい。
【0046】
更に、上述した各実施形態では、車両を用いて自宅に戻る場合の温度制御について説明したが、これ以外に、屋外に駐車してある車室内の温度と自宅内の温度との差を、外出するに当たって前もって閾値以下とするように制御しておく場合に本願を適用することも可能である。
【0047】
更にまた、自宅を目的地とする場合だけでなく、例えば車両を用いた旅行において立ち寄る予定の宿泊施設等を上記自宅と同様に扱って、車室内の温度と宿泊施設等内の温度の差を閾値以下とするように、当該車両が当該宿泊施設等に到達するまでに当該宿泊施設等内の温度制御を行うように構成することもできる。なおこの場合の宿泊施設等内の温度は、例えばネットワークNTを介して天気情報を受信する等の方法により取得することが考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】第1実施形態に係る温度制御システムの概要構成を示すブロック図である。
【図2】第1実施形態に係る温度制御システムの動作を示すフローチャート等であり、(a)は当該フローチャートであり、(b)は車両内の温度制御の態様を例示するグラフ(I)であり、(c)は車両内の温度制御の態様を例示するグラフ(II)である。
【図3】第2実施形態に係る温度制御システムの動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0049】
1、10 温度検出部
2、11 温度制御部
3、12 制御部
4、13 無線部
5、14 アンテナ
S 温度制御システム
C 車両システム
H 自宅システム
NT ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体内の温度を移動体温度として検出する移動体温度検出手段と、
固定施設内の温度を固定施設温度として検出する施設温度検出手段と、
夫々検出された前記移動体温度及び前記固定施設温度に基づき、当該移動体温度と当該固定施設温度との差が予め設定された閾値以下となるように、当該移動体温度又は当該固定施設温度の少なくともいずれか一方を制御する温度制御を行う制御手段と、
を備えることを特徴とする温度制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の温度制御システムにおいて、
前記移動体と前記固定施設との位置関係を検出する位置検出手段を更に備え、
前記制御手段は、前記移動体が前記固定施設に近づいていることが検出されたとき前記温度制御を行うことを特徴とする温度制御システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の温度制御システムにおいて、
前記移動体温度検出手段は、予め設定されている期間における前記移動体温度の平均値を検出すると共に、
前記制御手段は、検出された前記平均値及び前記固定施設温度に基づき、当該平均値と当該固定施設温度との差が前記閾値以下となるように、前記移動体温度又は前記固定施設温度の少なくともいずれか一方を制御することを特徴とする温度制御システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の温度制御システムにおいて、
前記制御手段は、前記温度制御を行うに当たり、前記少なくともいずれか一方における当該温度制御としての目標温度を越えた仮目標温度まで当該少なくともいずれか一方を一旦到達させた後、前記目標温度まで戻すように前記温度制御を行うことを特徴とする温度制御システム。
【請求項5】
移動体内の温度を移動体温度として検出する移動体温度検出工程と、
固定施設内の温度を固定施設温度として検出する施設温度検出工程と、
夫々検出された前記移動体温度及び前記固定施設温度に基づき、当該移動体温度と当該固定施設温度との差が予め設定された閾値以下となるように、当該移動体温度又は当該固定施設温度の少なくともいずれか一方を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする温度制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−126029(P2010−126029A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−303856(P2008−303856)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】