説明

温度校正装置

【課題】基準温度に対して温度センサの計測温度をより高精度に補正することができる温度校正装置を提供する。
【解決手段】温度センサ3の計測温度を補正値で補正した補正温度と基準温度センサ4の基準温度との温度差が許容範囲内となるまで判別処理を繰り返す温度計測判別処理部10aが、許容範囲を第1許容範囲にし、1回目の判別処理では補正値をゼロ、2回目以降の判別処理では前回の判別処理での温度差を前回の判別処理での補正値に加算した更新後補正値を用いる第1補正工程を行い、温度差が第1許容範囲内になると許容範囲を第1許容範囲よりも狭い第2許容範囲にし、1回目の判別処理では第1補正工程において温度差が第1許容範囲内となった際の補正値を、2回目以降の判別処理では前回の判別処理での温度差を前回の判別処理での補正値に加算した更新後補正値を用いる第2補正工程を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温調対象空間内の温度を計測する温度センサの計測温度を、基準温度センサにより計測された基準温度にて補正する温度補正手段を備えた温度校正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記温度センサによっては、例えば、個体差や計測の状況等により計測温度が温度センサによって異なることがある。よって、例えば、温調対象空間を温調するに当たり、複数の温度センサを用いる場合、雰囲気中の温度が同一であるにもかかわらず、温度センサによって計測温度が異なると、温調対象空間を適正に温調できなくなる虞がある。そこで、温度校正装置では、基準温度センサを定めて、その基準温度センサの基準温度と温度センサの計測温度との温度差等を補正値として求め、その補正値にて温度センサの計測温度を補正することにより温度センサの温度校正を行なっている。
【0003】
上記温度校正装置として、例えば、温度センサと、温度基準用抵抗と、温度基準用抵抗のディジタルデータと予め記憶手段に記憶された温度基準用抵抗の理論抵抗値のディジタルデータとを比較し補正値を算出する補正値算出手段と、温度センサの抵抗値のディジタルデータを上記補正値で補正する補正手段とを備えた冷凍空調用制御装置の温度入力回路がある(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
上記特許文献1に記載の冷凍空調用制御装置の温度入力回路では、温度基準用抵抗と理論抵抗値との差を補正値として求め、その補正値にて温度センサの抵抗値を補正している。これにより、それぞれの温度センサの計測温度を所定の場合に自動的に補正することができ、人為的な補正操作なしに温度センサの計測温度を補正することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−323609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の冷凍空調用制御装置の温度入力回路においては、理論抵抗値に対して温度基準用抵抗がどれくらいずれているかを求め、その求めた値を補正値としている。しかしながら、理論抵抗値は、予め設定された値であり、実際に温度センサ等により計測されたものではない。よって、実際の状況を踏まえた正確な補正値を求めるには、実際の状況を踏まえて理論抵抗値を設定する必要があり、理論抵抗値をどのような値に設定するかが難しい。また、温度基準用抵抗と温度センサの計測温度とを同一の値としているが、温度基準用抵抗と温度センサの計測温度との間でも差が生じる虞がある。よって、単に、温度基準用抵抗と理論抵抗値との差を補正値として求めているだけでは、精度よい補正値を求めることができないという問題がある。また、補正のための入力が短時間かつ一回のみのため、入力値自体の信頼性が低いという問題も有する。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、基準温度に対して温度センサの計測温度をより高精度に補正することができる温度校正装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る温度校正装置は、温調対象空間内の温度を計測する温度センサの計測温度を、基準温度センサにより計測された基準温度にて補正する温度補正手段を備えた温度校正装置であって、その特徴構成は、
前記温度補正手段は、
サンプリング時間内に前記温度センサ及び前記基準温度センサにて温度計測処理を行い、その温度計測処理における前記温度センサの計測温度を補正値にて補正した補正温度と前記温度計測処理における前記基準温度センサの基準温度との温度差を求め、その求めた温度差が許容範囲内であるか否かを判別する判別処理を行い、前記温度差が前記許容範囲外であれば前記温度差が前記許容範囲内となるまで前記温度計測処理及び前記判別処理を繰り返し行う温度計測判別処理部を備え、
前記温度計測判別処理部は、
前記許容範囲を第1許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では補正値をゼロとし、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第1補正工程を行い、
前記温度差が前記第1許容範囲内になると、前記許容範囲を前記第1許容範囲よりも狭い範囲に設定された第2許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では前記第1補正工程において前記温度差が前記第1許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第2補正工程を行う構成であり、
前記温度計測判別処理部が前記第2補正工程において前記温度差が前記第2許容範囲内であると判別したときの補正値を、前記計測温度を前記基準温度にて補正するときの校正用補正値として求める校正用補正値演算部を備えている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、第1補正工程では、まず、1回目の温度計測処理及び判別処理を行うが、このときの補正値をゼロとし、補正温度と基準温度との温度差が第1許容範囲内であるか否かを判別する。温度差が第1許容範囲内であれば、基準温度に対して計測温度が第1許容範囲内にあると判別できるので、補正値をゼロのままとする。温度差が第1許容範囲外であれば、基準温度に対して計測温度が第1許容範囲内にないと判別できるので、そのときの温度差を加算して補正値を更新し、2回目の温度計測処理及び判別処理を行う。これにより、2回目以降の判別処理では、計測温度を更新後の補正値により補正温度に補正しているので、基準温度に対して補正温度が第1許容範囲内にあるか否かを判別することができる。このようにして、第1補正工程では、基準温度に対して計測温度が第1許容範囲内になるように補正値を求めることができる。
第2補正工程では、第1補正工程と同様に、温度計測処理及び判別処理を行うが、1回目の判別処理では、第1補正工程において温度差が第1許容範囲内になったときの補正値を用いる。これにより、基準温度に対して計測温度が第1許容範囲内となる補正値を前提として、基準温度に対して計測温度が第1許容範囲よりも狭い範囲の第2許容範囲内になるように補正値を求めることができる。
そして、第2補正工程において温度差が第2許容範囲内であると判別したときの補正値を、計測温度を基準温度にて補正するときの校正用補正値として求めるので、より高精度に補正された校正用補正値により、計測温度を基準温度にて高精度に補正することができる。
【0010】
本発明に係る温度校正装置の更なる特徴構成は、前記温度計測判別処理部は、前記第1補正工程及び前記第2補正工程に加えて、段階的に少なくとも1つ以上の補正工程を実行可能であり、その段階的な補正工程においては、前記許容範囲を1つ前の段階の補正工程よりも狭い範囲に設定された許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では1つ前の段階の補正工程において前記温度差が前記許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる構成とされている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、温度計測判別処理部が、第1補正工程及び第2補正工程に加えて、段階的に少なくとも1つ以上の補正工程を実行可能であるので、より高精度の補正が必要な場合には、段階的に補正工程を追加することができ、より高精度の補正値を校正用補正値として用いて、計測温度をより高精度に補正することが可能となる。すなわち、この段階的な補正工程においては、上記第1補正工程と第2補正工程との関係と同様に、許容範囲を1つ前の段階の補正工程よりも狭い範囲に設定された許容範囲に設定し、補正値について、1回目の判別処理では1つ前の段階の補正工程において温度差が許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる。したがって、段階的に補正工程を追加して行うことにより、より一層高精度の補正値を得て、温度差をより小さな範囲内とすることができるとともに、当該補正値を校正用補正値として用いてより一層高精度に計測温度を基準温度に補正することができる。
【0012】
本発明に係る温度校正装置の更なる特徴構成は、前記温度計測判別処理部が、前記温度計測処理を行う前記サンプリング時間について、前記第1補正工程におけるサンプリング時間よりも前記第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定する点にある。
【0013】
上記特徴構成によれば、温度計測判別処理部が、第1補正工程におけるサンプリング時間よりも第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定するので、第1補正工程では、比較的粗い精度ではあるが迅速に補正値を求め、第2補正工程では、より高精度で比較的時間をかけて補正値を求めることができ、段階的に精度を向上させる形態で補正値を効率的に求めることができる。ここで、サンプリング時間とは、サンプリング周期とサンプリング回数との積である。
【0014】
本発明に係る温度校正装置の更なる特徴構成は、前記温度計測判別処理部が、前記第1補正工程におけるサンプリング時間よりも前記第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定するにあたっては、前記温度計測処理を行うサンプリング周期は一定で前記第2補正工程におけるサンプリング回数を前記第1補正工程におけるサンプリング回数よりも増加させる形態、或いはサンプリング回数は一定で前記第2補正工程におけるサンプリング周期を前記第1補正工程におけるサンプリング周期よりも増加させる形態とされている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、第1補正工程におけるサンプリング時間よりも第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定するための、具体的なサンプリング周期及びサンプリング回数の設定形態を提供することができ、温度計測判別処理部が、適切にサンプル時間を設定することができる。
【0016】
本発明に係る温度校正装置の更なる特徴構成は、前記温度計測判別処理部が、前記第1補正工程及び前記第2補正工程を実行する前に、前記基準温度センサにより計測された基準温度が安定しているか否かを判定する判定処理を実行させる点にある。
【0017】
上記特徴構成によれば、温度計測判別処理部が、第1補正工程及び第2補正工程を実行する前に、基準温度センサにより計測された基準温度が安定しているか否かを判定する判定処理を実行させるので、基準温度センサの基準温度が安定した状態としたうえで、第1補正工程及び第2補正工程において、この安定した基準温度と温度センサの計測温度を補正値にて補正した補正温度との温度差を、より高精度に求めることができる。
【0018】
本発明に係る温度校正装置の更なる特徴構成は、前記温度計測判別処理部が、前記温度センサに要求される温度精度に応じて、前記第1補正工程を行うモードと前記第1補正工程及び前記第2補正工程を行うモードとを切替可能に構成されている点にある。
【0019】
上記特徴構成によれば、温度計測判別処理部が、温度センサに要求される温度精度に応じて、第1補正工程を行うモードと第1補正工程及び第2補正工程を行うモードとを切替可能に構成されているので、例えば、温度センサの計測温度を補正した最終的な補正温度と基準温度との温度差が、比較的大きくてもよい場合(許容範囲が大きくてもよい場合)には第1補正工程を行うモードのみを実行させ、一方、当該温度差が比較的小さくなければならない場合(許容範囲が小さくなければならない場合)には、第1補正工程を行うモードの後に第2補正工程を行うモードを実行させるように切替選択することが可能となる。なお、第1補正工程を行うモードの後、或いは第1補正工程及び第2補正工程を行うモードの後に、上記段階的な補正工程を行うモードに切替選択することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る温度校正装置の概略構成を示す斜視図
【図2】温度校正装置の概略縦断面図
【図3】図2における矢示III方向の概略横断面図
【図4】図2における矢示IV方向の概略横断面図
【図5】温度校正方法における、基準温度センサの基準温度が安定しているか否かを判定する判定処理、及び第1補正工程を示すフロー図
【図6】温度校正方法における第2補正工程を示すフロー図
【図7】温度校正方法における第3補正工程を示すフロー図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る温度校正装置の実施形態について、図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る温度校正装置50(以下、温度校正装置50と略称する)の概略構成を示す斜視図、図2は、温度校正装置50の概略縦断面図、図3は、図2における矢示III方向の概略横断面図、図4は、図2における矢示IV方向の概略横断面図である。
【0022】
まず、温度校正装置50の構成について説明する。
なお、温度校正装置50は、複数の温度センサ3を温調対象空間(図示せず)の各温度測定箇所に配置して、各温度測定箇所における温度を計測する前に、これら複数の温度センサ3が温度を正確に示しているか否かを、基準となる基準温度センサ4の基準温度との対比により判定し、正確に示している場合にはその温度センサ3をそのまま使用し、正確に示していない場合にはその温度センサ3の計測温度を補正(校正)してから使用して、各温度測定箇所における温度を正確に測定することができるようにする装置である。
【0023】
ここで、図1、図2に示すように、複数の温度センサ3及び基準温度センサ4は、温度を電気信号に変換できる公知の温度センサであり、例えば、測温抵抗体、熱電対、半導体温度計などを用いることができる。そして、これら複数の温度センサ3及び基準温度センサ4は、棒状に形成され、一端が温度検知部3a,4aとされ他端が拡径された挿入規制部3b,4bとされている。なお、挿入規制部3b,4b側はそれぞれ、計測した温度情報等を後述する制御手段C内の温度補正手段10に入出力可能に接続されている。
【0024】
図1及び図2に示すように、温度校正装置50は、内部に空気Aを通流可能に形成された円筒状の本体円筒部1(温度センサ3を支持する支持体の一例)と、本体円筒部1の下部に当該本体円筒部1を支持する本体台座部2と、本体円筒部1の一端1aから他端1bに向けて空気Aを通流させるファン5と、温度校正装置50の運転等を制御する制御手段Cとを備える。
【0025】
本体円筒部1は、内部に空気Aを通流可能な状態で、複数の長方形状の平板の長手方向の辺を密着して接触固定することにより(例えば、図1では、12枚の平板を用いることにより)、円筒状に形成されている。なお、この円筒状に形成するための平板の数は適宜変更することができ、また、平板を用いることなく円弧状の円弧板を用いることもできる。更に、平板及び円弧板を用いることなく、形成時から断面円形状の円筒状に形成したものを用いることもできる。
【0026】
本体円筒部1の一端1a側には、基準温度センサ4を配置可能な基準温度センサ配置部7としての、基準温度センサ挿入部7aを備えた基準温度センサ配置ステー7bが本体円筒部1の径方向に固定配置されている。基準温度センサ挿入部7aは、基準温度センサ4の挿入規制部4bを受入可能な円筒状の挿入孔として形成され、その底部に基準温度センサ4の温度検知部4aを受入可能な挿入孔よりも小径の貫通孔を備えるように構成されている。したがって、この基準温度センサ挿入部7aに基準温度センサ4を温度検知部4a側から挿入することで、挿入規制部4bの下端部を基準温度センサ挿入部7aの上端部に当接させ、温度検知部4aを基準温度センサ挿入部7aの下端部から複数の温度センサ3側に突出させた状態で、基準温度センサ4を本体円筒部1の軸芯Xと平行で当該軸芯X上に配置することができるように構成されている。
【0027】
本体円筒部1の他端1b側にはファン5が設けられ、このファン5により外部空間から本体円筒部1内に空気Aを吸引し、本体円筒部1の一端1a側から他端1b側にこの空気Aを通流させるとともに、後述する本体台座部2の上部2a及び側部2b(空気排出孔8)を介して外部空間に空気Aを排出可能に構成されている。なお、このファン5は公知の軸流ファンやシロッコファン等を用いることができ、本実施形態では、図2及び図4に示すように、軸流ファンが用いられている。
【0028】
そして、本体円筒部1の一端1aと他端1bとの間には、温度センサ3を放射状に配置可能な円筒状の温度センサ挿入部6(温度センサ配置部の一例)が、本体円筒部1を径方向に貫通し当該本体円筒部1内に突出する形態で、周方向に複数設けられている。この温度センサ挿入部6は、図1では、例えば、周方向に均等の角度(例えば、30度)を置いて12箇所設けられている。温度センサ挿入部6は、温度センサ3の挿入規制部3bを受入可能な円筒状の挿入孔として形成され、その一端部に温度センサ3の温度検知部3aを受入可能な挿入孔よりも小径の貫通孔を備えるように構成されている。したがって、この温度センサ挿入部6に温度センサ3を温度検知部3a側から挿入することで、挿入規制部3bを温度センサ挿入部6の一端部に当接させ、温度検知部3aを温度センサ挿入部6の一端部から本体円筒部1の軸芯X側(基準温度センサ4の温度検知部4a側)に突出させた状態で、複数の温度センサ3を本体円筒部1の軸芯Xと略直交する状態で放射状に配置することができるように構成されている。
【0029】
したがって、本体円筒部1内において、複数の温度センサ3の隣接する温度検知部3a同士を、互いに均等な位置に配置することができるとともに、これら複数の温度検知部3aと基準温度センサ4の温度検知部4aとの距離も均一に保つことができるため、温度センサ3の自己加熱による相互干渉の影響や温度ムラによる影響を排除することができるように、複数の温度センサ3及び基準温度センサ4を配置することが可能となっている。
【0030】
本体台座部2は、概略箱状に形成され、その上部2aに本体円筒部1を配置して支持することが可能に構成されている。本体台座部2の上部2a(本体円筒部1の他端1b側に相当)には、本体円筒部1の他端1bと連通する開口部が形成され、この開口部にファン5が当該本体台座部2内に突出する状態で固定配置されている。本体台座部2の側部2bには、外部空間と連通する複数の空気排出孔8が形成されている。この空気排出孔8は、図1及び図2では、例えば、本体台座部2の4つの側部2b全てに形成されている。
【0031】
制御手段Cは、中央演算処理装置(CPU)、メモリ、記憶部等からなり、当該CPUにより所定のプログラムを実行して情報を処理することができる公知の情報処理手段で構成される。図2に示すように、制御手段Cは、温度補正手段10としての温度計測判別処理部10aと、校正用補正値演算部10bと、記憶部11とを備えて構成されている。
【0032】
温度計測判別処理部10aは、サンプリング時間内に温度センサ3及び基準温度センサ4にて温度計測処理を行い、その温度計測処理における温度センサ3の計測温度を補正値にて補正した補正温度と温度計測処理における基準温度センサ4の基準温度との温度差を求め、その求めた温度差が許容範囲内であるか否かを判別する判別処理を行い、温度差が許容範囲外であれば温度差が許容範囲内となるまで温度計測処理及び判別処理を繰り返し行うように構成されている。この温度計測処理及び判別処理の詳細については、後述するが、温度計測判別処理部10aは、許容範囲を第1許容範囲に設定し、補正値について、1回目の判別処理では補正値をゼロとし、2回目以降の判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第1補正工程を行い、温度差が第1許容範囲内になると、許容範囲を第1許容範囲よりも狭い範囲に設定された第2許容範囲に設定し、補正値について、1回目の判別処理では第1補正工程において温度差が第1許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第2補正工程を行う構成とされている。
【0033】
校正用補正値演算部10bは、温度計測判別処理部10aが第2補正工程において温度差が第2許容範囲内であると判別したときの補正値を、計測温度を基準温度にて補正するときの校正用補正値として求める構成とされている。なお、同様に、校正用補正値演算部10bは、段階的な補正工程である第3補正工程以降において第3許容範囲内等であると判別したときの補正値を、校正用補正値として求めることも可能に構成されている。
【0034】
記憶部11は、温度計測判別処理部10aにて計測された温度センサ3の計測温度、基準温度センサ4の基準温度、第1補正工程や第2補正工程で用いられる補正値等を記憶することができるように構成されている。
【0035】
表示部12は、公知のLEDやLCD等の表示機構により構成され、温度計測判別処理部10aにて計測された温度センサ3の計測温度、基準温度センサ4の基準温度、第1補正工程や第2補正工程で用いられる補正値等を表示することが可能に構成されている。
【0036】
入力部13は、公知のキーボード等のインターフェースにより構成され、第1補正工程に用いられる第1回目の判別処理における補正値等を制御手段Cの温度補正手段10に入力可能に構成されている。
【0037】
以上が、本発明に係る温度校正装置50の構成であるが、この温度校正装置50を用いて複数の温度センサ3の計測温度を補正(校正)する温度校正方法について、図5から図7に基づいて以下に説明する。
図5は、温度校正方法における、基準温度センサの基準温度が安定しているか否かを判定する判定処理、及び第1補正工程を示すフロー図、図6は、温度校正方法における第2補正工程を示すフロー図、図7は、温度校正方法における第3補正工程を示すフロー図である。
【0038】
温度校正装置50の運転が開始されると、温度補正手段10(制御手段C)は、所定の回転速度でファン5を回転駆動させて、本体円筒部1の一端1a側から他端1b側に一定風速で一定流量の空気Aを通流させ、本体台座部2の上部2a及びファン5を介して本体台座部2の側部2bから外部空間に当該空気Aを排出させる。そして、入力部13から第1補正工程において1回目の判別処理に用いられる補正値BAを、0とする指令が入力されると(ステップ♯1)、温度センサ3の計測温度PVに補正値BAを加算して補正した補正温度と基準温度センサ4の基準温度SPとの温度差BAが許容範囲内となるように、温度センサ3の計測温度PVを補正する補正値BAを求める自動補正がスタートする(ステップ♯2)。
【0039】
そして、温度補正手段10の温度計測判定処理部10aは、基準温度センサ4により計測された基準温度SPが安定しているか否かを判定する判定処理を行う(ステップ♯3〜ステップ♯6)。この判定処理は第1補正工程及び第2補正工程が実行される前に行われ、基準温度SPの信頼性を向上させることができる。
具体的には、図5に示すように、この判定処理においては、X秒毎(例えば、0.02秒毎)のサンプリング周期で基準温度SPをNz回のサンプリング回数取得し、この基準温度SPの平均値SPaを算出するとともに(ステップ♯3)、X秒毎にこの取得した基準温度SPの最大値SPmax及び最小値SPminを取得する(ステップ♯4)。そして、最大値SPmax及び最小値SPminが、基準温度SPの平均値SPa±Tz以内か否かを判定し(ステップ♯5)、平均値SPa±Tz以内でなければ(ステップ♯5:No)、表示部12にアラームを表示して(ステップ♯6)ステップ♯3に戻り、平均値SPaの算出、最大値SPmax及び最小値SPminの取得、上記判定を繰り返す(ステップ♯3〜ステップ♯6)。一方、平均値SPa±Tz以内であれば(ステップ♯5:Yes)、基準温度SPが安定していると判別して、第1補正工程を実行する。よって、基準温度センサ4の基準温度SPが安定した状態としたうえで、第1補正工程及び第2補正工程において、この安定した基準温度SPと温度センサ3の計測温度PVを補正値BAにて補正した補正温度との温度差BAxを、より高精度に求めることができる。
【0040】
次に、図5に示すように、温度計測判定処理部10aは、第1補正工程を実行する(ステップ♯7〜ステップ♯18)。第1補正工程では、基準温度SPの平均値SPaを初期化し、計測温度PVの最大値PVmax、最小値PVmin、平均値PVaがある場合にはこれら値も初期化する(ステップ♯7)。そして、サンプリング時間内において温度センサ3及び基準温度センサ4にて温度計測処理を行う(ステップ♯8〜ステップ♯10)。ここで、サンプリング時間は、サンプリング周期(X秒毎)とサンプリング回数(Na)との積である。
温度計測処理では、X秒毎(例えば、0.02秒毎)のサンプリング周期で温度センサ3の計測温度PVをNa回(例えば、100回)のサンプリング回数取得し、取得した計測温度PVに補正値BAを加算して補正温度の平均値PVaを算出するとともに(ステップ♯8)、X秒毎のサンプリング周期で温度センサ3の計測温度PVをNa回(例えば、100回)のサンプリング回数取得し、取得した計測温度PVに補正値BAを加算して最大値PVmax及び最小値PVminを取得する(ステップ♯9)。ここで、計測温度PVに加算される補正値BAは、ステップ♯1において入力部13から入力された値である0とされている。さらに、X秒毎(例えば、0.02秒毎)のサンプリング周期で基準温度センサ4の基準温度SPをNa回(例えば、100回)のサンプリング回数取得し、取得した基準温度SPの平均値SPaを算出する(ステップ♯10)。
そして、最大値PVmax及び最小値PVminが、平均値PVa±Tx以内か否かを判定し(ステップ♯11)、平均値PVa±Tx以内でなければ(ステップ♯11:No)、平均値PVa±Tx以内でないことが5回カウントされていないときはステップ♯7に戻り(ステップ♯12:No)、5回カウントされているときには(ステップ♯12:Yes)表示部12にアラームを表示する(ステップ♯13)。これにより、平均値PVaの信頼性を向上することができ、平均値PVaの信頼性が低い場合には、アラームを表示してオペレータ等に報知することができる。
ステップ♯11において最大値PVmax及び最小値PVminが平均値PVa±Tx以内である場合には(ステップ♯11:Yes)、1回目の判別処理として基準温度SPの平均値SPaと計測温度PV(補正温度)の平均値PVaとの温度差BAxを算出し(ステップ♯14)、そして、温度差BAxが第1許容範囲±Ta以内か否かを判別する(ステップ♯15)。温度差BAxが第1許容範囲±Ta以内でない場合には(ステップ♯15:No)、補正値BA(1回目の判別処理では、BA=0)に温度差BAxを加算して、当該補正値BAを更新後の補正値BAに更新し(ステップ♯16)、ステップ♯7に戻る。そして、この更新後の補正値BAにより、2回目以降の判別処理では、温度差BAxが第1許容範囲±Ta以内に入るまで繰り返し補正値BAの更新が行われる(ステップ♯7〜ステップ♯16)。これにより、第1補正工程では、基準温度SPに対して計測温度PVが第1許容範囲±Ta内になるように更新後の補正値BAを求めることができる。なお、ステップ♯16における補正値BAの更新と同時に、温度差BAxが第1許容範囲±Ta以外であることが3回カウントされていないときは(ステップ♯17:No)ステップ♯16に戻り、3回カウントされているときには(ステップ♯17:Yes)表示部12にアラームを表示する(ステップ♯18)。これにより、温度差BAxの値が第1許容範囲±Taの範囲に収まらない場合には、アラームを表示して報知することができ、基準温度SPの平均値SPa、計測温度PVやこれに補正値BAを加算した補正温度、当該補正値BA(本例ではBA=0)等が、適正でない可能性があると推定することが可能となる。
一方、温度差BAxが第1許容範囲±Ta以内である場合には(ステップ♯15:Yes)、第2補正工程に移行する。
【0041】
次に、温度計測判定処理部10aは、第2補正工程を実行する。図6に示すように、この第2補正工程では、第1補正工程と同様の補正を行うが、温度計測処理における計測温度PV及び基準温度SPのサンプリング周期(X秒毎)はそのままでサンプリング回数をNa回(例えば、100回)からNb回(例えば、250回)に増加させる形態で、第1補正工程におけるサンプリング時間よりも第2補正工程におけるサンプリング時間を長くするように構成されている点で異なる。また、第2補正工程において、サンプリング時間内に取得した計測温度PVを補正する際の補正値BAを、第1補正工程において温度差BAxが第1許容範囲±Taに入った際の補正値BAを用いている点でも、第1補正工程とは異なる。さらに、第1補正工程で用いられる第1許容範囲±Taよりも狭い範囲の第2許容範囲±Tbを、第2補正工程において用いる点においても異なる。これにより、第2補正工程においては、基準温度SPに対して計測温度PVが第1許容範囲±Ta内となる補正値BAを前提として、基準温度SPに対して計測温度PVが第1許容範囲±Taよりも狭い範囲の第2許容範囲±Tbになるように高精度に補正値BAを求めることができる。以下、第2補正工程について説明する。
【0042】
第2補正工程では、基準温度SPの平均値SPa、計測温度PVの最大値PVmax、最小値PVmin、平均値PVaを初期化する(ステップ♯21)。そして、サンプリング時間内において温度センサ3及び基準温度センサ4にて温度計測処理を行う(ステップ♯22〜ステップ♯24)。ここで、サンプリング時間は、サンプリング周期(X秒毎)とサンプリング回数(Nb)との積である。
温度計測処理では、X秒毎(例えば、0.02秒毎)のサンプリング周期で温度センサ3の計測温度PVをNb回(例えば、250回)のサンプリング回数取得し、取得した計測温度PVに補正値BA(第1補正工程で温度差BAxが第1許容範囲±Ta内となった際の補正値BA)を加算して平均値PVaを算出するとともに(ステップ♯22)、X秒毎のサンプリング周期で温度センサ3の計測温度PVをNb回のサンプリング回数取得し、取得した計測温度PVに補正値BA(第1補正工程で温度差BAxが第1許容範囲±Ta内となった際の補正値BA)を加算して最大値PVmax及び最小値PVminを取得する(ステップ♯23)。さらに、X秒毎(例えば、0.02秒毎)のサンプリング周期で基準温度センサ4の基準温度SPをNb回(例えば、250回)のサンプリング回数取得し、取得した基準温度SPの平均値SPaを算出する(ステップ♯24)。
そして、最大値PVmax及び最小値PVminが、平均値PVa±Tx以内か否かを判定し(ステップ♯25)、平均値PVa±Tx以内でなければ(ステップ♯25:No)、平均値PVa±Tx以内でないことが5回カウントされていないときはステップ♯21に戻り(ステップ♯26:No)、5回カウントされているときには(ステップ♯26:Yes)表示部12にアラームを表示する(ステップ♯27)。これにより、平均値PVaの信頼性を向上することができ、平均値PVaの信頼性が低い場合には、アラームを表示してオペレータ等に報知することができる。
ステップ♯25において最大値PVmax及び最小値PVminが平均値PVa±Tx以内である場合には(ステップ♯25:Yes)、1回目の判別処理として基準温度SPの平均値SPaと計測温度PV(補正温度)の平均値PVaとの温度差BAxを算出し(ステップ♯28)、そして、温度差BAxが第2許容範囲±Tb以内か否かを判別する(ステップ♯29)。なお、第2許容範囲±Tbは第1許容範囲±Taよりも狭い範囲に設定されている。温度差BAxが第2許容範囲±Tb以内でない場合には(ステップ♯29:No)、補正値BA(1回目の判別処理では、補正値BAは第1補正工程において温度差BAxが第1許容範囲±Ta内に入った場合における補正値BA)に温度差BAxを加算して、当該補正値BAを更新後の補正値BAに更新し(ステップ♯30)、ステップ♯21に戻る。この更新後の補正値BAにより、2回目以降の判別処理では、温度差BAxが第2許容範囲±Tb以内に入るまで繰り返し補正値BAの更新が行われる(ステップ♯21〜ステップ♯30)。これにより、第2補正工程では、基準温度SPに対して計測温度PVが第2許容範囲±Tb内になるように更新後の補正値BAをより高精度に求めることができる。なお、補正値BAの更新と同時に、温度差BAxが第2許容範囲±Tb以外であることが3回カウントされていないときは(ステップ♯31:No)ステップ♯30に戻り、3回カウントされているときには(ステップ♯31:Yes)表示部12にアラームを表示する(ステップ♯32)。これにより、温度差BAxの値が第2許容範囲±Tbの範囲に収まらない場合には、アラームを表示して報知することができ、基準温度SPの平均値SPa、計測温度PVやこれに補正値BAを加算した補正温度、当該補正値BA等が、適正でない可能性があると推定することが可能となる。
一方、温度差BAxが第2許容範囲±Tb以内である場合には(ステップ♯29:Yes)、段階的な補正工程(すなわち、第3補正工程)に移行する。
【0043】
次に、温度計測判定処理部10aは、第3補正工程を実行する(ステップ♯41〜ステップ♯53)。図7に示すように、この第3補正工程では、第2補正工程と同様の補正を行うが、温度計測処理における計測温度PV及び基準温度PVのサンプリング周期(X秒毎)はそのままでサンプリング回数をNb回(例えば、250回)からNc回(例えば、500回)に増加させる形態で、第2補正工程におけるサンプリング時間よりも第3補正工程におけるサンプリング時間を長くするように構成されている点で異なる。また、第3補正工程において、サンプリング時間内に取得した計測温度PVを補正する際の補正値BAを、第2補正工程において温度差BAxが第2許容範囲±Tbに入った際の補正値BAを用いている点でも、第2補正工程とは異なる。さらに、第2補正工程で用いられる第2許容範囲よりも狭い範囲の第3許容範囲を第3補正工程において用いる点においても異なる。これにより、第3補正工程においては、基準温度SPに対して計測温度PVが第2許容範囲±Tb内となる補正値BAを前提として、基準温度SPに対して計測温度PVが第2許容範囲±Tbよりも狭い範囲の第3許容範囲±Tcになるように高精度に補正値BAを求めることができる。第3補正工程についての詳細な説明は割愛する。
なお、第3補正工程において、温度差BAxが第3許容範囲±Tc以内である場合には(ステップ♯49:Yes)、基準温度SPの平均値SPa、計測温度PVの最大値PVmax、最小値PVmin、平均値PVaを初期化し(ステップ♯53)、ファン5を停止して、自動補正を終了する。
【0044】
そして、校正用補正値演算部10bは、温度計測判別処理部10aが温度差BAxが第3許容範囲±Tc以内であると判別したときの補正値BAを、計測温度PVを基準温度SPにて補正するときの校正用補正値として求める。このようにして得られた校正用補正値を、温度センサ3の計測温度PVに加算して補正することにより、温度センサ3の計測温度PVを基準温度センサ4の基準温度SPに対して第3許容範囲±Tc内とすることができ、高精度の補正を実現することができる。例えば、第1許容範囲±Taを±0.050℃、第2許容温度±Tbを±0.025℃、第3許容温度±Tcを±0.010℃とすることにより、第1補正工程から第2補正工程、第3補正工程に進むにつれて、より高精度に補正を行うことができる。
【0045】
<別実施形態>
(1)上記実施形態では、温度補正手段10により、第1補正工程、第2補正工程、さらに段階的な補正工程である第3補正工程を順次実行する構成としたが、温度センサ3に要求される温度精度に応じて、実行する補正工程の段階を増減することができ、例えば、比較的精度が低くてもよい場合には、第1補正工程、第2補正工程を順次実行する構成とし、比較的精度が高くする必要がある場合には、第1補正工程、第2補正工程、さらに段階的な補正工程である第3補正工程、第4補正工程等を順次実行する構成とすることもできる。
同様に、温度補正手段10により、温度センサ3に要求される温度精度に応じて、第1補正工程を行うモードと、第1補正工程及び第2補正工程を行うモードとを切替可能に構成することもできる。
【0046】
(2)上記実施形態では、温度計測処理におけるサンプリング時間を第1補正工程におけるサンプリング時間よりも、第2補正工程、さらには第3補正工程におけるサンプリング時間を長く設定したが、この構成に特に限定されるわけではなく、補正工程ごとにサンプリング時間を適宜変更して温度計測処理を行うこともできる。
【0047】
(3)上記実施形態では、サンプリング時間を第1補正工程よりも第2補正工程、第3補正工程に移行するにつれて長く設定するにあたり、サンプリング周期は一定で、サンプリング回数を第1補正工程よりも第2補正工程、第3補正工程において増加させる形態としたが、サンプリング時間を長くする構成であればこの構成に限定されるものではなく、例えば、サンプリング回数は一定で第2補正工程、第3補正工程におけるサンプリング周期を第1補正工程におけるサンプリング周期よりも増加させる形態とすることもできる。
なお、上記実施形態で示したサンプリング周期、サンプリング回数等の具体的な数値は、状況に応じて適宜変更することが可能な値である。
【0048】
(4)上記実施形態では、第1補正工程、第2補正工程及び第3補正工程を実行する前に、基準温度センサ4の基準温度SPの安定性を判定する判定処理を行ったが、基準温度センサ4の基準温度SPの信頼性が担保されている場合には、この判定処理を適宜省略することもできる。
【0049】
(5)上記実施形態では、本体円筒部1、本体台座部2、ファン5等を備えた温度校正装置50を示して温度校正装置を構成したが、特にこの構成に限定されるものではなく、他の構造を採用した温度校正装置としての多点温度測定装置に上記温度補正手段10を備えるように構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、基準温度に対して温度センサの計測温度をより高精度に補正することができる技術として有用に利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
3 温度センサ
4 基準温度センサ
10 温度補正手段
10a 温度計測判別処理部
10b 校正用補正値演算部
50 温度校正装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温調対象空間内の温度を計測する温度センサの計測温度を、基準温度センサにより計測された基準温度にて補正する温度補正手段を備えた温度校正装置であって、
前記温度補正手段は、
サンプリング時間内に前記温度センサ及び前記基準温度センサにて温度計測処理を行い、その温度計測処理における前記温度センサの計測温度を補正値にて補正した補正温度と前記温度計測処理における前記基準温度センサの基準温度との温度差を求め、その求めた温度差が許容範囲内であるか否かを判別する判別処理を行い、前記温度差が前記許容範囲外であれば前記温度差が前記許容範囲内となるまで前記温度計測処理及び前記判別処理を繰り返し行う温度計測判別処理部を備え、
前記温度計測判別処理部は、
前記許容範囲を第1許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では補正値をゼロとし、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第1補正工程を行い、
前記温度差が前記第1許容範囲内になると、前記許容範囲を前記第1許容範囲よりも狭い範囲に設定された第2許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では前記第1補正工程において前記温度差が前記第1許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる第2補正工程を行う構成であり、
前記温度計測判別処理部が前記第2補正工程において前記温度差が前記第2許容範囲内であると判別したときの補正値を、前記計測温度を前記基準温度にて補正するときの校正用補正値として求める校正用補正値演算部を備えている温度校正装置。
【請求項2】
前記温度計測判別処理部は、前記第1補正工程及び前記第2補正工程に加えて、段階的に少なくとも1つ以上の補正工程を実行可能であり、その段階的な補正工程においては、前記許容範囲を1つ前の段階の補正工程よりも狭い範囲に設定された許容範囲に設定し、前記補正値について、1回目の前記判別処理では1つ前の段階の補正工程において前記温度差が前記許容範囲内となったときの補正値を用い、2回目以降の前記判別処理では前回の判別処理における温度差を前回の判別処理における補正値に加算して更新した更新後の補正値を用いる構成とされている請求項1に記載の温度校正装置。
【請求項3】
前記温度計測判別処理部が、前記温度計測処理を行う前記サンプリング時間について、前記第1補正工程におけるサンプリング時間よりも前記第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定する請求項1又は2に記載の温度校正装置。
【請求項4】
前記温度計測判別処理部が、前記第1補正工程におけるサンプリング時間よりも前記第2補正工程におけるサンプリング時間を長く設定するにあたっては、前記温度計測処理を行うサンプリング周期は一定で前記第2補正工程におけるサンプリング回数を前記第1補正工程におけるサンプリング回数よりも増加させる形態、或いはサンプリング回数は一定で前記第2補正工程におけるサンプリング周期を前記第1補正工程におけるサンプリング周期よりも増加させる形態とされている請求項3に記載の温度校正装置。
【請求項5】
前記温度計測判別処理部が、前記第1補正工程及び前記第2補正工程を実行する前に、前記基準温度センサにより計測された基準温度が安定しているか否かを判定する判定処理を実行させる請求項1から4の何れか一項に記載の温度校正装置。
【請求項6】
前記温度計測判別処理部が、前記温度センサに要求される温度精度に応じて、前記第1補正工程を行うモードと前記第1補正工程及び前記第2補正工程を行うモードとを切替可能に構成されている請求項1から5の何れか一項に記載の温度校正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−175343(P2010−175343A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17217(P2009−17217)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000229047)日本スピンドル製造株式会社 (328)
【Fターム(参考)】