説明

温度検出装置

【目的】 複数個の感温抵抗素子を用いて複数点又は複数帯域の温度を検出ことができる温度検出装置を簡単な構成で、かつ低コストにて提供する。
【構成】 制御装置5の出力ポートP1からのサーミスタ選択信号に基づくトランジスタQ1,Q2,Q3のオン・オフによりサーミスタ1,2のいずれかが導通される。また、制御装置5の出力ポートP2から出力される信号によりサーミスタ回路3の抵抗の抵抗値が切替えられる。選択されたサーミスタと抵抗との接続点電圧がコンパレータ4にて参照電圧と比較され、この比較結果が温度検出出力として制御装置5の入力ポートPに出力される。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数個の感温抵抗素子により複数点又は複数帯域の温度を検出する温度検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、例えば、プリンタやコピー機などの熱定着器や機内温度を検出するための温度検出装置としては、温度により抵抗値が変化するサーミスタやポジスタなどの感温抵抗素子を用いたものが知られている。この種の温度検出装置は、一般的に感温抵抗素子からの電圧と所定の参照電圧とを比較手段により比較することで感温抵抗素子付近の温度を検出するようになっている。そして、感温抵抗素子を複数個用いて複数点又は複数帯域の温度を検出するものとしては、それぞれの感温抵抗素子毎に独立して比較手段を設けたもの、または、1個の比較手段で複数個の感温抵抗素子を比較させるために複数個の感温抵抗素子を順次選択するようにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の感温抵抗素子毎に比較手段を設けたものは比較手段が感温抵抗素子の個数分必要となるので、コスト高となるといった問題がある。また、複数個の感温抵抗素子を順次選択して導通させるものは、選択手段としてアナログスイッチや機械的スイッチが用いられており、そのようなスイッチが高価であるために、上記同様にコスト高となるといった問題がある。本発明は、上記問題を解決するもので、簡単な構成で、かつ低コストにて複数個の感温抵抗素子を用いて複数点又は複数帯域の温度を検出することができる温度検出装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために請求項1の発明は、複数個の感温抵抗素子を用いて複数点又は複数帯域の温度を検出する温度検出装置において、複数個の感温抵抗素子とそれらの各々に直列に接続された抵抗とからなる感温抵抗素子回路と、前記感温抵抗素子回路の各々に直列に接続され、感温抵抗素子選択用信号に基づいて導通することによって、選択された感温抵抗素子回路に電源を供給するスイッチング手段と、前記感温抵抗素子回路における感温抵抗素子と抵抗の接続点電圧と所定の参照電圧とを比較し、この比較結果を温度検出出力とする比較手段とを備えたものである。請求項2の発明は、上記請求項1に記載の温度検出装置において、さらに、前記感温抵抗素子回路の抵抗の抵抗値を切替える手段を備え、前記スイッチング手段により選択された感温抵抗素子回路の各々の検出レベルを少なくとも2段に切替えることができるようにしたものである。請求項3の発明は、上記請求項1又は請求項2に記載の温度検出装置において、前記複数個の感温抵抗素子は相互に並列接続され、その並列回路が前記抵抗と直列接続されているものである。
【0005】
【作用】上記の請求項1の温度検出装置によれば、複数個の感温抵抗素子のいずれかが感温抵抗素子選択信号に基づいてスイッチング手段により導通され、選択された感温抵抗素子と抵抗との接続点の電圧が比較手段にて参照電圧と比較され、この比較結果が温度検出出力として出力される。また、請求項2の温度検出装置によれば、抵抗値を切替える手段により感温抵抗素子回路の抵抗の抵抗値が変化し、検出レベルが切替えられる。さらに、請求項3の温度検出装置によれば、相互に並列に接続された複数個の感温抵抗素子と抵抗とが直列接続されているので、選択された感温抵抗素子と抵抗との接続の組み合わせが複数となる。
【0006】
【実施例】本発明の一実施例を図面を参照して説明する。図1は本実施例による温度検出装置の回路図であり、同図において、温度検出装置は、感温抵抗素子としてのサーミスタ1,2と抵抗R1,R2とからなるサーミスタ回路3と、サーミスタ1,2のいずれかを選択するスイッチング手段として設けられたトランジスタQ1,Q2,Q3とを備え、さらに、選択されたサーミスタと抵抗の接続点電圧と参照電圧とを比較するコンパレータ4(比較手段)と、温度検出装置全体を制御するCPUなどでなる制御装置5とを備えている。
【0007】本実施例で用いたサーミスタ1,2は、負温度係数を持つNTC(Negative Temperature Cofficient )サーミスタを用いている。抵抗R1の一端はサーミスタ回路3の抵抗の抵抗値を切替える手段としての出力ポートP2に接続され、抵抗R2の一端は接地されている。さらに、抵抗R1,R2のそれぞれの他端は、相互に並列接続されたサーミスタ1,2と直列に接続されている。さらに、サーミスタ1,2と抵抗R1,R2との接続点がコンパレータ4の反転入力端子にノイズ除去用の抵抗とコンデンサとからなるフィルタ6を介して接続されている。コンパレータ4の正転入力端子には基準電圧+5Vの抵抗分圧による参照電圧が与えられ、コンパレータ4の出力は制御装置5の入力ポートPに与えられている。また、出力ポートP2は抵抗を介さないオープンドレイン出力となっている。
【0008】トランジスタQ1,Q2はベースが抵抗を介して制御装置5のサーミスタ選択用信号を出力する出力ポートP1に接続されている。また、トランジスタQ1はエミッタが接地され、コレクタがトランジスタQ3のベースと接続されている。トランジスタQ3はエミッタが電源電圧Vcc(+5V)に、コレクタがサーミスタ1にそれぞれ接続されている。また、トランジスタQ2はエミッタが電源電圧Vccに、コレクタがサーミスタ2にそれぞれ接続されている。トランジスタQ1,Q2,Q3のそれぞれのベース−エミッタ間には抵抗が接続されている。なお、本実施例では、サーミスタ1はプリンタの熱定着器の温度検出に、サーミスタ2はプリンタの機内温度検出に用いている。
【0009】上記構成の温度検出装置の動作を説明する。本装置においては、サーミスタ1,2による温度に相当する電圧を1個のコンパレータ4で比較する。以下にその詳細を説明する。出力ポートP1からのサーミスタ選択用信号により、Hi信号でトランジスタQ1,Q3がオンしてサーミスタ1が導通され、Low信号でトランジスタQ2がオンしてサーミスタ2が導通される。上記出力ポートP1に対応して、出力ポートP2によりHi信号電圧を抵抗R1に与えると、抵抗R1は、両端で電位差がほとんどなくなり、サーミスタ1又はサーミスタ2と電気的に導通していない状態となる。従って、サーミスタ1又はサーミスタ2と抵抗R2との接続点電圧がコンパレータ4に対して出力される。また、出力ポートP2によりLow信号電圧を抵抗R1に与えると、抵抗R1は、抵抗R2と相互に並列接続されている状態になり、この並列接続がサーミスタ1又はサーミスタ2と電気的に導通している状態になる。従って、サーミスタ1又はサーミスタ2と抵抗R1,R2の合成抵抗との接続点電圧がコンパレータ4に対して出力される。
【0010】出力ポートP2をHi出力にすることで、サーミスタ回路3の抵抗値は大きくなり、接続点電圧が大きくなるので検出される温度は低温レベルとなり、また、出力ポートP2のLow出力によりサーミスタ回路3の抵抗値は小さくなり、接続点電圧が小さくなるので検出される温度は高温レベルとなる。さらに、また、サーミスタ1,2を出力ポートP1の出力信号のHi,Lowにより切替選択することでサーミスタ1,2が配置されている場所の温度を順次選択して検出することができる。そして、上記それぞれの場合の接続点電圧と参照電圧とがコンパレータ4で比較され、この比較結果が温度検出出力として入力ポートPに対して出力される。以上の組み合わせを、各ポート出力、導通されるサーミスタ及び温度レベルについてまとめると以下の表のごとくになる。
【0011】
【表1】
出力ポートP1 出力ポートP2 導通サーミスタ 温度レベル Low Low サーミスタ2 高温レベル Low Hi サーミスタ2 低温レベル Hi Low サーミスタ1 高温レベル Hi Hi サーミスタ1 低温レベル
【0012】このように、出力ポートP1の信号に基づくトランジスタQ1,Q2,Q3のオン・オフによりサーミスタ1,2の選択をすることができるので、コンパレータ4をサーミスタ毎に独立して設ける必要がなく、また、アナログスイッチに比べて安価なトランジスタを用いることで低コスト化が図れる。さらに、出力ポートP2の切替えによりサーミスタ回路3の合成抵抗値を変化させることができ、サーミスタ回路3による温度の検出レベルを2段階に切替えることができるので、制御装置5による温度制御や異常過熱検出が容易に行える。
【0013】なお、本発明は上記実施例に限られず種々の変形が可能である。例えば、サーミスタ1,2は上記実施例ではNTCタイプのものを用いたが、正温度係数を持つPTC(Positve Temperature Cofficient)サーミスタ等を用いてもよい。また、サーミスタ1とサーミスタ2とを同じ被検出部における温度の異なる帯域を検出するようにしてもよい。さらに、上記実施例では4種類の温度を検出する構成を示したが、サーミスタとそれに伴うトランジスタ、抵抗などを増設することで、1個のコンパレータでさらに複数点、複数帯域の温度を検出することができる。
【0014】
【発明の効果】以上のように、請求項1の温度検出装置によれば、スイッチング手段により複数個の感温抵抗素子からいずれかを選択し、この選択された感温抵抗素子を含む回路の出力を比較手段に与えるようにしているので、比較手段を感温抵抗素子毎に設ける必要がなくなり、低コスト化が図れる。また、請求項2の温度検出装置によれば、抵抗値を切替える手段により感温抵抗素子回路の抵抗の抵抗値が切替えられるので、感温抵抗素子回路の温度検出レベルを少なくとも2段に切替えることができ、従って、適正な温度検出が可能となる。さらに、請求項3の温度検出装置によれば、相互に並列に接続された複数個の感温抵抗素子と抵抗が直列接続されているので、感温抵抗素子と抵抗との接続の組み合わせが複数となり、簡単な構成で、しかも安価に複数点又は複数帯域の温度を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による温度検出装置の回路図である。
【符号の説明】
1,2 サーミスタ(感温抵抗素子)
3 サーミスタ回路(感温抵抗素子回路)
4 コンパレータ(比較手段)
5 制御装置
P1 出力ポート(サーミスタ切替)
P2 出力ポート(検出温度切替)
Q1,Q2,Q3 トランジスタ(スイッチング手段)
R1,R2 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数個の感温抵抗素子を用いて複数点又は複数帯域の温度を検出する温度検出装置において、複数個の感温抵抗素子とそれらの各々に直列に接続された抵抗とからなる感温抵抗素子回路と、前記感温抵抗素子回路の各々に直列に接続され、感温抵抗素子選択用信号に基づいて導通することによって、選択された感温抵抗素子回路に電源を供給するスイッチング手段と、前記感温抵抗素子回路における感温抵抗素子と抵抗の接続点電圧と所定の参照電圧とを比較し、この比較結果を温度検出出力とする比較手段とを備えたことを特徴とする温度検出装置。
【請求項2】 請求項1に記載の温度検出装置において、さらに、前記感温抵抗素子回路の抵抗の抵抗値を切替える手段を備え、前記スイッチング手段により選択された感温抵抗素子回路の各々の検出レベルを少なくとも2段に切替えることができるようにしたことを特徴とする温度検出装置。
【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の温度検出装置において、前記複数個の感温抵抗素子は相互に並列接続され、その並列回路が前記抵抗と直列接続されていることを特徴とする温度検出装置。

【図1】
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