説明

温度測定システム

【課題】測温体の不具合を判別できる温度測定システムを提供する。
【解決手段】温度を測定するシステム1において,測定対象APMの温度を測定するための第1の測温体101と,測定対象APMの温度を測定するための第2の測温体102と,前記第1の測温体101と前記第2の測温体102により測定された各温度を監視する監視部120を備え,前記監視部120が,前記第1の測温体101により測定された温度と前記第2の測温体102により測定された温度との差を監視することにより,前記第1の測温体101又は第2の測温体102において不具合があることを検知することとした。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,例えば半導体ウェハやLCD基板用ガラス等の基板を処理する液体,気体等の温度を測定するシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば半導体デバイスの製造工程では,半導体ウェハ(以下,「ウェハ」という。)を所定の薬液や純水等の処理液によって洗浄し,ウェハの表面に付着したパーティクル,有機汚染物,金属不純物等のコンタミネーションを除去する洗浄装置が使用されている。その中でも処理液が充填された処理槽内に,ウェハを順次浸漬させて洗浄処理を行うウェット型の洗浄装置は広く普及している。
【0003】
かかる洗浄装置において,好適な洗浄処理を実施するためには処理槽内の処理液が所定温度であることが好ましい。そこで,処理中においては,所定温度に調整された処理液を処理槽内に供給し続けると共に,使い古された処理液を処理槽内からオーバーフローさせ,処理槽内を所定温度に調整された処理液に置換している。さらに,温度を測定するための測温抵抗体を処理槽内の処理液中に入れ,測温抵抗体によって測定された温度を監視するコントローラを備えた温度測定システムを設置して,測温抵抗体によって測定された温度に基づいて液温の制御を行い,液温の低下や過熱を未然に防ぐようにしている(例えば,特許文献1参照)。かかる測温抵抗体は,温度変化に伴い電気抵抗値が変化する白金(Pt)等の金属材料からなり,測温抵抗体の電気抵抗値から処理液の温度を検出できるようになっている。
【0004】
【先行技術文献】
【特許文献1】
特開2001−296186
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来の温度測定システムにおいては,測温抵抗体の不具合が判別できない場合があった。例えば,測温抵抗体の断線や,測温抵抗体とコントローラとを接続する電気コードの断線等の故障は,温度検出が不可能となるため,コントローラの監視によって明らかとなるが,測温抵抗体の抵抗値のずれ等は,判別することが困難であった。この場合,実際の温度に対して誤差が大きくなった測定温度に基づき処理液の温度制御が行われ,所望の温度より高温あるいは低温の処理液で処理が行われることとなり,ウェハの処理精度に悪影響を与える問題があった。また,測温抵抗体の抵抗値のずれの不具合を早期に検出することができなかった。
【0006】
従って本発明の目的は,測温体の不具合を判別できる温度測定システムを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために,本発明によれば,温度を測定するシステムであって,測定対象の温度を測定するための第1の測温体と,測定対象の温度を測定するための第2の測温体と,前記第1の測温体と前記第2の測温体により測定された各温度を監視する監視部を備え,前記監視部が,前記第1の測温体により測定された温度と前記第2の測温体により測定された温度との差を監視することにより,前記第1の測温体又は第2の測温体において不具合があることを検知することを特徴とする,温度測定システムが提供される。ここで,「測温体」とは,測温抵抗体又は熱電対である。この温度測定システムによれば,いずれか一方の測定温度の誤差が大きくなったことが検知できる。即ち,いずれか一方の測温抵抗体の抵抗値が変化した不具合を検知できる。
【0008】
前記測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する演算部を接続することとしても良い。さらに,前記第1の測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する第1の演算部を接続し,前記第2の測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する第2の演算部を接続しても良い。このようにすると,いずれか一方の演算部に異常があることで測定温度の誤差が大きくなった場合,2個の測定温度の差を監視することにより,いずれか一方の演算部に異常がある可能性を判別できる。
【0009】
前記第1の測温体と第2の測温体の測定対象が同一であることが好ましい。また,前記測定対象は,基板を処理する処理槽に貯留された処理液であり,前記第1の測温体により測定された温度を基に処理液の温度を調整する温度調整機構を備えることとしても良い。この場合,液温の制御を行うことにより,処理精度の高い好適な処理を行うことができる。
【0010】
前記監視部は,前記第1の測温体により測定された温度と前記第2の測温体により測定された温度との差が設定される許容値を超えた場合,前記第1の測温体又は第2の測温体において不具合があると判断することが好ましい。
【0011】
第2の測定対象の温度を測定するための第3の測温体と,前記第2の測定対象の温度を測定するための第4の測温体とをさらに備え,前記第3の測温体を前記第2の演算部に接続し,前記第4の測温体を前記第2の演算部以外の他の演算部に接続し,前記第3の測温体により測定された温度と前記第4の測温体により測定された温度との差を監視することにより,前記第3の測温体又は第4の測温体において不具合があることを検知することとしても良い。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1は,本実施の形態にかかる温度測定システムを備えた洗浄システム1の斜視図である。この洗浄システム1は,キャリアC単位での基板としてのウェハWの搬入,ウェハWの洗浄,ウェハWの乾燥,キャリアC単位でのウェハWの搬出までを一貫して行うように構成されている。
【0013】
この洗浄システム1において,搬入・取出部2は,洗浄前のウェハWを25枚収納したキャリアCを搬入しウェハWを洗浄に移行させるまでの動作を行う。即ち,搬入ステージ5に載置されたキャリアCを移送装置6によってローダ7へ例えば2個ずつ搬送し,このローダ7でキャリアCからウェハWを取り出す構成になっている。
【0014】
洗浄乾燥処理部10には,搬入・取出部2側から順に,ウェハWを搬送する搬送装置30のウェハチャック30a,30aを洗浄および乾燥するためのウェハチャック洗浄・乾燥装置11,各種の薬液や純水等の洗浄液を用いてウェハWを洗浄する各ウェハ洗浄装置12〜19,搬送装置33のウェハチャック33a,33aを洗浄および乾燥するためのウェハチャック洗浄・乾燥装置20,および,ウェハ洗浄装置12〜19で洗浄されたウェハWを,例えばイソプロピルアルコール(IPA)蒸気を用いて乾燥させる乾燥装置21が配列されている。さらに洗浄乾燥処理部10の前面側(図1における手前側)には,搬送装置30,31,32,33が配列されている。
【0015】
一般的な洗浄プロセスに従い,薬液洗浄とリンス洗浄とが交互に行えるようにウェハ洗浄装置12,14,16,18は薬液洗浄を行うように構成され,ウェハ洗浄装置13,15,17,19はリンス洗浄を行うように構成されている。一例として,ウェハ洗浄装置12では,硫酸成分を主体とした洗浄液であるSPM(HSO/Hの混合液)を用いたSPM洗浄を行って,ウェハWの表面に付着している有機汚染物等の不純物質を除去する。また,ウェハ洗浄装置14では,例えばアンモニア成分を主体とした洗浄液であるAPM(NHOH/H/HOの混合液)を用いたSC1洗浄を行って,ウェハWの表面に付着している有機汚染物,パーティクル等の不純物質を除去する。また,ウェハ洗浄装置16では,塩酸成分を主体とした洗浄液であるHPM(HCl/H/HOの混合液)を用いたSC2洗浄を行って,ウェハWの表面に付着している金属イオン等を除去する。また,ウェハ洗浄装置18では,フッ酸成分を主体とした洗浄液であるDHF(HF/HOの混合液)を用いたDHF洗浄を行って,ウェハWの表面に形成された酸化膜等を除去する。また,ウェハ洗浄装置13,15,17,19では,純水を用いてウェハWのリンス洗浄を行う。ウェハ洗浄装置12〜19の構成については,後に詳細に説明する。
【0016】
なお,以上の配列や各ウェハ洗浄装置12〜19の組合わせは,ウェハWに対する洗浄処理の種類によって任意に組み合わせることができる。例えば,ある洗浄装置を減じたり,逆にさらに他の種類の薬液を用いてウェハWを薬液洗浄するウェハ洗浄装置を付加してもよい。
【0017】
装填・搬出部40は,洗浄乾燥処理部10で洗浄,乾燥された25枚のウェハWをキャリアCに装填後キャリアC単位で搬出する。即ち,アンローダ41によって,洗浄後のウェハWが収納されたキャリアCを,移送装置(図示せず)によって,搬出部42にまで搬送する構成になっている。
【0018】
薬液洗浄を行うウェハ洗浄装置12,14,16,18の構成は,洗浄液が異なる点を除けば,互いにほぼ同様である。そこで,以下,SC1洗浄を行うウェハ洗浄装置14を代表として説明する。
【0019】
図2に示すように,ウェハ洗浄装置14は,洗浄液として所定温度(例えば80℃)に調整されたAPMを貯留する洗浄槽45を備えている。この洗浄槽45は,ウェハWを収納するのに充分な大きさを有する箱形の内槽46と,内槽46の上部の開口を囲むように形成された外槽47から構成されている。
【0020】
内槽46内には,ウェハWを保持するためのウェハガイド63が設置されている。ウェハガイド63には,3本の平行な保持部材63a,63b,63cが水平姿勢で装着され,これら保持部材63a,63b,63cにより50枚のウェハWを等間隔で配列させた状態で保持するようになっている。
【0021】
内槽46と外槽47との間には,洗浄中にAPMを循環させる循環回路65が接続されている。この循環回路65の入口は外槽47の底面に接続されている。循環回路65には,ポンプ67,ダンパ68,ヒータ69,フィルタ70が順に配列されている。循環回路65の出口は,内槽46の下方に対をなして配置されたジェットノズル(図示せず)に接続されている。
【0022】
即ち,内槽46から外槽47にオーバーフローした洗浄液を,循環回路65に流入させ,ポンプ67の稼働によって,ダンパ68,ヒータ69,フィルタ70の順に流し,温度調整及び清浄化した後,ジェットノズルを経て再び内槽46内に供給するようになっている。このように,APMの再利用を図り,その消費量を節約している。なお,循環回路65には,開閉弁71を介してドレイン管72が接続されており,外槽47内の洗浄液を排液するようになっている。内槽46の底部には,開閉弁73を介してドレイン管74が接続されており,内槽46内の洗浄液を排液するようになっている。
【0023】
また,ウェハ洗浄装置14には,洗浄液を洗浄槽45に補充する補充機構80が設けられている。補充機構80は,例えば空の洗浄槽45内に洗浄液を最初に充填したり,足りなくなった洗浄液を洗浄槽45内に適宜補充するように構成されている。
【0024】
補充機構80は,アンモニア補充系81と,過酸化水素水補充系82と,純水補充系83と,コントローラ84とを備えている。アンモニア補充系81には,所定濃度に調整されたアンモニア水溶液(NHOH)を貯蔵したタンク85と,ポンプ86とが設けられている。過酸化水素水補充系82には,所定濃度に調整された過酸化水素水(H)を貯蔵したタンク87と,ポンプ88が設けられている。純水補充系83には,純水(DIW)を貯留したタンク89と,タンク89内の純水を加熱するタンクヒータ90と,弁91とが設けられている。コントローラ84は,ポンプ86,88の稼働率,弁91の開度を制御するように構成されている。コントローラ84の制御により,アンモニア水溶液,過酸化水素水,純水をそれぞれ所定の液量ずつ供給し,所定の成分比率のAPMを洗浄液として洗浄槽45に補充するようになっている。
【0025】
次に,洗浄槽45内の温度を測定する本実施の形態にかかる温度測定システム100について説明する。温度測定システム100は,測定対象である洗浄槽45内に貯留された洗浄液の温度を測定するための,測温体としての第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102を備えている。第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102は,内槽46内に備えられている。
【0026】
第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102は,図示はしないが,例えば白金(Pt)等の金属材料によって極細線状に形成されており,APMの温度変化に伴い電気抵抗値が変化するようになっている。また,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102は,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102を物理的衝撃から保護するコーティング部材によって被覆されており,さらに,図示しない石英ガラス管内に各々挿入された状態で,内槽46内に取り付けられている。
【0027】
洗浄液に浸漬された石英ガラス管(図示せず)内の気体は,APMと同じ温度になり,この気体の温度に応じて,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の電気抵抗値(出力)が変化する。従って,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102に電気を通流させ,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の電気抵抗値を検出することにより,石英ガラス管内の気体の温度,即ち洗浄液の温度を測定できるようになっている。
【0028】
第1の測温抵抗体101には,第1の測温抵抗体101に電気を通流させるための電気コード103が接続されている。電気コード103は,洗浄槽45内の洗浄液の温度を調節するための演算と制御を行う温度調節器105に接続されている。一方,第2の測温抵抗体102には,第2の測温抵抗体102に電気を通流させるための電気コード106が接続されている。図3に示すように,電気コード106は,ウェハ洗浄装置14に隣接するウェハ洗浄装置15に設けられた第2の演算部としての温度演算器108に接続されている。温度演算器108については後述する。
【0029】
図2に示すように,温度調節器105は,第1の測温抵抗体101の出力としての電気抵抗値から洗浄液の温度を演算する演算部(第1の演算部)111と,ヒータ69の出力を調整するヒータ電力調整部112を備えている。演算部111には,電気抵抗値と温度との関係が予め記憶されており,電気コード103を介して第1の測温抵抗体101の電気抵抗値を検知して,電気抵抗値と温度との関係に基づき温度を算出する演算を行う。ヒータ電力調整部112は,演算部111によって算出された温度に基づいて,洗浄液の温度が所定の値に維持されるように,ヒータ69の電力をそれぞれ調整し,ヒータ69の加熱量を制御するようになっている。このように,第1の測温抵抗体101,温度調節器105,ヒータ69によって,洗浄液の温度を調整する温度調整機構113が構成されており,第1の測温抵抗体101により測定された温度を基に洗浄液の温度を調整するようになっている。
【0030】
さらに,温度調節器105の演算部111は,図3に示すように,第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102によって測定された各測定温度を監視する監視部としてのブロックコントローラ120に接続されている。即ち,第1の測温抵抗体101とブロックコントローラ120の間に演算部111が接続されている。そして,演算部111によって算出された温度がブロックコントローラ120に入力され,監視されるようになっている。
【0031】
また,図示はしないが,ウェハ洗浄装置14には,第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102の他,様々な箇所に,温度を測定するための測温抵抗体又は熱電対が設けられている。例えば,ドレイン管72やドレイン管74に,排液の温度を測定するための測温抵抗体又は熱電対が設けられており,内槽46からの排液温度と外槽47からの排液温度を測定するようにしている。排液温度測定用の測温抵抗体等(図示せず)は,測温抵抗体の出力としての電気抵抗値又は熱電対の出力としての熱起電力から温度を演算する温度演算器125に接続されている。
【0032】
温度演算器125には,電気コードを接続する接続部130が,例えば4個設けられており,測温抵抗体等に接続された電気コードを接続部130のいずれかに接続することにより,測温抵抗体等の出力を温度演算器125に対して入力できるようになっている。即ち,温度演算器125に1〜4個の測温抵抗体等の出力を入力することができ,各出力から温度をそれぞれ算出することができる。
【0033】
温度演算器125は,温度演算器125を他の機器と通信可能にする変換器131に接続されている。変換器131は,排液温度測定用の測温抵抗体等(図示せず)によって測定された各温度を監視するコントローラ133に接続されており,温度演算器125によって算出された温度が変換器131を介してコントローラ133に入力され,監視されるようになっている。
【0034】
なお,タンクヒータ90は,ブロックコントローラ120に接続された温度モニター135に接続されている。温度モニター135は,タンクヒータ90の温度を表示しブロックコントローラ120に温度データを送るようになっている。タンクヒータ90の加熱量は,温度モニター135からブロックコントローラ120に入力された制御信号に従って制御されるようになっている。温度モニター135によって検出された現在の温度が,設定された温度に対して高い場合は,ブロックコントローラ120がタンクヒータ90の電源をOFFに切り替えて,設定温度まで下げるようにする。逆に,設定された温度に対して現在の温度が低い場合は,ブロックコントローラ120がタンクヒータ90の電源をONに切り替えて,設定温度まで上げるようにする。つまり,ブロックコントローラ120からの制御信号(ON/OFF信号)で,温度が一定になるように加熱量が調節制御される。
【0035】
ウェハ洗浄装置14と隣接して設けられ,純水を用いてウェハWのリンス洗浄を行うウェハ洗浄装置15は,洗浄槽45とほぼ同様の構成を有する洗浄槽145と,前述の第2の演算部としての温度演算器108を備えている。温度演算器108は,温度演算器125とほぼ同様の機能を有する。即ち,温度演算器108は,第2の測温抵抗体102の電気抵抗値(出力)から洗浄液の温度を算出し,さらに,2個以上の測温抵抗体の電気抵抗値,或いは,熱電対の熱起電力から,温度をそれぞれ算出することが可能である。
【0036】
温度演算器108には,接続部130とほぼ同様の接続部150が例えば4個設けられている。前述のウェハ洗浄装置14の電気コード106は,接続部150の一つに接続されている。温度演算器108は,変換器131に接続されている。即ち,温度演算器108によって算出された温度が変換器131を介してコントローラ133に入力され,監視されるようになっている。
【0037】
なお,変換器131に2個以上の温度演算器108,125を接続し,ウェハ洗浄装置14,15に設けた8個以上の測温抵抗体等の出力から温度をそれぞれ演算するようにして,8箇所以上の温度をコントローラ133によって監視するようにしても良い。
【0038】
さらに,コントローラ133とブロックコントローラ120は,インターフェース回路155によって接続されており,コントローラ133からブロックコントローラ120にデータを送信できる構成となっている。即ち,第2の測温抵抗体102とブロックコントローラ120の間に温度演算器108,変換器131が接続されている。そして,温度演算器108によって算出された各温度がブロックコントローラ120に入力され,監視されるようになっている。
【0039】
ブロックコントローラ120は,第1の測温抵抗体101によって測定された温度,第2の測温抵抗体102によって測定された温度,及び,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度との差を監視するようになっている。
【0040】
ブロックコントローラ120には,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の許容差を予め記憶させることができる。ブロックコントローラ120は,洗浄槽45にウェハWを浸漬させる前や,浸漬させている間など,洗浄液の温度を所定の値に維持する必要があるときに,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差と,設定された許容差とを比較する。そして,測定された温度の差が許容差より大きくなった場合,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108のうち,いずれかにおいて不具合があると判断し,警報を発生させるようになっている。これにより,洗浄液の温度が誤った測定温度に基づいて制御されることを防止できる。
【0041】
即ち,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の抵抗値が正常な状態では,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と,第2の測温抵抗体102によって測定された温度は,ほぼ同じ温度となる。しかし,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の抵抗値が変化して,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102によって測定された温度の誤差が大きくなった場合,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度との差が大きくなる。即ち,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差をブロックコントローラ120によって監視することにより,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の抵抗値が変化した不具合を検知できる。
【0042】
また,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102は正常であっても,演算部111又は温度演算器108の演算機能等に異常があることで,算出された温度の誤差が大きくなることがある。そのような場合も,第1の測温抵抗体101によって測定され演算部111によって算出された温度と,第2の測温抵抗体102によって測定され温度演算器108によって算出された温度とを比較すると,2個の測定温度の差が大きくなる。従って,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差をブロックコントローラ120によって監視することにより,演算部111又は温度演算器108に異常がある可能性も判別できる。即ち,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が大きくなった場合は,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108のうち,いずれかに異常があると考えられる。
【0043】
本実施の形態において,温度測定システム100は,第1の測温抵抗体101,電気コード103,温度調節器105,ブロックコントローラ120,第2の測温抵抗体102,電気コード106,温度演算器108,変換器131,コントローラ133,インターフェース回路155によって構成されている。
【0044】
薬液洗浄を行うウェハ洗浄装置12,16,18の構成は,補充機構80において供給される液体の種類が異なる点を除けば,ウェハ洗浄装置14とほぼ同様の構成を有する。純水を用いてウェハWのリンス洗浄を行うウェハ洗浄装置13,17,19の構成は,ウェハ洗浄装置15とほぼ同様の構成を有する。また,ウェハ洗浄装置12,13と,ウェハ洗浄装置16,17と,ウェハ洗浄装置18,19に,それぞれ温度測定システム100が適宜備えられている。
【0045】
ウェハ洗浄装置12,13と,ウェハ洗浄装置16,17と,ウェハ洗浄装置18,19にそれぞれ備えたブロックコントローラ120は,メインコントローラ160に接続されている。メインコントローラ160は,処理のプロセスに関するデータを各ブロックコントローラ120に対して送信するようになっている。
【0046】
次に,以上のように構成された洗浄システム1を用いた処理について説明する。まず,洗浄システム1においてウェハWの処理を開始する前に,各ウェハ洗浄装置12〜19にそれぞれ洗浄液を充填する。各ウェハ洗浄装置12,14,16,18における洗浄液の充填は,ほぼ同様の手順で行うため,代表してウェハ洗浄装置14の充填について説明する。
【0047】
洗浄槽45に洗浄液を供給する前に,予め,ブロックコントローラ120に測定温度の許容差を入力して,記憶させておく。このウェハ洗浄装置14において,空の洗浄槽45の外槽47に,コントローラ84の制御により,アンモニア水溶液,過酸化水素水,純水をそれぞれ所定の液量ずつ供給し,所定の成分比率の洗浄液を供給する。外槽47に供給された洗浄液は,循環回路65内を通過して,内槽46の下方に配置されたジェットノズル(図示せず)から内槽46内に吐出される。洗浄槽45は,内槽46の上部からオーバーフローして外槽47に受け止められ,外槽47から再び循環回路65内に流れる。こうして,外槽47,循環回路65,内槽46の順に洗浄液が循環して,洗浄槽45に洗浄液が充填される。
【0048】
内槽46に洗浄液が貯留されると,第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102が洗浄液中に浸漬され,洗浄液の温度を測定可能な状態になる。洗浄槽45に洗浄液が充填されたら,洗浄液を外槽47,循環回路65,内槽46の順に循環させながら,ヒータ69を発熱させ,循環回路65を通過する洗浄液を加熱する。第1の測温抵抗体101及び第2の測温抵抗体102の電気抵抗値は,洗浄液の温度に応じて変化し,電気コード103,106内を流れる電流の大きさ,電圧が洗浄液の温度に応じて変化する。温度調節器105は,第1の測温抵抗体101の電気抵抗値から温度を算出しながら,ヒータ69の加熱量を調整して,温度が所定の値に昇温されるように制御する。こうして,所定量,所定温度の洗浄液が洗浄槽45内に充填される。所定量,所定温度の洗浄液が洗浄槽45内に充填された後は,温度調節器105は,第1の測温抵抗体101の電気抵抗値から温度を算出しながら,ヒータ69の加熱量を調整して,温度が所定の値に維持されるように制御する。
【0049】
温度調節器105は,洗浄液の温度を制御する一方で,算出した温度をブロックコントローラ120に送信する。ブロックコントローラ120に送信された温度は,ブロックコントローラ120によって監視される。また,ウェハ洗浄装置15の温度演算器108は,第2の測温抵抗体102の電気抵抗値から温度を演算し,算出された温度は,変換器131を介してコントローラ133に送信され,さらに,コントローラ133からブロックコントローラ120に送信され,ブロックコントローラ120によって監視される。
【0050】
第1の測温抵抗体101によって測定された温度に基づいて洗浄槽45内の洗浄液を所定温度に昇温させた後は,ブロックコントローラ120は,温度調節器105から入力された第1の測温抵抗体101によって測定された温度と,コントローラ133から入力された第2の測温抵抗体102によって測定された温度を比較して,測定温度の差が設定された許容差より大きくなった場合,警報を発生させるようにする。
【0051】
即ち,洗浄液を洗浄槽45内に充填し,あるいは,温調する間は,洗浄液の温度が不均一であるため,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108が正常であっても,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が,設定された許容差より大きくなる場合がある。これに対し,洗浄液を所定温度に維持する間,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が大きくなるときは,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の電気抵抗値が変化した可能性がある。また,第1の測温抵抗体101の電気抵抗値と第2の測温抵抗体102の電気抵抗値は正常であるが,演算部111又は温度演算器108に異常がある可能性もある。演算部111によって算出された温度の誤差が大きくなった場合,温度調節器105は,誤差の大きい測定温度に基づいてヒータ69の加熱量を調整することとなり,洗浄液の実際の温度も,所定の値から大きくずれることとなる。この状態でウェハWを洗浄液中に浸漬させると,処理精度が低下するなど,処理に悪影響が発生する。このような悪影響を防止するため,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が許容差より大きくなったら,警報を発生させ,ウェハWの処理を開始させないようにする。
【0052】
警報が発生したら,作業員は,第1の測温抵抗体101と第2の測温抵抗体102を点検して,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102を新しいものに交換するようにする。また,演算部111と温度演算器108を点検して,異常がある場合は,演算部111又は温度演算器108の修復を行うようにする。こうして,点検,交換,修復などを行った後,洗浄液を洗浄槽45内に充填し,洗浄液を温調し,ウェハWの処理を開始させる。これにより,誤差が少なく信頼性が高い測定温度を得ることができる。さらに,誤差の少ない測定温度に基づき洗浄液の液温を正確に制御でき,処理精度の高い好適な処理を行うことができる。
【0053】
各ウェハ洗浄装置13,15,17,19における純水の充填は,純水を所定温度に昇温させる必要がない点を除けば,ウェハ洗浄装置14の充填とほぼ同様である。
【0054】
このように,各ウェハ洗浄装置12〜19にそれぞれ洗浄液が充填された洗浄システム1において,図示しない搬送ロボットが未だ洗浄されていないウェハWを例えば25枚ずつ収納したキャリアCを搬入・取出部2の搬入ステージ5に複数載置する。そして,この搬入・取出部2によって,例えばキャリアC2個分の50枚のウェハWをキャリアCから取り出し,搬送装置30が,ウェハWを50枚単位で一括して把持する。そして,搬送装置30によってウェハWをウェハ洗浄装置12の洗浄槽45内に浸漬させ,所定時間のSPM洗浄を行う。その後,搬送装置30によってウェハWをウェハ洗浄装置12の洗浄槽45内から引き上げ,ウェハ洗浄装置13の洗浄槽145内に浸漬させてリンス処理する。次に,搬送装置31によってウェハWをウェハ洗浄装置13の洗浄槽145内から引き上げ,搬送装置31によってウェハWをウェハ洗浄装置14の洗浄槽45内に浸漬させ,所定時間のAPM洗浄を行う。その後,搬送装置31によってウェハWをウェハ洗浄装置14の洗浄槽45内から引き上げ,ウェハ洗浄装置15の洗浄槽145内に浸漬させてリンス処理する。次に,搬送装置32によってウェハWをウェハ洗浄装置15の洗浄槽145内から引き上げ,搬送装置32によってウェハWをウェハ洗浄装置16の洗浄槽45内に浸漬させ,所定時間のSC2洗浄を行う。その後,搬送装置32によってウェハWをウェハ洗浄装置16の洗浄槽45内から引き上げ,ウェハ洗浄装置17の洗浄槽145内に浸漬させてリンス処理する。次に,搬送装置33によってウェハWをウェハ洗浄装置17の洗浄槽145内から引き上げ,搬送装置33によってウェハWをウェハ洗浄装置18の洗浄槽45内に浸漬させ,所定時間のDHF洗浄を行う。その後,搬送装置33によってウェハWをウェハ洗浄装置18の洗浄槽45内から引き上げ,ウェハ洗浄装置19の洗浄槽145内に浸漬させてリンス処理する。こうして,ウェハWの表面に付着しているパーティクル等の不純物質を除去する洗浄を行う。
【0055】
ここで,ウェハ洗浄装置14の処理について説明する。搬送装置31によって洗浄槽45内にウェハWを下降させ,ウェハWを搬送装置31からウェハガイド48に受け渡す。ウェハWを洗浄液中に下降させる際は,洗浄液の温度が不安定になりやすいため,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108が正常であっても,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が変化する場合がある。そのため,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が,設定された許容差より大きくなっても,警報を発生させないようにする。
【0056】
洗浄中は,循環回路65により洗浄槽45内の洗浄液を循環させて洗浄液の温調及び浄化を行い,洗浄槽45内を,常に所定温度に調整され,かつ清められた洗浄液により充填する。
【0057】
ウェハWの洗浄中は,ブロックコントローラ120は,第1の測温抵抗体101によって測定され温度調節器105から入力された温度と,第2の測温抵抗体102によって測定されコントローラ133から入力された温度を比較して,測定温度の差が設定された許容差より大きくなった場合,警報を発生させるようにする。
【0058】
即ち,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が大きくなるときは,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102の電気抵抗値が変化した可能性がある。また,第1の測温抵抗体101の電気抵抗値と第2の測温抵抗体102の電気抵抗値は正常であるが,演算部111又は温度演算器108に異常がある可能性もある。第1の測温抵抗体101による測定温度の誤差が大きくなった場合,温度調節器105は,誤差の大きい測定温度に基づいてヒータ69の加熱量を調整することとなり,洗浄液の実際の温度も,所定の値から大きくずれることとなる。この状態でウェハWを処理すると,処理精度が低下するなど,処理に悪影響が発生する。このような悪影響を防止するため,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が許容差より大きくなったら,警報を発生させ,処理を中止させる。
【0059】
警報が発生したら,ウェハWを洗浄槽45内から引き上げる。作業員は,第1の測温抵抗体101と第2の測温抵抗体102を点検して,第1の測温抵抗体101又は第2の測温抵抗体102を新しいものに交換するようにする。また,演算部111と温度演算器108を点検して,異常がある場合は,演算部111又は温度演算器108の修復を行う。こうして,点検,交換,修復などを行った後,ウェハWの処理を再開させる。これにより,誤差が少なく信頼性が高い測定温度を得ることができる。さらに,誤差の少ない測定温度に基づき洗浄液の液温を正確に制御でき,処理精度の高い好適な処理を行うことができる。
【0060】
警報が発生することなく所定時間が経過したら,ウェハWを洗浄槽45内から搬送装置31によって引き上げる。そして,ウェハ洗浄装置14にてAPM処理したウェハWを,ウェハ洗浄装置15に搬送する。ウェハWを洗浄液中から上昇させる際は,洗浄液の温度が不安定になりやすいため,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108が正常であっても,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が変化する場合がある。そのため,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が,設定された許容差より大きくなっても,警報を発生させないようにする。
【0061】
ウェハWを洗浄槽45内から引き上げるとき,ウェハWに洗浄液が付着するので,洗浄槽45内の洗浄液が次第に減少する。洗浄液が減少したら,コントローラ84によって補充機構80を制御しながら,補充機構80から洗浄槽45内に洗浄液を補充する。このとき,補充機構80から供給される洗浄液は,タンクヒータ90によって温調された状態で供給されるが,洗浄槽45内の洗浄液の温度は不安定になりやすいため,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102,演算部111,温度演算器108が正常であっても,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が変化する場合がある。そのため,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度の差が,設定された許容差より大きくなっても,警報を発生させないようにすることが好ましい。
【0062】
各ウェハ洗浄装置12,14,16,18における処理は,洗浄液,処理時間,処理温度が異なる点を除けば,ほぼ同様の手順で行う。
【0063】
ウェハ洗浄装置12〜19によって不純物質が除去されたウェハWは,搬送装置33によって乾燥装置21に搬送され,乾燥処理が施される。その後,装填・搬出部40に搬送され,ウェハWがキャリアCに収納され,洗浄システム1から搬出される。
【0064】
かかる温度測定システム100によれば,第1の測温抵抗体101によって測定された温度と第2の測温抵抗体102によって測定された温度との差を,ブロックコントローラ120によって監視することにより,第1の測温抵抗体101の電気抵抗値又は第2の測温抵抗体102の電気抵抗値が変化した不具合があることを早期に検知し,或いは,演算部111又は温度演算器108の機能に異常があることを早期に検知できる。これにより,洗浄液の温度が所定の値よりずれることを防止でき,ウェハWの処理精度が悪化することを防止できる。従って,温度測定の信頼性を高め,処理精度の高い好適な処理を行うことができる。
【0065】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,測定対象は基板を処理する洗浄液としたが,かかるものに限定されず,例えば基板処理用の洗浄液以外の液体,気体等であっても良い。第1の測温抵抗体101と第2の測温抵抗体102は,測温抵抗体としたが,熱電対であっても良い。また,基板は半導体ウェハに限らず,その他のLCD基板用ガラスやCD基板,プリント基板,セラミック基板などであっても良い。
【0066】
本実施の形態では,ウェハ洗浄装置12,14,16,18は薬液処理を行う洗浄槽を備えるものとして説明したが,ウェハ洗浄装置12,14,16,18は,1種類又は2種類以上の薬液と純水を一つの洗浄槽内に各処理毎に交互に供給,排液し,複数の洗浄処理を単一の槽で行う,いわゆるPOU(ポイント・オブ・ユース)方式の洗浄槽としても良い。また,ウェハ洗浄装置13,15,17,19は純水を用いたリンス処理を行う洗浄槽を備えるものとして説明したが,ウェハ洗浄装置13,15,17,19は,薬液処理を行う洗浄槽や,POU洗浄槽であっても良い。
【0067】
本実施の形態では,第1の測温抵抗体101によって測定される温度は,温度調節器105に内蔵された演算部111によって算出され,第2の測温抵抗体102によって測定される温度は,温度演算器108によって算出されることとしたが,かかる形態に限定されない。また,洗浄液の液温の制御を行わず,液温の監視のみを行う形態であっても良い。例えば,電気コード106をウェハ洗浄装置14に備えた温度演算器125に接続して,第2の測温抵抗体102によって測定される温度を温度演算器125によって演算するようにしても良い。また,第2の測温抵抗体102によって測定される温度を,ウェハ洗浄装置15以外のウェハ洗浄装置12,13,16〜19に備えた温度演算器108又は温度演算器125によって演算する構成としても良い。
【0068】
また,電気コード103を温度演算器108又は温度演算器125に接続して,温度演算器108又は温度演算器125等から温度調節器105に,第1の測温抵抗体101によって測定された温度又は第2の測温抵抗体102によって測定された温度を送信するようにして,液温の制御を行っても良い。
【0069】
また,例えば,洗浄槽45がPOU洗浄槽の場合は,温度調節器105による温度調整を行わないので,温度調節器105を設けず,電気コード103を温度演算器125に接続して,第1の測温抵抗体101によって測定される温度を温度演算器125によって算出する形態にすると良い。即ち,第1の測温抵抗体101によって測定され温度演算器125によって算出された温度がコントローラ133からブロックコントローラ120に入力され,監視されるようにしても良い。また,第1の測温抵抗体101と第2の測温抵抗体102を共に温度演算器125に接続して,第1の測温抵抗体101によって測定される温度と第2の測温抵抗体102によって測定される温度を,温度演算器125によってそれぞれ算出し,ブロックコントローラ120において測定温度の差を監視するようにしても良い。なお,POU洗浄槽の場合は,節水供給時のみ,ブロックコントローラ120による監視,警報発生を行うようにしても良い。
【0070】
図4に示すように,ウェハ洗浄装置15の洗浄槽145内に,洗浄槽145内の純水を第2の測定対象とする第3の測温抵抗体161,第4の測温抵抗体162を備えても良い。さらに,第3の測温抵抗体161により測定された温度と第4の測温抵抗体162により測定された温度との差を監視するようにしても良い。この場合,第3の測温抵抗体161又は第4の測温抵抗体162において不具合があることを検知することができる。例えば,第3の測温抵抗体161に電気コード163を接続し,電気コード163を温度演算器108の接続部150の一つに接続する。第4の測温抵抗体162に電気コード164を接続し,電気コード164を温度演算器125の接続部130の一つに接続する。こうして,第3の測温抵抗体161を温度演算器108に接続し,第4の測温抵抗体162を温度演算器108以外の他の演算部(温度演算器125)に接続する。なお,第3の測温抵抗体161,第4の測温抵抗体162は,第1の測温抵抗体101,第2の測温抵抗体102とほぼ同様の構成を有するものとする。第3の測温抵抗体161によって測定され温度演算器108によって算出された温度は,変換器131を介して,コントローラ133からブロックコントローラ120に入力され,監視される。また,第4の測温抵抗体162によって測定され温度演算器125によって算出された温度は,変換器131を介して,コントローラ133からブロックコントローラ120に入力され,監視される。そして,ブロックコントローラ120によって,第3の測温抵抗体161によって測定された温度と第4の測温抵抗体162によって測定された温度との差が監視されるようにする。この場合,第3の測温抵抗体161,第4の測温抵抗体162,温度演算器108,又は温度演算器125に不具合があることを検知することができる。
【0071】
本実施の形態では,温度演算器108,125は,複数の測温抵抗体の電気抵抗値や熱電対の熱起電力から各温度を演算することが可能な構成としたが,かかる機器に限定されず,第2の測温抵抗体102によって測定される温度のみを演算するものであっても良い。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば,第1の測温体によって測定された温度と第2の測温体によって測定された温度との差を監視することにより,第1の測温体又は第2の測温体において不具合があることを検知し,或いは,測温体の出力から温度を演算する演算部の機能に異常があることを検知できる。従って,温度測定の信頼性を高めることができる。また,測定対象の温度を制御する場合,測定対象の温度が所定の値よりずれることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】洗浄システムの概要を示す斜視図である。
【図2】ウェハ洗浄装置の概要を示す説明図である。
【図3】ウェハ洗浄装置と温度測定システムの概要を示す説明図である。
【図4】別の実施の形態にかかる温度測定システムの概要を示す説明図である。
【符号の説明】
W ウェハ
1 洗浄システム
12〜19 ウェハ洗浄装置
45 洗浄槽
100 温度測定システム
101 第1の測温抵抗体
102 第2の測温抵抗体
105 温度調節器
108 温度演算器
111 演算部
120 ブロックコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度を測定するシステムであって,
測定対象の温度を測定するための第1の測温体と,
測定対象の温度を測定するための第2の測温体と,
前記第1の測温体と前記第2の測温体により測定された各温度を監視する監視部を備え,
前記監視部が,前記第1の測温体により測定された温度と前記第2の測温体により測定された温度との差を監視することにより,前記第1の測温体又は第2の測温体において不具合があることを検知することを特徴とする,温度測定システム。
【請求項2】
前記測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する演算部を接続したことを特徴とする,請求項1に記載の温度測定システム。
【請求項3】
前記第1の測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する第1の演算部を接続し,
前記第2の測温体と前記監視部の間に,測温体の出力から温度を演算する第2の演算部を接続したことを特徴とする,請求項2に記載の温度測定システム。
【請求項4】
前記第1の測温体と第2の測温体の測定対象が同一であることを特徴とする,請求項1,2又は3に記載の温度測定システム。
【請求項5】
前記測定対象は,基板を処理する処理槽に貯留された処理液であり,
前記第1の測温体により測定された温度を基に処理液の温度を調整する温度調整機構を備えることを特徴とする,請求項1〜4のいずれかに記載の温度測定システム。
【請求項6】
前記監視部は,前記第1の測温体により測定された温度と前記第2の測温体により測定された温度との差が設定される許容値を超えた場合,前記第1の測温体又は第2の測温体において不具合があると判断することを特徴とする,請求項1〜5のいずれかに記載の温度測定システム。
【請求項7】
第2の測定対象の温度を測定するための第3の測温体と,
前記第2の測定対象の温度を測定するための第4の測温体とをさらに備え,
前記第3の測温体を前記第2の演算部に接続し,
前記第4の測温体を前記第2の演算部以外の他の演算部に接続し,
前記第3の測温体により測定された温度と前記第4の測温体により測定された温度との差を監視することにより,前記第3の測温体又は第4の測温体において不具合があることを検知することを特徴とする,請求項1〜6のいずれかに記載の温度測定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−234382(P2006−234382A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−147212(P2003−147212)
【出願日】平成15年5月26日(2003.5.26)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】