説明

温度表示機能付き導水器具

【課題】配管内部を流れる流体の温度を簡単な構造で安全な温度表示機能付き導水器具を提供する。
【解決手段】円筒状に形成された内筒10の外周の一部に切欠き部を設け、その切欠き部に、内筒10内を流れる温水の温度により色が変化する感温テープ30を巻き付ける。筒状に形成した外筒20に、感温テープ30を巻き付けた内筒を挿入する。このとき、内筒10と外筒20の間をパッキン50,52とOリング60とで密封し、内筒10と外筒20の間に温水が浸透しないようにする。ここで、外筒20は、金属製の金具部22と、内筒10に巻き付け付けられた感温テープ30を外部から視認できる樹脂製の窓部24とから構成されているので、窓部24を通して感温テープ30の色が何色になっているか、つまり、内筒10内を流れる温水の温度を確認することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内部の温度表示機能を有する導水器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、湯と水を混合する混合栓と吐水をシャワー又は吐水口に切り替える切替部との間に水温センサを設け、さらに温度を色で表示するための2種類以上のLEDをシャワーなどの水量調整ハンドル部分に設け、水温センサで検知した水温に応じてLEDを発光させて混合光を生成し、その混合光を用いて水温を表示するようにした浴室用水栓装置がある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、シャワーヘッドや蛇口などの導水管の一部を水溶性液晶インクやサーモクロミックインク(登録商標)をプラスチック原料に混合した材料で一体製造するか、金属の導水器具の一部をその材料で被覆し、温水が流れたときに、温水の温度をインクの色の変化で表示する温度表示機能付き導水器具があった(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−364035号公報
【特許文献2】登実第3052344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記特許文献1に記載の装置では、水温センサやLEDに加え、制御装置や電源あるいは制御装置と水温センサ及びLEDを結ぶための配線などが必要であり、装置の構成が複雑になるという問題があり、その結果として装置が高価になるという問題もあった。
【0006】
また、温度センサやLEDなどの構成部品を配管前に配管内部などに設置しておく必要があるため、取付けが容易でなく、さらに、配管後に装置を容易に取り付けることができないという問題もあった。
【0007】
さらに、上記特許文献2に記載の導水器具では、導水管の一部を水溶性液晶インクやサーモクロミックインク(登録商標)をプラスチック原料に混合した材料で一体製造するか、金属の導水器具の一部をその材料で被覆しているので、温水が直接インク成分に触れるのでインクの成分によっては、人体に影響を与える場合も考えられる。
【0008】
さらに、温水以外の流体を流した場合には、流体が直接インク成分に触れるので、インクの成分によっては、インク成分が溶け出すことが考えられ、その場合には、流体の温度を表示できなくなる可能性もある。
【0009】
本発明は、こうした問題に鑑みなされたもので、配管内部を流れる流体の温度を簡単な構造で安全な温度表示機能付き導水器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる問題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、配管(80)に装着され、配管(80)内を流れる流体の温度を表示する温度表示機能付き導水器具(1)であって、第1部材(10)、感温材(30)、第2部材(20)及び密封手段(50,52,60)を備えている。
【0011】
第1部材(10)は、配管(80)内を流れる流体が直接接し、流体が配管(80)の外部に漏洩しないように封止し、感温材(30)は、第1部材(10)の流体が接する面と反対面の少なくとも一部に配置され、温度により変化するものである。また、第2部材(20)は、第1部材(10)の流体が直接接する面と反対面側に配置され、感温材(30)を視認することができるように構成されている。
【0012】
密封手段(50,52,60)は、第1部材(10)から配管(80)内の流体が漏洩した場合に、第1部材(10)と第2部材(20)の間に流体が浸透しないように第1部材(10)と前記第2部材(20)の間に装着される。
【0013】
このような、温度表示機能付き導水器具(1)によれば、配管(80)内を流れる流体の温度を、簡易で安全に確認することができる。以下、説明する。
第1部材(10)は、配管(80)内を流れる流体に直接接する。したがって、配管(80)内の流体の温度が変化すれば第1部材(10)の温度が変化する。すると、第1部材(10)の流体が接する面と反対面に配置された感温材(30)の色が変化する。
【0014】
ここで、第2部材(20)が、第1部材(10)の流体が直接接する面と反対面側に配置されており、さらに、感温材(30)を視認することができるように構成されている。したがって、変化した感温材(30)の色を外部から視認することができる。
【0015】
つまり、LEDなどの発光素子や制御装置あるいは配線といった部品を必要とせず、第1部材(10)の流体が直接接する面と反対面に感温材(30)を配置し、それを第2部材(20)でカバーするという簡単な構造により、配管(80)内を流れる流体の温度を確認することができる。
【0016】
また、密封手段(50,52,60)によって、第1部材(10)と第2部材(20)の間には流体が浸透しないようになっている。したがって、温度表示機能付き導水器具(1)の使用中に、流体が第1部材(10)と第2部材(20)の間に浸透し、感温材(30)を濡らしたり、侵食したりすることがないので、感温材(30)の成分が流体に溶け出して外部に流れ出すことがない。
【0017】
したがって、例えば、台所やシャワーなどのように配管(80)内を流れる流体が温水の場合、感温材(30)の成分が台所や浴室流れ出すことがないので、感温材(30)の成分に拘わらず、人体に悪影響を与えることがない安全なものとすることができる。
【0018】
また、感温材(30)が流体に濡れたり、侵食されたりすることがないので、感温材(30)が劣化することを防止することができる。したがって、感温材(30)の寿命を長く保つことができる。
【0019】
また、第1部材(10)と第2部材(20)との間に感温材(30)を密封手段(50,52,60)で密封しているので、密封手段(50,52,60)をパッキンなどの弾性体とすれば、第1部材10)と第2部材(20)とを容易に分離できるので、感温材(30)を容易に交換することができる。
【0020】
例えば、季節によって外気温が変化するので、季節にあわせて感度範囲の異なる感温材(30)に交換することで、季節にかかわらず、流体の温度変化に対し同じ色の色変化とすることができる。また、外気温は地域差が大きいので、地域にあわせて感度範囲の異なる感温材(30)と交換することもできる。
【0021】
さらに、容易に感温材(30)を交換することができるので、例えば、温度表示機能付き導水器具(1)をシャワーヘッドや混合水栓など、浴槽や洗面所で用いられるものに適用すれば、使用者が気分に合わせて種々の色や感度の異なる感温材(30)に交換して、楽しむこともできる。
【0022】
なお、「感温材(30)を第1部材(10)の流体が直接接する面と反対面に配置する」とは、例えば、テープ状に形成された感温材(30)を第1部材(10)の外表面に巻き付けたり、塗料状の感温材(30)を第1部材(10)の外表面に塗布したり吹き付けたりすることを意味している。
【0023】
また、この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄において用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。
【0024】
また、第1部材(10)及び第2部材(20)を請求項2に記載のように、筒状に形成してもよい。つまり、第1部材(10)を、配管(80)内を流れる流体が内部に流れる筒状に形成された内筒(10)とし、感温材(30)は、前記内筒(10)の外表面の少なくとも一部に配置され、第2部材(20)は、筒状に形成され、中心軸線が内筒(10)の中心線が一致するように、内筒(10)の外側に装着されている外筒(20)とするのである。
【0025】
このように、第1部材(10)と第2部材(20)とを筒状に形成すると、例えば、シャワーヘッドや混合栓などの吐水口の先端に装着することも、配管(80)の途中に継ぎ手のように装着することも容易である。
【0026】
また、シャワーヘッドや混合栓などの吐水口に装着したり配管(80)の継ぎ手として装着したりすることができるので、既に設置された配管(80)やシャワーヘッドなどに後から容易に装着することができる。
【0027】
また、配管(80)は通常JIS規格などの規格品である場合が多いため、第1部材(10)及び第2部材(20)を容易にその規格に適合するように製作することができる。
ところで、第2部材(外筒)(20)を形成する材料としては種々のものが考えられるが、請求項3に記載のように、全体が透明な樹脂材で形成されていると、第1部材(内筒)(10)の表面に設けられている感温材(30)を視認し易いので、使用者は温度変化を容易かつ正確に視認することができる。
【0028】
また、樹脂材は加工が容易であるため、装飾加工等により器具の装飾性を高めることもできる。
さらに、樹脂材は金属材に比べ熱伝導率が低いので、第1部材(10)に温度の高い流体が接していたり、内筒(10)内部に温度の高い流体が流れていたりしていても、第2部材(外筒)(20)を樹脂材とすることにより、器具に断熱効果を与えることができ、やけどなどの危険を回避することもできる。
【0029】
また、請求項4に記載のように、第2部材(外筒)(20)は、第1部材(内筒)(10)の外表面の感温材(30)が視認できる、樹脂で構成された窓部(24)と、窓部(24)以外の金属で形成された金具部(20)と、から構成されていると、金属部分により第2部材(外筒)(20)が強化されるので、温度表示付き導水器具として強度が高くなる。
【0030】
また、配管(80)内を流れる流体の種類によっては樹脂が劣化する場合が考えられるが、そのような場合であっても、例えば、直接流体に触れる部分を金属製とすれば、樹脂が保護されるので、流体の種類に関係なく使用することができるようになる。
【0031】
また、請求項5に記載のように、第1部材(内筒)(10)が金属製であると、他の材料、例えば、プラスチックやゴムなどに比べ、熱伝導率が高いので、内部を流れる流体の温度の変化が感温材(30)に早く伝わるので、流体の温度変化をより早く認識することができる。
【0032】
また、請求項6に記載のように、第1部材(内筒)(10)をセラミック材で形成すると、熱伝導率は金属に比べて劣るものの、金属製の第1部材(内筒)(10)に比べ、より軽くすることができるので、扱い易い温度表示機能付き導水器具(1)とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】第1実施形態における温度表示機能付き導水器具1の概略の構成を示す構成図である。
【図2】第1実施形態において、導水器具1を混合栓5や蛇口7に取り付けた状態を示す図である。
【図3】内筒10の外観図である。
【図4】外筒20の金具部22の外観図である。
【図5】外筒20の窓部24の外観図である。
【図6】第2実施形態において、外筒20全体が透明な樹脂材で形成された温度表示機能付き導水器具3の概略の構成を示す構成図である。
【図7】第3実施形態において、温度表示機能付き導水器具1,3を配管80用の継ぎ手としたり、シャワーヘッド90用の継ぎ手としたりして用いた状態を示す図である。
【図8】第4実施形態において、温度表示機能付き導水器具をはめ込んだシャワーヘッド90の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明が適用された実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明の実施の形態は、下記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
[第1実施形態]
図1は、本発明が適用された温度表示機能付き導水器具1(以下、単に「導水器具1」とも呼ぶ)の概略の構成を示す構成図であり、図2は、導水器具1を混合栓5や蛇口7に取り付けた状態を示す図である。
【0035】
(温度表示機能付き導水器具1の構成)
導水器具1は、図1に示すように、内筒10、外筒20、感温シール30、泡沫部40、パッキン50、52及びOリング60を備えている。
【0036】
内筒10は、規格JIS H 3250の銅合金製であり、図3に示すように、軸方向の長さ20.5mmの円筒形状に形成されている。内筒10の図3中上側の一端はフランジになっており、フランジ部分の軸方向の厚さは1.5mm、外径は20.5mmとなっている。
【0037】
また、内筒10には、フランジが形成されている端部から厚さ3mmの部分に、軸方向外側から内側にかけて、φ16mmからφ5となるテーパが形成されている。
内筒10のフランジ部分以外の外径はφ18mmとなっており、フランジの反対端から深さ16mmに部分の内径は、16.6mmとなるように形成されている。また、外径がφ18mmに形成されている部分には、深さ0.5mm、軸方向の長さ9mmの切欠き部が設けられている。この切欠き部にテープ状のメタモカラー(登録商標)などの感温シール30を装着する。
【0038】
外筒20は、図1に示すように金具部22と窓部24とから構成される。
金具部22は、図4に示すように、規格JIS H 3250の銅合金製であり、軸方向の長さ16mm、外形φ24mm、内径22.3mmの円筒形状に形成されている。また、内壁面に、図4中上側の一端から7.5mmのところに、軸方向の幅2mm、内壁面からの高さ2.1mm(つまり、内径φ18.1)の凸部が設けられている。また、金具部22の内壁の凸部を除く部分(2箇所)は、M22×P1.25のネジ加工が施されている。
【0039】
また、外壁面には軸方向にローレット加工が施されており、円周方向に手動で回転させやすいようになっている。
窓部24は、図5に示すように、アクリルやポリカーボネートなどの合成樹脂製であり、軸方向の長さ17mm、外形φ20mm、内径φ18mmの円筒形状に形成されている。また、外壁面に図5中上側の一端から6.5mmのところに、軸方向の幅5mm、外壁面からの高さ2mm(つまり、外径φ24mm)の凸部が設けられている。また、窓部24の外壁の凸部を除く部分(2箇所)は、ネジ加工が施されている。
【0040】
泡沫部40は、図1に示すように、泡沫金具42と内心部44とから構成される。
泡沫金具42は、規格JIS H 3250の銅合金製であり、外筒20の金具部22と同様、外径φ24mm、内径φ22.3mmであり、内心部44は、円盤状に形成された網状の金具である。
【0041】
そして、図1に示すように、泡沫金具42の中心軸と内心部44の中心軸とが一致するように、泡沫金具42内部端に内心部44が装着され、泡沫金具42の内部を水が通過する際に、内心部44に網により温水が泡立てられ、外部に吐出される。
【0042】
なお、第1実施形態における各寸法は、JIS規格に規定された標準的な寸法を一例として示したものであり、第1実施形態に示した各寸法に限定されるものではなく、用途に応じて異なる寸法としてもよい。
【0043】
また、内筒10や外筒20の金具部22の材料は、規格JIS H 3250の銅合金だけでなく、真鍮など他の金属を用いてもよい。
(温度表示機能付き導水器具1の組立て)
導水器具1の組立てについて説明する。まず、図1に示すように、窓部24の外周にOリング60を装着し、窓部24のネジ部を金具部22の内側のネジ部にねじ込んで固定し、外筒20を組み立てる。
【0044】
次に、内筒10の外周の切欠き部に、テープ状の感温シール30を巻き付けるようにして装着する。そして、感温シール30を装着した内筒10を、フランジと反対端側から外筒20の金具部22の内部に図1中上側の端から挿入し、フランジが金具部22の内壁面の凸部に当接するまで押し込む。
【0045】
次に、泡沫部40の内心部44の排水口と反対側の面にパッキン50を装着し、パッキン50が内筒10のフランジと反対端に当接するように、窓部24を泡沫部40の泡沫金具42の内側にねじ込んで固定する。
【0046】
以上のようにして組み立てた導水器具1の金具部22の内側にパッキン52を、内筒10のフランジ部分に接するように挿入し、図2(a)及び図2(b)に示すように、混合栓5や蛇口7の吐水口に装着する。この際、混合栓5や蛇口7の吐水口が内筒10のフランジ部分に装着したパッキン52に当接するようにし、金具部22の内側のネジを吐水口のネジにねじ込んで装着する。
【0047】
(温度表示機能付き導水器具1の特徴)
以上のような温度表示機能付き導水器具1では、配管80内を流れる温水が、内筒10内に流れ込み、流れ込んだ流体の温度により内筒10の壁面の温度が変化する。すると、内筒10の外表面に配置された感温シール30の色が変化する。
【0048】
また、外筒20の金具部22及び窓部24が内筒10の外側に装着されており、窓部24によって、内筒10の外表面の感温シール30を視認することができる。
つまり、LEDなどの発光素子や制御装置あるいは配線といった部品を必要とせず、内筒10の外表面に感温シール30を配置し、それを外筒20でカバーするという簡単な構造により、配管80内を流れる温水の温度を確認することができる。
【0049】
また、パッキン50,52やOリング60によって、内筒10と外筒20の間には温水が浸透しないようになっている。したがって、温度表示機能付き導水器具1の使用中に、温水が内筒10と外筒20の間に浸透し、感温シール30を濡らすことがないので、感温シール30の成分が流体に溶け出して外部に流れ出すことがない。
【0050】
つまり、感温シール30の成分が台所や浴室流れ出すことがないので、感温シール30の成分に拘わらず、人体に悪影響を与えることがない安全なものとすることができる。
また、感温シール30が温水に濡れて劣化することを防止することができるため、感温シール30の寿命を長く保つことができる。
【0051】
また、外筒20は、内筒10の外表面の感温シール30が視認できる部分が樹脂、それ以外の部分が金属で形成されているので、金属部分により外筒20が強化されるので、温度表示付き導水器具として強度が高くなる。
【0052】
さらに、内筒10が金属製であるので、他の材料、例えば、プラスチックやゴムなどに比べ、熱伝導率が高い。したがって、内部を流れる温水の温度の変化が感温シール30に早く伝わるので、温水の温度変化をより早く認識することができる。
【0053】
また、内筒10には、フランジが形成されている端部から厚さ3mmの部分に、軸方向外側から内側にかけて、φ16mmからφ5となるテーパが形成されている。つまり、導水部が広く吐水部が狭くなっているので、節水効果も得ることができる。
[第2実施形態]
次に、図6に基づき、外筒20全体が透明な樹脂材で形成された温度表示機能付き導水器具3(以下、単に「導水器具3」とも呼ぶ)について説明する。第2実施形態における導水器具3の構成は、第1実施形態における導水器具1の構成と外筒20部分が異なるのみであるので、同じ構成品には同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0054】
導水器具3は、図6に示すように、外筒70の全体が円筒状の透明な樹脂材で形成されている。つまり、第1実施形態の導水器具1における外筒20の金具部22と窓部24とが透明な樹脂で一体成形されており、Oリング60が不要となったものである。
【0055】
このように、全体が透明な樹脂材で形成されていると、内筒10の外表面に設けられている感温シール30を視認し易いので、使用者は温度変化を容易かつ正確に視認することができ。
【0056】
また、樹脂材は加工が容易であるため、装飾加工等により器具の装飾性を高めることもできる。
さらに、樹脂材は金属材に比べ熱伝導率が低いので、内筒10内部に温度の高い流体が流れていても、外筒70を樹脂材とすることにより、器具に断熱効果を与えることができ、やけどなどの危険を回避することもできる。
[第3実施形態]
次に、図7に基づき、導水器具1,3を配管80用の継ぎ手としたり、シャワーヘッド90用の継ぎ手としたりして用いた第3実施形態について説明する。
【0057】
第1実施形態及び第2実施形態では、導水器具1,3を水道の混合栓5や蛇口7の吐水口に取り付けていたが、図7(a)に示すように、配管80の途中に継ぎ手として取り付けてもよい。
【0058】
この場合、泡沫部40の内心部44の代わりに、内筒10と同様の、配管80の端面と当接するテーパ部を設けた金具を泡沫金具42の内部に挿入し、泡沫金具42の内壁面にM22×P1.25のネジを形成し、配管80をねじ込むようにして装着する。
【0059】
このように、配管80用の継ぎ手として導水器具1,3を用いると、容易に配管80中に温度表示機能付きの導水器具(導水器具1,3)を装着することができ、長尺の配管80における温度を外部から容易に確認することができる。
【0060】
また、図7(b)に示すように、シャワーヘッド90の配管80との継ぎ手部分に導水器具1,3を装着してもよいし、図7(c)に示すように、シャワーヘッド90の一部に導水器具1,3を組み込むようにしてもよい。
[第4実施形態]
次に、図8に基づき、ジャワーヘッドの背部に、温度表示機能付き導水器具をはめ込む形とした第4実施形態について説明する。図8(a)は、温度表示機能付き導水器具をはめ込んだシャワーヘッド90の断面図であり、図8(b)は、図8(a)のA部の拡大図である。
【0061】
第1実施形態〜第3実施形態では、内筒10や外筒20を円筒状に形成したが、第4実施形態では、図8に示すように、内筒10、外筒20の代わりに円盤状に形成した第1部材10及び第2部材20を用いている。
【0062】
第1部材10は、図8(b)に示すように、規格JIS H 3250の銅合金を薄板の円盤状(直径φ19mm×厚さt1mm)に形成した部材である。また、円盤状に形成した第1部材10の片面の中心付近に、水溶性液晶インクやサーモクロミックインク(登録商標)を混合した顔料を塗布したり、吹き付けたりしている。
【0063】
第2部材20は、アクリルやポリカーボネートなどの樹脂製の材料を薄板の円盤状(直径φ20mm×厚さt1mm)に形成した部材である。なお、第2部材20の外周部の1部には、直径方向の深さ0.5mm、周囲方向の長さ5mmの切欠きが設けられている。
【0064】
シャワーヘッド90の吐水口94の背面部には、直径φ20mm×深さ3mmの穴部92を設ける。穴部92の中心は、φ10mmの配管部に対する貫通穴となっている。つまり、穴部92の底面は、幅5.1mmの肩部となっている。
【0065】
この肩部にリング状のパッキン52を装着し、その上(シャワーヘッド90の配管部と反対側)に第1部材10を装着する。さらにその上にリング状のパッキン50を装着し、その上に第2部材20を穴部92の開口部に押さえつけるようにしてはめ込んで、固定する。
【0066】
このような構成の温度表示機能付き導水器具3では、第1部材10が、シャワーヘッド90の配管部内を流れる温水が直接接し、温水が配管部の外部に漏洩しないようにパッキン52で封止されている。また、仮に、パッキン52から温水が漏洩しても、パッキン50があるため、第1部材10と第2部材20との間に温水が浸透することがない。したがって、第1実施形態〜第3実施形態と同様な効果を得ることができる。
【0067】
なお、シャワーヘッド90から第2部材20を取り外す場合には、第2部材20に設けた切欠き部分に、例えば、マイナスドライバーの先端を挿入してこじ開けるようにして取り外すことができる。
【0068】
なお、円盤状に形成した第1部材10の片面の中心付近に、水溶性液晶インクやサーモクロミックインク(登録商標)を混合した顔料を塗布したり、吹き付けたりする代わりに、メタモカラー(登録商標)のような感温シール30を貼り付けてもよい。
[その他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、本実施形態に限定されるものではなく、種々の態様を採ることができる。
【0069】
(1)上記実施形態では、内筒10(第1部材10)を金属製としていたが、内筒10(第1部材10)をセラミック材で形成してもよい。
内筒10(第1部材10)をセラミック材で形成すると、熱伝導率は金属に比べて劣るものの、金属製の内筒10(第1部材10)に比べ、より軽くすることができるので、扱い易い温度表示機能付き導水器具1,3とすることができる。
【0070】
(2)上記第1〜第3実施形態では、テープ状の感温シール30を内筒10の外表面に巻き付けたていたが、水溶性液晶インクやサーモクロミックインク(登録商標)を混合した顔料を内筒10の外表面に塗布したり、吹き付けたりしてもよい。
【0071】
(3)上記第1〜第3実施形態では、内筒10や外筒20を円筒状に形成したが、円筒以外にも、流体が流れる方向と垂直方向の断面が三角や四角あるいはそれ以上の多角形の筒状に形成されていてもよい。
【0072】
また、第4実施形態においては、第1部材10や第2部材20を円盤状に形成したが、円盤状以外にも、多角形状に形成してもよい。
(4)上記第1〜第4実施形態では、配管80内(内筒10内)を流れる流体を温水として説明したが、他の液体、例えば、硫酸化合物や硫酸化合物、石油、アルコールなどであってもよい。また、液体以外にも、小麦粉や米粉などの粉体であってもよい。
【0073】
(5)上記実施形態では、樹脂材として、アクリルやポリカーボネートを用いたが、強度や人体に対する安全性が確保できるものであれば他の樹脂であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1,3…温度表示機能付き導水器具(導水器具)、5…混合栓、7…蛇口、10…内筒(第1部材)、20…外筒(第2部材)、22…金具部、24…窓部、30…感温シール、40…泡沫部、42…泡沫金具、44…内心部、50、52…パッキン、60…Oリング、70…外筒、80…配管、90…シャワーヘッド、92…穴部、94…吐水口。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管に装着され、配管内を流れる流体の温度を表示する温度表示機能付き導水器具であって、
前記配管内を流れる流体が直接接し、前記流体が前記配管の外部に漏洩しないように封止する第1部材と、
前記第1部材の前記流体が接する面と反対面の少なくとも一部に配置された、温度により変化する感温材と、
前記第1部材の前記流体が直接接する面と反対面側に配置され、前記感温材を視認することができるように構成されている第2部材と、
前記第1部材から前記配管内の流体が漏洩した場合に、前記第1部材と前記第2部材の間に前記流体が浸透しないように前記第1部材と前記第2部材の間に装着される密封手段と、
を備えたことを特徴とする温度表示機能付き導水器具。
【請求項2】
請求項1に記載の温度表示機能付き導水器具において、
前記第1部材は、
前記配管内を流れる流体が内部に流れる筒状に形成された内筒であり、
前記感温材は、前記内筒の外表面の少なくとも一部に配置され、
前記第2部材は、筒状に形成され、中心軸線が前記内筒の中心線が一致するように、前記内筒の外側に装着されている外筒であることを特徴とする温度表示機能付き導水器具
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の温度表示機能付き導水器具において、
前記第2部材は、全体が透明な樹脂材で形成されることにより、前記第1部材の表面に配置された前記感温材を視認することができることを特徴とする温度表示機能付き導水器具。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載の温度表示機能付き導水器具において、
前記第2部材は、前記第1部材の表面に配置された前記感温材が視認できる、樹脂で構成された窓部と、前記窓部以外の、金属で形成された金具部と、から構成されることを特徴とする温度表示機能付き導水器具。
【請求項5】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の温度表示機能付き導水器具において、
前記第1部材は、金属製であることを特徴とする温度表示機能付き導水器具。
【請求項6】
請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の温度表示機能付き導水器具において、
前記第1部材は、セラミック材で形成されていることを特徴とする温度表示機能付き導水器具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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