説明

温水洗浄便座のノズルユニット

【課題】局部洗浄用ノズルを複数に多段化して局部洗浄用ノズルの全長を短くし、かつ、洗浄ノズル体、ノズルガイド等の間のシール性を必要とすることなく、また、可撓性ホースを含めた稼動部を極力小さくし、前記可撓性ホースに入るストレスを軽減すること。
【解決手段】収容部70の入口の少なくとも可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60は、アーム51に取り付けられたローラ55を介して可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する構成としているから、下側ローラ60上の可撓性ホース10に下方向の力が作用しても、下側ローラ60の回転によって可撓性ホース10が移動自在となるものであるから、可撓性ホース10には格別大きな摩擦力が加わることなく、可撓性ホース10に部分的に歪が入ること、傷が付くことがなくなり、低摩擦によって移動自在となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体局部を洗浄して、衛生的、かつ、快適にする温水洗浄便座のノズルユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の温水洗浄便座のノズルユニットの主流は、特許文献1に示されるようなラック&ピニオン方式と呼ばれ、モータの動力をタイミングベルトに伝達し、タイミングベルトの移動に伴って局部洗浄用ノズルが前後移動するものである。この温水洗浄便座のノズルユニットでは、局部洗浄用ノズルのストロークが、そのままラックの前後移動の動作領域となる単段構成の長い局部洗浄用ノズルが用いられている。
特に、局部洗浄用ノズルは、便座着座部と便器の合わせ面に対して数十度傾斜した状態で進退動作をするため、収納時には進退する前後方向だけではなく、高さ方向にも大きなスペースが必要となる。
【0003】
また、特許文献2では、ワイヤまたは板バネの一端を局部洗浄用ノズルの後部に固定し、他端を回転ドラムの外周上に固定して、回転ドラムをモータ駆動することで局部洗浄用ノズルを伸縮させる方法を開示している。この方式では、局部洗浄用ノズルの伸縮時のガイドとなるシリンダの先端部に洗浄水の供給口を設置し、局部洗浄用ノズル外周をシールしてシリンダ内を摺動させ、局部洗浄用ノズルが洗浄位置まで伸長した後に、局部洗浄用ノズル内の水路と洗浄水供給口が連通し、洗浄水が噴出する構造になっている。この種の構造の温水洗浄便座のノズルユニットの場合には、洗浄水の供給路を連通・遮断するために、局部洗浄用ノズルとシリンダの間を摺動しても水漏れが生じないシール機構が必要である。
【特許文献1】特開平11−71800号公報
【特許文献2】特開平05−179684号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1の場合、局部洗浄用ノズルのノズル自体にラックを付設して動作させる構造が最も簡単であるが、局部洗浄用ノズルが動作する間は常にギヤが歯み合う必要があるので、必然的に局部洗浄用ノズルは単段構成でなければならず、多段化による小型化は困難である。仮に、ノズル自体とラックを分離し、局部洗浄用ノズルを多段化したとしても、局部洗浄用ノズルの伸縮長さ分のラックがノズル収納時にノズル後部に突き出す形状となるため、ノズルユニットの全長及び高さ方向のスペースを小さくすることは殆どできない。
【0005】
また、特許文献2の場合、局部洗浄用ノズルを伸縮させるワイヤまたは板バネは回転ドラムに巻き付けられる形で収納されるから、特許文献1の場合のようなスペース上の問題は無くなるが、局部洗浄用ノズルとシリンダの間に摺動シールが必要となり、シ−ルが磨耗すると洗浄水圧の供給の際に、シール部からの漏れに起因する水圧の低下や周辺部品へ悪影響を与える危険性も予測される。
更に、この局部洗浄用ノズルとシリンダ間の摺動による負荷が、経年変化により増大すると、モータトルクが経年変化と共に増大することになるから、モータの出力を予め大きく設計せざるを得なくなる。当然ながら、この構造では局部洗浄用ノズルを多段化すると摺動シールが段数nに応じて少なくともn−1必要になり、上述した欠点が更に助長され、それらを考慮した設計を成立させるのは非常に困難である。
加えて、局部洗浄用ノズルのノズル自体にラックを付設する構造が簡単であるものの、その構造を用いて局部洗浄用ノズルのノズル自体を後退させるとき、一直線上を後退させる場合には問題にならなくとも、前記ラックと可撓性ホースとの曲率を変えると進退速度、即ち、進退距離が異なり、その可撓性ホースにストレスが入ることになるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明はこれらの問題点を解消すべく、局部洗浄用ノズルを複数に分割してなる洗浄ノズル体、インナノズルガイド、アウタノズルガイド等の間のシールを必要とすることなく、また、多段化して局部洗浄用ノズルの全長を短くし、かつ、可撓性ホースを含めた稼動部を極力小さくし、前記可撓性ホースに入るストレスを軽減した温水洗浄便座のノズルユニットの提供を課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の温水洗浄便座のノズルユニットにおいて、テレスコープ状に伸縮する径の異なるノズルガイド及び噴出孔が形成された洗浄ノズル体を有し、かつ、洗浄ノズル体が便器に対して取り付けられたハウジングの一方側に位置し、便器の便鉢部を指向するように前記ハウジングに移動自在に取り付けられた局部洗浄用ノズルと、前記ハウジングの反便鉢部側に配設され、円弧状のガイド面及び収容部が形成されたガイドと、前記ガイドのガイド面に沿って配設され、一端部が前記洗浄ノズル体に接続されたラックと、前記ラックと噛合し、モータが回転したときに前記ラックを前記ガイド面に沿って移動させるピ二オンと、一端部が前記ハウジングに枢着され、他端部に前記ラックの他端部を接続し、前記ラックの移動時に前記回動軸を中心に回動して前記ラックとの接続部分を移動するアームと、一端部が前記洗浄ノズル体に給水するように連結され、他端部が前記収容部から延出して給水源に連結され、その中間部が前記アームによって前記収容部に収容される可撓性ホースと、前記ガイドの前記収容部側に位置するように前記可撓性ホースの下側に配設された下側ローラとを具備するものである。
ここで、上記ラックは、モータの回転によって回転させられるピニオンと噛み合って、自己の弾性により往復運動可能であり、かつ、アーム等で巻回できる屈曲可能な材質からなるものである。上記局部洗浄用ノズルは、多段化して全長を短くし、そのうちの先端位置にある洗浄ノズル体のみに対して前記ラックの一端を接続し、最先端の洗浄ノズル体の移動に伴って伸縮自在としたものである。上記可撓性ホースは、前記局部洗浄用ノズルに一端を取り付け、モータの回転によって回転させられるピニオンと噛み合って往復運動するラックの移動に追随するもので、湾曲、巻回可能な材質からなるものである。更に、上記収容部は、前記ラックの他端部及び前記可撓性ホースを保持するアームによって、前記ラック及び前記可撓性ホースの往復動を前記ラック及び前記可撓性ホースが曲面に沿って移動させることにより、少なくとも前記可撓性ホースの一部、即ち、前記可撓性ホースの一部または前記ラック及び前記可撓性ホースの一部を収容するものである。そして、前記アームは、前記ラック及び前記アームが曲面を移動でき、回動自在の構造であればよい。この前記ラック及び前記可撓性ホースが曲面に沿って移動自在とは、前記ラック及び前記可撓性ホースの内側で移動してもよいし、外側で移動しても良い。また、上記収容部とは、その収容しようとする少なくとも前記可撓性ホースが離脱しない空間であればよく、前記可撓性ホースが解放されているか否かを問うものではない。更に、上記下側ローラは、前記収容部の入口の少なくとも前記アームが枢着された側に配設されたものであり、回転によって前記可撓性ホースの移動を自在とするものであればよい。好ましくは、その長さの中央の径が外側の径よりも小さいのが望ましい。
【0008】
請求項2の温水洗浄便座のノズルユニットの前記収容部の入口の少なくとも前記アームが枢着された側に配設された下側ローラは、対向する位置に上側ローラを配設するものであり、前記可撓性ホースの下側及び上側をガイドし、他の構成部材との接触を回避するものである。したがって、前記アームが枢着された側に配設された下側ローラは、前記可撓性ホースの移動の際の摩擦抵抗を低減させる構造であればよい。そして、前記収容部の入口とは、局部洗浄用ノズルと収容部との間に位置すればよく、厳格に位置を定められるものではない。
【0009】
請求項3の温水洗浄便座のノズルユニットの前記下側ローラ及び/または上側ローラは、その長さ方向の中央が外側に比較して小径となっているものである。ここで、長さ方向の中央が外側に比較して小径となっている下側ローラ及び上側ローラとは、その長さ方向の中央が外側に比較して小径とすることによって、前記可撓性ホースの移動方向を正確にし、前記可撓性ホースの一部に歪を生じさせ難くしたものであればよい。
【0010】
請求項4の温水洗浄便座のノズルユニットの前記局部洗浄用ノズルは、下部が開口した略C字状の断面を有するノズルガイドで構成したものである。ここで、本発明を実施する場合のノズルガイドは、筒状ガイドでもよいが、この略C字状の断面を有するノズルガイドであれば、軽量化が図れる。
【0011】
請求項5の温水洗浄便座のノズルユニットの前記アームに対する前記可撓性ホースの取り付けは、前記アームに取り付けられたローラ軸を介して前記可撓性ホースを2つにU字状に湾曲して、その間を回動する構成としたものである。ここで、前記可撓性ホースをU字状に湾曲するとは、前記ローラ軸の径によって変化するが、可動滑車のように変位する側が前記可撓性ホースの変量の約1/2になるように構成できればよい。
【発明の効果】
【0012】
請求項1にかかる温水洗浄便座のノズルユニットは、多段化して全長を短くし、そのうちの先端位置にある洗浄ノズル体に対して、モータの回転によって回転させられるピニオンと噛み合って往復動する屈曲可能な材質からなるラックの一端を取り付け、かつ、局部洗浄用ノズルに連結した洗浄水供給用の可撓性ホースの他端を保持し、前記ラック及び前記可撓性ホースの往復動を曲面に沿って移動自在とすることにより、それらを収容部に収容自在としたものである。ここで、収容部に対する収容は、ラックの他端部を保持し、前記ラックの往復動を一端が所定の部位に枢着されたアームの端部が曲面に沿って行い、同時に、前記可撓性ホースは前記アームで移動自在にガイドされ、少なくとも前記可撓性ホースの一部を収容するものである。このとき、前記アームが枢着された前記収容部の入口側に配設された下側ローラは、前記可撓性ホースの下側に位置するものである。
したがって、多段化して全長を短くした局部洗浄用ノズルによって、従来の局部洗浄用ノズルが占めていた便座本体の略中央部の収容部からなる空間を大幅に縮小することが可能となる。また、前記ラック及び前記可撓性ホースの往復動を曲面に沿って移動自在とし、それらを収容部に収容自在としたものであるから、洗浄便座内部への機能部品の配置が容易になり、結果として洗浄便座本体の大きさを小さくすることができる。これによりトイレ内の便器周りのスペースを広くすることができ、室内での圧迫感を和らげると同時に洗浄便座本体を含めた便器廻りの清掃を楽に行うことができる。そして、機構中の可動部分に摺動するシール部が存在しないことから、シールの磨耗による水漏れ等の性能低下を極力抑えることができ、洗浄便座本体の信頼性を向上させることができる。更に、前記ラック及び前記可撓性ホースの往復動を曲面に沿って移動自在としているから、前記ラックと前記可撓性ホースとの曲率の違いによりそれらの進退速度が異なるが、前記アームが枢着された前記収容部の入口側に配設された下側ローラは、前記可撓性ホースの移動をスムーズにすることができ、かつ、前記可撓性ホースに入るストレスを軽減することができる。
【0013】
請求項2にかかる温水洗浄便座のノズルユニットの前記収容部の入口の少なくとも前記アームが枢着された側に配設された下側ローラは、前記可撓性ホースの下側をガイドするものであり、かつ、上側ローラは、上方に湾曲することに対して規制するものであるから、請求項1に記載の効果に加えて、前記可撓性ホースの進退、特に、後退する摩擦抵抗を低減させることができる。
【0014】
請求項3にかかる温水洗浄便座のノズルユニットの前記下側ローラ及び/または前記上側ローラは、その長さ方向の中央が外側に比較して小径となっており、長さ方向の中央が外側に比較して小径となっているから、請求項1または請求項2に記載の効果に加えて、下側ローラ及び上側ローラは、前記可撓性ホースの移動方向を正確にでき、前記可撓性ホースに歪を生じさせ難くすることができる。
【0015】
請求項4にかかる温水洗浄便座のノズルユニットの前記局部洗浄用ノズルは、下部が開口した略C字状の断面を有するノズルガイドで構成したものであるから、請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の効果に加えて、略C字状の断面を有するノズルガイドであるから軽量化が図れる。
【0016】
請求項5にかかる温水洗浄便座のノズルユニットの前記アームに対する前記可撓性ホースの取り付けを、前記アームに取り付けられたローラ軸を介して前記可撓性ホースを2つに曲げて、その間を回動する構成としたものであるから、請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の効果に加えて、前記ラックと前記可撓性ホースとの曲率の違いを略等しい値に修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明の実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニットについて、図を用いて説明する。なお、本実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニットは、2連構造としたものであるから、左右に同一構造のピニオン、ラック、局部洗浄用ノズル、可撓性ホース等を有するものである。しかし、説明を簡単化するため、ここでは、特別、左右の特定部品を示すものでない限り、単に両者の共通機能部品であることを示すR、Lを省略した番号及び符号のみで表現する。また、実施の形態2以降について、実施の形態1の部分と同一記号及び同一符号は、実施の形態1と同一または相当する機能を意味するものであるから、ここでは重複する説明を省略する。
[実施の形態1]
【0018】
図1は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの温水洗浄便座の構成を示す平面図で、図2はその正面図である。図3は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納した構成を示す斜視図、図4は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図、図5は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納する動作状態を説明する要部拡大断面図、図6は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの構成を示す局部洗浄用ノズルを最大長に伸ばした状態の全体斜視図、図7は図6に示す本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを伸長したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図である。また、図8は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの収容部の入口に配設した下側ローラと可撓性ホースとの関係を示す要部説明図で、(a)は下側ローラと可撓性ホースとの関係、(b)は上側及び下側ローラと可撓性ホースとの関係、(c)上側ローラと下側ローラの位置をずらせた場合の可撓性ホースとの関係を示すものである。
【0019】
図1及び図2において、便座20は図示しない便器に配置されるものであり、便蓋21は便座20の上に位置し、開閉自在に取り付けられている。装置収納部22は上部カバー及び図示しない便器に取り付けるベース部材からなり、本実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニット1を収容すると共に、コントローラ23、外部から供給される洗浄水の可撓性ホース24及び必要数のバルブ等を収容している。
【0020】
図3乃至図7において、本実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニット1は、3段構成の先端位置にある洗浄ノズル体2、洗浄ノズル体2を収容するインナノズルガイド3、インナノズルガイド3を収容するアウタノズルガイド4、アウタノズルガイド4を取り付けたハウジング15に接続した一対のガイド50、ハウジング15に枢着されたピニオン6、ピニオン6を回転させるモータ7、ガイド50に回転自在に取り付けられたアーム51、一端を洗浄ノズル体2に取り付け、他端をアーム51に固着したピニオン6と噛み合うラック9、一端を洗浄ノズル体2に取り付け、他端をアーム51に固定しないように取り付けた可撓性ホース10、アーム51に取り付けられた可撓性ホース10に接続され、常に、ラック9及び可撓性ホース10を巻き付ける方向に回転力を付勢されているリテンションスプリング59によって構成されている。
【0021】
ここで、3段構成の先端位置にある洗浄ノズル体2、インナノズルガイド3、アウタノズルガイド4は、本実施の形態の局部洗浄用ノズル13を構成し、インナノズルガイド3、アウタノズルガイド4は、ノズルガイドを構成している。また、局部洗浄用ノズル13は、テレスコープ状に伸縮する径の異なるインナノズルガイド3、アウタノズルガイド4からなるノズルガイド及び噴出孔が形成された洗浄ノズル体2を有し、かつ、洗浄ノズル体2が前記ハウジング15の一方側に位置する便器の便鉢部を指向するように前記ハウジング15に移動自在に取り付けられている。
アーム51はアウタノズルガイド4等を固定する図示しない便器に対して取り付けられたハウジング15にアーム補助部材53を介して取り付けられている。取り付け片17はハウジング15と一体に形成され、装置収納部22のべ一ス部材にボルト・ナットで締め付けられ、堅固に取り付けられる。
【0022】
一対のガイド50は、ラック9を案内する円弧状のガイド面50aと可撓性ホース10を収容する収容部70との間を遮断する扇状の仕切り板50bで形成されている。本実施の形態では、ガイド50は、図5(a)に示すように、断面L字状を呈しているが、本発明を実施する場合には、隣との間を遮断する扇状の仕切り板50bが共通することになるので、断面T字状とし、共通部品とすることができる。即ち、図5(b)に示すように、1個のガイド50は、ラック9Rを案内する円弧状のガイド面50aRと、ラック9Lを案内する円弧状のガイド面50aLと、可撓性ホース10を収容する収容部70との間を遮断する扇状の仕切り板50bで形成することができる。
即ち、ガイド50には、ハウジング15の反便鉢部側に配設され、上面側及び下面側に円弧状のガイド面50a及び収容部70が形成されている。また、ラック9は、ガイド50のガイド面50aに沿って配設され、一端部が前記洗浄ノズル体2からなる洗浄ノズル体に接続されている。そして、ピ二オン6は、ラック9と噛合し、モータ7が回転したときにラック9をガイド面50aに沿って移動させるものである。
【0023】
アーム51は、アーム補助部材53の先端に回動軸57で枢着され、回動自在に取り付けられている。そのアーム本体51bはその長さを得るものであり、固着部51aはラック9と堅固に固着している部分である。
アーム補助部材53はハウジング15に対し固定軸52によって枢着されている。この枢着は、外力が大きいときに移動する程度で、通常、本実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニット1の動作中に動くことはない。即ち、組立またはメンテナンスの際に回動させるものである。また、アーム補助部材53には、ホース保持片54が形成されていて、このホース保持片54で可撓性ホース10を保持し、外部に導出する構造となっている。なお、本発明を実施する場合には、アーム補助部材53はハウジング15と一体に形成してもよいし、アーム51と一体に形成してもよい。いずれにせよ、ラック9を案内する円弧状のガイド面50aの距離によって決定される。
【0024】
アーム補助部材53の回動軸57は、アーム51が120〜150度の角度だけ回動自在になっている。勿論、本実施例では、図3及び図4に示す矢印の右回転方向の弾性力を付与するように、リテンションスプリング59で、アーム補助部材53とアーム51とを弾性結合している。なお、本実施例では、図3及び図4に示す矢印の右回転方向の弾性力を付与するリテンションスプリング59を用いているが、本発明を実施する場合には、必ずしもリテンションスプリング59の使用が前提となるものではない。スプリングの形態を変更することは勿論、モータで駆動するものであってもよい。
アーム51には、回転自在なローラ55を取り付けたローラ軸56が配設され、ローラ軸56には、可撓性ホース10が掛けられている。即ち、可撓性ホース10の一端は、洗浄ノズル体2の端部の洗浄水供給口2bに接続され、ローラ軸56のローラ55にガイドされて、ホース保持片54を通り、外部に取り出されている。
【0025】
アーム51の自由端には、ラック9の端部が堅固に固着されている。したがって、モータ7の回転によってピニオン6を回転し、ラック9が局部洗浄用ノズル13の反対方向側に移動させると、アーム51は回動軸57を中心に回動する。このラック9はアーム51によって移動する軌跡が決定されているから、ガイド50の外側のガイド面50aに添って(接触して)移動する。同時に、ローラ軸56が配設されたアーム51は、ローラ軸56に可撓性ホース10が掛けられているから、可撓性ホース10を洗浄ノズル体2の洗浄水供給口2bを右方向に移動させるように引っ張る。このとき、ローラ軸56のローラ55によって可撓性ホース10が移動させられるので滑らかな移動が可能となる。
即ち、アーム51は、一端部が前記ハウジング15の所定の支軸61に枢着され、他端部にラック9の他端部を接続し、ラック9の移動時に回動軸57を中心に回動してラック9との接続部分を移動するものである。
【0026】
ところが、ラック9の移動をアーム51の角度θで表現すると、その半径をMとすれば、2Mπθ/360となる。ローラ軸56の移動をアーム51の角度θで表現すると、その半径をNとすれば、2Nπθ/360となる。ラック9の往復動を曲面に沿って移動自在として収容部70におけるラック9の移動距離は、ピニオン6の回転によって2Mπθ/360だけ移動し、また、アーム51の角度θによって、可撓性ホース10が2Nπθ/360だけ移動するが、実際に洗浄ノズル体2に接続されたラック9の移動量は、可撓性ホース10の移動量に等しいから、2Mπθ/360−2Nπθ/360(ただし、M>N)だけ先に可撓性ホース10が移動し、その後に、ローラ軸56が移動することになる。
【0027】
ここで、ローラ軸56は可撓性ホース10を2つにU字状に曲げて、その中間を回動する構成になっているから、ローラ軸56からすれば、相対的に2(2Nπθ/360)=2Mπθ/360の速度となって均衡が保てる。2(2Nπθ/360)≠2Mπθ/360であっても、2(2Nπθ/360)≒2Mπθ/360であれば、ローラ軸56のローラ55の回転がそれを補正し、2(2Nπθ/360)=2Mπθ/360と同様の動作となる。
【0028】
ローラ軸56は、図8(a)に示すように、枢着された回動軸57を中心として回動するから、ラック9の往復動を曲面に沿って移動自在として収容部70に可撓性ホース10を収容する。このとき、収容部70の入口にある可撓性ホース10は、アーム51の回動に伴い大小の違いがあるものの下方向の力を受ける。このとき、収容部70の入口の少なくともアーム51が枢着された側の可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60は、その支軸61に回動自在に軸支されているから、可撓性ホース10には格別大きな摩擦力が加わることなく、下側ローラ60の回転によって移動自在となるものであるから、可撓性ホース10に部分的に歪が入ること、傷が付くことがなくなり、回転移動という低摩擦によって移動自在となる。
即ち、可撓性ホース10は、一端部が洗浄ノズル体2に給水するように連結され、他端部が収容部50bから延出して給水源に連結され、その中間部がアーム51によって収容部70に収容されている。
【0029】
このように、収容部70の入口の少なくともアーム51が枢着された側の可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60は、その支軸61に回動自在に軸支されているから、アーム51に対する可撓性ホース10の取り付けは、アーム51に取り付けられたローラ55を介して可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する構成としても、下側ローラ60の回転によって可撓性ホース10が移動自在となるものであるから、可撓性ホース10には格別大きな摩擦力が加わることなく、可撓性ホース10に部分的に歪が入ること、傷が付くことがなくなり、回転移動という低摩擦によって移動自在となる。
特に、その長さ方向の中央が外側に比較して小径となっていることから、可撓性ホース10の安定した搬送が可能となり、可撓性ホース10が左右に接触し難くなる。
【0030】
本実施の形態では、収容部70の入口の少なくとも下側に下側ローラ60を配設する事例で説明したが、図8(b)に示すように、容部70の入口のアーム51が枢着された側の可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60d及びその反対側に対向して上側ローラ60uが支軸61dと支軸61uに回動自在に軸支されており、しかも、その長さ方向の中央が外側に比較して小径となっていることから、可撓性ホース10の安定した搬送が可能となり、可撓性ホース10が左右、上下の構造体に接触し難くなり、収容部70に対して安全な収納が可能となる。
【0031】
また、図8(b)では、水平に対して垂直方向に一致させて下側ローラ60d及び上側ローラ60uを配設する事例で説明したが、図8(c)に示すように、水平に対して垂直方向に一致させることなく、下側ローラ60dと上側ローラ60uを配設することもできる。この実施例では、可撓性ホース10の安定した搬送が可能となり、可撓性ホース10が左右、上下に接触し難くなり、収容部70に対して安全な収納が可能となる。また、上側ローラ60uの位置によって、収容部70側に可撓性ホース10を導くことができる。
【0032】
次に、本実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニット1の収納動作について説明する。
図6の状態において、モータ7によってピニオン6を反時計方向に回転させると、ピニオン6と噛み合ったラック9が引き戻され、嵌合した洗浄ノズル体2とインナノズルガイド3が一体となってアウタノズルガイド4内に収容されて収縮する。そして、洗浄ノズル体2の外周面の突起部2dがインナノズルガイド3の内周面上に形成された当接部3eと当接し、双方の相対移動となる。この時、モータ7の回転によってピニオン6が回転し、ラック9を局部洗浄用ノズル13の反対方向側に移動させる。アーム51にはラック9が固着されているから、ラック9はアーム51を右方向に回動させる。アーム51の回動により、ガイド50の外側面のガイド面50aに添ってラック9は移動する。
【0033】
このとき、ラック9の移動をアーム51の角度θで表現すると、その半径をMとすれば、2Mπθ/360となる。洗浄ノズル体2に接続されたラック9の移動は、可撓性ホース10の移動量に等しいから、可撓性ホース10の洗浄ノズル体2側も2Mπθ/360だけ移動する。しかし、ローラ軸56は、可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する構成になっているから、他端が固定と仮定すれば、ローラ軸56は2(2Nπθ/360)移動する能力があるから、2(2Nπθ/360)≒2Mπθ/360と設定すれば、ローラ軸56のローラ55の回転がそれを補正し、2(2Nπθ/360)=2Mπθ/360と同様に、可撓性ホース10を収容部70側に導くことができる。他端が可動であれば、不足分または余剰分だけ変化させることができるから、より有利になる。
【0034】
そして、収容部70の入口の少なくともアーム51が枢着された側の可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60は、アーム51に取り付けられたローラ55を介して可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する構成としているから、下側ローラ60上の可撓性ホース10には下方向の力が作用するが、下側ローラ60の回転によって可撓性ホース10が移動自在となるものであるから、可撓性ホース10には格別大きな摩擦力が加わることなく、可撓性ホース10に部分的に歪が入ること、傷が付くことがなくなり、回転移動という低摩擦によって移動自在となり、可撓性ホース10を痛めることがない。
【0035】
更に、モータ7によってピニオン6を反時計方向に回転させると、局部洗浄用ノズル13の収納動作は、インナノズルガイド3の後端がアウタノズルガイド4とハウジング15の当接部15dに当たるまで右方向に移動し、アウタノズルガイド4の端部が当接部15dに当たって停止するまで、局部洗浄用ノズル13の収縮動作をする。この時、アーム51は、リテンションスプリング59の弾性力によってラック9及び可撓性ホース10をガイド面50aに添って巻き取る方向に回転し、ラック9は勿論、可撓性ホース10も撓むことなくガイド面50a内の可撓性ホース10を収容する収容部70に収納される。
【0036】
逆に、図3の状態において、モータ7によってピニオン6を時計方向に回転させると、ピニオン6と噛み合ったラック9が左方向に移動し、嵌合した洗浄ノズル体2とインナノズルガイド3が個々に左方向に移動し、アウタノズルガイド4内から便鉢内方向に伸長される。そして、洗浄ノズル体2の外周面の突起部2eがインナノズルガイド3の内周面上に形成された当接部3eと当接し、双方の相対移動が制限される。この時、モータ7の回転によってピニオン6が回転し、ラック9を局部洗浄用ノズル13の方向側に移動させる。アーム51にはラック9が固着されているから、ラック9はアーム51を左方向に回動させる。アーム51の左方向の回動により、ガイド50のガイド面50aに添ってラック9は移動する。同時に、ローラ軸56が配設されたアーム51は、ローラ軸56のローラ55に可撓性ホース10が掛けられているから、それを弛ませるように移動する。
【0037】
更に、モータ7によってピニオン6を時計方向に回転させると、局部洗浄用ノズル13の便鉢内方向への伸長動作は、洗浄ノズル体2の外周面の突起部2eがインナノズルガイド3の内周面上に形成された当接部3eと当接し、かつ、ローラ軸56に配設されたローラ55がハウジング15にと当接して停止するまでアーム51が左方向に回動、局部洗浄用ノズル13の伸長動作をする。この時、アーム51は、リテンションスプリング59の弾性力によってラック9及び可撓性ホース10をガイド面50aに添って巻き取る方向(反対方向)に回転しようとするから、ラック9は勿論、可撓性ホース10も撓むことなくガイド面50a内から送出される。このときも、図8(b)と図8(c)に示すように、収容部70の入口の可撓性ホース10の下側に下側ローラ60d及びその反対側に対向して上側ローラ60uが配設されていれば、可撓性ホース10の安定した搬送が可能となり、可撓性ホース10が左右、上下に接触し難くなり、アウタノズルガイド4側に対して安全な搬送が可能となる。
【0038】
上記実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニット1は、3段構成の先端位置にある洗浄ノズル体2、洗浄ノズル体2を収容するインナノズルガイド3、インナノズルガイド3を収容するアウタノズルガイド4を筒状のものとした。
また、前述したように、洗浄ノズル体2に接続されたラック9の移動は可撓性ホース10の移動量に等しく、ラック9の軌跡による移動距離とローラ軸56による可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する移動距離は、2(2Nπθ/360)≒2Mπθ/360と設定できるから、可撓性ホース10を収容部70側に導くことができ、かつ、アウタノズルガイド4側に対しても安全な搬送が可能となる。
したがって、本発明を実施する場合には、3段構成の先端位置にある洗浄ノズル体2を収容するインナノズルガイド3、インナノズルガイド3を収容するアウタノズルガイド4を下部が開口した略C字状の断面を有するノズルガイドとすることができる。
[実施の形態2]
【0039】
図9は本発明の実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを伸長したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図で、図7に相当する断面図である。
本実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1は、3段構成の先端位置にある洗浄ノズル体2は両端を封止した略筒状であるが、洗浄ノズル体2を収容するインナノズルガイド3、インナノズルガイド3を収容するアウタノズルガイド4は、下部が開口した略C字状の断面を有するノズルガイドである。
【0040】
本実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1として、下部が開口した略C字状の断面を有するノズルガイドの使用が可能であるのは、洗浄ノズル体2に接続されたラック9の移動は可撓性ホース10の移動量に等しく、ラック9の軌跡による移動距離とローラ軸56による可撓性ホース10を2つに曲げて、その中間を回動する移動距離が2(2Nπθ/360)≒2Mπθ/360と設定できるから、可撓性ホース10が意味のない湾曲を発生することがなくなり、安定して収容部70側に導くことができ、かつ、アウタノズルガイド4側に対しても安全な搬送が可能となる。
勿論、局部洗浄用ノズルを複数に分割してなる洗浄ノズル体2、インナノズルガイド3、アウタノズルガイド4等の間のシールを必要とすることなく、また、多段化して局部洗浄用ノズルの全長を短くし、かつ、可撓性ホース10を含めた稼動部を極力小さくし、可撓性ホース10に入るストレスを軽減することができる。
【0041】
前述したように、上記実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1においては、モータ7の回転によって回転させられるピニオン6と、ピニオン6と噛み合って往復動する屈曲可能な弾性に富む材質からなるラック9と、多段化して全長を短くし、その長さ方向の伸縮を自在とし、その長さ方向に対する直角方向の断面においての回転を防止すると共に、そのうちの先端位置にあるインナノズルガイド3に対してのみラック9の一端を取り付けた局部洗浄用ノズル13と、局部洗浄用ノズル13に一端を取り付けた屈曲可能な材質からなる洗浄水供給用の可撓性ホース10と、ラック9の他端部を保持し、ラック9の往復動を一端が所定の部位に枢着されたアーム51の端部によって曲面に沿って移動自在とし、かつ、可撓性ホース10はアーム51の中間部でガイドされ移動自在とすると共に、少なくとも移動した可撓性ホース10の一部を収容する収容部70と、収容部70の入口の少なくともアーム51が枢着された側の可撓性ホース10の下側に配設した下側ローラ60,60dとを具備するものである。
【0042】
そして、上記実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1においては、便器に対して取り付けられたハウジング15と、テレスコープ状に伸縮する径の異なるインナノズルガイド3、アウタノズルガイド4からなるノズルガイド及び噴出孔が形成された洗浄ノズル体2を有し、かつ、洗浄ノズル体2が前記ハウジング15の一方側に位置する便器の便鉢部を指向するようにハウジング15に移動自在に取り付けられた局部洗浄用ノズル13と、ハウジング15の反便鉢部側に配設され、上面側及び下面側に円弧状のガイド面50a及び収容部70が形成されたガイド50と、ガイド50のガイド面50aに沿って配設され、一端部が洗浄ノズル体2からなる洗浄ノズル体に接続されたラック9と、ラック9と噛合し、モータ7が回転したときにラック9を前記ガイド面50aに沿って移動させるピ二オン6と、一端部がハウジング15の所定の支軸61に枢着され、他端部にラック9の他端部を接続し、ラック9の移動時に回動軸57を中心に回動してラック9との接続部分を移動するアーム51と、一端部が洗浄ノズル体2に給水するように連結され、他端部が収容部50bから延出して給水源に連結され、その中間部がアーム51によって収容部70に収容される可撓性ホース10と、ガイド50の収容部50b側に位置するように可撓性ホース10の下側に配設された下側ローラ60とからなる発明の構成の実施の形態とすることができる。
【0043】
また、上記実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1においては、モータ7の回転によって回転させられるピニオン6と、ピニオン6と噛み合って往復動する屈曲可能な弾性に富む材質からなるラック9と、多段化して全長を短くし、その長さ方向の伸縮を自在とし、その長さ方向に対する直角方向の断面においての回転を防止すると共に、そのうちの先端位置にあるインナノズルガイド3に対してのみラック9の一端を取り付けた局部洗浄用ノズル13と、局部洗浄用ノズル13に一端を取り付けた屈曲可能な材質からなる洗浄水供給用の可撓性ホース10と、ラック9の他端部及び可撓性ホース10の他端部を保持し、ラック9及び可撓性ホース10の往復動をガイド面50aに沿って移動自在として収容する収容部70として、ラック9の他端及び可撓性ホース10の他端を取り付け、回転によってラック9及び可撓性ホース10の収容を可能としたものである。
【0044】
即ち、ラック9の他端部及び可撓性ホース10の他端部を保持し、ラック9及び可撓性ホース10の往復動を曲面に沿って移動自在として、少なくとも可撓性ホース10の一部を収容する収容部70の形態として、本実施の形態1、実施の形態2では、ラック9の他端及び可撓性ホース10の他端を取り付け、回転によってガイド50のガイド面50a内に少なくとも可撓性ホース10の収容を可能としたものである。
ここで、少なくとも可撓性ホース10の一部を収容する収容部70とは、その収容しようとする少なくとも可撓性ホース10が収容部70から離脱し、使用空間を拡大するものでない構造であればよく、両端が解放されているか否かを問うものではない。
【0045】
したがって、多段化して全長を短くし、そのうちの先端位置にあるものに対して、モータ7によって回転させられるピニオン6と噛み合って往復動するラック9の一端を取り付け、かつ、局部洗浄用ノズル13のインナノズルガイド3に連結した洗浄水供給用の可撓性ホース10の他端を、アーム51に取り付け、回転によってそれらがアーム51によって曲面、即ち、ガイド面50aに沿って移動自在として収容するものである。
【0046】
故に、多段化して全長を短くした局部洗浄用ノズル13によって、従来の局部洗浄用ノズルが占めていた便座本体の略中央部の空間を大幅に縮小することが可能となる。また、洗浄便座内部への機能部品の配置が容易になり、結果として洗浄便座本体の大きさを小さくすることができる。これによりトイレ内の便器周りのスペースを広くすることができ、室内での圧迫感を和らげると同時に洗浄便座本体を含めた便器廻りの清掃を楽に行うことができる。そして、機構中の可動部分に摺動するシール部が存在しないことから、シールの磨耗による水漏れ等の性能低下を極力抑えることができ、洗浄便座本体の信頼性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1のローラ55に可撓性ホース10が掛けられている他端は、外部から供給される洗浄水の受口を別に設けることなく、そのまま軸心近傍に配設したものであるが、固定することもできる。堅固に固定しないほうが、外部から供給される洗浄水の可撓性ホース10に加わるストレスを小さくすることができる。
そして、本実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1のピニオン6、ラック9、局部洗浄用ノズル13、可撓性ホース10は、2連構造としたものであるから、お尻洗浄とビデ洗浄の機能別の位置で各局部洗浄用ノズル13を停止させることができる。なお、本発明を実施する場合には、1連の構造とすることもできる。
【0048】
また、2連構成とした洗浄ノズル体2Rの先端には噴出口2aRが設けられ、洗浄ノズル体2Lの先端には噴出口2aLが設けられており、噴出口2aRと噴出口2aLは、お尻洗浄またはビデ洗浄の機能に合わせて噴射方向が設定されている。
【0049】
本実施の形態1、実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニット1の収容部70は、一端が所定の部位に枢着されたアーム51を有し、アーム51の他端にラック9の他端が固定されているものである。このアーム51は回動自在であり、アーム51の他端にラック9の他端が固定されており、アーム51によって、ラック9がガイド面50aを移動できれば良い。なお、本発明を実施する場合には、アーム51にガイド面50aを形成することもできる。
【0050】
本実施の形態1、実施の形態2の水洗浄便座のノズルユニット1の収容部70は、一端が所定の部位に枢着されたアーム51を有し、アーム51の往復動と同期して往復動するラック9は、ガイド面50aの円弧面に沿ってガイドしている。アーム51は回動自在であり、アーム51の他端にラック9及びアーム51の他端が保持されて、アーム51によってラック9及びアーム51がガイド面50aに添って移動できればよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
上記実施の形態の温水洗浄便座のノズルユニット1は、2連構造のものを示したが、本発明を実施する場合には、これに限定されるものではなく、1連のみのものとして実施することもできる。また、供給する洗浄水は、温水または直接水道水を使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの温水洗浄便座の構成を示す平面図である。
【図2】図2は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの温水洗浄便座の構成を示す正面図である。
【図3】図3は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納した構成を示す斜視図である。
【図4】図4は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図である。
【図5】図5は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを収納する動作状態を説明する要部拡大断面図である。
【図6】図6は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの構成を示す局部洗浄用ノズルを最大長に伸ばした状態の全体斜視図である。
【図7】図7は図6に示す本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを伸長したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態1の温水洗浄便座のノズルユニットの収容部の入口に配設した下側ローラと可撓性ホースとの関係を示す要部説明図で、(a)は下側ローラと可撓性ホースとの関係、(b)は上側及び下側ローラと可撓性ホースとの関係、(c)は上側ローラと下側ローラの位置をずらせた場合の可撓性ホースとの関係を示すものである。
【図9】図9は本発明の実施の形態2の温水洗浄便座のノズルユニットの洗浄ノズル体及びインナノズルガイドを伸長したラック及び可撓性ホースを除去した構成を示す断面図で、図7に相当する断面図である。
【符号の説明】
【0053】
2 洗浄ノズル体
3 インナノズルガイド(ノズルガイド)
4 アウタノズルガイド(ノズルガイド)
6 ピニオン
7 モータ
9 ラック
10 可撓性ホース
13 局部洗浄用ノズル
15 ハウジング
50 ガイド
50a ガイド面
51 アーム
57 回転軸
60 下側ローラ
60d 下側ローラ
60u 上側ローラ
70 収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器に対して取り付けられたハウジングと、
テレスコープ状に伸縮する径の異なるノズルガイド及び噴出孔が形成された洗浄ノズル体を有し、かつ、洗浄ノズル体が前記ハウジングの一方側に位置する便器の便鉢部を指向するように前記ハウジングに移動自在に取り付けられた局部洗浄用ノズルと、
前記ハウジングの反便鉢部側に配設され、円弧状のガイド面及び収容部が形成されたガイドと、
前記ガイドの前記ガイド面に沿って配設され、一端部が前記洗浄ノズル体に接続されたラックと、
前記ラックと噛合し、モータが回転したときに前記ラックを前記ガイド面に沿って移動させるピ二オンと、
一端部が前記ハウジングに枢着され、他端部に前記ラックの他端部を接続し、前記ラックの移動時に前記回動軸を中心に回動して前記ラックとの接続部分を移動するアームと、
一端部が前記洗浄ノズル体に給水するように連結され、他端部が前記収容部から延出して給水源に連結され、その中間部が前記アームによって前記収容部に収容される可撓性ホースと、
前記ガイドの前記収容部側に位置するように前記可撓性ホースの下側に配設された下側ローラと
を具備することを特徴とする温水洗浄便座のノズルユニット。
【請求項2】
前記収容部の入口に配設された下側ローラには、更に、前記下側ローラに対向する位置に上側ローラを配設したことを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄便座のノズルユニット。
【請求項3】
前記下側ローラ及び/または上側ローラは、その長さ方向の中央が外側に比較して小径となっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の温水洗浄便座のノズルユニット。
【請求項4】
前記局部洗浄用ノズルの前記ノズルガイドは、下部が開口した略C字状の断面を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1つに記載の温水洗浄便座のノズルユニット。
【請求項5】
前記アームに対する前記可撓性ホースの取り付けは、前記アームに取り付けられたローラ軸を介して前記可撓性ホースを2つに湾曲させて、その間を回動する構成としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1つに記載の温水洗浄便座のノズルユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−254992(P2007−254992A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−78288(P2006−78288)
【出願日】平成18年3月22日(2006.3.22)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】