説明

温水洗浄便座

【課題】 便座の本体ケース内への湿気を帯びた空気の滞留による結露水の発生を防止する事を目的とするものである。
【解決手段】 便座と便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、洗浄ノズルやこの洗浄ノズルに温水を供給する給湯手段、脱臭機構を装着すると共に、本体ケース内に制御用のメイン基板を配置したものにおいて、脱臭機構の脱臭ファンにより本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、本体ケース内に湿度センサを配置し、該部の湿度が上昇すると脱臭ファンを作動する様に構成して成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄ノズルや温水タンクを収納した本体ケースの側面に操作部を設けた温水洗浄便座に関する。
【背景技術】
【0002】
便座や便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、人体に向けて洗浄水を噴射する洗浄ノズルや、この洗浄ノズルに洗浄用の温水を供給する温水タンク、脱臭機構、この脱臭機構や上記洗浄ノズルの出し入れ等を制御する制御回路基板等を収納したものでは、洗浄ノズルに付着した水滴が蒸発して温水タンクや制御回路基板の表面に付着して結露するという問題がある。
【0003】
そこで、例えば特許文献1に示される様に、脱臭装置の脱臭用ファンを利用して温水洗浄便座内の湿度を帯びた空気を便座の外部に排出し、湿度を帯びた空気の便座内での滞留による結露水の発生を防止するものが提案されている。
【特許文献1】特開2002−266406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、上記特許文献1に示された温水洗浄便座では、使用者が温水洗浄便座を使用していると判断されるときに脱臭装置を作動し、温水洗浄便座内の湿度を帯びた空気を外部に排出することで、結露水の発生を防止している為、温水洗浄便座を使用しない場合には、便座内に湿度を帯びた空気が滞留して結露が発生するという問題がある。
【0005】
そこで本発明は、温水洗浄便座を使用しない場合にも、便座内の湿度を検出し、湿度が高い場合には脱臭機構を作動して結露の発生を防止する事を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1の構成は、便座と便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、洗浄ノズルやこの洗浄ノズルに温水を供給する給湯手段、脱臭機構を装着すると共に、本体ケース内に制御用のメイン基板を配置したものにおいて、脱臭機構の脱臭ファンにより本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、本体ケース内に湿度センサを配置し、該部の湿度が上昇すると脱臭ファンを作動して成るものである。
【0007】
本発明の請求項2の構成は、便座と便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、洗浄ノズルやこの洗浄ノズルに温水を供給する給湯手段、脱臭機構を装着し、かつ本体ケースの少なくとも一方の側面に、先端が便座の側面に沿って前方に延設する操作部を設けると共に、本体ケース内に制御用のメイン基板を配置し、操作部内に操作基板を配置したものにおいて、脱臭機構の脱臭ファンにより本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、本体ケース又は操作部内に湿度センサを配置し、該部の湿度が上昇すると脱臭ファンを作動する様に構成して成るものである。
【0008】
本発明の請求項3の構成は、請求項2の構成において、操作基板に湿度センサを装着して成るものである。
【0009】
本発明の請求項4の構成は、請求項1又は請求項2の構成において、メイン基板に湿度センサを装着して成るものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の請求項1に記載の構成により、脱臭ファンにより本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、本体ケース内に湿度センサを配置し、本体ケース内の湿度が所定値以上に上昇すると脱臭ファンを作動して本体ケース内の空気を換気することで、本体ケース内の湿度の上昇による結露の発生を防止し、結露によるメイン基板の故障や耐久性能の低下、各種部品の腐食による劣化等を防止する事が出来るものである。
【0011】
本発明の請求項2に記載の構成により、本体ケースの側面に操作部を配置したものにおいて、脱臭ファンにより本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、本体ケース内又は操作部内に湿度センサを配置し、本体ケース内の湿度が所定値以上に上昇すると脱臭ファンを作動して本体ケース内の空気を換気することで、本体ケース内の湿度の上昇による結露の発生を確実に防止し、結露によるメイン基板や操作基板の故障や耐久性能の低下を防止する事が出来るものである。
【0012】
本発明の請求項3に記載の構成により、操作基板に湿度センサを配置したことで、湿気の影響を受けやすいスイッチ類を配置した操作基板の結露を確実に防止する事が出来るものである。
【0013】
本発明の請求項4に記載の構成により、メイン基板に湿度センサを配置したことで、湿度センサを装着するための専用基板を配置する必要がないと共に、メイン基板周囲の湿度を検出して脱臭ファンを作動し、本体ケース内の空気を換気することで、メイン基板に樹脂コーティング等の特別な防湿処理を施す必要がなく、コストダウンを図る事が出来るものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の実施例を先ず図1に基づき説明すると、1は洋式便器2の上に着脱自在或いは着脱可能に載置された温水洗浄便座で、本体ケース3に便座4と便蓋5を上下方向に開閉自在に枢支している。
【0015】
又、上記本体ケース3の一方の側面には給水管6を突設し、この給水管にフレキシブルな配管ホース7を接続していると共に、この配管ホースは、分岐水栓8を介して市水等の水道管9に接続している。
【0016】
上記本体ケース3の一方の側面には、前方が上記便座4の側面に沿って延設された操作部10を一体的に突設し、この操作部の上面に複数の操作ボタン11・・や表示器12等を配置している。
【0017】
更に、上記本体ケース3内には、図2にて示す様に、内部に後述の温水ヒータを内蔵した給湯手段となる温水タンク13と、この温水タンクと上記給水管6とを接続する給水配管14と、洗浄ノズルセット15と、脱臭機構16と、メイン基板17とを主に収納配置していると共に、上記操作部10内には、操作ボタン11・・や表示器12の下方に対向位置して操作基板18を配置している。
【0018】
上記洗浄ノズルセット15は、ノズルベース19に一対の洗浄ノズル20,21を前後方向に伸縮自在に収納し、かつ給湯配管22により図示しない切替弁を介して上記温水タンク13に接続され、この温水タンクより洗浄用の温水を供給する。
【0019】
一方、上記脱臭機構16は、脱臭用触媒24と、脱臭ファン25と、ファンケース26にて主に構成し、このファンケースは、上記洋式便器2のボウルに対向して開口した第1吸気孔27と、本体ケース3内に開口した第2吸気孔28と、これらの吸気孔から吸引した空気を上記脱臭用触媒24を通過した後、本体ケース3の外に排出する排気孔29とを設けている。
【0020】
これにより、脱臭ファン24の回転時には、第1吸気孔27より洋式便器2内の臭気をファンケース26内に吸引して脱臭用触媒24を通過させ、臭気を除去して排気孔29より本体ケース3の外に排気すると同時に、第2吸気孔28より本体ケース3内の空気をファンケース26内に吸引して排気孔29より本体ケース3の外に排気する。
【0021】
図3は、制御手段となる制御回路30のブロック図を示すもので、商用電源31にマイクロコンピュータを中心に構成した制御部32を接続し、かつこの制御部の入出力回路には上記操作基板18を接続し、入力回路には上記便座4への着座を検出する着座スイッチ33と、湿度センサ34と、便座4の温度を検出する温度センサ35とを接続している。
【0022】
尚、上記湿度センサ34は、図2にて示す様に、上記メイン基板17又は操作基板18の適所に配置し、湿気の影響を受けやすいこれらメイン基板17や操作基板18の周囲の雰囲気の湿度を確実に検出する様に構成しているが、これに限定されることなく、例えばメイン基板17と温水タンク13の中間位置や、本体ケース3と操作部10との連通部分等に配置しても良い。
【0023】
更に上記商用電源31には、上記制御部32の出力にて各々制御するスイッチング素子36,37,38,39,40を介して、便座ヒータ41、温水ヒータ42、上記切替弁を回転駆動する洗浄モータ43、脱臭ファン25、洗浄バルブ44を接続している。
【0024】
而して、制御部32は着座スイッチ33により便座4への人体の着座を検出すると、スイッチング素子39を通電して脱臭ファン25を回転し、操作部10の操作ボタン11・・が操作されて洗浄操作が行なわれると、スイッチング素子38,40を適宜作動して洗浄モータ43や洗浄バルブ44を作動し、洗浄ノズル20,21より洗浄水を噴出する。
【0025】
一方上記制御部32は、上記温度センサ35により便座4の温度を検出し、この便座が設定温度に成る様にスイッチング素子36を制御して便座ヒータ41への通電を制御する。
【0026】
更に上記制御部32は、常時湿度センサ34により雰囲気の湿度を検出し、空気中の湿度が結露を発生し易い湿度に上昇すると、スイッチング素子39を制御して脱臭ファン25を回転し、第2吸気孔28より本体ケース3並びに操作部10内の湿った空気をファンケース26内に吸引して排気孔29より本体ケース3の外に排気することで、これらを換気し、結露水の発生を防止する。
【0027】
尚、上記実施例では脱臭ファン25の回転時には常に第1吸気孔27と第2吸気孔28から吸気する様に構成しているが、例えばこれらの吸気孔にシャッターを設け、便座4に人体が着座して脱臭時には第1吸気孔27のみから吸気し、この時湿度センサ34にて検出する湿度が所定値以上の場合には第1吸気孔27と第2吸気孔28から吸気し、便座4に人体が着座していない場合に湿度が上昇した場合には第2吸気孔28のみから吸気する様に構成しても良い。
【0028】
これらの構成により、湿度センサ34にて本体ケース3や操作部10内の湿度を常時検出し、湿度が上昇した場合には脱臭ファン25を回転して本体ケース3内や操作部10内の湿気を含んだ空気を外部に排出することで、メイン基板17や操作基板18等の表面での結露水の発生を防止し、結露水の発生による回路部品やスイッチの誤動作や故障、耐久性能の低下を確実に防止する事が出来るものである。
【0029】
又、湿度センサ34を、メイン基板17又は操作基板18、或いはこれらの両基板に配置することで、湿度センサ34専用の取付け基板を設ける必要がなく、湿度センサ34の取り付けを簡単に行なう事が出来ると共に、これらの基板における結露水の発生を確実に防止する事が出来るものである。
【0030】
上記実施例ではメイン基板17と操作基板18を離れて配置しているが、これらを近接して配置し、どちらか一方の基板に湿度センサ34を配置する様に構成しても良い。
【0031】
更に上記実施例では給湯手段として温水タンク13を配置しているが、給湯手段を瞬間加熱式の熱交換器で構成しても良く、かつ上記実施例では、本体ケース3の一側面に操作部10を設けているが、操作部を設けず、リモコンにより操作を行なっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による実施例を示す斜視図である。
【図2】同じく一部破断による平面図である。
【図3】同じく回路ブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
3 本体ケース
4 便座
5 便蓋
10 操作部
13 温水タンク(給湯手段)
16 脱臭機構
17 メイン基板
18 操作基板
20 洗浄ノズル
21 洗浄ノズル
25 脱臭ファン
34 湿度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、洗浄ノズルやこの洗浄ノズルに温水を供給する給湯手段、脱臭機構を装着すると共に、上記本体ケース内に制御用のメイン基板を配置したものにおいて、上記脱臭機構の脱臭ファンにより上記本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、上記本体ケース内に湿度センサを配置し、該部の湿度が上昇すると上記脱臭ファンを作動する事を特徴とする温水洗浄便座。
【請求項2】
便座と便蓋を開閉自在に枢支した本体ケース内に、洗浄ノズルやこの洗浄ノズルに温水を供給する給湯手段、脱臭機構を装着し、かつ上記本体ケースの少なくとも一方の側面に、先端が上記便座の側面に沿って前方に延設する操作部を設けると共に、上記本体ケース内に制御用のメイン基板を配置し、上記操作部内に操作基板を配置したものにおいて、上記脱臭機構の脱臭ファンにより上記本体ケース内の空気を外部に排出する様に構成すると共に、上記本体ケース又は操作部内に湿度センサを配置し、該部の湿度が上昇すると上記脱臭ファンを作動する事を特徴とする温水洗浄便座。
【請求項3】
上記操作基板に湿度センサを装着した事を特徴とする、上記請求項2に記載の温水洗浄便座。
【請求項4】
上記メイン基板に湿度センサを装着した事を特徴とする、上記請求項1又は請求項2に記載の温水洗浄便座。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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