説明

温水洗浄式便座装置

【課題】給水タンクの水を給水ポンプによって温水タンクへ供給し、この温水タンクの温水をノズルから噴射して、便座に着座した人の臀部の局所を洗浄する温水洗浄式便座装置において、ギアポンプを採用する場合、ポンプ吐出水量にバラツキが生じ易く、ノズルから噴出する洗浄水量が安定しない。特に、温水洗浄式便座の使用者が噴出水の水勢を弱く選択した場合は、ノズルから噴出する水勢がバラツキ、洗浄効果の低下を生じることが懸念される。本発明は、ギアポンプを採用した場合でも、ノズルから噴出する単位時間当たりの洗浄水量が安定した状態にて、所期の水勢による洗浄効果が得られるようにする。
【解決手段】給水タンクの水をギアポンプで温水タンクへ供給する水の流量を検出するよう流量センサを設け、流量センサの検出に基づき、ギアポンプの回転数を制御してギアポンプから温水タンクへ供給される供給水量を安定化させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給水タンクの水を給水ポンプによって温水タンクへ供給し、この温水タンクの温水をノズルから噴射して、便座に着座した人の臀部の局所を洗浄する温水洗浄式便座装置に関するものであり、特に、移動可能なポータブルトイレに適用して効果ある温水洗浄式便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
タンクの水をポンプとその下流の三方切り替え弁を介してスプレーノズルと温水洗浄ノズルへ切り替え供給するものがあり、三方切り替え弁を介して温水洗浄ノズルへ供給される水は、途中でヒータによって加熱された温水となるものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−045307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようにタンクの水がポンプを介してノズルへ供給されるものは公知であるが、この場合、ノズルから噴出する単位時間当たりの洗浄水量を安定した状態にするためには、ポンプに定量式電磁ポンプを採用すればよいが、この定量式電磁ポンプは音、振動、重量などの点で好ましくない。そこで、ギアポンプを採用すれば、その問題は解決するが、ギアポンプは構造上からポンプ吐出水量にバラツキが生じ易く、ノズルから噴出する洗浄水量が安定しない。
【0005】
また、温水洗浄式便座装置は、ノズルから噴出する洗浄水の水勢を可変するために水路開口調整弁機構を備えている。この水路開口調整弁機構は、便座使用者がスイッチ操作によって水勢を強・中・弱等のように選択することにより、ノズルへ供給される温水通路の断面積が可変され、それによって水勢が可変される機構である。このため、ギアポンプの吐出水量にバラツキが生じると、そのバラツキがそのまま影響して、ノズルから噴出する洗浄水の水勢にバラツキが生じる。
【0006】
このように、ギアポンプの場合は、ノズルから噴出する単位時間当たりの洗浄水量が安定せず、特に温水洗浄式便座の使用者が噴出水の水勢を弱く選択した場合には、ノズルから噴出する水勢に大きなバラツキが生じ、洗浄効果の低下を生じ、使用者に不快感を与えることが懸念される。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて、ノズルから噴出する単位時間当たりの洗浄水量が安定した状態にて、所期の水勢による洗浄効果が得られるようにして、温水洗浄式便座の使用者に不快感を与えることが解消される技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、給水タンクの水を給水ポンプによって温水タンクへ供給し、この温水タンクの温水をノズルから噴射して、便座に着座した人の臀部の局所を洗浄する温水洗浄式便座装置において、前記給水ポンプは、電動機にて回転するポンプギアの回転によって前記給水タンクの水を前記温水タンクへ供給する構成であるギアポンプであり、前記ギアポンプから前記温水タンクへ供給される水の流量を検出する流量センサを設け、前記流量センサの検出に基づき、前記ギアポンプの回転数を制御して前記ギアポンプから前記温水タンクへ供給される供給水量を安定化させることを特徴とする。
【0009】
第2発明の温水洗浄式便座装置は、第1発明において、前記流量センサが検出する流量が所定の下限値以下であることにより、表示部にて給水タンクの水不足状態を表示すると共に前記ギアポンプの運転を停止することを特徴とする。
【0010】
第3発明の温水洗浄式便座装置は、第1発明において、前記ギアポンプの運転を最大出力状態にしたとき、前記流量センサが検出する流量が所定流量に達しないときは、表示部にてエラー表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ノズルから噴出する単位時間当たりの洗浄水量が安定した状態となり、所定の水勢で噴出できることとなり、所期の洗浄効果が得られることにより、温水洗浄式便座の使用者に不快感を与えることが解消される。特に、ノズルから噴射する洗浄水の水勢を可変するために水勢増減スイッチの操作に基づき動作する水路開口調整弁機構を備えた場合、水路開口調整弁機構は、水勢増減スイッチによって水勢を強・中・弱等のように選択動作することとし、ギアポンプの吐出水量のバラツキによる水勢のバラツキ補正は、流量センサの検出によるギアポンプの回転数補正によることとすることにより、制御を分離することができるため、水勢増減スイッチの操作に基づく制御と、ギアポンプの吐出水量のバラツキによる水勢のバラツキ補正の制御がし易く、且つ水路開口調整弁機構の水シールも安定したものとなる。
【0012】
また、第2発明では、流量センサの検出に基づき、給水タンクの水不足が表示部に表示されるため、給水タンクの水不足検知手段を別個に設ける必要がなくなる。
【0013】
また、第3発明では、ギアポンプの運転を最大出力状態にしたときの流量センサの検出によって、温水洗浄式便座装置の故障状態や誤使用状態である際にエラー表示するため、故障状態や誤使用状態を検知する検知手段を別個に設ける必要がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る温水洗浄式便座装置を備えたポータブルトイレの正面斜視図である。
【図2】本発明に係る温水洗浄式便座装置を備えたポータブルトイレの背面斜視図である。
【図3】本発明に係る温水洗浄式便座装置の主要部の配置を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る温水洗浄式便座装置の制御回路図である。
【図5】本発明に係る温水洗浄式便座装置のノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の側面斜視図である。
【図6】本発明に係るノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUを組み合わせた状態の後方斜視図である。
【図7】本発明に係る洗浄水切り替えユニットを温水タンクの下面に取り付けた状態を上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図8】本発明に係るノズルユニットNUを上下方向で切断しその一部を拡大で示す断面図である。
【図9】本発明に係る洗浄水切り替えユニットSUの分解斜視図である。
【図10】本発明に係る温水洗浄式便座装置の水の流れ方向の各部の配置構成図である。
【図11】本発明に係る温水洗浄式便座装置のギアポンプのポンプギア部分を断面で示した説明図である。
【図12】本発明に係る温水洗浄式便座装置の流量センサの構成を示しており、(A)図は流量センサの側面図、(B)図は(A)図のP−P断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[実施例1]
本発明に係る温水洗浄式便座装置SPは、給水タンク20の水を給水ポンプ14によって温水タンク13へ供給することにより、この温水タンク13の温水をノズルユニットNUのノズルから噴射して、便座7に着座した人の臀部の局所を洗浄することを基本形態とし、給水ポンプ14にギアポンプを採用する場合の前記課題を解決するものである。
【0016】
給水ポンプ14は、図11に示すように、ポンプ部分を構成する歯車形態の一対のポンプギア14Aがポンプ室14Cに収容され、この一対のポンプギア14Aの一方が整流子付きモータ構成である電動機(モータ)14Bによって一方方向に回転することにより、他方のポンプギア14Aがそれに伴って回転する構成のギアポンプであり、一対のポンプギア14Aが水路9(給水タンク20の水が温水タンク13へ流れる水路9)に配置され、一対のポンプギア14Aが噛み合う入口側14Eへ供給される水路9の水を、一対のポンプギア14Aが噛み合う出口側14Xの水路9へ送出する構成である。
【0017】
このように、整流子付きモータ14Bによって一対のポンプギア14Aが回転する構成のギアポンプ14は、例えば、特開平11−13643号公報などにより公知である。
【0018】
以下、本発明に係る温水洗浄式便座装置SPをポータブルトイレ1に備えた実施例を HYPERLINK "http://www6.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=231&N0500=4E#N/;%3e6?6=%3c69///&N0001=44&N0552=9&N0553=000003" \t "tjitemdrw" 図に基づき説明する。ポータブルトイレ1は、四脚で座部が支持される椅子状の形態であり、図1に正面斜視図、図2に背面斜視図を示す。図に示すように、中央部が開口2Aを形成した台座2の四隅に支脚3が設けられ自立可能となるようにしている。
【0019】
台座2の上面には排便時に着座するための便座7を備え、この便座7は後端部を回動可能に軸支持されており、電動機19によってこの軸支持部を支点として上下方向に開閉する構成である。便座7に対応して台座2には上下面に連通する開口2Aが形成されており、台座2の底面には、開口2Aを通して落下する排便を収容することが可能となるように、開口2Aの下側全面を覆う状態に排便収容トレイ4が、台座2に着脱可能に配設されている。台座2の左右前部と後部の左右支脚3に亘って肘掛け部5が取付けられている。また、後部の左右支脚3の上部に亘って、便座7に着座した人体の背中に相当する部位に背凭れ6が配設されている。
【0020】
ポータブルトイレ1の主体部分は以上のように構成されているが、便座7に着座した人の臀部の局所を洗浄する洗浄処理などに要する機能要素は、便座7に着座した人体の背面側に相当する領域に集約して配設するようにしている。この機能要素の主体は、図10に温水洗浄式便座装置SPの水の流れ方向の各部の配置構成図として示すように、給水タンク20、給水ポンプ14、流量センサ11、温水タンク13、水路開口調整弁機構22及びノズルユニットNUで構成され、水路開口調整弁機構22及びノズルユニットNUは、後述のように温水洗浄ユニット60に含まれる。給水ポンプ14、流量センサ11、温水タンク13、水路開口調整弁機構22及びノズルユニットNUは、台座2の後部に設けた本体ケース2C内に収容されている。給水タンク20は、その中にキャップ20Aを外して補給水を注入するために、ポータブルトイレ1から取り外すことができるように、図2に示すように、ポータブルトイレ1の背面部に着脱自在に取付けられており、本体ケース2Cの外側で本体ケース2Cよりも下位値に配置されている。このため、給水タンク20と給水ポンプ14は、給水タンク20の接続部20Bと水路9の接続部9Aとが接続された状態で、給水タンク20の水は、給水ポンプ14によって汲み出されて、後述のように水路9を通り流量センサ11を経て温水タンク13へ導入される。
【0021】
排便収容トレイ4は、開口2Aの下側全面を覆う状態に台座2の下面に密着した状態に支持されており、給水タンク20を取り外した状態で、ポータブルトイレ1の背面側からスライドにて着脱可能である。
【0022】
便座7は図1に拡大図で示すように、便座7の裏側にアルミニウム箔7Aを介して絶縁被覆された便座ヒータ41が取り付けられており、便座ヒータ41の発熱によって便座7が加温される構成である。
【0023】
各機能要素とノズルユニットNUを動作するための操作部10は、図1に示すように本体ケース2Cの上部に配置されており、図1に拡大図で示すように、各種の操作スイッチとLED表示部が配設されている。操作部10は、その中に絶縁性の操作基板18(図4に示す)を水平状態に収納し、この操作基板18には、各種の操作スイッチとLED表示部が取り付けられている。この操作スイッチとして、洗浄停止スイッチ44、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45、ビデ洗浄開始スイッチ46、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Q、温水タンク13の温水温度調節スイッチ48、便座ヒータ41による便座2の温度を可変する便座温度調節スイッチ49等が設けられ、また、LED表示部として、水勢増減スイッチ47Pと47Qに対応して水勢の強中弱の状態を3段階で表示するLED47L、温水温度調節スイッチ48に対応して温水温度を低中高の3段階で表示するLED48L、便座温度調節スイッチ49に対応して便座温度を低中高の3段階で表示するLED49Lが設けられている。なお、便座7を上下方向に開閉する電動機19をON・OFFするスイッチ23とその押圧部分を前記操作スイッチ同様に操作部10に設けている。
【0024】
操作部10の上面は、前記の各スイッチ及びLEDの対応部分に貫通孔を形成したカバー板で覆われており、このカバー板の上面は、前記貫通孔を塞ぐようにこれらスイッチに対応する部分が可撓性を有し、且つ前記LEDに対応する部分が透光性を有するフィルムで覆われている。このため、これらスイッチ44、45、46、47Pと47Q、48、49に対応して前記フィルムの上から押圧部分44A、45A、46A、47Aと47B、48A、49Aを押すことによって、対応するスイッチが作動する。電動機19をON・OFFするスイッチ23の部分も同様である。なお、これらスイッチ44、45、46、47Pと47Q、48、49の機能を示す文字を、これらスイッチ44、45、46、47Pと47Q、48、49に対応して操作部10の上面に設ければよい。
【0025】
温水タンク13内の水を加熱するための温水ヒータ42として、通電にて発熱するシーズヒータ42が温水タンク13内の底部に配設されている。温水タンク13の上壁には、温水タンク13内の洗浄水レベル(温水レベル)を検知するフロートスイッチ51、及び後述の温水温度検知用サーミスタ55の取付け部55Aが設けられている。温水タンク13には、温水タンク13内の異常温度を検知してシーズヒータ42への通電回路を遮断する温度検知部50を備える。温水タンク13には、温水タンク13内の圧力が外気圧よりも低くなったとき温水タンク13内と外気を連通する負圧弁(図示せず)を備える場合があるが、温水タンク13内は、この負圧弁の作用によって外気と連通する以外は、外気と連通しないように気密構造である。また、温水タンク13内の温水温度は、温水モードにおいて温水温度調節スイッチ48によって使用者が任意の設定温度に設定できる。温水モードにおいてシーズヒータ42への通電を制御して、温水タンク13内の温水温度を前記設定温度に維持するため、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55が設けられている。
【0026】
温水洗浄ユニット60は、おしり(肛門)洗浄ノズル61と、ビデ洗浄ノズル62と、おしり洗浄ノズル61を進出・退避動作を行なうように収容したおしり洗浄ノズル用ノズルケース63と、ビデ洗浄ノズル62を進出・退避動作を行なうように収容したビデ洗浄ノズル用ノズルケース64とを備えたノズルユニットNUと、温水タンク13から供給される温水をおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62のいずれに供給するかを切り替える切り替え弁66を備えた洗浄水切り替えユニットSUとによって構成されている。
【0027】
ノズルユニットNUは、具体的には、おしり洗浄ノズル61の真下にビデ洗浄ノズル62が略平行線上に位置するように、それぞれ上下の平行配置のおしり洗浄ノズル用ノズルケース63とビデ洗浄ノズル用ノズルケース64に収容され、後述のように、給水ポンプ14の運転によって温水タンク13に掛かる水圧によって進出動作し、先端部のノズル口61A、62Aから温水を噴出する構成である。おしり洗浄ノズル用ノズルケース63とビデ洗浄ノズル用ノズルケース64は、合成樹脂で一体形成されてノズルケース体NCを構成している。
【0028】
おしり洗浄ノズル61は、合成樹脂製で円筒形等所定形状の筒状をなし、洗浄水である温水が通る内部通路61Tは、先端部のノズル口61Aへ向けて次第に洗浄水の圧力が高くなるように、先端に行くにしたがって次第に断面積S1が小さくなるように形成されている。ビデ洗浄ノズル62は、おしり洗浄ノズル61と同様に、合成樹脂製で円筒形等所定形状の筒状をなし、洗浄水である温水が通る内部通路62Tは、先端部のノズル口62Aへ向けて次第に洗浄水の圧力が高くなるように、先端に行くにしたがって次第に断面積S2が小さくなるように形成されている。おしり洗浄ノズル61と、ビデ洗浄ノズル62と、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63と、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64とを共通形態にすることによって、ノズル先端部を除いて共通の筒状ノズル形態を採用できるため、全体として部品の共通化と、組み立ての容易さ、更にコストダウン化を図ることができるものとなる。
【0029】
ノズルユニットNUの後端部には、洗浄水切り替えユニットSUから供給される温水が、それぞれおしり洗浄ノズル用ノズルケース63へ導入される温水導入部63Bと、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64へ導入される温水導入部64Bを形成している。具体的には、温水導入部63Bと温水導入部64Bとを形成した導入部カバー86と、この導入部カバー86を覆うように取り付け部材87が、ネジ88にてノズルケース体NCの後端に取り付けられている。これによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63の後端の入口開口が、温水導入部63Bと連通状態となり、また、ビデ洗浄ノズル用ノズルケース64の後端の入口開口が、温水導入部64Bと連通状態となる。
【0030】
取り付け部材87は、ノズルユニットNUを本体ケース3内の固定基板(図示せず)にネジ89によって固定するために、取り付け部87Aを形成したものであるが、ノズルユニットNUを本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定する部分を導入部カバー86に形成できれば、取り付け部材87は不要である。
【0031】
上下配置のおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、便座7の下方で台座2の開口2A内において、共に前方斜め下方に向けて進出し退避する向きの配置であり、台座2の本体ケース2Cに便座7を取り付けた状態で、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、便座7の左右間の中心線となる前後方向中心線上の配置となる。このため、便座7に着座した人の肛門やビデ等の被洗浄局部に対して真下または真下後方部からの温水噴出が得られる。
【0032】
このため、後述のように、給水ポンプ14が停止した状態で水圧が掛からない状態においては、おしり洗浄ノズル61はコイルバネ65Aによって、おしり洗浄ノズル用ノズルケース63内に退避した状態に保たれ、この水圧が掛かったときは、その水圧をおしり洗浄ノズル61の後端に形成した環状フランジの水受け部61Bが受けて、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノズル61が進出し、水受け部61Bに取り付けたパッキン61Pがおしり洗浄ノズル用ノズルケース63内の停止部63Aに当接して、その進出が停止し、この位置が所定の進出位置となる。
【0033】
一方、ビデ洗浄ノズル62については、給水ポンプ14が停止した状態で水圧が掛からない状態においては、ビデ洗浄ノズル62はコイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル用ノズルケース64内に退避した状態に保たれ、この水圧が掛かったときは、その水圧をビデ洗浄ノズル62の後端に形成した環状フランジの水受け部62Bが受けて、コイルバネ65Bを圧縮しつつビデ洗浄ノズル62が進出し、水受け部62Bに取り付けたパッキン62Pがビデ洗浄ノズル用ノズルケース64内の停止部64Aに当接して、その進出が停止し、この位置が所定の進出位置となる。
【0034】
洗浄水切り替えユニットSUは、切り替え弁66を回動駆動する電動機67と、切り替え弁66を収容する弁室69を形成した合成樹脂製の弁室部材70と、切り替え弁66によって切り替えられるおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72を形成した合成樹脂製の切り替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。これによって、弁室69が水密状態に保たれる。
【0035】
温水タンク13内の温水を導出するために、温水タンク13内に略垂直に立設した温水導出パイプ15を設けている。温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)は、温水タンク13内の上壁との間に若干の間隔を存して位置している。図示のものは、温水タンク13内の上壁が若干上方へ膨らんだ部分で、この上壁に近接する位置に上端開口15Aが位置している。温水タンク13には、給水ポンプ14の運転により、給水タンク20の水が配管を通って温水タンク13内の底部に供給され、温水ヒータ42で加熱されて温水となる。温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51によって給水ポンプ14を運転して、温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベルは、温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干低いレベルである。
【0036】
後述のように、洗浄モードになると、給水ポンプ14の運転によって給水タンク20内の水を温水タンク13内に供給しつつ、その水圧によって温水タンク13内の温水をおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62から噴出する。この場合、温水になっていない上水がおしり洗浄ノズル61またはビデ洗浄ノズル62から噴出しないようにするために、温水導出パイプ15が立設されている。
【0037】
切り替え弁66は、水平軸上で正転・逆転の回動動作を行うように、電動機67の駆動軸68に支持されて弁室69に収容されている。弁室部材70は、その上壁に形成した温水導入口69Bに、温水導出パイプ15の下端の温水導出口が接続され、温水導出パイプ15にて流下する温水が、温水導入口69Bから弁室69へ流入する。
【0038】
電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から延びた軸68Aのみで形成してもよいが、電動機67の汎用性から、電動機67の駆動軸68は、電動機67の回転子から延びた軸68Aと、これに嵌め合わせて一体化した合成樹脂製の補助軸68Bとで構成している。図7及び図9に示すように、電動機67の駆動軸68は、温水が漏れないようにシールパッキン76によってシール状態で切り替え通路部材73を貫通し、その先端に切り替え弁66を取り付けている。電動機67は、後述の制御回路30の制御部32のパルス出力によってステッピング動作をするものであり、ステッピングモータとも称する。
【0039】
組み立て及び修理交換の容易さを考慮して、切り替え弁66は、電動機67の駆動軸68の先端に、図7において左側から(図9においては右側から)嵌め合わせで取り付けられている。切り替え弁66によって切り替えられる温水の流れが、切り替え弁66に貫通形成した弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通した状態と、弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通した状態へ切り替えられるため、切り替え弁66が切り替え通路部材73へ押し圧保持される必要がある。このため、切り替え弁66が回動可能であってその支持が安定化するために、切り替え弁66を駆動軸68側に向けてコイルバネ79の押し圧にて保持する構成を採用している。具体的には、切り替え弁66の駆動軸68とは反対側は、弁室69の側壁(図7において左壁)から駆動軸68方向に突出する支持軸77と、切り替え弁66から突出する支持軸78とに緩く嵌められたコイルバネ79によって、切り替え弁66を駆動軸68側に向けて押し圧にて保持しており、電動機67による正転・逆転の回動動作が円滑に行なわれる構成である。
【0040】
洗浄水切り替えユニットSUは、上記のように、電動機67と、弁室部材70と、切り替え通路部材73とが、ネジ74によって結合されて一体化された構成である。この一体化された状態で、洗浄水切り替えユニットSUは、温水タンク13の底面部にネジ80によって固定し、この状態で、温水導出パイプ15の下端が弁室69の温水導入口69Bに連通接続される。この連通接続部からの温水防止のために、パッキン81が設けられている。
【0041】
また、この一体化によって、弁室部材70と切り替え通路部材73との接合部から温水が漏洩しないようにするために、この接合部がゴム製のシールパッキン82によってシールされている。また、切り替え弁66によって温水の流れが、おしり洗浄水通路71へ切り替えられた状態で、ビデ洗浄水通路72へ温水が入り込まないようにし、また、温水の流れが、ビデ洗浄水通路72へ切り替えられた状態で、おしり洗浄水通路71へ温水が入り込まないようにするために、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁に、ゴム製のシールパッキン83A、83Bが取り付けられている。これによって、切り替え弁66は、コイルバネ79によって切り替え通路部材73へ向けて押されるとき、切り替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接され、この圧接状態において、切り替え弁66は、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切り替え回動する。
【0042】
なお、切り替え弁66の一方の面がシールパッキン83A、83Bに圧接状態において、切り替え弁66が、温水の流れをおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72とに切り替え回動する動作を安定化のために、シールパッキン83A、83Bと同一平面をなすように、切り替え通路部材73の凹部84A、84Bにそれぞれゴム製の当接部材85A、85Bを嵌め込んでいる。
【0043】
温水洗浄ユニット60は、ノズルユニットNUと洗浄水切り替えユニットSUの温水通路の接続のために、おしり洗浄水通路71は、その出口部71Aが可撓性パイプ75Aによって温水導入部63Bへ連通接続されている。また、ビデ洗浄水通路72は、その出口部72Aが可撓性パイプ75Bによって温水導入部64Bへ連通接続されている。洗浄水切り替えユニットSUは、上記のように、ネジ80によって温水タンク13の底面部に固定され、温水タンク13は本体ケース3内の固定基板にネジ等によって固定される。また、ノズルユニットNUは、本体ケース3内の固定基板にネジ89によって固定され、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が、便座4の左右間の中心線となる前後方向中心線上の所定位置に保たれる。このようにして、温水洗浄ユニット60が所定位置にセットされる。
【0044】
HYPERLINK "http://www6.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=231&N0500=4E#N/;%3e6?6=%3c69///&N0001=44&N0552=9&N0553=000005" \t "tjitemdrw" 図4は、制御手段となる制御回路30の構成を示すもので、商用電源31にマイクロコンピュータを中心に構成した制御部32を接続し、かつこの制御部32の入力回路には上記操作基板18を接続し、更に制御部32の入力回路には、便座7への着座を検出する着座スイッチ33と、便座7の温度を検出する便座用温度センサ35と、フロートスイッチ51と、温水タンク13内の温水温度を検知するサーミスタ55と、後述の流量センサ11が接続されている。着座スイッチ33は、便座7に人が着座したときの重量で便座7が下降することにより作動するスイッチや、便座7に着座した人を赤外線で検出する赤外線スイッチなどがある。
【0045】
制御部32は、タイマ、メモリ等を含み、所定のプログラムに従って、所定の動作を行なうマイクロコンピュータ制御方式である。商用電源31には、制御部32の出力にて各々動作するスイッチング素子21、36、37、38、39、40を介して、それぞれ便座4の開閉電動機19、便座ヒータ41、温水タンク13内の水を加熱する温水ヒータ42、切り替え弁66を制御部32のステッピングパルスによって駆動する電動機67(洗浄モータ67ともいう)、脱臭ユニット25Aの脱臭ファン25及び給水ポンプ14を接続している。脱臭ユニット25Aは台座2の後部に設けた本体ケース2C内に収容され、台座2の開口2A内の臭気が脱臭要素(図示せず)を通過する空気の流れを形成するためのものである。
【0046】
待機状態において、通常、接点が閉じている温度検知部50は、温水タンク13内の異常温度を検知したとき開いて、温水ヒータ42の通電を遮断する。また、温水タンク13内の水は、サーミスタ55の温度感知によって、制御部32が動作し、スイッチング素子37が温水ヒータ42の通電のON・OFF動作を行い、温水温度が所定温度範囲に維持される。温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)は、フロートスイッチ51の検出によってスイッチング素子40が給水ポンプ14の運転・停止を制御して、温水タンク13内の温水レベル(洗浄水レベル)を所定レベルに制御する。この所定レベルは、温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13の温水流出口)よりも若干低いレベルである。
【0047】
また、待機状態において、切り替え弁66は、切り替え弁66の弁通路66A以外の面が、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口周縁のシールパッキン83A、83Bに当接しており、これによって、切り替え弁66は、温水タンク13内がおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72のいずれとも連通しないように、おしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72の入口を塞ぎ、弁通路66Aがおしり洗浄水通路71とビデ洗浄水通路72のいずれとも連通せず遮断状態である。
【0048】
このような待機状態において、制御部32は、着座スイッチ33により便座7への人体の着座を検出すると、スイッチング素子39を通電して脱臭ファン25を回転する。この着座状態において、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されておしり(肛門)洗浄指令が発せられ、またはビデ洗浄開始スイッチ46が押されてビデ洗浄指令が発せられると、制御部32は、スイッチング素子38を適宜作動して、洗浄モータ67をステッピング動作させて切り替え弁66を回動駆動すると共に、スイッチング素子40を適宜作動して、給水ポンプ14を運転する。これにより、温水タンク13内底部に給水タンク20の水が供給されつつ、給水ポンプ14の出力による水圧が温水タンク13内に掛かり、温水タンク13内の温水が温水導出パイプ15の上端開口15A(温水タンク13からの温水流出口)から温水導出パイプ15へ流出し、弁室69へ供給される。
【0049】
この場合、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45が押されている場合は、制御部32のステッピングパルスによって洗浄モータ67がステッピング動作をし、それによって切り替え弁66がシールパッキン83A、83Bと当接部材85A、85Bに当接した状態で回動し、水勢増減スイッチ47Pと47Qによって設定された水勢となるように、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と所定の開口割合で連通した状態で洗浄モータ67が停止する。
【0050】
このため、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Qによって設定された強中弱のいずれかの水勢状態となるように、洗浄モータ67のステッピング動作にて切り替え弁66の回動位置が制御される。即ち、強水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通する開口割合が設定した最大状態となり、中水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通する開口割合が設定した中間状態となり、弱水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通する開口割合が設定した最小状態となる。
【0051】
このように、水勢切り替えは、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通する開口割合を変える構成であるため、この構成が本発明の水路開口調整弁機構22を構成する。
【0052】
このように、水勢増減スイッチ47Pと47Qによって設定された水勢状態となるように、切り替え弁66の弁通路66Aがおしり洗浄水通路71と連通し、温水タンク13から供給される温水は、弁通路66Aとおしり洗浄水通路71を通り、その出口部71Aから可撓性パイプ75Aを通って温水導入部63Bへ流入する。温水導入部63Bへ流入した温水の水圧は、コイルバネ65Aによって退避位置(図7に示す位置)にあるおしり洗浄ノズル61の水受け部61Bに作用して、コイルバネ65Aを圧縮しつつおしり洗浄ノズル61を進出させ、パッキン61Pが停止部63Aに当接して、その進出が停止し、この進出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部61Bの中心孔を通過しておしり洗浄ノズル61の内部通路61Tに流入し、先端のノズル口61Aから噴出する温水によって、おしり(肛門)が洗浄される。
【0053】
そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、制御部32が動作し、スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66を待機位置へ戻すと共に、給水ポンプ14の運転を停止する。給水ポンプ14の運転の停止により、給水ポンプ14による水圧が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口61Aからの温水の噴出が停止すると共に、コイルバネ65Aによっておしり洗浄ノズル61がおしり洗浄ノズル用ノズルケース63内に退避した状態(図8に示す位置)に復帰する。
【0054】
また、上記において、おしり(肛門)洗浄開始スイッチ45ではなく、ビデ洗浄開始スイッチ46が押されている場合は、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66がシールパッキン83A、83Bと当接部材85A、85Bに当接した状態で回動し、切り替え弁66の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と所定の開口割合で連通した状態で洗浄モータ67が停止する。これによって、給水ポンプ14の出力による水圧によって弁室69へ供給された温水タンク20内の温水は、弁通路66Aとビデ洗浄水通路72を通り、その出口部72Aから可撓性パイプ75Bを通って温水導入部64Bへ流入する。温水導入部64Bへ流入した温水の水圧は、コイルバネ65Bによって退避位置にあるビデ洗浄ノズル62の水受け部62Bに作用して、コイルバネ65Bを圧縮しつつビデ洗浄ノズル62を進出させ、パッキン62Pが停止部64Aに当接して、その進出が停止し(図7に示す位置)、この進出位置で、洗浄水である温水は、水圧受け部62Bの中心孔を通過してビデ洗浄ノズル62の内部通路62Tに流入し、先端のノズル口62Aから噴出する温水によって、ビデが洗浄される。
【0055】
このようにビデ洗浄が行なわれる場合も上記おしり洗浄の場合と同様に、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Qによって設定された強中弱のいずれかの水勢状態となるように、洗浄モータ67のステッピング動作にて切り替え弁66の回動位置が制御される。即ち、強水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通する開口割合が設定した最大状態となり、中水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通する開口割合が設定した中間状態となり、弱水勢状態では、切り替え弁66の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通する開口割合が設定した最小状態となる。このように水勢切り替えは、切り替え弁66の弁通路66Aがビデ洗浄水通路72と連通する開口割合を変える構成であるため、この構成が本発明の水路開口調整弁機構22を構成する。
【0056】
そして、洗浄停止スイッチ44が押されてONすることにより、制御部32が動作し、スイッチング素子38、40が動作して、洗浄モータ67の作動にて切り替え弁66を待機位置へ戻すと共に、給水ポンプ14の運転を停止する。給水ポンプ14の運転の停止により、給水ポンプ14による水圧が温水タンク13内に掛からなくなり、ノズル口62Aからの温水の噴出が停止すると共に、コイルバネ65Bによってビデ洗浄ノズル62がビデ洗浄ノズル用ノズルケース64内に退避した状態(上記おしり洗浄ノズル61の退避した状態と同様の状態)に復帰する。
【0057】
上記から明らかなように、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、それぞれ進出・退避動作を行なうように別個のノズルケース63、64内に収容されて上下配置され、温水タンク13に掛かる水道水圧によって進出動作し、それぞれ先端部のノズル口61A、62Aから温水を噴出する構成であるため、肛門やビデ等の被洗浄局部に対して、真下または真下後方部からの温水噴出が得られるようになり、従来のように左右配置での温水飛散問題や、おしり洗浄時におしりを洗浄した温水が、ビデ洗浄ノズル62の先端のノズル口62Aに掛かる問題も解決され、ビデ洗浄ノズルを衛生的に保てる好ましい噴出形態が達成できる。
【0058】
また、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、モータで進出・退避動作を行なうのではなく水圧で進出・退避動作を行なう構成であるため、両ノズルの動作とそれを達成する構造を共通にできるようになり、構造的・動作的に簡単なものとなる。
【0059】
更に、本発明では、切り替え弁66を収容した弁室69の温水導入口69Bの真上に、温水タンク13内に立設した温水導出パイプ15の下端の温水出口が連通するように、洗浄水切り替えユニットSUが温水タンクの下面に取り付けられた構成であるため、温水タンク13内の温水は、温水導出パイプ15から弁室69へ直接流入する構成となり、温水タンク13内の温水を洗浄水切り替えユニットSUに導くパイプが不要となり、温水タンク13に洗浄水切り替えユニットSUを取り付け、一体化した構成が達成できる。
【0060】
上記実施例では、ノズルユニットNUのノズルは、おしり洗浄ノズル41及びビデ洗浄ノズル42を備えているが、おしり洗浄ノズル41のみでも差し支えない。また、おしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62は、上下配置ではなく左右配置タイプでも差し支えない。
【0061】
上記のように、給水タンク20の水を給水ポンプ14によって温水タンク13へ供給し、この温水タンク13の温水をノズル61または62から噴射して、便座に着座した人の臀部の局所を洗浄する温水洗浄式便座装置SPにおいて、給水ポンプ14は、電動機14Bにて回転するポンプギア14Aの回転によって給水タンクの水を、水路9を通して温水タンク13へ供給する構成のギアポンプである。ギアポンプの構成は種々あるが、
【0062】
図11に拡大で示すように、ギアポンプ20は、ポンプ室14Cの壁面とポンプギア14Aとの周辺の隙間gが存在する等、構造によってポンプギア14Aの回転が一定であってもポンプ吐出水量にバラツキが生じ易く、ノズル61または62から噴出する洗浄水量が安定しない。上記のように、洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Qによって設定された強中弱のいずれかの水勢状態となるように、洗浄モータ67のステッピング動作にて切り替え弁66の回動位置が制御されるが、この場合、強水勢、中水勢、弱水勢のいずれにおいても、制御の簡素化のために電動機14Bによるポンプギア14Aの回転が所定回転となるようにしており、強水勢、中水勢、弱水勢の切り替えは、上記のように水路開口調整弁機構22によって行なわれる。強水勢設定状態ではそれに相応する水勢で安定噴出され、中水勢設定状態ではそれに相応する水勢で安定噴出され、弱水勢設定状態ではそれに相応する水勢で安定噴出されることが望ましいが、上記のようにギアポンプ14は構造上の問題によって、そのときの水勢に変動が生じ、所定の水勢での噴出が得られない場合がある。
【0063】
本発明では、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される水路9を流れる水の流量を検出する流量センサ11を設け、流量センサ11の検出に基づき、制御部32によってスイッチング素子40を通電してギアポンプ14の回転数を制御し、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される供給水量を安定化させるようにしている。
【0064】
流量センサ11は、図12に示すように、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される水路9を流れる水によって回転する回転体11Aが透明ケース11B内に回転可能に支持され、透明ケース11Bの外側には、この回転体11Aを挟んで一方側に発光素子11Pを配置し、他方側に受光素子11Qを配置している。透明ケース11Bには、ギアポンプ14から水路9を通して流れる水の入り口11Eと、ギアポンプ14から水路9を通して温水タンク13へ流れる水の出口11Xが形成されている。図12に示す回転体11Aは、入り口11Eから流入する水が衝突するように、複数の歯11Gを持つ歯車形態であり、歯11G相互間が光透過部11Hを形成する。
【0065】
これによって、回転体11Aの回転によって、発光素子11Pから受光素子11Qへ向かう光が歯11Gによって断続的に遮られることにより生じる受光素子11Qの出力が、制御部32へ入力される構成である。
【0066】
回転体11Aの適所に形成された光透過部11Hは、図12に示すように、回転体11Aを歯車形態としてその歯11G相互間が光透過部11Hとなるものや、円形板の回転体11Aに、発光素子11Pから受光素子11Qへ向かう光が透過する透光孔を一つまたは複数形成するものなど、種々の形態で構成できる。
【0067】
ギアポンプ14の運転によって、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される水路9を流れる水の流量を流量センサ11で検出する。この時、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される水路9を流れる水によって回転体11Aが回転することにより、発光素子11Pから受光素子11Qへ向かう光が断続的に遮られる。制御部32の動作によって、単位時間当たりのこの遮られる回数を制御部32にてカウントし、このカウント値が制御部32に備えたメモリに設定した基準値と比較され、このカウント値が基準値よりも少ない場合は、ギアポンプ14から温水タンク13へ掛かる圧力が低く、ノズル61または62から噴出する水勢が弱く洗浄水量が少なくなる。このため、このカウント値が基準値よりも少ない場合は、その少ない度合いに応じて、電動機14Bによるポンプギア14Aの回転数をアップさせることにより、ギアポンプ14から温水タンク13へ掛かる圧力がアップされ、ノズル61または62から噴出する水勢がアップし、ノズル61または62から噴射する水勢が安定するように、洗浄水量が設定した安定状態となる。
【0068】
また、単位時間当たりの遮られる回数のカウント値が、制御部32に備えたメモリに設定した基準値と比較され、このカウント値が基準値よりも多い場合は、ギアポンプ14から温水タンク13へ掛かる圧力が高く、ノズル61または62から噴出する水勢が強くなり洗浄水量が多くなり過ぎる。このため、このカウント値が基準値よりも多い場合は、その多い度合いに応じて、電動機14Bによるポンプギア14Aの回転数をダウンさせることにより、ギアポンプ14から温水タンク13へ掛かる圧力が低下され、ノズル61または62から噴出する水勢が低下して、ノズル61または62から噴射する水勢が安定するように、洗浄水量が設定した安定状態となる。
【0069】
上記のように温水洗浄式便座装置SPは、ノズル61または62から噴射する洗浄水の水勢を可変するために水路開口調整弁機構22を備えた場合にも、ノズル61または62から噴射する水勢が安定するように、洗浄水量が設定した安定状態となる。即ち、水路開口調整弁機構22は、便座使用者が洗浄水の水勢増減スイッチ47Pと47Qによって水勢を強・中・弱等のように選択することにより、ノズル61または62へ供給される洗浄水通路の断面積が可変され、それによって水勢が可変される機構である。このため、ギアポンプの吐出水量にバラツキが生じると、そのバラツキがそのまま影響して、ノズル61または62から噴出する洗浄水の水勢にバラツキが生じるが、本発明では、ギアポンプ14から温水タンク13へ供給される水路9を流れる水の流量を流量センサ11で検出して、ギアポンプ14の回転数を可変することにより、ノズル61または62から噴射する水勢が安定するように、洗浄水量が設定した安定状態となる。
【0070】
また、ノズル61または62から噴出する洗浄水の水勢にバラツキが生じた場合、それを検出して水路開口調整弁機構22の電動機67によって、ノズル61または62へ供給される洗浄水通路の断面積を可変するようにする方式も考えられる、その場合は、水勢の可変信号と水勢バラツキの信号によって電動機67が作動するため、制御が複雑化すると共に、電動機67によってノズル61または62へ供給される洗浄水通路の断面積を可変することにより、水シール部分のシール不良が生じ易くなる等、問題がある。このため、本発明のように、水路開口調整弁機構22は、水勢増減スイッチ47Pと47Qによって水勢を強・中・弱等のように選択動作することとし、ギアポンプの吐出水量のバラツキによる水勢のバラツキ補正は、流量センサ11の検出によるギアポンプの回転数補正によることとする、というように制御を分離することにより、このような問題解決を図ることができる。
【0071】
また、本発明では、ギアポンプ14の運転を所定の一定出力状態にしたとき、流量センサ11が検出する流量が、制御部32に備えたメモリに設定した所定の下限値以下である場合、即ち、単位時間当たりの遮られる回数のカウント値が、制御部32に備えたメモリに設定した下限値と比較され、このカウント値が下限値以下である場合は、表示部90にて水不足状態を表示すると共に、ギアポンプ14の運転を停止する。この表示部90は、LED47Lなどと同様に操作部10に設け、発光にて水不足状態を表示する。なお、表示部90に対応して「水不足」の文字を操作部10の表面に設ければよい。
【0072】
このため、表示部90に水不足状態が表示されると、給水タンク20内の水が不足した状態であるため、給水タンク20内へ水を補給する作業に掛かればよい。
【0073】
また、本発明では、ギアポンプ14の運転を最大出力状態にしたとき、流量センサ11が検出する流量が、制御部32に備えたメモリに設定した所定の上限値に達しない場合、即ち、単位時間当たりの遮られる回数のカウント値が、制御部32に備えたメモリに設定した上限値と比較され、このカウント値が上限値未満である場合は、エラーとして表示部91にてエラー表示する。この表示部91は、LED47Lなどと同様に操作部10に設け、発光にてエラー表示する。なお、表示部91に対応して「エラー」の文字を操作部10の表面に設ければよい。
【0074】
このエラーの種類としては、温水洗浄式便座装置SPの故障があり、給水タンク20からギアポンプ14までの水路の異物詰まり、給水タンク20から温水洗浄ユニット60までの水路パイプの外れ、この水路パイプからの水漏れ、またはギアポンプ14の電動機14Bが整流子付きモータの場合に、整流子に接触するブラシの消耗などモータの寿命やポンプギア14Aの磨耗等が原因と考えられる。また、エラーのもう一つの種類としては、誤使用によるものがあり、それは、給水タンク20への水路接続パイプ外れ、または給水タンク20内の水不足状態が原因と考えられる。
【0075】
このため、このエラー表示が出れば、必要な点検を行ない修復させる作業に取り掛かればよい。
【0076】
上記のように、ギアポンプ14の運転を所定の一定出力状態にすること、及び/またはギアポンプ14の運転を最大出力状態にすることは、メンテナンスのために操作する特別なスイッチによって行なう方式でもよいが、制御部32の制御プログラムにその条件を組み込むことにより、マイクロコンピュータ方式によって、例えば、毎日一回または複数回、定時にその動作を行なうことにより、自動的にエラーチェックを行なうことができる。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係る温水洗浄式便座装置は、温水タンク内に供給される給水ポンプの水圧によって、洗浄ノズルから温水タンク内の温水を噴出する温水洗浄式便座装置において、洗浄ノズルが、モータによって進出・退避動作を行なうモータ式の場合、またはおしり洗浄ノズル61とビデ洗浄ノズル62が上下配置ではなく左右配置タイプも含めて、本発明は、上記実施例に示した構成に限定されず、種々の形態のものに適用できるものであり、本発明の技術範囲において種々の形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0078】
1・・・・・ポータブルトイレ
2・・・・・台座
2A・・・・開口
2C・・・・本体ケース
3・・・・・支脚
4・・・・・排便収容トレイ
7・・・・・便座
9・・・・・水路
10・・・・操作部
13・・・・温水タンク
14・・・・給水ポンプ
14A・・・ポンプギア
14B・・・電動機
15・・・・温水導出パイプ
17・・・・基板
18・・・・操作基板
19・・・・電動機
20・・・・給水タンク
21・・・・スイッチング素子
22・・・・水路開口調整弁機構
23・・・・電動機19のON・OFFスイッチ
30・・・・制御回路
31・・・・商用電源
32・・・・制御部
33・・・・着座スイッチ
35・・・・便座用温度センサ
36・・・・スイッチング素子
37・・・・スイッチング素子
38・・・・スイッチング素子
39・・・・スイッチング素子
40・・・・スイッチング素子
41・・・・便座ヒータ
42・・・・温水ヒータ
44・・・・洗浄停止スイッチ
45・・・・おしり(肛門)洗浄開始スイッチ
46・・・・ビデ洗浄開始スイッチ
47L・・・LED
47P、47Q・・・・洗浄水の水勢増減スイッチ
48・・・・温水温度調節スイッチ
48L・・・LED
49・・・・便座温度調節スイッチ
49L・・・LED
50・・・・温度検知部
51・・・・フロートスイッチ
52・・・・負圧弁
55・・・・温水温度検知用サーミスタ
60・・・・温水洗浄ユニット
61・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル
61A・・・おしり(肛門)洗浄ノズルのノズル口
61B・・・おしり(肛門)洗浄ノズルの水受け部
61P・・・パッキン
62・・・・ビデ洗浄ノズル
62A・・・ビデ洗浄ノズルのノズル口
62B・・・ビデ洗浄ノズルの水受け部
62P・・・パッキン
63・・・・おしり(肛門)洗浄ノズル用ケース
63A・・・停止部
63B・・・温水導入部
64・・・・ビデ洗浄ノズル用ケース
64A・・・停止部
64B・・・温水導入部
65A・・・コイルバネ
65B・・・コイルバネ
66・・・・切り替え弁
67・・・・電動機
68・・・・電動機67の駆動軸
69・・・・弁室
69B・・・温水導入口
70・・・・弁室部材
71・・・・おしり洗浄水通路
71A・・・おしり洗浄水通路の出口部
72・・・・ビデ洗浄水通路
72A・・・ビデ洗浄水通路の出口部
73・・・・切り替え通路部材
74・・・・ネジ
75A・・・可撓性パイプ
75B・・・可撓性パイプ
77・・・・支持軸
78・・・・支持軸
79・・・・コイルバネ
82・・・・シールパッキン
83A・・・シールパッキン
83B・・・シールパッキン
85A・・・当接部材
85B・・・当接部材
87・・・・取り付け部材
NC・・・・ノズルケース体
NU・・・・ノズルユニット
SP・・・・温水洗浄式便座装置
SU・・・・洗浄水切り替えユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水タンクの水を給水ポンプによって温水タンクへ供給し、この温水タンクの温水をノズルから噴射して、便座に着座した人の臀部の局所を洗浄する温水洗浄式便座装置において、前記給水ポンプは、電動機にて回転するギアの回転によって前記給水タンクの水を前記温水タンクへ供給する構成であるギアポンプであり、前記ギアポンプから前記温水タンクへ供給される水の流量を検出する流量センサを設け、前記流量センサの検出に基づき、前記ギアポンプの回転数を制御して前記ギアポンプから前記温水タンクへ供給される供給水量を安定化させることを特徴とする温水洗浄式便座装置。
【請求項2】
前記流量センサが検出する流量が所定の下限値以下であることにより、表示部にて給水タンクの水不足状態を表示すると共に前記ギアポンプの運転を停止することを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄式便座装置。
【請求項3】
前記ギアポンプの運転を最大出力状態にしたとき、前記流量センサが検出する流量が所定流量に達しないときは、表示部にてエラー表示することを特徴とする請求項1に記載の温水洗浄式便座装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−91999(P2013−91999A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−235541(P2011−235541)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(302071092)三洋テクノソリューションズ鳥取株式会社 (244)
【Fターム(参考)】