説明

温水製造供給ユニット

【課題】温水ポンプ入口での温水のキャビテーションを防止できる構成を備えることで蒸気の熱から高温の温水を安定して製造供給することができる温水製造供給ユニットを提供すること。
【解決手段】蒸気と温水とを間接接触させることで温水を加熱する熱交換器2、温水ポンプ3、膨張タンク4、および温水温度制御部9を備える温水製造供給ユニット1である。膨張タンク4は、温水移送管路14aのうち温水ポンプ3の温水吸込側に分岐管路15を介して接続され、当該温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭(液体ヘッド)を有するように配置・構成されている。また、温水温度制御部9は、温度センサー28の検出値が、例えば85℃〜95℃の範囲の中の所定の値となるように、蒸気流量制御弁23の開度を調整して熱交換器2に供給する蒸気の流量を制御するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気の熱から温水を製造するとともに製造した温水を供給するための温水製造供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、沸点の低い作動媒体を利用することで低温熱源からエネルギーを取り出し、タービン発電機を稼動させることで電力を生み出すバイナリー発電システムという省エネルギーシステムが注目されている。これまであまり有効利用されてこなかった200℃以下の工場排熱や原動機排熱といった低温熱源を発電に有効利用しようとする技術である。作動媒体としては、フロンなどの沸点の低い媒体が使用される。
【0003】
バイナリー発電システムの周辺技術として、例えば特許文献1に記載されたものが提案されている。特許文献1に記載された技術は、給油式スクリュータービンを用いたバイナリー発電システムにおいて、油分離タンクの入口側と出口側との圧力差を利用して油タンクに潤滑油を充填するというものである。これにより、油タンクへ潤滑油をスムーズに追加できる、と称されている。
【0004】
一方、バイナリー発電システムにおいては、200℃以下の蒸気で作動媒体を直接加熱する方法を採用することも可能であるが、作動媒体の加熱の安定性を担保するため、蒸気で水を加熱して高温の温水を製造し、製造した高温温水で作動媒体を加熱する方法のほうがシステムは安定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−101106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、80℃以下の温水の製造供給装置は、例えば温水暖房装置用途などとして実用化されている。しかしながら、より高温の例えば85℃以上の温水の製造には、80℃以下の温水を製造する際には大きな問題とならなかった、温水ポンプ入口での温水のキャビテーションの防止が大きな技術課題となる。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、温水ポンプ入口での温水のキャビテーションを防止できる構成を備えることで蒸気の熱から高温の温水を安定して製造供給することができる温水製造供給ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、蒸気と温水とを間接接触させることで温水を加熱する熱交換器と、前記熱交換器に接続される蒸気供給管路と、前記熱交換器に接続される蒸気排出管路と、前記熱交換器と熱負荷装置との間を接続する温水移送管路と、前記蒸気供給管路に取り付けられる蒸気流量制御弁と、前記温水移送管路に取り付けられる温水ポンプと、前記温水ポンプに冷却水を供給する冷却水供給手段と、前記温水移送管路のうち前記温水ポンプの温水吸込側に分岐管路を介して接続され、当該温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭を有する水タンクと、前記温水移送管路のうち前記温水吸込側に取り付けられる温度センサーと、前記温度センサーの検出値が所定の値となるように、前記蒸気流量制御弁の開度を調整して前記熱交換器に供給する蒸気の流量を制御する温水温度制御部と、を備える温水製造供給ユニットである。
【0009】
温水の温度が高くなるほど、水の沸点と温水温度との差が小さくなり、温水ポンプ吸込側で液圧が低下した際に、温水の気化に起因するキャビテーションが起こり易くなる。この構成によると、温度センサー、蒸気流量制御弁、および温水温度制御部により、温水の温度が所定の値よりも高く上昇することを防止できる。また、温水ポンプの温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭を有する水タンクを設けることで、温水ポンプ吸込側での液圧低下を防止できる。これらの結果、温水ポンプにおけるキャビテーションの発生を抑制できる。
【0010】
また本発明において、前記水タンクは、一定の前記位置水頭を維持するためのオーバーフロー水排出機構および自動給水機構を備えていることが好ましい。
【0011】
温水の密度は温水の温度により異なるため、温水移送管路に分岐管路を介して接続された水タンク内の液位は、温水の温度変化により変動しようとする。この構成によると、オーバーフロー水排出機構および自動給水機構により、水タンク内の液位を一定に保つことができる。その結果、水タンクによる温水ポンプにおけるキャビテーションの発生防止効果を安定して得ることができる。
【0012】
さらに本発明において、前記温水温度制御部は、前記温度センサーの検出値が85℃〜95℃の範囲の中の所定の値となるように温度設定されていることが好ましい。
【0013】
例えば、バイナリー発電システムに本発明の温水製造供給ユニットを適用して作動媒体を温水で加熱する場合、発電効率の観点から85℃以上の温水を用いることが望ましい。一方、95℃を超える温度では、温水ポンプにおけるキャビテーションが発生しやすい。この構成によると、85℃〜95℃の範囲の中の所定の値の温水温度となり、熱エネルギーを有効に活用しやすい温度の温水を製造することができる。また、温水ポンプにおけるキャビテーションの発生を防止できる。
【0014】
さらに本発明において、前記蒸気排出管路に取り付けられるスチームトラップをさらに備え、前記スチームトラップで分離されたドレン水を蒸気原料として再利用することが好ましい。
【0015】
蒸気中にはアルカリ成分が含まれることが多い。そのため、熱交換後の蒸気が凝縮したドレン水にはアルカリ成分が混入していることが多い。このドレン水を排水として排出する場合、排水処理に係るコストが必要となって、その結果、ランニングコストが上昇する。この構成によると、排水処理に係るコストを抑えることができ、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0016】
さらに本発明において、前記熱交換器と前記スチームトラップとの間の前記蒸気排出管路に圧力センサーが取り付けられており、前記圧力センサーの検出値が前記スチームトラップの下流側のドレン水の水頭に相当する圧力値よりも高くなるように、前記温水ポンプの流量を制御する温水流量制御部をさらに備えることが好ましい。
【0017】
スチームトラップ上流側の熱交換器で蒸気と温水とが熱交換する結果、蒸気温度が低下して蒸気の一部が液化する。スチームトラップ上流側の蒸気排出管路の蒸気圧力が、スチームトラップ下流側のドレン水の水頭に相当する圧力値以下に低下すると、分離されたドレン水を再利用するために送液するための圧力が不足する。この構成によると、スチームトラップの下流側に増圧ポンプを設けることなく、ドレン水を送液することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、温水ポンプの温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭を有する水タンク、および前記した温水温度制御部を、温水製造供給ユニットに設けることで、蒸気の熱から高温の温水を安定して製造供給することができる温水製造供給ユニットとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る温水製造供給ユニットを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下に説明する温水製造供給ユニットは、バイナリー発電システム、温水暖房装置、温水加熱システムなどに広く適用することができるものである。
【0021】
図1に示すように、温水製造供給ユニット1は、熱交換器2、蒸気供給管路11、蒸気排出管路12、温水循環管路14、温水温度制御部9、および温水流量制御部10などを具備してなる。
【0022】
熱交換器2は、蒸気と温水とを間接接触させることで温水を加熱する蒸気−温水熱交換器である。熱交換器2には、蒸気供給管路11、蒸気排出管路12、および温水循環管路14が接続されている。
【0023】
蒸気供給管路11は、ボイラー6からの蒸気を熱交換器2に供給するための管路であり、一端がボイラー6に接続され、他端が熱交換器2に接続されている。蒸気供給管路11には、その上流側(ボイラー6側)から順に、減圧弁21、圧力計P、温度計T、流量計22、蒸気流量制御弁23、および安全弁24が取り付けられている。蒸気流量制御弁23は、電動弁であってもよいし、電磁弁であってもよいし、空気作動弁であってもよい。
【0024】
蒸気排出管路12は、温水との熱交換を終えた蒸気を熱交換器2から排出するための管路であり、一端が熱交換器2に接続され、他端がスチームトラップ26に接続されている。この蒸気排出管路12には、蒸気と、蒸気の一部が凝縮した水(ドレン水)が流れる。また、熱交換器2とスチームトラップ26との間には圧力センサー25が取り付けられている。なお、スチームトラップとは、蒸気中から凝縮したドレン水だけを排出して蒸気はほとんど漏らさない構造を有するものである。スチームトラップは、メカニカルスチームトラップ、サーモスタチックスチームトラップなどに大別され、このうちメカニカルスチームトラップには、逆バケット型と呼ばれるものがある。本実施形態の場合、スチームトラップ26として、逆バケット型のメカニカルスチームトラップが適している(後述のスチームトラップ27についても同様)。
【0025】
ここで、スチームトラップ26と脱気タンク5とはドレン水管路13を介して接続されている。ドレン水管路13は、脱気タンク5の上方から当該脱気タンク5に接続され、スチームトラップ26で蒸気から分離されたドレン水がその自圧を利用して流れるようにされている。本実施形態では、このような態様で、スチームトラップ26で分離されたドレン水を脱気タンク5へ戻してボイラー6で使用する蒸気原料として再利用している。蒸気中にはアルカリ成分が含まれることが多い。そのため、熱交換後の蒸気が凝縮したドレン水にはアルカリ成分が混入していることが多い。本実施形態によると、蒸気中に含まれるアルカリ成分が系外に排出されないため、アルカリ成分を含む廃液の処理が不要になり、ランニングコストの低減が可能となる。
【0026】
蒸気の発生および発生した蒸気の熱交換器2への供給について説明する。脱気タンク5にて溶存ガスが抜けた水がボイラー6に送られ、ボイラー6にて加熱されることで蒸気が発生する。発生した蒸気は、減圧弁21により圧力が低下した後、蒸気流量制御弁23を介して熱交換器2に供給される。熱交換器2に供給される蒸気の量は、流量計22にて把握でき、蒸気の温度および圧力は、それぞれ、温度計Tおよび圧力計Pで把握することができる。
【0027】
なお、減圧弁21の上流側の蒸気供給管路11から管路が分岐され、その管路にスチームトラップ27が取り付けられている。このスチームトラップ27は、熱交換器2に蒸気を供給しない場合(例えば、蒸気流量制御弁23を全閉にした状態)に機能するものであり、ここで分離したドレン水は、管路36を介して脱気タンク5またはドレンピット7に流れ込むようになっている。スチームトラップ27と脱気タンク5との間にはバルブ34が設けられ、スチームトラップ27とドレンピット7との間にはバルブ35が設けられている。
【0028】
次に、温水循環管路14は、熱交換器2と熱負荷装置8との間で温水を循環させるための管路であり、熱交換器2および熱負荷装置8に接続されている。この温水循環管路14は、温水移送管路14aと、温水戻し管路14bとからなる。温水移送管路14aは、熱交換器2で蒸気にて加熱された温水を熱交換器2から熱負荷装置8へ送るための管路であり、温水戻し管路14bは、熱負荷装置8にて抜熱された温水を熱負荷装置8から熱交換器2へ戻すための管路である。なお、熱負荷装置8は、例えば、温水とフロンとを間接接触させることでフロンを加熱する温水−フロン熱交換器である。
【0029】
温水移送管路14aには、その上流側(熱交換器2側)から順に、温度センサー28、温水ポンプ3、および流量センサー29が取り付けられている。温水ポンプ3は、熱交換器2と熱負荷装置8との間で温水を循環させるための循環ポンプであり、当該温水ポンプ3には給水管31が接続されている。給水管31は、本発明に係る冷却水供給手段に相当する。給水管31には水圧がかかっている。温水ポンプ3には例えば85℃以上の高温の温水が流れるため、温水ポンプ3は給水管31からの冷却水により冷却される。なお、温水ポンプ3の冷却に使用された冷却水は、温水とともに温水循環管路14内を循環する。
【0030】
熱交換器2と温水ポンプ3との間の温水移送管路14aであって、温水ポンプ3の吸込側部分には分岐管路15の一端が接続されている。そして分岐管路15は、温水ポンプ3の吸込側部分から上方に延在し、分岐管路15の他端は膨張タンク4の底に接続されている。すなわち、膨張タンク4は、温水循環管路14よりも上方に配置される。膨張タンク4は、温水ポンプ3の吸込側に圧力(液圧)を与えるための位置水頭(液体ヘッド)を有する水タンクであり、本実施形態では、給水管32を介して内部に水(常温水または温水)が張られている。このように、膨張タンク4は、温水移送管路14aのうち温水ポンプ3の温水吸込側に分岐管路15を介して接続され、当該温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭(液体ヘッド)を有するように配置・水張りされている。
【0031】
ここで、温水の温度が高くなるほど、水の沸点と温水温度との差が小さくなり、温水ポンプ3吸込側で液圧が低下した際に、温水の気化に起因するキャビテーションが起こり易くなる。本実施形態のように、温水ポンプ3の温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭(液体ヘッド)を有する膨張タンク4を設けることで、温水ポンプ3吸込側での液圧低下を防止でき、キャビテーションの発生を抑制できる。なお、キャビテーション防止に必要な液体ヘッド(膨張タンク4の液面レベルと温水ポンプ3吸込部のレベルとの差)の値は、温水ポンプ3の吸込能力、および設定した温水温度(温水移送管路14aを流れる温水の温度)から計算される。
【0032】
給水管32には水圧がかかっている。また、膨張タンク4内には、例えばフロート弁(不図示)が入れられている。蒸発などにより膨張タンク4内の液位が下がるとフロート弁が作動して給水管32から膨張タンク4に自動で給水され、膨張タンク4内の液位が上がると、フロート弁が作動して給水管32からの給水が自動で止まる(自動給水機能)。給水管32およびフロート弁は、本発明に係る自動給水機構に相当する。なお、フロート弁の代わりに、フロートスイッチおよび電磁弁を用いて給水管32を開閉させてもよい。さらには、フロートスイッチの代わりに電極(水位計)を用いてもよい。
【0033】
また、膨張タンク4の側面上方には孔が開けられ、そこにオーバーフロー排水管33が水平に取り付けられている。前記したように、温水ポンプ3の冷却に使用された冷却水は、温水とともに温水循環管路14内を循環する。そのため、温水循環管路14を循環する音水量が増加していく。このとき、余剰の温水がオーバーフロー排水管33から自然流下で排水される。オーバーフロー排水管33は、本発明に係るオーバーフロー水排出機構に相当する。
【0034】
ここで、温水の密度は温水の温度により異なるため、温水移送管路14aに分岐管路15を介して接続された膨張タンク4内の液位は、温水の温度変化により変動しようとする。また、温水ポンプ3の起動時・停止時などにも膨張タンク4内の液位が変動することがある。例えば、温水ポンプ3の起動時や、熱負荷装置8の負荷が変動した場合などの非定常の運転時には、温水循環量が一時的に低下する場合がある。本発明に係る温水製造供給ユニット1では、オーバーフロー水排出機構および自動給水機構により、このような場合(運転状態)においても膨張タンク4内の液位を一定に保つことができ、膨張タンク4による温水ポンプ3におけるキャビテーションの発生防止効果を安定して得ることができる。
【0035】
温水戻し管路14bには、その上流側(熱負荷装置8側)から順に、安全弁30、および温度計Tが取り付けられている。この温度計Tにより、熱交換器2に戻る温水の温度(熱交換器2入口の温水の温度)を把握できる。
【0036】
ここで、温水製造供給ユニット1は、温水温度制御部9、および温水流量制御部10を備えている。温水温度制御部9、および温水流量制御部10は、電気回路やプログラムが書き込まれたシーケンサであって電気盤などに収容される。
【0037】
温水温度制御部9は、熱負荷装置8に供給する温水の温度(熱交換器2出口の温水の温度)を制御するための制御部である。この温水温度制御部9は、温度センサー28の検出値が、例えば85℃〜95℃の範囲の中の所定の値となるように、蒸気流量制御弁23の開度を調整して熱交換器2に供給する蒸気の流量を制御するように構成されている。温水温度制御部9には、温度センサー28からの電気信号(温度検出信号)が取り込まれるとともに、蒸気流量制御弁23からの電気信号(開度信号)が取り込まれる。温水温度制御部9は、温度センサー28および蒸気流量制御弁23からの電気信号に基づいて蒸気流量制御弁23の開度を制御する。
【0038】
前記したように、温水の温度が高くなるほど、水の沸点と温水温度との差が小さくなり、温水ポンプ3吸込側で液圧が低下した際に、温水の気化に起因するキャビテーションが起こり易くなる。本実施形態では、温水温度制御部9により、温水の温度が所定の値よりも高く上昇することを防止でき、温水ポンプ3吸込側への膨張タンク4による圧付与と合わせて、温水ポンプ3におけるキャビテーションの発生を有効に防止できる。
【0039】
ここで、バイナリー発電システムに本実施形態の温水製造供給ユニット1を適用してフロンなどの作動媒体を温水で加熱する場合、発電効率の観点から85℃以上の温水を用いることが望ましい。一方、95℃を超える温度では、温水ポンプ3におけるキャビテーションが発生しやすい。すなわち、温水温度制御部9で、85℃〜95℃の範囲の中の所定の温度に温水温度を制御することで、熱エネルギーを有効に活用しやすい温度の温水を製造することができる。また、温水ポンプにおけるキャビテーションの発生も防止できる。
【0040】
温水流量制御部10は、熱負荷装置8に供給する温水の流量を制御するための制御部である。この温水流量制御部10は、流量センサー29の検出値に基づいて温水ポンプ3の流量を制御するように構成されるとともに、かつ、圧力センサー25の検出値がスチームトラップ26の下流側のドレン水の水頭に相当する圧力値よりも高くなるように、温水ポンプ3の流量を制御するようにも構成されている。温水流量制御部10には、圧力センサー25からの電気信号(圧力検出信号)が取り込まれるとともに、流量センサー29からの電気信号(流量検出信号)が取り込まれている。温水流量制御部10は、圧力センサー25および流量センサー29からの電気信号に基づいて温水ポンプ3の回転数を制御する。なお、回転数を制御できない温水ポンプを用いる場合は、温水ポンプの吐出側に例えば電動弁を設け、この電動弁の開度を制御することで温水ポンプの流量を制御する。
【0041】
スチームトラップ26上流側の熱交換器2で蒸気と温水とが熱交換する結果、熱交換器2から排出される蒸気の温度が低下してその一部が液化する。蒸気排出管路12の蒸気圧力が、スチームトラップ26と脱気タンク5との間(ドレン水管路13)のドレン水の水頭(液体ヘッド)に相当する圧力値以下に低下すると、分離されたドレン水を再利用するために脱気タンク5に送液するための圧力が不足する。本実施形態では、圧力センサー25の検出値がスチームトラップ26の下流側のドレン水の水頭に相当する圧力値よりも高くなるように、温水流量制御部10が温水ポンプ3の流量を制御するので、ドレン水管路13に増圧ポンプを設けることなくドレン水を送液することができる。例えば、圧力センサー25の検出値が予め設定した圧力値以下になる場合は、温水ポンプ3の流量を低下させる。これにより、熱交換器2における蒸気から温水への熱移動量が低下して、熱交換器2出口側(蒸気排出管路12)でのドレン水送液に必要な蒸気圧力を保持することができる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することが可能なものである。
【符号の説明】
【0043】
1:温水製造供給ユニット
2:熱交換器
3:温水ポンプ
4:膨張タンク(水タンク)
5:脱気タンク
6:ボイラー
7:ドレンピット
8:熱負荷装置
9:温水温度制御部
10:温水流量制御部
11:蒸気供給管路
12:蒸気排出管路
14:温水循環管路
14a:温水移送管路
14b:温水戻し管路
15:分岐管路
23:蒸気流量制御弁
25:圧力センサー
26:スチームトラップ
28:温度センサー
31:給水管(冷却水供給手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気と温水とを間接接触させることで温水を加熱する熱交換器と、
前記熱交換器に接続される蒸気供給管路と、
前記熱交換器に接続される蒸気排出管路と、
前記熱交換器と熱負荷装置との間を接続する温水移送管路と、
前記蒸気供給管路に取り付けられる蒸気流量制御弁と、
前記温水移送管路に取り付けられる温水ポンプと、
前記温水ポンプに冷却水を供給する冷却水供給手段と、
前記温水移送管路のうち前記温水ポンプの温水吸込側に分岐管路を介して接続され、当該温水吸込側に圧力を与えるための位置水頭を有する水タンクと、
前記温水移送管路のうち前記温水吸込側に取り付けられる温度センサーと、
前記温度センサーの検出値が所定の値となるように、前記蒸気流量制御弁の開度を調整して前記熱交換器に供給する蒸気の流量を制御する温水温度制御部と、
を備える、温水製造供給ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の温水製造供給ユニットにおいて、
前記水タンクは、一定の前記位置水頭を維持するためのオーバーフロー水排出機構および自動給水機構を備えていることを特徴とする、温水製造供給ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の温水製造供給ユニットにおいて、
前記温水温度制御部は、前記温度センサーの検出値が85℃〜95℃の範囲の中の所定の値となるように温度設定されていることを特徴とする、温水製造供給ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の温水製造供給ユニットにおいて、
前記蒸気排出管路に取り付けられるスチームトラップをさらに備え、
前記スチームトラップで分離されたドレン水を蒸気原料として再利用することを特徴とする、温水製造供給ユニット。
【請求項5】
請求項4に記載の温水製造供給ユニットにおいて、
前記熱交換器と前記スチームトラップとの間の前記蒸気排出管路に圧力センサーが取り付けられており、
前記圧力センサーの検出値が前記スチームトラップの下流側のドレン水の水頭に相当する圧力値よりも高くなるように、前記温水ポンプの流量を制御する温水流量制御部をさらに備えることを特徴とする、温水製造供給ユニット。

【図1】
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【公開番号】特開2012−172874(P2012−172874A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−33605(P2011−33605)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】