説明

温熱パッド

【課題】温めている部分を適切にマッサージすることのできる温熱パッドを提供する。
【解決手段】扁平な袋体2に、電磁波によって加熱可能な複数の粒状体3と、袋体2の厚みの半分以上の直径を有するマッサージ用ボール4とを充填して温熱パッド1を構成する。かかる温熱パッド1は、電子レンジ等で粒状体3を加熱して体表10に載せることによって温熱治療効果を得ることができる。そして、かかる状態で、マッサージ用ボール4のある部分を指や掌で押圧して体表10に押し付ければ、体表10に局所的な力を加えることができるから、体を温めつつ、押圧や揉捏によるマッサージ効果を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子レンジ等で加熱して体を温めるのに用いる温熱パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
体に当てて体を温める温熱パッドは、温熱治療や冷えの防止、疲労回復などに用いられている。こうした温熱パッドにあって、近年では、電磁波で加熱可能な粒状体を袋体に充填し、電子レンジで加熱して用いるものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3101728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の温熱パッドは、体を温めることはできるものの、温めている部分を物理的にマッサージすることは困難である。温熱パッドの裏側から指や掌で体表側に力を加えても、内部に充填された細かい粒状体が力を周囲に分散させてしまい、体表に局所的な力を加えることができないためである。温熱パッドを薄くすれば、体表に局所的な力を加え易くなるが、熱容量が小さくなって冷め易くなるため現実的ではない。
【0005】
本発明は、かかる現状に鑑みて為されたものであり、温めている部分を適切にマッサージすることのできる温熱パッドの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、扁平な袋体に、電磁波によって加熱可能な複数の粒状体と、袋体の厚みの半分以上の直径を有するマッサージ用ボールとを充填してなる温熱パッドである。
【0007】
かかる構成にあっては、マッサージ用ボールの位置する部分を裏側から指や掌で体表に押し付けることで、体表に局所的な力を加えることができる。すなわち、袋体に粒状体だけを充填した温熱パッドは、粒状体が細かいために、裏側から加わる力が周囲に伝播して分散してしまい、体表に局所的な力を加えることができないが、本発明では、粒状体よりもはるかに大きいマッサージ用ボールを介して力を加えることで、力を周囲に分散させることなく、パッドの裏側から体表に局所的な力を加えることができるのである。このため、本発明の温熱パッドによれば、加熱した温熱パッドを体表に当てて、マッサージ用ボールの存在する部分を裏側から指や掌で体表に押し付けることで、体表を温めつつ、温めている箇所を押圧したり揉捏したりすることができ、温熱効果と同時にマッサージ効果を得ることが可能となる。
【0008】
また、本発明にあっては、マッサージ用ボールは粒状体とともに袋体に充填されているため、マッサージ用ボールを体表側に押し付けると、マッサージ用ボールと袋体の布地の間に粒状体が挟まれることとなる。このため、マッサージ用ボールを押し付けてマッサージを行う際には、この挟まれた粒状体が形成する凹凸部分が体表に押し付けられることになり、これにより、体表を強く刺激して、より高いマッサージ効果を得ることができる。
【0009】
また、本発明の温熱パッドは、袋体に充填された粒状体が流動することで、体表の形状に倣うように柔軟に変形することができるため、顔や肩などの起伏が激しい部分でも、適切に温めながらマッサージを行うことができる。
【0010】
なお、本発明に係るマッサージ用ボールは、真球状に限らず、楕円体状を採用することもできる。そして、本発明にあって、マッサージ用ボールを楕円体状にする場合には、楕円体の短い方の直径が袋体の厚みの半分以上となるように構成すればよい。
【0011】
また、本発明にあって、前記複数の粒状体は、粒径1〜5mmであることが好ましい。粒状体が粒径5mm以下であれば、体表の形状に合わせて適度な倣い作用を発揮することができる。また、粒状体が粒径1mm以上であれば、マッサージ用ボールを体表に押し付けた時に、ボール表面の粒状体によって体表に適度な刺激を付与することができ、また、粒状体が袋体の隙間から漏れ出難いという利点もある。一方、前記マッサージ用ボールは、直径1.5〜3.5cmの略球状をなしていることが望ましい。かかる構成とすれば、マッサージ用ボールが親指大の大きさとなるため、体表のツボを押圧するのに適したものとなる。
【0012】
また、本発明にあって、前記袋体は、通気性の布で構成されており、前記複数の粒状体は、吸湿性を有し、電磁波で加熱されることによって、吸収した水分を蒸気として放出することが提案される。かかる構成にあっては、温熱パッドを加熱すると、温熱パッドの周囲に蒸気が放出されることとなり、体を高湿度条件下で温めながら効果的なマッサージを行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
以上に述べたように、本発明によれば、マッサージ用ボールを体表側に押圧することにより、体を温めながら当該箇所を適切にマッサージすることが可能となる。また、本発明にあっては、マッサージ用ボールを体表に押し付けた際に、マッサージ用ボールと体表の間に挟まれた粒状体が体表を刺激することとなるため、より高いマッサージ効果を得ることができる。また、本発明の温熱パッドは、体表の起伏に倣うように柔軟に変形できるため、顔や肩などの比較的起伏に富んだ部分も温めながら適切にマッサージをすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施例の温熱パッド1の斜視図である。
【図2】実施例の温熱パッド1の平面図である。
【図3】実施例の温熱パッド1の縦断側面図である。
【図4】実施例の温熱パッド1の横断面図である。
【図5】温熱パッド1の使用方法を示す説明図である。
【図6】温熱パッド1の使用方法を示す説明図である。
【図7】温熱パッド1の別の使用方法を示す説明図である。
【図8】他の実施例の温熱パッド1aを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態を、以下の実施例に従って説明する。
【0016】
本実施例の温熱パッド1は、図1,2に示すように、平面視ハート型の扁平形状をなしている。温熱パッド1の好適なサイズとしては、縦横のサイズが7〜15cmで厚みが2.5〜4.5cmが挙げられる。
【0017】
温熱パッド1は、図3,4に示すように、袋体2に多数の粒状体3と一個のマッサージ用ボール4を充填してなるものである。粒状体3とマッサージ用ボール4は、袋体2の内部で流動できる程度に余裕をもって袋体2に充填されている。
【0018】
袋体2は、通気性を有する一般的な布を平面視ハート型に縫製してなるものである。袋体2の内部には区画は存在せず、粒状体3及びボール4が内部を自由に流動し得るよう構成されている。袋体2を形成する布の種類は特に限定されないが、柔軟で破れ難い、耐熱性の布を用いることが望ましい。
【0019】
粒状体3は、粒径2〜3mm程度の小粒であり、袋体2の内部に多数充填される。一方、マッサージ用ボール4は、直径約2.5cmの球状体であり、粒状体3と混ざるようにして、袋体2の内部に一個だけ収容される。粒状体3及びマッサージ用ボール4は、電子レンジの電磁波で加熱可能な吸湿性セラミックで構成されている。
【0020】
以下に、上記温熱パッド1の使用方法について説明する。
温熱パッド1を使用する場合は、まず、電子レンジを用いて、吸湿性セラミックからなる粒状体3及びマッサージ用ボール4を加熱する。加熱条件は温熱パッド1のサイズによるが、500Wの電子レンジで数分程度加熱することで、温熱パッド1を十分な温度に加熱できる。この時、粒状体3及びマッサージ用ボール4は、単に加熱されるだけでなく、粒状体3及びマッサージ用ボール4に含まれていた水分が蒸気となり、発生した蒸気が袋体2の布地を通過して温熱パッド1の表面に放出される。
【0021】
加熱した温熱パッド1は、図5(a)に示すように、直接又は服などの上から体表10に当てることで体を温めることができる。この時、温熱パッド1からは蒸気が放出しているため、温熱パッド1を当てた部分は高湿度条件下で温められることとなる。温熱パッド1を当てる体の部分は特に限定されないが、首や肩、顔、デコルテ、足裏、ふくらはぎ、背中などが挙げられる。
【0022】
図5(b)に示すように、温熱パッド1を体表10に当てた状態で、マッサージ用ボール4のある部分を反対側から体表10に押し付ければ、マッサージ用ボール4を介して体表10に局所的な力を加えることができ、体表10を温めながら当該箇所を押圧マッサージすることができる。また、体表10にマッサージ用ボール4を押し付けた状態で、マッサージ用ボール4を体表10に沿って動かせば、温熱パッド1で温めている箇所に揉捏マッサージを行うことができる。
【0023】
ここで、マッサージ用ボール4を体表10に押し付ける際には、図5(b)に示すように、袋体2の布地の摩擦力によって、袋体2とマッサージ用ボール4の間に粒状体3が挟まることとなる。このため、マッサージ用ボール4を押し付けてマッサージを行う際には、この挟まれた粒状体3が形成する凹凸が体表10を刺激することとなり、これにより、マッサージ用ボール4の円滑な表面で押圧するよりも強い刺激を体表10に与えることができる。
【0024】
また、温熱パッド1は、袋体2に充填された粒状体3が内部で流動することで、比較的起伏のある部分であっても、体表10の形状に倣うように変形することができる。このため、本実施例の温熱パッド1は、図6に示すように、鼻の周囲などの起伏の多い場所であっても体表にも被着させて、当該部分を確実に温めることができ、また、かかる被着状態で体表10にマッサージ用ボール4を押し付けることで、確実にマッサージ効果を得ることができる。
【0025】
以上のように、本実施例の温熱パッド1によれば、体を温めながら、温めている部分に局所的な力を加えてマッサージを行うことが可能となる。そして、マッサージを行う際には、粒状体3を体表10に押し付けることで、マッサージ用ボール4を直接押し付けるよりも、体表10に強い刺激を与えることができる。さらには、粒状体3が流動することで、体表の比較的起伏の富んだ箇所でも適切に温めながらマッサージを行うことができる。
【0026】
図7は、本実施例の温熱パッド1の別の使用例を示したものである。かかる使用例にあっては、帯状のゴムバンド5に複数形成されたポケット6に加熱済みの温熱パッド1を収容し、該ゴムバンド5を体幹や脚部に巻きつけて、ゴムバンド5の両端に設けられた面ファスナー7,7を接合することによって、ゴムバンド5を体に巻き付けた状態で固定する。かかる使用方法にあって、ゴムバンド5を体幹や脚部を締め付けるように巻き付ければ、ゴムバンド5の伸縮力によって、温熱パッド1を体表に密着させることができ、また、マッサージ用ボール4を体表側に押し付けることもできる。
【0027】
図8は、他の実施例の温熱パッド1aを示すものである。本実施例にあっては、帯状の袋本体8の長手方向に沿って、三つの袋体2aが設けられており、各袋体2aに粒状体3とマッサージ用ボール4とが充填される。かかる温熱パッド1aは、袋本体8を電子レンジによって加熱し、袋本体8を体表に当てた状態で両端に設けられた紐9,9を結ぶことによって体に装着するものである。かかる温熱パッド1aにあっても、体表に当てた状態で、各袋体2aに充填されたマッサージ用ボール4を体表に押し付けることで、温めている箇所を適切にマッサージすることができる。このように、本発明の温熱パッドは、一つの袋体のみで構成されるものに限らず、複数の袋体で構成することもできる。
【0028】
なお、本発明の温熱パッドは、上記実施例の形態に限らず本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えることができる。例えば、本発明の温熱パッドは、電子レンジの電磁波で加熱する専用品に限らず、その他の加熱手段によっても加熱し得るものであっても構わない。また、体を温めるだけでなく、冷蔵庫等で冷やしてから体表に当てることによって、体を冷やすのにも用い得るものであってもよい。また、上記実施例では、一つの袋体につきマッサージ用ボールが一個充填されているが、マッサージ用ボールを一つの袋体に二個以上充填しても構わない。
【符号の説明】
【0029】
1,1a 温熱パッド
2,2a 袋体
3 ビーズ
4 マッサージ用ボール
5 ゴムバンド
6 ポケット
7 面ファスナー
8 袋本体
9 紐
10 体表

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平な袋体に、電磁波によって加熱可能な複数の粒状体と、袋体の厚みの半分以上の直径を有するマッサージ用ボールとを充填してなる温熱パッド。
【請求項2】
前記複数の粒状体は、粒径1〜5mmであり、前記マッサージ用ボールは、直径1.5〜3.5cmの略球状をなしていることを特徴とする請求項1に記載の温熱パッド。
【請求項3】
前記袋体は、通気性の布で構成されており、
前記複数の粒状体は、吸湿性を有し、電磁波で加熱されることによって、吸収した水分を蒸気として放出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の温熱パッド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate