説明

温熱ブラシ

【課題】低電力で且つ素早く加温することが可能な温熱ブラシを提供する。
【解決手段】電気式温熱ブラシは、基台部から突出した多数の突起14を有する。更に通電によって発熱する材料15を備える。該材料15によって突起14自体が発熱可能になされている。前記材料15は突起の少なくとも先端部に備えられていることが好ましい。発熱可能な突起に加えて発熱しない突起を有し、発熱しない突起を発熱可能な突起よりも長くすることも好ましい。中央域に発熱可能な突起の群を配置し、中央域を囲繞する周辺域に発熱しない突起の群を配置することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は通電によって発熱可能な温熱ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
頭皮を始めとする人体の各部位に熱的刺激を与えて血行促進等の温熱効果を得る目的で、ブラシの一部に発熱可能な部位を設けたものが知られている(例えば特許文献1、2及び3参照)。特許文献1には、櫛又はブラシの一部に赤外線発生部を設けた毛根刺激器が提案されている。また、特許文献2には、ブラシの本体に断熱材を介して発熱体を内蔵させたマッサージブラシが提案されている。つまり従来の発熱可能なブラシは、ブラシから発生する熱を、輻射や伝導といった間接的な方法で人体に付与するものであった。また、特許文献3には、遠赤外線放射物質を使用し、その輻射熱を利用するブラシが提案されている。しかしながら赤外線放射物質の単独使用では十分な温熱効果が得られなかった。
【0003】
ところで育毛剤には、有効成分の頭皮への浸透性を高めることを目的とし、アルコール等の揮発成分が配合されている。かかる育毛剤は、マッサージ用の育毛ブラシと共に用いられることが多いが、該ブラシとして前述の間接的な方法で熱を付与する構造のものを用いた場合、育毛剤中の有効成分が頭皮へ十分に浸透する前に、揮発成分が熱の作用によって蒸発してしまう。従って、有効成分が頭皮へ十分に浸透しないことがある。
【0004】
また、熱伝導によって熱を付与する構造のブラシの場合、熱が十分に伝わるまでに長時間を要するという不都合がある。また、数百ワットから1キロワット程度の大きなエネルギーが必要であることから、ブラシが有線式にならざるを得ず、電気コードのとり回しが面倒であったり、使用場面が限られたりするという不都合もある。
【0005】
【特許文献1】実用新案登録第3005990号公報
【特許文献2】実用新案登録第3036599号公報
【特許文献3】実用新案登録第3034355号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って本発明の目的は、前述した従来技術が有する種々の欠点を解消し得る温熱ブラシを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基台部から突出した多数の突起を有し、更に通電によって発熱する材料を備え、該材料によって突起自体が発熱可能になされている電気式温熱ブラシを提供することにより前記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ブラシの発熱部位が熱の適用部位に直接且つピンポイントで接触するので、間接的に熱を付与する場合に比べて低電力で且つ素早く加温することが可能である。低電力であることは、乾電池や充填池の使用を可能にするものであり、その結果、ブラシの使用場面に制約がなくなる。また、低電力であることは、複雑な温度制御回路の使用を不要にするものであり、その結果、ブラシの小型軽量化が容易である。更に、例えば頭皮に育毛剤を付与した後に本発明のブラシを用いれば、育毛剤に配合されている揮発成分の過度の蒸発を抑えつつ頭皮を加温することができるので、有効成分の頭皮への浸透性が極めて良好になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の温熱ブラシの一実施形態を示す斜視図が示されている。本実施形態のブラシ10は、ハンドル11と、ハンドル11の先端に連設されたヘッド部12とを有する。ヘッド部12は、基台部13と、基台部13の一面から突出した突起からなる多数のブリッスル14とを有する。
【0010】
図2にはブリッスル14の縦断面図が示されている。ブリッスル14は細長い柱状であり、その先端が略球面になっている。ブリッスル14はエラストマー樹脂などの樹脂製であり、通電によって発熱する材料(以下、発熱材料という)15がインサート成形によって内蔵されている。そして、発熱材料15に通電することで該材料15が発熱し、それによってブリッスル自体が発熱可能になっている。
【0011】
本実施形態においては発熱材料15としてニクロム線が用いられている。しかし、発熱材料15の種類はこれに限られない。例えばブリッスルの表面に発熱塗料を塗布したり、塗布乾燥後に電気抵抗を示す塗料をブリッスルの表面に塗布したりすることで、ブリッスル自体を発熱可能にすることができる。或いは、PTC特性(温度と上昇と共に抵抗値が大きくなる特性)を有する塗料を塗布してもよい。別の手段として、発熱材料としての金属をブリッスルの表面に蒸着してブリッスル自体を発熱可能にすることができる。更には、発熱材料としての導電性樹脂を原料として用い、ブリッスルを溶融成形することも可能である。
【0012】
図2に示すように、発熱材料15としてのニクロム線は、U字状に折り曲げられて、その折り曲げ部分がブリッスル14の先端部に位置するようにブリッスル14に内蔵されている。ニクロム線の2つの端部は、ブリッスル14の基部にまで達しており、そこから導線(図示せず)に接続されている。導線(図示せず)は電源(図示せず)に接続されている。従ってブリッスル14には、その先端部を含む全長にわたって発熱材料15が備えられている。つまりブリッスル14は、その先端部を含む全長にわたって発熱可能になっている。
【0013】
このように本実施形態のブラシ10においては、ブリッスル14それ自体が発熱可能になっているので、発熱材料15に通電した状態でブラシ10のブリッスル14を適用部位、例えば頭皮に押し当てることで、該適用部位に直接に且つピンポイントで熱が付与される。直接熱が適用されることで、適用部位の温度は短時間で上昇する。従って、例えば育毛剤を付与した後の頭皮に、本実施形態のブラシ10のブリッスル14を押し当てると、育毛剤に配合されているアルコール等の揮発成分の蒸発を抑制しつつ頭皮を加温することができる。その結果、アルコール等が頭皮に十分に浸透して、育毛剤に配合されている有効成分の頭皮への浸透が促進される。
【0014】
また、短時間で適用部位の温度が上昇することは、例えば朝の忙しい時間にブラッシングを行う場合に有利である。
【0015】
ブリッスルそれ自身が発熱可能であることは、ブラッシングによる血行の促進を効果的に行い得るという点でも有利である。詳細には、本実施形態のブラシ10では、ブラッシング中にブリッスルと当接した部位は素早く温度が上昇して加温されるので、当該部位での血行が効果的に促進される。これに対して、先に述べた従来技術にあるような間接加熱方式のブラシでは、間接加熱のみでは血行を促進させるのには十分でなく、これに加えてブラッシングも行うことで、初めて血行が効果的に促進される。従って従来のブラシでは、使用者のブラッシングの仕方によってはマッサージ効果が不十分になって血行が効果的に促進されないことがある。
【0016】
ブリッスルそれ自身が発熱可能であることは、低電力で効率的な加温が可能であることにもつながる。これに対して、先に述べた従来技術にあるような間接加熱方式のブラシでは、加温の効率が高くないので、適用部位を十分に加温しようとした場合、大きな電力(例えば数百ワットから1キロワット程度)が必要となる。加温を低電力で行い得る本実施形態のブラシ10では、電源として一次電池や二次電池を用いることが可能である。このことは、コンセントに電気コードを接続する有線方式のAC電源を用いる場合に比較して、とり回しが良好で、ブラッシングの操作性が高くなるという利点をもたらす。また、AC電源を用いないことは、ブラシ10の使用場面に制約を受けないという利点ももたらす。更に、ブラシ10を小型軽量化し得るという利点ももたらす。
【0017】
以上の観点から、本実施形態のブラシ10においては発熱のための総出力を1〜10W、特に1.5〜8Wとすることが、適用部位の十分な加温と、ブラシ10の小型軽量化とのバランスの点から好ましい。同様の理由により、単位面積当たりの出力は0.01〜10W/cm2、特に0.015〜8W/cm2であることが好ましい。
【0018】
発熱のための出力が前記の範囲内であることは、ブラシ10の過度の発熱が起こりにくいことにつながる。例えば、本実施形態のブラシ10は、通電開始から約10秒で35℃、約30秒で45℃前後まで温度が上昇し、その後は温度上昇と放熱とがバランスして、その温度が維持される。その結果、ブラシ10においては、温度制御回路を特に用いなくても安全に適用部位を加温することができる。このことは、ブラシ10の一層の小型軽量化に寄与する。
【0019】
図2に示すブリッスル14はその長さ方向の全長にわたり発熱可能なものであったが、これに代えて図3(a)及び(b)に示すように、ブリッスル14の少なくとも先端部に発熱材料15が備えられて、該先端部のみが発熱することで、育毛剤の蒸発をより防ぐことが出来、更にブリッスルの本数を多くすることが出来る。図3(a)においては、ブリッスル14の先端部に発熱材料15としてのニクロム線がインサート成形によって内蔵されている。ニクロム線の2つの端部は導線16が接続されている。導線16は電源(図示せず)に接続されている。図3(b)においては、発熱材料15としてのニクロム線がブリッスル14に内蔵されておらず、ブリッスル14の先端から露出している。この場合には、安全性の点から、ニクロム線を樹脂(例えばポリテトラフルオロエチレン等)で被覆しておくことが好ましい。
【0020】
図4には、図1におけるIV−IV線断面図が示されている。本実施形態のブラシ10においては、大別して2種類のブリッスルが用いられている。一つは、先に説明した、発熱材料15を内蔵し、発熱可能なブリッスル14aである。もう一つは、発熱材料を内蔵せず、発熱しないブリッスル14bである。以下の説明では、発熱可能なブリッスルのことを発熱ブリッスル14aと呼び、発熱しないブリッスルのことを非発熱ブリッスル14bと呼ぶ。なお、単にブリッスル14というときには、両方のブリッスルのことを意味する。
【0021】
図4に示すように、発熱ブリッスル14aは、基台部13の中央域Cに多数配置されて発熱ブリッスル群を構成している。一方、非発熱ブリッスル14bは、中央域Cを囲繞する周辺域Pに配置されて非発熱ブリッスル群を構成している。非発熱ブリッスル14bはその長さ(高さ)が、発熱ブリッスル14aの長さ(高さ)よりも長くなっている。また、発熱ブリッスル14aについては、中央域Cの中央部に近いものほど、周辺域Pに近いものよりも長さが短くなっている。なお図4は、ヘッド部12の長手方向の断面の状態を示すものであるが、幅方向の断面をみたときも、ブリッスル14の長さ関係は図4と同様になっている。その結果、すべてのブリッスル14の先端を結んで仮想的に形成される仮想面を考えると、その仮想面は、中央域の中心部が最も低く、且つ周辺域Pに近づくに連れて次第に高くなっていく、下に凸の滑らかな曲面を描く。
【0022】
前記の仮想面が下に凸の曲面を描くようにブリッスル14が配置されていることによる有利な効果を図5を参照しながら説明する。図5は、本実施形態のブラシ10を発熱させて頭皮をマッサージするときの状態を示す模式図である。先ず図5(a)に示すように、ブラシ10を軽い力で頭皮に押し当てた場合には、長さが相対的に長い非発熱ブリッスル14bが頭皮に当接する。先に述べた通り、非発熱ブリッスル14bはヘッド部12の周辺域に配置されており且つ発熱ブリッスル14aを囲繞しているから、ブラシ10を軽い力で頭皮に押し当てたときには、非発熱ブリッスル14bが支柱の役割をして、発熱ブリッスル14aが頭皮へ当接することが妨げられる。従ってこの状態では、非発熱ブリッスル14bによるマッサージ効果のみが得られる。
【0023】
この状態から、更にブラシ10の押し当て力を強くすると、図5(b)に示すように、支柱の役割をしている非発熱ブリッスル14bがたわみ、発熱ブリッスル14aが頭皮に徐々に当接するようになる。この場合、発熱ブリッスル14aには長いものと短いものとがあるので、ブラシ10の押し当て力を徐々に強くすると、長い発熱ブリッスル14aから短い発熱ブリッスル14aの順で発熱ブリッスル14aが徐々に頭皮に当接する。発熱ブリッスル14aは発熱した状態にあるので、それが頭皮に当接することで、頭皮のその部分が加温されて血行が促進される。また発熱ブリッスル14aの押し当てに起因するマッサージ効果も期待できる。発熱ブリッスル14aによる頭皮の温まり具合の実感は、使用者によって異なるので、温まり具合が十分に実感できない場合は、ブラシ10の押し当て力を強くして、多数の発熱ブリッスル14aが頭皮に当接するようにすればよい。逆に熱すぎると感じた場合には、ブラシ10の押し当て力を強くして、発熱ブリッスル14aの頭皮への当接の数及び/又は程度を弱めればよい。
【0024】
このように、本実施形態のブラシ10によれば、発熱ブリッスル14aの発熱温度調整機構を特に設けなくても、ブラシ10の押し当て力の強弱によって温度調整機構と同様の目的を達成することができる。尤も、発熱温度の調整を一層細かく行いたい場合には、本実施形態のブラシ10に発熱温度の可変機能、例えば温度制御用の電子回路を組み込むことは特に妨げられない。また電子回路よりも簡単な温度可変機能、例えばスイッチの切り替えによる電源電圧の切り替えによって発熱温度を制御してもよい。例えば、電源として電池を用いる場合には、電池を2本以上用い、それらの電池の接続を直列と並列に切り替えられるスイッチをブラシ10に設けておくことで、発熱ブリッスル14aの発熱温度を変えることができる。
【0025】
なお、図4においては、非発熱ブリッスル14bを発熱ブリッスル14aよりも長くしたが、これに代えて、発熱ブリッスル14aを非発熱ブリッスル14bよりも長くしてもよい。こうすることで、ブラシ10を頭皮に強く押し当てなくても頭皮が程良く温められる。温まり具合が十分に実感できないときは、ブラシ10の押し当て力を強くすればよい。この場合、押し当て力を次第に強めていくと、最後には非発熱ブリッスル14bが頭皮に当接することになり、それ以上の押し当てが非発熱ブリッスル14bによって阻止されるので、頭皮が過度に加温されることを防止することができる。
【0026】
また、図4においては、基台部13の中央域Cに発熱ブリッスル14aの群を配置し、中央域Cを囲繞する周辺域Pに非発熱ブリッスル14bの群を配置したが、これに代えて、基台部13の中央域Cに非発熱ブリッスル14ab群を配置し、中央域Cを囲繞する周辺域Pに発熱ブリッスル14bの群を配置してもよい。
【0027】
本実施形態のブラシ10は、例えば、育毛剤を施した後の頭皮のブラッシングやマッサージに用いることができる。これによって、育毛剤に配合されている揮発成分の過度の蒸発を抑えて、これを頭皮へ浸透させることで、育毛剤に配合されている有効成分の頭皮への浸透が促進される。このような使用方法に代えて、育毛剤を施す前の頭皮に押し当てて、予め頭皮を加温するという使用方法もある。更に、ブラシ10を単独で用い、身体のツボを熱及びマッサージによって刺激するという使用方法もある。
【0028】
図6には、ブラシ10の別の実施形態が示されている。本実施形態のブラシ10においては、隣り合うブリッスル14の間に、基台部13の表面において開口する孔17が多数形成されている。この孔17は、ブラシ10の適用部位への薬剤の供給孔であり、図示しない薬剤貯留部に接続している。本実施形態によれば、孔17を通じて薬剤を適用部位に施しながら、該適用部位を加温することができるので、2つの操作を一度でできるという利点がある。また、薬剤の付与と加温とを同時に行うことで、薬剤に含まれる有効成分の浸透が一層良好になるという利点もある。本実施形態で用いられる薬剤としては、先に述べた育毛剤の他に、経皮吸収剤等が用いられる。なお孔17は、基台部13に限られず、ブリッスルの先端部に存在しても良い。
【0029】
本実施形態のブラシ10は次の方法で製造することができる。例えば図7に示すように櫛形のフレキシブルのプリント配線基板20を用意する。基板20における櫛歯21の先端には発熱材料15としてのニクロム線が備えられている。このような基板20を複数枚用意してブラシ成形用の金型内に配置する。そしてブラシをインサート成形することによって、本実施形態のブラシ10が得られる。
【0030】
また図8に示す方法によっても本実施形態のブラシ10を製造することができる。先ず図8(a)に示すように、フレキシブルのプリント配線基板30を用意する。基板30には、ブリッスルに対応する位置に、導線を通すための孔31が設けられている。基板30とは別に、予め樹脂の溶融成形によって得られたコア部32も用意する。コア部32は目的とするブラシ10と略同様の形状を有している。コア部32には、導線を通すための孔33が設けられている。更に、コア部32と相補形状をなし、該コア部32を被覆する被覆部34も用意する。被覆部34も、予め樹脂の溶融成形によって製造しておく。これらの部材と共に、発熱材料15、例えばU字状に折り曲げられたニクロム線を用意する。
【0031】
そして、図8(b)に示すように、被覆部34内に発熱材料15及びコア部32をこの順で挿入し、更にコア部32の平坦面側に基板30を重ね、基板30に設けられた孔31から発熱材料15の先端を突出させて、基板30に形成されている回路にハンダ付けする。このようにして目的とするブラシ10が得られる。
【実施例】
【0032】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されない。
【0033】
〔実施例1〕
図1において図2のブリッスルを用いた温熱ブラシを製造した。発熱材料15としてNi80、直径0.32mmのニクロム線を用いた。ニクロム線は、その電気抵抗が5Ωになるように長さの調整を行った。電源には1.5Vの乾電池を2−4本使用した。電圧の可変には、電池の接続を切り替えるスイッチを用いた。乾電池の重量を加えたブラシ全体の重量は120gであった、ブリッスルは硬度60のエラストマー製で、発熱部は12本用いた。得られたブラシについて以下の評価を行った。
【0034】
エタノールを60重量%含有する市販の育毛剤0.2mlを、25cm2の塗布面積で塗布した。次に、発熱材料に通電をしてブリッスルを発熱させた状態のブラシを、育毛剤を塗布した部分に当接させた。発熱温度は41−42℃であった。当接させてから30秒後、1分後、2分後における育毛剤の残留量を測定し、揮発成分がどの程度揮発したかを評価した。測定には、本ブラシの他に、比較例1としてドライヤー(1kW)及び比較例2として遠赤外線加熱(100W)も用いた。その結果を以下の表1に示す。
【0035】
〔実施例2〕
実施例1において図2のブリッスルに代えて、図3(a)のブリッスルを用いた温熱ブラシについて、実施例1と同様の評価を行った。その結果を以下の表1に示す。
【0036】
【表1】

【0037】
表1に示す結果から明らかなように、各実施例のブラシを用いて加温すると、ドライヤーや遠赤外線加熱を用いた場合に比較して、揮発成分の揮発の程度が極めて低くなることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の温熱ブラシの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】ブリッスルの縦断面図である。
【図3】別の形態のブリッスルの縦断面図である。
【図4】図1におけるIV−IV線断面図である。
【図5】図1に示すブラシの使用状態を示す図である。
【図6】本発明の温熱ブラシの別の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の温熱ブラシを製造するためのプリント配線基板を示す図である。
【図8】本発明の温熱ブラシを製造するための部材を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
10 温熱ブラシ
11 ハンドル
12 ヘッド部
13 基台部
14 ブリッスル
14a 発熱ブリッスル
14b 非発熱ブリッスル
15 発熱材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台部から突出した多数の突起を有し、更に通電によって発熱する材料を備え、該材料によって突起自体が発熱可能になされている電気式温熱ブラシ。
【請求項2】
前記材料が突起の少なくとも先端部に備えられている請求項1記載の温熱ブラシ。
【請求項3】
発熱可能な突起に加えて発熱しない突起を有し、発熱しない突起を発熱可能な突起よりも長くした請求項1又は2記載の温熱ブラシ。
【請求項4】
中央域に発熱可能な突起の群を配置し、該中央域を囲繞する周辺域に発熱しない突起の群を配置した請求項3記載の温熱ブラシ。
【請求項5】
総出力が1〜10Wで、且つ単位面積当たりの出力が0.01〜10W/cm2の電池で動作する請求項1ないし4の何れかに記載の温熱ブラシ。
【請求項6】
発熱温度の可変機能を有する請求項1ないし5の何れかに記載の温熱ブラシ。
【請求項7】
基台部の表面において開口する薬剤供給孔を突起間に設けた請求項1ないし6の何れかに記載の温熱ブラシ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−175255(P2007−175255A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−376759(P2005−376759)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】