説明

温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物

【課題】 遠赤外線を効果的に放出すると共に、身体を傷付けることなく、衛生的な面で優れた温熱浴用の鉱石粉砕粒物を提供することを課題とする。
【解決手段】 天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕粒物の表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物であり、具体的には、天然鉱石が、美向石、なかでも高千穂美向石、または蛇紋岩である温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物であり、粉砕粒物が5mmまでに粉砕されたものである温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物である。また本発明は、粉砕粒物をプレート状に成形されたものである温熱浴用の天然鉱石プレートである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温熱浴に使用する鉱石粉砕粒物に関し、詳細には、天然鉱石粉砕粒物に抗菌剤を担持させた天然鉱石粉砕粒物からなる温熱浴用の天然鉱石粉砕組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の産業・経済の著しい発達、それに伴う生活環境の変化は「ストレス社会」という言葉の通り、人間に対して物理的・心理的刺激、すなわち多くのストレスを生み出している。そしてこのような社会の複雑化に伴って、器質病変等の具体的な病変が見あたらないにも拘わらず、イライラする、不機嫌な状態が続く、寝つきが悪い、眠れない等といった症状を訴える人が増えてきている。
【0003】
かかるストレスの解消のため、現代人は種々の方策を考えそれぞれ対処しており、例えば温泉入浴における各種効能による対処;マイナスイオンが多い水辺の散策、森林浴等;音楽を聞きながらのリクラリゼーション等もその一つの手段である。また、最近では、温泉入浴に比較して手ごろに行える遠赤外線による温熱浴が脚光を浴びてきている。
【0004】
すなわち、この温熱浴は、温めた天然鉱石から放出される遠赤外線の作用により、温水に身体を浸すことが無く、天然鉱石の上に単に身体を横たえるだけで、低温サウナ状態(40℃程度)となって汗をかき、体内の余分な老廃物が汗と一緒に排出し、その結果細胞を活性化し、ストレスが解消されるという、いわゆる岩盤浴である。
【0005】
さらに、温熱浴(岩盤浴)には、天然鉱石が放出する遠赤外線の働きにより、冷え性や肩こり等の症状を和らげるともいわれていることから、特に女性の方々に好評を得ており、最近全国各地に、かかる岩盤浴を行える施設が数多く建設されるに至っている。
【0006】
通常温熱浴のなかでも岩盤浴は、板状に切り出した天然鉱石の上に身体を横たえるものであり、通常15〜30分間程度身体を横たえるだけで、効果的に汗をかき、身体の老廃物を排出できるとされている。
【0007】
本発明者らも、この温熱浴(岩盤浴)の効能に着目してきており、遠赤外線をより効果的に放出し得る天然鉱石の検討を鋭意行ってきている。その検討の中で、遠赤外線を放出する天然鉱石を微粉砕し、岩盤浴としての砂風呂的な使用が可能ではないかと考えた。そのうえで、天然鉱石を微粉砕して粉砕粒物として砂風呂的に使用する場合には、身体を傷付けないために、粉砕粒物を一定の大きさに粉砕し、角取りして丸みを持たせ、その粉砕粒物上、あるいはその中に身体を横たえるストーンバスとして使用することが効果的なものであることを見出した。
【0008】
また、一旦使用した粉砕粒物には、身体から出る汗等の種々の老廃物により汚染されており、したがって、再使用を行う場合には水洗、乾燥、消毒を行う必要がある。この水洗、乾燥、消毒を行って再使用する場合にあっても、粉砕粒物表面には粉砕に伴う孔が存在し、そこに老廃物が留まり、長年の使用により雑菌繁殖の温床になりかねない問題点があった。
そのため、より衛生的に優れたストーンバスとしての温熱浴用の粉砕粒物についての開発が求められているのが現状である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって本発明は、遠赤外線を効果的に放出すると共に、身体を傷付けることなく、衛生的な面で優れた温熱浴用の鉱石粉砕粒物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するための本発明は、基本的態様として、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕粒物の表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物である。
【0011】
より具体的には、天然鉱石が、美向石または蛇紋岩である温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物であり、なかでも美向石が高千穂美向石である温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物である。
【0012】
また本発明は、さらに具体的には、粉砕粒物が5mmまでに粉砕されたものである温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物である。
【0013】
さらにまた本発明は、粉砕粒物をプレート状に成形されたものである温熱浴用の天然鉱石プレートである。
【0014】
さらに本発明は、別の態様として、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面を滑らかにしたのち、さらにその表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石プレートであり、具体的には、天然鉱石が美向石または蛇紋岩であり、なかでも美向石が高千穂美向石である温熱浴用の天然鉱石プレートである。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、遠赤外線を効率良く放出し、また、身体を傷付けることなく、衛生的な面で優れた温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物が提供される。
特に、天然鉱石を一定の大きさに粉砕し、角取りをして粉砕粒物に丸みを持たせたことから、ストーンバスとして使用をする場合にも身体を傷付けないものである。
さらに、粉砕粒物の表面は、角取りにより滑らかになっており、その表面に抗菌剤をコーティングにより担持させた点で、雑菌繁殖を防止しうるものであり、極めて衛生的な温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物が提供される利点を有している。
また、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面を滑らかにした後表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことより、極めて衛生的な温熱浴用の天然鉱石プレートが提供される利点を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、上記した如く、その一つの基本は、天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕粒物の表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物である。
【0017】
本発明で使用する天然鉱石とは、いわゆる遠赤外線を放出する天然鉱石をいい、遠赤外線放射率が好ましくは80%以上である天然鉱石をいい、具体的には、美向石あるいは蛇紋岩等をあげることができる。
【0018】
美向石とは、「凝灰質砂岩」といわれる鉱石であり、長年の火山活動により特殊な変性を遂げた「ホルンフェルス:Hornfels」であり、接触変成岩の一つで、泥岩・粘板岩などが編成したものであり、暗黒色、硬くて緻密な岩石である。
その成分は、その産地により異なるが、およそ珪素:68%、アルミニウム:15%、鉄:4%、カルシウム:3.5%、カリウム:3%、マグネシウム:3%、ナトリウム:2%、チタン:0.5%、フッ素:0.5%程度、その他各種ミネラルからなるものであり、テラヘルツエネルギー(1012のヘルツの波長)といわれる遠赤外線の育成光線(4〜14μm)を放出しており、その結果の作用として、細胞賦活作用、鮮度保持作用、消臭・分解作用、熟成作用、活水作用、抗酸化作用等があるといわれている。
【0019】
本発明にあっては、美向石の中でも、九州の高千穂地方で産出される高千穂美向石を用いるのがよい。
【0020】
また、蛇紋岩とは変成岩の一種であって、班れい岩などが熱変成作用を受けたものであり、その主成分をMgSi(OH)とする天然鉱石で、マグネシウムを大量に含む岩石ある。蛇紋岩の特徴としては、優れた抗菌作用と非常に高い遠赤外線の放射率にあるといわれている。また、蛇紋岩はイオンを有していることから、蛇紋岩に触れていることで、微生物の細胞が変化するので、優れた抗菌作用を及ぼすともいわれている。
【0021】
本発明にあっては、種々の産地で産出される蛇紋岩を用いることができるが、そのなかでも、特に埼玉県の秩父山系で産出する蛇紋岩を用いるのがよい。
【0022】
なお、本発明にあっては、天然鉱石として上記した美向石あるいは蛇紋岩に限定されるものではなく、遠赤外線放射率が好ましくは80%以上である天然鉱であればどのような天然鉱石であっても使用することができる。
【0023】
本発明にあっては、この天然鉱石を粉砕し、粉砕粒物としてストーンバスとしての温熱浴用に使用される。その粉砕にあたって粉砕粒物の大きさは、特に限定されないが、5mm程度までの大きさ、好ましくは3〜5mm程度までの大きさのものがメインとなるように粉砕すればよい。
その粉砕は、天然鉱石の原石(約10kg程度の大きさ)をクラッシャーにより3〜5cm程度の大きさに粉砕する一次〜二次粉砕をした後、さらにこの粉砕粒物を10mm程度にまで粉砕する三次粉砕、さらに3〜5mmの粉砕粒物とする四次粉砕等の工程を経ることにより行うことができる。
なお、かかる粉砕はこのような粉砕工程に限定されず、種々の変形を行い得ることはいうまでもない。
【0024】
目的とする大きさに粉砕された天然鉱石は、そのままでは粉砕面が鋭利な状態で粉砕されているため、これをストーンバスとして使用するには身体を傷付け不向きであり、また粉砕面に孔が存在し、雑菌繁殖の温床になりかねない。そこで粉砕粒物に対して角取り処理を行い、粉砕粒物に丸みを持たせる。
この角取り処理は、ドラム式回転機の中で粉砕粒物同士をぶつけ合い研磨する方法で行うことができる。
【0025】
かくして表面が滑らかになり、角取りされた粉砕粒物は、水洗、乾燥された後、その表面に抗菌剤をコーティングにより担持させる。
担持させる抗菌剤としては、種々の無機化合物系、有機化合物系等の抗菌剤を挙げることができるが、例えば、無機化合物系の抗菌剤としては、(株)シナネンゼオミックッスの無機抗菌剤「ゼオミック」、銀系の無機抗菌剤「バクテキラー」あるいは「ノバロン」、さらには「アバサイダー」等を挙げることができる。
【0026】
これらの抗菌剤を粉砕粒物表面に担持させるためには、例えば、コート液としてのバインダー中に分散剤と共に抗菌剤を配合し、ディッピング法により粉砕粒物の表面を抗菌剤含有のコート液で塗布すればよい。
その場合の抗菌剤の添加量は、バインダー液100%として、抗菌剤1〜5%、分散剤3〜5%添加させるのがよい。
【0027】
抗菌剤の添加量が1%未満であると、目的とする抗菌効果を発揮できず、また5%を超えて配合してもそれ以上の効果は認められず、かえって無駄となる。
【0028】
本発明が提供する温熱浴用の天然粉砕粒物は、上記した粉砕粒物の表面に抗菌剤を担持させたことを基本とするが、その粉砕粒物の態様としては、個々の粉砕粒物の集合としての粉砕粒物である以外に、粉砕粒物が、プレート(板)状に成形されたものであってもよい。このプレート状への成形は、例えば、通常のプレス加工によるプレート状への成形で実施することができる。プレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状に成形するのがよい。なお、成形されたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状として再成形しうることはいうまでもない。
【0029】
このプレート状に成形された表面に、上記したと同様の方法により抗菌剤含有のコート液を塗布し、抗菌剤を担持させることができる。
【0030】
また、本発明の別の基本としては、天然鉱石をプレート状に切り出し、その表面を滑らかにした後表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石プレートである。この場合にあっても、プレート状の大きさとしては特に限定されるものではないが、厚みが10〜30mm、その横及び縦の長さがそれぞれ50〜300mmを有する正方形、あるいは長方形のプレート状に切り出しするのがよい。なお、切り出しされたプレート状の形状は正方形、あるいは長方形に限定されるものではなく、適宜菱形、円形、楕円形等の形状として再成形しうることはいうまでもない。
【0031】
このプレートは、切り出した段階ではその表面がざらついているので、通常の研磨により滑らかにした後、抗菌剤をコーティングにより担持させる。担持させる抗菌剤としては、上記した種々の無機化合物系、有機化合物系等の抗菌剤を挙げることができる、そのコーティング手段についても、上記した方法と同様の方法を採用することができる。
【0032】
かくして調製された本発明の温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物は、そのまま敷きつめて、その中に身体を横たえ、身体上に天然粉砕粒物を覆うサンドバスとしての使用、あるいはプレート状に成形した粉砕粒物上に身体を横たえて行うストーンバス(岩盤浴)用として使用し、天然鉱石が発生する遠赤外線により、低温サウナ状態(40℃程度)となって、好ましい温熱浴が実施しうると共に、新陳代謝の促進、血行促進、鎮痛、快眠、鎮咳、制汗、食欲増進、血圧降下、疲労防止等の効果を得ることが可能となる。
【0033】
さらに、使用し終わった粉砕粒物は水洗、乾燥、消毒をした後、再使用されるが、抗菌剤が粉砕粒物表面に担持されているため、殺菌効果を発揮し、極めて衛生的な使用が繰り返されることとなる。
【実施例】
【0034】
以下に本発明について、実施例として、温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物の調製、プレート状への再成形等の実際を詳細に説明する。
【0035】
実施例1:天然鉱石の粉砕粒物の製造
[粉砕工程]
天然鉱石を貯蔵した岩石専用のホッパーより鉱石の原石(一原石の重量として、約10kgを有する)を取り出し、シングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第一次粉砕)を行い、平均粒径70mmまでに粉砕した第一次粉砕粒物を得た。
さらに、この第一次粉砕粒物を同じシングルトックルクラシャーに投入して粉砕(第二次粉砕)を行い、平均粒径30mmまでに粉砕した第二次粉砕粒物を得た。
【0036】
次いで、この第二次粉砕粒物(平均粒径:30mm)を、ロール式粉砕機を用いて第三次粉砕し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別し、篩上に残った10mmを超える粉砕粒物は更にロール式粉砕機を用いて粉砕を繰り返し、振動篩にかけて、平均粒径10mmまでの第三次粉砕粒物を選別した。
【0037】
さらに、この第三次粉砕粒物(平均粒径:10mm)を、インペラ式粉砕機を用いて、粉砕粒物の大きさを調整(第四次粉砕)した。すなわち、第三次粉砕粒物をインペラ式粉砕機内で大きさ5mm以内に粉砕し、3〜5mmをメッシュにて分級し、3〜5mmの大きさを有する第四次粉砕粒物を得た。
【0038】
[角取り工程]
上記の第四次粉砕粒物には表面に凹凸があるので、丸みを帯びさせるため、角取りを行った。すなわち、大型のドラム式回転機に第四次粉砕粒物を投入し、ドラム式回転機を回転させ、粉砕粒物同士をぶつけ合い、粉砕粒物を研磨した。
【0039】
[水洗]
角取りした粉砕粒物を水洗により洗浄した。すなわち、回転式ディップ水洗方式により、ディップ容器(200L)に粉砕粒物200kgを投入し、回転(50〜60回転/分)させながら水洗水(新鮮井戸水)を連続的に注入(12L/分)し、オーバーフローさせながら洗浄(10分間)を行った。
【0040】
[水切り乾燥]
水洗した粉砕粒物をステンレス籠に入れ、粉砕粒物を籠の中に平らに引き延ばし、トンネル型熱風循環式乾燥炉により、120℃/20分間乾燥した。
【0041】
[加熱滅菌]
上記により乾燥させた粉砕粒物を、紫外線照射式乾燥炉に入れ、150℃/10分間の加熱滅菌を行った。
【0042】
[冷却]
滅菌した粉砕粒物を、強制送風による冷却を約5分間行い、冷却し、次いで容器に分包して、目的とする各鉱石の粉砕粒物を得た。
【0043】
以上の方法により、九州宮崎県高千穂地方に産出する高千穂美向石、及び埼玉県秩父山系で産出する蛇紋岩の粉砕粒物(平均粒径:3〜5mm)を得た。
【0044】
実施例2:抗菌剤の担持
上記実施例で得た高千穂美向石の粉砕粒物(平均粒径:3〜5mm)に対して、無機系コーティング液をバインダーとし、バインダー100%に対して無機系抗菌剤「ゼオミック」を5%、分散剤を3%配合し、エアースプレー方式により抗菌剤含有塗料を塗布し、粉砕粒物表面に抗菌剤と担持させた。
【0045】
実施例3:プレート状の鉱石粉砕粒物の調製
実施例1で得た高千穂美向石の粉砕粒物(平均粒径:3〜5mm)を、機械プレスにより厚さ30mm、各辺100mmの正方形のプレート状に成形した。
なお、同様にして、実施例1で得た蛇紋岩(平均粒径:3〜5mm)を、機械プレスにより厚さ30mm、各辺100mmの正方形のプレート状に成形した。
【0046】
実施例4:抗菌剤の担持
上記実施例3で得た高千穂美向石のプレート状の粉砕粒物に対して、無機系コーティング液をバインダーとし、バインダー100%に対して無機系抗菌剤「ゼオミック」を5%、分散剤を3%配合し、ディッピング方式により抗菌剤含有塗料を塗布し、粉砕粒物表面に抗菌剤と担持させた。
【0047】
実施例5:各鉱石粉砕粒物の遠赤外線放出作用
上記で得た、各鉱石粉砕粒物について、その遠赤外線放出作用を測定した。
[測定器械]
日本電子(株)製のJIR−E500を使用した。
[測定条件]
1.分解能:16cm−1
2.積算回数:200回
3.検知機:MCT
[測定方法]
抗菌剤を担持した各鉱石の粉体をプレスで固め、40mm×40mm×40mmの正方体とし、供試体とした。
[結果]
その結果を下記表1に示した。
【0048】
【表1】

【0049】
表中に示した結果からも判明するように、美向石および蛇紋岩の各粉砕粒物には良好な遠赤外線放出作用があることが理解される。
【0050】
実施例6:抗菌試験
上記の実施例で得た抗菌剤を担持させた天然鉱石粉砕粒物の抗菌作用を以下のようにして検討した。
すなわち、カラム(φ50mm×500mm)に、実施例2で得た抗菌剤を担持させた高千穂美向石(平均粒径:4mm)を250g充填し、流量6L/分でアップフローさせた。試験源流は、実際のクーリングタワーより採取した水を40L使用した。
一定時間毎にカラムを通した液を採取し、その液中の黄色ブドウ球菌及びレジオネラ菌の個数を測定した。
[結果]
原水中のレジオネラの菌数:30個/100mL
原水中の一般菌数:1260個/mL
カラムを通した試験液中の菌数の変化を下記表2に示した。
【0051】
【表2】

【0052】
上記の表から判明するように、本発明の天然鉱石粉砕粒物は、優れた抗菌作用を発揮していることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上記載のように、本発明により温熱浴に使用する天然鉱石粉砕粒物が提供される。この天然鉱石粉砕粒物は、遠赤外線を効率良く放出し、さらにその表面に抗菌剤を担持させたものであることから、衛生的にも優れたものである。したがって、本発明の温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物を使用することにより、衛生的に、遠赤外線による温熱効果を得る温熱浴(岩盤浴)を行える利点がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然鉱石を粉砕し、その角取りをした粉砕物の表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物。
【請求項2】
天然鉱石が美向石または蛇紋岩である請求項1に記載の温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物。
【請求項3】
美向石が高千穂美向石である請求項2に記載の温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物。
【請求項4】
粉砕粒物が5mmまでの大きさに粉砕されたものである請求項1ないし3のいずれかに記載の温熱浴用の天然鉱石粉砕粒物。
【請求項5】
天然鉱石の微粉砕物をプレート状に成形し、その表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石プレート。
【請求項6】
天然鉱石をプレート状に切り出し、表面を滑らかにしたのち、その表面に抗菌剤をコーティングにより担持させたことを特徴とする温熱浴用の天然鉱石プレート。
【請求項7】
天然鉱石が美向石または蛇紋岩である請求項5又は6に記載の温熱浴用の天然鉱石プレート。
【請求項8】
美向石が高千穂美向石である請求項7に記載の温熱浴用の天然鉱石プレート。

【公開番号】特開2007−61518(P2007−61518A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−254325(P2005−254325)
【出願日】平成17年9月2日(2005.9.2)
【出願人】(598028051)株式会社 日本ハネック (16)
【出願人】(505332015)株式会社エコアセスメント (1)
【Fターム(参考)】