説明

測定データ処理システム

【課題】データを測定して記憶したデータ測定装置から、複雑な操作を必要とせずに、測定データをデータ処理装置へ送信して処理させることが可能な、測定データ処理システムである。
【解決手段】個人用測定器(1)をケーブル(3)に接続して電源スイッチ(1a)をONにしたこと、あるいは、電源スイッチ(1a)がON状態の個人用測定器(1)をケーブル(3)でコンピュータ(2)に接続したことを契機として、コンピュータ(2)が、個人用測定器(1)に蓄積記憶されている測定データを取り込み、分析等の処理を行い、その処理結果をプリンタ(4)へ出力するという一連の処理を、自動的に実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象からデータを測定して蓄積するデータ測定装置と、この測定器に蓄積されたデータを取り込んで処理するデータ処理装置とを含み、集計、分析、または印刷等の種々のデータ処理を行う測定データ処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関外において患者が種々のデータを自己測定することができる個人用測定装置(例えば、心電図計、血圧計、血糖値計、尿分析装置等)が知られている。また、個人用測定装置が内蔵する記憶媒体に、患者が自己測定したデータを蓄積し、医療機関等に設置したパソコン等により、前記記憶媒体から蓄積データを読み出して分析処理するシステムも知られている。このようなシステムによれば、患者が個人用測定装置を用いて自己測定したデータに基づいて、医師等が治療や生活指導を行うことが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のシステムでは、個人用測定装置に蓄積されたデータの分析処理を行う場合には、あらかじめパソコンを立ち上げて当該データの処理ソフトを起動させておき、このパソコンに患者の個人用測定装置を接続した後、(1)蓄積データを個人用測定装置からパソコンへ読み出すためにパソコンを受信モードに設定する、(2)個人用測定装置からパソコンへデータを送信させる、(3)パソコン側でデータ受信が正常に行われたことを確認する、(4)データ処理を行い、その結果を表示させる、(5)印刷させる、(6)データ処理プログラムを終了させる、等の一連のパソコン操作を行う必要があり、操作が煩わしいという問題がある。
【0004】
また、医師等の診察を必要とせず、患者が自己管理等の目的のために、データの分析結果を印刷出力させたいという場合もある。このような場合、データの読み出しから分析結果の印刷出力までを、医療機関のスタッフの手を煩わさずに患者自身が行うことができればよいが、個人用測定装置を所持する患者の中には、当然ながらパソコン操作に不慣れな者も存在し、現実的には不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために、個人用測定装置をパソコン等のデータ処理装置に接続して電源投入する、あるいは電源投入した後の個人用測定装置をデータ処理装置に接続する、という簡単な操作を行うだけで、個人用測定装置に蓄積された測定データをデータ処理装置に自動的に取り込んで処理を開始する測定データ処理システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明にかかる第1の測定データ処理システムは、データを測定して記憶するデータ測定装置と、前記データ測定装置から前記データを取り込んで処理し、処理結果を出力するデータ処理装置とを含む測定データ処理システムにおいて、前記データ測定装置を前記データ処理装置に接続した後、前記データ処理装置が、前記データ測定装置の電源投入を契機として、前記データ測定装置からの前記データの取り込みを開始することを特徴とする。
【0007】
これにより、コンピュータ等の操作に不慣れな使用者であっても、データ測定装置をデータ処理装置に接続して電源を投入するという簡単な操作を行うだけで、測定データを処理した結果を容易に入手することが可能な測定データ処理システムを提供できる。
【0008】
前記第1の測定データ処理システムにおいて、前記データ測定装置が、電源が投入されたとき、前記データ処理装置と接続されているか否かを判断し、接続されていれば動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定することが好ましい。
【0009】
これにより、データ測定装置の使用者は動作モードの切り替えを行う必要がないので、操作の手間が省ける上に、操作ミスも防止できるという利点がある。
【0010】
前記第1の測定データ処理システムにおいて、前記データ処理装置が、前記データ測定装置の電源投入を契機として、データの取り込みから処理結果の出力までの一連の処理を自動的に実行することが好ましい。
【0011】
これにより、コンピュータ等の操作が全くできない使用者であっても、データ測定装置を接続して電源を投入するという簡単な操作を行うだけで、測定データを処理した結果を容易に入手することが可能な測定データ処理システムを提供できる。
【0012】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第2の測定データ処理システムは、データを測定して記憶するデータ測定装置と、前記データ測定装置から前記データを取り込んで処理し、処理結果を出力するデータ処理装置とを含む測定データ処理システムにおいて、前記データ測定装置を前記データ処理装置に接続したことを契機として、前記データ処理装置が、前記データ測定装置からのデータの取り込みを開始することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、コンピュータ等の操作に不慣れな使用者であっても、データ測定装置をデータ処理装置に接続するだけで、測定データを処理した結果を容易に入手することが可能な測定データ処理システムを提供できる。
【0014】
前記第2の測定データ処理システムにおいて、前記データ処理装置が、前記データ測定装置が接続されたことを契機として、データの取り込みから処理結果の出力までの一連の処理を自動的に実行することが好ましい。これにより、コンピュータ等の操作に不慣れな使用者であっても、データ測定装置を接続するだけで、測定データを処理した結果を容易に入手することができる。
【0015】
また、前記第2の測定データ処理システムにおいて、前記データ測定装置が、公衆通信網を介して前記データ処理装置に接続されることが好ましい。これにより、データ測定装置の使用者は、データ処理装置が設置されている場所へ出向かなくても、遠隔地から電話網等の公衆通信網を通じて、前記データ処理装置へ測定データを送信して処理させることが可能となる。
【0016】
さらに、前記データ処理装置からのデータ処理結果の出力先が、前記データ測定装置の使用者の受信装置であることが好ましい。この受信装置としては、使用者宅のファクシミリ受信装置やパーソナルコンピュータ、あるいは使用者の携帯電話等の携帯端末装置を用いることが可能である。これにより、データ測定装置の使用者は、データ処理装置のある場所に行かなくても、自宅に居ながらあるいは任意の外出先で、測定データの処理結果を入手することができる。
【0017】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第1のデータ測定装置は、データを測定して記憶すると共に、前記データをデータ処理装置へ送信するデータ測定装置であって、電源が投入されたときデータ処理装置と接続されているか否かを判断するインタフェース部と、接続されていれば動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定する動作制御部とを備えたことを特徴とする。
【0018】
また、第2のデータ測定装置は、データを測定して記憶すると共に、前記データをデータ処理装置へ送信するデータ測定装置であって、データ処理装置と接続されているか否かを判断するインタフェース部と、前記インタフェース部がデータ処理装置と接続されたことを検知したとき動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定する動作制御部とを備えたことを特徴とする。
【0019】
これらの構成により、使用者が動作モードの切り替え等の複雑な操作を行わなくてもデータ処理装置へのデータ送信が可能なデータ測定装置を提供できる。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明にかかる第1のデータ処理装置は、データを測定して記憶したデータ測定装置からデータを受信して処理するデータ処理装置であって、前記データ測定装置が接続された後、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより、前記データ測定装置の電源投入を検知するインタフェース部と、前記データ測定装置の電源投入を検知したことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始するデータ処理部とを備えたことを特徴とする。
【0021】
また、本発明にかかる第2のデータ処理装置は、データを測定して記憶したデータ測定装置からデータを受信して処理するデータ処理装置であって、前記データ測定装置が接続されたことを、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより検知するインタフェース部と、前記データ測定装置が接続されたことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始するデータ処理部とを備えたことを特徴とする。
【0022】
これらの構成により、コンピュータ等の操作に不慣れな使用者であっても、データ測定装置を接続して電源を投入するという簡単な操作を行うだけで、測定データを処理した結果を容易に入手することが可能なデータ処理装置を提供できる。
【0023】
また、本発明にかかる第1のプログラム記録媒体は、データを測定して記憶したデータ測定装置がコンピュータに接続された後、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより前記データ測定装置の電源投入を検知する処理、前記データ測定装置の電源投入を検知したことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始する処理、取り込んだデータの処理、処理結果を出力する処理、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0024】
また、本発明にかかる第2のプログラム記録媒体は、データを測定して記憶したデータ測定装置がコンピュータに接続されたことを、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより検知する処理、前記データ測定装置が接続されたことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始する処理、取り込んだデータの処理、処理結果を出力する処理、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したことを特徴とする。
【0025】
これらの記録媒体からコンピュータにプログラムを読み取らせることにより、コンピュータ操作に不慣れな使用者であっても、データ測定装置をコンピュータに接続して電源を投入するという簡単な操作を行うだけで、測定データをコンピュータで処理した結果を容易に入手することが可能なシステムが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる測定データ処理システムの概略構成を示す模式図である。
【図2】図2は、前記測定データ処理システムに含まれる個入用測定器の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、前記測定データ処理システムに含まれるコンピュータの機能ブロックを示すブロック図である。
【図4】図4は、前記個人用測定器およびコンピュータの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0028】
図1に、本実施形態にかかる測定データ処理システムの概略構成を示す。本データ処理システムは、個人用測定器1と、個人用測定器1からデータを読み出して集計、分析等の処理を行うデータ処理装置としてのコンピュータ2と、データ読み出しの際に個人用測定器1とコンピュータ2とを接続するためのケーブル3と、必要に応じて、コンピュータ2でデータ処理を行った結果を印刷出力するプリンタ4や、その他の周辺機器を含む。
【0029】
個人用測定器1は、患者等が所持して使用するものであり、医療機関外でのデータの自己測定に使用される。本実施形態では、個人用測定器1は、コンピュータ2に接続されていない状態(オフライン状態)で測定を行い、測定データは、内蔵する記憶媒体(後述)に記憶される。コンピュータ2およびプリンタ4は、医療機関等に設置されている。個人用測定器1の使用者は、この医療機関等に個人用測定器1を持参し、コンピュータ2に個人用測定器1を接続し、記憶されているデータを読み取らせる。コンピュータ2は、個人用測定器1から読み取ったデータを分析処理し、その処理結果をコンピュータ2のディスプレイ2aに表示したり、プリンタ4へ印刷出力する。
【0030】
なお、本データ処理システムでは、個人用測定器1からコンピュータ2へのデータの読み出しから、分析処理結果の出力までの一連の処理が、個人用測定器1をケーブル3でコンピュータ2に接続した後に電源スイッチ1aをONにするだけの、非常に簡単な操作で実行される。
【0031】
以下、本データ処理システムの各部の構成およびその動作について、さらに詳細に説明する。
【0032】
まず、個人用測定器1の構成について説明する。図2は、個人用測定器1の内部構成を示すブロック図である。個人用測定器1は、センサ部11、データ生成部12、メモリ13、時計14、電源部15、インタフェース部16、ID保持部17、および制御部18を備える。
【0033】
センサ部11は、個人用測定器1の用途に応じたセンサを有する。すなわち、個人用測定器1は、その性質上、扱うデータが特定されて構成されるものであり、例えば、その用途が心電図計である場合には、センサ部11には、患者の胸部や手足に接触させて活動電位を導出する電極が設けられる。この他に、個人用測定器1の用途が血圧計である場合は、圧力センサがセンサ部11に設けられる。また、個人用測定器1の用途が血糖値計である場合は、患者が指先等から採取した微量な血液を付着させた試験紙から、電気的または光学的に血糖値を測定するセンサが、センサ部11に設けられる。なお、個人用測定器1の用途が、上記の心電図計、血圧計、および血糖値計のみに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0034】
データ生成部12は、センサ部11が取得した情報を、個人用測定器1に蓄積可能な形式のデータに変換し、時計14から得たデータ測定日時の情報を付けて、メモリ13に記憶させる。電源部15は電池を含み、これにより、個人用測定器1はAC電源に接続しなくても使用可能である。
【0035】
インタフェース部16は、所定の通信プロトコルに従い、ケーブル3を介して、コンピュータ2との間で、データや各種制御信号等の送受信を行う。ID保持部17は、個人用測定器1の各々に固有に割り当てられているID番号を記憶している。制御部18は、個人用測定器1の全体動作を制御する。
【0036】
次に、コンピュータ2の構成について説明する。コンピュータ2は、ディスプレイ、ハードディスク、CPU、およびメモリ等の周知のハードウェアから構成され、個人用測定器1からデータを読み出して処理するソフトウェア(以降、データ処理プログラムと称する)がインストールされている。
【0037】
このハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されるコンピュータ2の機能ブロックを、図3に示す。コンピュータ2は、データ処理部21、インタフェース部22、受信用メモリ23、表示部24、データ記憶部25、制御部26、使用者情報記憶部27、および使用者情報処理部28を有する。
【0038】
データ処理部21は、個人用測定器1から読み出したデータを入力し、データの編集、平均値の算出等の統計処理、分析処理、データ形式の変換、またはグラフ化等の種々の処理を行う。どのような処理を行うかは、あらかじめ設定しておいても良いし、個人用測定器1からのデータ読み込み後に選択させるようにしても良い。
【0039】
インタフェース部22は、所定の通信プロトコルに従い、ケーブル3を介して、個人用測定器1との間で、データや各種制御信号等の送受信を行う。受信用メモリ23は、個人用測定器1から受信したデータを一時的に格納するバッファとして機能する。表示部24は、データ処理部21の処理結果をディスプレイ2aに表示する。データ記憶部25は、個人用測定器1から読み出したデータやシステム設定に関する種々のデータ等を記憶する。使用者情報記憶部27は、個人用測定器1に割り当てられているID番号に対応づけて、各個人用測定器1を所持している患者(使用者)についての、氏名、性別、および年齢等の使用者情報を記憶する。なお、データ記憶部25および使用者情報記憶部27は、ハードウェア的には必ずしもコンピュータ2に内蔵される必要はなく、コンピュータ2の外部デバイスとして実現することも可能である。制御部26は、コンピュータ2の全体動作を制御する。
【0040】
また、コンピュータ2は、インタフェース部22に、ケーブル3を接続するためのポートを有する。従って、ケーブル3の一端は、コンピュータ2の上記ポートに適合した端子形状を持ち、他端が、個人用測定器1のインタフェース部16に適合した端子形状を持つ。
【0041】
一般的に、コンピュータは複数の外部インタフェースを有するので、外部インタフェースから入力されるデータを処理するソフトウェアは、データの入力経路を認識する必要がある。すなわち、本実施形態のデータ処理プログラムの場合も、コンピュータ2が複数のポートを有する場合は、ケーブル3が接続されたポートをデータの入力元として認識させる設定を行うことが必要となる。
【0042】
なお、この設定は、データ処理プログラムをインストールしてケーブル3を接続するときに初期設定として行えば、設定した内容がコンピュータ2の不揮発メモリ(例えばデータ記憶部25)に記憶される。このため、一旦初期設定を行った後は、ケーブル3を接続するポートを変更したり、データ処理プログラムの再インストールを行ったりしない限り、ポートの設定を再度行う必要はない。
【0043】
以下、本データ処理システムの動作について用いて説明する。図4は、個人用測定器1およびコンピュータ2の動作手順を示すフローチャートである。
【0044】
個人用測定器1の制御部18は、電源スイッチ1aを押すことにより電源が投入されると、コンピュータ2に接続されているか否かを判断し(ステップS1)、接続されていなければデータ測定モード(ステップS2)、接続されていればデータ送信モード(ステップS3)で動作する。
【0045】
ステップS1において、コンピュータ2に接続されているか否かの判断は、下記のように行う。制御部18は、電源が投入されると、インタフェース部16に指示することにより、所定の通信プロトコルに従った接続要求信号をコンピュータ2へ送信する。インタフェース部16は、所定の時間が経過した後、この接続要求信号に対する応答がコンピュータ2から返ってこなければ、接続要求信号を再度送信する。このように、接続要求信号の送信と応答待ちとを所定の回数繰り返した後もコンピュータ2から応答がなければ、制御部18は、コンピュータ2に接続されていないものと判断する。
【0046】
ステップS1において個人用測定器1がコンピュータ2に接続されていないと判断され、動作モードがデータ測定モードに設定された場合、個人用測定器1は、制御部18による制御の下で、センサ部11が取得した情報をデータ生成部12により所定のデータ形式に変換し、このデータを測定した日時情報(時計14から取得)と共に、メモリ13に記憶する(ステップS2)。その後、電源断により(ステップS4)により、データ測定モードによる動作は終了する。
【0047】
一方、ステップS1において個人用測定器1がコンピュータ2に接続されていると判断され、動作モードがデータ送信モードに設定された場合は、個人用測定器1は、制御部18による制御の下で、メモリ13に蓄積記憶されているデータをコンピュータ2に送信する処理を行う(ステップS3)。
【0048】
なお、ここでは、コンピュータ2の所定のポートにケーブル3が予め接続されており、コンピュータ2上でデータ処理プログラムが起動されており、前記データ処理プログラムに、ケーブル3が接続されたポートをデータの入力元として認識させるための設定も済んでいるものとする。
【0049】
コンピュータ2のインタフェース部22は、前述したように、個人用測定器1から受け取った接続要求信号に対して所定の応答を返した後、データ受信準備を行い、準備が整うと、所定のデータ要求信号を個人用測定器1へ送出する(ステップS11)。
【0050】
個人用測定器1は、データ要求信号を受け取ると、ID保持部17に記憶されているID番号と、メモリ13に記憶されているデータとを順次読み出し、インタフェース部16およびケーブル3を介して、コンピュータ2へ送信する。個人用測定器1は、ID番号とメモリ13に記憶されているデータとの送信が終了すると、データ終了信号を送信する。
【0051】
一方、コンピュータ2は、ケーブル3を介して、個人用測定器1から送られてくるデータを受信する(ステップS12)。受信されたデータは、受信用メモリ23に一時的に格納される。コンピュータ2は、個人用測定器1から前記のデータ終了信号を受け取ると、データ受信を終了し、表示部24が、受信が完了したので個人用測定器1をケーブル3から取り外すよう使用者に指示するメッセージ(受信完了メッセージ)をディスプレイ2aへ出力する(ステップS13)。ケーブル3から取り外された個人用測定器1は、電源断(ステップS4)により、データ送信モードによる動作を終了する。
【0052】
次に、コンピュータ2の制御部26は、使用者情報処理部28に指示し、個人用測定器1から受信したID番号を受信用メモリ23から取り出し、このID番号が使用者情報と共に使用者情報記憶部27に既に登録されているかを調べる(ステップS14)。登録されていなければ、表示部24が使用者情報の登録画面をディスプレイ2aに表示し、氏名等の使用者情報を使用者に入力させる。入力された使用者情報は、上記のID番号と対応づけられて使用者情報記憶部27に登録される(ステップS15)。
【0053】
続いて、データ処理部21が、受信用メモリ23からデータを取り出して処理し、その処理結果を表示部24に送り、コンピュータ2のディスプレイ2aに表示させると共に、プリンタ4に印字出力させる(ステップS16)。このとき、表示部24が終了確認メッセージをディスプレイ2aに表示し、使用者がこのメッセージに応答入力すると、制御部26が、データ処理部21による処理結果をコンピュータ2のデータ記憶部25に記憶させ(ステップS17)、処理を終了する。
【0054】
以上のように、本データ処理システムによれば、使用者が個人用測定器1をケーブル3に接続して電源スイッチ1aを押して電源投入するという簡単な操作を行うだけで、自動的に測定データがコンピュータ2へ送信され、処理結果がプリンタ4に印字出力される。これにより、コンピュータ操作に不慣れな患者でも、必要とする処理結果を容易に入手することが可能となる。また、医療機関側にとっても、コンピュータ2を立ち上げてデータ処理プログラムを起動しておくだけで、複数の個人用測定器1からデータを次々に収集して処理結果を得ることができるので、省力化が図れる。
【0055】
また、上記の説明では、個人用測定器1からの測定データの取り込みを、個人用測定器1の電源投入を契機として開始する例を示したが、この他に、個人用測定器1の電源投入後にこの個人用測定器1をコンピュータ2に接続する場合には、個人用測定器1とコンピュータ2との接続を契機として、測定データの取り込みを開始するようにしてもよい。
【0056】
また、個人用測定器1とコンピュータ2との接続は、ケーブル3による有線での接続に限らず、赤外線や電波による無線通信でもよい。さらに、個人用測定器1とコンピュータ2との接続は直接接続に限定されず、電話網等の公衆通信網を介してもよい。この場合、個人用測定器1およびコンピュータ2は、モデム(内蔵または外付け)を介して公衆通信網に接続される。これにより、個人用測定器1の使用者は、医療機関へ出向かなくても、遠隔地から電話網等を通じて医療機関等のコンピュータ2へ測定データを送信することが可能となる。
【0057】
この場合には、コンピュータ2は、個人用測定器1が公衆通信網を介して接続されたことを契機として、データ取り込みから処理結果の出力までの一連の処理を自動的に実行し、その処理結果を、個人用測定器1の使用者宅のファクシミリ受信装置へ出力する。
【0058】
すなわち、コンピュータ2の使用者情報記憶部27に使用者宅のファクシミリ受信装置の電話番号を登録しておけば、コンピュータ2が、モデムおよび電話網を通じて、ファクシミリ受信装置へ処理結果を出力する。これにより、個人用測定器1の使用者は、自宅に居ながら、測定データの処理結果を入手することができる。
【0059】
なお、処理結果の出力先は、ファクシミリ受信装置に限らず、使用者の携帯電話等の携帯端末装置や、パーソナルコンピュータ等であってもよい。
【0060】
また、本発明のデータ測定装置および測定データ処理システムは、医療機関で使用されるものに限定されず、データの測定および記憶を行うデータ測定装置と、そのデータを取り込んで処理するデータ処理装置との組み合わせからなるシステムであれば、適用分野は任意である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上に説明したように、本発明によれば、個人用測定器をケーブルに接続して電源を投入するという簡単な操作を行うだけで、測定データをコンピュータへ送信して処理させた結果を容易に入手することが可能な測定データ処理システムを提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶するデータ測定装置と、前記データ測定装置から前記測定データを取り込んで処理し、処理結果を出力するデータ処理装置とを含む測定データ処理システムにおいて、
前記データ測定装置の電源が投入されたとき、前記データ処理装置と接続されているか否かを判断し、接続されていれば、前記データ処理装置が、前記データ測定装置の電源投入を契機として、前記データ測定装置からの前記測定データの取り込みを開始することを特徴とする測定データ処理システム。
【請求項2】
前記データ測定装置が、電源が投入されたとき、前記データ処理装置と接続されているか否かを判断し、接続されていれば動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定する請求項1に記載の測定データ処理システム。
【請求項3】
前記データ処理装置が、前記データ測定装置の電源投入を契機として、前記測定データの取り込みから処理結果の出力までの一連の処理を自動的に実行する請求項1に記載の測定データ処理システム。
【請求項4】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶するデータ測定装置と、前記データ測定装置から前記測定データを取り込んで処理し、処理結果を出力するデータ処理装置とを含む測定データ処理システムにおいて、
前記データ測定装置を前記データ処理装置に接続したことを契機として、前記データ処理装置が、前記データ測定装置からの前記測定データの取り込みを開始することを特徴とする測定データ処理システム。
【請求項5】
前記データ測定装置が、公衆通信網を介して前記データ処理装置に接続される請求項4に記載の測定データ処理システム。
【請求項6】
前記データ処理装置が、前記データ測定装置が接続されたことを契機として、前記測定データの取り込みから処理結果の出力までの一連の処理を自動的に実行する請求項4または5に記載の測定データ処理システム。
【請求項7】
前記データ処理装置からのデータ処理結果の出力先が、前記データ測定装置の使用者の受信装置である請求項5または6に記載の測定データ処理システム。
【請求項8】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶すると共に、前記測定データをデータ処理装置へ送信するデータ測定装置であって、
電源が投入されたときデータ処理装置と接続されているか否かを判断するインタフェース部と、
接続されていれば動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定する動作制御部とを備え、
前記データ送信モードにおいては、前記データ処理装置に接続したことを契機として、前記データ処理装置へ前記測定データ送信を開始することを特徴とするデータ測定装置。
【請求項9】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶すると共に、前記測定データをデータ処理装置へ送信するデータ測定装置であって、
データ処理装置と接続されているか否かを判断するインタフェース部と、
前記インタフェース部がデータ処理装置と接続されたことを検知したとき動作モードをデータ送信モードに設定し、接続されていなければ前記動作モードをデータ測定モードに設定する動作制御部とを備え、
前記データ送信モードにおいては、前記データ処理装置に接続したことを契機として、前記データ処理装置へ前記測定データ送信を開始することを特徴とするデータ測定装置。
【請求項10】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶したデータ測定装置から前記測定データを受信して処理するデータ処理装置であって、
前記データ測定装置が接続された後、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより、前記データ測定装置の電源投入を検知するインタフェース部と、
前記データ測定装置の電源投入を検知したことを契機として前記データ測定装置から前記測定データの取り込みを開始するデータ処理部とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項11】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶したデータ測定装置から測定データを受信して処理するデータ処理装置であって、
前記データ測定装置が接続されたことを、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより検知するインタフェース部と、
前記データ測定装置が接続されたことを契機として前記データ測定装置から前記測定データの取り込みを開始するデータ処理部とを備えたことを特徴とするデータ処理装置。
【請求項12】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶したデータ測定装置がコンピュータに接続された後、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより前記データ測定装置の電源投入を検知する処理、
前記データ測定装置の電源投入を検知したことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始する処理、
取り込んだデータの処理、
処理結果を出力する処理、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項13】
センサが取得した情報を蓄積可能な形式の測定データに変換して記憶したデータ測定装置がコンピュータに接続されたことを、前記データ測定装置から所定の信号を受信することにより検知する処理、
前記データ測定装置が接続されたことを契機として前記データ測定装置から前記データの取り込みを開始する処理、
取り込んだデータの処理、
処理結果を出力する処理、をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−120953(P2011−120953A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31160(P2011−31160)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【分割の表示】特願2001−585088(P2001−585088)の分割
【原出願日】平成13年5月15日(2001.5.15)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】