説明

測定及び掘削制御のための双方向の掘削ストリング遠隔測定システム

本開示の用途は、地面にボア孔(11)を掘削する作業に関連して使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリング(12)と、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体(100)はその下端に掘削ビット(15)を具備している。方法は、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得するもので、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階であって、少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体にて測定された状態を表す測定データを生成するような上記段階と、アップホール・プロセッサ・システムを地表に提供する段階と、少なくともひとつの測定装置に結合され、アップホール・プロセッサ・システムに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階と、掘削ストリング遠隔測定システムを介して、測定装置から、アップホール・プロセッサ・システムへ、データを伝送する段階と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、掘削及び炭化水素の井戸の作成の分野、及び、ダウンホール地質特性の測定、及び、ダウンホールと地表設備との間における測定及び制御情報の双方向通信に関する。
【背景技術】
【0002】
掘削中測定(MWD)及び掘削中ロギング(LWD)の出現、並びに方向性掘削などの、特殊な掘削工程の地表制御の発達は、掘削及び炭化水素の井戸の作成の技術分野における重要な進歩である。これらの工程は、地表とダウンホール測定及び掘削設備との間に、両方向の通信を必要とする。現在のところ、泥パルス遠隔測定は、掘削中に、ダウンホール設備と地表との間における通信において、広範囲に商業的に使用されている唯一の技術である。[特に別言しない限り、「掘削中」等の用語は、掘削、休止、及び/又はトリッピングを含む、全体的な掘削作業の一部分として、掘削ストリングがボア孔の中に、または、部分的にボア孔の中にあることを意味する意図であり、掘削ビットは必ずしも回転していなくても良い。]。泥パルス遠隔測定においては、データは、掘削部分における圧力パルスとして伝達される。しかしながら、泥パルス遠隔測定には、比較的遅い通信、低いデータ速度、及び限界信頼性を含む、制限があることが良く知られている。現在の泥パルス技術は、1秒間あたりわずかに約12ビットだけのMWD/LWDのデータを送ることができる。多くの場合に、この速度は、LWDツールストリングによって集められたすべてのデータを送るために不十分であり、または、所望のツールストリングの構成を限定する。また、泥パルス技術は、拡張した範囲のボア孔においては、良く働かない。方向性掘削及びツール機能などの工程を制御するため、泥ポンプ流れの調整によって、アップホールからダウンホールへ伝えられる信号も遅く、極めて低い情報速度を有している。また、例えば、釣合下にある掘削使用ガス、又は発泡掘削流体など、ある種の状況の下では、現在の泥パルス遠隔測定は機能しない。
【0003】
より速くて、高いデータ速度を有し、特定のタイプの掘削流体の存在を必要としないような、泥パルス遠隔測定に代わる手段を開発しようとして、長年にわたって、様々な試みがなされてきた。例えば、掘削ストリングを通して音波を伝達するような、音響遠隔測定が提案されている。データ速度は、泥パルス遠隔測定に比べて、約1オーダー高い大きさに見積もられるが、依然として制限があり、雑音が問題である。音響遠隔測定は、まだ、商業的に利用可能になっていない。別の例は、地球を通した電磁遠隔測定である。この技術は、ボア孔を取り囲む地質の、特に抵抗率の特性に依存した、限られた範囲をもつと考えられ、また、限られたデータ速度を有する。
【0004】
信号を運ぶために、掘削パイプ内にワイヤを配置することは、長い間、提案されてきた。ワイヤード掘削ストリングに関するいくつかの初期のアプローチは、米国特許第4,126,848号、米国特許第3,957,118号、及び米国特許第3,807,502号、および、刊行物、The Oil and Gas Journal(1978年4月3日、第115頁〜第124頁)の、W. J. McDonaldによる「MWDに使用される4つの異なるシステム("Four Different Systems Used for MWD")」に開示されている。
【0005】
また、パイプジョイントなどに、誘導結合器を使用するアイデアも提案されている。掘削ストリングに誘導結合器を用いることは、米国特許第4,605,268号、1997年12月18日に出願されたロシア連邦公開特許公報第2140527号、1992年2月14日に出願されたロシア連邦公開特許公報第2040691号、及び国際特許公報第90/14497A2号に開示されている。また、米国特許第5,052,941号、米国特許第4,806,928号、米国特許第4,901,069号、米国特許第5,531,592号、米国特許第5,278,550号、及び米国特許第5,971,072号も参照されたい。
【0006】
米国特許第6,641,434号が開示しているワイヤード掘削パイプのジョイントは、ワイヤード掘削パイプの分野における著しい進歩であって、地表のステーションとボア孔内の位置との間において、双方向に、高いデータ速度にて、測定データを確実に伝達する。’434号特許は、低損失のワイヤードパイプのジョイントを開示していて、導電層が、それぞれの誘導結合器における抵抗損失及び磁束損失を減少させることで、掘削ストリングの全長にわたる、信号エネルギーの損失を減少させる。ワイヤードパイプのジョイントは、導電層に設けた隙間が存在したまま動作するので頑丈である。掘削ストリング遠隔測定の分野における当業者及びその他の進歩した性能列席者は、範囲、速度、及びデータ速度が従前にはシステムの性能を制限していた従来技術の短所について、革新の機会を提供する。
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,126,848号
【特許文献2】米国特許第3,957,118号
【特許文献3】米国特許第3,807,502号
【特許文献4】米国特許第4,605,268号
【特許文献5】ロシア連邦公開特許公報第2140527号
【特許文献6】ロシア連邦公開特許公報第2040691号
【特許文献7】国際特許公報第90/14497A2号
【特許文献8】米国特許第5,052,941号
【特許文献9】米国特許第4,806,928号
【特許文献10】米国特許第4,901,069号
【特許文献11】米国特許第5,531,592号
【特許文献12】米国特許第5,278,550号
【特許文献13】米国特許第5,971,072号
【特許文献14】米国特許第6,641,434号
【非特許文献1】"Four Different Systems Used for MWD," W. J. McDonald, The Oil and Gas Journal, pages 115-124, April 3, 1978.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、改良された測定及び地質ロギング動作と共に、改良された制御及び掘削パラメータの最適化であって、これまでには様々な理由から得られなかったものを、進歩した双方向の掘削ストリング遠隔測定との共同作用的な組合せを用いて提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、なかんずく、掘削ストリング遠隔測定における最近の進歩を最大限に利用するような特徴を有する。実質的にリアルタイムの双方向通信は、本願の実施形態において、掘削(及び休止及びトリッピング)の工程中に、測定及び制御を改良し、改良された動作及び意志決定を達成する。
【0010】
本発明のひとつの形態の用途は、地面にボア孔を掘削する作業に関連して使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリングと、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体はその下端に掘削ビットを具備している。方法は、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得するもので、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階であって、前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体にて測定された状態を表す測定データを生成するような上記段階と、アップホール・プロセッサ・システムを地表に提供する段階と、前記少なくともひとつの測定装置に結合され、アップホール・プロセッサ・システムに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階と、掘削ストリング遠隔測定システムを介して、測定装置から、アップホール・プロセッサ・システムへ、データを伝送する段階と、を備えている(本願において、地表とは、オンショア又はオフショアの掘削のための、あらゆる土地、水、氷の表面又は表面の近くの位置を包含する意図である。)。
【0011】
本願の実施形態においては、孔底組立体にて測定された状態は、孔底組立体を取り囲む地質についての測定された特性であり、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階は、孔底組立体における装置の掘削中のロギング(記録)を提供する段階を備えている。この実施形態においては、装置の掘削中のロギングを提供する段階は、抵抗測定装置、方向抵抗測定装置、音響測定装置、核測定装置、核磁気共鳴測定装置、圧力測定装置、地震測定装置、撮像装置、及び地質サンプリング装置からなるグループから選択された装置を提供する段階を備えている。
【0012】
本願の別の実施形態においては、孔底組立体にて測定された状態は、測定された掘削特性であり、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階は、孔底組立体における装置の掘削中の測定を提供する段階を備えている。この実施形態においては、装置の掘削中の測定を提供する段階は、ビットの重さ測定装置、トルク測定装置、振動測定装置、衝撃測定装置、棒のスリップ測定装置、方向測定装置、及び傾斜測定装置からなるグループから選択された装置を提供する段階を備えている。
【0013】
本願の他の実施形態においては、前記孔底組立体は方向掘削サブシステムを具備し、地表のプロセッサにて制御信号を生成する段階は、操縦制御信号を生成する段階を備えている。この実施形態のひとつの形態においては、方向掘削サブシステムは、回転操縦可能システムを備え、地表のプロセッサにて制御信号を生成する段階は、前記回転操縦可能システムのために、操縦制御信号を生成する段階を備えている。
【0014】
本発明のひとつの形態においては、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階は、孔底組立体に複数の測定装置を提供する段階を備え、複数の測定装置は、孔底組立体における複数の状態を表す測定データを生成する。
【0015】
本発明のひとつの形態においては、掘削ストリング遠隔測定システムは、双方向であり、掘削ストリングにおける少なくとも一部分にワイヤード掘削パイプを具備している。本発明のこの形態の実施形態においては、掘削ストリング遠隔測定システムとアップホール・プロセッサとの間に、無線式の結合が提供される。アップホール・プロセッサ・システムは、掘削リグの略近傍に配置され、または、前記掘削リグから離れた位置に配置される。掘削ストリング遠隔測定システムは、ハイブリッド遠隔測定システムであって、複数の異なるタイプの遠隔測定媒体を具備している。開示された実施形態においては、ハイブリッド掘削ストリング遠隔測定システムは、ワイヤード掘削パイプの部分と、電気ケーブル媒体と、光ケーブル媒体と、無線伝送媒体とからなるグループから選択された遠隔測定媒体の少なくともひとつの部分とを具備している。この実施形態においては、ワイヤード掘削パイプの部分は、結合された掘削パイプを具備し、それぞれの掘削パイプは、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するピン端部と、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するボックス端部と、前記ピン及びボックス端部の誘導結合器の間に結合された少なくともひとつの導体とを備え、隣接する掘削パイプは、それらに結合されたピンとボックスの端部にて誘導的に結合される。比較的長い距離においては、掘削パイプ間のジョイントに、リピーターサブシステムが設けられる。もっとも、本発明の形態においては、上述したワイヤード掘削パイプの部分は、リピーター無しに、前記結合された掘削パイプの約2000フィートよりも長いような長さに設けられる。
【0016】
本発明の実施形態において、上述したタイプのワイヤード掘削パイプの部分を用いるものでは、データを伝送する段階は、約500kHzよりも低い周波数を有する搬送波に乗せて、前記データを伝送する段階を備えている。この実施形態においては、データは少なくとも100ビット/秒の速度にて伝送され、実質的にリアルタイムにて双方向伝送が実現される。
【0017】
本発明の形態においては、アップホール・プロセッサにて制御信号が生成され、掘削ストリング遠隔測定システムを介して、孔底組立体に伝送される。本発明のこの形態の実施形態においては、孔底組立体は、方向掘削サブシステムを具備し、制御信号は、操縦制御信号である。この実施形態においては、制御信号は、測定データに対応して生成される。
【0018】
本発明のさらに別の特徴及び利点は、添付図面と関連させた、以下の詳細な説明から容易に明らかになるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1は、本発明を採用できる井戸の現場のシステムを示している。井戸の現場は、オンショア又はオフショアである。この例示的なシステムにおいては、ボア孔11は、周知の回転掘削の方法で、地面下の地質30に形成される。本発明の実施形態においては、後述するように、方向掘削を用いても良い。
【0020】
掘削ストリング12は、ボア孔11の内部に吊下され、下端に掘削ビット105を具備してなる孔底組立体100を有している。地表システムは、プラットホーム及びデリック組立体10を、ボア孔11の上方に配置されて具備し、組立体10は、回転テーブル16と、ケリー17と、フック18と、回転スイベル19とを具備している。掘削ストリング12は、不図示の手段によって駆動される、回転テーブル16によって回転され、掘削ストリングの上端にて、ケリー17に係合している。掘削ストリング12は、フック18から吊下され、フックは移動ブロック(図示せず)に取り付けられ、ケリー17及び回転スイベル19を介して、フックに対する掘削ストリングの回転を許容する。周知のように、上部駆動システムを代わりに使用しても良い。
【0021】
この実施形態の例においては、地表システムはさらに、井戸の現場に形成されたピット27内に格納された、掘削流体又は泥26を具備している。ポンプ29は、スイベル19のポートを介して、掘削ストリング12の内部に掘削流体26を送り届け、掘削流体を、矢印8の方向に示すように、掘削ストリング12を通して下向きに流れさせる。掘削流体は、掘削ビット105に設けたポートを介して、掘削ストリング12から排出され、次に、掘削ストリングの外側とボア孔の壁との間の環状の領域を通して、矢印9の方向に示すように上向きに循環する。この周知のやり方において、掘削流体は、掘削ビット105を潤滑し、再循環のためにピット27に戻されるとき、切断された地質を地表へと運ぶ。
【0022】
当業者に知られているように、データを集めるために、井戸の現場の付近にセンサが設けられ、好ましくは、リアルタイムに、井戸の現場の作業、及び井戸の現場の状態に関連したデータを集める。例えば、そうした表面センサは、とりわけ、給水塔圧、フック荷重、深さ、表面トルク、回転rpmなどのパラメータを測定するために提供される。
【0023】
図示の実施形態における孔底組立体100は、インターフェースサブ110と、掘削中ロギング(LWD)モジュール120と、掘削中測定(MWD)モジュール130と、方向性掘削のための回転操縦システム及びモータ150と、掘削ビット105とを具備している。
【0024】
LWDモジュール120は、当業者に知られているように、特別なタイプの掘削カラーに収容されており、1又は複数の公知のタイプのロギングツールを収容することができる。例えば、符号120Aにて示すように、1つを越えるLWD及び/又はMWDモジュールを採用しても良いことを理解されたい(位置120にあるモジュールの参照は、同じく、位置120Aにあるモジュールを代替的に意味することができる。)。LWDモジュールは、測定、処理、及び情報の格納の能力と、地表の設備との通信能力とを具備している。本実施形態において、LWDモジュールは、地質の特性を測定する、1又は複数の以下のタイプのロギング装置を具備している。すなわち、抵抗測定装置、方向抵抗測定装置、音響測定装置、核測定装置、核磁気共鳴測定装置、圧力測定装置、地震測定装置、撮像装置、及び地質サンプリング装置である。
【0025】
また、MWDモジュール130も、当業者に知られているように、特別なタイプの掘削カラーに収容され、掘削ストリング及び掘削ビットの特性を測定するための1又は複数の装置を含むことができる。MWDツールはさらに、ダウンホールシステムへの電力を発生させるための装置(図示せず)を具備している。これは、代表的には、掘削流体の流れによって駆動される泥タービン発電機を具備するが、他のパワー及び/又はバッテリーシステムを採用しても良いことを理解されたい。本実施形態においては、MWDモジュールは、1又は複数の以下のタイプの測定装置を具備する。すなわち、ビットの重さ測定装置、トルク測定装置、振動測定装置、衝撃測定装置、棒のスリップ測定装置、方向測定装置、及び傾斜測定装置である。
【0026】
本発明においては、掘削ストリング遠隔測定システムが採用され、これは、図示の実施形態においては、誘導結合されたワイヤード掘削パイプ180のシステムを備え、地表サブ185から、孔底組立体におけるインターフェースサブ110まで延びている。掘削ストリングの長さを含む要因に応じて、符号182にて例示するように、ワイヤード掘削パイプにおけるストリングの間隔に、リレーサブ又はリピーターが設けられる。リレーサブは、センサを備え、本願と同日に出願され、本願と同じ譲受人に譲渡された、係属中の米国特許出願第________号(ファイル19.0410/11)に、さらに開示されている。
【0027】
インターフェースサブ110は、LWD及びMWDモジュールの通信回路と、掘削ストリング遠隔測定システムとの間のインターフェースを提供し、この実施形態では、誘導結合器を備えたワイヤード掘削パイプから構成されている。インターフェースサブ110には、センサが設けられ、係属中の米国特許出願第________号(ファイル19.0410/11)に、さらに開示されている。
【0028】
ワイヤード掘削ストリングの上部には、地表サブ又は地表インターフェース185が設けられる。ワイヤード掘削パイプシステムが使用されるとき、最も上のワイヤード掘削パイプと地表プロセッサとの間に通信リンクを有することが必要になる(なかんずく、代表的には、以下の1又は複数の機能を実行する。すなわち、データ、ロギング情報、及び/又は、制御情報のダウンホール及び地表の設備への及び/又はからの受信及び/又は送信、計算の実行及び分析、及びオペレータ及び遠隔位置との通信である。)。様々なアプローチが示唆されており、それらのいくつかは、米国特許第7,040,415号に要約されており、スリップリング装置の使用と、誘導又はいわゆる変圧作用に基づいた回転電気結合の使用とを含んでいる。これらの技術は、まとめて、回転スイベル技術と称される。スリップリング(ブラシ接触面としても知られている)は、周知の電気コネクタであって、静止したワイヤから回転装置に電流又は信号を運ぶようにデザインされている。それは、代表的に、非回転要素に支持された、静止したグラファイト又は金属製の接点(ブラシ)が、(例えば、ケリージョイントの上部部分に支持された)回転金属リングの外径にこすり合わせられる。金属リングが回転すると、電流又は信号は、静止ブラシを通して金属リングに導通して、接続を形成する。誘電(変圧作用)に基づいた回転電気結合は、回転変圧器として知られており、回転回路と静止回路との間の導通に基づいたスリップリング及び接触ブラシに対する代替手段を提供し、直接接触を必要としない。変圧器の巻線は、静止コイルと回転コイルとを構成し、これらの両方は回転軸線と同軸的になっている。いずれかのコイルが一次巻線として働き、他方は二次巻線として働く。このパラグラフで述べたタイプのアプローチは、図1の地表サブ185として使用できる。現在のところ、無線式のアプローチがより好ましく、例えば、本願と同日に出願され、本願と同じ譲受人に譲渡された、米国特許出願第________号(ファイル19.0403/32)に開示されたタイプのものがある。前記して参照した米国特許出願第________号(ファイル19.0403/32)の実施形態に開示されているように、地表サブ185の形態であるアップホール・インターフェースは、ケリー17と共に回転する電子回路に結合され、本実施形態においてはアップホール・プロセッサ・システムから構成されてなるロギング及び制御ユニット4のアンテナ及びトランシーバーと双方向に通信する、トランシーバー及びアンテナを具備している。通信リンク175は、アップホール・インターフェースの電子回路及びアンテナとロギング及び制御ユニット4との間に、模式的に示されている。従って、この実施形態の構成は、ロギング及び制御ユニット4から、通信リンク175を介して、地表サブ185へ、ワイヤード掘削パイプ遠隔測定システムを介して、ダウンホールインターフェース110及び孔底組立体の要素への通信リンクを提供し、また、双方向動作のために、これらの逆を提供する。
【0029】
図2Aは、図1の電子回路に使用できるタイプの無線式のトランシーバー・サブシステムの電子回路を示したブロック図である。また、米国特許第7,040,415号も参照されたい。最も上のワイヤード掘削パイプにおける上部ジョイントの誘導結合器からの及び誘導結合器への信号は、WDPモデムを用いて結合される。WDPモデム221は、無線式モデム231に接続されている。バッテリー250及び電源255は、モデムを駆動するために設けられる。より好ましい、他の電力発生手段については、上に参照した、米国特許出願第________号(ファイル19.0403/32)に開示されている。
【0030】
WDP地表モデム202は、ワイヤード掘削パイプ遠隔測定システムを介して、ダウンホールツールにおける、1又は複数のモデム、リピーター、又はその他のインターフェースと通信するように適合している。好ましくは、モデムは2方向の通信を提供する。モデムは、他のモデム又はリピーター又はダウンホールツールに配置された別のサブと通信する。任意の種類のデジタル及びアナログの変調方式を使用することができ、例えば、2位相の、周波数偏移符号化(FSK)、直角位相偏移変調(QPSK)、直角振幅変調(QAM)、離散マルチトーン(DMT)などを使用できる。これらの方式は、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)など、任意の種類のデータ多重化技術と組み合わせられる。モデムは、掘削パイプ診断及びダウンホールツール診断のための機能を具備しても良い。
【0031】
図2Bに示した実施形態においては、参照した係属中の米国特許出願第________号(ファイル19.0403/32)に開示されるように、ケリー250と最も上のワイヤード掘削パイプ181との間に、特別なセーバーサブ240が設けられている。セーバーサブ240は、その下端に誘導結合器241を有し、最も上のワイヤード掘削パイプの誘導結合器と電気的に結合される。ケーブル215は、誘導結合器241に接続され、密封されたポートを通してセーバーサブ240から出て、ケリー250の外側を通って、トランシーバー・サブシステム230に至り、トランシーバー・サブシステムはアンテナ235を具備している。セーバーサブ240におけるケーブルの出口部分には、コネクタ246が提供される。ケリー250の外側に沿って通るケーブルは、ケリーに設けた溝内に密封され、例えば、エポキシ又はPEEK材料によって保護される。トランシーバー・サブシステムの電子回路には、さらに別のコネクタが設けられる。ケーブル215には、少なくともワイヤのペアが設けられる。さらに別の実施形態及びトランシーバー・サブシステムの構成について、また、トランシーバー・サブシステムに関連した冗長な複数のアンテナの記述について、また、回転するトランシーバー・サブシステムで用いるための安全な発電の記述について、係属中の米国特許出願第________号(ファイル19.0403/32)を参照されたい。
【0032】
参照された係属中の米国特許出願第________号(ファイル19.0410/11)に開示されているように、井戸の現場にはひとつだけの地表ユニット4を示しているけれども、1又は複数の井戸の現場を横切る1又は複数の地表ユニットを設けても良い。地表ユニットは、1又は複数の通信ラインを介して、有線式又は無線式の接続を用いて、1又は複数の地表インターフェースにリンクされる。地表インターフェースと地表システムとの間の通信トポロジーは、一点と一点、一点と多点、又は多点と一点である。ワイヤード接続は、任意のタイプのケーブル(任意のタイプのプロトコル(シリアル、イーサネット(登録商標)等)を用いるワイヤ)及び光ファイバーの使用を含む。無線技術は、任意の種類の標準的な無線通信技術であって、例えば、IEEE802.11の仕様、Bluetooth、zigbee、または、任意の非標準的なRF又は光学通信技術であって、任意の種類の変調方式、例えば、FM、AM、PM、FSK、QAM、DMT、OFDM等を、TDMA、FDMA、CDMA等の任意の種類のデータ多重化技術と組み合わせられる。ひとつの例としては、無線通信のためのアンテナは、サブの外側層に設けられる。
【0033】
インターフェースには、1又は複数のセンサ204が設けられ、様々な井戸ボア孔のパラメータ、例えば、温度、圧力(給水塔、泥など)、泥流、雑音、振動、掘削メカニックス(すなわち、トルク、重量、加速度、パイプ回転など)などを測定する。センサは、信号の調整のために、アナログのフロントエンドにリンクされ、及び/又は、データの処理及び/又は分析のためにプロセッサにリンクされる。また、センサは、診断を信号するために使用される。診断は、ワイヤード掘削パイプシステムにおける故障を位置決めし、雑音を測定し、及び/又は、ワイヤード掘削パイプ遠隔測定システムの特性を測定し、及び井戸の現場のその他の診断を実行する。異なるタイプのセンサをサブに統合しても良い。ひとつのタイプのセンサは、高いサンプリング速度にて実行できる、掘削メカニックスを測定するための表面センサである。センサデータは、記憶装置に記録される。
【0034】
図3乃至図5は、参照によって引用された米国特許第6,641,434号に開示されている、ワイヤード掘削パイプを示している。ワイヤードパイプジョイント(図3)は、第1の電流ループ誘導結合要素321と、第2の電流ループ誘導結合要素331とを、パイプのそれぞれの端部のひとつに有している。また、図3に示したワイヤードパイプジョイント310は、軸線ボア孔312を備えた細長い管状シャンク311と、第1の誘導結合要素321と、ボックス端部322と、ピン端部332における第2の誘導結合要素331とを具備している。図示の誘導結合器320は、第1の誘導結合要素321と、隣接するワイヤード掘削パイプにおけるピン端部332’の第2の誘導結合要素331’とから構成されている。
【0035】
図3及び図4は、雌ネジ323を形成するボックス端部322と、第1のスロット325を備えた環状内側接触肩部324とを示している。また、図3及び図4は、雄ネジ333’を形成する、隣接したワイヤードパイプジョイントのピン端部332’と、第2のスロット335’を備えた環状内側接触パイプ端部334’とを示している(プライム記号を付した参照符号は、隣接するワイヤードパイプジョイントに属する要素を示している。)。
【0036】
図5Aは、図3における対向する対をなす電流ループ誘導結合要素の断面図を示していて、作業パイプストリングの一部分として、互いにロックされている。両方のコアを取り囲む、閉じられた高い導電性の低い透磁率をもった環状経路340の断面図と、ワイヤードパイプジョイント310における2つの誘導結合要素を電気的に結合する、内部電気ケーブル314のための通路を形成する導管313の断面図とが提供されている。
【0037】
図5Bは、第1のコイル348と、第1の高透磁性コア347と、第1のコイル巻線348との取り付けを示した拡大断面図である。また、図5Bは、内部電気ケーブル314を取り囲む導管313を示している(図5B及び図5Cを明瞭にするため、第1のコイル328は、掘削パイプの強度を劣化させないような好ましい実施形態における、ピンの寸法に比べて大きく示している。)。
【0038】
図5Bはさらに、同軸的な対向部分326a及び326bを備えてなる第1の環状凹面326を形成する第1のスロット325を示している。第1の環状凹面326は、第1の環状の凹面の高い導電性の低い透磁性の層327をその表面に有している。層327は、第1の環状キャビティを形成している。ボックス端部322は、第1のコイル328を具備し、このコイルは、第1の層327における同軸的な対向する部分327a及び327bの間にて、第1の環状キャビティに固定して取り付けられている。
【0039】
図5Bはさらに、同軸的な対向部分336a’及び336b’を備えてなる、第2の環状凹面336’を形成する第2のスロット335’を示している。第2の環状凹面336’は、第2の環状の凹面の高い導電性の低い透磁性の層337をその表面に有している。層337’は、第2の環状キャビティを形成している。ピン端部332’は、第2のコイル338’を具備し、このコイルは、第2の層337’における同軸的な対向部分337a’及び337b’の間にて、第2の環状キャビティに固定して取り付けられている。
【0040】
また、図5Bは、第1の高い導電性の低い透磁性の層327を具備してなる、第1の電流ループ誘導結合要素321と、第2の高い導電性の低い透磁性の層337’を具備してなる、第2の電流ループ誘導結合要素331’とを示している。それぞれの層は、コーティングされ、または、そのスロットの内面に取り付けられる。第1のコイル328は、第1の層327における同軸的な対向部分327a及び327bの間に配置されている。従って、第1の高い導電性の低い透磁性の形成層(又はベルト)327は、第1のコイル328を部分的に取り囲んでいる。同様に、第2の高い導電性の低い透磁性の層(又はベルト)337’は、第2のコイル338’を部分的に取り囲んでいる。
【0041】
第1のコイル328は、そのスロットの内部の所定位置に、注封材料342によって固定されている。第1のコイル328はさらに、好ましくはRTVである、保護充填材料343によって保護されている。同様に、第2のコイル358’は、そのスロットの内部の所定位置に、注封材料352’によって固定され、さらに、保護充填材料353によって保護されている。
【0042】
図5Cは、図5Bのボックス端部の電流ループ誘導結合要素を示した拡大断面図であって、第1の高い透磁性のコア347と第1のコイル巻線348とを具備してなる、第1のコイル328の詳細を示している。コア347は、軸線方向に細長い断面を有している。図5Bにおける第2のコイル338’、第2のコア357’、及び第2のコイル巻線358’も同様に構成されている。
【0043】
コイル巻線348は好ましくは、多数の巻きを有している。ひとつの好ましい実施形態においては、その数は、およそ200である。図5Cに示したボックス端部のベルトは、隣接する第2のパイプジョイントにおける第2の高い導電性の低い透磁性のピン端部のベルトと協働するように配置され、図5Aに示す如く、閉じられた高い導電性の低い透磁性の環状経路340を形成する。第1及び第2のパイプジョイントが、作業パイプストリングの一部分として、互いにロックされたときには、層327及び337’は経路340を形成する。この閉じた経路は、第1のコイルと第2のコイルとを取り囲んでいる。低損失の電流ループ誘導結合器は、経路340を介して背中合わせに結合された、一対の変圧器と見ることができる。
【0044】
それぞれのコイルは、主として、スロットの内面に重なり合った、高い導電性の低い透磁性であるパイプジョイントの層に沿って、パイプジョイントに電流を誘導する。導電材料のそれぞれの層は、コアを取り囲むスロットの内面に、取り付けられ、又は、コーティングされる。
【0045】
’434号特許に開示されているように、高い導電性の低い透磁性の層は、金属の中でも銅及び銅合金に例示されるような、鋼の導電性に比べて実質的に高い導電性を有する、任意の高い導電性の低い透磁性の材料から作られる。
【0046】
高い導電性の低い透磁性の層は、経路340がパイプジョイントの鋼だけを通る場合に比べて、環状経路340の抵抗を減少させることで、パイプストリングの長さにわたる抵抗損失を抑える。また、高い導電性の低い透磁性の層は、それぞれのワイヤードパイプジョイントの鋼に透過する磁束を減少させることで、パイプストリングの長さにわたる磁束損失を抑える。環状経路340は理想的には閉じた経路であるけれども、経路が全体として導電層から構成されることは不可欠ではなく、というのは、経路340の導電層におけるあらゆる隙間は、局所的なパイプ端部の鋼によって橋渡しされるためである。環状経路の導電層における隙間は、接触するパイプ端部の硬質の鋼との接触点に近い、比較的軟質の導電層の摩耗によって生じる。パイプストリングの長さにわたる環状経路の導電層における少数のそうした隙間は、重要な影響をもつほどには、充分なエネルギー損失を導入することはない。
【0047】
’434号特許と同様に、図3乃至図5Cのシステムは、二重接触のパイプジョイントを開示していて、第1及び第2の誘導結合要素は、それぞれ、内側肩部と内側パイプ端部とに配置されている。パイプジョイントの寸法は、外側パイプ端部と内側肩部との間の距離が、外側肩部と内側パイプ端部との間の距離に比べて、若干、大きくなっている。図5Aは、外側パイプ端部341と環状内側接触肩部324との間の距離D1と、外側肩部351’と環状内側接触パイプ端部334’との間の距離D2とを示している。距離D2は、距離D2に比べて、若干大きくなっている。2つのパイプジョイントが適切に締め付けられたとき(すなわち、隣接するワイヤードパイプの肩部351’に対して端部341のパイプ密封に適切に必要なトルクで互いに押圧されたとき)、この若干の量は、閉じられた高い導電性の低い透磁性の環状経路340を確実に形成するように、隣接するワイヤードパイプジョイントの内側パイプ端部334’に対して、内側肩部324を自動的に締め付けるための同じトルクを許容する。
【0048】
本願の実施形態においては、ワイヤード掘削パイプの部分は、’434特許に開示され、図3乃至図5Cに示したタイプのものであり、リピーター無しに、約1000フィートよりも長くて、約7000フィートよりも短いような、結合されたワイヤード掘削パイプの部分を提供する特徴を容易にする。
【0049】
LWDツール120となり得る、または、本願のシステム及び方法におけるLWDツールの組120の一部分となり得る、ツールの例は、二重抵抗LWDツールであって、発明の名称を、"Well Logging Apparatus And Method For Determining Formation Resistivity At A Shallow And A Deep Depth"とする、米国特許第4,899,112号に開示されているので、この文献を参照によって引用する。図6に示すように、上側及び下側の伝送アンテナT1及びT2は、両者の間に、上側及び下側の受信アンテナR1及びR2を有している。アンテナは、変更された掘削カラーの凹部に形成され、絶縁材料に取り付けられている。受信機間の電磁エネルギーの位相シフトは、比較的浅い深さの調査にて、地質の抵抗を表し、受信機間の電磁エネルギーの減衰は、比較的深い深さの調査にて、地質の抵抗を表す。上に参照された、米国特許第4,899,112号は、更なる詳細について参照される。動作に際しては、減衰で表される信号と、位相で表される信号とは、プロセッサに結合され、その出力は、遠隔測定回路に結合可能であり、遠隔測定回路は、従来技術においては、泥パルスを変調し、本願のシステムによる実施形態においては、掘削ストリング遠隔測定システムの搬送波を変調させる。泥パルス遠隔測定に関連した二重抵抗技術の従来の応用とは異なり、本願におけるシステム及び方法は、はるかに多いデータを提供し、それを実質的にリアルタイムにて提供する。
【0050】
本願のシステムの特に有利な使用は、制御された操縦又は「方向掘削」に関連する。この実施形態においては、回転操縦可能なサブシステム150(図1)が提供され、掘削ストリング遠隔測定システムを介した制御に適合している。方向掘削は、自然に取られる経路からの、井戸のボア孔の意図的な逸脱である。言い換えれば、方向掘削は、掘削ストリングを所望の方向へ進める、掘削ストリングの操縦である。方向掘削は、例えば、オフショアの掘削において有利であり、というのは、単一のプラットホームから、多くの井戸を掘削することが可能になるためである。また、方向掘削は、リザーバを通る水平な掘削を可能にする。水平な掘削によれば、リザーバを横断する長い長さの井戸のボア孔が可能になり、井戸からの生産速度を高めることができる。また、方向掘削システムは、垂直な掘削作業にも同じく使用される。しばしば、掘削ビットは、計画された掘削軌道から向きを変えるが、というのは、貫通している地質の性質が予想不可能であり、または、掘削ビットが受ける力が変化するためである。そうした逸脱が生じたとき、方向掘削システムは、掘削ビットを進路に戻すために使用される。方向掘削の公知の方法では、回転操縦可能なシステム(“RSS”)を使用している。RSSにおいては、掘削ストリングは地表から回転し、ダウンホール装置は、掘削ビットによって、所望の方向に掘削させる。掘削ストリングを回転させることで、掘削ストリングが掘削中にハングアップ又はスタックすることは減少する。地中の逸脱したボア孔を掘削するための回転操縦可能な掘削システムは、一般的に、「ポイント・ザ・ビット」システム、又は、「プッシュ・ザ・ビット」システムとして分類される。ポイント・ザ・ビットのシステムにおいては、掘削ビットの回転軸線は、新たな孔の方向に、孔底組立体の局所的な軸線から逸脱する。孔は、上下の安定装置の接触箇所と掘削ビットとによって形成される通例の3点幾何学に従って伝播する。掘削ビットと下側の安定装置との間の有限距離に結合された、掘削ビットの軸線の逸脱の角度は、曲線を発生させるのに必要な、非共軸の状態をもたらす。これを達成するには多くの方法が存在し、それらには、下側安定装置に近い孔底組立体における箇所に固定された屈曲部を用いたり、または、上側及び下側の安定装置の間に分配された掘削ビット駆動シャフトの固定具を用いたりすることが含まれる。理想化された形態においては、掘削ビットは横方向に切断することを必要とせず、というのは、ビットの軸線は、曲線状の孔の方向に絶えず回転するためである。ポイント・ザ・ビットのタイプの回転操縦システムの例と、それらがどのように動作するのかについては、米国特許公開公報第2002/0011359号、米国特許公開公報第2001/0052428号、及び米国特許第6,394,193号、米国特許第6,364,034号、米国特許第6,244,361号、米国特許第6,158,529号、米国特許第6,092,610号、及び米国特許第5,113,953号に開示されており、これらすべてを参照によってここに引用する。プッシュ・ザ・ビットの回転操縦可能なシステムにおいては、必要な非共軸の状態を達成するために、片方又は両方の上側又は下側の安定装置又は別の機構によって偏心力を適用し、または、孔の伝播の方向に対して優先的に向けられた方向に変位させる。再び、これを達成するには多くの方法が存在し、それらには、(孔に対して)非回転の偏心安定装置(変位ベースのアプローチ)、及び、所望の操縦方向において掘削ビットに力を加える偏心アクチュータがある。再び、操縦を達成するには、掘削ビットと少なくとも2つの他の接触点との間に、非共軸を作り出す。理想化された形態においては、曲線状の孔を作るために、掘削ビットは横方向に切断することを必要とする。プッシュ・ザ・ビットのタイプの回転操縦可能なシステムの例と、それらがどのように動作するのかについては、米国特許第5,265,682号、米国特許第5,553,678号、米国特許第5,803,185号、米国特許第6,089,332号、米国特許第5,695,015号、米国特許第5,685,379号、米国特許第5,706,905号、米国特許第5,553,679号、米国特許第5,673,763号、米国特許第5,520,255号、米国特許第5,603,385号、米国特許第5,582,259号、米国特許第5,778,992号、米国特許第5,971,085号に開示されており、これらのすべてを参照してここに引用する。
【0051】
地表からの操縦制御は、少なくとも地質の抵抗測定値に基づき、例えば、図6及び図7に関連して説明されたタイプの抵抗ロギング装置が用いられる。
【0052】
指摘されたところによれば、従来のLWDツールは、地質中の比較的短距離だけを見るので、存在を検出する前に、接触又は地層の境界からわずかの距離になり、従って、地質操縦調整のために残される時間はほとんど残らない。深さの浅い調査は、最適な反応の地質操縦に比べて小さくなり、ビットがペイゾーンの上部又は基部から外れたときにのみ、軌道が変えられる。反応性地質操縦は、低い生産的な露出につながり、井戸の経路を波立たせて、完成を困難にする(2005年の、Oilfield Review誌の、L.Chouらによる、"Steering Toward Enhanced Production"を参照されたく、これを参照によってここに引用する。)。本願における実質的にリアルタイムの双方向の掘削ストリング遠隔測定は、地質操縦の反応時間及び精度を改善できる。
【0053】
本願における双方向の遠隔測定と地質操縦用途との組合せは、LWDツール又は図1のツール120の一部分として、方向性の深読みする掘削中ロギングの掘削ツールと関連して採用されたとき、さらに強いられる。軸線に整列された円筒状に対照的なコイルを有するツールからの信号は、方向的に敏感ではない。図7のツールは、方向的に敏感な測定値を得るための傾斜した横断コイルを提供する(再び、2005年の、Oilfield Review誌の、L.Chouらを参照されたい。)。センサアレイは、6つの送信アンテナと4つの受信アンテナを具備している。ツールの長さに沿った軸線方向には、5つの送信アンテナ(T1〜T5)が配置されている。第6の送信アンテナ(T6)は、ツールの軸線を横切るように向けられる。受信アンテナは、ツールの各端部に配置されている。この対をなす受信アンテナ(R3及びR4)は、送信機を一括し、それぞれのこれらの受信機は、ツールの軸線に対して45度傾斜している。追加的な対をなす受信アンテナ(R1及びR2)は、トランスミッタアレイの中央に配置され、軸線方向に配置され、従来のタイプの伝播抵抗測定値を得る。上述の構成によれば、ツールの片側の導電性に、優先感度を生み出す。ツールが回転すると、そのセンサは近くの導電領域を検出して、最大の導電性が測定される方向を登録する。磁力計と加速度計は、ツールのために、参照方向のオリエンテーションデータを提供する。その方向の能力に加えて、ツールは、最も従来のLWD抵抗ツールに比べて、比較的深い測定値を提供する。本願における実質的にリアルタイムの双方向の掘削ストリング遠隔測定は、方向抵抗ロギングツールの能力と関連して、地表におけるデータの量と方向掘削制御の速度及び精度とを増加させることで、地質操縦の性能を改善する。
【0054】
別の例によるツールは、LWDツール120であるか、または、LWDツールの組120の一部分であり、ここで参照によって引用される米国特許第6,308,137号に開示されたタイプの掘削中音響ロギングツールである。開示された実施形態においては、図8に示すように、オフショアのリグ810が採用され、音響送信源又はアレイ814は、水面の近くに配備される。代わりに、任意の他の適当なタイプのアップホール又はダウンホール源又はトランスミッタを提供できる。アップホールプロセッサは、トランスミッタ814の発火を制御する。また、アップホール設備は、源の近くで参照信号を得るために、音響受信機とレコーダーとを具備している。従来技術においては、アップホール設備はさらに、ダウンホール設備からMWD信号を受信するための泥パルス遠隔測定設備を具備している。遠隔測定設備とレコーダーとは、代表的にプロセッサに結合され、アップホールとダウンホールとのクロックを用いて、録音が同期される。ダウンホールLWDモジュール800は、少なくとも音響受信機831及び832を具備し、これらは信号プロセッサに結合され、信号源の発火と同期して、受信機によって検出された信号から録音される。本実施形態においては、ワイヤード掘削パイプ、又は他の高速度掘削ストリング遠隔測定は、望むならば、アップホール・プロセッサからの制御による、ダウンホール及びアップホールのタイミング信号の高速同期を可能とし、及び、源へのロギングデータ及び/又は計算されたパラメータの高速伝送を可能とし、これは特に、音響及び/又は地震のロギングから比較的多量のデータが利用可能であるときに有用である。
【0055】
別の例によるツールは、LWDツール120であるか、または、LWDツールの組120の一部分であり、ここで参照によって引用される、Oilfield Review誌の2002年春号の第32頁〜第45頁の、P.Bretonらによる、"Well Positioned Seismic Measurements"に開示されたタイプの、地震の測定値を得るためのツールである。ダウンホールLWDツールは、(図9A及び図9Bに示すように)単一の受信機を有するか、または、(図9C及び図9Dに示すように)複数の受信機を有し、(図9A及び図9Cに示すように)地表の単一の地震源に関連して、または、(図9B及び図9Dに示すように)地表の複数の地震源に関連して採用される。従って、図9Aにおいては、地質境界の反射を含み、「ゼロオフセット」の垂直地震輪郭の構成と称され、単一の源と単一の受信機てを使用し、図9Bにおいては、地質境界の反射を含み、「ウォークアウェイ」の垂直地震輪郭の構成と称され、複数の源と単一の受信機とを使用し、図9Cにおいては、塩のドーム境界を通る屈折を含み、「塩近位」の垂直地震輪郭と称され、単一の源と複数の受信機とを使用し、図9Dにおいては、地質境界のいくつかの反射を含み、「ウォークアバブ」の垂直地震輪郭と称され、複数の源と複数の受信機とを使用している。上述のように、ワイヤード掘削パイプ、又は他の高速度掘削ストリング遠隔測定は、望むならば、アップホール・プロセッサからの制御による、ダウンホール及びアップホールのタイミング信号の高速同期を可能とし、及び、源へのロギングデータ及び/又は計算されたパラメータの高速伝送を可能とし、これは特に、音響及び/又は地震のロギングから比較的多量のデータが利用可能であるときに有用である。
【0056】
図10は、参照によってここに引用される米国特許Re.36,012号に開示されているような、掘削中ロギング核装置を示していて、加速器ベースの源を利用しているけれども、他のタイプの核LWDツールも、LWDツール120又はLWDツールの組120の一部分として利用できることを理解されたい。図10においては、掘削カラー部分1040は、ステンレス鋼ツールシャーシ1054を取り囲むように示されている。シャーシ1054から、その長手軸線の片側(この図では、見えない)に形成されているのは、掘削ストリングを通して掘削流体を下向きに運ぶための、長手方向に延在してなる泥通路である。シャーシ1054の他の側の中心に配置されているのは、中性子加速器1058と、それに関連する制御及び高電圧電子パッケージ1060と、同軸的に整列された近傍隔離検出器1062である。近傍隔離検出器1062は、最小限の地質影響にて、加速器の出力に主として反応する。検出器1062は、好ましくは、加速器1058に隣接する表面を除くすべての表面が、複合中性子減速中性子吸収材料からなるシールド1064によって取り囲まれる。近傍検出器1062の出力は、源の強度変動について、他の検出器の出力を正規化するために使用される。近傍隔離検出器1062に長手方向に隣接して配置されているのは、複数の又はアレイの検出器であって、そのうち1066a及び1066dが、この図に示されている。検出器1066aは、符号1068aにて示すように、背面シールドされている。アレイは、少なくともひとつの、及び好ましくはひとつを越える、エピサーマル中性子検出器を具備し、この例においては符号1084で示される少なくともひとつのガンマ線検出器を、シールド1086を備えて具備している。また、1又は複数の熱中性子検出器を具備しても良い。上に参照した、米国特許Re.36,012号は、更なる詳細について参照される。検出器の信号は、なかんずく、地質密度、多孔率、及び岩石組成を決定するために利用される。本実施形態においては、これらの測定値を表す信号は、ワイヤード掘削パイプ又はその他の本願の双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを介して、高速にて、地表に有利に伝送され、地表からの制御信号は、高速にて、精密に、ダウンホールに運ばれる。
【0057】
図11に示した実施形態は、米国特許第5,629,623号に開示されたタイプの装置であって、参照によってここに引用され、パルス化磁気共鳴(NMR)を使用して掘削中に地質評価するが、他のタイプのNMR/LWDツールも、LWDツール120又はLWDツールの組120の一部分として利用できることを理解されたい。’623号特許に開示されているように、ひとつの構成による装置の実施形態は、変更された掘削カラーを備え、セラミック絶縁体で充填された軸線溝部又はスロット1150を有し、RFアンテナ1126を収容し、非磁性カバー1146によって保護され、パルス化されたRF電磁エネルギーを発生し及び受信する。RFアンテナの導体は、片端で掘削カラーに接地される。他端においては、導体は、圧力フィードスルー1152及び1153を介して、RF変圧器1156に結合される。変圧器1156は、直径上の反対側にあるRF導体における電流の間に、180度の位相差を保つ。円筒形の磁石1122は、地質内に静的な磁場を生成する。また、RFアンテナは、掘削カラー自体が、振動するRF磁場を生成するように配置しても良い。振動するRF磁場は、地質中の物質の核を励起し、軸線方向に対称的で、掘削ストリングの回転中の測定を容易にする。本実施形態においては、これらの測定値を表す信号は、ワイヤード掘削パイプ又はその他の本願の双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを介して、高速にて、地表に有利に伝送され、地表からの制御信号は、高速にて、精密に、ダウンホールに運ばれる。
【0058】
図12は、参照によってここに引用される米国特許第6,986,282号に開示されたタイプのロギング装置を簡略化した模式図であって、掘削作業中に、環状圧力、地質圧力、及び多孔圧力を含む、ダウンホール圧力を決定するが、他のタイプの圧力測定LWDツールも、LWDツール120又はLWDツールの組120の一部分として利用できることを理解されたい。装置は、変更された安定装置のカラー1200に形成され、掘削流体のための通路1215を延通させて有している。ツールを通る流体の流れは、内圧Pを発生させる。掘削カラーの外部は、周囲の井戸のボア孔の環状圧力PAに曝されている。内圧P1と環状圧力PAとの間の差圧δPは、圧力組立体を動かすのに使用される。2つの代表的な圧力測定組立体は、符号1210a及び1210bにて示され、それぞれ、安定装置のブレードに取り付けられる。圧力組立体1210aは、ボア孔内の環状圧力を監視し、及び/又は、井戸のボア孔の壁に係合するように配置されたとき、周囲の地質の圧力を監視するために使用される。図12においては、圧力組立体1210aは、ボア孔の壁1201と非係合であり、従って、望むならば、環状圧力を測定する。ボア孔の壁1201と係合するように動いたときには、圧力組立体1210aは、周囲の地質の多孔圧力を測定するために使用される。また、図12に示すように、圧力組立体1210bは、液圧制御1225を用いて、安定装置のブレード1214から延長可能になっていて、周囲の地質の測定値を得るために、泥ケーキ1205及び/又はボア孔の壁1201と密封係合する。上に参照した、米国特許第6,986,282号は、更なる詳細について参照される。回路(この図には図示せず)は、圧力を表す信号を、プロセッサ/制御装置に結合し、その出力は、遠隔測定回路と結合可能であり、遠隔測定回路は、従来技術においては、泥パルスを変調し、本願におけるシステムの実施形態においては、掘削ストリング遠隔測定システムの搬送波を変調する。本実施形態においては、これらの測定値を表す信号は、ワイヤード掘削パイプ又はその他の本願の双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを介して、高速にて、地表に有利に伝送され、地表からの制御信号は、高速にて、精密に、ダウンホールに運ばれる。
【0059】
最近開示された技術は、ワイヤラインから吊下可能な設備を採用し、補助的なボア孔の精密な横方向の掘削を行い、ロック機構を用い、拡張及び収縮機構と、電気モータと横方向の掘削シャフトと、容積型ポンプと、掘削ビットとを用いている。ポンプを使用して、横方向のボア孔内に流体を循環させ、掘削切断を明瞭にする。PCTの国際公報第WO2004/072437号、PCTの国際公報第WO2005/071208号、PCTの国際公報第WO2006/010877号、米国特許公開公報第2005/0252688号が参照され、すべてがここに引用される。本願の実施形態においては、精密な横方向の掘削ツールは、掘削ストリング遠隔測定システムと関連して、掘削ストリングに使用される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明による方法の実施形態の実施に使用できる、本発明の実施形態に従ったシステムを、一部分を模式的に、一部分をブロック図にて示した模式図である。
【図2A】本発明による実施形態と関連して使用できるタイプの無線式のトランシーバー・サブシステムの電子回路を示したブロック図である。
【図2B】無線式のトランシーバーを利用する地表インターフェースを、一部分を断面図にて、一部分をブロック図にて示した模式図であって、電子回路及びアンテナが掘削ストリングに取り付けられている。
【図3】誘導結合されたワイヤード掘削パイプの断面図であって、米国特許第6,641,434号に開示されており、本発明の実施形態に採用される、掘削ストリング遠隔測定システムの少なくとも一部分として使用できるものを示している。
【図4】図3における対向する対をなす電流ループ誘導結合要素について、一部分を破断して示した斜視図である。
【図5A】図4における対向する対をなす電流ループ誘導結合要素を示した断面図であって、作業パイプストリングの一部分として互いにロックされ、両方のコアを取り囲む、閉じられた高い導電性の低い透磁率をもった環状経路の断面図を含んでいる。
【図5B】図5Aにおける電流ループ誘導結合要素の電磁要素の取り付けについて、より詳細に示した拡大断面図である。
【図5C】図5Bのボックス端の電流ループ誘導結合要素を、一部分を破断して示した斜視図であって、コイルと内部電気ケーブルの詳細を示している。
【図6】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの地質抵抗ロギング装置を示した模式図である。
【図7】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの方向抵抗装置を示した模式図である。
【図8】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの音響ロギング装置を示した模式図である。
【図9A】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの地震ロギング装置を示した模式図である。
【図9B】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの地震ロギング装置を示した模式図である。
【図9C】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの地震ロギング装置を示した模式図である。
【図9D】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの地震ロギング装置を示した模式図である。
【図10】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの核ロギング装置を示した模式図である。
【図11】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの核磁気共鳴ロギング装置を示した模式図である。
【図12】本発明の方法及びシステムの実施形態において、掘削中ロギング(LWD)装置として、または、一組のLWD装置の一部分として、利用できるタイプの圧力測定ロギング装置を示した模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面にボア孔を掘削する作業に使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリングと、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体はその下端に掘削ビットを具備し、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得する方法が、
孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階であって、前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体にて測定された状態を表す測定データを生成するような上記段階と、
アップホール・プロセッサ・システムを地表に提供する段階と、
前記少なくともひとつの測定装置に結合され、前記アップホール・プロセッサ・システムに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階と、
前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記測定装置から、前記アップホール・プロセッサ・システムへ、前記データを伝送する段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記孔底組立体にて測定された状態は、孔底組立体を取り囲む地質についての測定された特性であり、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する前記段階は、孔底組立体における装置の掘削中のロギングを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
装置の掘削中のロギングを提供する前記段階は、抵抗測定装置、方向抵抗測定装置、音響測定装置、核測定装置、核磁気共鳴測定装置、圧力測定装置、地震測定装置、撮像装置、及び地質サンプリング装置からなるグループから選択された装置を提供する段階を備えていることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記孔底組立体にて測定された状態は、測定された掘削特性であり、孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する前記段階は、孔底組立体における装置の掘削中の測定を提供する段階を備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
装置の掘削中の測定を提供する前記段階は、ビットの重さ測定装置、トルク測定装置、振動測定装置、衝撃測定装置、棒のスリップ測定装置、方向測定装置、及び傾斜測定装置からなるグループから選択された装置を提供する段階を備えていることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する前記段階は、孔底組立体に複数の測定装置を提供する段階を備え、前記複数の測定装置は、孔底組立体における複数の状態を表す測定データを生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項9】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、掘削ストリングの少なくとも一部分に、ワイヤード掘削パイプを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくともひとつの測定装置に結合され、前記アップホール・プロセッサに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記アップホール・プロセッサとの間に、無線式の結合を提供する段階を備えていることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
アップホール・プロセッサ・システムを提供する前記段階は、掘削リグの略近傍の位置に、前記アップホール・プロセッサ・システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
アップホール・プロセッサ・システムを提供する前記段階は、前記掘削リグから離れた位置に、前記アップホール・プロセッサ・システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記掘削ストリング遠隔測定システムは、複数の異なるタイプの遠隔測定媒体を具備してなる、ハイブリッド遠隔測定システムであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
ハイブリッド掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、ワイヤード掘削パイプの一部分を具備し、電気ケーブル媒体と、光ケーブル媒体と、無線伝送媒体とからなるグループから選択された遠隔測定媒体の少なくとも一部分を具備してなる、ハイブリッド遠隔測定システムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、結合された掘削パイプとして、ストリングの少なくとも一部分を提供する段階を備え、それぞれの掘削パイプは、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するピン端部と、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するボックス端部と、前記ピン及びボックス端部の誘導結合器の間に結合された少なくともひとつの導体とを備え、隣接する掘削パイプは、それらに結合されたピンとボックスの端部にて誘導的に結合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、掘削パイプの間のジョイントに、少なくともひとつのリピーターサブシステムを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ストリングの少なくとも一部分を提供する前記段階は、リピーター無しに、前記結合された掘削パイプの約2000フィートよりも長いような、前記一部分を提供する段階を備えていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、約500kHzよりも低い周波数を有する搬送波に乗せて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、約500kHzよりも低い周波数を有する搬送波に乗せて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、少なくとも100ビット/秒の速度にて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、少なくとも100ビット/秒の速度にて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、少なくとも100ビット/秒の速度にて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
地表のプロセッサにて制御信号を生成する段階をさらに備え、前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記制御信号を孔底組立体へ伝送することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項25】
地表のプロセッサにて制御信号を生成する段階をさらに備え、前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記制御信号を孔底組立体へ伝送することを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項26】
地表のプロセッサにて制御信号を生成する段階をさらに備え、前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記制御信号を孔底組立体へ伝送することを特徴とする請求項9に記載の方法。
【請求項27】
前記孔底組立体は方向掘削サブシステムを具備し、地表のプロセッサにて制御信号を生成する前記段階は、操縦制御信号を生成する段階を備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項28】
地表のプロセッサにて制御信号を生成する前記段階は、前記測定データに応答して制御信号を生成する段階を備えていることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記制御信号を前記孔底組立体へ伝送する前記段階は、前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、実質的にリアルタイムにて、前記制御信号を前記孔底組立体へ伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記方向掘削サブシステムは、回転操縦可能システムを備え、地表のプロセッサにて制御信号を生成する前記段階は、前記回転操縦可能システムのために、操縦制御信号を生成する段階を備えていることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項31】
制御信号を生成する前記段階は、孔底組立体の測定された深さの関数である、信号を生成する段階を具備していることを特徴とする請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方向掘削サブシステムは、電気的な横方向掘削ツールを備え、地表のプロセッサにて制御信号を生成する前記段階は、前記電気的な横方向掘削ツールのために、操縦制御信号を生成する段階を備えていることを特徴とする請求項27に記載の方法。
【請求項33】
前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間に地表インターフェースを提供する段階と、前記地表インターフェースに関連した地表測定センサを提供する段階とをさらに備え、前記地表測定センサは、温度センサ、圧力センサ、泥流センサ、雑音センサ、振動センサ、トルクセンサ、加速度センサ、及び回転センサからなるグループから選択された少なくともひとつのセンサから構成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項34】
掘削ストリングにおけるワイヤード掘削パイプ部分に少なくともひとつのダウンホールセンサを提供する段階をさらに備え、前記少なくともひとつのセンサは、ワイヤード掘削パイプを介して、アップホール・プロセッサと通信することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項35】
掘削ストリングのワイヤード掘削パイプにおける異なる位置に複数の分配されたダウンホールセンサを提供する段階をさらに備え、前記センサは、前記ワイヤード掘削パイプを介して、前記アップホール・プロセッサと通信することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項36】
前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間に地表インターフェースを提供する段階をさらに備え、前記地表インターフェースは回転スイベルを具備し、回転する掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサに結合された回転しない要素との間にて、電気信号を双方向的に接続することを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項37】
前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間に地表インターフェースを提供する段階をさらに備え、前記地表インターフェースは回転スイベルを具備し、回転する掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサに結合された回転しない要素との間にて、電気信号を双方向的に接続することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項38】
前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間に地表インターフェースを提供する段階をさらに備え、前記地表インターフェースは、回転する掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間にて、電気信号を双方向的に接続する無線式のリンクを具備していることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項39】
前記掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間に地表インターフェースを提供する段階をさらに備え、前記地表インターフェースは、回転する掘削ストリング遠隔測定システムと前記地表のプロセッサとの間にて、電気信号を双方向的に接続する無線式のリンクを具備していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項40】
掘削される地質に対してボア孔が負の差圧に維持されるような、地面にボア孔を釣合下にて掘削する作業に使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリングと、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体はその下端に掘削ビットを具備し、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得する方法が、
孔底組立体に少なくともひとつの測定装置を提供する段階であって、前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体にて測定された状態を表す測定データを生成するような上記段階と、
アップホール・プロセッサ・システムを地表に提供する段階と、
前記少なくともひとつの測定装置に結合され、前記アップホール・プロセッサ・システムに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階と、
前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記測定装置から、前記アップホール・プロセッサ・システムへ、前記データを伝送する段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項41】
地面にボア孔を掘削する作業に使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリングと、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体はその下端に掘削ビットを具備し、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得する装置が、
孔底組立体における少なくともひとつの測定装置であって、前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体にて測定された状態を表す測定データを生成するような上記測定装置と、
地表にあるアップホール・プロセッサ・システムと、
前記少なくともひとつの測定装置に結合され、前記アップホール・プロセッサ・システムに結合された、掘削ストリング遠隔測定システムと、
前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記測定装置から、前記アップホール・プロセッサ・システムへ、前記データを伝送するトランスミッタと、
を備えていることを特徴とする装置。
【請求項42】
前記孔底組立体にて測定された状態は、孔底組立体を取り囲む地質についての測定された特性であり、孔底組立体における前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体における装置の掘削中のロギングを備えていることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
装置の掘削中の前記ロギングは、抵抗測定装置、方向抵抗測定装置、音響測定装置、核測定装置、核磁気共鳴測定装置、圧力測定装置、地震測定装置、撮像装置、及び地質サンプリング装置からなるグループから選択された装置を備えていることを特徴とする請求項42に記載の装置。
【請求項44】
前記孔底組立体にて測定された状態は、測定された掘削特性であり、孔底組立体における前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体における装置の掘削中の測定を備えていることを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項45】
装置の掘削中の前記測定は、ビットの重さ測定装置、トルク測定装置、振動測定装置、衝撃測定装置、棒のスリップ測定装置、方向測定装置、及び傾斜測定装置からなるグループから選択された装置を備えていることを特徴とする請求項44に記載の装置。
【請求項46】
孔底組立体における前記少なくともひとつの測定装置は、孔底組立体における複数の測定装置を備え、前記複数の測定装置は、孔底組立体における複数の状態を表す測定データを生成することを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項47】
地面にボア孔を掘削する作業に使用するための、掘削リグと、その略上端が掘削リグに機械的に結合可能であり、掘削リグから吊下可能であるような掘削ストリングと、掘削ストリングの下端に隣接した孔底組立体とを備え、孔底組立体は操縦可能な掘削サブシステムとその下端の掘削ビットを具備し、孔底組立体にて検出された少なくともひとつのパラメータについての情報を取得し、前記操縦可能なモータサブシステムを制御する方法が、
孔底組立体に方向抵抗ツールを提供する段階であって、前記方向抵抗ツールは、孔底組立体の領域における方向地質抵抗を表す測定データを生成するような上記段階と、
アップホール・プロセッサ・システムを地表に提供する段階と、
前記方向抵抗ツールと前記アップホール・プロセッサ・システムとの間に結合された、双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを提供する段階と、
前記双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記方向抵抗ツールから、前記アップホール・プロセッサ・システムへ、前記測定データを伝送する段階と、
前記プロセッサ・システムから、前記双方向の掘削ストリング遠隔測定システムを介して、前記孔底組立体の操縦可能な掘削サブシステムへ、制御信号を伝送する段階と、
を備えていることを特徴とする方法。
【請求項48】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、掘削ストリングの少なくとも一部分にワイヤード掘削パイプを提供する段階を備えていることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
掘削ストリング遠隔測定システムを提供する前記段階は、結合された掘削パイプとして、ストリングの少なくとも一部分を提供する段階を備え、それぞれの掘削パイプは、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するピン端部と、導電リングを備えてなる誘導結合器を有するボックス端部と、前記ピン及びボックス端部の誘導結合器の間に結合された少なくともひとつの導体とを備え、隣接する掘削パイプは、それらに結合されたピンとボックスの端部にて誘導的に結合されることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、約500kHzよりも低い周波数を有する搬送波に乗せて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記ストリングの少なくとも一部分を介して前記データを伝送する前記段階は、少なくとも100ビット/秒の速度にて、前記データを伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記制御信号を前記孔底組立体へ伝送する前記段階は、前記掘削ストリング遠隔測定システムを介して、実質的にリアルタイムにて、前記制御信号を前記孔底組立体へ伝送する段階を備えていることを特徴とする請求項48に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2009−503308(P2009−503308A)
【公表日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−525227(P2008−525227)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【国際出願番号】PCT/US2006/030460
【国際公開番号】WO2007/019319
【国際公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
2.ZIGBEE
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited