説明

測定変換器の出力信号を処理する方法、および力測定デバイス

【課題】力測定デバイス、特に秤における測定変換器の出力信号を処理する方法であって、特に秤量荷重の変化により引き起こされる不要な信号成分を除去する方法を提供すること。
【解決手段】測定信号(ms)は、秤量荷重の変化の発生に関して監視され、荷重変化が検出された後、フィルタ(113、133)の少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)は、リセットされ、その後、所定の時間プロファイルf(t)に従って時間の関数として変化され、それにより、フィルタ(113、133)は、荷重変化が検出された後開かれ、その後、再び、少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)の終了値(x)により決定された事前定義済みフィルタ特性が得られるところまで閉じられる。この方法を使用することにより、単純な方策により、荷重変化が発生した後、力測定デバイス(1)の著しく短縮された過渡整定時間を実現することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定変換器の出力信号を処理する方法に関するものであり、また、それぞれ請求項1および9の包括的な部分で規定されているように、前記方法に従って動作し、出力信号が前記方法に従って処理される測定変換器を備える、力測定デバイス、特に秤に関する。
【背景技術】
【0002】
電磁力補償または歪みゲージ技術(参考文献[1]「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月、14〜15頁を参照)の原理に基づく力測定デバイス、例えば、秤の測定精度は、多数の影響因子により決定されるが、これについては[2]「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月で説明されている。
【0003】
特に望ましくないのは、振動または衝撃などの機械的因子により引き起こされる外乱であるが、それは、既にアナログ信号処理を使用する秤は、信号内の外乱を除去するために使用されるフィルタを備えているからである。
【0004】
参考文献[3]、CH 673 529 A5では、秤量セルによって生成され、信号線を通じてアナログ/デジタルコンバータに送信されるDC信号に重ね合わせた不要なAC成分の形態の信号外乱を抑制するように設計されたアクティブローパスフィルタを備える秤を開示している。不要な信号成分は、秤量セルの信号出力端子で信号線からタップオフされ、その位相は、インバータにより180°変えられ、変換されたAC外乱成分は、アナログ/デジタルコンバータの入力端子で信号リードにフィードバックされ、そこでは、信号リード自体は、上述のタップオフノードとフィードバックノードとの間でオーム抵抗を有する。したがって、外乱信号成分は、逆位相の信号成分のマッチングによりキャンセルされる。
【0005】
参考文献[4]、DE 10024986A1では、秤量変換器の出力信号のDC成分が、ローパス特性を有するフィルタを使って決定され、秤量結果は、フィルタ処理されたDC成分から決定されるデジタル信号処理ユニットを備える電子式秤量変換器を説明している。それと同時に、衝撃および振動依存信号が決定され、後者に応じて、測定信号のDC成分が変更される。
【0006】
参考文献[4]によると、前述の概念は、[5]米国特許第5,665,941号で開示されている解決方法で生じる欠点を回避する。[5]によれば、差動投薬用秤におけるローパスフィルタの時定数は、信号内の外乱成分に応じて変えられる。この構成では、外乱が大きい場合にローパスフィルタの時定数を長くして、フィルタ効果を強める。しかし、[4]で述べられているように、参考文献[5]で説明されている概念により、秤量変換器は、変化に対し緩慢に反応するが、その一方で、測定の再現性をごくわずか高めるだけである。選択された時定数が大きすぎる場合、これにより、さらに、秤量荷重の変化に伴う過渡振動の整定時間が長くなる。
【0007】
前記方法を使用できる他の方法とともに秤は、参考文献[6]米国特許出願第2004/0088342A1号、および[7]米国特許第6,271,484B1号で説明されており、測定変換器により生成される信号は、可変デジタルフィルタを使って処理される。
【0008】
[6]で説明されている方法では、使用されるフィルタの特性は、この方法により制御されている測定システムの振動特性に個別に適応させることができる。したがって、フィルタの減衰は、選択された周波数範囲内で所望の任意の度数に上げることができる。
【0009】
[7]で説明されている方法によれば、振動関連信号外乱の振幅が許容範囲内にあるかどうかに関する検定が行われる。これがその場合でなければ、フィルタ特性は、信号外乱が許容範囲内に再び入るまで変更される。
【0010】
特に、最後に説明した方法は、高い計算能力を必要とし、サーボループの時定数のせいで、振動および発振の高速な振幅変化に、発生するやいなや十分速く適応することはほとんどできない。
【0011】
しかし、秤量荷重の変化とともに発生する素早く変化する振幅の発振は、既存の解決策では不十分にしか補正されず、そのような解決策のいくつかは、秤量荷重の変化後に過渡振動の短い整定時間を実現するための同時の要件がある場合に、非常に複雑で費用がかかる。以前に実施された解決策では、ほとんどの場合、一方で最長の応答時間と組み合わせた振動外乱の最強減衰と他方で最短の応答時間と組み合わせた振動外乱の最弱減衰との間に妥協点を見いだすことが目的であったため、応答時間に関してだけでなく、信号の外乱のフィルタ処理に関してもこれまでに得られた結果はどれも、最も厳格な要件を満たすのに十分よい結果であるとはいえなかった。
【非特許文献1】「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月、14〜15頁
【非特許文献2】「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月
【特許文献1】CH 673 529 A5
【特許文献2】DE 10024986A1
【特許文献3】米国特許第5,665,941号
【特許文献4】米国特許出願第2004/0088342A1号
【特許文献5】米国特許第6,271,484B1号
【非特許文献3】U.Tietze、Ch.Schenk、「Halbleiterschaltungstechnik」(Semiconductor Circuit Design)、11th edition、1st reprint、Springer Verlag、Berlin 1999年、第21章
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、本発明は、測定変換器の出力信号を処理する改善された方法を実現することを目的とするだけでなく、さらに本発明の方法により動作する力測定デバイスを実現することも目的とする。
【0013】
特に、単純な方策を通じて、測定変換器の出力信号の最適な程度のフィルタ処理および同時に、力測定デバイスの過渡振動の最小整定時間を得ることを可能にする方法を実現することを目的とする。
【0014】
この方法は、さらに、秤量荷重の変化とともに生じる過渡振動に関してだけでなく、荷重変化に関連するもの以外の信号外乱に関して、使用されている1つまたは複数のフィルタのフィルタパラメータを最適化できることも可能にするであろう。
【0015】
本発明による力測定デバイスは、さらに、その設計の単純さだけでなくそのパラメータ設定の調整の単純さで最先端技術と区別されるであろう。
前記目的は、それぞれ請求項1および請求項9で指定されている特徴を備える方法および力測定デバイスにより満たされる。本発明の有利なさらに発展した実施形態は、他の請求項で規定される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明による方法は、力測定デバイス、特に秤内の測定変換器の出力信号を処理するために使用され、測定変換器は、力測定デバイスに作用する荷重を表す測定信号を発生する。信号は、可変アナログフィルタで、および/または−アナログ/デジタルコンバータで処理した後−可変デジタルフィルタで、フィルタ処理され、外乱、特に秤量荷重内の変化により引き起こされる不要な信号成分を除去する。
【0017】
本発明によれば、測定信号は、秤量荷重の変化の発生に関して監視される。荷重変化が検出された後、フィルタの少なくとも1つのフィルタパラメータがリセットされ、その後、所定のプロファイルに従う、好ましくは指数関数に従う、時間の関数として変化する。そのため、荷重変化が検出された場合、フィルタはまず開かれ、その後、再び、少なくとも1つのフィルタパラメータの終了値により決定される所定のフィルタ特性に到達したところまで閉じられる。
【0018】
荷重変化を検出した後フィルタを好ましくは完全開状態(伝達関数G(z)=1)に設定することにより、秤量荷重の変化に速やかに追随できる。所定のフィルタ特性に到達するまでフィルタをその後閉じることによって、信号外乱、特に荷重変化により引き起こされる振動の事実上最適な抑制が達成される。全体として、荷重変化の後の過渡振動の整定時間は、したがって、大幅に短縮される。フィルタパラメータの終了値を適切に選択することで、さらに、測定システムの過渡的整定フェーズの後にも測定信号に対し最適なフィルタ処理が必ず行われるようになる。そのため、本発明による方法を使用することにより、結果として、過渡振動の最短整定時間、およびそれと同時に、信号外乱の最適な減衰が、何ら妥協を受け入れることなく得られる。したがって、本発明は、荷重変化に対する高速応答および短時間の整定フェーズが要求される投薬用秤およびチェック秤量用秤において都合よく使用することができ、その一方で、高精度秤でも都合よく使用することもできる。
【0019】
本発明による方法は、アナログ信号処理段でも使用できるが、アプリケーションは主に、デジタル信号処理の分野にある。デジタルフィルタは、[8]、U.Tietze、Ch.Schenk、「Halbleiterschaltungstechnik」(Semiconductor Circuit Design)、11th edition、1st reprint、Springer Verlag、Berlin 1999年、第21章で説明されている。シグナルプロセッサを使ってIIRフィルタを実現する好ましい実施方法に関しては、参考文献[8]、第21章7.2節、1181〜1184頁を参照のこと。
【0020】
荷重変化が検出され、フィルタパラメータがリセットされた後に使用されるクロージャー関数の好ましくは指数関数的な時間プロファイルは、通常、力測定デバイスのメーカーによって指定されるが、力測定デバイスが運用されるようになった後、最適化手順を使って連続的に最適化することもできる。
【0021】
クロージャー関数は、好ましくは、フィルタの過渡的整定時間、フィルタの入力側で予想されるノイズレベルとともに、力測定デバイスの分解能から導かれる。
そのため、クロージャー関数は、荷重変化が発生した後に実際に生じる外乱には依存しないが、外乱の予想時間プロファイルには依存する。しかし、実際に発生する過渡振動は、指数関数的に規則正しく整定し落ち着くので、外乱の予想プロファイルおよびしたがって選択されたクロージャー関数は、最適な形で実際の状況に呼応する。
【0022】
したがって、クロージャー関数を使用すると、フィルタは事実上最適な形で過渡振動の性質に適応し、使用しなければ必要になるであろう計算活動が大幅に不要になることが、特に有利である。
【0023】
したがって、本発明による解決策は、クロージャー関数が主に実際に発生する外乱に依存して設定される解決策と基本的に異なり、この場合には、例えば、外乱の大きさが測定されるか([7]を参照)、または外乱の周波数範囲が、例えば、FFT(高速フーリエ変換)を使って決定され、フィルタパラメータが最適化される。この最適化は、本発明による方法でよい測定結果を得るためには必要でないが、本発明の好ましい実施形態における付加的機能として使用することができる。この場合、クロージャー関数または既によい結果を与えているフィルタパラメータrの終了値をさらに最適化できる。例えば、FIRフィルタのゼロは、外乱が見つかった周波数に設定することもできる。
【0024】
デジタルフィルタは、好ましくは1つのフィルタ段に構成された再帰的または非再帰的n次フィルタ、好ましくはIIRフィルタ(例えば、8次)または秤量荷重の変化を検出するために使用される個別に割り当てた検出器モジュールだけでなくクロージャー関数のプロファイルに対応するフィルタパラメータの値を生成するために使用される生成器モジュールを備えるFIRフィルタである。
【0025】
参考文献[8]の第21章8節、1184頁および1185頁では、FIRフィルタとIIRフィルタとの比較が示されている。図21.53からわかるように、FIRフィルタは、IIRフィルタで必要とされる次数の2倍以上高い次数である必要がある。したがって、少なくとも1つのn次IIRフィルタを使用することが好ましい。しかし、高次フィルタに対するフィルタパラメータの計算は、比較的厳しいタスクを課すことを念頭におくべきである。
【0026】
このような理由から、本発明の他の好ましい実施形態では、複数のディスクリートフィルタ段が使用され、それぞれ1次フィルタを有し、フィルタの帯域幅は好ましくは対数分布し、単一系列で接続され、それにより、測定信号は、すべてのフィルタ段で順次処理され、秤量荷重の変化がフィルタ段の1つで検出されると、これは他のフィルタ段に信号で伝えられる。したがって、フィルタ段はそれぞれ、適宜適応されたクロージャー関数およびフィルタパラメータの個別の終了値を与えられる。
【0027】
この方策の結果として、フィルタパラメータの数が著しく少なくなり、さらに、計算および変更がしやすくなる。
秤量荷重の変化が検出された場合、測定信号の出入りに使用されるフィルタ段の入力および出力端子は、少なくとも1つの測定期間に、互いに接続されるのが好ましく、それにより、測定信号は処理されることなくフィルタ段を通過し、ディスプレイは荷重変化に速やかに追随できる。
【0028】
本発明による方法を実施するうえで、荷重変化が早期に確実に検出されることが特に重要である。
好ましい一実施形態では、検出器モジュールの測定信号またはその時間微分は、好ましくはデリミタモジュールを使って第1の積分器モジュールに送られ、インバータモジュールを使って第2の積分器モジュールに送られ、その後、積分器モジュールの出力側に出る結果信号が比較器モジュールの閾値と比較される。閾値を超えた後、生成器モジュールおよび好ましくはさらに検出器モジュールはリセットされる。この構成では、第1の積分器モジュールは、荷重の増加を検出するために使用され、第2の積分器モジュールは、荷重の低下を検出するために使用される。
【0029】
測定信号の時間微分および好ましくはドリフト補償信号を積分器モジュールに入力すると、その結果、積分器モジュールの出力信号は、秤量荷重の変化もある場合にのみ変化する。
【0030】
生成器モジュールをリセットすると、上で説明したフィルタパラメータの変化が引き起こされる。検出器モジュールをリセットすると、必要な条件が生じ、変更された荷重を新しい出発点とし、積分器モジュールは他の荷重変化を正しく登録することができる。
【0031】
さらに、測定信号の時間微分のゼロ交差間の間隔を閾値と比較することにより秤量荷重の変化を検出することが可能であるが、それは、荷重変化は信号の微分の中に互いの距離が荷重変化の大きさに依存するゼロ交差を2つ有する半波として出現するからである。しかし、外乱があるため2つのゼロ交差の間にさらにゼロ交差がある場合、この解決策には、荷重変化が認識されないというリスクが伴う。
【0032】
本発明の他の好ましい実施形態では、力測定デバイスの上述の最適化は、クロージャー関数および/またはフィルタパラメータの終了値のステップ毎の変化により、また少なくとも1つの格納されている信号プロファイルに基づいて変化の結果として生じる効果を決定することにより、達成することができ、その後、それぞれ荷重変化の後に最短振動制定時間が見つかり、力測定デバイスの過渡整定フェーズの後に最低ノイズレベルが見つかったそのクロージャー関数プロファイルおよび信号パラメータ終了値は、その後の信号処理のために保持される。再びここで、本発明による方法を使用すると、フィルタパラメータの個数を減らしたフィルタ構造の単純な設計のため、力測定デバイスの最適化も、より容易に、より高速に実行することができることに留意されたい。
【0033】
可変フィルタに加えて、さらに、固定フィルタを使用して、可変n次フィルタまたはカスケード式低次可変フィルタの伝達関数がリセットされる場合に測定信号の所望の最低限のフィルタ処理を実行するようにできる。既に述べたように、カスケード式可変フィルタは、さらに、再帰的および/または非再帰的フィルタで構成することができる。再帰的信号部分を減らし、したがってフィルタカスケードの出力信号を安定させるために使用される少なくとも1つの非再帰的フィルタが直列に続く再帰的フィルタを含むフィルタカスケードを使用することは特に有利である。
【0034】
本発明は、図面を参照しつつ以下で詳しく説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
図1は、測定信号msの時間プロファイルに著しい影響を及ぼす記号で示されている外部影響因子dおよびdを含む一実施例として示されている本発明による秤1を示す。信号の時間プロファイルは、一方で、秤量荷重の変化dの関数として変化する。信号プロファイルは、さらに、振動および衝撃などの機械的影響因子dに応じて変化し、それにより、秤の一部、特に測定変換器またはその一部は、振動を引き起こされうる。秤に作用する荷重の変化dが既に生じている後であっても、機械的外乱の結果、毎回、使用可能な信号に重ね合わされる過渡振動が生じる。したがって、秤1の信号処理ユニットは、振動、衝撃、および荷重変化により引き起こされる信号の不要部分から可能な最良で最高速の方法で秤量荷重を表す信号のその部分を分離するタスクを有する。これは、短い時間間隔で荷重変化が互いに追随する秤では特に重要である。特に、測定分解能の高い秤では、過渡振動の減衰後にノイズが十分に低減されることがさらに必要である。
【0036】
図2は、アナログ信号(図面ではmsAFとして示されているフィルタ処理された信号)を処理するために使用される第1の信号処理ユニット11を使って秤量荷重を表すアナログ測定信号msをアナログ/デジタルコンバータ12に送信する、測定変換器10を備える図1の秤のブロック図を一実施例として示している。アナログ/デジタルコンバータ12は、2値化された測定信号msを、デジタル信号を処理するために使用される第2の信号処理ユニット13に送る。第2の信号処理ユニット13から、フィルタ処理されたデジタル測定信号msDFは、キーボード19および測定結果が表示されるインジケータ18、例えば、液晶ディスプレイに接続されたプロセッサ16に送信される。
【0037】
信号処理ユニット11、13は、第1の制御線を通じて荷重変化を知らせるために使用される検出信号SDETをプロセッサ16に送信し、プロセッサは検出信号sDETを受信した後、リセット信号sRSTを信号処理ユニット11、13に戻し、それにより、信号処理ユニット内のフィルタ113、133は、開かれ、その後再び少なくとも1つのクロージャー関数f(t)の時間プロファイルに応じて閉じられる。
【0038】
荷重変化が検出された後、フィルタを好ましくは完全に開いている状態にする方策では、高速応答で荷重変化に追随することができる。その後、フィルタ113、133を、意図されたフィルタ特性、例えば帯域幅の小さいローパス特性が得られるところまで閉じることにより、信号外乱、特に荷重変化とともに後から生じる信号外乱により引き起こされる振動に対する最適な抑制が達成される。
【0039】
図3は、より一般的な形態で図2のブロック図を示しており、前記モジュール(プロセッサ、シグナルプロセッサ、ディスクリート回路、またはソフトウェアモジュール)のどれが、本発明の方法を実行するために必要な関数および計算能力を備えるかは未定義のままである。この回路構成では、アナログ信号処理ユニット11の入力側に存在するアナログ測定信号msおよびデジタル信号処理ユニット13の入力側に存在するデジタル測定信号msは、それぞれ、検出器モジュール111および131に送られ、そこで、それぞれの入力信号msおよびmsと閾値thとの比較が行われ、信号がその閾値を超えたことが判明すると、生成器モジュール112または132は、それぞれ、トリガされ(トリガ信号trgにより示される)、それにより、それぞれのフィルタ113、133の少なくとも1つのフィルタパラメータrはリセットされ、その後、与えられたクロージャー関数fc(t)による時間プロファイルにより、変更され、与えられた終了値に戻される。
【0040】
そのため、図3の回路構成では、本発明によりアナログおよび/またはデジタルフィルタ113、133を制御することが可能である。アナログ信号処理ユニット11では、参考文献[8]の第13章、888〜893頁で説明されている種類の調節可能フィルタパラメータとともにアクティブフィルタ113を使用することが優先する。フィルタパラメータの電子制御については、891頁で説明されている。
【0041】
デジタル信号処理ユニット13では、調節可能フィルタパラメータを備えるデジタルフィルタ133は、参考文献[8]の第21章で説明されているように使用される。もちろん、フィルタパラメータの制御は、この解決策では比較的容易に実現することができ、例えば、使用されているシグナルプロセッサのレジスタ内にあるフィルタパラメータをステップ毎に変化させることで行う。
【0042】
参考文献[8]の1133頁によれば、アナログ信号処理からデジタル信号処理に移行する傾向が大きくなってきつつある。参考文献[8]による利点は、精度および再現性の高さだけでなく、外乱の影響の受けにくさの点にも見られる。本明細書で提示している方法では、デジタルフィルタを制御できる単純で正確な方法が特に重要である。
【0043】
したがって、以下では、主にデジタルフィルタを使って実現する方向の観点から本発明を説明する。
デジタルフィルタの設計構造、機能、および特性は、参考文献[8]の第21章で説明されている。デジタルフィルタを備える電子式秤は、例えば、参考文献[6]および[7]で開示されている。シグナルプロセッサを使ってデジタルフィルタを実現する方法は、参考文献[8]、第21章7.2節、1181〜1184頁で説明されている。
【0044】
シグナルプロセッサが使用される場合、これは、本質的にそれ自体がデジタル信号処理ユニット13である。したがって、前述のモジュール、検出器モジュール131、生成器モジュール132、およびフィルタ段130が形成されるフィルタ133は、実装されたソフトウェアモジュールに基づく。
【0045】
参考文献[8]の1157および1158頁に示されているように、所望の周波数応答の改善された近似は、高次フィルタでも可能である。したがって、秤でも、高次フィルタを使用することが好ましい。例えば、8次フィルタ133は、図3のブロック図で使用されており、そこで、生成器モジュール132のフィルタパラメータr1、...、rxは、荷重変化が検出された後、フィルタ133の周波数応答が発生する振動に最適な形で適応するように変化させることができる。
【0046】
これは、フィルタ133は、ただ1つの検出器モジュール131およびただ1つの生成器モジュール132で制御できるという有利な結果を有する。しかし、フィルタパラメータr1、...、rxの決定および個別のクロージャー関数プロファイルfc1(t)からfcx(t)の決定は、その実装とともに、非常に難しい作業である。
【0047】
したがって、本発明のさらに好ましい実施形態では、高次フィルタは、低次のカスケード式部分フィルタ、好ましくは1次フィルタで置き換えられ、それぞれ、検出器モジュール131および生成器モジュール132を割り当てられている。n次のフィルタを形成できる部分フィルタのカスケード接続については、参考文献[8]の1146から1147頁および1174頁で説明されている。
【0048】
図4は、減算器段SUB、加算器段ADD、および乗算器段MPRを備える1次デジタルフィルタ133を示しており、そこでは、フィルタ133は生成器モジュール132と併せてフィルタ段130を形成し、これは、図5および6に示されているように、好ましくは、本発明により制御されるn次フィルタを形成するフィルタ段130、...、130のカスケードの一部である。
【0049】
デジタルフィルタ133の機能は、参考文献[8]の第21章から知られる。乗算器段MPR内に用意され、フィルタ133の伝達関数G(z)を
G(z)=r×z/(z−(1−r))
として定義するフィルタパラメータrは、生成器モジュール132により与えられることに留意されたい。
【0050】
さらに、フィルタパラメータrが値1にリセットされた場合に、伝達関数G(z)も同様に1に等しくなり、フィルタ133は入力信号をフィルタ処理せずに通すことができることに留意されたい。
【0051】
さらに、減算器段SUBの出力側には測定信号の1階微分が存在し、これは検出器モジュール131に送られることに留意されたい。そのため、減算器段SUBの出力信号は、フィルタ段130の入力信号で発生する変化率を示す。変化が荷重変化の結果であるかどうかを判定するために、減算器段SUBの出力信号は、用意されるのが好ましいデリミタモジュールLIMを使って第1の積分器モジュールINT1に、またインバータINVを使って第2の積分器モジュールINT2に送られる。2つの積分器モジュールINT1、INT2のそれぞれの出力信号のうちの大きい方が、モジュールMAXにより選択され、比較器CMPに送られ、そこで、前記信号が閾値THと比較され、閾値を超えた場合にトリガ信号RSTが発行される。
【0052】
トリガ信号RSTは、連続して続く生成器モジュール132を起動し、それにより、生成器モジュールは、時刻t=0のフィルタパラメータrを少なくとも近似的に値1に設定し、その後、t=txでのフィルタパラメータrが終了値xを取るまで与えられたクロージャー関数f(t)に従ってフィルタパラメータを変化させ、次のトリガ信号RSTが届くまでこの値に保持される。さらに、検出器モジュール131(より具体的には、積分器モジュールINT1、INT2)は、他の荷重変化が検出できるようにリセットされる。ドリフト関連偏差を補正するために、ドリフト補償モジュールDCMは、積分器モジュールINT1、INT2の入力端子に接続され、出力信号が秤量荷重一定の下でドリフトするのを防止する。
【0053】
好ましくは、現在存在する信号の累積和(CUSUM)は、再帰的に決定される信号とともに、積分器INT1、INT2において発生する。第1の積分器モジュールINT1は、正の荷重変化を監視するが、第2の積分器モジュールINT2は、負の荷重変化を監視する。
【0054】
前記の方法を使用すると、信号内の小さな変化、つまり小さな荷重変化を素早く正確に決定することができる。
賢明な実践として、他のフィルタ段130、...からの荷重変化検出信号も同様に考慮すべきであり、これは、検出器モジュール131がローカルの比較器CMPとともに他のフィルタ段130、...のトリガ信号RST、RSTINの送り先にできる論理ゲートORを備える理由である。したがって、生成器モジュール132は、論理ゲートORの出力側に存在し、他のフィルタ段130、...に送られる信号により制御される。
【0055】
論理ゲートORの出力側に存在する信号RSTOUTは、さらに、図4で記号により示され、荷重変化が発生した後好ましくは少なくとも1つの測定サイクルTsでフィルタ133をショートするために好ましい実施形態で提示されているスイッチSWを制御する。
【0056】
荷重変化が検出された後に使用されるクロージャー関数f(t)は、フィルタの入力側で生じることが予想できるノイズa(図7を参照)の大きさに依存し、また力測定デバイスの分解能Aにも依存するフィルタの過渡整定時間から好ましくは導かれる。
【0057】
好適なクロージャー関数f(t)は、以下のように求めることができる。ノイズの振幅aおよび秤の分解能Aに基づいて、係数ρを決定する。
ρ=1/(a×A)
測定サイクル時間Tsおよび荷重変化以降の経過時間tiにより、フィルタパラメータrは、好ましくは以下のように選択される。
【0058】
r=1−e[lnρ×(Ts/ti)]、またはr=1−ρ(Ts/ti)
したがって、フィルタパラメータrが受ける変化を記述するクロージャー関数f(t)は、フィルタ133の入力側に存在するノイズの振幅aおよび所望の分解能Aにのみ依存する。クロージャー関数fc(t)の時間プロファイルは、保持される必要がある帯域幅について計算された終了値x(r=x{0<x≦1})に到達するところまでのみ辿られる。係数ρは小さい(ρ<<1、ρ>0)ので、対数lnρは、負の値(例えば、−10)を取り、これは、荷重変化のときに、そのときのTs/tiは約1に等しいので指数[lnρ×(Ts/ti)]の値を決定する。したがって、式1−e[lnρ×(Ts/ti)]は0に近い値を取り、値rは1に近く、その結果、伝達関数は1にほぼ等しい。
【0059】
図5は、併せてn次フィルタを形成し、フィルタパラメータr、...、rを個別に割り当てられている、n個のフィルタ段130、...、130を備える本発明によるデジタル信号処理ユニット13を示している。フィルタ段130、...、130の前述のモジュールは、メモリ1301に格納され、シグナルプロセッサ1300により実行されるソフトウェアプログラムを使って実現される。
【0060】
図6は、フィルタパラメータr、...、rまたはより具体的にはその終了値r1x、...、rnx、およびクロージャー関数fc1(t)、...、fcn(t)を個別に最適化するために使用できる最適化モジュール135で図5のデジタル信号処理ユニット13を示している。
【0061】
以下では、プログラムPOPTを使って実装される最適化モジュール135は、図7に示されている信号プロファイルs−zを参照しつつさらに詳しく説明される。測定システムの過渡整定期間が続いている間、クロージャー関数fc1(t)、...、fcn(t)は主たる関連性を有する。したがって、最適化プログラムPOPTの実行時に、クロージャー関数fc1(t)、...、fcn(t)は、第1の最適化フェーズで、ステップ毎の変化を受け、それぞれのステップで変更されたクロージャー関数は、格納されている信号プロファイルs−zに適用され、その後、減衰過渡信号が第1のウィンドウNLW1の境界内に入る時刻t1を決定する検定が実行される。したがって最短時間t1が登録される検定ステップは、クロージャー関数fc1(t)、...、fcn(t)の信号プロファイルのそれぞれの集合が最適値を表すことを示し、それらのクロージャー関数は、その後、フィルタ段130、...、130で使用される。フィルタパラメータr、...、rの終了値x、...、xは、測定システムの過渡整定フェーズの後に存在する測定信号のノイズレベルについて関連性を有する。したがって、最適化プログラムPOPTの第2の最適化フェーズで、フィルタパラメータr、...、rの終了値x、...、xは、ステップ毎の変化を受け、それぞれのステップで変更された終了値は、格納されている信号プロファイルs−zに適用され、その後、終了値x1、...、xのどの集合で、ノイズ制限第2ウィンドウNLW2が最良の形で閉じられるかを決定する検定が行われる。好ましくは、秤の最適化は、秤1の好ましい動作状態の下で記録された複数の信号プロファイルに基づいて実行される。
【0062】
本発明の方法および本発明の秤1は、好ましい実施形態において説明され例示された。力測定デバイスは、秤1の形態で説明された。しかし、本発明は、場合によっては秤の一部を形成しうる重量測定デバイス、秤量モジュール、ロードセル、および力センサなどの他の力測定デバイスでも使用できる。
【0063】
さらに、本発明の考え方は、アナログ技術またはデジタル技術などの異なる技術と併せて使用することができるか、またはシグナルプロセッサと併用してソフトウェアソリューションとして実現することができることも示された。
【0064】
さらに、本発明は、もちろん、本明細書に記載されているフィルタに限定されず、任意の所望の順序の任意の所望の可変フィルタにより実現することができる。
参考文献
[1]「Bauen Sie Ihre Qualitaet auf solidem Grund!」(Build your Quality on Solid Ground!)、company publication、Mettler Toledo GmbH、2001年1月
[2]「Waegefibel」(Weighing Primer)、Mettler Toledo GmbH、2001年4月 EP 0 945 717 A1
[3]CH 673 529 A5
[4]DE 10024986 A1
[5]米国特許第5,665,941号
[6]米国特許出願第2004/0088342A1号
[7]米国特許第6,271,484B1号
[8]U.Tietze、Ch.Schenk、「Halbleiterschaltungstechnik」(Semiconductor Circuit Design)、11th edition、1st reprint、Springer Verlag、Berlin 1999年
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】測定信号の時間プロファイルにおいて外乱を引き起こす可能性のある記号で示されている影響因子dおよびdを含む一実施例として示されている本発明による秤1を示す図である。
【図2】アナログ信号処理ユニット11およびアナログ/デジタルコンバータ12を使って、デジタル信号処理ユニット13に接続されており、そこから処理済み信号がプロセッサ16に送られ、そこで信号が出力ユニット18に渡される、測定変換器10を使用する図1の秤のブロック図である。
【図3】秤量荷重の変化を検出し、荷重変化が検出された後にクロージャー関数のプロファイルに従ってアナログおよびデジタル信号処理ユニット11、13のフィルタ113、133の特性を変える機能を備える、生成器モジュール112、132を制御するために使用できる、検出器モジュール111、131により補助される、図2のブロック図である。
【図4】荷重変化が生じたときに検出器モジュール131および生成器モジュール132を使って本発明により制御することができる1次IIFフィルタを含むフィルタ段130を示す図である。
【図5】図4による種類のn個のフィルタ段130、...、130を使用する本発明によるデジタル信号処理ユニット13を示す図である。
【図6】フィルタ段130、...、130のフィルタパラメータを最適化するために使用される最適化モジュール135が追加された図5の信号処理ユニット13を示す図である。
【図7】荷重変化が生じた後の測定信号の時間プロファイルを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 秤
10 測定変換器
11 ユニット
12 アナログ/デジタルコンバータ
13 デジタル信号処理ユニット
16 プロセッサ
18 出力ユニット
19 キーボード
111、131 検出器モジュール
112、132 生成器モジュール
113、133 フィルタ
130 フィルタ段
1300 シグナルプロセッサ
1301 メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力測定デバイス(1)、特に秤内の測定変換器(10)の出力信号を処理する方法であって、前記測定変換器(10)は、前記デバイスに作用する荷重を表す測定信号(ms)を発生し、前記測定信号は可変アナログフィルタ(113)で、および/またはアナログ/デジタルコンバータで前記信号が処理された後、可変デジタルフィルタ(133)でフィルタ処理され、これにより前記力測定デバイス(1)に影響を及ぼす外乱、特に前記秤量荷重の変化により引き起こされる不要な信号成分を除去し、
前記測定信号(ms)は、前記秤量荷重の変化の発生に関して監視され、荷重変化が検出された後、前記フィルタ(113、133)の少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)がリセットされ、その後、所定のプロファイルf(t)に従って時間の関数として変更され、それにより、前記フィルタ(113、133)は、荷重変化が検出された後開かれ、その後、再び、前記少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)の終了値(x)により決定される定義済みフィルタ特性が得られるところまで閉じられることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記関数f(t)の前記時間プロファイルは、指数関数により決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタルフィルタ(133)は、1つのフィルタ段(130)に構成された再帰的または非再帰的n次フィルタ、好ましくはIIRフィルタまたは前記秤量荷重の変化を検出するために使用される個別に割り当てられた検出器モジュール(131)を備え、さらに前記クロージャー関数f(t)の前記プロファイルに対応する前記フィルタパラメータ(r)の値を生成するために使用される割り当てられた生成器モジュール(132)を備えるFIRフィルタであることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
それぞれ低次フィルタ(133)、好ましくは1次フィルタを備え、前記フィルタは好ましくは対数分布の帯域幅を有する、複数のディスクリートフィルタ段(130、...、130)は、直列に接続され、それにより、前記測定信号(ms)は、前記フィルタ段(130、...、130)のすべてで順次処理され、前記秤量荷重の変化が前記フィルタ段の1つ(130)で検出されると、これは前記他のフィルタ段(130、...、130)に伝えられることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記秤量荷重の変化が検出された場合、前記測定信号(ms)の前記出入りに使用される前記フィルタ段(130、...、130)の前記入力および出力端子は、好ましくは少なくとも1つの測定期間(T)に、互いに接続され、それにより、前記測定信号(ms)は処理されることなく前記フィルタ段(130、...、130)を通過できることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記検出器モジュール(131)の前記測定信号(ms)またはその時間微分は、好ましくはデリミタモジュール(LIM)を使って第1の積分器モジュール(INT1)に送られ、インバータモジュール(INV)を使って第2の積分器モジュール(INT2)に送られ、その後、前記積分器モジュール(INT1、INT2)の出力側の前記結果出力信号は、比較器モジュール(CMP)の閾値(TH)と比較され、前記閾値を超えた後、前記生成器モジュール(132)および好ましくはさらに前記検出器モジュール(131)はリセットされることを特徴とするか、または前記測定信号(ms)の前記時間微分のゼロ交差の間の間隔が、比較器モジュールの閾値と比較され、前記閾値を超えた後、前記生成器モジュール(132)および好ましくはさらに検出器モジュール(131)がリセットされることを特徴とする請求項3、4、または5に記載の方法。
【請求項7】
荷重変化が検出された後、前記フィルタパラメータ(r)は、前記フィルタ(133)の前記伝達関数G(z)を少なくともほぼ1に等しくする値にリセットされることを特徴とする、および/または前記リセットされたフィルタパラメータ(r)は、前記荷重変化時に存在していた前記ノイズに応じて、また前記力測定デバイス(1)の分解能に応じて、指数関数的に変化するように選択されることを特徴とする請求項3から6の一項に記載の方法。
【請求項8】
前記力測定デバイス(1)の前記最適化について、前記フィルタパラメータ(r)の前記変化を決定する関数f(t)および/または前記フィルタパラメータ(r)の前記終了値(x)は、ステップ毎の変化を受け、前記変化の結果として生じる効果は、少なくとも1つの格納されている信号プロファイル(s−z)に基づいて決定され、その後、前記後続の信号処理について、それぞれ結果として、荷重変化の後に最短の振動整定時間を、また前記力測定デバイス(1)の前記過渡整定フェーズの後に最低のノイズレベルをもたらした前記関数f(t)のそのプロファイルおよび前記信号パラメータ(r)のその終了値(x)が保持されることを特徴とする請求項3から7の一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つのプロセッサ(1300、16)、少なくとも1つの記憶装置ユニット(1301)、および前記デバイスに作用する荷重を表す測定信号(ms)を発生する測定変換器(10)を備え、前記測定信号は、可変アナログフィルタ(113)でフィルタ処理することができ、および/またはアナログ/デジタルコンバータ(12)で処理された後、前記測定信号(ms)は、可変デジタルフィルタ(133)でフィルタ処理することができ、それにより前記力測定デバイス(1)に影響を及ぼす外乱、特に前記秤量荷重の変化により引き起こされる不要な信号成分を除去し、
また前記測定信号(ms、ms、ms)を監視し、前記秤量荷重の変化を検出するように動作可能な少なくとも1つの検出器モジュール(111、131)が備えられ、前記検出器モジュール(111、131)は、前記フィルタ(113、133)の少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)をリセットし、所定の時間プロファイルf(t)に従って時間の関数として前記フィルタパラメータ(r)を変化させるように動作可能な生成器モジュール(112、132)を制御し、それにより、前記フィルタ(113、133)は、荷重変化が検出された後開くことができ、その後、再び、前記少なくとも1つのフィルタパラメータ(r)の終了値(x)により決定される定義済みフィルタ特性が得られるところまで閉じることができることを特徴とする請求項1から8の一項に記載の前記方法を実行するように動作可能な力測定デバイス(1)、特に秤。
【請求項10】
前記関数f(t)の前記時間プロファイルは、指数関数により決定されることを特徴とする請求項9に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項11】
前記デジタルフィルタ(133)は、1つのフィルタ段(130)に構成された再帰的または非再帰的n次フィルタ、好ましくはIIRフィルタ、または前記検出器モジュール(131)および前記生成器モジュール(132)が個々に割り当てられるFIRフィルタであることを特徴とする請求項8、9、または10に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項12】
それぞれ低次フィルタ(133)、好ましくは1次フィルタを備え、前記フィルタは好ましくは対数分布の帯域幅を有する、複数のディスクリートフィルタ段(130、...、130)は、直列に接続され、それにより、前記測定信号(ms)は、前記フィルタ段(130、...、130)のすべてで順次処理することができ、前記秤量荷重の変化が前記フィルタ段の1つ(130)で検出されると、これは少なくとも前記後続のフィルタ段(130、...、130)に直列に伝えることができることを特徴とする請求項11に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項13】
前記検出器モジュール(131)の前記測定信号(ms)またはその時間微分は、好ましくはデリミタモジュール(LIM)を使って第1の積分器モジュール(INT1)に送られ、インバータモジュール(INV)を使って第2の積分器モジュール(INT2)に送ることができ、その後、前記積分器モジュール(INT1、INT2)の出力側の前記結果出力信号は、比較器モジュール(CMP)の閾値(TH)と比較することができ、前記閾値を超えた後、前記生成器モジュール(132)および好ましくはさらに前記検出器モジュール(131)は、リセットできることを特徴とするか、または前記測定信号(ms)の前記時間微分のゼロ交差の間の間隔を、比較器モジュールの閾値と比較することができ、前記閾値を超えた後、前記生成器モジュール(132)および好ましくはさらに前記検出器モジュール(131)をリセットできることを特徴とする請求項11または12に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項14】
荷重変化が検出された後、前記フィルタパラメータ(r)は、前記フィルタ(133)の前記伝達関数G(z)を少なくともほぼ1に等しくする値にリセットできることを特徴とする、および/または前記リセットされたフィルタパラメータ(r)は、前記荷重変化時に存在していた前記ノイズに応じて、また前記力測定デバイス(1)の分解能に応じて、指数関数的に変化するように選択されることを特徴とする請求項9から13の一項に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項15】
前記力測定デバイス(1)を最適化するために使用され、前記フィルタパラメータ(r)の前記変化を決定する関数f(t)および/または前記フィルタパラメータ(r)の前記終了値(x)に対しステップ毎の変化を与え、前記変化の前記結果として生じる効果を少なくとも1つの格納されている信号プロファイル(s−z)に基づいて決定するために使用されるプログラム(POPT)が用意され、その際に、前記後続の信号処理について、それぞれ結果として、荷重変化の後に最短の振動整定時間を、また前記力測定デバイス(1)の前記過渡整定フェーズの後に最低のノイズレベルをもたらした前記関数f(t)のそのプロファイルおよび前記信号パラメータ(r)のその終了値(x)が保持されることを特徴とする請求項9から14の一項に記載の力測定デバイス(1)。
【請求項16】
前記複数のディスクリートフィルタ段(130、...、130)の前記フィルタ(133)は、再帰的および/または非再帰的フィルタであり、および/または前記複数のディスクリートフィルタ段(130、...、130)の前記フィルタ(133)は、少なくとも1つの非再帰的フィルタが直列に後に続く再帰的フィルタを備えるフィルタカスケード形成し、および/または前記測定信号(ms、ms)の前記フィルタ処理に対し、少なくとも1つの非可変アナログまたはデジタルフィルタが追加として用意されることを特徴とする請求項9から15の一項に記載の力測定デバイス(1)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2007−3524(P2007−3524A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−169945(P2006−169945)
【出願日】平成18年6月20日(2006.6.20)
【出願人】(599082218)メトラー−トレド アクチェンゲゼルシャフト (130)
【住所又は居所原語表記】Im Langacher, 8606 Greifensee, Switzerland