説明

測定用アダプタ

【課題】通電端子部に測定用端子を信頼性高く電気的に接続して、安全かつ確実に電圧測定を行うことを可能にする測定用アダプタを提供すること。
【解決手段】電力量計の入力端子に差込プラグ201、202を接続する測定用アダプタ10であって、接続端子台に取り付けるカバープレート11と、入力端子に差込プラグを接続する接続部20とを備えており、カバープレートには収納部12が形成されて差込プラグの差込穴12aが開口しているとともに、その収納部内には、差込プラグ先端を突当接続する突当電極23と、入力端子に先端部を導通接続する接続電極24と、突当電極と接続電極の間を導通させるとともに差込プラグの差込深さに応じた付勢力で接続電極を入力端子に接触させる導通スプリング25と、これら突当電極、接続電極、導通スプリングを収納する内装電極26とが内装されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定用アダプタに関し、詳しくは、外部に露出する通電端子部に測定用端子を安全に接続して電圧等の測定を行い得るようにするものに関する。
【背景技術】
【0002】
各種機器の通電端子部における電圧等を測定(検電)する場合には、その通電端子部に導通する導通端子を予め準備して、その導通端子にワニ口クリップ(測定用端子)を接続して測定器などによる測定を行うことが考えられる。
【0003】
その一方で、例えば、各家庭の負荷装置に電力供給する電源線と、商用電源側からの電源線と、の間に供給電力を計量して課金するために介装する電力量計の場合には、その電源線を入力側と出力側のそれぞれに接続する端子(通電端子部)が配列されている接続端子台が準備されているだけであり、その接続端子に直接ワニ口クリップを接続して商用電源からの供給電力の電圧を測定することが行われている。
【0004】
このように、電力量計における接続端子台は、不用意に接続端子に触れてしまわないように、絶縁カバーが覆うように取り付けられているだけであり、その絶縁カバーには、測定用端子を導通接触させる導通端子が準備されているわけではなく、絶縁カバーを外して接続端子を直接ワニ口クリップで挟んで導通接続するのでは不安定であることから、各種工夫が提案されている。
【0005】
例えば、特許文献1には、絶縁カバーと同様な板部材の接続端子に対応する位置に、表裏を貫通してその接続端子に導通接続させる導通端子を配設する測定用アダプタが記載されており、この測定用アダプタでは、その導通端子を円筒形状に形成することにより、内部側開口内に接続端子のボルトヘッドを収納して導通接続することを可能にするのと同時に、外部側ではワニ口クリップの一方の端子部を円筒内に差し込む状態にして導通接続させることができるようになっている。
【0006】
特許文献2には、箱形状の測定用アダプタが記載されており、この測定用アダプタでは、接続端子にスプリングの弾性力で圧接する接触ピンと、その接触ピンに導通する状態で固設されている導通ピンと、がそのハウジング内に設けられることにより、その箱形状の外面に形成されている開口からワニ口クリップの先端を差し込んで導通ピンを挟むことにより導通接続することができるようになっている。
【0007】
特許文献3には、棚形状の測定用アダプタが記載されており、この測定用アダプタでは、接続端子に圧接する接触ピンと、その接触ピンに導通する状態で棚板となる形態で固設されている導通部材と、が設けられることにより、その導通部材をワニ口クリップで挟んで導通接続するとともに、そのワニ口クリップを蓋部材で押さえるように蓋をして絶縁性を確保することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−176507号公報
【特許文献2】特開2008−180680号公報
【特許文献3】特開2006−300877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、この特許文献1に記載の測定用アダプタにあっては、接続端子に導通して充電部となっている円筒形状の導通端子が表面に露出する状態であることから、測定作業時に感電や短絡事故を起こしてしまう可能性がある。
【0010】
特許文献2に記載の測定用アダプタにあっては、内部に接触ピンと導通ピンを設けるような複雑な構造であることから高価になってしまうとともに、ピン形状の導通ピンをワニ口クリップで挟むことで導通接続することから、その導通接続が不安定になって抜けてしまう可能性がある。
【0011】
特許文献3に記載の測定用アダプタにあっては、ワニ口クリップを快適に接続端子に導通接続することができるが、特許文献1、2に記載のものと共に、差込プラグを差し込む形態でその接続端子に導通接続することはできない。
【0012】
そこで、本発明は、外部に露出する通電端子部に差込プラグを測定用端子として信頼性高く電気的に接続して、安全かつ確実に電圧測定などを行うことを可能にする測定用アダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決する測定用アダプタの発明は、測定対象の外部に露出可能な通電端子部に測定用端子を電気的に接続する測定用アダプタであって、前記通電端子部を覆うように前記測定対象に取り付けて絶縁性を確保するカバー部と、前記通電端子部に前記測定用端子を導通接触させて接続する接続部と、を備えており、前記測定用端子が差込プラグであるのに対して、前記カバー部は、前記接続部に導通接触させて接続する前記測定用端子の差込穴が開口しているとともに、前記接続部は、前記通電端子部に先端部を導通接触させて接続する接続電極と、該接続電極を前記通電端子部に近接または離隔する方向に移動自在に収納する収納部と、該収納部内に収納されて前記カバー部の前記差込穴に差し込む前記測定用端子の先端に突き当たって当該測定用端子の差込深さに応じた付勢力で前記接続電極を前記通電端子部に導通接触させる方向に付勢するとともに該測定用端子および該接続電極を導通接続する付勢導通部と、を備えることを特徴とするものである。
【0014】
この発明では、測定対象の通電端子部を覆うようにカバー部を取り付けることにより、その通電端子部の絶縁性を確保する一方、差込穴内に測定用端子の差込プラグが差し込まれると、接続部の収納部内で移動自在の接続電極が付勢導通部によりその差込プラグの差込深さに応じた付勢力で付勢されて測定対象の通電端子部に先端部を導通接触して接続される。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、測定対象の通電端子部を覆うように取り付けるカバー部の差込穴に差込プラグを差し込むだけで、カバー部により測定対象の通電端子部の絶縁性を確保しつつその差込深さに応じた付勢力で接続電極を通電端子部に圧接させて信頼性高く導通接続することができ、安全かつ確実に電圧測定などを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る測定用アダプタの第1実施形態を示す図であり、その外観を示す斜視図である。
【図2】その測定用アダプタを取り付ける電力量計の一例を示す平面図である。
【図3】その測定用アダプタの要部構成を示す一部縦断面図である。
【図4】本発明に係る測定用アダプタの第2実施形態を示す図であり、その要部構成を示す一部縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態としては、上記の課題解決手段のように、測定対象の外部に露出可能な通電端子部に測定用端子を電気的に接続する測定用アダプタであって、前記通電端子部を覆うように前記測定対象に取り付けて絶縁性を確保するカバー部と、前記通電端子部に前記測定用端子を導通接触させて接続する接続部と、を備えており、前記測定用端子が差込プラグであるのに対して、前記カバー部は、前記接続部に導通接触させて接続する前記測定用端子の差込穴が開口しているとともに、前記接続部は、前記通電端子部に先端部を導通接触させて接続する接続電極と、該接続電極を前記通電端子部に近接または離隔する方向に移動自在に収納する収納部と、該収納部内に収納されて前記カバー部の前記差込穴に差し込む前記測定用端子の先端に突き当たって当該測定用端子の差込深さに応じた付勢力で前記接続電極を前記通電端子部に導通接触させる方向に付勢するとともに該測定用端子および該接続電極を導通接続する付勢導通部と、を備えることを基本構成とするのに加えて、次の構成を備えてもよい。
【0018】
第1の形態としては、前記接続部の前記付勢導通部は、前記カバー部の前記差込穴に差し込む前記測定用端子の先端に突き当たって導通接続する突当電極と、前記測定用端子の差込深さに応じて前記収納部内を移動する前記突当電極および前記接続電極の間に介装されて該突当電極の前記測定用端子の差し込み深さによる移動量に応じた付勢力で前記接続電極を前記通電端子部に導通接触させる方向に付勢する付勢部と、により構成されていてもよい。
【0019】
この形態では、差込穴内に差し込まれる測定用端子の差込プラグの先端には、突当電極が突き当たって、その差込深さに応じた付勢力で付勢部が測定対象の通電端子部に接続電極の先端部が導通接触するように付勢して接続させることができる。したがって、測定用端子の差込プラグの先端が確実に突当電極に突き当たるように簡易な構造で実現することができる。
【0020】
第2の形態としては、前記接続部の前記収納部は、前記カバー部を前記通電端子部に接近または離隔する方向に延長して形成した外装部と、該外装部内に収納されて前記接続電極、前記突当電極および前記付勢部を内装しつつ導通接触する内装部と、を備えており、該内装部は、前記測定用端子の側面部が圧接して前記通電端子部から離隔する方向への移動を制限して導通接続する状態を保持する保持部と、前記突当電極および前記付勢部を介して前記通電端子部に接近する方向に付勢される前記接続電極の離脱を制限する制限部と、を有していてもよい。
【0021】
この形態では、通電端子部のカバー部の外面(表面)または内面に形成する収納部の外装部内の内装部の内部に、突当電極、付勢部および接続電極が内装されて導通接触されているとともに、差込プラグと通電端子部を導通接続させる際には、その内装部の保持部が差し込まれた差込プラグの側面部に圧接して付勢部の付勢力によりその差込プラグが抜ける方向に移動するのを制限する一方、測定対象からカバー部が外されている際には、付勢部の付勢力により内装部から飛び出す方向に付勢されて接続電極が脱落してしまうことを制限部が制限する。したがって、使用時には確実に導通接続を確保することができるとともに、未使用時にはそのまま使用することができるように待機することができる。
【0022】
第3の形態としては、前記接続部の前記収納部は、前記カバー部の外面側に形成されていてもよい。
【0023】
この形態では、接続部は、カバー部の外面(表面)に形成する収納部内に収納する形態にして、カバー部の外面に突出させて接続箇所(差込穴)を分かりやすくすることができる。
【0024】
第4の形態としては、商用電源から供給される電力量を計測する電力量計であって、商用電源側からの入力電線を接続する入力端子と電力消費側への出力電線を接続する出力端子とが配列されている接続端子台は、上記形態の測定用アダプタが取り付けられていればよい。
【0025】
この形態では、電力量計の接続端子台に測定用アダプタのカバー部を取り付けて、入力端子や出力端子に測定用端子の差込プラグを簡単かつ確実に導通接続して電圧などを測定することができる。
【0026】
第5の形態としては、前記カバー部には、前記電力量計の前記接続端子台における前記入力端子または前記出力端子のいずれか一方のみに対応する位置に前記接続部を配設してもよい。
【0027】
この形態では、より簡素な形態にして電源線の電圧測定を行うことができる。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1〜図3は本発明に係る測定用アダプタの第1実施形態を示す図である。
【0029】
図1において、測定用アダプタ10は、図2に示す電力量計(測定対象)100に接続されている電線120に商用電源からの適正な電圧が供給されているか否かを確認する際に、その電力量計100に取り付けて使用するものであり、絶縁カバー103を外して露出させた接続端子台102に取り付けることができるように設計されている。なお、電力量計100は、アナログ形式でも、また、コンパクトなデジタル形式のいずれでもよいことはいうまでもない。
【0030】
ここで、電力量計100は、図2に示すように、消費された供給電力を積算(計測)する本体部101と、商用電源と各戸の負荷装置との間の電線120の途中に本体部101が介在するようにその電線120を接続する接続端子台102と、が配置されており、本体部101が接続端子台102を介して商用電源から各家庭の家電品(負荷装置)に供給して使用される使用電力を積算(計測)する。この電力量計100は、不用意に触れて感電・短絡事故が起こらないように接続端子台102を絶縁カバー103が覆っており、その絶縁カバー103は、取付ネジ104をネジ穴105内に差し込んで緊締固定することにより取り付けることができる一方、この絶縁カバー103を外すことにより、商用電源からの入力電線(電源線)121、122を本体部101に接続する入力端子(通電端子部)111、112と、負荷装置側のブレーカーへの出力電線125、126を本体部101に接続する出力端子115、116と、を露出させることができる。この接続端子台102には、端子111、112、115、116毎の締付ネジ119を緩めて、電線120の先端側の被覆を剥いでそれぞれ差し込んだ後に、その締付ネジ119を締め付けることにより、端子111、112、115、116と電線120とを電気的に接続して、入力電線121、122と、出力電線125、126との間を導通させる。このため、締付ネジ119は、端子111、112、115、116に導通して同電位になっている。
【0031】
そして、電力量計100は、本体部101の内部では、入力電線121と出力電線125、入力電線122と出力電線126が商用電源からの電力をそのまま供給するように導通回路で繋がれている。このことから、商用電源からの供給電力の電圧測定を行う場合には、電圧計を測定用端子のワニ口クリップで入力端子111、112を挟んで接続状態にして行うのが一般的であるが、測定用アダプタ10は、電圧計200からの測定用端子としての差込プラグ201、202を接続可能にして安全かつ容易で確実な信頼性の高い電圧測定を実現する。なお、本実施形態では、単相(2相)の電力量計100を一例に説明するが、3相の電力量計用に設計することにより適用可能であることはいうまでもない。
【0032】
測定用アダプタ10は、絶縁カバー103に替えて、絶縁性を有する樹脂材料(例えば、ポリカーボネイト)からなるカバープレート(カバー部)11を、入力端子111、112や出力端子115、116を覆うように接続端子台102に取り付けて使用するように設計されており、図3に示すように、入力端子111、112(締付ネジ119)のそれぞれに対応する位置に、差込プラグ201、202を導通接続させる接続部20が配設されている。ここで、接続部20は、入力端子111、112に対応する箇所に配置されて、出力端子115、116に対応する箇所には設けられていないが、上述したように、両端子は導通していることから一方の端子に電圧計200の差込プラグ201、202を導通接続させるように配置すればよい。
【0033】
このように、測定用アダプタ10は、接続部20が入力端子111、112に対応する位置のみに形成されることにより、導通接触させる差込プラグ201、202の差込位置が分かりやすくなっている。
【0034】
カバープレート11は、絶縁カバー103と略同様に形成されており、その絶縁カバー103と略同一の幅と長さを有して、取付ネジ104を接続端子台102のネジ穴105内に差し込んで緊締固定することにより、その接続端子台102内が外部に露出しないように覆って感電・短絡事故を防止する。なお、このカバープレート11は、各メーカの電力量計の絶縁カバーが本体部の外形に応じた形状に形成されている程度であるとともに、取付ネジ104の位置が各メーカの電力量計に取付可能に設定されていることから、共通使用することができる。
【0035】
接続部20は、カバープレート11の入力端子111、112のそれぞれに対応する位置の表面(外面)側に突出する形態で設置されており、有底の円筒形状で突出するようにカバープレーと11の絶縁材料を延長させることにより収納部(外装部)12が一体形成されている。この収納部12内には、その入力端子111、112に差込プラグ201、202を導通接触させて接続状態を保持する各種構成部材として、突当電極(付勢導通部)23、接続電極24、導通スプリング(付勢導通部、付勢部)25および内装電極(内装部)26が内蔵(内装)されている。
【0036】
このように、測定用アダプタ10は、収納部12がカバープレート11の表面から突出する形状に形成されているので、接続端子台102側に空間を必要とすることなく、コンパクトに取り付けることができる。
【0037】
そして、まず、収納部12は、差込プラグ201、202の一方を差込可能に開口する差込穴12aが表面側となる円筒形状底部12bに形成されている。
【0038】
突当電極23は、接触抵抗の少ない金属などの導電性材料からなる短尺な円柱形状に形成されて、収納部12の底部12b側に収納されており、差込穴12aに差し込む差込プラグ201、202の先端部210a、202aに突き当たって導通接続するようになっている。
【0039】
接続電極24は、接触抵抗の少ない金属などの導電性材料からなる棒状の円柱形状に形成されており、先端部24aが球形に形成される一方、後端部24bがフランジ形状に形成されて、その先端部24aを入力端子111、112に導通接触させて接続されるようになっている。
【0040】
導通スプリング25は、これら突当電極23と接続電極24の間に介装されて双方を導通接続する状態を維持するとともに、差込プラグ201、202の差込に伴って降下(移動)する突当電極23により縮小されて弾性変形されることによりその差込深さ(移動量)に応じた付勢力(弾性力)で接続電極24を入力端子111、112に向かって付勢して導通接触させるようになっている。
【0041】
内装電極26は、接触抵抗の少ない金属などの導電性材料からなる円筒形状に形成されており、収納部12内に接着剤と共に嵌入して固定するようにその内径よりも外径を大きめに形成されている。
【0042】
この内装電極26は、収納部12の底部12b側上部に、内方に縮径してその差込穴12aと同径の差込穴26aが開口する天井部(保持部)26bが形成されており、この天井部26bは、収納部12の差込穴12aを介してさらに差込穴26a内に差し込まれた差込プラグ201、202の胴体部(側面部)201b、202bにその内面を圧接させて、その差込プラグ201、202が離脱する方向に移動することを制限するようになっている。なお、この差込プラグ201、202は、外面側に導電性を有する板材料を折り返すことにより胴体部201b、202bが外方に膨らんで弾性力を生じる形状に形成されることによって、内装電極26の天井部26bの差込穴26aには、胴体部201b、202bが縮小されつつ差し込まれるため、その差込穴26aの内面に圧接して導通接触する状態を保持することができる。
【0043】
また、内装電極26は、収納部12の開口側下部にも、内方に縮径して接続電極24の円柱形状を上下動自在に貫通させる貫通穴26cが開口する床部(制限部)26dが形成されており、その接続電極24のフランジ形状の後端部24bを床部26dの貫通穴26cの縁に衝止させて抜けてしまうことを制限するようになっている。
【0044】
これにより、測定用アダプタ10の接続部20は、収納部12内で突当電極23、接続電極24、導通スプリング25および内装電極(内装部)26のそれぞれが接触導通することにより、電力量計100の接続端子台102にカバープレート11を取り付けると、そのカバープレート11の下面から接続端子台102内に突出する接続電極24の先端部24aが入力端子111、112に当接されて導通スプリング25の付勢力に抗して上方に後退しつつ導通接触する状態を維持する。そして、その接続部20は、収納部12の差込穴12aに差込プラグ201、202が差し込まれると、突当電極23が導通スプリング25の付勢力に抗して降下されて導通接触する状態を維持することができ、電圧計200による電圧測定を信頼性高く行うことを可能にする。一方、測定用アダプタ10は、電力量計100の接続端子台102から外した状態では、突当電極23や接続電極24が導通スプリング25の付勢力で内装電極26の天井部26bや床部26dに突き当たった状態に衝止されて、再度、そのまま電力量計100の接続端子台102に取り付けるだけで使用できる状態で待機することができる。
【0045】
このように本実施形態においては、カバープレート11表面の収納部12の差込穴12aに差込プラグ201、202を差し込むだけで、電力量計100の接続端子台102の絶縁性を確保しつつ、内装電極26内の突当電極23、接続電極24および導通スプリング25の簡素な構造により入力端子111、112に確実に導通接触させて信頼性高く接続状態を維持することができ、安全かつ確実に電圧計200による電圧測定などを行うことができる。
【0046】
次に、図4は本発明に係る測定用アダプタの第2実施形態を示す図である。ここで、本実施形態は、上述実施形態と略同様に構成されていることから、同様な構成には同一の符号を付して特徴部分を説明する。
【0047】
図4において、測定用アダプタ10の接続部20は、上述実施形態における内装電極26を省略するとともに、その内装電極26と同様な形状をカバープレート11の収納部12内に形成することにより、差込プラグ201、202の先端部201a、202aを突当電極23に接触させて導通スプリング25および接続電極24を介して入力端子111、112との導通接続を確保するようになっている。なお、内装電極26の床部26dに対応する箇所は、蓋部材36として接着剤などにより閉止することにより形成するようにすればよい。
【0048】
このように本実施形態においては、上述実施形態における内装電極26を省略しても、同様に、カバープレート11表面の収納部12の差込穴12aに差込プラグ201、202を差し込むだけで、電力量計100の接続端子台102の絶縁性を確保しつつ、収納部12内の突当電極23、接続電極24および導通スプリング25の簡素な構造により入力端子111、112に確実に導通接触させて信頼性高く接続状態を維持することができ、安全かつ確実に電圧計200による電圧測定などを行うことができる。ただし、上述の第1実施形態では、これらの導通接触に加えて、内装電極26が大きな接触面積で導通を確保することができるので、その構造を採用する方が好適である。
【0049】
また、上述実施形態では、カバープレート11表面側に収納部12を形成しているが、これに限らず、例えば、電力量計100の接続端子台102側のスペースが十分にある場合には、カバープレート11下面側に収納部12を形成して、表面側の突出形状をなくしてシンプルな外観にしてもよい。
【0050】
また、上述実施形態では、収納部12内に突当電極23を内装させて差込プラグ201、202の先端部201a、202aを突当接触させて導通接続させているが、これに限らず、その突当電極23を省略するとともに、導通スプリング25の端部を閉じる形状に形成するなどして、差込プラグ201、202の先端部201a、202aを直接接触させて導通接続させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
これまで本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。例えば、測定用アダプタは、測定時に取り付けて使用するだけでなく、当初より取り付けた状態にして、絶縁カバーとして利用しても良い。
【符号の説明】
【0052】
10……測定用アダプタ 11……カバープレート 12……収納部 12a……差込穴 20……接続部 23……突当電極 24……接続電極 25……導通スプリング 26……内装電極 26a……差込穴 26b……天井部 26c……貫通穴 26d……床部 100……電力量計 101……本体部 102……接続端子台 111、112……入力端子 115、116……出力端子 119……締付ネジ 120……電線 121、122……入力電線 125、126……出力電線 200……電圧計 201、202……差込プラグ 201a……先端部 201b……胴体部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象の外部に露出可能な通電端子部に測定用端子を電気的に接続する測定用アダプタであって、
前記通電端子部を覆うように前記測定対象に取り付けて絶縁性を確保するカバー部と、前記通電端子部に前記測定用端子を導通接触させて接続する接続部と、を備えており、
前記測定用端子が差込プラグであるのに対して、
前記カバー部は、前記接続部に導通接触させて接続する前記測定用端子の差込穴が開口しているとともに、
前記接続部は、前記通電端子部に先端部を導通接触させて接続する接続電極と、該接続電極を前記通電端子部に近接または離隔する方向に移動自在に収納する収納部と、該収納部内に収納されて前記カバー部の前記差込穴に差し込む前記測定用端子の先端に突き当たって当該測定用端子の差込深さに応じた付勢力で前記接続電極を前記通電端子部に導通接触させる方向に付勢するとともに該測定用端子および該接続電極を導通接続する付勢導通部と、を備えることを特徴とする測定用アダプタ。
【請求項2】
前記接続部の前記付勢導通部は、前記カバー部の前記差込穴に差し込む前記測定用端子の先端に突き当たって導通接続する突当電極と、前記測定用端子の差込深さに応じて前記収納部内を移動する前記突当電極および前記接続電極の間に介装されて該突当電極の前記測定用端子の差し込み深さによる移動量に応じた付勢力で前記接続電極を前記通電端子部に導通接触させる方向に付勢する付勢部と、により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の測定用アダプタ。
【請求項3】
前記接続部の前記収納部は、前記カバー部を前記通電端子部に接近または離隔する方向に延長して形成した外装部と、該外装部内に収納されて前記接続電極、前記突当電極および前記付勢部を内装しつつ導通接触する内装部と、を備えており、
該内装部は、前記測定用端子の側面部が圧接して前記通電端子部から離隔する方向への移動を制限して導通接続する状態を保持する保持部と、前記突当電極および前記付勢部を介して前記通電端子部に接近する方向に付勢される前記接続電極の離脱を制限する制限部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の測定用アダプタ。
【請求項4】
前記接続部の前記収納部は、前記カバー部の外面側に形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の測定用アダプタ。
【請求項5】
商用電源から供給される電力量を計測する電力量計であって、
商用電源側からの入力電線を接続する入力端子と電力消費側への出力電線を接続する出力端子とが配列されている接続端子台は、
上記請求項1から4のいずれかに記載の測定用アダプタが取り付けられていることを特徴とする電力量計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−57958(P2012−57958A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198648(P2010−198648)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)