説明

測色装置およびこれを備えた写真処理装置

【課題】測色エラーが発生した際に通常とは逆向きにテストプリントをガイドに沿って挿入する構成であっても、通常の向きで挿入されるテストプリントが逆向き挿入用のガイドによって搬送を妨げられることを回避することが可能な測色装置を提供する。
【解決手段】写真プリントシステム1では、乾燥部60の下流側に近接配置された測色装置80において、測色エラーが発生したテストプリントTPを再度測色する場合には、測色装置80の排出側における排出面84から突出するガイド部85に沿ってテストプリントTPが形成された印画紙Pを手差しで逆向きに挿入していく。再測色時以外には、退避機構86は、テストプリントTPのこしによって、排出面84から突出していたガイド部85を、印画紙Pの搬送面となる排出面84よりも下に隠れるように退避させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理条件のセットアップを行うために、テストプリントに含まれる帯体の濃度を測定する測色装置およびこれを備えた写真処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最適な露光や現像等の処理を最適な条件で行うために、処理を開始する前段階において各種処理条件の補正(セットアップ)を行う写真処理装置が用いられている。
セットアップは、現像処理された濃度の異なる複数の帯体を含むテストプリントの各帯体の発色状態等を測色装置を用いて測色し、その測色結果に基づいて露光処理条件、現像処理条件等の各種処理条件を補正することにより行われる。
【0003】
例えば、特許文献1には、現像処理されたテストプリントが形成された感光材料を乾燥させる乾燥処理部の排出口の部分に濃度計(測色装置)を配置し、自動的に濃度測定を行うことが可能な写真処理装置が開示されている。そして、この写真処理装置に搭載された濃度計は、濃度測定エラー等が生じた場合には、通常とは逆向きにテストプリントが形成された感光材料を挿入することで、手動での濃度測定も可能としている。
【特許文献1】特開平08−076336号公報(平成8年3月22日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の写真処理装置に搭載された濃度計(測色装置)では、以下に示すような問題点を有している。
すなわち、上記公報に開示された写真処理装置に搭載された濃度計では、測色エラーとなったテストプリントが形成された感光材料を再度測色する際に逆向きに挿入する場合には、測色位置までテストプリントが形成された感光材料を適切に誘導するためのガイドをセットする必要がある。この場合、次に写真処理測色装置から搬送されてくるテストプリントが形成された感光材料が通常の向きで搬送されてくる場合には、この逆向き挿入用のガイドが邪魔になって通常の向きで挿入されるテストプリントが形成された感光材料を適正に搬送できなくなるおそれがある。
【0005】
特に、テストプリントが形成された感光材料は、L版からA4版まで複数種類の幅を有していることから、逆向き挿入用のガイド幅よりも幅が広いテストプリントが形成された感光材料が通常搬送されてくると、その感光材料の搬送が妨げられてしまう。
本発明の課題は、測色エラーとなったテストプリントを再度測色する際に通常とは逆向きにテストプリントが形成された感光材料をガイドに沿って挿入する構成であっても、通常の向きで挿入されるテストプリントが形成された感光材料が逆向き挿入用のガイドによって搬送を妨げられることを回避することが可能な測色装置およびこれを備えた写真処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明に係る測色装置は、測色部と、搬送部と、排出口と、ガイド部と、退避機構と、を備えている。測色部は、感光材料に形成された測色するプリントの濃度を測定する。搬送部は、測色するプリントが形成された感光材料を所定方向へ搬送する。排出口は、搬送部によって搬送される測色するプリントが形成された感光材料が排出される。ガイド部は、排出口側から所定方向とは反対向きに測色するプリントが形成された感光材料を挿入する場合に、測色部による測色位置まで測色するプリントが形成された感光材料を誘導する。退避機構は、搬送部が測色するプリントが形成された感光材料を通常の搬送方向に沿って搬送する際には、ガイド部を測色するプリントが形成された感光材料の搬送経路上から退避させる。
【0007】
ここでは、測色するプリントに形成された帯体等の濃度を測定する際に、例えば、測色エラーが発生した場合には、測色エラーとなった測色するプリントが形成された感光材料(以下、単に測色するプリントと示す)を一旦排出した後、排出口側から搬送部による搬送方向とは反対向きに測色するプリントを手動で挿入して再度濃度測定を行う測色装置において、手動で反対向きに挿入される測色するプリントを測色位置まで誘導するガイド部が、退避機構によって通常時には測色装置における搬送経路上から退避させられている。
【0008】
ここで、ガイド部には、排出口側から手動で挿入される測色するプリントの幅に合わせて幅方向における両端にそれぞれ設けられており、プリントの両端を規制する一対の幅規制ガイドが含まれる。また、測色されるプリントには、段階的に濃度が変化する複数の帯体が形成されたテストプリントや、一定のプリント品質を保証するためにテスト用にプリントされた通常プリント等が含まれる。
【0009】
これにより、測色エラー等が発生したために、排出口側から測色するプリントの幅に合わせてガイド部の幅を調整し、測色するプリントを手動で挿入して測色を行った後、搬送部によって通常の搬送方向に幅が異なる別の測色するプリントを搬送する場合でも、搬送部によって搬送される測色するプリントの先端がガイド部に衝突することを防止することができる。この結果、測色エラーが発生した測色するプリントをガイド部に沿って排出口側から手動で逆向きに挿入した後、別の測色するプリントを通常の搬送方向に沿って搬送する場合でも、別の測色するプリントをスムーズに搬送して測色エラーが発生することを回避することができる。
【0010】
第2の発明に係る測色装置は、第1の発明に係る測色装置であって、退避機構は、ガイド部の上流側の端部付近に設けられた回動軸を有している。
ここでは、退避機構が、上流側の端部付近に設けられた回動軸を中心にしてガイド部を回動させることで、ガイド部を搬送経路外へ退避させる。
具体的には、通常の搬送方向に沿って上流側から搬送されてくる感光材料のこしを利用して、回動軸を中心にしてガイド部を下方あるいは側方へ回動させることで、感光材料の搬送経路外へとガイド部を退避させることができる。
これにより、通常の搬送時にはガイド部が感光材料の搬送を妨げることを回避しつつ、ガイド部を搬送経路上から退避させる機構を簡略化することができ、コストダウンを図ることができる。
【0011】
第3の発明に係る測色装置は、第1または第2の発明に係る測色装置と、搬送装置と、現像処理部と、乾燥処理部と、を備えている。搬送装置は、測色するプリントが形成された感光材料を所定の方向に搬送する。現像処理部は、測色装置において測色される測色するプリントを感光材料に対して形成する。乾燥処理部は、現像処理部において測色するプリントが形成された感光材料を乾燥させる。そして、測色装置を、乾燥処理部における測色するプリントが形成された感光材料の排出口の近傍に配置している。
【0012】
ここでは、上述した測色装置を、現像処理された後で乾燥処理されて排出される測色するプリントが形成された感光材料の排出口の近傍に配置する。
これにより、通常時には、現像処理部において測色するプリントが形成された感光材料を乾燥させた後、搬送装置によって自動的に測色装置に対して測色するプリントが形成された感光材料を搬送することができる。そして、自動的に測色を行っている際に測色エラーが発生した場合には、測色装置における排出口側からガイド部に沿って逆向きに測色するプリントが形成された感光材料を挿入して再度測色を行う。ここで、再度、通常の搬送方向に沿って測色するプリントが形成された感光材料を搬送した場合でも、測色するプリントが形成された感光材料を逆向きに挿入する際に使用したガイド部は搬送経路上から退避しているため、その後の測色するプリントの測色についても円滑に行うことができる。
【0013】
特に、測色するプリントが形成された複数の感光材料を連続して搬送する場合に、逆向き挿入用のガイド部を通常搬送時に搬送経路上から退避させていることで、次々に測色装置に対して搬送される測色するプリントが形成された感光材料について、精度よく測色を行って高精度なセットアップを実施することができる。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明に係る測色装置によれば、測色エラーが発生した測色するプリントが形成された感光材料をガイド部に沿って排出口側から手動で逆向きに挿入した後、別の測色するプリントを通常の搬送方向に沿って搬送する場合でも、別の測色するプリントをスムーズに搬送して測色エラーが発生することを回避することができる。
第2の発明に係る測色装置によれば、測色エラーが発生した測色するプリントが形成された感光材料をガイド部に沿って排出口側から手動で逆向きに挿入した後、別の測色するプリントを通常の搬送方向に沿って搬送する場合でも、別の測色するプリントが形成された感光材料の搬送が妨げられることを、簡易な構成によって回避することができる。
【0015】
第3の発明に係る測色装置によれば、逆向きに挿入して再度測色を終えた後で通常搬送される測色するプリントの測色についても円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態に係る測色装置を搭載した写真プリントシステム(写真処理装置)1について、図1〜図6を用いて説明すれば以下の通りである。
[写真プリントシステム1全体の構成]
本実施形態に係る写真プリントシステム1は、図1に示すように、いわゆるデジタルミニラボと呼ばれる写真プリントシステムである。また、写真プリントシステム1は、操作部20と、プリント部50とを備えている。
【0017】
操作部20は、現像された写真フィルムFやデジタルカメラ等で撮影されたデジタル画像データが保存されたメモリカード等のメディアから画像データを取り込んでプリントデータを作成し、プリント部50に対して送信する。
プリント部50は、操作部20から受信したプリントデータに基づいて、印画紙(感光材料)P(図2参照)に対して露光処理および現像処理を行って写真プリント画像や、セットアップ用テストプリントTP(測色するプリント)(以下、単にテストプリントTPと示す。)(図3参照)を形成する。
【0018】
[操作部20の構成]
操作部20は、図1および図2に示すように、モニタ21と、キーボード22と、マウス23と、コンピュータユニット30と、メディアリーダ31と、フィルムスキャナ40と、を有している。
コンピュータユニット30は、モニタ21、キーボード22、マウス23と接続されており、フィルムスキャナ40およびプリント部50に含まれる各部の動作や画像処理および画像データの入出力等の制御を行う。
【0019】
モニタ21には、各種制御のためのGUI(Graphical User Interface)や処理対象の画像が表示される。
メディアリーダ31は、本写真プリントシステム1のコントローラとして機能するコンピュータユニット30に搭載されており、デジタルカメラ等で撮影された画像のデジタルデータをメモリカードや各種半導体メモリ、CD−R等のメディアから取り込む。
【0020】
フィルムスキャナ40は、写真フィルムFに現像された撮影コマに対応する画像をデジタル画像データとして取り込む。
[プリント部50の構成]
プリント部50は、図1に示すように、操作部20から受信したプリントデータに基づいて、印画紙Pを搬送しながら印画紙Pに対して露光処理および現像処理を行って写真プリント画像を形成する。そして、プリント部50は、図2に示すように、内部に2つの印画紙マガジン51と、シートカッター52と、バックプリント部53と、プリント露光部54と、圧接搬送ローラ対(搬送装置)57と、チャッカー式搬送ユニット(搬送装置)58と、処理槽ユニット(現像処理部)55と、乾燥部(乾燥処理部)60と、コンベア56と、ソータ(図示せず)と、測色装置80と、を有している。
【0021】
2つの印画紙マガジン51は、プリント部50の内部においてロール状の印画紙Pを1個ずつ収納しており、圧接搬送ローラ対57によって適宜必要な量の印画紙Pが引き出される。
シートカッター52は、印画紙マガジン51から印画紙Pを引き出す複数の圧接搬送ローラ対57の下流側に配置されており、印画紙マガジン51から引き出された印画紙Pを所望のサイズに切断する。
【0022】
バックプリント部53は、シートカッター52の下流側に配置されており、プリントサイズ等所望のサイズに切断された印画紙Pの裏面側に、色補正情報やコマ番号等のプリント処理情報を印刷する。
プリント露光部54は、バックプリント部53の下流側におけるチャッカー式搬送ユニット58に隣接するように配置されており、プリントサイズやテストプリントサイズに切断された印画紙Pの表面に対して、プリントする撮影画像の露光を行う。
【0023】
処理槽ユニット55は、プリント露光部54の下流側における複数の圧接搬送ローラ対57に隣接するように配置されており、発色現像処理液を貯留する発色現像槽55a、漂白定着処理液を貯留する漂白定着槽55bおよび安定処理液を貯留する安定処理槽55cを有している。そして、露光後の印画紙Pが、これらの各処理槽55a〜55cをこの順で経由しながら搬送されることで、所望の写真プリント画像やセットアップ用テストプリント画像(図3参照)が印画紙Pの表面に形成される。
【0024】
乾燥部60は、処理槽ユニット55の下流側に配置されており、処理槽ユニット55において各種処理液に浸漬されて現像処理された印画紙Pを乾燥するために設けられている。
コンベア56は、プリント部50の上部に露出しており、写真プリント画像が表面に形成されて乾燥処理後に排出された印画紙Pをソータの方向へ搬送する。
【0025】
ソータは、プリント部50の前面側に鉛直方向に複数のトレイを並べた状態で配置されており、コンベア56によって搬送されるプリント済の印画紙Pを、例えば、オーダー単位で各トレイに振り分ける。
圧接搬送ローラ対57と、チャッカー式搬送ユニット58とは、プリント部50の内部において、印画紙マガジン51に収容されたロール状の印画紙Pを引き出すとともに、プリントサイズ等に切断された印画紙Pを、印画紙Pに対して行われる様々な処理に対応した搬送速度で搬送する。圧接搬送ローラ対57は、2つのローラを組み合わせて構成されており、2つのローラの間の隙間に印画紙Pを圧接して回転することで印画紙Pを下流側へと搬送する。チャッカー式搬送ユニット58は、プリントサイズ等に切断された印画紙Pの下流側(先端側)の端部を搬送方向における両側からつまむようにして搬送する。
【0026】
測色装置80は、乾燥部60の下流側に配置されており、乾燥部60から排出されるテストプリントTPに含まれる複数の帯体F1〜F22のそれぞれの濃度を測定する。なお、測色装置80の構成については、後段にて詳述する。
(乾燥部60)
乾燥部60は、ブロワ(図示せず)等の温風を吹き出すための装置が設けられており、処理槽ユニット55において各種処理液に浸漬されて現像処理された印画紙Pを搬送しながら乾燥させる。そして、乾燥部60は、図4に示すように、圧接搬送ローラ対(搬送装置)61と、ターンローラ対(搬送部)62と、搬送切換ガイド63と、搬出ローラ対(搬送部)64と、搬送ガイド(搬送部)66と、シャッター67とを有している。
【0027】
圧接搬送ローラ対61は、乾燥部60内における上流側に複数配置された駆動ローラと当接ローラとを組み合わせて構成されている。そして、処理層ユニット55から搬送されてくる印画紙Pを、2つのローラの間隙に挟みこんで駆動ローラを回転させることで、印画紙Pを下流側へと搬送する。
ターンローラ対62は、1つのターンローラとその周辺に配置された複数の小ローラとを含むように構成されたローラ群であって、複数の圧接搬送ローラ対61の直下流側に配置されている。また、ターンローラ対62は、上流側から上方に向かって搬送されてくる印画紙Pが下方に向かって搬送されるように搬送方向を変化させる。
【0028】
搬送切換ガイド63は、ターンローラ対62の直下流側に配置されており、搬送されてくる印画紙Pが普通プリントが形成された印画紙Pであれば、図4中実線で示す位置となって搬送経路aへ、テストプリントTPが形成された印画紙Pであれば、図4中に示す破線で示す位置となって搬送経路bへ、それぞれ搬送するように搬送経路を切り換える。
搬出ローラ対64は、搬送切換ガイド63により誘導される普通プリントの印画紙Pを、コンベア56に排出するためのローラであって、2つのローラの間隙に印画紙Pを挟み込んで駆動ローラ側を回転させることで印画紙Pを搬出する。これにより、印画紙Pは、排出口65を通過してコンベア56へと落下搬送される。
【0029】
搬送ガイド66は、搬送切換ガイド63によって誘導されるテストプリントTPが形成された印画紙Pを、測色装置80が配置されている方向に向かって誘導する。具体的には、搬送ガイド66は、ターンローラ対62から送り出されて略鉛直下向きに搬送される印画紙Pを、そのまま乾燥部60の側方に向かって誘導する。
シャッター67は、搬送ガイド66の下端部において排出口68の部分を覆うように設けられており、搬送ガイド66によって誘導される印画紙Pの搬送力やペーパー自身のこしによって押しのけられるようにして上端部付近を回動中心として回動する。そして、シャッター67は、通常時には、シャッター67が配置された位置からみて乾燥部60における上流側と下流側とを遮断している。これにより、ブロワから排出される高温の空気が下流側の測色装置80の方へ流れることを防止している。また、シャッター67は、印画紙Pが通過する際に搬送時の勢いやペーパーのこしによって押し上げられるように回動して排出口68を開放した後、再び通常時の位置へ回動して戻り、乾燥部60から測色装置80に向かって流れ出す高温の空気の流れを遮断する。そして、印画紙Pは、搬送切換ガイド63によって搬送方向bに送り出された後、搬送ガイド66を経由して排出口68から測色装置80へと送り出される。
【0030】
(測色装置80)
測色装置80は、上流側から搬送されてくるテストプリントTPが形成された印画紙Pをコマ送り(間欠搬送)しながら各帯体F1〜F22の濃度を測定する。そして、図4および図5に示すように、測色装置80は、筐体81と、濃度計82と、搬送ローラ対(搬送部)83a,83bと、排出面84と、ガイド部85と、退避機構86と、を有している。
【0031】
筐体81は、測色装置80内の温度や明るさを一定に保つために、濃度計82や搬送ローラ対83a,83b等を覆うように設けられており、例えば、合成樹脂によって成形されている。
濃度計82は、筐体81内におけるほぼ中央付近に配置されており、搬送ローラ対83a,83bによって間欠搬送されるテストプリントTP(図3参照)の各帯体F1〜F22の濃度を測定し、測定結果をコンピュータユニット30に送信する。
【0032】
搬送ローラ対83a,83bは、濃度計82がテストプリントTPの各帯体F1〜F22の濃度を順番に測定できるように、テストプリントTPが形成された印画紙Pをコマ送り(間欠搬送)する。具体的には、搬送ローラ対83a,83bは、最初にテストプリントTPの帯体F1の中心が濃度計の直下の位置に来るまで搬送する。そして、濃度計82によって帯体F1の濃度が測定されると、搬送ローラ対83a,83bは、帯体幅に相当する距離だけテストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送方向に搬送する。搬送ローラ対83a,83bがこの動作を繰り返すことで、濃度計82はテストプリントTPにおける帯体F1〜F22までの各濃度を順番に測定することができる。また、搬送ローラ対83a,83bは、テストプリントTPの最下流側の帯体F22の濃度を測定すると、下流側の搬送ローラ対83bによって挟持されなくなるまでテストプリントTPが形成された印画紙Pを下流側へと一気に排出する。
【0033】
なお、搬送ローラ対83a,83bによる搬送不良等に起因して測色エラーが発生した場合における再測色の手順については後段にて詳述する。
排出面84は、帯体F22の濃度まで測定されて搬送ローラ対83a,83bによって排出されたテストプリントTPが形成された印画紙Pを載置するための面である。この排出面84は、図4に示すように、測色装置80においてテストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送される面(搬送経路)に沿って形成されている。
【0034】
ガイド部85は、図6に示すように、テストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送方向に直交する感光材料の幅方向に配置された一組の幅規制ガイド85a,85bを有しており、濃度計82の下流側において排出面84に沿って配置されている。ガイド部85は、測色エラーが生じて搬送ローラ対83a,83bによって排出されたテストプリントTPが形成された印画紙Pを手差しで排出側から挿入する際に、テストプリントTPが形成された印画紙Pを再度濃度計82による測色位置へと誘導するために設けられている。
【0035】
また、ガイド部85は、図6に示すように、幅規制ガイド85a,85bの少なくとも一方をシャフト(調整機構)85cに沿って移動させることで、幅規制ガイド85a,85b同士の間隔を調整する。このため、手差しで排出側から挿入されるテストプリントTPの幅として、L版からA4版まで複数種類存在する場合でも、各テストプリントTPが形成された印画紙Pの幅に合わせて幅規制ガイド85a,85bの間隔を調整することで、テストプリントTPが形成された印画紙Pを正確に測色位置まで誘導することができる。
【0036】
さらに、ガイド部85は、テストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送面(搬送経路)となる排出面84に形成された開口内において回動可能な状態で取り付けられており、後述する退避機構86によって上下方向に移動(回動)することで、突出状態と退避状態とが切り換えられる。
退避機構86は、排出側から手差しで挿入されるテストプリントTPが形成された印画紙Pを測色位置まで誘導するための上記ガイド部85(幅規制ガイド85a,85b)を、テストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送経路上から退避させる機構である。具体的には、退避機構86は、図5に矢印A方向で示す通常の搬送方向に沿って搬送される印画紙Pのこしによって、幅規制ガイド85a,85bの上流側の斜面を下流側へ向かって押すことで、搬送面の下へと幅規制ガイド85a,85bが隠れるように移動させる。つまり、通常の搬送方向に沿って移動してきた印画紙Pの先端がガイド部85(幅規制ガイド85a,85b)の上流側の斜面上に乗り上げると、印画紙Pはガイド部85に沿って斜め上方へ搬送されることなく、印画紙Pのこしによってガイド部85が回動軸となるシャフト85cを中心にして下方へと回動される。そして、印画紙Pの搬送が完了すると、つまり印画紙Pが通常の搬送方向に沿って搬送中以外には、ガイド部85は図示しないばね部材によって再び搬送経路上へと現れた状態となる。
【0037】
一方、退避機構86は、上述のように印画紙Pが通常の搬送方向に沿って搬送される場合にはガイド部85を搬送経路外へ退避させるようになっているが、後述する測色エラー発生時における再測色を行う際に印画紙Pを通常の搬送方向とは逆方向(図5に示す矢印B方向)に沿って搬送する場合には、搬送経路外(排出面84よりも下方)へ退避することはない。これは、ガイド部85を回動中心となるシャフト85cが上流側の端部に連結されており、かつガイド部85に含まれる各幅規制ガイド85a,85bが通常時において下流側の端部が略鉛直方向に沿った面を有していることによる。
【0038】
これにより、通常の搬送方向に沿って印画紙Pが搬送される場合に限って、測色装置80におけるテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送経路上からガイド部85を退避させることができる。
<写真プリントシステム1による自動セットアップ>
写真プリントシステム1は、毎日の運転開始時ごとにセットアップ用にプリントされたテストプリントTPを複数枚形成し、測色装置80に対してこれら複数枚のテストプリントTPが形成された印画紙Pを連続して搬送する。測色装置80では、各テストプリントTPにおける各帯体F1〜F22の濃度を濃度計82によって測定する。そして、コンピュータユニット30は、この濃度計82の測定結果に基づいてプリント露光部54の出力状態を調整するセットアップを行う。
【0039】
通常、プリント部50から出力されるプリント品質(プリント濃度)等は、プリント露光部54の光源の発光状態、各処理液の状態(処理液温度、酸化状態、活性化度合等)によって変化してしまう。このため、テストプリントTPに形成された濃度の異なる複数の帯体F1〜F22のそれぞれの濃度を濃度計82によって測定し、この測定結果に基づいてプリント露光部54の出力状態の調整、いわゆるセットアップを行う。このようなセットアップを行うことで、プリント露光部54の状態に関わらず再現性の高い写真プリント行うことができる。なお、一般的に、セットアップとはプリントの状態を左右する前述した原因のうち、プリント露光部54に関連する原因について調整することをいう。
【0040】
本実施形態の写真プリントシステム1におけるセットアップでは、モニタ21に表示されるGUIによってセットアップモードを選択した場合、一連のセットアップが自動的に実施される。具体的には、現在の状態のプリント部50から所定の画像データに基づいてテストプリントTPを出力するようにコンピュータユニット30がプリント露光部54を制御する。そして、プリント露光部54によって露光され現像処理されたテストプリントTPは、測色装置80に含まれる濃度計82によって自動的に各帯体の濃度が測定される。さらに、この測定結果と所定の基準濃度との濃度差を算出し、この濃度差に基づいてプリント露光部54の出力状態の調整が行われる。プリント露光部54の調整は、例えば、レーザ露光エンジン(プリント露光部54の一例)の露光制御装置(図示せず)に設けられた画像データのLUTを書き換える等の方法により行うことができる。
【0041】
<測色エラー発生時における再測色の手順>
ここで、上述したテストプリントTPに含まれる各帯体F1〜F22について濃度測定を行う際に、例えば、斜行や蛇行等の搬送不良によって所望の帯体の濃度測定を行うことができなくなる、いわゆる測色エラーが発生した場合には、以下のような手順によって、測色エラーとなったテストプリントTPに含まれる各帯体F1〜F22について再測色を行う。
【0042】
すなわち、測色装置80において測色エラーが発生した場合には、測色の途中であっても、搬送ローラ対83a,83bによってテストプリントTPが形成された印画紙Pが排出される。この場合、排出面84に排出されたテストプリントTPが形成された印画紙Pは、オペレータによって図5に示す矢印B方向に沿って排出側から手差しで挿入される。
このとき、オペレータは、再測色を行うテストプリントTPが形成された印画紙Pを、排出側である排出面84にセットした後、排出面84から突出した一組の幅規制ガイド85a,85bの間隔を、セットされた印画紙Pの幅に合わせて調整する。そして、オペレータは、テストプリントTPが形成された印画紙Pをガイド部85に沿わせながら、手動で濃度計82による測色位置まで、テストプリントTPが形成された印画紙Pを挿入する。このとき、ガイド部85は、下流側の端部が略鉛直方向に沿った平面を有しており、上流側の端部に連結されたシャフト85cを中心にして回動するため、上述した通常の搬送方向に沿って印画紙Pが搬送されてくる場合とは異なり、逆向きに挿入された印画紙Pのこしによって搬送経路外へと退避されることはない。
【0043】
これにより、再度測色を行うテストプリントTPが形成された印画紙Pを排出側から手動で挿入する場合でも、濃度計82による測色位置まで正確に誘導することができる。よって、テストプリントTPが形成された印画紙Pを所定の位置まで挿入した後、搬送ローラ対83a,83bによってテストプリントTPが形成された印画紙Pを間欠搬送しながら正確に各帯体F1〜F22の濃度を測定することができる。
【0044】
次に、測色エラーが生じたテストプリントTPが形成された印画紙Pを排出側から手差しで逆向きに挿入した後で、次のテストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送ローラ対83a,83bによって通常の搬送方向に沿って搬送されてきた場合には、上述したように、ガイド部85は印画紙Pのこしによって搬送経路外へと押しのけられるように退避される。
【0045】
これにより、再測色時に逆向き挿入用として使用されるガイド部85が、他のテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送の邪魔をすることはない。よって、再測色および通常の測色の双方について、正確に各帯体F1〜F22の濃度測定を行って、高精度なセットアップを実施することができる。
特に、先に搬送されたテストプリントTPが形成された印画紙PがL版のサイズで測色エラーの発生によって逆向きに手差し挿入して再測色を行った後、次に搬送されるテストプリントTPが形成された印画紙PがA4サイズだった場合には、逆差し挿入用のガイド部85がL版の幅に合わせた位置にセットされたままとなっていると、次に搬送されてくるA4サイズのテストプリントTPが形成された印画紙Pはその先端が確実にガイド部85に衝突して搬送を妨げられてしまう。このため、複数の幅を有する複数種類のテストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送しながら測色装置80において濃度測定を行う場合でも、測色エラーを発生させることなく、高精度なセットアップを実施することができる。
【0046】
[本写真プリントシステム1の特徴]
(1)
本実施形態の写真プリントシステム1では、乾燥部60の下流側に近接配置された測色装置80において、測色エラーが発生したセットアップ用のテストプリントTPを再度測色する場合には、図5に示すように、測色装置80の排出側における排出面84(搬送面)から突出するガイド部85に沿ってテストプリントTPが形成された印画紙Pを手差しで逆向き(図5に示す矢印B方向)に挿入していく。そして、この再測色時以外の通常の搬送時には、テストプリントTPが形成された印画紙Pのこしを利用して、退避機構86が排出面84から突出していたガイド部85を、印画紙Pの搬送面(搬送経路)となる排出面84とほぼ同じ高さ位置になるように退避させる。
【0047】
これにより、先に測色を行っていたテストプリントTPについて測色エラーが発生し、測色装置80の排出側からテストプリントTPが形成された印画紙Pをガイド部85に沿って逆向きに手差しで挿入する場合でも、その後通常搬送されてくるテストプリントTPが形成された印画紙Pが搬送経路上に残されたガイド部85によって搬送を妨げられることはない。つまり、テストプリントTPが形成された印画紙Pを逆向きで挿入する場合にはガイド部85が機能し、通常の搬送方向に沿って印画紙Pが搬送される場合にはガイド部85が機能しない。
【0048】
この結果、複数のテストプリントTPを続けて測色する場合でも、測色エラーの発生によりテストプリントTPが形成された印画紙Pを逆向きに手差し挿入して再測色を行った後、他のテストプリントTPが形成された印画紙Pを通常搬送しながら測色を行う際に測色エラーを発生させることなく、正確に各帯体F1〜F22の濃度を測定して高精度なセットアップを実施することができる。
【0049】
(2)
本実施形態の写真プリントシステム1では、測色装置80において、排出側からの逆向き手差し挿入を行う時にテストプリントTPが形成された印画紙Pを測色位置まで誘導するガイド部85を印画紙Pの搬送経路上から退避させる退避機構86として、所定の搬送方向に沿って印画紙Pを搬送する場合には、搬送される印画紙Pのこしを利用してガイド部85(幅規制ガイド85a,85b)をシャフト85cを中心にして回動させて、搬送経路よりも下方へ移動させる機構を採用している。
【0050】
これにより、ガイド部85を搬送経路外へと退避させるために、ガイド部85を移動させる駆動機構等を別途設ける必要がない。よって、構成の簡略化が図れるとともに、コストダウンを図ることができる。
(3)
本実施形態の写真プリントシステム1では、測色装置80において、上述した逆向き手差し挿入を行う際に使用されるガイド部85が、一組の幅規制ガイド85a,85bの間隔を調整するための調整機構として、シャフト85cを有している。
【0051】
これにより、テストプリントTPが形成された印画紙Pが、例えば、L版からA4サイズまで複数種類ある場合でも、それぞれのサイズに合わせて幅規制ガイド85a,85bの間隔を調整することで、テストプリントTPが形成された印画紙Pがどのサイズであっても測色位置まで正確に誘導することができる。
(4)
本実施形態の写真プリントシステム1では、処理槽ユニット55において現像処理されたテストプリントTPが形成された印画紙Pを乾燥させる乾燥部60の排出口68に対して、測色装置80を近接配置している。
【0052】
これにより、写真プリントシステム1において形成されたテストプリントTPが形成された印画紙Pを乾燥させた後、自動的に測色装置80へとテストプリントTPが形成された印画紙Pを送り込んで、テストプリントTPに含まれる各帯体F1〜F22の濃度を測定することができる。
そして、このようなテストプリントTPの自動濃度測定を連続して行っている際に、測色エラーが発生したために上述した排出側からの逆向き手差し挿入を行った場合でも、ガイド部85を搬送経路上から退避させることで、逆向き手差し挿入用のガイド部85が次に搬送されるテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送の邪魔になることはない。よって、連続して複数のテストプリントTPが形成された印画紙Pを搬送しながら測色を行う場合でも、各テストプリントTPについて各帯体F1〜F22の濃度を正確に測定することができる。
【0053】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
(A)
上記実施形態では、退避機構86として、テストプリントTPのこしを利用して、ガイド部85が排出面84よりも下へ隠れるように移動させてテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送経路上から退避させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
例えば、退避機構として、ガイド部に含まれる一組の幅規制ガイドの間隔を、テストプリントTPが形成された印画紙Pの最大幅よりも大きくなる位置まで移動させることで、退避させるようにしてもよい。
このように、ガイド部材85を略水平方向に移動させて搬送経路外へ退避させた場合でも、通常搬送される他のテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送を妨げることはない。
【0055】
これにより、測色エラーが発生して排出口側からガイド部に沿って逆向きにテストプリントTPが形成された感光材料を挿入して再度測色を行った場合でも、その後のテストプリントTPの測色を円滑に行うことができるという上記と同様の効果を得ることができる。
なお、この場合には、幅規制ガイド85a,85bが印画紙Pの搬送方向に直交する方向に沿って配置されたシャフト85cに沿って常に互いに離間する方向にバネによって付勢されており、ツメによってロックされている機構を有していることが好ましい。これにより、逆向きに挿入されるテストプリントTPが形成された印画紙Pの幅規制を行う一方、印画紙Pが通常方向に沿って搬送される場合には上記ツメのロックが解除されて幅規制ガイド85a,85bが互いに離間する方向における最遠位置までそれぞれ移動することで、幅規制ガイド85a,85bを搬送経路外へと退避させることができる。
【0056】
(B)
上記実施形態では、テストプリントTPが形成された印画紙Pが通常の搬送方向に搬送される場合には、印画紙Pのこしによって、ガイド部85を搬送経路外へと退避させる一方、逆差しでテストプリントTPが形成された印画紙Pを挿入、搬送する場合には、ガイド部85は搬送経路上から退避しない構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】
例えば、コンピュータユニット30が、測色エラーの発生を検知して、退避機構86によってガイド部85をテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送経路上に突出させるように制御してもよい。
また、オペレータが手差しでテストプリントTPが形成された印画紙Pを排出側から逆向きに挿入するタイミングで駆動ボタン等を押下することで、ガイド部85を搬送経路上に突出させるようにしてもよい。つまり、コンピュータユニット等の制御系を介することなく、ガイド部85の退避状態から突出状態への移行を行ってもよい。
【0058】
また、例えば、コンピュータユニットが、測色エラーが発生したテストプリントTPについて再測色を完了したことを検知して、退避機構によってガイド部85をテストプリントTPが形成された印画紙Pの搬送経路上から退避させる構成であってもよい。
さらには、例えば、再測色が完了すると、オペレータが退避ボタン等を押下することで、ガイド部85を搬送経路上から退避させるようにしてもよい。つまり、コンピュータユニット等の制御系を介することなく、機械的にガイド部85の突出状態から退避状態への移行を行ってもよい。
【0059】
(C)
上記実施形態では、ガイド部85を搬送経路上から退避させる退避機構として、通常の搬送方向に沿って搬送される印画紙Pのこしを利用して自動的にガイド部85を退避させる構成を例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、通常の搬送状態では、ガイド部85を搬送経路上から退避させており、逆差し挿入時にはガイド部85を搬送経路上に登場させる駆動機構によって、ガイド部85を駆動してもよい。
【0060】
ただし、上記実施形態のように、通常の搬送方向に沿って搬送される印画紙Pのこしを利用して、ガイド部85を搬送経路上から退避させる機構を採用することは、ガイド部85を駆動するための機構が不要になることから、構成の簡略化、コストダウンが図れる点でより好ましい。
(D)
上記実施形態では、一組の幅規制ガイド85a,85bの間隔を調整するための調整機構として、ガイド部85を搬送経路上から退避させるための回動軸となるシャフト85cに沿って、印画紙Pの幅方向に幅規制ガイド85a,85bを移動させる例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0061】
例えば、退避機構に含まれるシャフト85cとは別に、幅規制ガイド85a,85bを幅方向に移動させるための溝部を、排出面84に形成してもよい。
この場合でも、幅規制ガイド85a,85bの搬送経路上からの退避および幅方向における間隔調整という両方の機能を備えた測色装置80を得ることができる。
(E)
上記実施形態では、幅規制ガイド85a,85bの間隔を調整するための調整機構として、幅規制ガイド85a,85bをシャフト85cに沿って手動で移動される機構を用いた例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
例えば、幅規制ガイドをボールねじと連結し、ボールねじをモータ等で回転駆動させることで、幅規制ガイドの間隔を自動的に調整する機構を用いてもよい。
この場合には、逆差し挿入されるテストプリントTPが形成された印画紙Pの幅に合わせて調整機構が自動的に幅調整を行うことができることから、効率よく再測色を実施することができる。
【0063】
(F)
上記実施形態では、図3に示すように、プリント露光部54のセットアップ用のテストプリントTPを測色装置80において測色する例を挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
測色装置において濃度を測定する対象としては、セットアップ用のテストプリントに限定されるものではなく、例えば、プロセッサ用のセットアップを行うテストプリントであってもよい。
【0064】
さらには、測色されるプリントとしては、段階的に濃度が変化する複数の帯体が形成されたテストプリントや、一定のプリント品質を保証するためにテスト用にプリントされた通常プリント等を用いることもできる。
(G)
上記実施形態では、測色装置80における排出側からガイド部85に沿ってテストプリントTPが形成された印画紙Pを逆向きに手差し挿入するケースとして、搬送不良に起因する測色エラーが発生したケースを例として挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0065】
例えば、測色エラーの原因としては、搬送不良によるもの以外に、濃度計82における不具合の発生等も含まれる。
さらに、逆向き手差し挿入を行うケースとしては、測色エラーの発生以外に、搬送ローラ対83a,83bの不具合発生や、テストプリントTPに形成された帯体の形成不良等も含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の測色装置は、例えば、測色エラーが発生して排出口側からガイド部に沿って逆向きにテストプリントが形成された感光材料を挿入して再度測色を行った場合でも、その後のテストプリントの測色を円滑に行うことができるという効果を奏することから、各種テストプリントの濃度測定を行う測色装置を搭載した各種装置に対して広く適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態に係る写真プリントシステムを示す外観図。
【図2】図1の写真プリントシステムの内部の構造を示す断面図。
【図3】図1の写真プリントシステムにおいてセットアップ用に形成されるテストプリントを示す平面図。
【図4】図1の写真プリントシステムにおける下流側に搭載された乾燥装置および測色装置を示す拡大図。
【図5】図1の写真プリントシステムにおける下流側に搭載された測色装置を示す拡大図。
【図6】図5の測色装置に含まれるガイド部周辺の構成を示した部分断面図。
【符号の説明】
【0068】
1 写真プリントシステム(写真処理装置)
20 操作部
21 モニタ
22 キーボード
23 マウス
30 コンピュータユニット
31 メディアリーダ
40 フィルムスキャナ
50 プリント部
51 印画紙マガジン
52 シートカッター
53 バックプリント部
54 プリント露光部
55 処理槽ユニット(現像処理部)
55a 発色現像槽
55b 漂白定着槽
55c 安定処理槽
56 コンベア
57 圧接搬送ローラ対(搬送装置)
58 チャッカー式搬送ユニット(搬送装置)
60 乾燥部
61 圧接搬送ローラ対(搬送装置)
62 ターンローラ対(搬送装置)
63 搬送切換ガイド
64 搬出ローラ対(搬送装置)
65 排出口
66 搬送ガイド(排出口)
67 シャッター
68 排出口
80 測色装置
81 筐体
82 濃度計
83a 搬送ローラ対(搬送部)
83b 搬送ローラ対(搬送部)
84 排出面
85 ガイド部
85a 幅規制ガイド
85b 幅規制ガイド
85c シャフト(調整機構)
86 退避機構
P 印画紙(感光材料)
TP セットアップ用テストプリント(測色するプリント)
F1〜F22 帯体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光材料に形成された測色するプリントの濃度を測定する測色部と、
前記測色するプリントが形成された前記感光材料を所定方向へ搬送する搬送部と、
前記搬送部によって搬送される前記測色するプリントが形成された前記感光材料が排出される排出口と、
前記排出口側から前記所定方向とは反対向きに前記測色するプリントが形成された前記感光材料を挿入する場合に、前記測色部による測色位置まで前記測色するプリントが形成された前記感光材料を誘導するガイド部と、
前記搬送部が前記測色するプリントが形成された前記感光材料を通常の搬送方向に沿って搬送する際には、前記ガイド部を前記測色するプリントが形成された前記感光材料の搬送経路上から退避させる退避機構と、
を備えている測色装置。
【請求項2】
前記退避機構は、前記ガイド部の上流側の端部付近に設けられた回動軸を有している、
請求項1に記載の測色装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の測色装置と、
前記測色するプリントが形成された前記感光材料を所定の方向に搬送する搬送装置と、
前記測色装置において測色される前記測色するプリントを前記感光材料に対して形成する現像処理部と、
前記現像処理部において前記測色するプリントが形成された前記感光材料を乾燥させる乾燥処理部と、
を備えており、
前記測色装置を、前記乾燥処理部における前記測色するプリントが形成された前記感光材料の前記排出口の近傍に配置している、
写真処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−193027(P2007−193027A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−10202(P2006−10202)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】