説明

測量方法とそれに用いる測量機用のターゲット

【課題】 測量点の上にターゲットを配置する場合に補正の手間なく正確な測量ができるようにする。
【解決手段】 測量機用のターゲット3の視準パターンを表示した視準面2の端部が位置する周縁31を測量点Pに当てがって、この周縁31上に設定した視準パターンの視準中心点5を測量点Pに位置合わせするとともに視準面2を測量機4側に向けて視準中心点5を測量機4の望遠鏡4aにより視準し、この視準した視準中心点5を測量点Pとみなして測量を行うことにより、上記目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は測量機と測量機用のターゲットとを用いて測量を行う測量方法とそれに用いる測量機用のターゲットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
測量機は高精度化、多機能化が図られ、近時では測量プログラムによって測距、測角はもとより三次元計測などの複雑な演算が自動的に行えるようになっている。しかし、高精度な測量には測量点に対する高精度な視準が必須となる。そこで、高輝度反射面を持ち、あるいは特種なコントラストや視準パターンを持つなどして、遠く離れた位置からでも視準しやすくしたターゲットが測量点に代わる視準対象として用いられている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【特許文献1】特開平07−306045号公報
【特許文献2】特開平09−178447号公報
【特許文献3】特開平10−206159号公報
【特許文献4】特開2002−122429号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のターゲットおよびそれを用いた測量方法はいずれも、ターゲットの中心位置を視準中心点とし、この視準中心点を視準して測量を行っている。これでは、特許文献3の図2、3に記載されたような測量点の正面、つまり測定機側に視準中心点が位置するようにターゲットを配置させる場合、視準中心点は測量点と等価になる。しかし、特許文献1、4に開示されているような三脚や支持手段で支持したターゲットを測量点に対応する位置に配置する場合はもとより、特許文献2、3に開示されているような単体のターゲットの周縁を測量点上に直接当てがうにしても、視準点の位置は測量点から離れることになる。
【0004】
このため、ターゲットの視準中心点を視準しての測量データは、測量点の実測データとはならない。従って、視準中心点が測量点から離れている距離分の補正をして初めて測量点に対する適正な測量データとなるので、測量の都度補正の手間が必要となる。また、このような補正操作は誤差が生じる原因になりやすい。特に、ターゲットは測量点の遠近に応じた大きさのものが用いられターゲットの大きさごとに補正値が異なるし、三脚などの支持部材を持つようなものでは支持部材による支持高さの違い、支持高さを調節するものでは調節による支持高さの変化がさらに加わって誤差が蓄積しやすく問題である。
【0005】
本発明の目的は、測量点の上にターゲットの周縁を当てがって配置すれば補正の必要なく正確な測量ができる測量方法とそれに用いる測量機用のターゲットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記のような目的を達成するために、本発明の測量方法は、測量機用のターゲットの視準パターンを表示した視準面域の端部が位置する周縁を測量点に当てがって、この周縁上に設定した視準パターンの視準中心点を前記測量点に位置合わせするとともに視準面を測量機側に向けて前記視準中心点を測量機の望遠鏡により視準し、この視準した視準中心点を前記測量点とみなして測量を行うことを主たる特徴としている。
【0007】
このような構成では、測量点に測量機用のターゲットの周縁を当てがい、この周縁上に視準中心点を設定することによって、前記測量点に直接前記視準中心点を位置合わせすることができ、この位置合わせ状態を保ったまま視準面を測量機の側に向けることによって、前記視準中心点をそれに位置合わせした測量点と等価な位置関係にて測量機の望遠鏡により視準することができ、視準中心点を視準したときの測量データそのままを測量点の測量値として誤差は生じない。
【0008】
視準面が測量機からの視準光軸に対し傾斜しているとき、光軸に対する視準面の傾斜角に応じて測量データを補正する、さらなる構成では、
望遠鏡の視準光軸は視準しているターゲットの周縁上の視準中心点を通り、測量は視準光束のうちのターゲットの周縁内の視準面からの反射光束の中心光量に依存して行われ、視準面を視準光軸に直角に向けることで、誤差なく測量することができるが、視準光軸に対して傾斜したまま測量する場合、その傾斜に応じた反射光束の拡散による中心光量位置にずれが生じて測量に影響するのを補正することにより誤差のない測量ができる。
【0009】
本発明の以上のような測量方法を達成する測量機用のターゲットとしては、視準パターンを表示した視準面域の端部が位置する周縁上に視準パターンの視準中心点を持ったターゲット部と、測量点のある測量対象面に当てがって測量対象面上の測量点に前記視準中心点が接地するようにターゲット部を支持した支持部とを備えたことを主たる特徴としている。
【0010】
このような構成によれば、測量点が測量対象面上にあるとき、この測量対象面に支持部を当てがうと、支持部が支持しているターゲット部の周縁上にある視準中心点を測量対象面に接地させて測量対象面上の測量点に簡単に位置合わせでき、この位置合わせ状態のターゲット部の視準面を測量機の側に向けさえすれば、視準中心点を測量点と等価な位置関係で視準し補正なしに測量点の測量が行える。
【0011】
支持部が、その測量対象面への当てがい面に対する視準面の角度を視準中心点を中心に調節できるようにターゲット部を支持している、さらなる構成では、
測量点のある測量対象面とそれに当てがった支持部の当てがい面とは等価であって、支持部の当てがい面に対する視準面の視準中心点を中心にした角度調節は、視準中心点が接地し位置決めしている測量点を中心とした測量対象面に対する視準面の角度調節となるので、視準中心点が測量点と等価な位置関係を保ったまま、測量対象面に対してどの向きからどのような角度をなして視準するのにもその視準光軸に対し視準面を直角に向けて支持し視準させられる。
【0012】
ターゲット部が、方向性視準用のピープサイトやパターンを有している、さらなる構成では、
視準面が測量機からの視準光軸に対して傾斜していても、その傾きを視準面上のピープサイトやパターンにより計測して傾きを調整し、あるいは傾きに応じた測量データの補正ができる。
【0013】
支持部が、測量対象面への当てがい面を測量対象面へ接着または粘着させる取り付け面とされた、さらなる構成では、
支持部の当てがい面を測量対象面に当てがってターゲット部を所定の位置に所定の向きおよび角度で支持するのに、粘着や接着によって測量対象面に支持部を取り付けておけるので、人がターゲットを測量対象面への当てがい状態に保持しつづける手間が省けるし、構造材や建築材の適所に予め取り付けておいて、建造上、建築上の各段階でそれを視準して測量を行うことができる。
【0014】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて種々な組合せで複合して採用することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の測量方法によれば、測量機用のターゲットの周縁上に設定した視準中心点を測量点と等価な位置関係で視準して補正の手間や補正に伴う誤差なしに測量点の正確な測量ができる。
【0016】
視準面を視準光軸に直角に向けて誤差なく測量できるが、視準光軸に対し傾斜したまま測量するにも、その傾斜に応じた補正をして誤差のない測量ができる。
【0017】
本発明の測量機用のターゲットによれば、視準中心点の測量点と等価な位置関係を、測量点を有する測量対象面上で簡単かつ容易に得て安定させ、視準中心点の視準による測量点の測量が精度よく行える。
【0018】
視準中心点と測量点との等価な位置関係にした視準面を、各種の方向から向けられる測量機の視準光軸に対し直角となるよう容易に調整し保持できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る測量方法とそれに用いるターゲットの実施の形態について添付の図を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の説明および図示は、本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載の内容を限定するものではない。
【0020】
本実施の形態では図1、図2に示す例、図3、図4に示す例、図5、図6に示す例のような視準パターン1を高輝度反射面などとされる視準面2に表示した測量機用のターゲット3を用い、図7に模式的に示すように測量点Pに対応して配置したターゲット3における視準パターン1の視準中心点5を測量機4の望遠鏡4aによって視準したときの測量データによって測量、計測を行う。
【0021】
視準パターン1は測量機4からの望遠鏡4aによる視準位置を視準中心点5に誘導するようなパターン形態を有し、視準中心点5は従来、ターゲット3の正面にある視準面2の中心、具体的には、視準面2はターゲット3の正面一杯に設けられるか、少し小さいが相似形をなして設けられる関係からほとんどの場合ターゲット3の中心位置とされている。しかし、本実施の形態の測量方法では、図1、図2に示す例、図3、図4に示す例、図5に示す例、図6に示す例のようにターゲット3の視準面2の端部が位置するターゲット3の周縁31上に視準中心点5を設定して視準させ測量を行う。視準面2を高輝度反射面とするには図に示すようにターゲット3の表面に反射シート7を貼り合せて形成するのが一般的であるが、これに限られることはない。
【0022】
図1、図2に示す例、図3、図4に示す例の視準面2は、正四角形な視準面2の中心に交点11を有した十字ライン12と、この十字ライン12の交点11を中心とした円ライン13と視準面2の周縁上に位置して十字ラインが達している枠ライン14とを有した従来知られる視準パターン1を備えながらも、周縁31上の枠ライン14と十字ライン12とのT字型の交点を視準中心点5に設定している。視準パターン1は十字ライン12の交点11を視準点として視準位置を誘導するように設計されたものであるが、ターゲット3の周縁31上の視準中心点5への指向性もあり誘導することもできる。例えば、視準中心点5に対する視準位置の左右の大きな振れに対しては、枠ライン14の左右の縦枠ライン内側への移動によって、それ以下では円ライン13の内側への移動によって対応でき、さらには十字ライン12の縦ライン上に移動することで左右の中心を採ることができ、上下の大きな振れに対しては十字ライン12の下への移動によって、それ以下では円ライン13の下側への移動によって対応し、さらには枠ライン14の下部横枠ライン上の移動によって対応することができる。従って、以上のような視準位置の横向き移動および縦向きの移動、またはその複合によって視準中心点5を視準するように案内することができる。以上のような視準位置の案内および調節では図1、図2に示す例、図3、図4に示す例のような視準面2の下半面だけあれば有効である。
【0023】
そこで、図5に示す例、図6に示す例の視準面2は、図1、図2に示す例、図3、図4に示す例の視準面2の視準中心点5を有した下半面に対応した大きさのものとしている。特に、図6に示す例の視準パターン1bは図1、図2に示す例、図3、図4に示す例の視準パターン1の下半面部と等価な十字ライン12b、円ライン13b、枠ライン14bによるものとしている。11bは十字ライン12bの円ライン13bとの関係で見た交点を示している。これにより、図1、図2に示す例、図3、図4に示す視準パターン1の場合の下半部と全く同じ視準位置の誘導機能を発揮する。これに対し、図5に示す例の視準パターン1aは、図1、図2に示す例、図3、図4に示す例の視準パターン1の下半部と等価な十字ライン12a、枠ライン14aの組合せに、ターゲット3の周縁31上に設定した視準中心点5を中心とした半分の円ライン13aを施したものとした点で図6に示す例と相違したものとしている。11aは十字ライン12aの円ライン13aとの関係で見た交点を示し、視準中心点5と一致している。これにより、十字ライン12aおよび円ライン13aの双方の十字ライン12aの交点11aへ向けた視準位置の誘導機能が視準中心点5への誘導機能となる。しかし、視準中心点5へ視準位置を案内する視準パターン1の具体的な形態は既に知られるどのようなものでもよいし、特に問うものではない。
【0024】
これらを用いた具体的な測量は図1、図2に示す例、図3、図4に示す例、図5に示す例、図6に示す例のように、任意に設定される地上、建造物上、建築物上、建造中、建築中の構造材、建築材上を始めとする各種の測量点Pに、前記ターゲット3の視準中心点5のある周縁31を当てがい、この周縁31上に設定した視準中心点5を前記測量点Pに位置合わせする。また、この位置合わせ状態で視準面2を図7に示すように測量機4側に向けて前記視準中心点5を視準パターン1の誘導機能の基に測量機4の望遠鏡4aにより視準し、この視準した視準中心点5を測量点Pとみなして測量を行う。
【0025】
このように、測量点Pに測量機用のターゲット3の周縁31を当てがい、この周縁31上に視準中心点5を設定することによって、測量点Pに直接前記視準中心点5を位置合わせすることができ、この位置合わせ状態を保ったまま視準面2を測量機4の側に向けることによって、視準中心点5をそれに位置合わせした測量点Pと等価な位置関係にて測量機4の望遠鏡4aにより視準することができる。この結果、視準中心点5を視準したときの測量データを補正しないそのままで測量点Pの測量値として測量ができる。測量データは主として機械点Qから測量点Pに対する測距と測角とであり、特定の基準点を基にした機械点座標が既知であると、この座標で見た測量点Pの3次元計測ができる。また、複数の測量点Pどうしの位置関係を3次元計測することもできる。
【0026】
このような測量時ターゲット3は、作業者が目標の測量点Pに持ち運んで位置決めし、また向きを調整して視準に供するが、大方の場合、向きは特定しにくくその調整は視準者からの観察に基づく指示に従って行うことになる。しかし、測量点Pも3次元座標上設定される面の途中など作業者が特定しにくい場合には、視準者側からの指示に従って行えばよい。また、建造中の建築材や構造材の位置、傾き、向きなどを計測して矯正などの対応をする場合、ターゲット3は図9に示すように建造に供する前の建築材41や構造材の所定位置に設定した測量点Pに対し位置合わせして所定の向きとしておき、建造中の必要段階での計測に供するようにすればよい。
【0027】
ところで、望遠鏡4aの視準光軸21は図7に半面タイプで示したターゲット3上の視準した視準中心点5を通る。従って、視準面2においてターゲット3の周縁31上の視準中心点5を視準した視準光束22は、図7に示すように視準面2に送光して反射される送光域22aと視準面2から外れて反射されない送光域22bとに分かれる。ここで、視準面2が視準光軸21に直角に向いていると、送光域22aにて視準面2から反射してくる半面分の受光状態でのその受光光量の中心位置23が光軸21上にあるので、この片側の反射光によっても測量点Pと等価な視準中心点5を誤差なく測量することができる。具体的には、図7の例の同じ大きさの反面タイプのターゲット3を用いて、測量機4からの10m地点と30m地点での測量点Pを視準して測量する場合、ターゲット3の視準面2からの受光域は、レーザ光の拡散により10m地点では視準光軸21の両側に均等配分となった21mm範囲、そのうちの視準面2からの反射域は視準光軸21より上側半部の10.5mmとなる。30m地点での受光域は視準光軸21の両側に均等配分となった63mm範囲となって、視準面2を食み出す。しかし、いずれの場合も、測量機4側の受光光量の中心はあくまでも視準光軸21上にあるので、測量に誤差は生じない。測量距離の増大による受光光量低減の問題は視準面2を大きくして反射光量を高めれば対応できる。
【0028】
もし、視準面2が視準光軸21に対して図8に示すようにある角度θ傾斜していると、視準面2からの反射光は視準光軸21から外れる側に拡散されるので、測量機4側での受光光量の中心は視準光軸21から外れた位置23となるので、測量点Pの位置Aに対し実測量点A1が視準光軸21の方向にずれてΔaの測距誤差が生じる。例えば、下記の表1の通りである。
【0029】
【表1】

しかし、視準面2の視準光軸21に対する方向性は、ターゲット3の上に取り付けた方向性視準用のピープサイトや特開平11−63952号公報で知られるような測定方法によって測量機4側から確認または測定できるので、視準者側から作業者に指示して向きの調整が行われるようにすると、傾き誤差は凡そ5°未満に抑えられる。仮に5°
傾斜したとして、その時の測距誤差Δaは、例えば下記の表2のようになり許容できる範囲に収まる。
【0030】
【表2】

これに対し、既述したように、建築材や構造材に予め設けておくターゲット3を建造、建築の各段階で視準して、設計通りかどうかを判定するような計測を行うような場合、ターゲット3の向きを調整することができないか、調整するにしても手間と時間が掛かるため省略されたりすると、傾斜角θや測距距離に応じた誤差が表1の例示のように許容範囲を超えることがある。
【0031】
このような測距誤差Δaと傾斜角θおよび測距距離などとの関係は一義的に決まるので、測量時に計測した視準面2の傾斜角θを基に、計測された測距距離などを表1に例示するような経験値から補正することによって、測距誤差Δaは許容範囲に抑えられる。
【0032】
以上のような測量方法を達成する測量機用のターゲット3としては、図1、図2に示す例、図3、図4に示す例、図5に示す例、図6に示す例のように、視準パターン1を表示した視準面2の端部が位置する周縁31上に視準パターン1の視準中心点5を持ったターゲット部3aと、測量点Pのある測量対象面32に当てがって測量対象面32上の測量点Pに視準中心点5が接地するようにターゲット部3aを支持した支持部3bとを備えたものとして好適である。このようなターゲット3によれば、測量点Pが測量対象面32上にあるとき、この測量対象面32に支持部3bを当てがうと、支持部3bが支持しているターゲット部3aの周縁31上にある視準中心点5を測量対象面32に接地させて測量対象面32上の測量点Pに簡単に位置合わせし、安定させられる。そこで、この位置合わせ状態のターゲット部3aの視準面2を測量機4の側に向ければ、視準中心点5を測量点Pとの等価な位置関係を満足して視準する既述のように補正の要らない測量点Pの測量が容易に精度よく行える。
【0033】
特に、図3、図4に示す例、図6に示す例のように支持部3bが、その測量対象面32への当てがい面3cに対する視準面2の角度を視準中心点5を中心に調節できるようにターゲット部3aを支持していると、測量点Pのある測量対象面32と、この測量対象面32に当てがった支持部3bの当てがい面3cとは等価であって、支持部3bの当てがい面3cに対する視準面2の視準中心点5を中心にした矢印で示すような角度調節は、視準中心点5が接地し位置決めしている測量点Pを中心とした測量対象面32に対する視準面2の角度調節となる。このため、視準中心点5が測量点Pと等価な位置関係を保ったまま、測量対象面32に対してどの向きからどのような角度をなして視準するのにもその視準光軸21に対し視準面2を直角に向けて支持し視準させられる。
【0034】
このような視準面2の傾き角度の調整のため、支持部3bはその当てがい面3cを含む平面上の視準中心点5を中心に湾曲した円弧状のスライドガイド35を一端側で接合して備え、視準面2を有したターゲット部3aはその背面に前記スライドガイド35に嵌め合わされる視準中心点5を中心に湾曲した円弧状のスライダ36の一端を接合して備えている。これにより、ターゲット部3aのスライダ36を支持部3bのスライドガイド35に嵌め合わせてターゲット部3aを支持部3bに支持すると、ターゲット部3aはスライダ36のスライドガイド35に沿った円弧方向の摺動を伴い、視準面2が視準中心点5を中心にした支持部3bの当てがい面3cを含む平面上での傾斜角θを矢印方向に調整することができる。スライダ36のスライドガイド35に対する嵌め合い度によって、例えば止まりハメ程度の嵌合状態であれば種々な角度位置に調節してそのまま安定させられる。
【0035】
しかし、図示する例では、嵌め合いをすきまハメ程度として角度調節を更に容易にしながら、スライダ36に設けた止めねじ37とスライドガイド35に止めねじ37との角度調節のためのスライド範囲での干渉を避けるように設けた長孔38とによって、止めねじ37を緩めること長孔38の範囲内で視準面2の角度調節ができ、調節した角度位置は止めねじ37を締めることでスライドガイド35上に固定し安定させられるようにしている。
【0036】
なお、支持部3bが測量対象面32への当てがい面3cを測量対象面32へ接着または粘着させる取り付け面としていると、支持部3bの当てがい面3cを測量対象面32に当てがってターゲット部3aを所定の位置に所定の向きおよび角度で支持するのに、粘着や接着によって測量対象面32に支持部3bを取り付けておけるので、作業者が測量対象面32への当てがい状態に保持しつづける手間が省けるし、図9に示すように予め建築材41や構造材の適所にターゲット3を取り付けておいて、その後の建造や建築の各段階で視準して測量を行うような場合に好適である。建築材41などの向きの検出はその一面に設けておいたターゲット3の視準面2の傾きや、複数面に設けておいたターゲット3の視準中心点5間の基準点からの距離や角度などによって計測できる。
【0037】
当てがい面3cを粘着面や接着面とするには、当てがい面3cにセパレータと称される保護紙を貼り合せておけば、粘着や接着の機能を利用しない使用ができるし粘着や接着機能を利用した使用をする場合でも、保護紙を剥がして実使用するまで粘着面や接着面を保護し続けて、粘着機能や接着機能が損なわれるのを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は測量機から測量点に当てがったターゲットを視準して各種測量を行うのに実用して、従来行っている補正作業が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るターゲットを示す斜視図である。
【図2】図1のターゲットの側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る別のターゲットを示す斜視図である。
【図4】図3のターゲットの側面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る他のターゲットを示す斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る今1つのターゲットを示す斜視図である。
【図7】本発明の視準光軸に対して視準面が直角な状態での測量状態を模式的に示す説明図である。
【図8】本発明の視準光軸に対して視準面が傾斜している状態での測量状態を示す説明図である。
【図9】建築材などに予めターゲットを設けておく場合の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0040】
1 視準パターン
2 視準面
3 ターゲット
3a ターゲット部
3b 支持部
3c 当てがい面
4 測量機
4a 望遠鏡
5 視準中心点
21 視準光軸
22 視準光束
31 周縁
32 視準対象面
35 スライドガイド
36 スライダ
P 測量点
Q 機械点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
測量機用のターゲットの視準パターンを表示した視準面域の端部が位置する周縁を測量点に当てがって、この周縁上に設定した視準パターンの視準中心点を前記測量点に位置合わせするとともに視準面を測量機側に向けて前記視準中心点を測量機の望遠鏡により視準し、この視準した視準中心点を前記測量点とみなして測量を行うことを特徴とする測量方法。
【請求項2】
視準面が測量機からの視準光軸に対し傾斜しているとき、光軸に対する視準面の傾斜角に応じて測量データを補正する請求項1に記載の測量方法。
【請求項3】
視準パターンを表示した視準面域の端部が位置する周縁上に視準パターンの視準中心点を持ったターゲット部と、測量点のある測量対象面に当てがって測量対象面上の測量点に前記視準中心点が接地するようにターゲット部を支持した支持部とを備えたことを特徴とする測量機用のターゲット。
【請求項4】
支持部は、その測量対象面への当てがい面に対する視準面の角度を視準中心点を中心に調節できるようにターゲット部を支持している請求項3に記載の測量機用のターゲット。
【請求項5】
ターゲット部は、方向性視準用のピープサイトやパターンを有している請求項3、4のいずれか1項に記載の測量機用のターゲット。
【請求項6】
支持部は、測量対象面への当てがい面を測量対象面へ接着または粘着させる取り付け面とした請求項3〜5のいずれか1項に記載の測量機用のターゲット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−266904(P2006−266904A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−86084(P2005−86084)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【出願人】(595160927)計測技研株式会社 (2)