説明

湯切り孔付き蓋材

【課題】湯切り孔から麺が排出されるのを防止しつつ、湯切り時間を大幅に短縮する。
【解決手段】容器20内の上部開口部を塞ぐ蓋材1であって、蓋材本体2の少なくとも周縁部近傍の一部に脱離片10が脱離可能に形成され、蓋材本体2から脱離片10を脱離させることにより、複数の湯切り孔30が現れる構造を有し、湯切り孔30は、開口幅N、Wの異なる2種類の長孔31、32を縦列配置して形成され、2種類の長孔31、32のうち、開口幅の狭い方の長孔31を開口幅の広い方の長孔32よりも湯切り側に配置している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カップ入りインスタント焼きそば等の容器開口部を塞ぐ蓋材に係り、詳しくは容器内の湯を排出する湯切り孔を備えた湯切り孔付き蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カップ入りインスタント焼きそばやカップ入り生麺等では、容器内に熱湯を注いで所定の時間だけ麺を茹で上げ(湯戻しして)、湯を捨てて湯切りを行った後に、ソース等の調味料を混ぜて調理するようになっている。したがって、麺を収容する容器の上部開口部を塞ぐ蓋材には、湯を排出するための湯切り孔が形成されている。この蓋材に形成された湯切り孔は、麺を容器内に保持したまま、安全かつ短時間で湯のみを排出する必要があるため、種々工夫が施されている。
【0003】
これに関連する技術として、例えば、外蓋と内蓋が剥離可能に積層された蓋材であって、内蓋における外周縁に突出する第1摘み部と対向する周縁部に湯切り用切目が形成され、湯切り用切目が円形切目、平行線切目もしくは千鳥状切目である湯切り孔付き蓋材が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、外蓋と内蓋が剥離可能に積層された蓋材であって、内蓋に形成した複数の湯切り孔切目のうち、湯切りする側の容器の開口周端縁に隣接する湯切り孔切目が開口周端縁に向かって突出する突出部を有する形状である湯切り付き蓋材が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−40354号公報
【特許文献2】特開2007−254014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、湯切り時間を短縮する手段としては、湯切り孔の数を増加することと、湯切り孔の開口幅(もしくは開口径)を大きく設定することが考えられる。湯切りを行う際には、容器の上部開口部を蓋材で塞いだ状態で、容器を傾けて蓋材の湯切り孔から湯を排出する。したがって、湯切り孔の形成範囲は蓋材の湯切り側の周縁部近傍に限定され、湯切り孔の数の増加には自ずと限界がある。そこで、湯切り孔の開口幅を大きく設定する工夫を施すことになるが、この湯切り孔の幅を茹で上げた状態の麺の太さ(外径)よりも大きく設定すると、湯切り孔から湯と共に麺が出てしまうという問題があった。
【0007】
そこで本発明は、上記事情に鑑み、湯切り孔から麺が排出されるのを防止しつつ、湯切り時間を大幅に短縮することができる湯切り孔付き蓋材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成すべく成された本発明の構成は以下の通りである。
【0009】
即ち、本発明に係る湯切り孔付き蓋材は、容器内の上部開口部を塞ぐ蓋材であって、
蓋材本体の少なくとも周縁部近傍の一部に脱離片が脱離可能に形成され、
上記蓋材本体から上記脱離片を脱離させることにより、複数の湯切り孔が現れる構造を有し、
上記湯切り孔は、開口幅の異なる2種類の長孔を縦列配置して形成され、上記2種類の長孔のうち、開口幅の狭い方の長孔を開口幅の広い方の長孔よりも湯切り側に配置したことを特徴とする湯切り孔付き蓋材である。
【0010】
上記構成において、上記脱離片は、上記蓋材本体の周縁部近傍の一部をハーフカットして上記蓋材本体から剥離可能に形成され、上記蓋材本体上から上記脱離片を剥離させることにより、上記蓋材本体に形成された複数の湯切り孔が露出することが好ましい。
【0011】
または、上記脱離片は切欠き片であり、上記蓋材本体の周縁部近傍の一部に切離し可能に形成され、上記蓋材本体から上記切欠き片を切り離すことにより、上記蓋材本体に形成された切欠き部として上記湯切り孔が形成されるように構成してもよい。
【0012】
また、上記開口幅の異なる2種類の長孔のうち、開口幅の広い方の長孔を開口幅の狭い方の長孔よりも長く形成することが好ましい。
【0013】
さらに、上記湯切り孔は、上記開口幅の異なる長孔を連通させた形状を有することが好ましい。
【0014】
加えて、上記湯切り孔は、上記開口幅の狭い長孔の幅が上記容器に収納される麺の茹で上げ前の太さ以下であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る包装体は、上記蓋材が容器開口部に設置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、上記湯切り孔が、開口幅の異なる2種類の長孔を縦列配置してなり、これら2種類の長孔のうち、開口幅の狭い方の長孔を湯切りの際に湯が排出され易い湯切り側に配置されているので、湯切り孔から麺が排出されるのを防止しつつ、湯切り時間を大幅に短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材を示す表面図及び裏面図である。
【図2】図1のII−II線断面の積層構造を説明する図である。
【図3】図1のIII−III線断面の積層構造を説明する図である。
【図4】第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材から脱離片を離脱させた状態を説明する図である。
【図5】図4の湯切り孔を拡大して説明する図である。
【図6】第1の実施形態の変形例である蓋材における湯切り孔部の拡大図である。
【図7】第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材を容器に装着した状態を説明する図である。
【図8】第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材を示す表面図である。
【図9】第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材から脱離片を離脱させた状態を説明する図である。
【図10】第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材を容器に装着した状態を説明する図である。
【図11】実施例及び比較例の湯切り孔付き蓋材の湯切り孔を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明するが、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
【0019】
〔第1の実施形態〕
まず、図面を参照して、本発明に係る湯切り孔付き蓋材の第1の実施形態について説明する。図1は、第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材を示す表面図及び裏面図である。図2は、図1のII−II線断面の積層構造を説明する図である。図3は、図1のIII−III線断面の積層構造を説明する図である。図4は、第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材から脱離片を離脱させた状態を説明する図である。図5は、湯切り孔を拡大して説明する図である。図6は、第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材を容器に装着した状態を説明する図である。なお、図1において、本実施形態の湯切り孔付き蓋材は平面的な部材であるので、正面図、背面図及び側面図は図示を省略している。また、図2および図3の断面図では、説明の便宜上、実際の部材の厚みよりも極端に厚く表現している。
【0020】
本実施形態の湯切り孔付き蓋材(以下、単に「蓋材」とも表記する)1は、例えば、インスタント麺や生麺を収容する容器20の上部開口部を覆って塞ぐシート状部材である。容器20は、例えば、プラスチックや防水加工を施した紙等によって有底円筒体(カップ状)に形成されている。ただし、容器20の形状は、有底円筒体状に限定されるものではない。例えば、底の形態が略半球体状の丼状の容器、底面の形態が略矩形状あるいは略正方形状である重箱状の容器、底面の形態が多角形の角小鉢状の容器等であってもよい。容器20の内部には、不図示の麺、具及び調味料が収納され、これらは個別包装されてもよい。
【0021】
蓋材1は、容器20の開口周縁部(フランジ部)21に熱接着される蓋材本体2と、この蓋材本体2の少なくとも周縁部近傍の一部に脱離可能に形成された脱離片10と、からなっている。本実施形態の脱離片10は、蓋材本体2の周縁部近傍の一部をハーフカットして蓋材本体2から剥離可能に形成されている。
【0022】
蓋材本体2は、その裏面周縁部が容器20の周縁部(フランジ部)21に熱接着される。ここで容器20の形状がカップ状または丼状である場合、蓋材本体2は、上記フランジ部21と同様に略円形状を呈しており、上記フランジ部21の外径よりも若干大きな外径を有している。一方、容器20の形状が重箱状や角小鉢状である場合、蓋材本体2は容器20の形状に合わせて、略矩形状、略正方形状、略多角形状等の形状を呈している。また容器20の形状が重箱状や角小鉢状である場合、蓋材本体2の外周は上記フランジ部21の外周よりも若干長い。
【0023】
蓋材本体2は、例えば、表面側から、コート紙と、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のプラスチックフィルム層とからなる表面層2b、ポリオレフィンと環状オレフィンコポリマーとの混合樹脂からなる易剥離層2a、アルミニウム箔層及びシーラント(熱接着性樹脂層)からなる裏面層2cが順に形成されている。ただし、蓋材本体2を構成する材料は、上述した材料に限定されない。表面層2bと易剥離層2aとの界面、又は易剥離層2aと裏面層2cとの界面で、表面層2bを剥離することが可能であれば、蓋材本体2を構成する各層の材料は適宜選択することができる。また図1に示される蓋材1には、蓋材本体2の表面側及び裏面側であって、蓋材本体2と脱離片10との境界線にそれぞれハーフカット処理(ハーフカットB、C)が施されている。ただし、本発明においては、表面側のハーフカット処理(ハーフカットB)は必ずしも行う必要がない。ここで蓋材本体2の表面側のハーフカット処理は、例えば、蓋材本体2の表面層2bであるコート紙及びプラスチックフィルム層の一部に切れ込みを施し、ハーフカットBを形成する処理である。ここで蓋材本体2の表面側のハーフカット処理を施す際には、易剥離層2aの一部または全てにハーフカットBを入れてもよいし、易剥離層2aとプラスチックフィルム層との境界でハーフカットBを止めてもよい。また蓋材本体2の裏面側のハーフカット処理(ハーフカットC)は、例えば、蓋材本体2の裏面層2cであるシーラント及びアルミニウム箔、並びに易剥離層2aに切れ込みを施し、ハーフカットCを形成する処理である。ここでハーフカットCは表面層2bを裏面層2cから剥離するためのきっかけとなる。
【0024】
蓋材本体2の一側部には、径方向外方へ延出された第1延出部4が形成され、この第1延出部4を指で摘んで蓋材本体2を上方へ引き剥がすことにより、容器20の上部開口部が半開き可能となり、内部の麺や具を取り出したり、内部へ熱湯を注いだりできるようになっている。また、上記脱離片10は、第1延出部4と径方向に対向する位置に配置され、第1延出部4と同様に径方向外方へ延出された第2延出部11を有している。この第2延出部11を指で摘んで上方へ引き剥がすことにより、脱離片10を蓋材本体上2から剥離させることができる。尚、蓋材本体2の表面側にハーフカット処理が施されていない場合、蓋材本体2の表面層2b全体が脱離片10として蓋材本体2から剥離される。
【0025】
蓋材1は、蓋材本体2から脱離片10を剥離させることにより、複数の湯切り孔30が現れる構造を有する。すなわち、脱離片10が設けられる部分3には、裏面層2cを貫通する複数の湯切り孔30が形成されている。ここで湯切り孔30は、図3(a)に示されるように、蓋材本体2の裏面層2cにハーフカットC’を施して形成されるものであってもよいし、図3(b)に示されるように、蓋材本体2の裏面層(シーラント、アルミニウム箔層)2cを予め切り欠いて形成されるものであってもよい。各湯切り孔30は、開口幅の異なる2種類の長孔31、32を縦列配置して形成され、これら2種類の長孔31、32のうち、開口幅の狭い方の長孔31が開口幅の広い方の長孔32よりも湯切り側(フランジ部側)に配置されている。ここで、湯切り側とは、容器20内に注いだ熱湯を湯切り孔30から排出する際に、容器20を下方へ傾斜させる側を意味する。
【0026】
本実施形態では、各湯切り孔30は、2種類の長孔31、32を縦列に連通させた段形状を有しており、第1延出部4と第2延出部11とを結ぶ径方向に沿うように、4つの湯切り孔30が間隔を隔てて横列配置されている。各湯切り孔30は、いずれも開口幅の狭い長孔31が開口幅の広い方の長孔32よりも湯切り側に位置している。
【0027】
具体的には、図5に示すように、各湯切り孔30同士の間には、孔が穿設されていないブランク部5が形成されている。ブランク部5における開口幅の広い方の長孔32同士の間隔Bは、例えば、10mmに設定されている。また、各湯切り孔30は、2種類の長孔31、32のうち、開口幅の狭い方の長孔31の幅Nが麺の茹で上げ前の太さ以下であることが好ましい。ここで麺の茹で上げ前の太さとは、例えば、太麺では約6mmであり、極細麺では約2mmである。したがって、本実施形態では、例えば、開口幅の狭い方の長孔31の幅Nを2mmに、開口幅の広い方の長孔32の幅Wを4mmに設定している。
【0028】
さらに、各湯切り孔30の全長(L1+L2)は、例えば、20mm以下に設定され、2種類の長孔31、32のうち、開口幅の広い方の長孔32の長さL1が開口幅の狭い方の長孔31の長さL2よりも長く(L1>L2)に形成されていることが好ましい。これにより、湯の排出量を増大させることができる。なお、各湯切り孔30の全長は、容器20の径に応じて適宜変更する。
【0029】
そして、開口幅の狭い方の長孔31は、容器20のフランジ部21とあまり接近させず、間隔を隔てて留め部6を配置することが好ましい。この留め部6の存在により、湯切りの際に麺を容器20内に留める効果が期待できるからである。留め部6とフランジ部21との距離Sは、例えば、2mm程度に設定する。
【0030】
加えて、本実施形態では、2種類の長孔31、32が長円形状を呈しているが、長方形や長六角形等の矩形長孔であってもよく、長孔の形状は限定されない。
【0031】
本実施形態の湯切り孔30では、2種類の長孔31、32を縦列に連通させて形成したが、これに限定されるものではなく、開口幅の狭い長孔31と開口幅の広い長孔32とが途切れるように間隔を隔てて配置してもよい。しかし、この場合にも、開口幅の狭い方の長孔31が開口幅の広い方の長孔32よりも湯切り側に配置することを要する。
【0032】
一方、蓋材本体2の形状が、略矩形、略正方形、略多角形等である場合、湯切り孔30は、図6(A)及び(B)に示されるように、蓋材本体2の角部や辺部に配置することができる。湯切りの効率等を考慮すると、図6(A)に示されるように湯切り孔30は蓋材本体2の角部に配置することが好ましい。ただし蓋材本体2の角部に湯切り孔30を配置すると、湯切り孔30の一部において湯切り孔30と容器20のフランジ部21との距離が遠くなることにより留め部6が大きくなるので湯を完全に出しきれない場合がある。このとき図6(C)に示されるように、湯切り孔の一部を容器20のフランジ部21に近づけるように配置してもよい。
【0033】
次に、図7を参照して、第1の実施形態の湯切り孔付き蓋材1の作用を説明する。
【0034】
例えば、カップ入りインスタント焼きそばの場合、蓋材本体2の第1延出部4を指で摘んで引き剥がすことにより、カップ(容器)20の上部開口部を半開きにして、内部から不図示の具及び調味料を取り出し、麺を収容する容器20に熱湯を注いで第1延出部4を元に戻し、麺を所定時間(例えば、3分間)茹で上げる。
【0035】
所定時間が経過した後、図7に示すように、第2延出部11を指で摘んで、蓋材本体2から脱離片10を剥離させる。脱離片10を剥離させることにより、脱離片10が設けられた部分3に形成された複数の湯切り孔30が露出することになる。この状態で容器20を湯切り側へ傾斜させれば、湯切り孔30から湯が排出されることになる。
【0036】
〔第2の実施形態〕
次に、図面を参照して、本発明に係る湯切り孔付き蓋材の第2の実施形態について説明する。図8は、第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材を示す表面図である。図9は、第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材から脱離片を離脱させた状態を説明する図である。図10は、第2の実施形態の湯切り孔付き蓋材を容器に装着した状態を説明する図である。なお、図8において、本実施形態の湯切り孔付き蓋材の表裏は同一形状であり、また平面的な部材であるので、裏面図、正面図、背面図及び側面図は図示を省略している。
【0037】
図8および図9に示すように、第2の実施形態の蓋材100では、脱離片110は切欠き片として形成され、蓋材本体102の周縁部近傍の一部に、例えば、型押し等によって形成されたミシン目等の切離し線112を介して切離し可能に形成されている。切欠き片110は、これを切り離す際の起点となる第2延出部111を有し、この第2延出部111を指で摘んで蓋材本体102から切欠き片110を切離すことにより、蓋材本体102に形成された切欠き部として湯切り孔130が形成されるようになっている。尚、第2の実施形態において、蓋材本体102の層構成は、易剥離層が設けられていない点を除いては、第1の実施形態と同様である。ところで、コート紙上に単層または複数の層からなるプラスチックフィルム層を設けると、高級感が出る、美麗感が上がる、光沢が上がる、という効果を奏するので好ましい。一方、第2の実施形態において、蓋材本体102に切欠き片110を設ける際に施される切離し線112は、例えば、蓋材本体102の表面側からプラスチックフィルム層とアルミニウム箔層との間までをハーフカット処理することにより形成される。ただし、切離し線112の設け方はこれに限定されるものではない。当該ハーフカット処理は、アルミニウム箔層の一部まで行ってもよい。また、容器に収納される内容物により、蓋材本体のバリア性を考慮しなくてもよい場合、当該ハーフカット処理は、アルミニウム箔層とシーラントとの境界まで行ってもよい。ここで、第2延出部111を指で摘んで蓋材本体102から切欠き片を切離すと、ハーフカット処理されていない層も、一緒に切り裂かれる。
【0038】
したがって、第2の実施形態の湯切り孔130は、開口幅の異なる2種類の長孔131、132が縦列に連通され、第2延出部111側において一つの切欠き部として連続して、例えば、櫛歯状に形成されている。この場合にも、開口幅の狭い方の長孔131が開口幅の広い方の長孔132よりも湯切り側に配置されており、連通する長孔131および132間に位置する蓋材本体102の残余部(突出部)103は、図10に示すように、容器20のフランジ部に接触している。よって、このように突出部103が容器20のフランジ部21に接触しているので、湯切り孔130を切欠き片として連続形成しても、突出部103とフランジ部の隙間から麺が漏れ出ることはない。
【0039】
第2の実施形態は、基本的に第1の実施形態の蓋材1と同様の作用効果を奏する。特に第2の実施形態の蓋材100によれば、脱離片110が蓋材本体102から切り離す切欠き片として形成されているので、材料コストや廃棄物をより減少することができるという特有の効果を奏する。また、湯切り孔130が切欠き部として連続形成されており、麺が漏れ出るのを防止するため突出部103がフランジ部21に接触しているが、この状態でも突出部103とフランジ部の隙間から湯を排出することができ、より湯切り時間を短縮することができるという特有の効果を奏する。
【0040】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、これは本発明の説明のための例示であり、本発明の範囲をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で、上記実施形態とは異なる種々の態様で実施することができる。
【0041】
なお、2種類の開口幅の異なる長孔31、32は縦列配置されて略瓢箪状を呈し、また第2の実施形態の湯切り孔130は櫛歯状を呈しており、機能美をも有している。
【実施例】
【0042】
本発明の蓋材1の湯切り効果を検証するため、蓋材のサンプルを作成し、次のような条件で実験を行った。
【0043】
〔湯切り孔の形状〕
図11(a)から(e)は、それぞれ下記の蓋材のサンプルAからEにおける湯切り孔の具体的形状を示している。
【0044】
サンプルA(実施例1):長さ10mm×幅4mm+長さ5mm×幅2mm
サンプルB(比較例1):長さ15mm×幅2mm
サンプルC(比較例2):長さ5mm×幅2mm
サンプルD(比較例3):長さ15mm×幅4mm
サンプルE(比較例4):長さ5mm×幅4mm
【0045】
湯切り孔の数は各4個とし、湯切り孔30の先端とフランジ部21までの間隔Sは、平均2mmに設定した。実験用の麺には極細麺(2mm幅、81g/1袋)を用いた。
【0046】
〔湯切り実験〕
以上の条件下において、以下の(1)から(5)の手順で湯切り実験を行った。
【0047】
(1)麺が入っている容器20内に熱湯を300ml入れて蓋をする。
【0048】
(2)貼着片10を蓋材本体2から剥離させて湯切り孔30を開放した後、2〜3秒かけて容器20を45度まで傾ける。また傾けるのと同時に、湯切り時間の計測を開始する。
【0049】
(3)容器20を傾け始めてから10秒経過後に容器20を90度に傾ける。
【0050】
(4)容器20を90度に傾けた後、全ての湯を湯切り孔30から排出するまでこの状態を維持する。
【0051】
(5)湯の排出完了と同時に、湯切り時間の計測を終了する。湯の排出完了の時点で湯切り孔30の状態を観察する。湯切り孔30から麺がこぼれていないかを判定する。
【0052】
以上の(1)から(5)に示される手順で、サンプルAからEについて5回ずつ湯切り実験を行った。結果を表1に示す。なお、表1において、湯切り時間は、個別の計測値と平均値を示している。また、個別評価における「○」は麺が湯切り孔からはみ出ていない状態を示し、「×」は麺が2箇所以上の湯切り孔から完全にはみ出ている状態を示している。総合評価では、「○」は個別評価が全て○の場合であり、「×」は個別評価に×が一つでもあった場合である。
【0053】
【表1】

【0054】
表1によれば、湯切り孔の全長の長いサンプルA、Dが平均湯切り時間が短く、その中でもサンプルDの平均湯切り時間が最も短い。しかし、このサンプルDは湯切り孔から麺が漏れ出る現象が観察された。よって、サンプルAを採用する場合には、湯切り時間を短縮することができ、麺が漏れ出ないことが判った。
【0055】
以上説明したように、本発明の湯切り孔付き蓋材1によれば、蓋材本体2の周縁部近傍の一部上に脱離片10が脱離可能に形成されている。したがって、本発明の湯切り孔付き蓋材1は、従来のように内蓋上からこれと略同一面積の外蓋全体を剥離させて、内蓋に形成された湯切り孔を露出させる構造に比して、材料コストや廃棄物を減少することができる。
【0056】
また、上記湯切り孔30は、開口幅の異なる2種類の長孔31、32を縦列配置してなり、これら2種類の長孔31、32のうち、開口幅の狭い方の長孔31を湯切りの際に麺が排出され易い湯切り側に配置している。これら2種類の長孔31、32のうち、開口幅の広い方の長孔32は主に湯の排出孔として機能し、開口幅の狭い方の長孔31は主に麺の堰き止め孔として機能する。したがって、湯切りを行うために容器20を傾けた際に、上方に位置する開口幅の広い方の長孔32で湯の排出量を確保しながら、下方に位置する開口幅の狭い方の長孔31で麺が漏れ出るのを防止することができる。よって、本発明の湯切り孔付き蓋材1によれば、湯切り孔30から麺が排出されるのを防止しつつ、湯切り時間を大幅に短縮することができる。
【符号の説明】
【0057】
1、100 蓋材
2、102 蓋材本体
10 脱離片
20 容器
30、130 湯切り孔
31、131 開口幅の狭い方の長孔
32、132 開口幅の広い方の長孔
110 脱離片(切欠き片)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器内の上部開口部を塞ぐ蓋材であって、
蓋材本体の少なくとも周縁部近傍の一部に脱離片が脱離可能に形成され、
前記蓋材本体から前記脱離片を脱離させることにより、複数の湯切り孔が現れる構造を有し、
前記湯切り孔は、開口幅の異なる2種類の長孔を縦列配置して形成され、前記2種類の長孔のうち、開口幅の狭い方の長孔を開口幅の広い方の長孔よりも湯切り側に配置したことを特徴とする湯切り孔付き蓋材。
【請求項2】
前記脱離片は、前記蓋材本体の周縁部近傍の一部をハーフカットして前記蓋材本体から剥離可能に形成され、前記蓋材本体上から前記脱離片を剥離させることにより、前記蓋材本体に形成された複数の湯切り孔が露出することを特徴とする請求項1に記載の湯切り孔付き蓋材。
【請求項3】
前記脱離片は切欠き片であり、前記蓋材本体の周縁部近傍の一部に切離し可能に形成され、前記蓋材本体から前記切欠き片を切り離すことにより、前記蓋材本体に形成された切欠き部として前記湯切り孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の湯切り孔付き蓋材。
【請求項4】
前記開口幅の異なる2種類の長孔のうち、開口幅の広い方の長孔を開口幅の狭い方の長孔よりも長く形成することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の湯切り孔付き蓋材。
【請求項5】
前記湯切り孔は、前記開口幅の異なる2種類の長孔を連通させた形状を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の湯切り孔付き蓋材。
【請求項6】
前記湯切り孔は、前記開口幅の狭い方の長孔の幅が前記容器に収納される麺の茹で上げ前の太さ以下であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の湯切り孔付き蓋材。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の蓋材かつ容器開口部に装置されていることを特徴とする包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−46385(P2011−46385A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194148(P2009−194148)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】