説明

湯切り機能を有する蓋材

【課題】湯切り口を開口するための表面シートの剥離がスムーズに、また湯切りに際し、湯切りが短時間で行うことができる湯切り機能を有する蓋材の提供にある。
【解決手段】容器本体2のフランジ部21にシールする、紙層の表面シート20と、複合シート10とが接着性樹脂層15を介して積層されている蓋材1で、前記表面シート20と複合シート10との層間に剥離剤層30でなり、外周に湯切り口形成用ハーフカット50が刻設されている1乃至数個の非剥離領域60でなる湯切り機能を有する蓋材1において、前記湯切り口開口用プルタブ12がシールされている位置に山状のプルタブ剥離用ハーフカット52が剥離剤層まで刻設され、前記湯切り口形成用ハーフカット50の形状が湯切り口開口用プルタブ12方向を下部とする細長のUの字形状で、境界K近傍まで延びているものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焼そばなど即席食品等の密封包装に使用する容器の蓋材に関するものであり、特に即席食品を柔らかくほぐすために注入する熱湯を排出する湯切り口を備えた湯切り機能を有する蓋材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、即席用の焼きそば、スパゲティ等を食するに際し、熱湯を注いで所定の時間が経過した後に排湯(湯切り)処理を必要とする即席食品用容器が知られ、その即席食品用容器を密封する湯切り機能を有する蓋材として、例えば、図5の側断面図に示すように、突き破り用孔(77)が穿設された表面シート(20)の裏面にアルミニウム箔(19)とシーラント層(16)を積層したものがある。
【0003】
しかし、この蓋材では、搬送中などで意に反して突き破り用孔(77)が破れたり、また湯切りに際しては、箸などで突き破り用孔(77)からアルミニウム箔(19)とシーラント層(16)を突き破らなければならず、よって箸などを必要とすることや破られた開口部の大きさやその形状が一定にならないのでスムーズな湯切りができず、また破りカスが食品等に混入する危惧があるなどの問題があった。
【0004】
これらの問題を解決するものとして最近開発された蓋材として、例えば図6(a)の側断面図および図6(b)の平面図に示すような即席食品を密封包装する湯切り口付剥離性蓋材(3)がある。それは、表面シート(20)を外面側にして、その内面側(食品側)に複合シート(10)(内面から、例えばシーラント層(16)/アルミニウム箔(19)/接着性樹脂層(15)でなる)を重ね合わせ積層したシート状の蓋(例えば円形状)であり、その蓋の外周円弧部分からその内側にかけて一部領域の前記複合シート(10)と表面シート(20)との重ね合わせ内面には、易剥離剤(剥離ニス)を塗布することにより形成された易剥離層(30)による易剥離領域(L1)を備え、それ以外の該複合シート(10)と表面シート(20)との重ねあわせ内面には、接着された状態の接着領域(L2)を備えている。
【0005】
そして、上記の易剥離領域(L1)内における複合シート(10)に1個所乃至数個所には、内径Rの湯切り孔形状の湯切り口形成用ハーフカット(50)が形成され、該湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シート(10)と表面シート(20)の内面には内径rの非剥離領域(60)(易剥離層(30)の形成されない部分)が設けられていて、複合シート(10)と表面シート(20)とは複合シート(10)と表面シート(20)とは非剥離領域(60)において互いに接着している。
【0006】
上記のような構造の即席食品容器の湯切り口付剥離性蓋材(3)は、図7の側断面図に示すように、即席食品を入れた容器本体(2)の上端部にある開口フランジ部(21)接着シールして容器本体(2)を密封包装することにより即席食品を密封包装した即席食品用容器となるものである。
【0007】
上記のようして即席食品を密封包装した容器(2)は、図6(b)に示す接着領域(L2)側の蓋材外周にある開封用プルタブ(13)を引っ張り上げて、容器(2)のフランジ部(21)から接着領域(L2)側の複合シート(10)を部分的に剥がして開口し、その開口部より熱湯を注入した後、蓋材外周にある開封用プルタブ(13)を再度フランジ部(21)の外側に折り込むようにして施蓋し、数分間放置して容器本体(2)の中にある即席食品(図示せず)を柔らかくほぐす。
【0008】
その後、図6(b)に示す易剥離領域(L1)の外周にある湯切り口開口用プルタブ(12)を引っ張り上げて、図8の側断面図に示すように、易剥離領域(L1)の表面シート(20)を複合シート(10)から剥離するとともに、この表面シート(20)に接着している湯切り口形成用ハーフカット(50)領域内の複合シート(10)を切り離し、複合シート(10)に内径Rの安定した大きさの湯切り口(70)を形成した後、容器本体(2)を傾けて中にある湯を湯切り口(70)から排出することができるようになっている(例えば、特許文献1参照。)。
【0009】
以下に、上記先行技術文献を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−193347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記の従来の湯切り口付剥離性蓋材(3)においては、湯切り口開口用プルタブ(12)をつまみ、易剥離領域(L1)の表面シート(20)を複合シート(10)から剥離するに際し、剥離のきっかけがないので、湯切り口開口用プルタブ(12)ぶの表面シート(20)をスムーズに剥離することができないという問題点があった。
【0012】
さらに、湯切り口(70)を形成した後、容器本体(2)を傾けて湯切りするに際し、麺類等が湯切り口開口用プルタブ(12)のあったコーナー側に集まって、湯切りがし難く、つまり湯切りに必要以上の時間を要するという問題点があった。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、表面シートと複合シートでなり、該両シートの間に剥離剤層が設けられている即席食品用容器の湯切り機能を有する蓋材において、その湯切り口を開口するための表面シートの剥離剤層から剥離するに際し、スムーズに剥離開口することができ、また湯切りに際し、麺類等が湯切り口開口用プルタブ側に集まったとしても、湯切りがし易く、短時間に行うことができる湯切り機能を有する蓋材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1の発明では、四角形状の開口部を有する容器本体のフランジ部にシールする、該フランジ部と略同形状で、少なくとも紙層を主体とする表面シートと、最内層がシーラント層でなる複合シートとが接着性樹脂層を介して積層されている蓋材であって、前記蓋材の対角線上に位置する一方の角部に突出する開封用プルタブを有し、もう一方の角部に突出する、湯切り口を開口する湯切り口開口用プルタブを有し、前記湯切り口開口用プルタブより開封用プルタブに向かって、前記表面シートと複合シートとの層間に剥離剤層でなる易剥離領域と、該易剥離領域内には1乃至数個の湯切り口形状の非剥離領域が配置され、該易剥離領域と境界で隣接して配置された接着領域とに区分され、前記湯切り口形状の非剥離領域の外周に湯切り口形成用ハーフカットが前記シーラント層から接着性樹脂層を通過して刻設されている湯切り機能を有する蓋材において、前記湯切り口開口用プルタブがシールされている位置にプルタブ剥離用ハーフカットがシーラント層から剥離剤層までまたは該剥離剤層を通過して刻設され、かつ該プルタブ剥離用ハーフカットが湯切り口開口用プルタブの内側で、該プルタブ側の角部を形成する一方の辺から内側に延び、他の一辺に至るように、そのシールされている部分を分割していることを特徴とする湯切り機能を有する蓋材としたものである。
【0015】
また、請求項2の発明では、上記プルタブ剥離用ハーフカットの形状が、湯切り口開口用プルタブ方向に突状乃至山状であることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能を有する蓋材としたものである。
【0016】
さらにまた、請求項3の発明では、四角形状の開口部を有する容器本体のフランジ部にシールする、該フランジ部と略同形状で、少なくとも紙層を主体とする表面シートと、最内層がシーラント層でなる複合シートとが接着樹脂層を介して積層されている蓋材であって、前記蓋材の対角線上に位置する一方の角部に突出する開封用プルタブを有し、もう一方の角部に突出する湯切り口を開口する湯切り口開口用プルタブを有し、前記湯切り口開口用プルタブより開封用プルタブに向かって、前記表面シートと複合シートとの層間に剥離剤層でなる易剥離領域と、該易剥離領域内には1乃至数個の湯切り口形状の非剥離領域が配置され、該易剥離領域と境界で隣接して配置された接着領域とに区分され、前記湯切り口形状の非剥離領域の外周に湯切り口形成用ハーフカットが前記シーラント層から接着性樹脂層を通過して刻設されている湯切り機能を有する蓋材において、前記湯切り口形状の非剥離領域の外周に刻設されている湯切り口形成用ハーフカットの形状が湯切り口開口用プルタブ方向を下部とする細長のU乃至Vの字形状で、上端が前記易剥離領域と接着領域との境界近傍まで延びて開口していることを特徴とする湯切り機能を有する蓋材としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上の構成であるから、下記に示す如き効果がある。
【0018】
即ち、上記請求項1に係る発明によれば、開封用プルタブに対峙する角部に有する湯切り口開口用プルタブがシールされている位置に、プルタブ剥離用ハーフカットが複合シートのシーラント層から剥離剤層またはこの剥離剤層を通過して刻設され、かつこのプルタブ剥離用ハーフカットが湯切り口開口用プルタブの内側で、該プルタブ側の角部を形成する一方の辺から内側に延び、他の一辺に至るように、前記シールされている部分を分割しているように設けられているので、湯切り口を開口するための表面シートの剥離に際し、湯切り口開口用プルタブをつまんで引っ張り上げると、このプルタブ剥離用ハーフカットで分割された湯切り口開口用プルタブ側のシールされている部分がフランジ部から剥離され、このプルタブ剥離用ハーフカットがきっかけとなり、表面シートのみが剥離剤層からスムーズに剥離され、湯切り口を開口することができる湯切り機能を有する蓋材とすることができる。
【0019】
また、上記請求項2に係る発明によれば、上記プルタブ剥離用ハーフカットの形状が、湯切り口開口用プルタブ方向に突状乃至山状になっているものとしたので、この突状乃至山状の頂部が剥離のためのきっかけとなり、湯切り口開口用プルタブの表面シートのみがよりスムーズに剥離され、湯切り口を開口することができる湯切り機能を有する蓋材を提供できる効果がある。
【0020】
さらにまた上記湯切り口形状の非剥離領域の外周に刻設されている湯切り口形成用ハーフカットの形状が湯切り口開口用プルタブ方向を下部とする細長のU乃至Vの字形状で上部が境界近傍まで延びているものとしたので、容器本体を傾けて湯切りするに際し、麺類等が湯切り口開口用プルタブ側に集まったとしても、U乃至Vの字形状の上部即ち境界近傍では麺類等が詰まることがなく、短時間で湯切りを行うことができる湯切り機能を有する蓋材を提供することにある。
【0021】
従って本発明は、焼きそば等を収納する即席食品容器の湯切り機能を有する蓋材において、その湯切り口を開口するための表面シートがスムーズに剥離することができ、また排湯の湯切りが容易で短時間に成すことができる湯切り機能を有する蓋材として、優れた実
用上の効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の湯切り機能を有する蓋材の一実施の形態を説明するもので、(a)は、その上面図であり、(b)は、(a)のB−B面を表す側断面図である。
【図2】本発明の湯切り機能を有する蓋材の表面シートを剥離し、湯切り口を開口した一事例を示す斜視図である。
【図3】本発明の湯切り機能を有する蓋材の表面シートを剥離し、湯切り口を開口した一事例を側断面で表した説明図である。
【図4】本発明の湯切り機能を有する蓋材を用いた容器から湯切りする一事例を説明する斜視図である。
【図5】従来の湯切り口付蓋材の一事例を説明する側断面図である。
【図6】従来の湯切り口付剥離性蓋材の一事例を説明するもので、(a)は、その側断面図であり、(b)は、その上面図である。
【図7】従来の湯切り口付剥離性蓋材を、容器本体と一体化した一事例を説明する側断面図である。
【図8】従来の湯切り口付剥離性蓋材の表面シートを剥離し、湯切り口を形成した一事例の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の湯切り機能を有する蓋材をシール密封した即席食品用容器の一事例を説明する上面図およびその側断面図であり、図2および図3は、本発明の湯切り機能を有する蓋材を即席食品用容器から剥離して湯切り口を開口した一事例を説明する斜視図および側断面図である。
【0025】
上記請求項1に係る発明は、例えば図1(a)の上面図およびそのB−B面断面を表す図1(b)に示すように、四角形状の開口部を有する容器本体(2)のフランジ部(21)に、このフランジ部(21)と略同形状の湯切り機能を有する蓋材(1)がシールされていて、この蓋材(1)の対角線上に位置する一方の角部(13a)には突出する開封用プルタブ(13)を有し、この開封用プルタブ(13)に対峙するもう一方の角部(12a)には突出する湯切り口開口用プルタブ(12)を有している。
【0026】
さらに、この湯切り機能を有する蓋材(1)は、例えば、図1(b)に示すように、ガスバリア性と遮光性に優れるアルミニウム箔(19)を基材とし、その最内面がヒートシール性を有するシーラント層(16)でなる複合シート(10)と、裏面に目止めニス層(18)が施された四角形状の用紙を基材とした表面シート(20)とが、接着性樹脂層(15)を介して積層されていて、この複合シート(10)と表面シート(20)裏面の目止めニス層(40)との層間に、湯切り口開口用プルタブ(12)より開封用プルタブ(13)に向かって略1/3の箇所に剥離剤の塗布による剥離剤層(30)が形成されている易剥離領域(L1)と、この易剥離領域(L1)と境界で隣接して配置されている接着領域(L2)とに区分されている。なお上記の境界(K)は、開封用プルタブ(13)と湯切り口開口用プルタブ(12)とに対し略垂直になるようにすることが望ましいが、これに限定するものではない。
【0027】
また、上記易剥離領域(L1)内には、例えば図1(a)および図1(b)に示すように、1乃至数個(図面の事例では3個)の湯切り口形状の非剥離領域(60)が目止めニス層(18)面に配置されていて、この非剥離領域(60)の外周に湯切り口形成用ハーフカット(50)が、複合シート(10)のシーラント層(16)から接着性樹脂層(1
5)を通過して刻設されている湯切り機能を有する蓋材(1)において、湯切り口開口用プルタブ(12)がシールされているフランジ部(21)の位置にプルタブ剥離用ハーフカット(52)がシーラント層(16)からアルミニウム箔(19)、接着性樹脂層(15)を通過して剥離剤層(30)まで刻設されていて、かつこのプルタブ剥離用ハーフカット(52)が湯切り口開口用プルタブ(12)の内側で、このプルタブ(12)側の角部(12a)を形成する一方の辺(42)から内側に延び、他の一辺(44)に至るように、前記のシールされているフランジ部(21)を分割するように設けられている湯切り機能を有する蓋材(1)としたものである。
【0028】
また、上記請求項2に係る発明では、例えば図1(a)に示すように、プルタブ剥離用ハーフカット(52)の形状を、湯切り口開口用プルタブ(12)方向に頂部(52a)を持つ山状のものとした湯切り機能を有する蓋材(1)である。
【0029】
以上のように、湯切り口開口用プルタブ(12)の内側に、頂部(52a)を持つ山状のプルタブ剥離用ハーフカット(52)を設けることによって、例えば、図2の斜視図および図3の側断面図に示すように、湯切り口(70)を開口するための表面シート(20)の剥離に際し、湯切り口開口用プルタブ(12)をつまんで引っ張り上げると、このプルタブ剥離用ハーフカット(52)で分割された湯切り口開口用プルタブ(12)側のシールされているシーラント層(16)の部分がこのプルタブ剥離用ハーフカット(52)を形成する山状の頂部(52a)がきっかけとなり、よりスムーズにフランジ部(21)から剥離され、さらに引っ張り上げると、湯切り口開口用プルタブ(12)の表面シート(20)のみが剥離剤層(30)から剥離され、湯切り口(70)を開口することができる。
【0030】
また、上記請求項2に係る発明では、上記プルタブ剥離用ハーフカット(52)の形状を、特に図示しないが湯切り口開口用プルタブ方向に頂部を持つ突状のものとした湯切り機能を有する蓋材(1)とすることもできる。
【0031】
また例えば図1(a)および図1(b)に示すように、非剥離領域(60)の外周に刻設されている湯切り口形成用ハーフカット(50)の形状を、湯切り口開口用プルタブ(12)方向を下部とする細長のUの字形状でその上端の開口している部分が境界(K)まで延びているものとした湯切り機能を有する蓋材(1)である。
【0032】
このように、湯切り口形成用ハーフカット(50)の形状を、湯切り口開口用プルタブ(12)方向を下部とする細長のUの字形状でその上端の開口している部分が境界(K)まで延びているものとしたので、例えば、図2の斜視図および図3の側断面図に示すように、湯切り口開口用プルタブ(12)を引っ張り上げて、表面シート(20)を易剥離領域(L1)と接着領域(L2)の境界(K)まで剥離し、3個の湯切り口(70)を開口し、例えば、図4の斜視図に示すように、容器本体(2)を手前を下にして傾け、麺類等をほぐした排湯を排出する湯切りに際し、ほぐされた麺類等が湯切り口開口用プルタブ側の角部(12a)に集まったとしても、この細長でUの字形状の湯切り口(70)で、その上部即ち境界(K)近傍では、ほぐされた麺類等が詰まることがないので、短時間でスムーズに湯切り口(70)から湯切りを行うことができる湯切り機能を有する蓋材(1)とするものである。
【0033】
また図示しないが湯切り口形成用ハーフカット(50)の形状を、湯切り口開口用プルタブ(12)方向を下部とする細長のVの字形状でその上端の開口しているものとすることもできる。
【0034】
以下に、本発明の排湯機能を有する蓋材(1)を構成する各層に使用される材料やその
形成方法等について説明する。
【0035】
まず、本発明の湯切り機能を有する蓋材(1)を構成する表面シート(20)としては、その表面が印刷適性に優れている必要があるため、紙が主体となり、例えば坪量50〜150g/m程度の片面アート紙、両面アート紙が好ましく、他に同程度の厚さのコート紙、上質紙なども用いることができる。
【0036】
また、目止めニス層(40)としては、上記用紙でなる表面シート(20)の目止めをし、例えばこの上に塗布等で設ける剥離剤層(30)や接着性樹脂層(15)が紙に浸み込むのを防ぎ、剥離性や接着性を向上させるために一般的に設けるものであって、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂とウレタン系樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂の混合ニスなどが挙げられるが、これらに限定するものではなく、かつ設けなくとも構わない。
【0037】
また、剥離剤層(30)を形成する剥離剤としては、例えば硝化綿系(ニトロセルロース)樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられ、場合によってはこれら樹脂に相溶性があれば、例えばポリエチレン系ワックス、ポエステル系ワックスなどを混合して易剥離性の調整をすることもでき、これら剥離剤をグラビア法あるいはスクリーン法あるいはアニロックスローラを介するフレキソ法によるパートコートによって剥離剤層(30)とすることができる。
【0038】
また、表面シート(20)と複合シート(10)を接着せしめる接着性樹脂層(15)としては、この湯切り機能を有する蓋材(1)の生産性を考慮して、例えばポリエチレン、アイオノマー、ポリプロピレン樹脂等の熱溶融押出しによるサンドラミネートが好ましく用いられるが、特にこれに限定するものではなく、種々の接着剤を用いたものとすることもでき、グラビアコート、ロールコート法等によって接着性樹脂層(15)とすることができる。
【0039】
また、焼きそば等食品に対する遮光性やガスバリア性など保存性を考慮して、複合シート(10)の基材にバリア層として金属箔、特に5〜20μmのアルミニウム箔(19)を使用するのが一般的であり、このアルミニウム箔(19)は、特に本発明の排湯機能を有する蓋材(1)のように、開封用プルタブ(13)側から一部を開封剥離して、熱湯を注ぐに際し、蓋材が剥離された状態を保持している性質(デッドホールド性という)を有すると、熱湯を安全に確実に注ぎ易くすることができることから好適に使用される。また、その他バリア層として遮光性のあるチタンホワイトなどを主成分にした白色インキやカーボンブラックなどを主成分とした黒色インキ、この白色インキと黒色インキを混合した灰色インキ、アルミニウムペーストなどを主成分とした灰色インキ等を用いて表面に遮光印刷したもの、あるいは酸化珪素や酸化アルミニウム等を蒸着したセラミック蒸着フィルムなどを用いてもよい。
【0040】
さらにまた、本発明の湯切り機能を有する蓋材(1)を構成する複合シート(10)のシーラント層(16)としては、例えばヒートシール性に優れる直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、無延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリオレフィン樹脂あるいはエチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン/アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン/メタアクリル酸共重合体(EMAA)等エチレン共重合樹脂のフィルムが好適に用いられ、さらにこれらポリオレフィン樹脂にポリスチレンやポリブデン等からなる、該ポリオレフィン樹脂に対し不相溶性成分を混合したものとすることもできる。また、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン/アクリル酸共重合樹脂等からなるホットメルト接着剤を塗布量15〜25g/m程度で設けてもよく、これらシーラント層(16)によって容器本体(2
)のフランジ部(21)との充分な密封性(シール性)と剥離開封性(イージーピール性)を可能とすることができる。
【0041】
以上のように本発明の排湯機能を有する蓋材(1)は、熱湯を注いで柔らかくほぐし、排湯してから食する即席焼きそばや即席生麺などの容器の蓋として、好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0042】
1‥‥湯切り機能を有する蓋材
2‥‥容器本体
3‥‥湯切り口付剥離性蓋材
10‥‥複合シート
12‥‥湯切り口開口用プルタブ
12a‥‥湯切り口開口用プルタブ側の角部
13‥‥開封用プルタブ
13a‥‥開封用プルタブ側の角部
15‥‥接着性樹脂層
16‥‥シーラント層
18‥‥目止めニス層
19‥‥アルミニウム箔
20‥‥表面シート
21‥‥フランジ部
30‥‥剥離剤層
42‥‥湯切り口開口用プルタブ側の角部を形成する一辺
44‥‥湯切り口開口用プルタブ側の角部を形成する他の一辺
50‥‥湯切り口形成用ハーフカット
52‥‥プルタブ剥離用ハーフカット
52a‥‥山状の頂部
60‥‥非剥離領域
70‥‥湯切り口
77‥‥突き破り用孔
L1‥‥易剥離領域
L2‥‥接着領域
K‥‥易剥離領域と接着領域との境界
R‥‥湯切り口形成用ハーフカットの内径
W‥‥表ハーフカット溝と裏ハーフカット溝の一定の幅
r‥‥ハーフカット領域内接着部の内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角形状の開口部を有する容器本体のフランジ部にシールする、該フランジ部と略同形状で、少なくとも紙層を主体とする表面シートと、最内層がシーラント層でなる複合シートとが接着性樹脂層を介して積層されている蓋材であって、前記蓋材の対角線上に位置する一方の角部に突出する開封用プルタブを有し、もう一方の角部に突出し湯切り口を開口する湯切り口開口用プルタブを有し、前記湯切り口開口用プルタブより開封用プルタブに向かって、前記表面シートと複合シートとの層間に剥離剤層でなる易剥離領域と、該易剥離領域内には1乃至数個の湯切り口形状の非剥離領域が配置され、該易剥離領域と境界で隣接して配置された接着領域とに区分され、前記湯切り口形状の非剥離領域の外周に湯切り口形成用ハーフカットが前記シーラント層から接着性樹脂層を通過して刻設されている湯切り機能を有する蓋材において、前記湯切り口開口用プルタブがシールされている位置にプルタブ剥離用ハーフカットがシーラント層から剥離剤層まで、または該剥離剤層を通過して刻設され、かつ該プルタブ剥離用ハーフカットが湯切り口開口用プルタブの内側で、該プルタブ側の角部を形成する一方の辺から内側に延び、他の一辺に至るように、該シールされている部分を分割していることを特徴とする湯切り機能を有する蓋材。
【請求項2】
上記プルタブ剥離用ハーフカットの形状が、湯切り口開口用プルタブ方向に突状乃至山状であることを特徴とする請求項1記載の湯切り機能を有する蓋材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−23923(P2010−23923A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−251881(P2009−251881)
【出願日】平成21年11月2日(2009.11.2)
【分割の表示】特願2003−370168(P2003−370168)の分割
【原出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】