説明

湯水混合制御装置

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、混合弁体を駆動することにより湯と水との混合割合を変えて出湯温度の帰還制御を行う湯水混合制御装置に関する。
(従来の技術)
給湯バルブが設けられた給湯管と給水バルブが設けられた給水管とを混合水管に接続し、該混合水管で前記給湯バルブを通過した湯と前記給湯バルブを通過した水とを混合して前記混合水管に供給するとともに、前記混合水管に該混合水管内の出湯温度を検出する湯温検知手段を設け、該湯温検知手段により検知された出湯温度と設定された設定温度との偏差に応じて制御特性を選定し、その制御特性に従い決定されるバルブ開閉速度で前記給湯バルブと前記給水バルブとを駆動し、湯水の混合割合を調節して出湯温度の帰還制御を行う湯水混合制御装置が知られている。
(発明が解決しようとする問題点)
上述のような湯水混合制御装置は、給湯源が冷却状態で出湯を開始するいわゆるコールドスタート時であってバルブ開度および偏差が大きい時には該偏差に応じて大きな利得の制御特性を選択してバルブを大きな開閉速度で駆動し、後に、偏差の正負が反転した時には小さな利得の制御特性を選択してバルブを小さな開閉速度で駆動して、設定温度への到達時間の短縮とともにハンチングの発生を防止することを目的としている。しかしながら、コールドスタート時等のバルブ開度および偏差が大きい時に出湯温度の立上りを検知してから制御を開始する帰還制御のためオーバーシュートが起こり、設定温度より高い混合水を出湯する危険性がある。
(問題点を解決するための手段)
本発明は、第1図の構成図に表されるように、給水源及び給湯源からの水及び湯を混合する混合弁体を混合水管に接続し、該混合水管で前記混合弁体を通過した水と湯を混合するとともに前記混合水管に該混合水管内の出湯温度を検出する湯温検出手段を設け、該湯温検出手段により検知された出湯温度と設定された設定温度との偏差に基づき一定の制御特性に従って制御部から作動信号を前記混合弁体の駆動部へ送って水と湯との混合割合を制御する湯水混合制御装置における給湯源が冷却状態で出湯を開始するコールドスタート時において、 出湯温度と設定温度との偏差が所定温度以内になったならば、前記混合弁体を湯側をしぼって水側を開く方向に駆動した後、前記混合弁体のバルブ開度位置で待機する制御手段を備える。
(作用)
本発明にかかる湯水混合制御装置によれば、コールドスタート時において、出湯温度と設定温度との偏差に応じて制御特性を選定し、その制御特性に従い決定されるバルブ開閉速度でバルブを駆動して出湯温度の制御を行う、いわゆる帰還制御に代って、たとえば最大バルブ開閉速度で演算手段により算出された出湯温度の時間変化率が負になるまで、混合弁体を湯側をしぼって水側を開く方向に駆動する。そして前記混合弁体のバルブ開度位置で待機する制御手段によりオーバーシュートを防止して出湯温度を速やかに設定温度へ収束させることができるようになる。
(実施例)
以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。
第1図は本発明の湯水混合制御装置の一実施例を示す構成図、第2図はフローチャート、第3図はタイミングチャートである。
第1図に示す如く本発明の湯水混合制御装置の一実施例は、給水源から給水管2を通じて供給される水と給湯源1から給湯管3を通じて供給される湯を混合する混合弁体4と、この混合弁体4の回転角度を可変する駆動部9と、混合水管12内の混合水温度すなわち出湯温度を検出する温度センサ(温度検知手段)8と、混合水管12からの出湯をシャワー6或いはカラン7に切換えると同時に流量調整する切換用駆動部10を具備した切換弁5と、設定温度の設定並びに装置の駆動・停止等の指令を行う操作部P、混合弁体駆動部9、温度センサー8、切換弁体駆動部10それらと電気的に連係せせしめた制御部11とから構成する。
本発明にかかる湯水混合制御装置は、コールドスタート時において第2図のフローチャートに示す一連の処理を実行して出湯温度の制御を行う。
まず、コールドスタート時ステップP1において、混合弁体4が湯側全開の状態であるか判断し、湯側全開と判断すればステップP2へ進み、全開でないと判断すればステップP8へ進。ステップP2においては、温度センサ8の出力信号に基づく出湯温度TMと設定温度TSとの偏差が所定温度α℃以内であるか判断し、所定温度α℃以内と判断すればステップP3へ進んで混合弁体4が所定のバルブ開閉速度、たとえば最大速度で湯側をしぼって水側を開く方向に駆動する。このステップP3の処理により、所定の条件、たとえば制御部11内の演算手段により算出された出湯温度TMの時間変化率が所定値、たとえば負になったという条件が満足されたか否かをステップP4で判断し、満足されなければステップP3へ進み、満足されればステップP5でその混合弁体4のバルブ開度位置で待機する。ステップP4の所定の条件としては、経過時間、出湯温度や弁開度等を設定してもよい。そして出湯温度TMが所定値、たとえば設定温度TS以上になったか否かをステップP6で判断し、TM≧TSであればステップP8へ進み、TM<TSであればステップP7へ進んで、たとえば混合弁体4が最大開閉速度による駆動を開始してから所定時間Tを経過したか否かを判断し、所定時間Tを経過していなければステップP5へ進み、所定時間Tを経過していればステップP8へ進む。ステップP6の所定の条件としては、経過時間、出湯温度の時間変化率や弁開度等を設定してもよい。またステップP7の所定の条件としては、経過時間のほか、出湯温度、出湯温度の時間変化率や弁開度等を設定してもよい。ステップP8では出湯温度TMと設定温度TSとの偏差に応じて制御特性を選定し、その制御特性に従い決定されるバルブ開閉速度で混合弁体4を駆動して出湯温度TMの制御を行う通常の温度制御がなされる。
(発明の効果)
以上説明したように本発明によれば、第3図に示す如く給湯源が冷却状態で出湯を開始するコールドスタート時において、通常の温度制御で生ずるオーバーシュートやアンダーシュートを抑制して出湯温度を速やかに設定温度へ収束させることができるようになるので高温出湯の危険がなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の湯水混合制御装置の一実施例を示す構成図、第2図はフローチャート、第3図はタイミングチャートである。
尚、図面中、2は給水管、3は給湯管、4は混合弁体、5は切換弁体、6はシャワー、7はカラン、8は温度センサ(温度検出手段)、9は混合弁体駆動部、11は制御部、Pは操作部である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】給水源及び給湯源からの水及び湯を混合する混合弁体を混合水管に接続し、該混合水管で前記混合弁体を通過した水と湯を混合するとともに、前記混合水管に該混合水管内の出湯温度を検出する湯温検出手段を設け、該湯温検出手段により検知された出湯温度と設定された設定温度との偏差に基づき一定の制御特性に従って制御部から作動信号を前記混合弁体の駆動部へ送って水と湯との混合割合を制御する湯水混合装置において、前記給湯源が冷却した状態で出湯を開始する場合に、出湯温度と設定温度との偏差が所定温度以内になったならば、前記混合弁体を湯側をしぼって水側を開く方向に駆動した後、前記混合弁体のバルブ開度位置で待機する制御手段を備えることを特徴とする湯水混合制御装置。

【第3図】
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【第1図】
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【第2図】
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【特許番号】第2577402号
【登録日】平成8年(1996)11月7日
【発行日】平成9年(1997)1月29日
【国際特許分類】
【出願番号】特願昭62−278969
【出願日】昭和62年(1987)11月4日
【公開番号】特開平1−121632
【公開日】平成1年(1989)5月15日
【出願人】(999999999)東陶機器株式会社