説明

湯沸器

【課題】湯温が容易に判り、シャワー使用時の安全性と使い勝手の向上を図った湯沸器を提供する。
【解決手段】水を加熱する加熱ヒータ33、加熱ヒータ33で加熱されて得られたお湯の供給及び停止を操作する止水栓30を有する本体20と、本体20外部に設けられ、お湯をシャワーホース26を介して吐出するシャワーヘッド27と、温度表示ユニット36とを備え、温度表示ユニット36は、所定の温度のお湯が流れたときに形状が変化する適温用可変バネ(図示せず)と、適温用可変バネの形状変化に連動して移動する適温表示板(図示せず)を有するもので、シャワー使用開始時、シャワーヘッド27からのお湯を手に掛けることなく、温度表示ユニット36の適温表示板で、湯の温度が適温になったことが判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯やシャワーなどに使用される湯沸器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の湯沸器について、図5、図6を用いて説明する。図5は、従来の湯沸器の斜視図、図6は、同湯沸器の構造を示す図である。
【0003】
図5、6において、入水管1から流入した水は、止水栓2、流量調節弁3を経て水圧検出器4を作動させ、この信号で制御器13を介して加熱ヒータ5の加熱動作を開始させタンク6内で加熱され、出湯管7に接続されたシャワーホース8を介してシャワーヘッド9より吐出されるようになっている。
【0004】
使用時は、まず加熱ヒータ5の容量調節つまみ10で好みの湯温に調節し、次に、止水栓つまみ11を操作することで、容量調節ボリューム14と温度検出器15の信号に基づき、制御器13が加熱ヒータ5を制御し、シャワーヘッド9より所望する温度のお湯を吐出させ、手にシャワーを掛けながら、使用形態に応じて流量調節弁つまみ12で好みの流量に調節する。
【0005】
そして、停止時は、止水栓つまみ11を閉側に操作することで、止水栓2が閉弁状態となり、入水管1からの水の供給が停止され、シャワーヘッド9からのお湯の吐出が停止するようになっている。
【0006】
以上のように、この種の従来の湯沸器は、本体側に設けた止水栓つまみ11の開閉操作によりシャワーヘッド9からお湯を出したり、止めたりする元止め方式が一般的であり、シャワー使用時の使用実態に即して都度、シャワーヘッド9よりお湯を吐出させ、手にシャワーを掛けながら、本体側の容量調節つまみ10を操作するという使い方が採られていた。
【特許文献1】特開平07−280343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来の湯沸器の構成においては、シャワー使用時にその使用実態に即して都度、シャワーヘッド9よりお湯を吐出させ、手にシャワーを掛けながら、本体側の容量調節ボリューム14を操作する必要があり、手間がかかるという不便さを強いられるものであった。また、シャワーヘッド9から、高温のお湯が吐出している確認ができず、シャワーで火傷をする恐れもあるなどの課題があった。
【0008】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、適温調整が簡単で、熱いお湯が吐出していても火傷の恐れもなく、使い勝手のよい湯沸器を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明は、供給される水を加熱する熱源、前記熱源で加熱されて得られたお湯の供給及び停止を操作する止水栓を有する本体と、前記本体外部に設けられ、前記お湯をシャワーホースを介して吐出するシャワーヘッドと、温度表示ユニットとを備え、前記温度表示ユニットは、所定の温度のお湯が流れたときに形状が変化する可変バネと、前記可変バネの形状変化に連動して移動する表示部を有するもので、例えば、シャワーに適した温度で形状が変化する可変バネを使用すれば、シャワー使用開始時、シャ
ワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく、温度表示ユニットの表示部で、湯の温度が適温になったことが判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供できる。また、シャワー使用時に洗髪等で、一次シャワーを停止すると、熱源のオーバーシュートにより、熱源を内装するタンクの内部が昇温されて、次のシャワー使用時に熱湯が吐出する恐れもあったが、高温で形状が変化する可変バネとその変化に応じて連動する表示部を使用すれば、同様に、温度表示ユニットの表示部で、湯が高温になっていることが判り、不具合も解消されるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の湯沸器は、温度表示ユニットの表示部を目視することで湯温が判り、お湯の温度を手で確認する必要もなく、火傷の恐れもなく使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
第1の発明は、供給される水を加熱する熱源、前記熱源で加熱されて得られたお湯の供給及び停止を操作する止水栓を有する本体と、前記本体外部に設けられ、前記お湯をシャワーホースを介して吐出するシャワーヘッドと、温度表示ユニットとを備え、前記温度表示ユニットは、所定の温度のお湯が流れたときに形状が変化する可変バネと、前記可変バネの形状変化に連動して移動する表示部を有するもので、例えば、シャワーに適した温度で形状が変化する可変バネを使用すれば、シャワー使用開始時、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく、温度表示ユニットの表示部で、湯の温度が適温になったことが判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供できる。また、シャワー使用時に洗髪等で、一次シャワーを停止すると、熱源のオーバーシュートにより、熱源を内装するタンクの内部が昇温されて、次のシャワー使用時に熱湯が吐出する恐れもあったが、高温で形状が変化する可変バネとその変化に応じて連動する表示部を使用すれば、同様に、温度表示ユニットの表示部で、湯が高温になっていることが判り、不具合も解消されるものである。
【0012】
第2の発明は、特に、第1の発明の温度表示ユニットをシャワーヘッドに内蔵したもので、シャワーヘッドをつかんだ手元で簡単に湯温が確かめられ、使用勝手を向上させることができる。
【0013】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明の温度表示ユニットで、湯温がシャワーの適温に達したことが判るようにしたもので、シャワー使用開始時、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく本体またはシャワーヘッドの温度表示ユニットの表示部で湯温が判り、安全性の高い、使い勝手がよいものとなり、熱いお湯が吐出するという不具合を解消することができる。
【0014】
第4の発明は、特に、第1〜3のいずれか一つの発明の温度表示ユニットで、湯温がシャワーの適温以上の高温に達したことが判るようにしたもので、シャワー使用開始時、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく、本体またはシャワーヘッドの温度表示ユニットの表示部で湯温が判り、高温の場合は、表示部を確認しながら、本体側に設けられた容量調節つまみ等で適温に調整することができ、安全性の高い、使い勝手がよいものとなり、熱いお湯が吐出するという不具合を解消することができる。
【0015】
第5の発明は、特に、第1の発明の温度表示ユニットを、熱源内の通路適所に設け、前記熱源を内蔵するタンクの下流側内通路に連通する位置に、可変バネ及び表示部を配置すると共に、前記内通路を覆う透明カバーを設け、前記表示部の状況が判るようにしたもので、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく本体の温度表示ユニットの表示部で湯温が判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供することができる。
【0016】
第6の発明は、特に、第1又は第2の発明の温度表示ユニットを、シャワーヘッドの内通路適所に設け、下流側内通路に連通する位置に、可変バネ及び表示部を配置すると共に、前記内通路を覆う透明カバーを設け、前記表示部の状況が判る構成にしたもので、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなくシャワーヘッドの温度表示ユニットの表示部で湯温が判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供することができる。
【0017】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか一つの発明の温度表示ユニットに、適温表示用と高温表示用に、可変バネと表示部のそれぞれを複数設けたもので、シャワーヘッドからのお湯を手に掛けることなく本体またはシャワーヘッドの温度表示ユニットの表示部で湯温が、適温か、高温かが容易に判り、安全性の高い、使い勝手のよい湯沸器を提供することができる。
【0018】
第8の発明は、特に、第1〜7のいずれか一つの発明の熱源として、加熱ヒータを用いたもので、構成が簡素化され、湯沸器を安価に提供することができる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の第1の実施の形態における湯沸器について、電気瞬間湯沸器を例に、図1〜4を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態における電気瞬間湯沸器の外観図、図2は、同電気瞬間湯沸器の内部構造を示すブロック図である。
【0022】
図1、2において、20は、本体、21は、入水管、22は流量調節弁、23は、止水栓つまみ、24は、容量調節つまみ、25は、出湯管、26は、シャワーホース、27は、シャワーヘッド、28は、内部に圧力逃がし弁機構(図示せず)を内蔵した一時止水操作ユニット、29は、熱源、36は、温度表示ユニットである。
【0023】
また、止水栓30、流量検出器31、タンク32、加熱ヒータ33、制御器34、温度検出器35を有しており、熱源29は、タンク32および加熱ヒータ34で構成されている。
【0024】
本実施の形態では、温度表示ユニット36を、加熱ヒータ34で加熱されて得られたお湯が流れる通路の適所に設けている。
【0025】
以上のように構成された本実施の形態における電気瞬間湯沸器の動作を説明する。
【0026】
まず止水栓つまみ23を開操作し、シャワーヘッド27の一時止水操作ユニット28を開位置に操作すると、入水管21から、所定の給水圧で流入された水が、流量調節弁22、止水栓30を経てタンク32に供給される。このとき、流量検出器31は、所定の流量を検出すると制御器34に信号を送る。そしてタンク32に供給された水は、前記流量検出器31が所定の流量を検出しているため、タンク32に内蔵された加熱ヒータ33により加熱され、加熱された水は、出湯管25に接続されたシャワーホース26を通ってシャワーヘッド27より吐出される。
【0027】
また、このときの湯温調節は、容量調節つまみ24を好みの温度に設定することで、容量調節ボリューム(図示せず)、温度検出器35、制御器34によって加熱ヒータ33を制御し、所望する温度に調節することができ、さらに流量調節弁22を調節することで好
みの流量に調節することができ、さらに温度表示ユニット36の表示部を目視することで湯温が判る。
【0028】
このように、容量調節つまみ24及び流量調節弁22を予め設定しておけば、止水栓つまみ23を開操作することで所望する温度のお湯を、シャワーヘッド27から吐出させることができ、さらに温度表示ユニット36の表示部を目視することで湯温が判る。
【0029】
図3は、温度表示ユニット36の構成を示すもので、温度表示ユニット36は、第1の所定の湯温、例えば、シャワーを浴びるのに適切な温度のお湯が、第1の所定量流れると形状が変化する適温用可変バネ37と、前記適温用可変バネ37の形状変化に連動して移動する表示部としての適温表示板40と、第2の所定の温度のお湯、本実施の形態では、高温のお湯が、第2の所定量流れると形状が変化する高温用可変バネ38と、前記高温用可変バネ38の形状変化に連動して移動する表示部としての高温表示板41と、保持用バネ39から構成されており、適温表示板40及び高温表示板41が、表示窓42より目視できるようになっている。
【0030】
本実施の形態では、適温用可変バネ37と、高温用可変バネ38と、適温用表示板40と、高温表示板41を、加熱ヒータ33を内蔵するタンク32の下流側内通路(図示せず)に連通する位置に配置すると共に、その内通路を覆う透明カバー(図示せず)を設け、適温用表示板40と、高温表示板41の移動状況が判るようにしている。
【0031】
上記構成において、その動作を簡単に説明すると、まず、シャワー使用開始時は、図3(a)に示すように、適温用可変バネ37、高温用可変バネ38及び保持用バネ39とも、定常状態となっているが、温度表示ユニット36内に適温の湯が流れると、適温用可変バネ37が伸張し、それに連動して適温表示板40が移動する。
【0032】
そして、図3(b)に示すように、表示窓42から目視できる表示が、表示40aから表示40bへ変わり、使用者が、適温になったことを目視確認できるようになる。
【0033】
さらに、水圧や供給電源の変動や、使用者が誤って容量調節つまみ24に触ってしまった等で、高温水が、温度表示ユニット36内を流れた場合、高温用可変バネ38が伸張し、高温表示板41が連動する。
【0034】
そして、図3(c)に示すように、表示窓42から目視できる表示が、表示41aから表示41bへ変わり、使用者が高温になったことを事前に目視確認できるようになる。
【0035】
図4は、一次止水操作ユニット28を備えたシャワーヘッド27で、通常シャワー位置27aと止水位置28bで、シャワー使用中に洗髪等で一時的にシャワーヘッド27からのお湯の吐出を停止させたい場合は、シャワーヘッド27に設けた一時止水操作ユニット28を、止水位置28b側に操作すれば、手元で容易に止水することができるが、従来は、加熱ヒータ33のオーバーシュートによりタンク32内が昇温されて、次のシャワー使用時に熱湯が吐出する恐れもあったが、本実施の形態では、温度表示ユニット36に表示される表示で、湯温が目視で判り、火傷を起こす不具合も解消される。
【0036】
また、一時止水操作ユニット28による止水操作時は、完全に止水せず、流量検出器31の設定流量以下の流量、つまり加熱ヒータ33が加熱動作を開始する流量以下の流量をシャワーヘッド27から流すようにすれば、給湯経路内は僅かながら流水状態が確保され、止水操作時に起こりやすいタンク32内のオーバーシュートによる昇温効果を抑制することができ、次の吐出時に熱湯が吐出するという不具合を解消することができるとともに、温度表示ユニット36の表示窓42を目視することで湯温が判り、火傷を起こす不具合
も解消される。
【0037】
尚、上記実施の形態では、温度表示ユニット36を本体20に設けたが、シャワーヘッド27に内蔵してもよい。この場合は、温度表示ユニット36を、シャワーヘッド27内で、お湯が流れる通路の適所に設けるようにする。より具体的には、適温用可変バネ37と、高温用可変バネ38と、適温用表示板40と、高温表示板41を、下流側内通路(図示せず)に連通する位置に配置し、さらに、その内通路を覆う透明カバー(図示せず)を設けるようにすれば、適温用表示板40と、高温表示板41の移動状況が容易に判るようにすることができる。
【0038】
上記構成により、湯温を確かめたいとき、わざわざ本体20に近づく必要が無く、手元のシャワーヘッド27の温度表示ユニット36を見るだけで良いので、使用勝手を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の湯沸器は、湯温が容易に判り、シャワー使用時の安全性が高く、また使い勝手の良いもので、各種湯沸器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態における電気瞬間湯沸器の外観図
【図2】同電気瞬間湯沸器の内部構造を示すブロック図
【図3】(a)同電気瞬間湯沸器の温度表示ユニットの構造図(使用開始時)、(b)同温度表示ユニットの構造図(適温時)、(c)同温度表示ユニットの構造図(高温時)
【図4】同電気瞬間湯沸器のシャワーヘッドの外観図
【図5】従来の湯沸器の斜視図
【図6】同湯沸器の構造を示す図
【符号の説明】
【0041】
20 本体
26 シャワーホース
27 シャワーヘッド
28 一時止水操作ユニット
30 止水栓
31 流量検出器
33 加熱ヒータ(熱源)
36 温度表示ユニット
37 適温用可変バネ(可変バネ)
38 高温用可変バネ(可変バネ)
40 適温表示板(表示部)
41 高温表示板(表示部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される水を加熱する熱源、前記熱源で加熱されて得られたお湯の供給及び停止を操作する止水栓を有する本体と、前記本体外部に設けられ、前記お湯をシャワーホースを介して吐出するシャワーヘッドと、温度表示ユニットとを備え、前記温度表示ユニットは、所定の温度のお湯が流れたときに形状が変化する可変バネと、前記可変バネの形状変化に連動して移動する表示部を有することを特徴とする湯沸器。
【請求項2】
温度表示ユニットをシャワーヘッドに内蔵した請求項1に記載の湯沸器。
【請求項3】
温度表示ユニットで、湯温がシャワーの適温に達したことが判るようにした請求項1または2に記載の湯沸器。
【請求項4】
温度表示ユニットで、湯温がシャワーの適温以上の高温に達したことが判るようにした請求項1〜3のいずれか1項に記載の湯沸器。
【請求項5】
温度表示ユニットを、熱源内の通路適所に設け、前記熱源を内蔵するタンクの下流側内通路に連通する位置に、可変バネ及び表示部を配置すると共に、前記内通路を覆う透明カバーを設け、前記表示部の状況が判るようにした請求項1に記載の湯沸器。
【請求項6】
温度表示ユニットを、シャワーヘッドの内通路適所に設け、下流側内通路に連通する位置に、可変バネ及び表示部を配置すると共に、前記内通路を覆う透明カバーを設け、前記表示部の状況が判る構成にした請求項1又は2に記載の湯沸器。
【請求項7】
温度表示ユニットに、適温表示用と高温表示用に、可変バネと表示部のそれぞれを複数設けた請求項1〜6のいずれか1項に記載の湯沸器。
【請求項8】
熱源として、加熱ヒータを用いた請求項1〜7のいずれか1項に記載の湯沸器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−309407(P2008−309407A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158264(P2007−158264)
【出願日】平成19年6月15日(2007.6.15)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】