湾曲動作システム
【課題】管状部を小型化しつつ、精度のよい操作支援情報を算出する。
【解決手段】湾曲動作システム100は、湾曲部115を有する管状部110を備える。湾曲部115は、把持部130内の駆動部132及びチェーン126による、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の牽引又は繰り出しにより湾曲する。第1の変位検出部136は第1のワイヤ122の変位(第1の変位)を検出し、第2の変位検出部138は第2のワイヤ124の変位(第2の変位)を検出する。算出部140は、第1の変位及び第2の変位に基づいて、操作支援情報の一つである湾曲部の湾曲量を算出する。ここで、算出部140は、第1の変位及び第2の変位のうち、湾曲量をよく表すものを選択し、又は加重平均を取ることで、精度よく湾曲量を算出する。
【解決手段】湾曲動作システム100は、湾曲部115を有する管状部110を備える。湾曲部115は、把持部130内の駆動部132及びチェーン126による、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の牽引又は繰り出しにより湾曲する。第1の変位検出部136は第1のワイヤ122の変位(第1の変位)を検出し、第2の変位検出部138は第2のワイヤ124の変位(第2の変位)を検出する。算出部140は、第1の変位及び第2の変位に基づいて、操作支援情報の一つである湾曲部の湾曲量を算出する。ここで、算出部140は、第1の変位及び第2の変位のうち、湾曲量をよく表すものを選択し、又は加重平均を取ることで、精度よく湾曲量を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲動作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡やマニピュレータ等の管状部を備えた装置には、湾曲操作が可能な湾曲部を有するものがある。このような操作可能な湾曲部を持つ内視鏡やマニピュレータには、湾曲部にワイヤが接続されており、そのワイヤを牽引することで湾曲部が湾曲するように構成されているものがある。例えば特許文献1には、湾曲部の近傍に一方の端部が接続された2本のワイヤが設けられており、他方の端部が固定された操作部のドラムによってこの2本のワイヤを変位させ湾曲部を湾曲させる内視鏡に係る技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているような内視鏡やマニピュレータにおいて、操作性を向上させるための操作支援情報を取得することが考えられる。例えば、湾曲部の形状を示す湾曲量や操作部の操作量を操作支援情報として取得することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−087530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作支援情報を取得するために、例えば湾曲部に角度センサ等を設置して、湾曲部の湾曲量を計測する手法がある。しかしながら、湾曲部に配置する角度センサやその角度センサのための配線により、湾曲部は大きくなる。例えばこの湾曲部を備えた管状部が狭い管等に挿入されることが想定される場合、湾曲部の小型化が要求される。これに対して湾曲部に角度センサ等を配置することは、管状部の小型化の支障となる。
【0006】
一方、湾曲部を駆動するためのワイヤの変位をエンコーダ等で取得し、その変位に基づいて例えば湾曲部の湾曲量といった操作支援情報を算出することが考えられる。しかしながら、ワイヤの変位と例えば湾曲部の湾曲量とが1対1の対応関係を有しないことがある。その場合、ワイヤの変位と湾曲部の湾曲量とが1対1に対応する関数に基づいて、ワイヤの変位から湾曲量を求めると、求まる湾曲量が実際の湾曲量と異なる恐れがある。
【0007】
そこで本発明は、管状部を小型化しつつ、精度のよい操作支援情報を算出することができる湾曲動作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を果たすため、本発明の湾曲動作システムの一態様は、細長形状を有する管状部と、所定の可動範囲で湾曲でき、前記管状部に含まれる湾曲部と、一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材と、一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を前記第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材と、前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを変位させる駆動部と、前記第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部と、前記第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部と、前記湾曲部の状態に基づいて前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湾曲部の状態に基づいて第1の変位と第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出するので、管状部を小型化しつつ精度のよい操作支援情報を算出することができる湾曲動作システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例を示すブロック図。
【図2】湾曲部の湾曲量とワイヤの変位との関係を説明するための模式図。
【図3】第1の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例、特に変位検出部の構成例を説明するための図。
【図4】湾曲部の湾曲量と変位検出部の検出範囲との関係の一例を説明するための図。
【図5】湾曲部の湾曲量と変位検出部の検出範囲との関係の別の例を説明するための図。
【図6】湾曲動作システムの構成例、特に変位検出部の別の構成例を説明するための図。
【図7】第1の実施形態に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図8】第1の実施形態によらない場合の湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を説明するための模式図であり、原点付近の拡大図。
【図9】第1の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図。
【図10】第1の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図であり、原点付近の拡大図。
【図11】第1の実施形態の変形例に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図12】第2の実施形態に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図であり、原点付近の拡大図。
【図14】第3の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本実施形態に係る湾曲動作システム100の構成例を示す。湾曲動作システム100は、細長い管状部110を有する。管状部110の一方の端部の近傍には、湾曲部115が設けられている。また、管状部110の他方の端部は、把持部130に接続されている。管状部110の内部には、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが挿通されている。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との一端は、それぞれ湾曲部115の近傍に接続されている。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との他端は、把持部130内において、互いにチェーン126で連結されている。
【0012】
把持部130内には、駆動部132が設けられている。駆動部132は、図示しないスプロケットと、スプロケットを回転させるためのノブとを有する。スプロケットの歯とチェーン126とは噛み合っている。ノブが回転するとスプロケットも回転し、チェーン126に動力が伝達される。その結果、チェーン126に連結されている第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とは、一体として長手方向に変位し、一方のワイヤが牽引され他方のワイヤが繰り出される。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との一端は湾曲部115の近傍に対向して接続されているので、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが長手方向に変位することで、湾曲部115は第1の方向と、第2の方向に湾曲する。第1の方向と第2の方向は逆方向であり、ここでは説明のため、湾曲部115の湾曲を、湾曲部115が真直の状態を基準位置として0と定義し、図1における上側を正の湾曲方向と、下側を負の湾曲方向と定義する。第1のワイヤ122を牽引したとき湾曲部115は正の方向に湾曲し、第2のワイヤ124を牽引したとき湾曲部115は負の方向に湾曲する。
【0013】
本実施形態では、駆動部132をノブとスプロケットとから構成されており、ユーザによってノブが手動で回転させられるものとしている。しかしながらこれに限らず、スプロケットはモータやアクチュエータによって駆動されるように駆動部132を構成してもよい。また、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを変位させるアクチュエータ等、他の駆動手段を有する様に駆動部132を構成してもよい。この場合、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とはチェーン126で連結されていなくてもよく、アクチュエータの動力が第1のワイヤと第2のワイヤとに伝達されるように構成されていればよい。また、第1のワイヤと第2のワイヤとは、連結されていなくてもよく、一方のワイヤが牽引されているときに他方のワイヤが湾曲部115の湾曲に応じて自由に変位できるように構成されていればよい。
【0014】
把持部130内には、第1のワイヤ122の長手方向の変位を検出するための第1の変位検出部136と、第2のワイヤ124の長手方向の変位を検出するための第2の変位検出部138とが設けられている。本実施形態における第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とは、例えばエンコーダである。後述するように、第1のワイヤ122には第1のスケールが固定されており、第2のワイヤ124には第2のスケールが固定されている。第1の変位検出部136は、第1のスケールの変位を検出することで第1のワイヤ122の変位を検出し、第2の変位検出部138は、第2のスケールの変位を検出することで第2のワイヤ124の変位を検出する。
【0015】
第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とは、それぞれ算出部140に接続されている。算出部140は、第1の変位検出部136と第2の変位検出部138との出力に基づいて、湾曲部115の形状を算出する。ここで、湾曲部115の形状とは、例えば湾曲部115の両端における接線がなす角、すなわち、湾曲部115の湾曲開始位置における接線と湾曲終了位置における接線とがなす角(以下、湾曲量と称する)や、湾曲部115の曲率を意味する。本実施形態では、湾曲部115の形状として湾曲量を例に挙げて説明する。湾曲部の形状として、湾曲部115の曲率や、その他の形状を表す表現を用いても以下の説明は同様である。なお、図1に示す本実施形態に係る湾曲動作システム100では、算出部140は把持部130の外部に設けられているが、算出部140は、把持部130の内部に設けられてもよい。算出部140は、湾曲部115の形状に係る情報を出力する。
【0016】
第1のワイヤ122の変位と、湾曲部115の湾曲量との関係を図2(A)に示す。また、第2のワイヤ124の変位と、湾曲部115の湾曲量との関係を図2(B)に示す。ここで、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位は、第1のワイヤ122が牽引される方向を正とし、第2のワイヤ124が牽引される方向を負とする。
【0017】
図2(A)に示すように、第1のワイヤ122の変位が正の場合において、駆動部132によって第1のワイヤ122が牽引されているとき、すなわち、第1のワイヤ122の変位が増加しているとき(変位の絶対値、すなわち、変位量が増加しているとき)と、第2のワイヤ124が牽引されているとき、すなわち、第1のワイヤ122の変位が減少しているとき(変位量が減少しているとき)とで第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係が一致しない。すなわち、ヒステリシス現象が認められる。例えば、第1のワイヤ122の変位が同じでも、第1のワイヤ122が牽引されているときよりも第2のワイヤ124が牽引されているときの方が湾曲部115の湾曲量は大きい(湾曲量の絶対値は大きい)。一方、図2(A)に示すように、第1のワイヤ122の変位が負の場合において、このようなヒステリシスは認められない。
【0018】
同様に、図2(B)に示すように、第2のワイヤ124の変位が負の場合において、駆動部132によって第2のワイヤ124が牽引されているとき、すなわち、第2のワイヤ124の変位が減少しているとき(変位量が増加しているとき)と、第1のワイヤ122が牽引されているとき、すなわち、第2のワイヤ124の変位が増加しているとき(変位量が減少しているとき)とで第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲との関係が一致しない。すなわち、ヒステリシス現象が認められる。例えば、第2のワイヤ124の変位が同じでも、第2のワイヤ124が牽引されているときよりも第1のワイヤ122が牽引されているときの方が湾曲部115の湾曲量は小さい(湾曲量の絶対値は大きい)。一方、図2(B)に示すように、第2のワイヤ124の変位が正の場合において、このようなヒステリシスは認められない。
【0019】
このように、第1のワイヤ122の変位又は第2のワイヤ124の変位の一方のみを用いて、湾曲部115の湾曲量を決定しようとすると、上記のヒステリシスによって、決定される湾曲量に誤差が生じ得る。そこで本実施形態では、算出部140は、第1のワイヤ122の変位と第2のワイヤ124の変位との両方を用いて湾曲部115の湾曲量を決定する。より具体的には、算出部140は、概して湾曲部115の湾曲量が正のとき、第2のワイヤ124の変位に基づいて湾曲部115の湾曲量を決定し、湾曲部115の湾曲量が負のとき、第1のワイヤ122の変位に基づいて湾曲部115の湾曲量を決定する。
【0020】
本実施形態の第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とに係る構成例を図3に示す。図3(A)は湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲している状態を模式的に示し、図3(B)は湾曲部115が真直である状態を模式的に示し、図3(C)は湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲している状態を模式的に示す。図3に示すように、第1のワイヤ122には第1の変位検出部136用のエンコーダスケールである第1のスケール137が固定されており、第2のワイヤ124には第2の変位検出部138用のエンコーダスケールである第2のスケール139が固定されている。
【0021】
本実施形態では、第1のスケール137及び第2のスケール139は、第1の変位検出部136及び第2の変位検出部に対して、それぞれチェーン126側に偏って配置されている。すなわち、図3(A)に示すように、第1のワイヤ122が牽引されて湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲するとき、第2のスケール139が第2の変位検出部138と対向する位置で移動する。したがって、第2の変位検出部138では、主に第1のワイヤ122が牽引されて湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲するときの第2のワイヤ124の変位を計測する。また、図3(C)に示すように、第2のワイヤ124が牽引されて湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲するとき、第1のスケール137が第1の変位検出部136と対向する位置で移動する。したがって、第1の変位検出部136では、主に第2のワイヤ124が牽引されて湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲するときの第1のワイヤ122の変位を計測する。
【0022】
図4に、湾曲部115の湾曲量に対する第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲の関係と、湾曲部115の湾曲量に対する第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲の関係とを示す。第1の変位検出部136及び第1のスケール137は、湾曲部115の負の湾曲方向の全ての範囲と、湾曲部115が湾曲していない状態から正の湾曲方向の後述する第1の閾値aを含む範囲とにおける湾曲量を検出する。一方、第2の変位検出部138及び第2のスケール139は、湾曲部115の正の湾曲方向の全ての範囲と、湾曲部115が湾曲していない状態から負の湾曲方向の後述する第2の閾値bを含む範囲とにおける湾曲量を検出する。ここで、第1の閾値aはa>0であり、第2の閾値bはb<0である。以上のように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とは、一部重複する。
【0023】
なお、図5(A)に示すように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とが重複しないように設定することもできる。また、図5(B)に示すように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とを、ともに湾曲部115の湾曲範囲の全てとすることもできる。この場合、第1のスケール137及び第2のスケール139の配置は、図6に示すようになる。
【0024】
把持部130内の第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の周辺のスペースは限られているので、場合によっては、第1のスケール137及び第2のスケール139が他の構成物と干渉し、長い第1のスケール137及び第2のスケール139を配置できないことがあり得る。したがって、図3及び図4を参照して説明したように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とを調整することで、第1のスケール137及び第2のスケール139を短くすることができ、その配置の容易となる。その結果、湾曲動作システム100の設計の自由度が向上する。
【0025】
次に湾曲動作システム100の動作を説明する。ユーザは、把持部130を把持して、管状部110の湾曲部115を所望の角度だけ湾曲させるために、駆動部132を操作する。すなわち、ユーザは駆動部132のノブを回転させる。このノブが回転することでスプロケットが回転すると、スプロケットと噛み合っているチェーン126が変位する。チェーン126の変位に伴って、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが変位する。その結果、管状部110の湾曲部115が湾曲する。
【0026】
このとき、第1のワイヤ122に固定された第1のスケール137と、第2のワイヤ124に固定された第2のスケール139とは変位する。第1の変位検出部136は、第1のスケール137の変位を電気信号に変換して算出部140に出力する。ここで、第1のスケール137の変位、すなわち第1のワイヤ122の変位を、第1の変位Enc1とする。同様に、第2の変位検出部138は、第2のスケール139の変位を電気信号に変換して算出部140に出力する。ここで、第2のスケール139の変位、すなわち第2のワイヤ124の変位を、第2の変位Enc2とする。
【0027】
算出部140における処理を図7に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS1において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。
【0028】
ステップS2において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて、下記式(1)より、湾曲部115の湾曲量の仮の値である第1の仮湾曲量θ1を算出する。
θ1=α1×Enc1 (1)
同様に、算出部140は、第2の変位Enc2に基づいて、下記式(2)より、湾曲部115の湾曲量の仮の値である第2の仮湾曲量θ2を算出する。
θ2=α2×Enc2 (2)
ここで、α1とα2とは所定の定数である。
【0029】
定数α1は、予め湾曲部115を負の湾曲方向に湾曲させたときの第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を求め、その関係に基づいて決定しておく。同様に、定数α2は、予め湾曲部115を正の湾曲方向に湾曲させたときの第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を求め、その関係に基づいて決定しておく。なお、定数α1と定数α2とは、一般にほぼ等しいので、定数α1と定数α2とのうち一方を求め、その値を定数α1及び定数α2の両方として用いてもよい。なお、上記式(1)及び(2)では、湾曲部115の湾曲量と第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2との関係を単純な比例関係としているが、これに限らず、これらの関係を十分によく表す式であれば、高次の式等、どのような式を用いてもよい。
【0030】
また、上記式(1)及び(2)を用いる代わりに、湾曲部115を負の湾曲方向に湾曲させたときの第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係と、湾曲部115を正の湾曲方向に湾曲させたときの第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を予め求めておき、これらの関係をテーブルとして用意しておいてもよい。この場合、算出部140は、そのテーブルに基づいて、第1の変位Enc1から第1の仮湾曲量θ1を決定し、第2の変位Enc2から第2の仮湾曲量θ2を決定する。
【0031】
ここで、負の湾曲方向に湾曲している際には第1の仮湾曲量θ1を、正の湾曲方向に湾曲している際には第2の仮湾曲量θ2を最終的な湾曲量とする方法は、湾曲部115の実際の湾曲量が0(真っ直ぐ)のときに、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが一致、又は使用上問題ない範囲の差であればよい。しかしながら、図8に示す様に、湾曲部115の実際の湾曲量が0のときに、管状部110や把持部130の構造に起因して同時に第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが0になるとは限らず、若干のずれが生じることがある。このとき、単純に湾曲量が0以上であるか否かを条件として第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との選択を変えて最終的な湾曲量とすると、湾曲量の値が飛んでしまったり、実際の湾曲方向と逆の変化を示してしまったりする場合がある。そのため、ユーザにとって、操作ノブを回転した量に対して、算出された湾曲量の変化に違和感が生じる。そこで、次のアルゴリズムにより、算出した湾曲量の値が飛んだり、実際の湾曲方向と逆の変化が起きたりしない算出を行う。
【0032】
ステップS3において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2に基づいて、下記表1に示す関係を参照して湾曲部115の湾曲量を算出するための変換式(値の処理方法)を選択する。
【表1】
【0033】
ステップS4において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2に基づいて、ステップS3で選択した変換式を用いて、湾曲部115の湾曲量を決定する。すなわち、表1に示すように、θ1≧aかつθ2≧aのとき、又は、b<θ1<aかつθ2≧aのとき、第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とする。また、θ1>aかつb<θ2<aのとき、b<θ1<aかつb<θ2<aのとき、又は、b<θ1<aかつθ2<bのとき、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とを用いた加重平均を湾曲部115の湾曲量とする。また、θ1≦bかつb<θ2<a、又は、θ1≦bかつθ2≦bのとき、第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とする。
【0034】
ここで、湾曲部115の湾曲量θを表す加重平均を求める式には、例えば次式(3)を用いる。
θ=f(θ1,θ2)×θ1+(1−f(θ1,θ2))×θ2 (3)
上記式(3)の具体例として、下記式(4)を用いることができる。
【数1】
【0035】
上記の説明では、重みに係る関数に第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とを用いているが、第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2を用いても同様である。その場合、上記式(3)は、例えば下記式(5)で表される。
θ=f(Enc1,Enc2)×θ1+(1−f(Enc1,Enc2))×θ2 (5)
【0036】
また、第1の変位Enc1と前記第2の変位Enc2とに係る関数を重みとする第1の変位Enc1と第2の変位Enc2との加重平均に基づいて湾曲量θを算出する方法として、下記式(6)及び(7)のように求めてもよい。すなわち、初めに第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2の加重平均値Encを求め、加重平均値Encから関数hを用いて湾曲量θを求めてもよい。
Enc=f(Enc1,Enc2)×Enc1+(1−f(Enc1,Enc2))×Enc2 (6)
θ=h(Enc) (7)
【0037】
湾曲部115の実際の湾曲量に対する、第1の仮湾曲量θ1、第2の仮湾曲量θ2、及び算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量の関係を表す模式図を図9及び図10に示す。図10は、図9の原点付近の拡大図の一部である。図9及び図10において、一点鎖線は第1の仮湾曲量θ1を示し、破線は第2の仮湾曲量θ2を示し、実線は算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量を示す。なお、図9及び図10においては、実際には完全に一致する線も図の見易さのため、わずかにずらして描いてある。
【0038】
これら図に示すように、算出部140は、概して湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲しているときは、第1の変位検出部136の出力に基づく第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲しているときは、第2の変位検出部138の出力に基づく第2の仮湾曲量θ2を、湾曲部115の湾曲量とし、第1の閾値aと第2の閾値bとの間では、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とに基づく加重平均を算出することで湾曲部115の湾曲量としている。
【0039】
ステップS5において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。出力された湾曲量に基づいて、湾曲動作システム100や他の装置は、例えば、決定した湾曲量の値や湾曲量を表す図やグラフをディスプレイ等に表示させ、ユーザに提示してもよい。また、出力された湾曲量に基づいて、湾曲動作システム100や他の装置は、出力された湾曲量を任意の制御に用いてもよい。ステップS6において算出部140は、湾曲量の算出処理の終了が指示されているか否かを判定する。終了の指示がされていなければ、処理はステップS1に戻される。一方、終了の指示がなされていれば、一連の処理は終了する。
【0040】
本実施形態では、上述のように湾曲部115の湾曲量を決定することで、精度よく湾曲量を決定することができる。すなわち、第1のワイヤ122の第1の変位Enc1、又は第2のワイヤ124の第2の変位Enc2の何れか一方のみを用いて湾曲部115の湾曲量を算出すると、例えばヒステリシスに由来して湾曲量と第1のワイヤ122又は第2のワイヤ124の変位が1対1に対応せずに湾曲量が算出できなかったり、算出した湾曲量に含まれる誤差が大きくなったりすることがあり得る。これに対して本実施形態では、第1の変位Enc1と第2の変位Enc2との両方を用いることで、精度よく湾曲部115の湾曲量を決定することができる。精度のよい湾曲量の検出により、例えばユーザによる湾曲部115の操作性を向上させたり、システムの制御の質を向上させたりすることができる。
【0041】
また、湾曲部115の湾曲量が第1の閾値aと第2の閾値bとの間にある状態において、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とに基づく加重平均を算出することで、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とのずれを滑らかにつなぐことができる。すなわち、例えば、単純に第1の仮湾曲量θ1が負のときは第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、第1の仮湾曲量θ1が正のときは第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とする場合を考えると、実際の湾曲部115の湾曲量と算出部140が決定する湾曲量とは、例えば図8に示すような関係になる。この場合、第1の仮湾曲量θ1を用いる場合と第2の仮湾曲量θ2を用いる場合との切り替え時に、例えば実際の湾曲量連続的に増加しているにも関わらず、算出部140が決定する湾曲量の値が不連続に減少すること、すなわち不連続な逆転現象が起こり得る。このような不連続さや、湾曲量変化の逆転現象は、例えば湾曲量をユーザに提示する場合にはユーザに違和感を与えることになる。これに対して本実施形態では、上述のとおり算出部140が決定する湾曲量を滑らかに連続的に変化させるため、ユーザに違和感を与えない。
【0042】
なお、湾曲部115の実際の湾曲量が0のとき(湾曲部115が真直のとき)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが一致する場合、又は使用上問題ない程度の差しか存在しない場合、例えば湾曲量が負のときは第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、湾曲量が正のときは第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とするような湾曲量の決定方法を用いることもできる。この場合、図5(A)に示したように、第1のスケール137を湾曲量が負となる範囲のみを計測できる長さとし、第2のスケール139を湾曲量が負となる範囲のみを計測できる長とするように設計してもよい。その結果、第1のスケール137及び第2のスケール139をさらに短縮化することができ、湾曲動作システム100の設計の自由度がさらに向上する。
【0043】
また、本実施形態で説明した上記式(3)乃至式(7)はもちろん一例であり、その他の関数でもよい。例えば第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2と湾曲部115の実際の湾曲量との関係をよく表す、第1の閾値aと第2の閾値bとの間を含む連続した他の関数を用いることが考えられる。
【0044】
本実施形態において、第1の変位検出部136及び第2の変位検出部138を把持部130に配置することによって、湾曲部115が配置された管状部110の先端側を小型化しつつ、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位を検出することができる。このため、本実施形態の湾曲部115が配置された管状部110は、例えば体腔内や管空といった狭い空間へ挿入することができる管状部を実現できる。
【0045】
また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、第1のスケール137及び第2のスケール139を、算出部140が湾曲量を決定するために必要な第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の移動範囲のみに配置している。このことで、第1のスケール137及び第2のスケール139を短縮化することができ、湾曲動作システム100の設計の自由度が向上する。
【0046】
本実施形態では、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とをチェーン126で連結し、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを一体として長手方向に変位させている。このようにすることで、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とをそれぞれ別個に駆動させる必要がない。本実施形態では、ノブを用いてチェーン126と噛み合っているスプロケットを回転させるだけで第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを変位させること、すなわち、湾曲部115を湾曲させることができる。また、ユーザがノブを回転させる代わりに、モータ等により駆動する場合も、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124のそれぞれにモータを設ける必要が無く、スプロケットに1つのモータを設けるだけで本システムを実現することができる。
【0047】
このように、例えば管状部110は、細長形状を有する管状部として機能する。例えば湾曲部115は、所定の可動範囲で湾曲でき、管状部に含まれる湾曲部として機能する。例えば第1のワイヤ122は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材として機能する。例えば第2のワイヤ124は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材として機能する。例えば駆動部132は、第1の線状部材と第2の線状部材とを変位させる駆動部として機能する。例えば第1の変位検出部136は、第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部として機能する。例えば第2の変位検出部138は、第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部として機能する。例えば算出部140は、湾曲部の状態に基づいて第1の変位と第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部として機能する。例えば湾曲量は、操作支援情報として機能する。例えば湾曲部が真直の状態の位置は、基準位置として機能する。例えば第1の閾値aは、湾曲部が基準位置から第1の方向に所定量湾曲した状態を表す第1の湾曲閾値として機能し、例えば第2の閾値bは、湾曲部が基準位置から第2の方向に所定量湾曲した状態を表す第2の湾曲閾値として機能する。例えばチェーン126は、第1の線状部材の他端と第2の線状部材の他端とを連結する連結部材として機能する。
【0048】
本実施形態では、線状部材として第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124を例に挙げたが、これに限らない。材質は金属に限らず樹脂その他の高分子化合物でもよく、線状の部材であり長手方向に移動して動力を伝達するものであればよい。また、本実施形態では、変位検出部としてエンコーダを例に挙げたが、これに限らない。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との変位を検出できれば、どのような検出器を用いてもよい。
【0049】
本実施形態では、管状部110が真直の状態を基準位置としているが、基準位置に対して湾曲部115の実際の湾曲量及び第1のワイヤ122の変位の関係と、湾曲部115の実際の湾曲量及び第2のワイヤ124の変位の関係とが対称となっていれば、基準位置は管状部110が湾曲した状態としても、上記と同様に構成できる。
【0050】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、算出部140は、湾曲部115の湾曲量を出力している。これに対して本変形例では、算出部140は、駆動部132の駆動量を出力する。ここで、本変形例において駆動量とは、ユーザが操作したノブの操作量である。
【0051】
本変形例では、第1の実施形態の場合における第1の変位Enc1と湾曲部115の湾曲量との関係と同様に、第1のワイヤ122の第1の変位Enc1とノブの駆動量との関係を予め取得しておく。同様に、第2のワイヤ124の第2の変位Enc2とノブの駆動量との関係を予め取得しておく。算出部140は、これらの関係を利用して、第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2に基づいてノブの駆動量を求めることができる。
【0052】
本変形例における算出部140の処理の一例を図11に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS21において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS22において算出部140は、第1の変位に基づいて、上述の第1の変位Enc1とノブの駆動量との関係を用いて、ノブの仮の駆動量である第1の仮駆動量D1を算出する。また、算出部140は、第2の変位Enc2に基づいて、上述の第2の変位Enc2とノブの駆動量との関係を用いて、ノブの仮の駆動量である第2の仮駆動量D2を算出する。
【0053】
ステップS23において算出部140は、第1の仮駆動量D1及び第2の仮駆動量D2に基づいて、例えば表1に示したものと同様の下記表2を参照して、第1の実施形態の場合と同様に、変換式を選択する。
【表2】
【0054】
ステップS24において算出部140は、第1の仮駆動量D1及び第2の仮駆動量D2に基づいて、駆動部132の駆動量Dを決定する。例えば、第1の仮駆動量D1が駆動量Dを適切に表す場合には、第1の仮駆動量D1を駆動量Dとし、第2の仮駆動量D2が駆動量Dを適切に表す場合には、第2の仮駆動量D2を駆動量Dとし、それらの間の条件においては、第1の仮駆動量D1と第2の仮駆動量D2との加重平均を駆動量Dとする。
【0055】
ステップS25において算出部140は、決定した駆動量Dを出力する。ステップS26において算出部140は、処理の終了の指示が入力されたか否かを判定する。終了の指示が入力されていなければ処理はステップS21に戻され、終了の指示が入力されていれば処理は終了させられる。
【0056】
本変形例によれば、算出部140から駆動部132の駆動量Dが出力される。この駆動量Dを例えばユーザに提示することで、ユーザの操作を支援したり、この駆動量Dをシステムの制御に用いたりすることができる。また、第1の仮駆動量D1と第2の仮駆動量D2とに基づいて、より現実の駆動量に近い値を用いたり加重平均を取ったりすることにより、精度の高い駆動量の算出を行うことができる。なお、本実施形態では、ユーザが駆動部132のノブを回転させる構成としたが、駆動部132は、アクチュエータやモータを含む構成としてもよい。
【0057】
このように、例えば駆動量は、操作支援情報として機能する。第1の実施形態と本変形例とのように、操作支援情報には種々の情報を該当させることができる。例えば第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位そのものも操作支援情報になり得るし、湾曲部115の形状やワイヤの牽引力や、湾曲部115に掛かる応力など、ワイヤの第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位に基づいて算出される値は、操作支援情報として機能する。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、算出部140は、第1の仮湾曲量θ1の値と第2の仮湾曲量θ2の値との組み合わせに基づいて、湾曲部115の湾曲量を決定している。これに対して本実施形態では、算出部140は、第1の仮湾曲量θ1の値と第2の仮湾曲量θ2とのうち何れか一方を、湾曲部115の湾曲量として選択する。本実施形態では、算出部140は、湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定する状態から第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定する状態に変更する際に、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定値以下となることを条件としている。
【0059】
本実施形態に係る算出部140の処理の一例を図12に示す。ステップS31において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS32において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて第1の仮湾曲量θ1を算出し、第2の変位Enc2に基づいて第2の仮湾曲量θ2を算出する。
【0060】
ステップS33において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1が0より小さいか否かを判定する。第1の仮湾曲量θ1が0より小さいとき、処理はステップS34に移される。ステップS34において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量として決定する。ステップS35において算出部140は、現在の湾曲量の決定が第1の仮湾曲量θ1に基づくか第2の仮湾曲量θ2に基づくかを表す変数FLAGに1を代入する。その後、処理は、ステップS38に移される。一方、ステップS33における判定において、第1の仮湾曲量θ1が0より小さくなければ、処理はステップS36に移される。ステップS36において算出部140は、第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量として決定する。ステップS37において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後、処理はステップS38に移される。ステップS38において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。
【0061】
ステップS39において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS40において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて第1の仮湾曲量θ1を算出し、第2の変位Enc2に基づいて第2の仮湾曲量θ2を算出する。
【0062】
ステップS41において算出部140は、前回取得した第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2と、今回取得した第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2とを比較して、湾曲部115の湾曲量は増加しているか減少しているか、すなわち、正の湾曲方向に湾曲している最中か負の湾曲方向に湾曲している最中かを算出する。
【0063】
ステップS42において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さいか否かを判定する。ステップS42の判定において条件を満たすとき、処理はステップS43に移される。ステップS42の判定において条件を満たさないとき、処理はステップS50に移される。
【0064】
ステップS43において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さいか否かを判定する。差が小さいとき、処理はステップS44に移される。差が小さくないとき、処理はステップS50に移される。ステップS44において算出部140は、湾曲量が増加しており、かつ変数FLAG=1であるか否かを判定する。ステップS44における判定の条件を満たすとき、処理はステップS45に移される。一方、ステップS44における判定の条件を満たさないとき、処理はステップS47に移される。
【0065】
ステップS45において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2に決定する。ステップS46において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0066】
ステップS47において算出部140は、湾曲量が減少しており、かつ変数FLAG=2であるか否かを判定する。ステップS47における判定の条件を満たすとき、処理はステップS48に移される。一方、ステップS47における判定の条件を満たさないとき、処理はステップS50に移される。ステップS48において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に決定する。ステップS49において算出部140は、変数FLAGに1を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0067】
ステップS50において算出部140は、変数FLAGが1であるか否かを判定する。変数FLAGが1であるとき、すなわち、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1としているとき、処理はステップS51に移される。ステップS51において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に決定する。ステップS52において算出部140は、変数FLAGに1を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0068】
ステップS50の判定において変数FLAGが1でないとき、すなわち、変数GLAGが2であり湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2としているとき、処理はステップS53に移される。ステップS53において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2に決定する。ステップS54において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0069】
ステップS55において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。ステップS56において算出部140は、処理の終了の指示が入力されたか否かを判定する。終了の指示が入力されていなければ処理はステップS39に戻され、終了の指示が入力されていれば処理が終了させられる。
【0070】
本実施形態によれば、湾曲部115の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量θ1、第2の仮湾曲量θ2及び算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量の関係を表す模式図は図13のようになる。図13は、湾曲量が負の方向から正の方向へ変化している場合の例を示す。この図に示すように、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく(ステップS42においてYes)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さく(ステップS43においてYes)、湾曲量は増加しており、かつ現在湾曲量は第1の仮湾曲量θ1となっている(ステップS44においてYes)とき、湾曲量は、第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定される状態から第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態に変更される。
【0071】
逆に、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく(ステップS42においてYes)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さく(ステップS43においてYes)、湾曲量は減少しており、かつ現在湾曲量は第2の仮湾曲量θ2となっている(ステップS47においてYes)とき、湾曲量は、第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態から第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定される状態に変更される。上記以外の場合、湾曲量は、第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態から変更されない(ステップS50乃至ステップS54)。
【0072】
本実施形態によれば、算出部140によって決定される湾曲量の不連続性は、ステップS43の設定値に応じて、無視できる程度に小さく設定することができる。その結果、例えばユーザによる湾曲部115の操作性を向上させたり、システムの制御の質を向上させたりすることができる。
【0073】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、湾曲部115は、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とによって、一つの平面上で湾曲する構成について説明した。これに対して本実施形態では、湾曲部115が直交する2つの方向に湾曲操作ができる。すなわち、第1と第2の方向に湾曲でき、さらに第1と第2の方向に直交する方向である第3と第4の方向に湾曲できる。ここで、第1と第2の方向は逆方向であり、同様に第3と第4の方向は逆方向である。湾曲部115は、直交する2つの方向の湾曲操作の組合せにより、直交する2つの方向のみならず全ての方向へ湾曲が可能である。だたし、直交する2つの湾曲方向のみに湾曲可能であってもかまわない。また、第3実施形態では直交する2つの方向に湾曲操作ができるとしたが、2つの方向は直交でなくてもかまわない。
【0074】
本実施形態に係る湾曲動作システム200の構成例の概略を図14に示す。この図に示すように、湾曲動作システム200は、第1の実施形態に係る湾曲動作システム100に加えて以下を有する。すなわち、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124によって湾曲する第1及び第2の方向の湾曲に対して、直交する第3及び第4の方向の湾曲を設ける。湾曲動作システム200は、第2の方向に湾曲部115を湾曲させるため、第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とを有する。第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とは、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とがチェーン126(以下、このチェーンを第1のチェーン126と称する)で連結されているのと同様に、第2のチェーン226で連結されている。第2のチェーン226は、駆動部132に設けられた第2のスプロケットと噛み合っており、第2のスプロケットは第2のノブと連結している。ユーザが駆動部132の第2のノブを回転させることによって第2のスプロケットが回転し、第2のチェーン226が変位する。第2のチェーン226の変位に伴って、第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とが変位し、湾曲部115は第3または第4の方向に湾曲する。このように、第3のワイヤ222、第4のワイヤ224、及び第2のチェーン226は、それぞれ第1のワイヤ122、第2のワイヤ124、及び第1のチェーン126に対応し、それらと同様に機能する。
【0075】
湾曲動作システム200は、第3のワイヤ222の変位を検出するために第3の変位検出部236を有する。第3の変位検出部236は、例えばエンコーダであり、第3のワイヤ222には、図示しないエンコーダスケールが固定されている。第3の変位検出部236は、第3のワイヤ222の変位に係るデータを算出部140に出力する。同様に、湾曲動作システム200は、第4のワイヤ224の変位を検出するために第4の変位検出部238を有する。第4の変位検出部238は、例えばエンコーダであり、第4のワイヤ224には、図示しないエンコーダスケールが固定されている。第4の変位検出部238は、第4のワイヤ224の変位に係るデータを算出部140に出力する。このように、第3の変位検出部236及び第4の変位検出部238は、それぞれ第1の変位検出部136及び第2の変位検出部138に対応し、それらと同様に機能する。
【0076】
算出部140は、第3及び第4の方向の湾曲量を、図7乃至図10を参照して説明した第1の実施形態の場合と同様に、第3の変位検出部236及び第4の変位検出部238の出力に基づいて算出する。本実施形態によれば、湾曲部115の湾曲とその湾曲量の決定について、第1の実施形態と同様の機能し同様の効果が得られる。
【0077】
本実施形態によれば、湾曲部115は、第1及び第2の方向と第3及び第4の方向とについて自在に湾曲するので、湾曲部115に対するひねり以外の方向について、任意の方向に湾曲部115を湾曲させることができる。また、本実施形態によれば、第1及び第2の方向と第3及び第4の方向の湾曲量を算出することができる。なお、本実施形態では、湾曲方向が2方向の場合を例に挙げて説明したが、2方向に限らず3方向以上でも同様である。また、第1の実施形態の変形例と同様に第1のノブの駆動量を出力するように構成してもよいし、第2の実施形態と同様に湾曲量を決定してもよい。
【0078】
このように、例えば第3のワイヤ222は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を、第1の方向及び第2の方向とは異なる第3の方向に湾曲させる動力を伝達する第3の線状部材として機能する。例えば第4のワイヤ224は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を、第3の方向と逆方向である第4の方向に湾曲させる動力を伝達する第4の線状部材として機能する。例えば第3の変位検出部236は、第3の線状部材の変位を第3の変位として取得する第3の変位検出部として機能する。例えば第4の変位検出部238は、第4の線状部材の変位を第4の変位として取得する第4の変位検出部として機能する。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
100…湾曲動作システム、110…管状部、115…湾曲部、122…第1のワイヤ、124…第2のワイヤ、126…チェーン、130…把持部、132…駆動部、136…第1の変位検出部、137…第1のスケール、138…第2の変位検出部、139…第2のスケール、140…算出部、200…湾曲動作システム、222…第3のワイヤ、224…第4のワイヤ、226…第2のチェーン、236…第3の変位検出部、238…第4の変位検出部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲動作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば内視鏡やマニピュレータ等の管状部を備えた装置には、湾曲操作が可能な湾曲部を有するものがある。このような操作可能な湾曲部を持つ内視鏡やマニピュレータには、湾曲部にワイヤが接続されており、そのワイヤを牽引することで湾曲部が湾曲するように構成されているものがある。例えば特許文献1には、湾曲部の近傍に一方の端部が接続された2本のワイヤが設けられており、他方の端部が固定された操作部のドラムによってこの2本のワイヤを変位させ湾曲部を湾曲させる内視鏡に係る技術が開示されている。
【0003】
特許文献1に開示されているような内視鏡やマニピュレータにおいて、操作性を向上させるための操作支援情報を取得することが考えられる。例えば、湾曲部の形状を示す湾曲量や操作部の操作量を操作支援情報として取得することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−087530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
操作支援情報を取得するために、例えば湾曲部に角度センサ等を設置して、湾曲部の湾曲量を計測する手法がある。しかしながら、湾曲部に配置する角度センサやその角度センサのための配線により、湾曲部は大きくなる。例えばこの湾曲部を備えた管状部が狭い管等に挿入されることが想定される場合、湾曲部の小型化が要求される。これに対して湾曲部に角度センサ等を配置することは、管状部の小型化の支障となる。
【0006】
一方、湾曲部を駆動するためのワイヤの変位をエンコーダ等で取得し、その変位に基づいて例えば湾曲部の湾曲量といった操作支援情報を算出することが考えられる。しかしながら、ワイヤの変位と例えば湾曲部の湾曲量とが1対1の対応関係を有しないことがある。その場合、ワイヤの変位と湾曲部の湾曲量とが1対1に対応する関数に基づいて、ワイヤの変位から湾曲量を求めると、求まる湾曲量が実際の湾曲量と異なる恐れがある。
【0007】
そこで本発明は、管状部を小型化しつつ、精度のよい操作支援情報を算出することができる湾曲動作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を果たすため、本発明の湾曲動作システムの一態様は、細長形状を有する管状部と、所定の可動範囲で湾曲でき、前記管状部に含まれる湾曲部と、一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材と、一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を前記第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材と、前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを変位させる駆動部と、前記第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部と、前記第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部と、前記湾曲部の状態に基づいて前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、湾曲部の状態に基づいて第1の変位と第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出するので、管状部を小型化しつつ精度のよい操作支援情報を算出することができる湾曲動作システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例を示すブロック図。
【図2】湾曲部の湾曲量とワイヤの変位との関係を説明するための模式図。
【図3】第1の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例、特に変位検出部の構成例を説明するための図。
【図4】湾曲部の湾曲量と変位検出部の検出範囲との関係の一例を説明するための図。
【図5】湾曲部の湾曲量と変位検出部の検出範囲との関係の別の例を説明するための図。
【図6】湾曲動作システムの構成例、特に変位検出部の別の構成例を説明するための図。
【図7】第1の実施形態に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図8】第1の実施形態によらない場合の湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を説明するための模式図であり、原点付近の拡大図。
【図9】第1の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図。
【図10】第1の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図であり、原点付近の拡大図。
【図11】第1の実施形態の変形例に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図12】第2の実施形態に係る湾曲動作システムにおける算出部の処理の一例を示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態に係る湾曲部の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量、第2の仮湾曲量、及び算出部が検定した湾曲量の関係の一例を示す模式図であり、原点付近の拡大図。
【図14】第3の実施形態に係る湾曲動作システムの構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本実施形態に係る湾曲動作システム100の構成例を示す。湾曲動作システム100は、細長い管状部110を有する。管状部110の一方の端部の近傍には、湾曲部115が設けられている。また、管状部110の他方の端部は、把持部130に接続されている。管状部110の内部には、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが挿通されている。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との一端は、それぞれ湾曲部115の近傍に接続されている。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との他端は、把持部130内において、互いにチェーン126で連結されている。
【0012】
把持部130内には、駆動部132が設けられている。駆動部132は、図示しないスプロケットと、スプロケットを回転させるためのノブとを有する。スプロケットの歯とチェーン126とは噛み合っている。ノブが回転するとスプロケットも回転し、チェーン126に動力が伝達される。その結果、チェーン126に連結されている第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とは、一体として長手方向に変位し、一方のワイヤが牽引され他方のワイヤが繰り出される。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との一端は湾曲部115の近傍に対向して接続されているので、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが長手方向に変位することで、湾曲部115は第1の方向と、第2の方向に湾曲する。第1の方向と第2の方向は逆方向であり、ここでは説明のため、湾曲部115の湾曲を、湾曲部115が真直の状態を基準位置として0と定義し、図1における上側を正の湾曲方向と、下側を負の湾曲方向と定義する。第1のワイヤ122を牽引したとき湾曲部115は正の方向に湾曲し、第2のワイヤ124を牽引したとき湾曲部115は負の方向に湾曲する。
【0013】
本実施形態では、駆動部132をノブとスプロケットとから構成されており、ユーザによってノブが手動で回転させられるものとしている。しかしながらこれに限らず、スプロケットはモータやアクチュエータによって駆動されるように駆動部132を構成してもよい。また、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを変位させるアクチュエータ等、他の駆動手段を有する様に駆動部132を構成してもよい。この場合、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とはチェーン126で連結されていなくてもよく、アクチュエータの動力が第1のワイヤと第2のワイヤとに伝達されるように構成されていればよい。また、第1のワイヤと第2のワイヤとは、連結されていなくてもよく、一方のワイヤが牽引されているときに他方のワイヤが湾曲部115の湾曲に応じて自由に変位できるように構成されていればよい。
【0014】
把持部130内には、第1のワイヤ122の長手方向の変位を検出するための第1の変位検出部136と、第2のワイヤ124の長手方向の変位を検出するための第2の変位検出部138とが設けられている。本実施形態における第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とは、例えばエンコーダである。後述するように、第1のワイヤ122には第1のスケールが固定されており、第2のワイヤ124には第2のスケールが固定されている。第1の変位検出部136は、第1のスケールの変位を検出することで第1のワイヤ122の変位を検出し、第2の変位検出部138は、第2のスケールの変位を検出することで第2のワイヤ124の変位を検出する。
【0015】
第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とは、それぞれ算出部140に接続されている。算出部140は、第1の変位検出部136と第2の変位検出部138との出力に基づいて、湾曲部115の形状を算出する。ここで、湾曲部115の形状とは、例えば湾曲部115の両端における接線がなす角、すなわち、湾曲部115の湾曲開始位置における接線と湾曲終了位置における接線とがなす角(以下、湾曲量と称する)や、湾曲部115の曲率を意味する。本実施形態では、湾曲部115の形状として湾曲量を例に挙げて説明する。湾曲部の形状として、湾曲部115の曲率や、その他の形状を表す表現を用いても以下の説明は同様である。なお、図1に示す本実施形態に係る湾曲動作システム100では、算出部140は把持部130の外部に設けられているが、算出部140は、把持部130の内部に設けられてもよい。算出部140は、湾曲部115の形状に係る情報を出力する。
【0016】
第1のワイヤ122の変位と、湾曲部115の湾曲量との関係を図2(A)に示す。また、第2のワイヤ124の変位と、湾曲部115の湾曲量との関係を図2(B)に示す。ここで、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位は、第1のワイヤ122が牽引される方向を正とし、第2のワイヤ124が牽引される方向を負とする。
【0017】
図2(A)に示すように、第1のワイヤ122の変位が正の場合において、駆動部132によって第1のワイヤ122が牽引されているとき、すなわち、第1のワイヤ122の変位が増加しているとき(変位の絶対値、すなわち、変位量が増加しているとき)と、第2のワイヤ124が牽引されているとき、すなわち、第1のワイヤ122の変位が減少しているとき(変位量が減少しているとき)とで第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係が一致しない。すなわち、ヒステリシス現象が認められる。例えば、第1のワイヤ122の変位が同じでも、第1のワイヤ122が牽引されているときよりも第2のワイヤ124が牽引されているときの方が湾曲部115の湾曲量は大きい(湾曲量の絶対値は大きい)。一方、図2(A)に示すように、第1のワイヤ122の変位が負の場合において、このようなヒステリシスは認められない。
【0018】
同様に、図2(B)に示すように、第2のワイヤ124の変位が負の場合において、駆動部132によって第2のワイヤ124が牽引されているとき、すなわち、第2のワイヤ124の変位が減少しているとき(変位量が増加しているとき)と、第1のワイヤ122が牽引されているとき、すなわち、第2のワイヤ124の変位が増加しているとき(変位量が減少しているとき)とで第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲との関係が一致しない。すなわち、ヒステリシス現象が認められる。例えば、第2のワイヤ124の変位が同じでも、第2のワイヤ124が牽引されているときよりも第1のワイヤ122が牽引されているときの方が湾曲部115の湾曲量は小さい(湾曲量の絶対値は大きい)。一方、図2(B)に示すように、第2のワイヤ124の変位が正の場合において、このようなヒステリシスは認められない。
【0019】
このように、第1のワイヤ122の変位又は第2のワイヤ124の変位の一方のみを用いて、湾曲部115の湾曲量を決定しようとすると、上記のヒステリシスによって、決定される湾曲量に誤差が生じ得る。そこで本実施形態では、算出部140は、第1のワイヤ122の変位と第2のワイヤ124の変位との両方を用いて湾曲部115の湾曲量を決定する。より具体的には、算出部140は、概して湾曲部115の湾曲量が正のとき、第2のワイヤ124の変位に基づいて湾曲部115の湾曲量を決定し、湾曲部115の湾曲量が負のとき、第1のワイヤ122の変位に基づいて湾曲部115の湾曲量を決定する。
【0020】
本実施形態の第1の変位検出部136と第2の変位検出部138とに係る構成例を図3に示す。図3(A)は湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲している状態を模式的に示し、図3(B)は湾曲部115が真直である状態を模式的に示し、図3(C)は湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲している状態を模式的に示す。図3に示すように、第1のワイヤ122には第1の変位検出部136用のエンコーダスケールである第1のスケール137が固定されており、第2のワイヤ124には第2の変位検出部138用のエンコーダスケールである第2のスケール139が固定されている。
【0021】
本実施形態では、第1のスケール137及び第2のスケール139は、第1の変位検出部136及び第2の変位検出部に対して、それぞれチェーン126側に偏って配置されている。すなわち、図3(A)に示すように、第1のワイヤ122が牽引されて湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲するとき、第2のスケール139が第2の変位検出部138と対向する位置で移動する。したがって、第2の変位検出部138では、主に第1のワイヤ122が牽引されて湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲するときの第2のワイヤ124の変位を計測する。また、図3(C)に示すように、第2のワイヤ124が牽引されて湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲するとき、第1のスケール137が第1の変位検出部136と対向する位置で移動する。したがって、第1の変位検出部136では、主に第2のワイヤ124が牽引されて湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲するときの第1のワイヤ122の変位を計測する。
【0022】
図4に、湾曲部115の湾曲量に対する第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲の関係と、湾曲部115の湾曲量に対する第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲の関係とを示す。第1の変位検出部136及び第1のスケール137は、湾曲部115の負の湾曲方向の全ての範囲と、湾曲部115が湾曲していない状態から正の湾曲方向の後述する第1の閾値aを含む範囲とにおける湾曲量を検出する。一方、第2の変位検出部138及び第2のスケール139は、湾曲部115の正の湾曲方向の全ての範囲と、湾曲部115が湾曲していない状態から負の湾曲方向の後述する第2の閾値bを含む範囲とにおける湾曲量を検出する。ここで、第1の閾値aはa>0であり、第2の閾値bはb<0である。以上のように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とは、一部重複する。
【0023】
なお、図5(A)に示すように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とが重複しないように設定することもできる。また、図5(B)に示すように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とを、ともに湾曲部115の湾曲範囲の全てとすることもできる。この場合、第1のスケール137及び第2のスケール139の配置は、図6に示すようになる。
【0024】
把持部130内の第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の周辺のスペースは限られているので、場合によっては、第1のスケール137及び第2のスケール139が他の構成物と干渉し、長い第1のスケール137及び第2のスケール139を配置できないことがあり得る。したがって、図3及び図4を参照して説明したように、第1の変位検出部136及び第1のスケール137による検出範囲と、第2の変位検出部138及び第2のスケール139による検出範囲とを調整することで、第1のスケール137及び第2のスケール139を短くすることができ、その配置の容易となる。その結果、湾曲動作システム100の設計の自由度が向上する。
【0025】
次に湾曲動作システム100の動作を説明する。ユーザは、把持部130を把持して、管状部110の湾曲部115を所望の角度だけ湾曲させるために、駆動部132を操作する。すなわち、ユーザは駆動部132のノブを回転させる。このノブが回転することでスプロケットが回転すると、スプロケットと噛み合っているチェーン126が変位する。チェーン126の変位に伴って、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とが変位する。その結果、管状部110の湾曲部115が湾曲する。
【0026】
このとき、第1のワイヤ122に固定された第1のスケール137と、第2のワイヤ124に固定された第2のスケール139とは変位する。第1の変位検出部136は、第1のスケール137の変位を電気信号に変換して算出部140に出力する。ここで、第1のスケール137の変位、すなわち第1のワイヤ122の変位を、第1の変位Enc1とする。同様に、第2の変位検出部138は、第2のスケール139の変位を電気信号に変換して算出部140に出力する。ここで、第2のスケール139の変位、すなわち第2のワイヤ124の変位を、第2の変位Enc2とする。
【0027】
算出部140における処理を図7に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS1において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。
【0028】
ステップS2において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて、下記式(1)より、湾曲部115の湾曲量の仮の値である第1の仮湾曲量θ1を算出する。
θ1=α1×Enc1 (1)
同様に、算出部140は、第2の変位Enc2に基づいて、下記式(2)より、湾曲部115の湾曲量の仮の値である第2の仮湾曲量θ2を算出する。
θ2=α2×Enc2 (2)
ここで、α1とα2とは所定の定数である。
【0029】
定数α1は、予め湾曲部115を負の湾曲方向に湾曲させたときの第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を求め、その関係に基づいて決定しておく。同様に、定数α2は、予め湾曲部115を正の湾曲方向に湾曲させたときの第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を求め、その関係に基づいて決定しておく。なお、定数α1と定数α2とは、一般にほぼ等しいので、定数α1と定数α2とのうち一方を求め、その値を定数α1及び定数α2の両方として用いてもよい。なお、上記式(1)及び(2)では、湾曲部115の湾曲量と第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2との関係を単純な比例関係としているが、これに限らず、これらの関係を十分によく表す式であれば、高次の式等、どのような式を用いてもよい。
【0030】
また、上記式(1)及び(2)を用いる代わりに、湾曲部115を負の湾曲方向に湾曲させたときの第1のワイヤ122の変位と湾曲部115の湾曲量との関係と、湾曲部115を正の湾曲方向に湾曲させたときの第2のワイヤ124の変位と湾曲部115の湾曲量との関係を予め求めておき、これらの関係をテーブルとして用意しておいてもよい。この場合、算出部140は、そのテーブルに基づいて、第1の変位Enc1から第1の仮湾曲量θ1を決定し、第2の変位Enc2から第2の仮湾曲量θ2を決定する。
【0031】
ここで、負の湾曲方向に湾曲している際には第1の仮湾曲量θ1を、正の湾曲方向に湾曲している際には第2の仮湾曲量θ2を最終的な湾曲量とする方法は、湾曲部115の実際の湾曲量が0(真っ直ぐ)のときに、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが一致、又は使用上問題ない範囲の差であればよい。しかしながら、図8に示す様に、湾曲部115の実際の湾曲量が0のときに、管状部110や把持部130の構造に起因して同時に第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが0になるとは限らず、若干のずれが生じることがある。このとき、単純に湾曲量が0以上であるか否かを条件として第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との選択を変えて最終的な湾曲量とすると、湾曲量の値が飛んでしまったり、実際の湾曲方向と逆の変化を示してしまったりする場合がある。そのため、ユーザにとって、操作ノブを回転した量に対して、算出された湾曲量の変化に違和感が生じる。そこで、次のアルゴリズムにより、算出した湾曲量の値が飛んだり、実際の湾曲方向と逆の変化が起きたりしない算出を行う。
【0032】
ステップS3において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2に基づいて、下記表1に示す関係を参照して湾曲部115の湾曲量を算出するための変換式(値の処理方法)を選択する。
【表1】
【0033】
ステップS4において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2に基づいて、ステップS3で選択した変換式を用いて、湾曲部115の湾曲量を決定する。すなわち、表1に示すように、θ1≧aかつθ2≧aのとき、又は、b<θ1<aかつθ2≧aのとき、第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とする。また、θ1>aかつb<θ2<aのとき、b<θ1<aかつb<θ2<aのとき、又は、b<θ1<aかつθ2<bのとき、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とを用いた加重平均を湾曲部115の湾曲量とする。また、θ1≦bかつb<θ2<a、又は、θ1≦bかつθ2≦bのとき、第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とする。
【0034】
ここで、湾曲部115の湾曲量θを表す加重平均を求める式には、例えば次式(3)を用いる。
θ=f(θ1,θ2)×θ1+(1−f(θ1,θ2))×θ2 (3)
上記式(3)の具体例として、下記式(4)を用いることができる。
【数1】
【0035】
上記の説明では、重みに係る関数に第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とを用いているが、第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2を用いても同様である。その場合、上記式(3)は、例えば下記式(5)で表される。
θ=f(Enc1,Enc2)×θ1+(1−f(Enc1,Enc2))×θ2 (5)
【0036】
また、第1の変位Enc1と前記第2の変位Enc2とに係る関数を重みとする第1の変位Enc1と第2の変位Enc2との加重平均に基づいて湾曲量θを算出する方法として、下記式(6)及び(7)のように求めてもよい。すなわち、初めに第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2の加重平均値Encを求め、加重平均値Encから関数hを用いて湾曲量θを求めてもよい。
Enc=f(Enc1,Enc2)×Enc1+(1−f(Enc1,Enc2))×Enc2 (6)
θ=h(Enc) (7)
【0037】
湾曲部115の実際の湾曲量に対する、第1の仮湾曲量θ1、第2の仮湾曲量θ2、及び算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量の関係を表す模式図を図9及び図10に示す。図10は、図9の原点付近の拡大図の一部である。図9及び図10において、一点鎖線は第1の仮湾曲量θ1を示し、破線は第2の仮湾曲量θ2を示し、実線は算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量を示す。なお、図9及び図10においては、実際には完全に一致する線も図の見易さのため、わずかにずらして描いてある。
【0038】
これら図に示すように、算出部140は、概して湾曲部115が負の湾曲方向に湾曲しているときは、第1の変位検出部136の出力に基づく第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、湾曲部115が正の湾曲方向に湾曲しているときは、第2の変位検出部138の出力に基づく第2の仮湾曲量θ2を、湾曲部115の湾曲量とし、第1の閾値aと第2の閾値bとの間では、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とに基づく加重平均を算出することで湾曲部115の湾曲量としている。
【0039】
ステップS5において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。出力された湾曲量に基づいて、湾曲動作システム100や他の装置は、例えば、決定した湾曲量の値や湾曲量を表す図やグラフをディスプレイ等に表示させ、ユーザに提示してもよい。また、出力された湾曲量に基づいて、湾曲動作システム100や他の装置は、出力された湾曲量を任意の制御に用いてもよい。ステップS6において算出部140は、湾曲量の算出処理の終了が指示されているか否かを判定する。終了の指示がされていなければ、処理はステップS1に戻される。一方、終了の指示がなされていれば、一連の処理は終了する。
【0040】
本実施形態では、上述のように湾曲部115の湾曲量を決定することで、精度よく湾曲量を決定することができる。すなわち、第1のワイヤ122の第1の変位Enc1、又は第2のワイヤ124の第2の変位Enc2の何れか一方のみを用いて湾曲部115の湾曲量を算出すると、例えばヒステリシスに由来して湾曲量と第1のワイヤ122又は第2のワイヤ124の変位が1対1に対応せずに湾曲量が算出できなかったり、算出した湾曲量に含まれる誤差が大きくなったりすることがあり得る。これに対して本実施形態では、第1の変位Enc1と第2の変位Enc2との両方を用いることで、精度よく湾曲部115の湾曲量を決定することができる。精度のよい湾曲量の検出により、例えばユーザによる湾曲部115の操作性を向上させたり、システムの制御の質を向上させたりすることができる。
【0041】
また、湾曲部115の湾曲量が第1の閾値aと第2の閾値bとの間にある状態において、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とに基づく加重平均を算出することで、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とのずれを滑らかにつなぐことができる。すなわち、例えば、単純に第1の仮湾曲量θ1が負のときは第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、第1の仮湾曲量θ1が正のときは第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とする場合を考えると、実際の湾曲部115の湾曲量と算出部140が決定する湾曲量とは、例えば図8に示すような関係になる。この場合、第1の仮湾曲量θ1を用いる場合と第2の仮湾曲量θ2を用いる場合との切り替え時に、例えば実際の湾曲量連続的に増加しているにも関わらず、算出部140が決定する湾曲量の値が不連続に減少すること、すなわち不連続な逆転現象が起こり得る。このような不連続さや、湾曲量変化の逆転現象は、例えば湾曲量をユーザに提示する場合にはユーザに違和感を与えることになる。これに対して本実施形態では、上述のとおり算出部140が決定する湾曲量を滑らかに連続的に変化させるため、ユーザに違和感を与えない。
【0042】
なお、湾曲部115の実際の湾曲量が0のとき(湾曲部115が真直のとき)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2とが一致する場合、又は使用上問題ない程度の差しか存在しない場合、例えば湾曲量が負のときは第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量とし、湾曲量が正のときは第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量とするような湾曲量の決定方法を用いることもできる。この場合、図5(A)に示したように、第1のスケール137を湾曲量が負となる範囲のみを計測できる長さとし、第2のスケール139を湾曲量が負となる範囲のみを計測できる長とするように設計してもよい。その結果、第1のスケール137及び第2のスケール139をさらに短縮化することができ、湾曲動作システム100の設計の自由度がさらに向上する。
【0043】
また、本実施形態で説明した上記式(3)乃至式(7)はもちろん一例であり、その他の関数でもよい。例えば第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2と湾曲部115の実際の湾曲量との関係をよく表す、第1の閾値aと第2の閾値bとの間を含む連続した他の関数を用いることが考えられる。
【0044】
本実施形態において、第1の変位検出部136及び第2の変位検出部138を把持部130に配置することによって、湾曲部115が配置された管状部110の先端側を小型化しつつ、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位を検出することができる。このため、本実施形態の湾曲部115が配置された管状部110は、例えば体腔内や管空といった狭い空間へ挿入することができる管状部を実現できる。
【0045】
また、本実施形態では、図3及び図4に示すように、第1のスケール137及び第2のスケール139を、算出部140が湾曲量を決定するために必要な第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の移動範囲のみに配置している。このことで、第1のスケール137及び第2のスケール139を短縮化することができ、湾曲動作システム100の設計の自由度が向上する。
【0046】
本実施形態では、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とをチェーン126で連結し、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを一体として長手方向に変位させている。このようにすることで、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とをそれぞれ別個に駆動させる必要がない。本実施形態では、ノブを用いてチェーン126と噛み合っているスプロケットを回転させるだけで第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とを変位させること、すなわち、湾曲部115を湾曲させることができる。また、ユーザがノブを回転させる代わりに、モータ等により駆動する場合も、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124のそれぞれにモータを設ける必要が無く、スプロケットに1つのモータを設けるだけで本システムを実現することができる。
【0047】
このように、例えば管状部110は、細長形状を有する管状部として機能する。例えば湾曲部115は、所定の可動範囲で湾曲でき、管状部に含まれる湾曲部として機能する。例えば第1のワイヤ122は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材として機能する。例えば第2のワイヤ124は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材として機能する。例えば駆動部132は、第1の線状部材と第2の線状部材とを変位させる駆動部として機能する。例えば第1の変位検出部136は、第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部として機能する。例えば第2の変位検出部138は、第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部として機能する。例えば算出部140は、湾曲部の状態に基づいて第1の変位と第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部として機能する。例えば湾曲量は、操作支援情報として機能する。例えば湾曲部が真直の状態の位置は、基準位置として機能する。例えば第1の閾値aは、湾曲部が基準位置から第1の方向に所定量湾曲した状態を表す第1の湾曲閾値として機能し、例えば第2の閾値bは、湾曲部が基準位置から第2の方向に所定量湾曲した状態を表す第2の湾曲閾値として機能する。例えばチェーン126は、第1の線状部材の他端と第2の線状部材の他端とを連結する連結部材として機能する。
【0048】
本実施形態では、線状部材として第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124を例に挙げたが、これに限らない。材質は金属に限らず樹脂その他の高分子化合物でもよく、線状の部材であり長手方向に移動して動力を伝達するものであればよい。また、本実施形態では、変位検出部としてエンコーダを例に挙げたが、これに限らない。第1のワイヤ122と第2のワイヤ124との変位を検出できれば、どのような検出器を用いてもよい。
【0049】
本実施形態では、管状部110が真直の状態を基準位置としているが、基準位置に対して湾曲部115の実際の湾曲量及び第1のワイヤ122の変位の関係と、湾曲部115の実際の湾曲量及び第2のワイヤ124の変位の関係とが対称となっていれば、基準位置は管状部110が湾曲した状態としても、上記と同様に構成できる。
【0050】
[第1の実施形態の変形例]
第1の実施形態の変形例について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、算出部140は、湾曲部115の湾曲量を出力している。これに対して本変形例では、算出部140は、駆動部132の駆動量を出力する。ここで、本変形例において駆動量とは、ユーザが操作したノブの操作量である。
【0051】
本変形例では、第1の実施形態の場合における第1の変位Enc1と湾曲部115の湾曲量との関係と同様に、第1のワイヤ122の第1の変位Enc1とノブの駆動量との関係を予め取得しておく。同様に、第2のワイヤ124の第2の変位Enc2とノブの駆動量との関係を予め取得しておく。算出部140は、これらの関係を利用して、第1の変位Enc1及び第2の変位Enc2に基づいてノブの駆動量を求めることができる。
【0052】
本変形例における算出部140の処理の一例を図11に示すフローチャートを参照して説明する。ステップS21において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS22において算出部140は、第1の変位に基づいて、上述の第1の変位Enc1とノブの駆動量との関係を用いて、ノブの仮の駆動量である第1の仮駆動量D1を算出する。また、算出部140は、第2の変位Enc2に基づいて、上述の第2の変位Enc2とノブの駆動量との関係を用いて、ノブの仮の駆動量である第2の仮駆動量D2を算出する。
【0053】
ステップS23において算出部140は、第1の仮駆動量D1及び第2の仮駆動量D2に基づいて、例えば表1に示したものと同様の下記表2を参照して、第1の実施形態の場合と同様に、変換式を選択する。
【表2】
【0054】
ステップS24において算出部140は、第1の仮駆動量D1及び第2の仮駆動量D2に基づいて、駆動部132の駆動量Dを決定する。例えば、第1の仮駆動量D1が駆動量Dを適切に表す場合には、第1の仮駆動量D1を駆動量Dとし、第2の仮駆動量D2が駆動量Dを適切に表す場合には、第2の仮駆動量D2を駆動量Dとし、それらの間の条件においては、第1の仮駆動量D1と第2の仮駆動量D2との加重平均を駆動量Dとする。
【0055】
ステップS25において算出部140は、決定した駆動量Dを出力する。ステップS26において算出部140は、処理の終了の指示が入力されたか否かを判定する。終了の指示が入力されていなければ処理はステップS21に戻され、終了の指示が入力されていれば処理は終了させられる。
【0056】
本変形例によれば、算出部140から駆動部132の駆動量Dが出力される。この駆動量Dを例えばユーザに提示することで、ユーザの操作を支援したり、この駆動量Dをシステムの制御に用いたりすることができる。また、第1の仮駆動量D1と第2の仮駆動量D2とに基づいて、より現実の駆動量に近い値を用いたり加重平均を取ったりすることにより、精度の高い駆動量の算出を行うことができる。なお、本実施形態では、ユーザが駆動部132のノブを回転させる構成としたが、駆動部132は、アクチュエータやモータを含む構成としてもよい。
【0057】
このように、例えば駆動量は、操作支援情報として機能する。第1の実施形態と本変形例とのように、操作支援情報には種々の情報を該当させることができる。例えば第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位そのものも操作支援情報になり得るし、湾曲部115の形状やワイヤの牽引力や、湾曲部115に掛かる応力など、ワイヤの第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124の変位に基づいて算出される値は、操作支援情報として機能する。
【0058】
[第2の実施形態]
第2の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、算出部140は、第1の仮湾曲量θ1の値と第2の仮湾曲量θ2の値との組み合わせに基づいて、湾曲部115の湾曲量を決定している。これに対して本実施形態では、算出部140は、第1の仮湾曲量θ1の値と第2の仮湾曲量θ2とのうち何れか一方を、湾曲部115の湾曲量として選択する。本実施形態では、算出部140は、湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定する状態から第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定する状態に変更する際に、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定値以下となることを条件としている。
【0059】
本実施形態に係る算出部140の処理の一例を図12に示す。ステップS31において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS32において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて第1の仮湾曲量θ1を算出し、第2の変位Enc2に基づいて第2の仮湾曲量θ2を算出する。
【0060】
ステップS33において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1が0より小さいか否かを判定する。第1の仮湾曲量θ1が0より小さいとき、処理はステップS34に移される。ステップS34において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1を湾曲部115の湾曲量として決定する。ステップS35において算出部140は、現在の湾曲量の決定が第1の仮湾曲量θ1に基づくか第2の仮湾曲量θ2に基づくかを表す変数FLAGに1を代入する。その後、処理は、ステップS38に移される。一方、ステップS33における判定において、第1の仮湾曲量θ1が0より小さくなければ、処理はステップS36に移される。ステップS36において算出部140は、第2の仮湾曲量θ2を湾曲部115の湾曲量として決定する。ステップS37において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後、処理はステップS38に移される。ステップS38において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。
【0061】
ステップS39において算出部140は、第1の変位検出部136から第1の変位Enc1を取得し、第2の変位検出部138から第2の変位Enc2を取得する。ステップS40において算出部140は、第1の変位Enc1に基づいて第1の仮湾曲量θ1を算出し、第2の変位Enc2に基づいて第2の仮湾曲量θ2を算出する。
【0062】
ステップS41において算出部140は、前回取得した第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2と、今回取得した第1の仮湾曲量θ1及び第2の仮湾曲量θ2とを比較して、湾曲部115の湾曲量は増加しているか減少しているか、すなわち、正の湾曲方向に湾曲している最中か負の湾曲方向に湾曲している最中かを算出する。
【0063】
ステップS42において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さいか否かを判定する。ステップS42の判定において条件を満たすとき、処理はステップS43に移される。ステップS42の判定において条件を満たさないとき、処理はステップS50に移される。
【0064】
ステップS43において算出部140は、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さいか否かを判定する。差が小さいとき、処理はステップS44に移される。差が小さくないとき、処理はステップS50に移される。ステップS44において算出部140は、湾曲量が増加しており、かつ変数FLAG=1であるか否かを判定する。ステップS44における判定の条件を満たすとき、処理はステップS45に移される。一方、ステップS44における判定の条件を満たさないとき、処理はステップS47に移される。
【0065】
ステップS45において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2に決定する。ステップS46において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0066】
ステップS47において算出部140は、湾曲量が減少しており、かつ変数FLAG=2であるか否かを判定する。ステップS47における判定の条件を満たすとき、処理はステップS48に移される。一方、ステップS47における判定の条件を満たさないとき、処理はステップS50に移される。ステップS48において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に決定する。ステップS49において算出部140は、変数FLAGに1を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0067】
ステップS50において算出部140は、変数FLAGが1であるか否かを判定する。変数FLAGが1であるとき、すなわち、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1としているとき、処理はステップS51に移される。ステップS51において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第1の仮湾曲量θ1に決定する。ステップS52において算出部140は、変数FLAGに1を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0068】
ステップS50の判定において変数FLAGが1でないとき、すなわち、変数GLAGが2であり湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2としているとき、処理はステップS53に移される。ステップS53において算出部140は、湾曲部115の湾曲量を第2の仮湾曲量θ2に決定する。ステップS54において算出部140は、変数FLAGに2を代入する。その後処理は、ステップ55に移される。
【0069】
ステップS55において算出部140は、決定した湾曲部115の湾曲量を出力する。ステップS56において算出部140は、処理の終了の指示が入力されたか否かを判定する。終了の指示が入力されていなければ処理はステップS39に戻され、終了の指示が入力されていれば処理が終了させられる。
【0070】
本実施形態によれば、湾曲部115の実際の湾曲量に対する第1の仮湾曲量θ1、第2の仮湾曲量θ2及び算出部140が決定した湾曲部115の湾曲量の関係を表す模式図は図13のようになる。図13は、湾曲量が負の方向から正の方向へ変化している場合の例を示す。この図に示すように、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく(ステップS42においてYes)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さく(ステップS43においてYes)、湾曲量は増加しており、かつ現在湾曲量は第1の仮湾曲量θ1となっている(ステップS44においてYes)とき、湾曲量は、第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定される状態から第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態に変更される。
【0071】
逆に、第1の仮湾曲量θ1が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく、かつ第2の仮湾曲量θ2が第2の閾値bより大きく第1の閾値aより小さく(ステップS42においてYes)、第1の仮湾曲量θ1と第2の仮湾曲量θ2との差が所定の設定値より小さく(ステップS43においてYes)、湾曲量は減少しており、かつ現在湾曲量は第2の仮湾曲量θ2となっている(ステップS47においてYes)とき、湾曲量は、第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態から第1の仮湾曲量θ1に基づいて決定される状態に変更される。上記以外の場合、湾曲量は、第1の仮湾曲量θ1又は第2の仮湾曲量θ2に基づいて決定される状態から変更されない(ステップS50乃至ステップS54)。
【0072】
本実施形態によれば、算出部140によって決定される湾曲量の不連続性は、ステップS43の設定値に応じて、無視できる程度に小さく設定することができる。その結果、例えばユーザによる湾曲部115の操作性を向上させたり、システムの制御の質を向上させたりすることができる。
【0073】
[第3の実施形態]
第3の実施形態について説明する。ここでは、第1の実施形態との相違点について説明し、同一の部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。第1の実施形態では、湾曲部115は、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とによって、一つの平面上で湾曲する構成について説明した。これに対して本実施形態では、湾曲部115が直交する2つの方向に湾曲操作ができる。すなわち、第1と第2の方向に湾曲でき、さらに第1と第2の方向に直交する方向である第3と第4の方向に湾曲できる。ここで、第1と第2の方向は逆方向であり、同様に第3と第4の方向は逆方向である。湾曲部115は、直交する2つの方向の湾曲操作の組合せにより、直交する2つの方向のみならず全ての方向へ湾曲が可能である。だたし、直交する2つの湾曲方向のみに湾曲可能であってもかまわない。また、第3実施形態では直交する2つの方向に湾曲操作ができるとしたが、2つの方向は直交でなくてもかまわない。
【0074】
本実施形態に係る湾曲動作システム200の構成例の概略を図14に示す。この図に示すように、湾曲動作システム200は、第1の実施形態に係る湾曲動作システム100に加えて以下を有する。すなわち、第1のワイヤ122及び第2のワイヤ124によって湾曲する第1及び第2の方向の湾曲に対して、直交する第3及び第4の方向の湾曲を設ける。湾曲動作システム200は、第2の方向に湾曲部115を湾曲させるため、第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とを有する。第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とは、第1のワイヤ122と第2のワイヤ124とがチェーン126(以下、このチェーンを第1のチェーン126と称する)で連結されているのと同様に、第2のチェーン226で連結されている。第2のチェーン226は、駆動部132に設けられた第2のスプロケットと噛み合っており、第2のスプロケットは第2のノブと連結している。ユーザが駆動部132の第2のノブを回転させることによって第2のスプロケットが回転し、第2のチェーン226が変位する。第2のチェーン226の変位に伴って、第3のワイヤ222と第4のワイヤ224とが変位し、湾曲部115は第3または第4の方向に湾曲する。このように、第3のワイヤ222、第4のワイヤ224、及び第2のチェーン226は、それぞれ第1のワイヤ122、第2のワイヤ124、及び第1のチェーン126に対応し、それらと同様に機能する。
【0075】
湾曲動作システム200は、第3のワイヤ222の変位を検出するために第3の変位検出部236を有する。第3の変位検出部236は、例えばエンコーダであり、第3のワイヤ222には、図示しないエンコーダスケールが固定されている。第3の変位検出部236は、第3のワイヤ222の変位に係るデータを算出部140に出力する。同様に、湾曲動作システム200は、第4のワイヤ224の変位を検出するために第4の変位検出部238を有する。第4の変位検出部238は、例えばエンコーダであり、第4のワイヤ224には、図示しないエンコーダスケールが固定されている。第4の変位検出部238は、第4のワイヤ224の変位に係るデータを算出部140に出力する。このように、第3の変位検出部236及び第4の変位検出部238は、それぞれ第1の変位検出部136及び第2の変位検出部138に対応し、それらと同様に機能する。
【0076】
算出部140は、第3及び第4の方向の湾曲量を、図7乃至図10を参照して説明した第1の実施形態の場合と同様に、第3の変位検出部236及び第4の変位検出部238の出力に基づいて算出する。本実施形態によれば、湾曲部115の湾曲とその湾曲量の決定について、第1の実施形態と同様の機能し同様の効果が得られる。
【0077】
本実施形態によれば、湾曲部115は、第1及び第2の方向と第3及び第4の方向とについて自在に湾曲するので、湾曲部115に対するひねり以外の方向について、任意の方向に湾曲部115を湾曲させることができる。また、本実施形態によれば、第1及び第2の方向と第3及び第4の方向の湾曲量を算出することができる。なお、本実施形態では、湾曲方向が2方向の場合を例に挙げて説明したが、2方向に限らず3方向以上でも同様である。また、第1の実施形態の変形例と同様に第1のノブの駆動量を出力するように構成してもよいし、第2の実施形態と同様に湾曲量を決定してもよい。
【0078】
このように、例えば第3のワイヤ222は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を、第1の方向及び第2の方向とは異なる第3の方向に湾曲させる動力を伝達する第3の線状部材として機能する。例えば第4のワイヤ224は、一端が管状部に接続され、長手方向に変位させられることで湾曲部を、第3の方向と逆方向である第4の方向に湾曲させる動力を伝達する第4の線状部材として機能する。例えば第3の変位検出部236は、第3の線状部材の変位を第3の変位として取得する第3の変位検出部として機能する。例えば第4の変位検出部238は、第4の線状部材の変位を第4の変位として取得する第4の変位検出部として機能する。
【0079】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても、発明が解決しようとする課題の欄で述べられた課題が解決でき、かつ、発明の効果が得られる場合には、この構成要素が削除された構成も発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0080】
100…湾曲動作システム、110…管状部、115…湾曲部、122…第1のワイヤ、124…第2のワイヤ、126…チェーン、130…把持部、132…駆動部、136…第1の変位検出部、137…第1のスケール、138…第2の変位検出部、139…第2のスケール、140…算出部、200…湾曲動作システム、222…第3のワイヤ、224…第4のワイヤ、226…第2のチェーン、236…第3の変位検出部、238…第4の変位検出部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長形状を有する管状部と、
所定の可動範囲で湾曲でき、前記管状部に含まれる湾曲部と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を前記第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材と、
前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを変位させる駆動部と、
前記第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部と、
前記第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部と、
前記湾曲部の状態に基づいて前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部と、
を具備することを特徴とする湾曲動作システム。
【請求項2】
前記算出部は、
前記湾曲部が基準位置よりも前記第1の方向側に位置している状態において湾曲するときは、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも一方に基づいて前記操作支援情報を算出し、
前記湾曲部が前記基準位置よりも前記第2の方向側に位置している状態において湾曲するときは、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも他方に基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れか一方のみを用いて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の湾曲動作システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち両方を用いて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の湾曲動作システム。
【請求項5】
前記操作支援情報は前記湾曲部の形状を表す情報であり、
前記湾曲部が基準位置から前記第1の方向に所定量湾曲した状態を表す第1の湾曲閾値と、前記湾曲部が前記基準位置から前記第2の方向に所定量湾曲した状態を表す第2の湾曲閾値とが設けられ、
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているとき、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方のみに基づいて前記操作支援情報を算出し、
前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているとき、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち他方のみに基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項6】
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているか否かの判断、及び前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているか否かの判断は、前記第1の変位及び前記第2の変位、又は前記第1の変位及び前記第2の変位に基づき得られる値と、所定の1つ以上の閾値との比較に基づくことを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項7】
前記算出部は、前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲に位置している場合、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも一方に応じた連続する前記操作支援情報を表す値を与える関数を用いて、前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項5又は6に記載の湾曲動作システム。
【請求項8】
前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記算出部は、前記第1の変位と前記第2の変位とに係る関数を重みとする前記第1の変位と前記第2の変位との加重平均に基づいて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項9】
前記操作支援情報を表す値をA、前記第1の変位をEnc1、前記第2の変位をEnc2、重み付け関数をf、前記第1の変位又は前記第2の変位に対する前記操作支援情報に係る値を導出する関数をgとしたときに、
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているときは、
A=g(Enc2)
に基づいて、
前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているときは、
A=g(Enc1)
に基づいて、
前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲に位置しているときは、
A=f(Enc1,Enc2)×g(Enc1)+(1−f(Enc1,Enc2))×g(Enc2)
かつ、f=0|第1の湾曲閾値
かつ、f=1|第2の湾曲閾値
に基づいて、
前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の湾曲動作システム。
【請求項10】
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向へ湾曲量を増しているか前記第2の方向へ湾曲量を増しているかを判断し、
前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲で湾曲しているときであり、前記第1の変位と前記第2の変位との差が所定の値以下になったとき、前記湾曲部が前記第1の方向へ湾曲量を増しているか前記第2の方向へ湾曲量を増しているかに応じて、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れに基づいて前記操作支援情報を算出するかを変更し、
前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れか一方のみに基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項11】
前記操作量支援情報は、前記湾曲部の形状を表す情報であることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項12】
前記操作量支援情報は、前記駆動部の駆動量を表す情報であることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項13】
前記第1の変位検出部は、前記湾曲部が基準位置から前記第1の方向と前記第2の方向とのうち一方の方向に湾曲したときの前記第1の線状部材の変位を前記第1の変位として取得し、
前記第2の変位検出部は、前記湾曲部が前記基準位置から前記第1の方向と前記第2の方向とのうち他方の方向に湾曲したときの前記第2の線状部材の変位を前記第2の変位として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項14】
前記第1の変位検出部と前記第2の変位検出部とは、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位検出部が前記第1の変位を取得でき、かつ、前記第2の変位検出部が前記第2の変位を取得できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項15】
前記第1の変位検出部と前記第2の変位検出部とは、前記駆動部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項16】
前記湾曲部は、前記管状部の一端の近傍に配置されており、
前記変位検出部は、前記管状部の他端の近傍に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項17】
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を、前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向に湾曲させる動力を伝達する第3の線状部材と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を、前記第3の方向と逆方向である第4の方向に湾曲させる動力を伝達する第4の線状部材と、
前記第3の線状部材の変位を第3の変位として取得する第3の変位検出部と、
前記第4の線状部材の変位を第4の変位として取得する第4の変位検出部と、
をさらに具備し、
前記駆動部は、さらに前記第3の線状部材と前記第4の線状部材とを変位させ、
前記算出部は、さらに前記湾曲部の状態に基づいて前記第3の変位と前記第4の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項18】
前記第1の線状部材の他端と前記第2の線状部材の他端とを連結する連結部材をさらに具備し、
前記連結部材は、前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを一体として変位させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項1】
細長形状を有する管状部と、
所定の可動範囲で湾曲でき、前記管状部に含まれる湾曲部と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を第1の方向に湾曲させる動力を伝達する第1の線状部材と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を前記第1の方向と逆方向である第2の方向に湾曲させる動力を伝達する第2の線状部材と、
前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを変位させる駆動部と、
前記第1の線状部材の変位を第1の変位として取得する第1の変位検出部と、
前記第2の線状部材の変位を第2の変位として取得する第2の変位検出部と、
前記湾曲部の状態に基づいて前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する算出部と、
を具備することを特徴とする湾曲動作システム。
【請求項2】
前記算出部は、
前記湾曲部が基準位置よりも前記第1の方向側に位置している状態において湾曲するときは、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも一方に基づいて前記操作支援情報を算出し、
前記湾曲部が前記基準位置よりも前記第2の方向側に位置している状態において湾曲するときは、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも他方に基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項3】
前記算出部は、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れか一方のみを用いて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の湾曲動作システム。
【請求項4】
前記算出部は、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち両方を用いて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の湾曲動作システム。
【請求項5】
前記操作支援情報は前記湾曲部の形状を表す情報であり、
前記湾曲部が基準位置から前記第1の方向に所定量湾曲した状態を表す第1の湾曲閾値と、前記湾曲部が前記基準位置から前記第2の方向に所定量湾曲した状態を表す第2の湾曲閾値とが設けられ、
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているとき、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち一方のみに基づいて前記操作支援情報を算出し、
前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているとき、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち他方のみに基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項6】
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているか否かの判断、及び前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているか否かの判断は、前記第1の変位及び前記第2の変位、又は前記第1の変位及び前記第2の変位に基づき得られる値と、所定の1つ以上の閾値との比較に基づくことを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項7】
前記算出部は、前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲に位置している場合、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち少なくとも一方に応じた連続する前記操作支援情報を表す値を与える関数を用いて、前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項5又は6に記載の湾曲動作システム。
【請求項8】
前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記算出部は、前記第1の変位と前記第2の変位とに係る関数を重みとする前記第1の変位と前記第2の変位との加重平均に基づいて前記操作支援情報を算出することを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項9】
前記操作支援情報を表す値をA、前記第1の変位をEnc1、前記第2の変位をEnc2、重み付け関数をf、前記第1の変位又は前記第2の変位に対する前記操作支援情報に係る値を導出する関数をgとしたときに、
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向に前記第1の湾曲閾値以上に湾曲しているときは、
A=g(Enc2)
に基づいて、
前記湾曲部が前記第2の方向に前記第2の湾曲閾値以上に湾曲しているときは、
A=g(Enc1)
に基づいて、
前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲に位置しているときは、
A=f(Enc1,Enc2)×g(Enc1)+(1−f(Enc1,Enc2))×g(Enc2)
かつ、f=0|第1の湾曲閾値
かつ、f=1|第2の湾曲閾値
に基づいて、
前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の湾曲動作システム。
【請求項10】
前記算出部は、
前記湾曲部が前記第1の方向へ湾曲量を増しているか前記第2の方向へ湾曲量を増しているかを判断し、
前記湾曲部が前記第1の湾曲閾値から前記第2の湾曲閾値までの範囲で湾曲しているときであり、前記第1の変位と前記第2の変位との差が所定の値以下になったとき、前記湾曲部が前記第1の方向へ湾曲量を増しているか前記第2の方向へ湾曲量を増しているかに応じて、前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れに基づいて前記操作支援情報を算出するかを変更し、
前記第1の変位と前記第2の変位とのうち何れか一方のみに基づいて前記操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項5に記載の湾曲動作システム。
【請求項11】
前記操作量支援情報は、前記湾曲部の形状を表す情報であることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項12】
前記操作量支援情報は、前記駆動部の駆動量を表す情報であることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項13】
前記第1の変位検出部は、前記湾曲部が基準位置から前記第1の方向と前記第2の方向とのうち一方の方向に湾曲したときの前記第1の線状部材の変位を前記第1の変位として取得し、
前記第2の変位検出部は、前記湾曲部が前記基準位置から前記第1の方向と前記第2の方向とのうち他方の方向に湾曲したときの前記第2の線状部材の変位を前記第2の変位として取得する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項14】
前記第1の変位検出部と前記第2の変位検出部とは、前記湾曲部が前記可動範囲のうち少なくとも何れかの範囲に位置している状態において、前記第1の変位検出部が前記第1の変位を取得でき、かつ、前記第2の変位検出部が前記第2の変位を取得できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項15】
前記第1の変位検出部と前記第2の変位検出部とは、前記駆動部の近傍に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項16】
前記湾曲部は、前記管状部の一端の近傍に配置されており、
前記変位検出部は、前記管状部の他端の近傍に配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項17】
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を、前記第1の方向及び前記第2の方向とは異なる第3の方向に湾曲させる動力を伝達する第3の線状部材と、
一端が前記管状部に接続され、長手方向に変位させられることで前記湾曲部を、前記第3の方向と逆方向である第4の方向に湾曲させる動力を伝達する第4の線状部材と、
前記第3の線状部材の変位を第3の変位として取得する第3の変位検出部と、
前記第4の線状部材の変位を第4の変位として取得する第4の変位検出部と、
をさらに具備し、
前記駆動部は、さらに前記第3の線状部材と前記第4の線状部材とを変位させ、
前記算出部は、さらに前記湾曲部の状態に基づいて前記第3の変位と前記第4の変位とのうち一方又は両方を用いて操作支援情報を算出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【請求項18】
前記第1の線状部材の他端と前記第2の線状部材の他端とを連結する連結部材をさらに具備し、
前記連結部材は、前記第1の線状部材と前記第2の線状部材とを一体として変位させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の湾曲動作システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−85616(P2013−85616A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−227113(P2011−227113)
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月14日(2011.10.14)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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