説明

湿り気付与摩擦材料、システムおよび方法

本発明は摩擦材料に関わり、さらにとりわけ、従来の製紙プロセスを使って製造できる湿式摩擦材料に関する。湿り気を付与した一様な骨組マトリクスを形成するために長いファイバーが使われ、そのファイバーは、摩擦マトリクス全体およびマトリクスバインダー全体に、特に隣接したファイバーの隙間において粒子状材料を分散させることによって補強され、それにより材料の剪断強度を著しく増やす一方で、材料を通る流量に対するほとんど無視できる影響を持つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は摩擦材料、材料を作る方法とプロセスに関する。その材料は、特に隣接したファイバーの隙間において粒子状材料を分散させることによって補強される骨組マトリクスを形成する長いファイバーを有し、その材料を作るための浸潤と手順と方法の後に、著しく材料の剪断強度を増やす。
【背景技術】
【0002】
設計された複合材料およびコーティングの形態にある摩擦材料がエネルギー伝達装置に使われる。これらの摩擦材料は多くの異なるプロセスを使って生産され、そして多くの異なる組成から成り、それは特に、耐摩耗性、安定した摩擦レベル、熱安定性、剪断強度、および多孔率の領域において優れた特性を有する材料をもたらすことができる。これらの優れた特性を有することが認められたいくつかのタイプの材料は、専用に織られた炭素織布(テキスタイル)と粒子堆積複合材料である。
【0003】
Wincklerにより開示された特許文献1、Gaffneyにより開示された特許文献2、およびDowellにより開示された特許文献3のような、専用に織られた織物はすべて、従来技術システム、方法、および材料を明らかにしている。これらのシステムと方法、および材料のいくつかは、専用の雰囲気内における炭化後のプロセスのような高価な製造技術を必要としており、製造上の低い生産性をもたらし、法外な費用がかかる。これらの材料は、典型的に、多くの高エネルギー用途のための望ましい摩擦特性と望ましい流体浸透性を提供することが認められた。しかしながら、このような材料の設計は、また、浸潤された炭素ファイバーのもろさと材料構造のボイド体積の両方が原因であるところの、低い圧縮負荷限界を持つことも認められた。高い圧縮負荷の下では、浸潤され織られたファイバーの破壊靱性限界を容易に越え、高負荷下でのファイバー破壊を起こす。
【0004】
ここに参考文献として組み入れられた、Nelsにより開示された特許文献4、およびLamにより開示された特許文献5のような粒子堆積摩擦材料は、生産するための専用のプロセスを要し、製紙プロセスの経済的利点を利用する従来材料の生産コストの何倍にもなり得る。これらの材料は、望ましい摩擦特性と多くの高エネルギー用途のための高い設備負荷能力とを提供することが認められた。しかしながら、このような材料の設計は、多くの高エネルギー用途について要求される必要な流体浸透性に欠ける、ということも認められた。
【0005】
従来技術の摩擦紙は製紙設備を使って作られ、それは高い生産性レベルによって極めて低コストの材料をもたらす。しかしながら、これらの低コスト材料は、上述の専用に織られた織物の品質と粒子堆積材料に存在する有利な特性、特に強度、高レベルの流体浸透性および好ましい摩擦特性に欠ける。図5Aは、従来技術の材料の電子画イメージを示す。湿り気を付与し製紙プロセスを使ったもので、炭素織布と粒子堆積材料と同等またはそれを超える高い多孔率、耐久性、および耐摩耗性抵抗を有する製品は、高エネルギー摩擦用途のためには非常に有利となりうる。
【0006】
Bortzにより開示された特許文献6、Menardらにより開示された特許文献7、Menardらにより開示された特許文献8のような不織布は、過去の非製紙プロセスによる長いファイバーといくつかの技術を使った摩擦材料と方法を開示している。それは、材料に適用されるアクリロニトリル(acrylonitrile)とバインダー混合物を使用することを例示している。これらの材料は、材料構造中のファイバーのもろさが原因であるところの低い圧縮限界を有することが認められた。これらの材料は、材料構造中の高炭素含有ファイバーの欠如に起因して好ましくない摩擦特性を持つ、ということも認められた。高い炭素含有量のファイバーは、約65%を超える炭素量から成る炭素ファイバーの固有のもろさに起因して、このような方法とプロセスを使う材料の中に効果的に形成することができない。従来技術の教示を改善することが望まれる。
【特許文献1】米国特許第5,662,993号明細書
【特許文献2】米国特許第6,638,883号明細書
【特許文献3】米国特許第6,277,769号明細書
【特許文献4】米国特許第4,639,392号明細書
【特許文献5】米国特許第6,630,416号明細書
【特許文献6】米国特許第5,646,076号明細書
【特許文献7】米国特許第5,807,518号明細書
【特許文献8】米国特許第6,835,448号明細書
【特許文献9】米国特許第5,615,758号明細書
【特許文献10】米国特許第5,842,551号明細書
【特許文献11】米国特許第5,700,353号明細書
【特許文献12】米国特許第4,925,530号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一局面では、本発明は、所定の多孔率を有する骨組マトリクスを規定するよう協働する複数の湿り気を付与したファイバーを備えた、摩擦マトリクスを有する摩擦材料であって、前記所定の多孔率は、0.5インチの水圧低下における1平方フィートの材料につき、毎分約5立方フィートから毎分約80立方フィートの空気のオーダーであることを特徴とする摩擦材料、を有する。
【0008】
他の一局面では、本発明は、摩擦材料における使用のための骨組マトリクスを作るプロセスであって、複数のファイバーと水の混合物を作るステップと;混合物に粒子状材料を加えるステップと;前記混合物が、所定の多孔率を有する骨組マトリクスを規定するよう協働するように、サポート上において前記混合物に湿り気を付与するステップと;を有する。
【0009】
本発明のこれらおよび他の目的、並びに利点については、添付の図面および添付の請求項から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
さて、図1〜図4および図5B〜図8を参照すると、システム、方法、および材料10が示されている。説明された実施形態においては、摩擦材料10は、トルク伝達基板に接着または貼着された高い多孔率および高い強度の材料であり、基板またはプレート12、以前に言及したリング14とリング16のようなものである。次に、組み立てられた部品は、回転またはスライドする部材から、従来から知られているように静的または動的な状態にある他の部材へとエネルギーを伝達するために使われる。このようなシステムは、図1のトルク変換機クラッチプレート12のような変速クラッチプレート、トルク変換機クラッチ、変速バンド、図2のシンクロナイザーリング14のようなシンクロナイザー、差動制限装置(limited slip differential)、湿式ブレーキ、乾式ブレーキ、または伝導機構(power train)あるいは動力伝達システムの何れかの適用可能な部品、を含むことができるが、それらに限定されない。摩擦材料10を作るためのプロセスと方法を、ここで図4に関連付けて説明することにする。システム、方法、および材料10は、停止トルク変換機クラッチ12(図1)、クラッチプレート16(図3)、シンクロナイザーリング14(図2)、または他の動力伝達環境やアセンプリのような、終端使用部品または用途における高レベルの流量を可能にする。従って図1はトルク変換機クラッチ12に適用された摩擦材料10を示す。そして、図2はシンクロナイザーリング14に適用された材料10を示し、図3は、示された第1の側16aおよび第2の面16bに適用された材料10を持つクラッチディスクまたはプレート16を示す。1つ以上のプレート部品12、14、および16は、従来から知られているタイプの動力伝達環境において使うことができる。図示しないが、材料10は、Nelsによる米国特許第5,615,758号明細書(特許文献9)および米国特許第5,842,551号明細書(特許文献10)(ここに参考文献として組み入れられ、この一部を成す)によって教示されるように、部品上に配置されるリングを形成するために分割することができる。
【0011】
複数のファイバー18が水を収容した混合タンク20に加えられる。水のファイバーに対する比率(重量比)は、通常、90〜98パーセントの水対2〜10パーセントのファイバーである。説明された実施形態においては、長さ2ミリメートル未満のファイバーの幾何学的構造に抑えられる、ということが認められる。というのは、親密なファイバー接触を可能にすることによって材料多孔率に逆効果を生じ、それによって多孔率の減少もたらしうるからである。2ミリメートルを超える長さを持つファイバー18の実質的かつ特定の使用が、様々な高温、高い靭性、または様々な長さと直径の特定の性能材料を構成しうることも認められる。一実施形態では、これらの高性能ファイバー18の使用は、直径50μm未満、さらに一般的には直径15μm未満のファイバーに限定される。それにもかかわらず、大多数のファイバー18のアスペクト比を、2.25ミリメートルから12ミリメートルの間の長さに対して、直径約15μmから直径50μmの間に維持することが望ましい。長いファイバーに対し、重量比で5〜95パーセントの、浸潤され乾燥された紙ファイバー材料10の全体組成を留保するために、複合方式を構築することが望ましい、ということも認められる。好ましくは、これらの長いファイバーは、温度が華氏451度(摂氏232度)の空気雰囲気における5パーセント未満の重量損失をもった、熱重量分析「TGA」によって測定された熱安定性を持つ「高温」ファイバーであるべきである。説明された例では、ファイバー18は湿り気を付与したファイバーであって、少なくとも0.80mmの典型的な長さを持ち、一実施形態では2.5〜3.5mmの間である。ファイバー18は非セルロースファイバーでありうる。
【0012】
室温において一様な懸濁が作られるまでタンク20内で機械的撹拌により撹拌することによって、水とファイバー18が混合される。この点に関して、ファイバー18を分散させるか、または純化するのに必要な時間のために、通常、ファイバー18が最初にタンク20に加えられる。結果としてのスラリーは幾分か濃化され、粒子状材料22の偏りを減らし、それは後述するように続いて加えられ、加えられた時に沈殿する。
【0013】
次に、粒子状材料22がタンク20におけるファイバーのスラリー中に加えられ、機械的混合によって撹拌される。撹拌方法は、原材料を分散させるためのみならず、繊維化(フィブリル化)または類似の手段によって寸法的に原材料を純化するために、使うことが可能である。説明図では、粒子状材料22は炭質材料、窒化物材料、金属酸化物材料、シリカ材料、粉末または粒状のエラストマー材料、カーバイド材料、ポリマー材料、無機物質、冶金コークス、石油コークス、活性炭、または黒鉛炭素を有する。複数の材料22は、約400ミクロン未満の長さを有する細かく切り刻んだファイバーまたは粉体化したファイバーを有することができる。また、複数の粒子材料は、約150nm程度に小さな小さい方の寸法と、約300ミクロン程度に大きな大きい方の寸法とを有することができる。
【0014】
ファイバー14と粒子22の混合物は、タンク20が懸濁状態で保持されるファイバー18と粒子状材料22の一様な混合物を含むまで、撹拌され、純化(寸法的変化)される。
【0015】
一様な混合物はタンク20からポンプで送られ、導管25を通って次の段階に輸送され、そして伝統的な製紙プロセスに類似した処理がされる。しかし、材料18、22の沈殿あるいは分離という弊害のある影響はない。ファイバー材料18をからませたり純化したりすることによって、沈殿あるいは分離が低減または防止される。説明された一実施形態では、通常、一様な混合物は、重量比でスラリーの0.5〜7パーセントの固体含有量から成る。
【0016】
通常、一様な混合物は、導管25を通ってポンプで送られ、ポンプ(図示せず)を使って2つ以上の貯留タンク24に至る。ポンピングの継続に応じて、貯留タンク24からの混合物は導管25を通ってポンプ輸送される。追加の化学物質26と28が加えられ、静的なミキサ30と32を使ってスラリー中に混合される。一実施形態では、化学物質26と28は、アシュランドケミカル(Ashland Chemical)のDrew-Flocc2249またはナルコケミカル(Nalco Chemicals)のNalco7530などの陽イオン、および/またはイオン性、および/または非イオン性の歩留向上剤(retention aid)のような、イオン的に帯電したポリマー、Amres HS30またはCascomel wet strengthのような強度強化樹指、および/または、当技術分野の当業者に知られたPhバッファを含むことができる。説明された例では、Drew-Flock2249のようなイオン的に帯電したポリマーが、通常、動的スラリー全体重量を基にした1.5から150百万分率「PPM」のレベルで加えられる。このレベルは、固有の原材料量、材料の幾何学的構成、および水質に対して調整される。Vincentによる米国特許第5,700,353号明細書(特許文献11)およびSinclairによる米国特許第4,925,530号明細書(特許文献12)は、導入することができ、当技術分野の当業者に知られた化学物質と添加物のいくつかを示している。これら特許文献11および12は、ここに参考文献として組み入れられ、この一部を成す。
【0017】
一様な混合物が導管25中を下流に移動するにつれ、希釈水をタンク34から一様な混合物に加えることができる。これは、一様な混合物の重量比での固体割合を、0.015パーセントから4.0パーセントの間に下げ、それによってプロセス変動を減らし、紙構成を改善し、そして最終の製紙化学物質を形成領域に運ぶ。スラリーのこれらの希釈レベルは、高いレベル(5〜95パーセント)の長いファイバー18を含んだ、一貫した構成を作ることが必要とされる。説明された実施形態における長いファイバー18を使用するために、キャリアウエブ40上にランダムおよび均等にそれらが堆積できるよう、大きな体積の水が、システムを通して個々のファイバーを運ぶことを必要とされる。キャリアウエブ40は、亀裂あるいは厚さおよび構成上の望ましくないばらつきを形成することなく、キャリアウエブ40を通した水排出を可能にするようなものである。
【0018】
スラリーの一様な混合物はポンプ42を使ってヘッドボックス44にポンプ輸送され、製紙ステーションまたはマシン46に入る。ヘッドボックス44は開状態または閉状態の容器であり、それはキャリアウエブまたはベルト40上へのスラリー混合物の分散を制御する。説明された例における一様な混合物からの大部分の短いファイバーの除去が、短いファイバー間での親密な接触の低下のために、製紙ステーションまたはマシンを通した材料10の下流への運搬を困難にしうる、ということが理解されるべきである。これは、製紙プロセス全体での材料10の低い湿潤強度をもたらす。この障害を克服するために、サプライ45からの支持キャリアまたはシート43を、製紙ステーションを通して材料10の連続的に製造されるウエブを運ぶために使うことができる。この点に関して、キャリアシート43は基板、スクリム(scrim)、織布、不織布、メッシュ、スクリーン、または固体であるか他の孔質構造であるかかにかかわらずベルトのようなその他の通常的なコンベヤーでありうる。キャリアシート43は、次の浸潤ステップの間かその後、また接着の際でも適所で除去または残されうる。なお、キャリアシート43はウエブまたはコンベヤー40から分離されているものの、ベルト40によって支持されている。
【0019】
ヘッドボックス44は、浸漬堰またはダムの上から流れ出す希釈水として製紙技術分野の当業者に知られている調節可能なスロットまたはスライス開口(図示せず)を有する。ヘッドボックス44にスラリーが入る場所は、通常、粒子22とファイバー18のほとんどの凝集(flocculation)が起こり、高レベル(93〜99.5パーセントの水と2〜10パーセントのファイバー18および/または粒子22)のスラリー希釈が摩擦材料10の形成にとって重要となるような場所である。
【0020】
水または一様なスラリーは、連続的に動くウエブ40とサポート43の上にヘッドボックス44から流れる。説明された実施形態では、コンベヤーまたはウエブ40が微細メッシュスクリーンとして製造される。水の相当な部分が、ロール48、1つ以上の真空ボックス50、またはピンチロール52をも使った表面張力排水を通じてこのウエブ40上で除去される。
【0021】
このウエブ43上で半脱水された材料10は、大量の残留した水を除去する乾燥セクションを通って移動する前に、さらに圧縮またはエンボス(浮き彫り)加工することができる。従って、水性の一様な混合物が、継続した紙状生成物または材料10またはウエブ54が形成されるまで、連続的に乾燥されつつスラリーから湿ったウエブへ変換される、ということが理解されるべきである。説明された実施形態では、ウエブ54は、ロール56のような複数の加熱ローラ、穴をあけた真空ロール、トンネルオーブン、乾燥剤プレート、または熱あるいは真空によって水を除去する従来の他の装備を通って送られる。次に、ウエブ54はマンドレル58上に巻き取られ、乾燥された摩擦材料10のサプライ60が提供され、それが続いて処理されうる。図示しないが、例えばウエブ54は、プロセスのこの段階において、さらなる処理のためにシートにカットされうる。
【0022】
プロセスのこの時点で、示された実施形態のシステムと方法は、ここで説明し、後ほど示す方法で、隣接したファイバー18の粒子状材料22により隙間のサイトにおいて補強された高性能なファイバー18から成る一様な骨組マトリクスを持った材料10の連続的なウエブ11を提供する。図5Aは従来技術の紙材料の電子画イメージを示し、図5Bは説明された例による材料10のイメージである。これは浸潤の後での材料10の剪断強度を著しく増やす一方で、材料10を通した流量に対しての影響はほとんど無視できる。ファイバー18と粒子状材料22のこの配置は、適合性のある、高強度の、耐摩耗性の、高多孔性の、そして振動のない材料10をもたらす。
【0023】
さらに摩擦材料10を強くするために、材料10のウエブ11は浸漬され、ヴァット(vat;大タンク)またはパン(pan;鍋)42を通過させられ、そしてバインダー73を含浸される。説明された例では、バインダー73は、熱硬化樹指、変性された熱硬化樹指、熱可塑性樹脂、粉末樹指、または樹脂のブレンド、とすることができる。粒子材料22は、直接スラリーに導入するか、またはバインダー73を介して導入する(すなわちバインダー中に提供する)ことができる。粒子状材料は、炭質材料、窒化物材料、金属酸化物材料、シリカ材料、粉末または粒状のエラストマー材料、カーバイド材料、ポリマー材料、無機物質、冶金コークス、石油コークス、活性炭、または黒鉛炭素を有する。この材料は、約400ミクロン未満の長さを有する細かく切り刻んだファイバーまたは粉体化したファイバーを有することができる。次に、サプライ60は1対のピンチロール64を通過して、余分なバインダー73をウエブ11から除去し、重量比での最終的なバインダー量の制御を提供するようになる。浸潤されたウエブ11は、従来から知られているタイプのオーブン66を使って、かなり硬化されるが完全には硬化されない、当技術分野の当業者に知られている「B−ステージ」として硬化される。加熱ローラ(図示しない)、あるいは他の適切な設備を、乾燥動作を遂行するために使うことができる、ということが理解されるべきである。浸潤、および「B−ステージ」硬化の後、任意選択のキャリアシート(図示しない)を除去することができ、または除去しなくてもよい。
【0024】
ブロック72では、例えばウエブ11を形状、リング、セグメントに切断したり、エンボス加工したり、機械加工したり、または材料10をある部品に付着させるような他の動作を行ったりすることにより、集められたサプライロール70をさらに処理することができる。さらに材料10は、図1〜図3に関連して先にここで述べたような摩擦環境および部品に処理または適用することができる。
【0025】
図5Bで最も良く示されたように、このプロセスの結果として作られた摩擦材料10が、従来技術の材料と比較して材料を通す大量の多孔率を示す、極めて長くて硬いファイバー幾何学的構造を有している材料10を提供する、ということに注目されたい。図5Bは、長いファイバー18、および隣接したファイバー18間の隙間に位置した粒子状材料22の集団を示した電子イメージを示す。粒子状材料22は、材料の開いた多孔性の構造のために、形成の際にファイバーマトリクスを通って自由に移動することができる。さらにこれは、粒子状材料22がファイバー18の充填された隙間に位置することを可能にし、材料多孔率の最小の減少により改善された材料強度をもたらす。この点に関して、隙間は、所定のファイバー18の長さに沿った他の領域よりも比較的大きな電荷密度を有し、それは、粒子状材料を従来の凝集についての既知の概念によってその隙間に引き付ける傾向がある。
【0026】
この材料は、所定の多孔率を持った骨組マトリクスを提供する。一実施形態では、所定の多孔率は、0.5インチの水圧低下における1平方フィートの材料につき、毎分約5立方フィートから毎分約80立方フィートの空気のオーダーである。他の適用では、この材料は、282.5mmを超えるかまたはそれに等しい外径と254mm未満かまたはそれに等しい内径とを有し、グルーブまたはテクスチャを追加することなく約9.32cStの動粘性率を有する流体における少なくとも400kPaの圧力で、湿り気を付与した摩擦材料にわたって、約0.4 l/minから4.0 l/minの範囲の流速の下でテストされる場合に、前記湿り気を付与した摩擦材料が少なくとも0.6mmの厚さを持った移動体に接着される。
【0027】
図4に戻ってこれを参照すると、材料10のウエブ11と結果としての摩擦材料10が、機能的な摩擦面としてそれぞれ使用できる上側の表面10aと下側の表面10bとを有する、ということに注目されたい。最終的な摩擦材料のカリパス(caliper)値または厚さは0.030ミリメートルから4.2ミリメートルの範囲でありうるが、最も好ましくは0.5ミリメートルから1.5mmの範囲である。最終的な摩擦材料の重量は45ポンド/3000ftから600ポンド/3000ftの範囲でありうるが、最も好ましくは80ポンド/3000ftから475ポンド/3000ftの範囲である。最終的な摩擦材料10の約25パーセントで圧縮された剪断強度は、1.3MPaから13.7MPaの範囲でありうるが、最も好ましくは2.0MPaから8.2MPaである。最終的な材料の典型的な多孔率は、0.5インチの材料の圧力低下における1平方フィートにつき、5cfmから80cfmの空気の範囲でありうるが、最も好ましくは0.5インチの圧力低下における1平方フィートにつき、10cfmから60cfmの空気の範囲である。材料が図1に示したように適用される1つの説明図では、最終的な摩擦材料10の、二次的なグルーブまたは表面テクスチャプロセスなしでの流体浸透率は、浸潤の後に材料厚さより35パーセントまで圧縮された、最小282.5ミリメートルの摩擦材料外経と最大254ミリメートルの内径を持つ、300mmのOD、41.8mmのIDのトルク変換機ピストンに接着される場合に測定され、0.1 L/MlNから4 L/MINの範囲、90℃の温度で9.32cStの動粘性率を有する流体におけるトルク変換機完全停止条件をシミュレーションしつつ、約400kpaの静水圧適用圧力で、ゼロ差分速度(differential speed)においてピストンがフロントカバーに適用された場合に測定された。
【0028】
他の例示的な実施形態では、水が、室温において34におけるスラリーの混合物に98重量パーセント加えられた。水のPhは、水酸化ナトリウムまたは硫酸の追加によってPh6.0から8.0の間に調整された。次に、0.125インチに長く切り刻んだPAN炭素ファイバー材料複合物と2重量パーセントのアクリル系パルプのSDC材料複合物との10.8重量パーセントのSDC材料複合物が、混合タンク中に加えられ、そのタンクが、目に見えるアクリル系パルプの玉または束がなくなるまで撹拌された。
【0029】
次に、粉砕した350−マイクロPAN炭素ファイバーと16.4重量パーセントの8μmかける26μm針状のニードルコークスとの8.4重量パーセントのSDC材料複合物が、12重量パーセントの7μm石油コークスのSDC材料複合物と共に混合タンク20に加えられた。この混合物は、目に見えるコークスまたは粉体化したファイバーがなくなるまで撹拌された。混合物のPhを測定し、図4の20において水酸化ナトリウムまたは硫酸アルミニウムのさらなる追加によって必要に応じて6.0から8.0Ph範囲に調整された。次に、アクリロニトリルが、混合物に加えられたSDC材料複合物の重量比で21パーセントの全固形分懸濁と6パーセントのアクリロニトリル以下に前もって希釈された。SDC材料は生成物60である。
【0030】
希釈されたストックは、ここで図4に関連付けた説明のように、貯留タンクを通して連続的に輸送された。ストックがヘッドボックス44に向かって導管25を通って輸送される際に、2パーセントに希釈された硫酸アルミニウムが静的な混合ユニット30、32(図4)の前のパイプに、5.0から6.0の間のPhが得られるまで注入される。ストックは、毎分約20ftの速度で移動する形成コンベヤーベルトまたはウエブ40のところで、良好に構成された紙状材料を形成するのに十分な容積速度でポンプ輸送される。これの後に、0.2パーセント溶液から78ppmのトータルのバックグラウンド濃度の保持ポリマーDrew-Flocc2449が、入射ポイント26のところで加えられた。
【0031】
この混合物は追加の静的な混合ユニット32を通過し、サプライ34からの希釈水を受けて、全スラリー混合物のために全固形分を約1パーセントにする。この希釈されたスラリー混合物は、Fourdinier44−52製紙マシンのヘッドボックス44にポンプ輸送される。次に、水性スラリーまたは混合物は、先に言及した任意選択のキャリアシート43に輸送された。水性スラリーは、例において毎分約20フィートである製紙スピードに一致させられた。このスラリーは、表面張力またはピンチロール52、真空ボックス50を使って脱水され、そしてスラリーはロール52を使って脱水される。湿ったウエブ11は、缶56が98.5から99.5パーセントの湿った紙の水分を除去するスチーム加熱ドライヤー缶に送られ、乾燥プロセスの間にウエブ11を破砕しないようにウエブ11の乾燥および収縮速度を制御するのに十分なドライヤー缶によって包まれた。乾燥されたウエブまたはシート11はサプライマンドレルまたはロール58上に巻き取られ、サプライ60が提供される。
【0032】
次に、サプライ60は巻戻されて、熱硬化性のフェノール樹指バインダーに含浸された。ウエブ11は、摩擦材料が浸潤され完全に硬化された時に約30重量パーセントの最終的な樹指含有量をもたらす粘度、樹指の固体含有量、および溶け込みを制御するためにイソプロピルアルコールで希釈されたフェノール樹指のヴァットまたはパン62に浸漬される。ウエブ11は、ここで浸潤され、樹指パン42を出て、ピンチロール64間で絞られるかピンチされる。湿り気を浸潤されたウエブまたは紙は、強制空気乾燥オーブン66を通って一連のロール(図示しない)上に運ばれる。強制空気乾燥オーブン66は、約97.5パーセントの材料10が硬化されるようにウエブ11を2.5パーセントの揮発性の揮発レベルに乾燥させる。材料10はキャリアシート43を除去せずにオーブン66を出たが、次に、材料10は1つ以上の、摩擦環境で使われる、図1〜3で示した部品またはコンポーネントのような部品に接着するためにシートにされた。
【0033】
図6は、例示された材料10の多孔率対ラッピング剪断と従来の紙構造摩擦材料10のそれとを比較している。用途における流量の増加に関連する著しく改善された多孔率に注目されたい。摩擦材料10のラッピング剪断強度が、従来技術の紙材料に類似しているにもかかわらず、従来技術の織られた材料に対して増加した多孔率という利点を持っている、ということにも注目されたい。この増加した多孔率は、接する摩擦部品間のオイルの水力学的フィルムを消散させるための改善された能力をもたらし、それによって一層好ましい摩擦特性と振動のない性能とをもたらす。この増加した流れは、摩擦材料にグルーブを設ける必要性を減らすか、または事実上排除することを容易にし、グルーブを設ける用途と比較して、摩擦面当りの高いエネルギー容量をもたらすことになる。この増加した流量は、摩擦材料10と何らかの協働コンポーネントとの界面から熱を効果的に分散させる。
【0034】
本発明のシステムと方法は、全体的に分散され粒子状材料22によって強化され、続いて樹指で浸潤された十分に長いファイバー骨組マトリクスを生産することにおいて、伝統的な製紙プロセスから採用された技術を好都合に利用する。説明された例では、材料10の基本重量は45lbs/3000ftから600lbs/3000ftの範囲であるが、好ましくは80lbs/3000ftから475lbs/3000ftの範囲である。摩擦材料10は0.3ミリメートルから3.2ミリメートルの範囲のカリパス(caliper)値を有するが、最も好ましくは0.5ミリメートルから1.5mmである。ファイバー長さは約0.08ミリメートルから12ミリメートルの範囲であるが、最も好ましくは0.5ミリメートルから3.5ミリメートルである。
【0035】
他の実施形態では、ファイバー長さは2ミリメートルから12ミリメートルの範囲でありうるが、最も好ましくは2ミリメートルから6ミリメートルである。長いファイバー含有量は、浸潤され乾燥された材料10の約5重量パーセントから95重量パーセントの範囲でありうるが、最も好ましくは材料10の20重量パーセントから60重量パーセントである。
【0036】
さらに、長いファイバー18はセルロースファイバー、または炭素ファイバーのような非セルロースファイバーでありうる。あるいは、セルロースと非セルロースファイバーとのブレンドさえも含むことができる。また短いファイバーを、長いファイバーと混合することができるが、短いファイバー長さは0.08ミリメートルから2ミリメートルの範囲であることが好ましい。しかし、最も好ましくは0.2ミリメートルから1ミリメートルの間である。さらに、混合物における短いファイバー含有量は、乾燥され浸潤された材料10の約5重量パーセントから95重量パーセントの範囲であるべきであるが、最も好ましくは、乾燥され浸潤された材料10の5重量パーセントから10重量パーセントの範囲である。長いファイバーと同じように、短いファイバーはセルロースファイバーまたは非セルロースファイバーでありうる。あるいは、セルロースと非セルロースファイバーとのブレンドでありうる。
【0037】
粒子状材料22に関連して、粒子状材料22は約150nm程度に小さな小さい方の寸法と、約300μm程度に大きな大きい方の寸法とを有し、最も好ましくは約1マイクロメートル小さい方の寸法と、約150マイクロメートルの大きい方の寸法との間にある。粒子状材料22は、冶金コークス、石油コークス、炭化処理したPANまたはピッチ、グラファイト、活性炭、ダイアモンドのような炭質材料、あるいは、酸化鉄、酸化アルミニウム、クロム酸化第一鉄のような金属酸化物材料;ボーラルけい酸塩、石英(クォーツ)、珪藻土のようなシリカ材料;ニトリル粒子、ニトリルブタジエン粒子およびアクリル粒子のような粒状のエラストマー材料;カシューボーン(cashew born)ポリマー粒子のようなその他の材料を有することができる。また、粒子状材料20は対称または非対称の形状とすることができ、シリコンカーバイドのようなカーバイド;カシュー(cashew)粒子、モダクリル、フェノール、エポキシのようなポリマー粒子;または、炭酸カルシウム、カルシウムメタシリケート、フリント、および玄武岩のような無機物質でありうる。
【0038】
説明された例において、粒子状材料含有量は、浸潤され乾燥された材料の約1重量パーセントから85重量パーセントの範囲であるが、最も好ましくは浸潤され乾燥された材料の5重量パーセントから50重量パーセントである。粒子状材料は、また、粒子であると思われるほどに小さなファイバーのような細かく切り刻んだファイバーを有することができる。
【0039】
バインダーまたは樹指に関して、材料10は、浸潤され乾燥された材料10の約1重量パーセントから60重量パーセントの範囲の量をもったバインダーを含むことができるが、最も好ましくは、浸潤され乾燥された材料の約25重量パーセントから50重量パーセントの範囲である。説明された例では、バインダーは、Ashland Aerofene295−E−50のような熱硬化樹指、Schenectady Chemical SP6493Cのような変性された熱硬化樹指、Dow P84のような熱可塑性樹脂、Schenectady SP6300Aのようなノヴァラックフェノール樹指(novalac phenolic resin)、Dow Corning1107のようなシリコーン樹脂、Cardolite334のようなカシューベース樹指、Shell-Epon1001Bのようなエポキシ樹脂、Skybond701のようなポリアミド、Borden Cascomel MF−2LMのようなメラミン樹脂、Noveon 1562117のようなニトリルブタジエン樹指、HB Fuller PN3178Fのようなアクリルのバインダーとすることができる。説明された例では、バインダーは、American Kynol 10BTのようなノヴァロイドフェノール(novaloid phenolic)、BASF Basofilスロットファイバーのようなメラミンファイバー、またはPlenco 12114のような粉末のフェノール、またはLenzingファイバーのようなポリイミドファイバーである樹指から作られたファイバーの形態とすることができる。説明された例では、バインダーは、前述の樹指および/または複数の言及したファイバーの2つ、またはそれ以上を有することができる。
【0040】
前述の例によって教示されたように、材料10は680kPaから13.7MPaの剪断強度を持つことができるが、最も好ましくは、材料を十分に硬化させるのに十分な時間、温度と、25パーセント圧縮でのバインダーの硬化のための圧力とで接着される時に、1.3MPaから8.2MPaの範囲である。接着圧力のパーセンテージは以下の式によって決定される
【0041】
式:
(最初の厚さ−最終の厚さ)/(最初の厚さ)
【0042】
説明された実施形態では、材料10は、約1パーセントから75パーセントの範囲のボイド体積を含むことができるが、最も好ましくは、材料内の空いた空間の容積全体の約30パーセントから60パーセントの範囲である。
【0043】
図1に示した例では、例えば材料10は、282.5ミリメートルの外経と254ミリメートルの内径を持ち、300ミリメートルのOD、41.8mmのIDのピストンに0.6ミリメートルの厚さに接着される。材料10にわたる全体の流量は、浸潤の後に材料厚さから25パーセントまで圧縮される場合に0.1 L/MINから4 L/MINの範囲であり、90℃の温度で9.32cStの動粘性率を処理する流体におけるトルク変換機完全停止条件をシミュレーションしつつ、約400kpaの静水圧適用圧力で、ゼロ差分速度(differential speed)においてフロントカバーにピストンが適用された場合に流量が測定された。
【0044】
このシステムと方法は、シンクロナイザーリング14(図2)、クラッチディスク16(図3)、またはトルク変換機ピストン10(図1)のような、摩擦直面環境で使うことのできる摩擦材料10を提供する。しかしながら、材料10を同様に他の環境に適用できる、ということを本発明者は想定する。
【0045】
図7は、図1で示したトルク変換機クラッチ12のためのピストン流れに対する例示的実施形態を比較するデータを示す。ピストン流れを、従来技術の紙摩擦材料、すなわち本願発明の譲受人で生産され利用可能であるSelect Power Train TechnologiesCF−4500と比較する。水力学的フィルムを消散させることを容易にし、そして材料10が使われる流体の有効寿命を順に延長するような低い内面温度をもたらす著しく改善されたピストン流速に注目されたい。
【0046】
図8は、従来技術の紙摩擦材料、すなわちAFM Grade 4211と比較した、高い浸透率材料に対する流量と温度特性とを示す。低い多孔率材料を通した低い流量の効果と比較して、高い浸透率材料構成を通した高い流速の影響に注目されたい。高い多孔率の材料の界面と温度は、低い多孔率または紙の材料のそれより著しく低い。
【0047】
ここで説明した材料、部品、および方法、並びにこの方法を効果的に適用する機器の形態は、本発明の好ましい実施形態を構成する。本発明が、この通りの方法および機器の形態に限定されていない、ということ、および、添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲を逸脱することなく、変更を成すことができる、ということを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態による、トルク変換機クラッチピストンのような部品に適用される摩擦材料を示す説明図である。
【図2】シンクロナイザーリング上の材料を示す。
【図3】クラッチプレートまたはディスク上の材料の他の用途を示す。
【図4】材料を作るためのシステムと方法の説明図である。
【図5A】従来技術の紙材料の電子イメージである。
【図5B】説明された例による材料10のイメージである。
【図6】多孔率対ラッピング剪断を示す棒グラフである。
【図7】従来技術の紙材料と比較した、トルク変換機クラッチに適用した材料のピストン流れを示す他の棒グラフである。
【図8】図1に示すトルク変換機クラッチのようなトルク変換機クラッチ上の低浸透性材料と比較した、摩擦材料の界面温度に対する高多孔性材料の効果を示す。
【符号の説明】
【0049】
10 紙ファイバー材料(摩擦材料)
10a 上側の表面
10b 下側の表面
11 ウエブ
12 トルク変換機クラッチ
14 シンクロナイザーリング
16 クラッチディスク
18 ファイバー材料
20 混合タンク(粒子状材料)
24 貯留タンク
25 導管
26 化学物質
30、32 混合ユニット(ミキサ)
34 タンク
40 キャリアウエブ(コンベヤー)
42 樹指パン
43 ウエブ(キャリアシート)
44 ヘッドボックス
45 サプライ
46 製紙マシン
48 ロール
50 真空ボックス
52 ピンチロール
54 ウエブ
56 ロール
56 缶
58 マンドレル
58 ロール
60 サプライ
62 パン
64 ピンチロール
66 強制空気乾燥オーブン
70 サプライロール
72 ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の多孔率を有する骨組マトリクスを規定するよう協働する複数の湿り気を付与したファイバーを備えた、摩擦マトリクス
を有する摩擦材料であって、
前記所定の多孔率は、0.5インチの水圧低下における1平方フィートの材料につき、毎分約5立方フィートから毎分約80立方フィートの空気のオーダーであることを特徴とする摩擦材料。
【請求項2】
前記複数の湿り気を付与したファイバーは、大部分が非セルロースファイバーを有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項3】
前記複数の湿り気を付与したファイバーは、少なくとも0.08mmの長さを有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項4】
前記摩擦材料は、熱硬化物質または熱可塑性物質であるバインダーで浸潤されていることを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項5】
前記バインダーは複数の粒子を有することを特徴とする請求項4に記載の摩擦材料。
【請求項6】
前記複数の粒子材料は、以下のもの:すなわち、炭質材料;窒化物材料;金属酸化物材料;シリカ材料;粉末または粒状のエラストマー材料;カーバイド材料;ポリマー材料;または無機物質のうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項7】
前記複数の粒子材料は冶金コークスを有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項8】
前記複数の粒子材料は石油コークスを有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項9】
前記複数の粒子材料は活性炭を有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項10】
前記複数の粒子材料は黒鉛炭素を有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項11】
バインダー中の前記複数の粒子材料は、約150nm程度に小さな小さい方の寸法と、約300ミクロン程度に大きな大きい方の寸法とを有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項12】
前記複数の粒子材料は、400ミクロン未満の長さを有する細かく切り刻んだファイバーまたは粉体化したファイバーであることを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項13】
摩擦材料が、少なくとも1.3MPaの最小剪断強度を有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項14】
前記摩擦材料は、車両において使用するための部品に付着するよう適合され、その状況で、前記部品はトルク変換機、クラッチプレート、シンクロナイザーリング、または他のトルク伝達装置であることを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項15】
湿り気を付与した摩擦材料が、282.5mmを超えるかまたはそれに等しい外径と254mm未満かまたはそれに等しい内径とを有する場合で、グルーブまたはテクスチャを追加することなく約9.32cStの動粘性率を有する流体における少なくとも400kPaの圧力で、湿り気を付与した摩擦材料にわたって、約0.4 l/minから4.0 l/minの範囲の流速の下でテストされる場合に、前記湿り気を付与した摩擦材料が少なくとも0.6mmの厚さを持った移動体に接着されることを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項16】
前記骨組マトリクスは、隙間における複数の粒子材料集団を有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項17】
前記骨組マトリクスは、バインダーによる隙間における複数の粒子材料集団を有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項18】
前記複数の粒子材料は、以下のもの:すなわち、炭質材料;窒化物材料;金属酸化物材料;シリカ材料;粉末または粒状のエラストマー材料;カーバイド材料;ポリマー材料;または無機物質のうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項16に記載の摩擦材料。
【請求項19】
前記複数の粒子材料は冶金コークスを有することを特徴とする請求項17に記載の摩擦材料。
【請求項20】
前記複数の粒子材料は石油コークスを有することを特徴とする請求項17に記載の摩擦材料。
【請求項21】
前記複数の粒子材料は活性炭を有することを特徴とする請求項17に記載の摩擦材料。
【請求項22】
前記複数の粒子材料は黒鉛炭素を有することを特徴とする請求項17に記載の摩擦材料。
【請求項23】
前記骨組マトリクスは、隙間における複数の粒子材料集団と、バインダー内に供給された複数の粒子材料を備えたバインダーとを有することを特徴とする請求項1に記載の摩擦材料。
【請求項24】
前記複数の粒子材料は、約150nm程度に小さな小さい方の寸法と、約300ミクロン程度に大きな大きい方の寸法とを有することを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項25】
前記複数の粒子材料は、以下のもの:すなわち、炭質材料;窒化物材料;金属酸化物材料;シリカ材料;粉末または粒状のエラストマー材料;カーバイド材料;ポリマー材料;または無機物質のうち、少なくとも1つを有することを特徴とする請求項5に記載の摩擦材料。
【請求項26】
前記複数の粒子材料は冶金コークスを有することを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項27】
前記複数の粒子材料は石油コークスを有することを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項28】
前記複数の粒子材料は活性炭を有することを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項29】
前記複数の粒子材料は黒鉛炭素を有することを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項30】
前記複数の粒子材料は、400ミクロン未満の長さを有する細かく切り刻んだファイバーまたは粉体化したファイバーであることを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項31】
湿り気を付与した摩擦材料が、282.5mmを超えるかまたはそれに等しい外径と254mm未満かまたはそれに等しい内径とを有する場合で、グルーブまたはテクスチャを追加することなく約9.32cStの動粘性率を有する流体における少なくとも400kPaの圧力で、湿り気を付与した摩擦材料にわたって、約0.4 l/minから4.0 l/minの範囲の流速の下でテストされる場合に、前記湿り気を付与した摩擦材料が少なくとも0.6mmの厚さを持った移動体に接着されることを特徴とする請求項23に記載の摩擦材料。
【請求項32】
摩擦材料における使用のための骨組マトリクスを作るプロセスであって、
複数のファイバーと水の混合物を作るステップと;
前記混合物が、所定の多孔率を有する骨組マトリクスを規定するよう協働するように、サポート上において前記混合物に湿り気を付与するステップと;
を有し、その状況で、前記所定の多孔率は、0.5インチの水圧低下における1平方フィートの材料につき、毎分約5立方フィートから毎分約80立方フィートの空気のオーダーであることを特徴とするプロセス。
【請求項33】
前記プロセスが、
前記ファイバーの混合物に粒子状材料を加えるステップ
をさらに有することを特徴とする請求項32に記載のプロセス。
【請求項34】
前記プロセスが、
摩擦材料をバインダーで満たすステップ
をさらに有することを特徴とする請求項32に記載のプロセス。
【請求項35】
前記バインダーが内部に分散された複数の粒子材料を有し、
前記プロセスが、
バインダーと複数の粒子との混合物を前記骨格マトリクスに適用するステップ
をさらに有することを特徴とする請求項34に記載のプロセス。
【請求項36】
前記プロセスが、
浸潤された摩擦材料を乾燥させるステップをさらに有することを特徴とする請求項34に記載のプロセス。
【請求項37】
前記プロセスが、
摩擦材料をセグメントに加工するステップをさらに有することを特徴とする請求項32に記載のプロセス。
【請求項38】
前記プロセスが、
セグメントを部品に付着させるステップをさらに有することを特徴とする請求項37に記載のプロセス。
【請求項39】
前記部品はシンクロナイザーリング、クラッチディスク、またはトルク変換機、あるいは他のトルク伝達装置であることを特徴とする請求項38に記載のプロセス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−500511(P2009−500511A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−521430(P2008−521430)
【出願日】平成18年7月3日(2006.7.3)
【国際出願番号】PCT/US2006/026167
【国際公開番号】WO2007/008522
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(303047012)サルザー・フリクション・システムズ・(ユーエス)・インコーポレーテッド (2)
【Fターム(参考)】