説明

湿式現像用電子写真感光体および湿式現像用画像形成装置

【課題】 長期間にわたって、所定感度を有するとともに、耐久性や耐溶剤性に優れた湿式現像用電子写真感光体および湿式現像用画像形成装置を提供する。
【解決手段】 導電性基体上に感光体層を設けた湿式現像用電子写真感光体およびそのような湿式現像用電子写真感光体を備えた湿式現像用画像形成装置であって、感光体層が、電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種含有する。
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


(一般式(1)〜(4)中のX1〜X6は、酸素原子またはC(CN)2であり、Y1〜Y4はそれぞれ独立しており、2〜4価の炭素数1〜30の置換または非置換の炭化水素基であり、R1は水素原子、アリール基等であり、R2〜R5はそれぞれ独立しており、水素原子、アルキル基等であり、繰り返し数a〜dは0〜4の整数であり、m、n、p、qは2〜4の整数である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿式現像用電子写真感光体および湿式現像用画像形成装置に関し、特定の電子輸送剤を用いることにより、優れた耐溶剤性および耐久性を示すとともに、長期間にわたって所定感度を維持できる湿式現像用電子写真感光体および湿式現像用画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置等に用いられる湿式現像用電子写真感光体として、電荷輸送剤(正孔輸送剤、電子輸送剤)、電荷発生剤、および結着樹脂(バインダー樹脂)等の有機感光体材料からなる有機感光体が使用されている。かかる有機感光体は、従来の無機感光体に比べて、製造が容易であるとともに、感光体材料の選択肢が多様であることから、構造設計の自由度が高いという利点がある。
このような有機感光体材料のうち、所定の感度特性を有する電子輸送剤として、下記一般式(37)で表されるナフトキノン誘導体を用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【化1】

【0004】
(一般式(37)中のR20は、置換基を有していてもよいアリール基を示し、R21は置換基を有していてもよいアルキレン基、置換基を有していてもよいアリーレン基、下記一般式(38)で表される基、または、下記一般式(39)で表される基を示す。)
【0005】
【化2】

【0006】
(一般式(38)中のR22は、置換基を有していてもよいアルキレン基を示す。)
【0007】
【化3】

【0008】
また、所定の電気的特性を有した電荷輸送剤として、下記一般式(40)で表される化合物を用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
【化4】

【0010】
(一般式(40)中のX9およびX10は、それぞれ独立的に、(9−フルオレニリデン)マロノニトリル基であり、Zは、−(CH2)u−の化学式を有する分枝または直鎖の連結基であり、uは1〜30の整数であり、前記連結基のうち少なくとも一つは、O、S、C=O、Si=O、S(=O)2、P(=O)2、芳香族基、ヘテロ環基、脂肪族環基、SiR2324基、BR25基、NR26基、CHR27基またはCR2829基に置換されており、R23〜R29は、それぞれ独立的に、水素、ハロゲン、ヒドロキシル基、チオール、アルコキシ基、アルキル基、アルケニル基、芳香族基、ヘテロ環基またはシクロ環の一部である。)
【0011】
また、所定の感度特性を有した電荷輸送剤として、下記一般式(41)で表される化合物を用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0012】
【化5】

【0013】
(一般式(41)中のQ、Q´は、O、C(CN)2、CHCN、CY2(Yはハロゲン原子)、C(COOR´)2、CHCOOR´、CHR´、NR´(R´は水素原子、又はアルキル基、フェニル基、複素環の各基)、NCNのいずれかを表す。X10は、−O−、−CO−、−NH−、置換及び無置換の脂肪族、又は芳香族炭化水素基を表し、y≧2のときはX11は互いに異なっていてもよい。R30、R31は置換及び無置換のアルキル、アリール、アルコキシ、アシル、エステル、シアノ、ニトロ、アミド、スルホン、スルホンアミド、ヒドロキシ、アルデヒドの各基又はハロゲン原子を表し、v≧0、w≧0である。ただし、v≧2のときはR30は互いに異なっていてもよく、w≧2のときはR31は互いに異なっていても良い。)
【0014】
また、所定の電気的特性および相溶性を有した電子輸送剤として、下記一般式(42)で表される化合物を用いた電子写真感光体が知られている(例えば、特許文献4参照)。
【0015】
【化6】

【0016】
(一般式(42)中のR32、R33はアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリール基、アリールオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールカルボニルオキシ基、アラルキル基、アラルコキシ基、アラルコキシカルボニル基、アラルキルカルボニルオキシ基、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、または水素原子を示し、R32、R33は同一でも異なっていても良く、R34は炭素数1〜10直鎖もしくは分岐鎖状のアルキレン基、前記アルキレン基を構成する炭素が酸素もしくはカルボニル基で置換されているアルキレン基、または置換もしくは未置換の芳香環を示す。)
【特許文献1】特許第3445913号(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2004−264854号(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平7−56369号(特許請求の範囲)
【特許文献4】特開平6−208229号(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、特許文献1、3及び4に記載された電子輸送剤を含んだ電子写真感光体は、専ら乾式現像用電子写真感光体への用途を考慮しており、所定の耐溶剤性や耐久性を有する湿式現像用電子写真感光体として用いることについてはなんら考慮されていなかった。
また、特許文献2に記載された電荷輸送剤を含んだ電子写真感光体は、湿式現像用電子写真感光体への用途を考慮しているものの、かかる電荷輸送剤はエステル結合を有さない場合がある。このため、エステル結合を有さない電荷輸送剤を用いた湿式現像用電子写真感光体は、繰り返し特性には優れているものの、耐溶剤性に優れていないため、実際に使用した場合において、感光体が溶剤に侵されて感度特性が低下するという問題が見られた。
【0018】
そこで、本発明者らは、湿式現像用電子写真感光体の電子輸送剤として、所定の化合物を用いることにより、結着樹脂との相溶性に優れ、クラックが生じにくいため、電荷輸送剤等の溶出量を著しく低下させるととともに、電荷注入性に優れているため、所定の感度特性を維持できるという事実を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の目的は、耐溶剤性や耐久性に優れるとともに、長期間にわたって所定感度を維持できる湿式現像用電子写真感光体およびそのような湿式現像用電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によれば、少なくとも結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光体層を備えた湿式現像用電子写真感光体であって、電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種類含有する湿式現像用電子写真感光体が提供され、上述した問題を解決することができる。
【0020】
【化7】

【0021】
【化8】

【0022】
【化9】

【0023】
【化10】

【0024】
(一般式(1)〜(4)中のX1〜X6はそれぞれ独立しており、酸素原子またはC(CN)2で表される基であり、Y1〜Y4はそれぞれ独立しており、2〜4価の炭素数1〜30の置換または非置換の炭化水素基であり、R1は水素原子、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、あるいは炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であり、R2〜R5はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシカルボニル基であり、繰り返し数aは0〜4の整数であり、b〜dはそれぞれ独立しており、0〜7の整数であり、m、n、p、qはそれぞれ独立しており、2〜4の整数である。)
【0025】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、一般式(1)〜(4)中のY1〜Y4が、炭素数1〜10の置換または非置換のアルキレン基、あるいは炭素数6〜15の置換または非置換のアリーレン基であることが好ましい。
【0026】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送剤の分子量を500以上とすることが好ましい。
【0027】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0028】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、正孔輸送剤の分子量を900以上とすることが好ましい。
【0029】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0030】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂として、I/O値(無機性値/有機性値)が0.38以上であるポリカーボネート樹脂を含むことが好ましい。
【0031】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、電荷発生剤として、無金属フタロシアニン(τ型またはx型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
【0032】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0033】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、液体現像剤の炭化水素系溶剤中に室温で、2000時間の条件で浸漬させた場合に、正孔輸送剤の溶出量が10×10-7g/cm3以下であることが好ましい。
【0034】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、感光層が、単層型または積層型であることが好ましい。
【0035】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかに記載の湿式現像用電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を実施するための部位をそれぞれ配置し、かつ、現像工程において液体現像剤を用いて画像形成を行う湿式現像用画像形成装置である。
【発明の効果】
【0036】
本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、電子輸送剤として、一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種類含有することにより、耐溶剤性および耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
すなわち、一般式(1)〜(4)で表される化合物は、それぞれキノン化合物およびジシアノメチレン化合物からなる多量体であることから、結着樹脂との相溶性を向上させることができる。
したがって、このような化合物を湿式現像用電子写真感光体における電子輸送剤として使用することにより、感光体中に均一に分散されるため、液体現像剤に長時間使用した場合であっても、感光体層におけるクラックの発生を抑え、電荷輸送剤等の溶出量を低下させることができる。また、それぞれ電子のホッピング距離が短く、かつ電荷発生剤からの電荷の注入性に優れているため、所定の感度特性を維持することができる。
【0037】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、一般式(1)〜(4)中のY1〜Y4が所定の置換基であることにより、結着樹脂との相溶性をさらに優れたものとすることができる。
したがって、このような置換基を有する化合物を、湿式現像用電子写真感光体における電子輸送剤として使用することにより、感光体層中にかかる化合物が均一に分散されるため、耐溶剤性および耐久性が向上するとともに、電荷移動度を高めることができる。
【0038】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、電子輸送剤の分子量を所定以上の値とすることにより、結着樹脂との相溶性を向上させることができる。
したがって、このような分子量の化合物を、湿式現像用電子写真感光体における電子輸送剤として使用することにより、液体現像液に長時間使用した場合であっても、電荷輸送剤等の溶出量が少なく、かつ結着樹脂との相溶性が良いことから、耐溶剤性や耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0039】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、所定重量部の範囲内の値に制限することにより、電子輸送剤の結晶化を有効に防ぐことができ、さらに感度特性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0040】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、正孔輸送剤の分子量を所定以上の値とすることにより、結着樹脂との相溶性を向上させることができる。
したがって、このような分子量の化合物を、湿式現像用電子写真感光体における正孔輸送剤として使用することにより、液体現像液に長時間使用した場合であっても、電荷輸送剤等の溶出量が少なく、かつ結着樹脂との相溶性が良いことから、耐溶剤性や耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0041】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、正孔輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、所定重量部の範囲内の値に制限することにより、正孔輸送剤の結晶化を有効に防ぐことができ、さらに感度特性にも優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0042】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、結着樹脂のI/O値(無機性値/有機性値)を所定範囲内に制限することにより、耐溶剤性がさらに優れることができる。
したがって、湿式現像用電子写真感光体に、かかる結着樹脂を含むことにより、長時間使用時においても、電荷輸送剤等の溶出量を著しく低下させる湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0043】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、電荷発生剤の種類を特定することにより、正孔輸送剤および電子輸送剤を併用した場合、感度特性、電気特性および安定性がさらに優れることができる。
したがって、湿式現像用電子写真感光体に、かかる電荷発生剤を含むことにより、長時間使用時においても、所定の感度特性を維持する湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0044】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、電荷発生剤の添加量を、所定範囲に制限することにより、量子収率を高める効果が向上して、さらに可視光における赤色領域、近赤外領域、あるいは赤外領域に波長を有する光に対する吸光係数を大きくする効果を保つことができる。
したがって、湿式現像用電子写真感光体に、かかる電荷発生剤を含むことにより、感度特性、電気特性、および安定性等がさらに優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
【0045】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、正孔輸送剤の溶出量を特定範囲に制限することにより、現像時における耐溶剤性を、精度良く判定することができる。例えば、2000時間の浸漬試験により、10万枚の画像形成を実施した場合の耐溶剤性を、精度良く推定することができる。
【0046】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体によれば、感光体層を単層型にすることにより、構成や製造が容易になる。
したがって、湿式現像用電子写真感光体が単層型であることにより、長時間にわたって所定感度を有する湿式現像用電子写真感光体を効率よく製造することができる。
また、感光体層を積層型にすることにより、感光体材料の選択肢が多様であり、耐溶剤性、耐久性、感度特性など、任意の特性を有する電子写真感光体を比較的容易に作成することができるという利点がある。
したがって、湿式現像用電子写真感光体が積層型であることにより、耐溶剤性に特に優れた湿式現像用電子写真感光体を効率よく製造することができる。
【0047】
また、本発明の湿式現像用画像形成装置によれば、湿式現像用電子写真感光体に、上述したいずれかの湿式現像用電子写真感光体を備えることにより、湿式現像液に長時間浸漬した場合であっても、電荷輸送剤等の溶出量が少なく、かつ、感度特性にも優れた湿式現像用電子写真感光体を備えた画像形成装置を提供することができる。
したがって、湿式現像用画像形成装置に、このような湿式現像用電子写真感光体を備えることにより、長時間にわたって鮮明な画像を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
以下、本発明の湿式現像用電子写真感光体に関する実施の形態を、適宜図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0049】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、導電性基体上に感光体層を設けた湿式現像用電子写真感光体であって、感光体層が、電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種含有する湿式現像用電子写真感光体である。
【0050】
【化11】

【0051】
【化12】

【0052】
【化13】

【0053】
【化14】

【0054】
(一般式(1)〜(4)中のX1〜X6はそれぞれ独立しており、酸素原子またはC(CN)2で表される基であり、Y1〜Y4はそれぞれ独立しており、2〜4価の炭素数1〜30の置換または非置換の炭化水素基であり、R1は水素原子、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、あるいは炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であり、R2〜R5はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシカルボニル基であり、繰り返し数aは0〜4の整数であり、b〜dはそれぞれ独立しており、0〜7の整数であり、m、n、p、qはそれぞれ独立しており、2〜4の整数である。)
【0055】
ここで、湿式現像用電子写真感光体には、単層型と積層型とがあるが、本発明の湿式現像用電子写真感光体は、いずれにも適用可能であり、それぞれ分けて態様を説明する。
【0056】
1.単層型感光体
(1)基本的構成
図1(a)に示すように、単層型感光体10は、導電性基体12上に単一の感光体層14を設けたものである。
この感光体層は、例えば、一般式(1)〜(4)で表される化合物(電子輸送剤)を少なくとも一種類と、正孔輸送剤、電荷発生剤と、結着樹脂と、さらに必要に応じてレベリング剤等を適当な溶媒に溶解または分散させ、得られた塗布液を導電性基体上に塗布し、乾燥させることで形成することができる。かかる単層型感光体は、単独の構成で正負いずれの帯電型にも適用可能であるとともに、層構成が簡単であって、生産性に優れており、感光体層を形成する際の被膜欠陥を抑制できることから、層間の界面が少なく、光学的特性を向上できるという特徴がある。
また、得られた単層型感光体は、一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種類含んでいることから、残留電位が低下しており、所定感度を有しているという特徴がある。
【0057】
(2)電子輸送剤
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤として、ジオール化合物、トリオール化合物、またはテトラオール化合物と、カルボン酸を有したキノン誘導体またはキノン前駆体とを反応させて得られる、エステル結合を有するキノン多量体であることが好ましい。あるいは、ジオール化合物、トリール化合物、またはテトラオール化合物と、カルボン酸を有したジシアノメチレン誘導体またはジシアノメチレン前駆体とを反応させて得られる、エステル結合を有するジシアノメチレン多量体であることが好ましい。
この理由は、このような反応によって得られた化合物は1分子に2個以上のエステル結合(−COO−)を2個以上有しており、ポリカーボネート樹脂等の結着樹脂に対する相溶性にきわめて優れることができるためである。したがって、湿式現像用電子写真感光体にこのような電子輸送剤を用いることにより、耐溶剤性に優れることができる。
【0058】
ここで、ジオール化合物、トリオール化合物、およびテトラオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、シクロヘキサンー1,4−ジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−へキサントリオール、1,2,4−ベンゼントリメタノール、3,3,3´,3´―テトラメチルー1,1´―スピロインダンー5,5´,6,6´−テトラオール、ビスフェノールA、ビスフェノールC、水添ビスフェノールA等が挙げられる。
また、キノン誘導体、キノン前駆体、ジシアノメチレン誘導体、およびジシアノメチレン前駆体の具体例としては、アントラキノンー2−カルボン酸、9−オキソー9H−チオキサンテンー3−カルボン酸−10,10−ジオキシド、9−フルオレノンー4−カルボン酸、9−フルオレノンー2−カルボン酸等が挙げられる。
【0059】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤として、上述した反応から得られる電子輸送剤である一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種以上含有することを特徴とする。
この理由は、かかる電子輸送剤はそれぞれキノン誘導体またはジシアノメチレン誘導体がエステルを介して結合した多量体であり、それぞれエステル結合を有しているため、結着樹脂との相溶性に優れることができ、優れた耐溶剤性を示すことができるためである。また、それぞれ多量体からなる化合物であるため、結着樹脂との相溶性がさらに向上し、電気的特性および耐熱性を向上することができるためである。したがって、このような化合物を少なくとも一種以上含有する湿式現像用電子写真感光体により、長期間にわたって安定した画像形成実施することができる。
【0060】
また、一般式(1)〜(4)中のY1〜Y4が炭素数1〜10の置換または非置換のアルキレン基、あるいは炭素数6〜15の置換または非置換のアリーレン基であることが好ましい。
この理由は、このような置換基を有することにより、結着樹脂との相溶性がさらに向上することができるためである。また、電子の分布が非局在化し、かつ平面的になることによって、電荷移動度が大きくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性を高めることができるためである。
【0061】
(2)−1 具体例
これらの電子輸送剤の具体例として、下記式(5)〜(10)で表される化合物(ETM−A〜F)が挙げられる。
【0062】
【化15】

【0063】
【化16】

【0064】
【化17】

【0065】
【化18】

【0066】
【化19】

【0067】
【化20】

【0068】
また、本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる電子輸送剤としては、分子量を500以上の値とすることが好ましい。
この理由は、このような分子量の電子輸送剤を、湿式現像用電子写真感光体に用いることにより結着樹脂との相溶性が良いことから、耐溶剤性や耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
なお、電子輸送剤の分子量は、Chem Draw Std version8(Cambridge Soft社製)を用いて化学構造式を元に算出することもできるし、あるいはマススペクトルを用いて算出することができる。
【0069】
また、従来公知の電子輸送剤を併用することも好ましい。かかる電子輸送剤の種類としては、ジフェノキノン誘導体、ベンゾキノン誘導体のほか、アントラキノン誘導体、マロノニトリル誘導体、チオピラン誘導体、トリニトロチオキサントン誘導体、3,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン誘導体、ジニトロアントラセン誘導体、ジニトロアクリジン誘導体、ニトロアントアラキノン誘導体、ジニトロアントラキノン誘導体、テトラシアノエチレン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、無水コハク酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水マレイン酸等の電子受容性を有する種々の化合物が挙げられ、1種単独または2種以上をブレンドして使用することが好ましい。
また、これらの化合物のうち、樹脂60重量%に対して、濃度40重量%に調整した場合であって、電界強度が5×105v/cmにおける電子移動度が1.0×10-8cm2/V/sec以上である電子輸送剤がより好ましい。
【0070】
(2)−2 添加量
また、湿式現像用電子写真感光体を構成するにあたり、結着樹脂100重量部に対して、電子輸送剤の添加量を、10〜100重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電子輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる複数の電子輸送剤の添加量が100重量部を超えた値になると、電子輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、電子輸送剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、20〜80重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0071】
なお、電子輸送剤の添加量を定めるにあたり、後述する正孔輸送剤の添加量を考慮することが好ましい。より具体的には、電子輸送剤(全ETM)の添加割合(全ETM/全HTM)を、正孔輸送剤(全HTM)に対して、0.25〜1.3の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる全ETM/全HTMの比率がかかる範囲外の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。
したがって、かかる全ETM/全HTMの比率を0.5〜1.25の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0072】
(3)正孔輸送剤
(3)−1 種類
本発明の湿式現像用電子写真感光体の正孔輸送剤としては、分子量を900以上の値とする化合物を用いることが好ましい。
この理由はこのような分子量の正孔輸送剤を、湿式現像用電子写真感光体に用いることにより結着樹脂との相溶性が良いことから、耐溶剤性や耐久性に優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
なお、正孔輸送剤の分子量は、構造式を元に算出することもできるし、あるいはマススペクトルを用いて算出することができる。
【0073】
本発明の湿式現像用電子写真感光体の正孔輸送剤としては、一般式(11)で表される構造を含有することが好ましい。
この理由は、正孔輸送剤として、一般式(11)で表される構造を含有することにより、特定のアミン構造を含むことにより、ポリカーボネート樹脂との間の相溶性がさらに良好になり、また、電荷発生剤からの正孔の注入効率が高くなることから、耐久性や感度特性にさらに優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができる。
また、このような正孔輸送剤を使用することにより、感度特性を向上できるばかりでなく、機械的特性や成膜性についても向上することができるためである。
【0074】
【化21】

【0075】
(一般式(11)中、R6〜R12は、それぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、置換又は非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換又は非置換の炭素数2〜20のアルケニル基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアリール基、置換又は非置換の炭素数6〜30のアラルキル基、置換又は非置換のアゾ基、置換又は非置換の炭素数2〜30のアルケニル基、あるいは置換又は非置換の炭素数6〜30のジアゾ基であり、Y5は2価又は3価の有機基であり、繰り返し数rは1〜4の整数である。)
【0076】
また、かかるスチルベン誘導体のY5で表される2価または3価の有機基が、下記式(12)で表されるアリーレン基であることが好ましい。また、炭素数6〜20の置換または非置換のアリーレン基であることがより好ましい。
この理由は、このような置換基を有することにより、結着樹脂との相溶性が向上し、電気的特性および耐熱性を向上することができるためである。また、電子の分布が非局在化し、かつ平面的になることによって、電荷移動度が大きくなるとともに、電荷発生剤からの電荷の注入性を高めることができるためである。
【0077】
【化22】

【0078】
(3)−2 具体例
本発明の湿式現像用電子写真感光体に用いられる正孔輸送剤の具体例として、下記構造式(13)、(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A、B)を示す。
【0079】
【化23】

【0080】
【化24】

【0081】
また、従来公知の正孔輸送剤を併用することも好ましい。かかる正孔輸送剤としては、例えば、N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェニレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルナフチレンジアミン誘導体、N,N,N’,N’−テトラフェニルフェナントリレンジアミン誘導体、2,5−ジ(4−メチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、9−(4−ジエチルアミノスチリル)アントラセン等のスチリル系化合物、ポリビニルカルバゾール等のカルバゾール系化合物、有機ポリシラン化合物、1−フェニル−3−(p−ジメチルアミノフェニル)ピラゾリン等のピラゾリン系化合物、ヒドラゾン系化合物、インドール系化合物、オキサゾール系化合物、イソオキサゾール系化合物、チアゾール系化合物、チアジアゾール系化合物、イミダゾール系化合物、ピラゾール系化合物、トリアゾール系化合物等の含窒素環式化合物や、縮合多環式化合物が挙げられる。
【0082】
(3)−3 添加量
また、正孔輸送剤の添加量に関し、結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる正孔輸送剤の添加量が10重量部未満の値になると、感度が低下して、実用上の弊害が生じる場合があるためである。一方、かかる正孔輸送剤の添加量が80重量部を超えた値になると、正孔輸送剤が結晶化しやすくなり、感光体として適正な膜が形成されない場合があるためである。
したがって、かかる正孔輸送剤の添加量を30〜70重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0083】
(4)電荷発生剤
(4)−1 種類
本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤としては、無金属フタロシアニン(τ型またはx型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことが好ましい。
この理由は、電荷発生剤の種類を特定することにより、正孔輸送剤および電子輸送剤を併用した場合に、感度特性、電気特性および安定性等がより優れた湿式現像用電子写真感光体を提供することができるためである。
【0084】
(4)−2 具体例
これらの電荷発生剤のうち、具体的に、下記式(15)〜(18)で表されるフタロシアニン系顔料(CGM−A〜CGM−D)を使用することがより好ましい。
【0085】
【化25】

【0086】
【化26】

【0087】
【化27】

【0088】
【化28】

【0089】
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤のうち、式(16)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型)は、CuKα特性X線回折スペクトルにおいて、少なくともブラック角2θ±0.2°=27.2°に最大ピークを有するとともに、26.2°にピークを有さず、かつ示差走査熱量分析において、吸着水の気化に伴うピーク以外は、50℃から400℃までの温度変化のピークを有しないことが好ましい。
この理由は、チタニルフタロシアニン(Y型)が上述した物性を満たすことにより、有機溶媒中でのかかるチタニルフタロシアニンの結晶の安定性に優れており、結晶転移を抑えることができるためである。このようなチタニルフタロシアニン(Y型)を感光体塗布液に用いることにより、長期間にわたって良好な感度特性を維持する電子写真感光体を提供することができる。
【0090】
また、本発明の電子写真感光体に使用される電荷発生剤のうち、式(16)で表されるチタニルフタロシアニン(Y型)の製造方法は、下記の工程(1)と(2)を含むことが好ましい。
工程(1): チタニルフタロシアニン化合物を水溶性有機溶媒中に加え、加熱下で一定時間、撹拌処理し、次いで前記撹拌処理よりも低温の温度条件下で一定時間、液を静置して安定化処理する顔料化前処理の工程
工程(2): 前記水溶性有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を溶媒に溶解したのち、この溶液を貧溶媒中に滴下してチタニルフタロシアニン化合物を再結晶させ、次いで水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する顔料化の工程
【0091】
また、かかるチタニルフタロシアニン製造方法の工程(2)は、下記工程(2´)で表される製造方法を用いることも好ましい。
工程(2´): 上記工程(1)で得られた顔料化前処理液の水溶性有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を、アシッドペースト法にて処理し、得られた低結晶性チタニルフタロシアニン化合物を、水の存在下、非水系溶媒中でミリング処理する工程
【0092】
また、工程(1)で用いられる水溶性有機溶媒としては、種々の有機溶媒が使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオン酸、酢酸、N−メチルピロリドン、エチレングリコール等の1種または2種以上が挙げられる。なお水溶性有機溶媒には、少量であれば、非水溶性の有機溶媒を添加してもよい。
また、顔料化前処理のうち撹拌処理の条件は特に限定されないが、およそ70〜200℃程度の温度範囲の一定温度条件下で、1〜3時間程度のかく拌処理を行うのが好ましい。
また、撹拌処理後の安定化処理の条件も特に限定されないが、およそ10〜50℃程度、特に好ましくは23±1℃前後の温度範囲の一定温度条件下で、5〜10時間程度、液を静置して安定化させるのが好ましい。
【0093】
また、上記顔料化前処理の終了後、水溶性有機溶媒を除去して得たチタニルフタロシアニン化合物の粗結晶を、さらに常法に従って溶媒に溶解したのち貧溶媒中に滴下して再結晶させ、ついでろ過、水洗、ミリング処理、ろ過、乾燥などの工程を経て顔料化することが好ましい。
ここでミリング処理は、水洗後の固体を乾燥させずに水が存在した状態で、非水系溶媒中に分散して撹拌する処理である。粗結晶を溶解する溶媒としては、例えばジクロロメタン、クロロホルム、臭化エチル、臭化ブチル等のハロゲン化炭化水素類、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリブロモ酢酸等のトリハロ酢酸類、および硫酸等の1種または2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。
また再結晶のための貧溶媒としては、例えば水が挙げられる他、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類やアセトン、ジオキサン等の水溶性有機溶媒が挙げられ、これらがそれぞれ1種単独で、もしくは2種以上の任意の組み合わせで使用される。さらにミリング処理のための非水系溶媒としては、例えばクロロベンゼン、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
【0094】
その他、アシッドペースト法に使用する酸としては、例えば濃硫酸、スルホン酸等が挙げられる。またミリング処理に使用する非水系溶媒は前記と同様である。
【0095】
また、式(16)で表されるチタニルフタロシアニンは、下記反応式(1)に示されるように、式(19)で表されるフタロニトリルと、式(20)で表されるチタンアルコキシドとを反応させか、あるいは、下記反応式(2)で示されるように、式(21)で表される1,3−ジイミノインドリンと、式(20)で表されるチタンアルコキシドとを反応させ、合成することが好ましい。
【0096】
【化14】

【0097】
(反応式(1)中のR13は、炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0098】
【化15】

【0099】
(反応式(2)中のR13は、炭素数1〜6のアルキル基である。)
【0100】
また、従来公知の電荷発生剤を使用することも好ましい。かかる電荷発生剤の種類としては、オキソチタニルフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、ペリレン系顔料、ビスアゾ顔料、ジオケトピロロピロール顔料、無金属ナフタロシアニン顔料、金属ナフタロシアニン顔料、スクアライン顔料、トリスアゾ顔料、インジゴ顔料、アズレニウム顔料、シアニン顔料、ピリリウム顔料、アンサンスロン顔料、トリフェニルメタン系顔料、スレン顔料、トルイジン系顔料、ピラゾリン系顔料、キナクリドン系顔料といった有機光導電体や、セレン、セレン−テルル、セレン−ヒ素、硫化カドミウム、アモルファスシリコンといった無機光導電剤料等の一種単独または二種以上の混合物が挙げられる。
【0101】
(4)−3 添加量
また、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる複数の電荷発生剤の添加量が0.2重量部未満の値になると、量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度、電気特性、安定性等を向上させることができなくなるためである。一方、かかる複数の電荷発生剤の添加量が40重量部を超えた値になると、赤色および赤外ないし近赤外領域に吸収波長を有する光に対する吸光係数が低下して、感光体の感度、電気特性、安定性等がそれに伴い低下する場合があるためである。
したがって、電荷発生剤の添加量を、結着樹脂100重量部に対して、0.5〜20重量部の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0102】
また、本発明で用いられる電荷発生剤のうち、式(16)で表される化合物(CGM−B)を用いる場合には、下記式(22)で表される分散補助剤(例えば、C.IPigmentOrange16)を添加してもよい。
この理由は、かかる電荷発生剤(CGM−B)と分散補助剤(C.IPigmentOrange16)をあわせて用いることにより、塗工溶液中でのCGM−Bの分散性を向上させ、塗工溶液のポットライフを長くすることができるためである。
【0103】
なお、式(22)で表される分散補助剤を使用する場合、その添加量を、全電荷発生剤100重量部に対して、30〜200重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる分散補助剤の添加量が30重量部未満の値になると、溶剤および結着樹脂への溶解性が不十分になり、感光体として適正な膜か製造されないためである。一方、かかる分散補助剤が200重量部を超えると、かかる電荷発生剤の量子収率を高める効果が不十分となり、電子写真感光体の感度特性、電気特性、および安定性等を向上させることができなくなるためである。
【0104】
【化29】

【0105】
(5)結着樹脂
電荷発生剤等を分散させるための結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂を使用することを特徴とする。
この理由は、かかるポリカーボネート樹脂であれば、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長期間にわって、感光体層表面の外観変化が少なくなるためである。
【0106】
(5)−1 種類
また、このようなポリカーボネート樹脂として、従来、湿式現像用電子写真感光体に使用されている種々のポリカーボネート樹脂を使用することができる、例えば、ビスフェノールZ型、ビスフェノールZC型、ビスフェノールC型、ビスフェノールA型等のポリカーボネート樹脂が挙げられる。
さらに、結着樹脂としては、下記一般式(23)で表されるポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
この理由は、かかる構造を有するポリカーボネート樹脂であれば、炭化水素系溶媒に対して難溶であるとともに、撥油性も高いためである。その結果、感光体層表面と前述の炭化水素系溶媒との相互作用が小さくなって、長期間にわたって、感光体層表面の外観変化が少なくなるためである。
【0107】
【化30】

【0108】
(一般式(23)中のR14、R15、R16およびR17は、それぞれ独立しており、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜20のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基であり、X7は、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−(CH2)2−、−SO−、−SO2−、−CR1819−、−SiR1819−、または−SiR1819−O−(R18、R19はそれぞれ独立しており、水素原子、置換または非置換の炭素数1〜8のアルキル基、置換または非置換の炭素数6〜30のアリール基、トリフルオロメチル基、または、R18とR19とが環形成し、置換基として炭素数1〜7のアルキル基を有しても良い炭素数5〜12のシクロアルキリデン)であり、X8は単結合、−O−、または−CO−である。)
【0109】
また、ポリカーボネート樹脂以外の樹脂を併用することも好ましい。例えば、ポリアリレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、アクリル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリエチレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、アルキド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ケトン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエーテル樹脂等の熱可塑性樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、その他架橋性の熱硬化性樹脂、エポキシアクリレート、ウレタン−アクリレート等の光硬化型樹脂等の樹脂が使用可能である。
【0110】
(5)−2 I/O値
また、結着樹脂として、I/O値(無機性値/有機性値)を0.38以上の値としたポリカーボネート樹脂を使用することが好ましい。
この理由は、かかるI/O値を有するポリカーボネート樹脂であれば、有機感光体の耐溶剤性をさらに向上することができるためである。ただし、かかるI/O値の値が過度に大きくなると、感光体を製造する際に用いられる溶剤に対する溶解性が低下する場合がある。
したがって、結着樹脂のI/O値を0.38〜1.7の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0111】
ここで、本発明において用いられる無機性値(I値)および有機性値(O値)、並びにその比であるI/O値は、各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値である。例えば、KUMAMOTO PHARMACEUTICAL BULLETIN、第1号、第1〜16項(1954年);化学の領域、第11巻、第10号、719〜725頁(1957年);フレグランスジャーナル、第34号、第97〜111頁(1979年);フレグランスジャーナル、第50号、第79〜82頁(1981年);などの文献に詳細に説明されており、基準値として、炭素(C)1個を有機性20と定めてある。それに対し、代表的な各種極性基の無機性および有機性の値を表1に示す如く定めるが、かかる表1等に基づき、化合物に含まれる各種極性基の無機性値の和(I値)と、有機性値との和(O値)を求め、さらに無機性値の和と、有機性値との和との比(I/O値)を算出し、I/O値とするものである。
【0112】
【表1】

【0113】
すなわち、I/O値の概念をより詳細に説明すると、化合物の性質を、共有結合性を表す有機性基と、イオン結合性を表す無機性基とに分け、すべての有機化合物を有機軸と無機軸と名付けた直行座標上の1点ずつに位置づけて示すものである。
この場合において、無機性値(I値)とは、有機化合物が有している種々の置換基や結合等の沸点への影響力の大小を、水酸基を基準に数値化したものである。具体的には、直鎖アルコールの沸点曲線と直鎖パラフィンの沸点曲線との距離を炭素数5の付近で取ると約100℃となるので、水酸基1個の影響力を数値で100と定め、この数値に基づいて、各種置換基あるいは各種結合などの沸点への影響力を数値化した値が、有機化合物が有している置換基の無機性値である。例えば、−COOH基の無機性値は150であり、2重結合の無機性値は2である。従って、ある種の有機化合物の無機性値とは、該化合物が有している各種置換基や結合等の無機性値の総和を意味する。
【0114】
一方、有機性値(O値)とは、分子内のメチレン基を単位とし、そのメチレン基を代表する炭素原子の沸点への影響力を基準にして定めたものである。すなわち、直鎖飽和炭化水素の炭素数5〜10付近での炭素1個加わることに沸点上昇の平均値は20℃であるから、これを基準に、炭素原子1個の有機性値を20と定め、これを基準として、各種置換基や結合等の沸点への影響力を数値化した値が有機性値である。例えば、ニトロ基(−NO)の有機性値は70である。従って、ある種の有機化合物の有機性値とは、該化合物が有している各種置換基や結合等の有機性値の総和を意味する。
したがって、算出されるI/O値は、値が0に近いほど有機性が大きく、非極性(疎水性)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど無機性が大きく、極性(親水性)の有機化合物であることを示す。よって、一例として、後述する式(29)で表される結着樹脂(Resin−F)のI/O値は、以下のように算出することができる。
【0115】
(有機性因子)
・有機性が20の炭素原子を14.8個有している。
・有機性が−10のIso分岐を0.8個有している。
よって、有機性値は20×14.8−10×0.8=288となる。
(無機性因子)
・無機性が15のベンゼン環を2個有している。
・無機性が80の−O−COO−を1個有している。
・無機性が65のケトン基を0.2個有している。
よって、無機性値は15×2+80×1+65×0.2=123となり、Resin−Fで表されるポリカーボネート樹脂のI/O値は123/288=0.4271と求められる。
また、算出されるI/O値は、値が0に近いほど有機性が大きく、非極性(疎水性)の有機化合物であることを示し、値が大きいほど無機性が大きく、極性(親水性)の有機化合物であることを示す。
【0116】
(5)−3 具体例
また、ポリカーボネート樹脂の具体例としては、例えば、下記式(24)〜(32)で示される化合物(Resin−A〜I)が挙げられる。
【0117】
【化31】

【0118】
【化32】

【0119】
【化33】

【0120】
【化34】

【0121】
【化35】

【0122】
【化36】

【0123】
【化37】

【0124】
【化38】

【0125】
【化39】

【0126】
(6)添加剤
また、感光体層には、上記各成分のほかに、電子写真特性に悪影響を与えない範囲で、従来公知の種々の添加剤、例えば酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、一重項クエンチャー、紫外線吸収剤等の劣化防止剤、軟化剤、可塑剤、表面改質剤、増量剤、増粘剤、分散安定剤、ワックス、アクセプター、ドナー等を配合することができる。また、感光体層の感度を向上させるために、例えばテルフェニル、ハロナフトキノン類、アセナフチレン等の公知の増感剤を電荷発生剤と併用してもよい。
【0127】
(7)構造
また、単層型感光体における感光体層の厚さは、通常、5〜100μmの範囲内の値であり、好ましくは10〜50μmの範囲内の値である。
そして、このような感光体層が形成される導電性基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、例えば鉄、アルミニウム、銅、スズ、白金、銀、バナジウム、モリブデン、クロム、カドミウム、チタン、ニッケル、パラジウム、インジウム、ステンレス鋼、真鍮等の金属や、これらの金属が蒸着またはラミネートされたプラスチック材料、カーボンブラック等の導電性微粒子が分散されてなるプラスッチック材料、ヨウ化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で被覆されたガラス等があげられる。
【0128】
また、導電性基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、導電性基体は、使用に際して十分な機械的強度を有するものが好ましい。感光体層を塗布の方法により形成する場合には、例示の電荷発生剤、電荷輸送剤、結着樹脂等を適当な溶剤とともに、公知の方法、例えばロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合して分散液を調整し、これを公知の手段により塗布して乾燥させればよい。
また、単層型感光体の構成に関して、図1(b)に示すように、導電性基体12と感光体層14との間に、感光体の特性を阻害しない範囲でバリア層16が形成されている単層型感光体10´でもよい。また、図1(c)に示すように、感光体層14の表面には、保護層18が形成されていてもよい単層型感光体10´´でもよい。
【0129】
(8)製造方法
分散液を作るための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能であり、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル,ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらの溶剤は単独1種または2種以上を混合して用いられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤の分散性、感光体層表面の平滑性を良くするために界面活性剤、レベリング剤等を使用してもよい。
【0130】
2.積層型感光体
(1)基本的構成
図2(a)に示すように、積層型電子写真感光体20は、基体12上に、蒸着または塗布等の手段によって、電荷発生剤を含有する電荷発生層24を形成し、次いでこの電荷発生層24上に、一般式(1)〜(4)で表される化合物(電子輸送剤)等の少なくとも1種と、結着樹脂を含む塗布液を塗布し、それを乾燥させて電荷輸送層22を形成することによって作製することができる。
また、上記構造とは逆に、図2(b)に示すように、基体12上に電荷輸送層22を形成し、その上に電荷発生層24を形成してもよい。
ただし、電荷発生層24は、電荷輸送層22に比べて膜厚がごく薄いため、その保護のためには、図2(a)に示すように、電荷発生層24の上に電荷輸送層22を形成することがより好ましい。
【0131】
また、積層型電子写真感光体は、上記電荷発生層および電荷輸送層の形成順序と、電荷輸送層に使用する電荷輸送剤の種類によって、正負いずれの帯電型となるかが選択される。
また、積層型の電子写真感光体であれば、感光体の残留電位が大きく低下しており、感度を向上させることができる。
【0132】
なお、電荷発生剤、正孔輸送剤、電子輸送剤、結着樹脂等については、単層型感光体と基本的に同様の内容とすることができる。ただし、積層型感光体の場合、電荷発生剤の添加量については、電荷発生層を構成する結着樹脂100重量部に対して、0.5〜150重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
【0133】
また、積層型電子写真感光体における感光体層の厚さに関しては、電荷発生層が0.01〜5μm程度、好ましくは0.1〜3μm程度であり、電荷輸送層が2〜100μm、好ましくは5〜50μm程度である。
そして、このような感光体層が形成される基体としては、導電性を有する種々の材料を使用することができ、上述した単層か電子写真感光体の基体と同様のものを用いることができる。
【0134】
また、図2(c)に示すように、感光体層を形成する前に、かかる基体12上に、中間層25を予め形成しておくことも好ましい。この理由は、かかる中間層25を設けることによって、基体側の電荷が容易に感光体層へ注入されるのを防ぐと共に、感光体層を基体12上に強固に結着させ、基体12における表面上の欠陥を被覆し平滑化することができるためである。
さらに、基体の形状は、使用する画像形成装置の構造に合わせて、シート状、ドラム状等のいずれであってもよく、基体自体が導電性を有するか、あるいは基体の表面が導電性を有していればよい。また、基体は、アルミニウム等のように、使用に際して十分な機械的強度を有するとともに、軽量であることが好ましい。
【0135】
(2)製造方法
本発明の積層型感光体層の製造方法に関し、以下のように電荷輸送層用塗布液と、電荷発生層用塗布液とを作成して、それぞれ基体上に塗布した後、乾燥させて製造することが好ましい。
【0136】
(2)−1 塗布液作成工程
塗布液作成工程は、例えば、結着樹脂と、正孔輸送剤と、溶剤と、からなる電荷輸送層用塗布液、および結着樹脂と、電荷発生剤と、溶剤と、からなる電荷発生層用塗布液と、をそれぞれ作成する工程である。例えば、ロールミル、ボールミル、アトライタ、ペイントシェーカー、超音波分散機等を用いて分散混合し、塗布液とすることが好ましい。
より具体的には、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度が10〜30重量%の範囲内の値、電荷発生層用塗布液の固形分濃度が1〜10重量%の範囲内の値の塗布液を作成することが好ましい。この理由は、電荷輸送層用塗布液の固形分濃度は10重量%未満の値になると、被膜欠陥を生じるおそれがあるためであり、一方、塗布液の固形分濃度は30重量%を超えると、層むらが生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合があるためである。また、同様に電荷発生層用塗布液の固形分濃度も1重量%未満の値になると被膜欠陥を生じるおそれがあり、固形分濃度が10重量%を超えると、層むらを生じやすくなり、感光体として均一な厚さを有する薄膜を形成することが困難となる場合がある。
また、電荷輸送層用塗布液および電荷発生層用塗布液を作成するための溶剤としては、種々の有機溶剤が使用可能である。例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類;n−ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族系炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、ジオキソラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸メチル等のエステル類;ジメチルホルムアルデヒド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
さらに、電荷輸送剤や電荷発生剤等の分散性や、感光体層表面における平滑性を良くするために、塗布液を作成する際に、界面活性剤やレベリング剤等を添加することも好ましい。
【0137】
(2)−2 塗布工程および乾燥工程
第1塗布工程および第1乾燥工程と、第2塗布工程および第2乾燥工程とを設けて、電荷輸送層と電荷発生層からなる感光体層を形成することが好ましい。例えば、第1塗布工程および第1乾燥工程により、図2(a)に示すように、基体12の上に、電荷発生層24を形成し、次いで、第2塗布工程および第2乾燥工程により、電荷発生層24の上に、電荷輸送層22を形成することが好ましい。
【0138】
また、塗布工程を実施するにあたり、基体上に、塗布液を直接的に塗布することも好ましいし、あるいは、中間層を介して間接的に塗布することも好ましい。
また、塗布方法としては、均一な厚さの感光体層を形成するために、例えば、スピンコーター、アプリケーター、スプレーコーター、バーコーター、ディップコーター、ドクターブレード等を用いることが好ましい。
なお、電荷発生層は残留電位を低くするため、電荷輸送層よりも薄く塗膜を形成するのが好ましい。
【0139】
また、塗布工程の後、乾燥工程において、高温乾燥機や減圧乾燥機等を用いて、例えば、60℃〜150℃の乾燥温度で乾燥させることが好ましい。この理由は、かかる乾燥温度が60℃未満の値になると、乾燥時間が過度に長くなって、均一な厚さを有する感光体層を効率的に形成することが困難になる場合があるためである。一方、かかる乾燥温度が150℃を超えると、感光体が熱分解する場合があるためである。
【0140】
また、本発明の積層型電子写真感光体を構成するにあたり、基体上に中間層を形成する場合は、図2(c)に示すように、基体12の上に、中間層25を形成し、次いで、電荷発生層および電荷輸送層を形成することが好ましい。
なお、塗布液作成工程、塗布工程および乾燥工程の条件については、電荷発生層および電荷輸送層の製造方法に準じることができる。なお、中間層の塗布液は、例えば結着樹脂と、添加剤と、から作成することが好ましい。
【0141】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態である湿式現像用電子写真感光体(以下、単に、感光体と称する場合がある。)を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程を実施するための帯電器32、露光工程を実施するための露光光源33、現像工程を実施するための湿式現像器34、および転写工程を実施するための転写器35を配置し、かつ、現像工程において、炭化水素系溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて画像形成を行う湿式現像用画像形成装置である。
なお、以下の湿式現像用画像形成装置の説明では、電子写真感光体として、単層型感光体を用いた場合を想定して説明する。
【0142】
すなわち、図3に示すように、かかる湿式現像用画像形成装置には、感光体31の周囲に、帯電工程を実施するための帯電器32、露光工程を実施するための露光光源33、現像工程を実施するための湿式現像器34、および転写工程を実施するための転写器35を少なくとも備えていることが好ましい。
また、感光体31は、矢印の方向に一定速度で回転しており、感光体31の表面で、次の順に電子写真プロセスが行われることになる。より詳細には、帯電器32により、感光体31が全面的に帯電され、次いで、露光光源33によって、印字パターンが露光される。次いで、湿式現像器34によって、印字パターンに対応して、トナー現像され、さらに、転写器35によって、転写材(紙)36へのトナーの転写が行われる。そして、最後に、感光体31に残った余分なトナーに対して、クリーニングブレード37による掻き落としが行われるとともに、除電光源38によって、感光体31の除電が行われることになる。
【0143】
ここで、トナーが分散された液体現像剤34aは、現像ローラ34bによって運ばれ、所定の現像バイアスを印加することで、感光体31の表面上にトナーが引き付けられて、感光体31上に現像されることになる。また、液体現像剤34aにおける固形分濃度を、例えば、5〜25重量%の範囲内の値とすることが好ましい。さらに、液体現像剤34aに使用される液体(トナー分散溶媒)としては、炭化水素系溶剤やシリコーン系オイルが好適に使用される。
そして、感光体31において、特定の電子輸送剤を使用することにより、耐溶剤性や感度特性に優れた単層型の湿式現像用電子写真感光体が得られ、長時間にわたって、優れた画像特性を維持することができる。
【実施例】
【0144】
[実施例1]
(1)湿式現像用電子写真感光体の作成
電荷発生剤として、式(15)で表されるX型無金属フタロシアニン(CGM−A)を4重量部と、正孔輸送剤として、式(13)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を45重量部と、電子輸送性剤料として、式(5)で表されるナフトキノン誘導体(ETM−A)を50重量部と、結着樹脂として、式(24)で表される粘度平均分子量が50,000のポリカーボネート樹脂(Resin−A)を110重量部、レベリング剤としてのジメチルシリコーンオイルであるKF−96−50CS(信越化学工業製)を0.1重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン750重量部と、を収容した後、超音波分散機にて、50分間混合分散させ、塗布液を作成した。
得られた塗布液を、直径30mmで、長さ254mm、厚さ5μmのアルマイト処理済みアルミニウム素管外面全域に塗布した。その後、130℃、30分間の条件で熱風乾燥して、膜厚22μmの単層型感光体層を有する湿式現像用電子写真感光体を得た。
【0145】
(2)評価
(2)−1 感度測定
得られた湿式現像用電子写真感光体における感度を測定した。すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:1.0μJ/cm2)を露光した。露光後330msec経過後の電位を測定し、初期感度(V)とした。
また、得られた湿式現像用電子写真感光体全体を、湿式現像の現像液として使用される炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)に、温度25℃、2000時間の条件で浸漬した。その後、炭化水素系溶剤から湿式現像用電子写真感光体を取り出し、感度を同様に測定し、初期感度とアイソパー浸漬後の感度の差を算出し、感度変化(V)とした。得られた結果を表2に示す。
【0146】
(2)−2 耐溶剤性評価
得られた単層型湿式現像用電子写真感光体を、その感光体層の全面が浸るように、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)500mlに、温度25℃、2000時間の条件で浸漬させた。一方、正孔輸送剤の濃度を変えて、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)中に溶解させた。その状態で紫外領域から可視領域の吸収ピーク波長における吸光度を測定し、正孔輸送剤に関する濃度−吸光度検量線を予め作成した。次いで、炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)に浸漬した湿式現像用電子写真感光体について、紫外領域から可視領域における吸収測定を行い、検量線に照らして、正孔輸送剤の紫外領域から可視領域の吸収ピーク波長における吸光度から、正孔輸送剤の溶出量を算出した。得られた結果を表2に示す。
【0147】
(2)−3 外観評価
また、耐溶剤性評価後の湿式現像用電子写真感光体の外観を目視にてクラックの発生の有無を観察し、下記基準に準じて外観評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
◎:外観変化が全く見られない。
○:顕著な外観変化は見られない。
△:外観変化が少々見られる。
×:顕著な外観変化が見られる。
【0148】
[実施例2]
実施例2では、実施例1で使用した正孔輸送剤としての式(13)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)のかわりに、式(14)で表されるスチルベン誘導体(HTM−B)を使用したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して、評価した。
【0149】
[実施例3]
実施例3では、実施例1で使用した電荷発生剤としての式(15)で表される無金属フタロシアニン(CGM−A)のかわりに、式(16)で表される化合物(CGM−B)を2重量部と、式(19)で表される分散補助剤(Pigment Orange16)を2重量部使用したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して、評価した。
【0150】
[実施例4〜8]
実施例4〜8では、実施例1で使用した電子輸送剤としての式(5)で表されるナフタレン誘導体(ETM−A)のかわりに、式(6)〜(10)で表される化合物(ETM−B〜F)をそれぞれ使用したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して、評価した。
【0151】
[実施例9〜10]
実施例9〜10では、実施例1で使用した結着樹脂として式(24)で表されるポリカーボネート樹脂(Reisn−A)のかわりに、式(28)で表される粘度平均分子量が45,000のポリカーボネート樹脂(Resin−E)、または式(29)で表される粘度平均分子量が50,000ポリカーボネート樹脂(Resin−F)をそれぞれ使用したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して、評価した。
【0152】
[比較例1〜4]
比較例1〜4では、実施例1で使用した電子輸送剤としての式(5)で表されるナフタレン誘導体(ETM−A)のかわりに、式(33)〜(36)で表される化合物(ETM−G〜J)をそれぞれ使用したほかは、実施例1と同様に単層型感光体を作成して評価した。
【0153】
【化40】

【0154】
【化41】

【0155】
【化42】

【0156】
【化43】

【0157】
【表2】

【0158】
[実施例11]
(1)負帯電型湿式現像用電子写真感光体の作成
電荷発生剤として、式(16)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(CGM−B)を1重量部と、結着樹脂としてポリビニルアセタール樹脂であるエスレックKS−1(積水化学工業)1重量部と、ジアセトンアルコールを60重量部と、を収容した後、ボールミルにて、48時間混合分散させ、電荷発生層用塗工液を作成した。次いで、得られた塗布液を、直径30mm、長さ254mmのアルミニウム素管上、ディッピングにより塗工し、その後、70℃、10分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、正孔輸送剤として、式(13)で表されるスチルベン誘導体(HTM−A)を50重量部と、電子輸送剤として、式(5)で表されるキノン多量体(ETM−A)を40重量部と、結着樹脂として、式(24)で表される粘度平均分子量が45,000のポリカーボネート樹脂(Resin−A)を100重量部と、レベリング剤としてのジメチルシリコーンオイルであるKF−96−50CS(信越化学工業製)を0.1重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン700重量部と、を収容した後、48時間混合分散させ、電荷輸送用塗工液を作成した。次いで、得られた塗工液を、電荷発生層上にディッピングにより塗工し、その後、130℃、30分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、実施例9の積層型感光体を作成し、実施例1と同様の方法で評価をした。得られた結果を表3に示す。
【0159】
[実施例12〜16]
実施例12〜16では、実施例11で使用した電子輸送剤として式(5)で表される化合物(ETM−A)のかわりに、式(6)〜(10)で表される化合物(ETM−B〜F)を使用したほかは、実施例11と同様に負帯電積層型感光体を作成して、評価した。
【0160】
[比較例5〜8]
比較例5〜8では、実施例9で使用した電子輸送剤として式(5)で表される化合物(ETM−A)のかわりに、式(33)〜(36)で表される化合物(ETM−G〜J)で使用したほかは、実施例11と同様に負帯電積層型感光体を作成して、評価した。
【0161】
【表3】

【0162】
[実施例17]
(1)正帯電型湿式現像用電子写真感光体の作成
電荷発生剤として、式(16)で表されるY型オキソチタニルフタロシアニン(CGM−B)を1重量部と、結着樹脂としてポリビニルアセタール樹脂であるエスレックKS−1(積水化学工業)1重量部と、ジアセトンアルコールを60重量部と、を収容した後、ボールミルにて、48時間混合分散させ、電荷発生層用塗工液を作成した。次いで、得られた塗布液を、直径30mm、長さ254mmのアルミニウム素管上、ディッピングにより塗工し、その後、70℃、10分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が0.3μmの電荷発生層を形成した。
さらに、電子輸送剤として、式(5)で表されるキノン多量体(ETM−A)を70重量部と、結着樹脂として、式(24)で表される粘度平均分子量が45,000のポリカーボネート樹脂(Reisn−A)を100重量部と、レベリング剤としてのジメチルシリコーンオイルであるKF−96−50CS(信越化学工業製)を0.1重量部と、溶媒としてのテトラヒドロフラン600重量部と、を収容した後、48時間混合分散させ、電荷輸送用塗工液を作成した。次いで、得られた塗工液を、電荷発生層上にディッピングにより塗工し、その後、130℃、30分間の条件で乾燥させて、平均膜厚が10μmの電荷輸送層を形成した。このようにして、実施例15の正帯電積層型感光体を作成し、実施例1と同様の方法で耐溶剤性評価および外観評価を行った。得られた結果を表4に示す。
【0163】
得られた湿式現像用電子写真感光体における感度を測定した。すなわち、ドラム感度試験機(GENTEC社製)を用いて、700Vになるように帯電させ、次いで、ハロゲンランプの光からハンドパルスフィルターを用いて取り出した波長780nmの単色光(半値幅:20nm、光量:3.0μJ/cm2)を露光した。露光後330msec経過後の電位を測定し、初期感度(V)とした。
また、得られた湿式現像用電子写真感光体全体を、湿式現像の現像液として使用される炭化水素系溶剤(アイソパーL、エクソン化学社製)に、温度25℃、2000時間の条件で浸漬した。その後、炭化水素系溶剤から湿式現像用電子写真感光体を取り出し、感度を同様に測定し、初期感度とアイソパー浸漬後の感度の差を算出し、感度変化(V)とした。得られた結果を表4に示す。
【0164】
[実施例18〜22]
実施例18〜22では、実施例17で使用した電子輸送剤として式(5)で表される化合物(ETM−A)のかわりに、式(6)〜(10)で表される化合物(ETM−B〜F)を使用したほかは、実施例17と同様に正帯電積層型感光体を作成して、評価した。
【0165】
[比較例9〜12]
比較例9〜12では、実施例9で使用した電子輸送剤として式(5)で表される化合物(ETM−A)のかわりに、式(33)〜(36)で表される化合物(ETM−G〜J)で使用したほかは、実施例17と同様に正帯電積層型感光体を作成して、評価した。
【0166】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0167】
以上詳述したように、電子輸送剤として、一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種類含有していることにより、湿式現像用電子写真感光体は、結着樹脂との相溶性が優れており、長時間にわたって、所定感度を維持するとともに、優れた耐久性や耐溶剤性を得ることができる。
したがって、本発明の湿式現像用電子写真感光体は、各種画像形成装置の高速化、高性能化等に寄与することが期待される。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】(a)〜(c)は、単層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。
【図2】(a)〜(c)は、積層型感光体の基本構造および変形構造を説明するために供する図である。
【図3】湿式現像用電子写真感光体を備えた画像形成装置を説明するために供する図である。
【符号の説明】
【0169】
10:単層型感光体
10´:単層型感光体
10´´:単層型感光体
12:導電性基体
14:感光体層
16:バリア層
18:保護層
20:積層型感光体
20´:積層型感光体
20´´:積層型感光体
22:電荷輸送層
24:電荷発生層
31:感光体
32:帯電器
33:露光光源
34:湿式現像器
34a:液体現像剤
34b:現像ローラ
35:転写器
36:転写材
37:クリーニングブレード
38:除電光源
39:プローブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも結着樹脂と、正孔輸送剤と、電子輸送剤と、電荷発生剤と、を含む感光体層を備えた湿式現像用電子写真感光体であって、
前記電子輸送剤として、下記一般式(1)〜(4)で表される化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする湿式現像用電子写真感光体。
【化1】


【化2】


【化3】


【化4】


(一般式(1)〜(4)中のX1〜X6はそれぞれ独立しており、酸素原子またはC(CN)2で表される基であり、Y1〜Y4はそれぞれ独立しており、2〜4価の炭素数1〜30の置換または非置換の炭化水素基であり、R1は水素原子、炭素数6〜20の置換または非置換のアリール基、あるいは炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基であり、R2〜R5はそれぞれ独立しており、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルキル基、炭素数6〜30の置換または非置換のアリール基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシ基、炭素数1〜20の置換または非置換のアルコキシカルボニル基であり、繰り返し数aは0〜4の整数であり、b〜dはそれぞれ独立しており、0〜7の整数であり、m、n、p、qはそれぞれ独立しており、2〜4の整数である。)
【請求項2】
前記一般式(1)〜(4)中のY1〜Y4が炭素数1〜10の置換または非置換のアルキレン基、あるいは炭素数6〜15の置換または非置換のアリーレン基であることを特徴とする請求項1に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項3】
前記電子輸送剤の分子量を500以上の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項4】
前記電子輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜100重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜3に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項5】
前記正孔輸送剤の分子量を900以上の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項6】
前記正孔輸送剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、10〜80重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜5に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項7】
前記結着樹脂として、I/O値(無機性値/有機性値)が0.38以上であるポリカーボネート樹脂を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項8】
前記電荷発生剤として、無金属フタロシアニン(τ型またはx型)、チタニルフタロシアニン(α型またはY型)、ヒドロキシガリウムフタロシアニン(V型)、およびクロロガリウムフタロシアニン(II型)からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項9】
前記電荷発生剤の添加量を、前記結着樹脂100重量部に対して、0.2〜40重量部の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項10】
液体現像剤の炭化水素系溶媒中に、室温、2000時間の条件で浸漬させた場合に、前記正孔輸送剤の溶出量が10×10-7g/cm3以下であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項11】
前記感光体層が、単層型または積層型であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の湿式現像用電子写真感光体を備えるとともに、当該湿式現像用電子写真感光体の周囲に、帯電工程、露光工程、現像工程、転写工程を実施するための部位をそれぞれ配置し、かつ、現像工程において、炭化水素系溶媒にトナーを分散した液体現像剤を用いて画像形成を行うことを特徴とする湿式現像用画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−178367(P2006−178367A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374319(P2004−374319)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】