説明

湿式画像形成装置

【課題】画像形成プロセス中において揮発したキャリア液を処理する際のエネルギー効率を向上させる。
【解決手段】湿式画像形成装置100Aは、キャリア液ミストを回収するミスト回収部30と、キャリア液蒸気を処理する蒸気処理部40と、ミスト回収部30および蒸気処理部40にエアフローを供給するエアフロー供給手段とを備え、エアフロー供給手段は、ミスト回収部30が上流となり蒸気処理部40が下流となるようにミスト回収部30および蒸気処理部40にエアフローを供給することによって、キャリア液ミストをミスト回収部30に通流させるとともにキャリア液蒸気を蒸気処理部40に通流させる第1エアフロー供給状態と、第1エアフロー供給状態の場合に比べてミスト回収部30に通流されるエアフローの流量が少なくなるように蒸気処理部40にエアフローを供給する第2エアフロー供給状態とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する湿式画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2000−162876号公報(特許文献1)および特開2001−282062号公報(特許文献2)に開示されるように、湿式画像形成装置が知られている。湿式画像形成装置は、現像プロセス、転写プロセス、および、定着プロセスの各プロセスを含む画像形成プロセスを経ることによって、記録用紙などの記録媒体上に画像を形成する。
【0003】
湿式画像形成装置の画像形成プロセスにおいては、トナー(トナー粒子ともいう)とキャリア液とを含む液体現像剤が用いられる。液体現像剤は、キャリア液中にトナーが分散されることによって製造される。湿式画像形成装置においては、乾式画像形成装置に比べて小さな粒径を有するトナー粒子が用いられる。より小さな粒径を有するトナー粒子によって、記録媒体上には細かな部分まで表現された高解像度の画像が形成される。
【0004】
液体現像剤が用いられる湿式画像形成装置においては、画像形成プロセス中(特に、定着プロセス中)にキャリア液が揮発する。湿式画像形成装置の内部には、キャリア液の揮発によって、キャリア液ミストおよびキャリア液蒸気が発生する。加熱または冷却の作用によって、キャリア液ミストがキャリア液蒸気に変化したり、キャリア液蒸気がキャリア液ミストに変化したりもする。
【0005】
湿式画像形成装置の内部で発生したキャリア液ミストは、湿式画像形成装置の外部に漏れ出ることなく、適切に処理(たとえば回収)され、必要に応じてキャリア液として再利用することが望まれる。湿式画像形成装置の内部で発生したキャリア液蒸気も、湿式画像形成装置の外部に漏れ出ることなく、適切に処理(たとえば回収)され、必要に応じてキャリア液として再利用することが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−162876号公報
【特許文献2】特開2001−282062号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、画像形成プロセス中において揮発したキャリア液を処理する際のエネルギー効率を向上させることが可能な湿式画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に基づく湿式画像形成装置は、トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する湿式画像形成装置であって、上記キャリア液が揮発することによって発生したキャリア液ミストを回収するミスト回収部と、上記キャリア液が揮発することによって発生したキャリア液蒸気を処理する蒸気処理部と、上記ミスト回収部および上記蒸気処理部にエアフローを供給するエアフロー供給手段と、を備え、上記エアフロー供給手段は、上記ミスト回収部が上流となり上記蒸気処理部がその下流となるように上記ミスト回収部および上記蒸気処理部に上記エアフローを供給することによって、上記キャリア液ミストを上記ミスト回収部に通流させるとともに、上記キャリア液蒸気を上記蒸気処理部に通流させる第1エアフロー供給状態と、上記第1エアフロー供給状態の場合に比べて上記ミスト回収部に通流される上記エアフローの流量が少なくなるように、上記蒸気処理部に上記エアフローを供給する第2エアフロー供給状態と、を有する。
【0009】
好ましくは、上記第2エアフロー供給状態においては、上記エアフロー供給手段は、上記ミスト回収部には上記エアフローを供給せずに上記蒸気処理部にのみ上記エアフローを供給する。
【0010】
好ましくは、上記エアフロー供給手段は、上記ミスト回収部および上記蒸気処理部に供給される上記エアフローの流路を変更することによって、上記第1エアフロー供給状態および上記第2エアフロー供給状態を切り換える流路変更手段と、画像形成プロセスに同期して上記流路変更手段を制御する制御手段と、を含む。
【0011】
好ましくは、本発明に基づく上記の湿式画像形成装置は、上記キャリア液の揮発物中に含有される上記キャリア液ミストの濃度を検知する検知手段をさらに備え、上記検知手段が検知した上記キャリア液ミストの濃度が所定の値以上の場合には、上記エアフロー供給手段は上記第1エアフロー供給状態を形成し、上記検知手段が検知した上記キャリア液ミストの濃度が上記所定の値未満の場合には、上記エアフロー供給手段は上記第2エアフロー供給状態を形成する。好ましくは、上記エアフロー供給手段は、上記ミスト回収部および上記蒸気処理部に供給される上記エアフローの流路を変更することによって、上記第1エアフロー供給状態および上記第2エアフロー供給状態を切り換える流路変更手段を含む。
【0012】
好ましくは、上記ミスト回収部は、衝突板若しくはフィルターまたはこれらの組み合わせにより上記キャリア液ミストを捕捉して液回収する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、画像形成プロセス中において揮発したキャリア液を処理する際のエネルギー効率を向上させることが可能な湿式画像形成装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】比較例における湿式画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】実施の形態1における湿式画像形成装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図3】実施の形態1における湿式画像形成装置に用いられるミスト回収部を模式的に示す断面図である。
【図4】実施の形態1における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図5】実施の形態1における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図6】実施の形態2における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図7】実施の形態2における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図8】実施の形態3における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図9】実施の形態3における湿式画像形成装置において画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態を形成している状態を模式的に示す図である。
【図10】各実施の形態1〜3に適用可能な変形例における湿式画像形成装置のミスト回収部を模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[比較例]
本発明に基づいた各実施の形態について説明する前に、本発明に関する比較例について説明する。図1は、比較例における湿式画像形成装置100Zの全体構成を模式的に示す図である。図1に示すように、湿式画像形成装置100Zは、転写ユニット10、定着ユニット20、ミスト回収部30、蒸気処理部40、および排気ファン50を備える。
【0016】
(転写ユニット10)
転写ユニット10においては、液体現像剤を含む現像器11によって、感光体12上の静電潜像が顕像化される。感光体12上には、トナーおよびキャリア液を含むトナー像が形成される(現像プロセス)。感光体12上のトナー像は、中間転写体13上に1次転写される(1次転写プロセス)。中間転写体13は、必要に応じて設けられるとよい。
【0017】
中間転写体13と転写ローラー14との間のニップ部には、記録用紙15が搬送される(矢印AR15参照)。中間転写体13上に1次転写されたトナー像は、このニップ部において、中間転写体13から記録用紙15上に2次転写される(2次転写プロセス)。その後、記録用紙15は、定着ユニット20に送られる。
【0018】
(定着ユニット20)
定着ユニット20内では、ヒーターランプ23を有する定着ローラー21と、ヒーターランプ24を有する定着ローラー22とが対向配置されている。記録用紙15上に2次転写されたトナー像は、定着ローラー21,22によって加熱および加圧される。トナー像は、加熱および加圧によって記録用紙15上に定着する(定着プロセス)。
【0019】
(液体現像剤)
液体現像剤に用いられるキャリア液は、シリコンオイル、ミネラルオイル、パラフィンオイル、または、鉱物油等の、絶縁性を有する有機溶媒から構成される。液体現像剤に用いられるトナー粒子は、樹脂と、着色のための顔料または染料とから構成される。樹脂は、顔料または染料をその樹脂中に均一に分散させる機能と、トナー像が記録用紙15に定着される際のバインダーとしての機能とを有する。
【0020】
液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径は、0.1μm以上5μm以下であるとよい。液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径が0.1μmよりも小さくなると、そのトナー粒子は現像されにくくなる。液体現像剤中におけるトナー粒子の体積平均粒子径が5μmよりも大きくなると、そのトナー粒子から形成されるトナー画像の品質が低下する。
【0021】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は、10%以上50%以下であるとよい。液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が10%よりも小さくなると、トナー粒子の沈降が生じやすくなり、長期保管時の経時的な安定性が低下する。液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が10%よりも小さくなると、所望の画像濃度を得るために多量の現像剤を供給する必要がある。記録用紙15上に供給されるキャリア液の量が増加するため、トナー画像を定着させる際に多くのキャリア液を乾燥させる必要がある。キャリア液を乾燥させる際に、キャリア液から多くのキャリア液蒸気が発生するため好ましくない。
【0022】
液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合が50%よりも大きくなると、液体現像剤の粘度が高くなりすぎ、製造上および取り扱い上において不都合が生じる。本比較例においては、体積平均粒子径が2μmであり、液体現像剤の質量に対するトナー粒子の質量の割合は30%である。
【0023】
(配管ラインL1〜L4・ミスト回収部30・蒸気処理部40)
湿式画像形成装置100Zにおいては、配管ラインL1〜L4が用いられる。配管ラインL1の一端は、転写ユニット10に接続される。配管ラインL2の一端は、定着ユニット20に接続される。配管ラインL2の他端は、ミスト回収部30に接続される。配管ラインL1の他端は、配管ラインL2の途中部分に接続される。配管ラインL1と配管ラインL2とは、相互に連通している。
【0024】
ミスト回収部30と蒸気処理部40との間には、配管ラインL3が設けられる。蒸気処理部40と排気ファン50との間には、配管ラインL4が設けられる。湿式画像形成装置100Zにおいては、排気ファン50が駆動されることによって、配管ラインL1〜L4の内部にエアフローが発生する。
【0025】
現像プロセスおよび転写プロセスにおいては、転写ユニット10内(特に、現像器11、感光体12、および中間転写体13の周辺)に、キャリア液蒸気が発生する。定着プロセスにおいても、定着ユニット20内(特に、定着ローラー21,22の周辺)に、キャリア液蒸気が発生する。
【0026】
定着プロセスにおいては、定着ユニット20内でトナーとキャリア液とが加熱されることによって、キャリア液は多く揮発する。キャリア液の揮発によって発生したキャリア液蒸気の一部は、濃度が高い状態で高温部から離れると、温度が低下することによって液化され、ミストとなる。キャリア液蒸気の一部は、キャリア液ミストに変化する。
【0027】
転写ユニット10内において発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、転写ユニット10から配管ラインL1に排出される(矢印DR1参照)。定着ユニット20内において発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、定着ユニット20から配管ラインL2に排出される(矢印DR2参照)。
【0028】
キャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、配管ラインL1,L2を通過した後、排気ファン50によるエアフローとともにミスト回収部30に供給される。ミスト回収部30は、衝突板若しくはフィルターまたはこれらの組合せを内蔵している。ミスト回収部30においては、キャリア液蒸気およびキャリア液ミストのうち、キャリア液ミストが主として回収される。キャリア液蒸気と、ミスト回収部30によって回収されなかった微量のキャリア液ミストとは、ミスト回収部30から配管ラインL3に排出される(矢印DR3参照)。
【0029】
キャリア液蒸気と微量のキャリア液ミストとは、排気ファン50によるエアフローとともに蒸気処理部40に供給される。蒸気処理部40は、活性炭、冷却装置、または燃焼装置(触媒)などを内蔵している。蒸気処理部40においては、キャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストの双方が処理される。蒸気処理部40における処理としては、たとえば、吸着および冷却による液回収、または、燃焼による酸化分解などが挙げられる。
【0030】
蒸気処理部40によって清浄化された気体は、蒸気処理部40から配管ラインL4に排出される(矢印DR4参照)。その後、清浄化された気体(キャリア液を全く含まない気体またはキャリア液をほとんど含まない気体)は、排気ファン50を通して湿式画像形成装置100Zの外部に排出される。
【0031】
湿式画像形成装置100Zにおいては、キャリア液ミストを回収するミスト回収部30とキャリア液蒸気を処理する蒸気処理部40とが別個に設けられている。画像形成プロセス時に発生したキャリア液ミストのほとんど(または全部)は、ミスト回収部30によって回収される。蒸気処理部40のみによってキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気を処理(たとえば回収)する場合に比べて、湿式画像形成装置100Zにおいては、蒸気処理部40による処理の負荷が低減されている。ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストは、たとえば液回収されて再利用されることができる。
【0032】
ここで、たとえば画像形成プロセスが停止している場合などには、キャリア液ミストがほとんど発生せずに、装置内に残留しているキャリア液が蒸発することによって、キャリア液蒸気が主として発生する。湿式画像形成装置100Zにおいては、キャリア液ミストがほとんど発生せずにキャリア液蒸気が主として発生する場合であっても、キャリア液蒸気の処理のために、蒸気処理部40だけでなくミスト回収部30にもエアフローが供給される。ミスト回収部30にエアフローが供給されることによって、ミスト回収部30内の蒸気圧は低下する。
【0033】
ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストは、蒸気圧の低下によって揮発(脱着)が促進されてしまい、キャリア液ミストがほとんど発生せずにキャリア液蒸気が主として発生している(たとえば画像形成プロセスが停止されている)にも関わらず、ミスト回収部30からはキャリア液蒸気が継続的に発生する。結果として、湿式画像形成装置100Zにおいては、蒸気処理部40による処理の負荷は増加することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率の低下を招いてしまうこととなる。
【0034】
[実施の形態]
本発明に基づいた各実施の形態について、以下、図面を参照しながら説明する。各実施の形態の説明において、個数、量などに言及する場合、特に記載がある場合を除き、本発明の範囲は必ずしもその個数、量などに限定されない。各実施の形態の説明において、同一の部品、相当部品に対しては、同一の参照番号を付し、重複する説明は繰り返さない場合がある。
【0035】
[実施の形態1]
図2は、本実施の形態における湿式画像形成装置100Aの全体構成を模式的に示す図である。図2に示すように、湿式画像形成装置100Aは、転写ユニット10、定着ユニット20、ミスト回収部30、蒸気処理部40、排気ファン50、制御装置60(制御手段)、および流路切換器61,62(流路変更手段)を備える。転写ユニット10および定着ユニット20については、上述の比較例における湿式画像形成装置100Z(図1参照)と同様に構成される。
【0036】
(配管ラインL1〜L5)
湿式画像形成装置100Aにおいては、配管ラインL1〜L5が用いられる。配管ラインL1の一端は、転写ユニット10に接続される。配管ラインL2の一端は、定着ユニット20に接続される。配管ラインL2の他端は、ミスト回収部30に接続される。配管ラインL1の他端は、配管ラインL2の途中部分に接続される。配管ラインL5の一端も、配管ラインL2の途中部分に接続される。配管ラインL1,L2,L5が合流する部分には、制御装置60によって制御される流路切換器61が設けられる。流路切換器61は、バルブアッセンブリ等から構成される。
【0037】
流路切換器61は、配管ラインL1、配管ラインL2、およびミスト回収部30を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせる状態と(図4参照)、配管ラインL1、配管ラインL2、および配管ラインL5を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせる状態と(図5参照)を切り換えることができる。
【0038】
本実施の形態における制御装置60は、転写ユニット10に接続されており、画像形成プロセスに同期して流路切換器61を制御することができる。制御装置60は、画像形成プロセス時には、配管ラインL1、配管ラインL2、およびミスト回収部30を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせるように、流路切換器61を制御する(図4参照)。制御装置60は、画像形成プロセスが停止している場合には、配管ラインL1、配管ラインL2、および配管ラインL5を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせるように、流路切換器61を制御する(図5参照)。
【0039】
ミスト回収部30と蒸気処理部40との間には、配管ラインL3が設けられる。配管ラインL3の途中部分には、配管ラインL5の他端が接続される。配管ラインL3,L5が合流する部分には、制御装置60によって制御される流路切換器62が設けられる。流路切換器62も、バルブアッセンブリ等から構成される。
【0040】
流路切換器62は、ミスト回収部30、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせる状態と(図4参照)、配管ラインL5、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせる状態と(図5参照)を切り換えることができる。
【0041】
本実施の形態における制御装置60は、転写ユニット10に接続されており、画像形成プロセスに同期して流路切換器62を制御することができる。制御装置60は、画像形成プロセス時には、ミスト回収部30、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせるように、流路切換器62を制御する(図4参照)。制御装置60は、画像形成プロセスが停止している場合には、配管ラインL5、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせるように、流路切換器62を制御する(図5参照)。
【0042】
蒸気処理部40と排気ファン50との間には、配管ラインL4が設けられる。湿式画像形成装置100Aにおいても、排気ファン50が駆動されることによって、配管ラインL1〜L5の内部にエアフローが発生する。
【0043】
(ミスト回収部30)
図3を参照して、本実施の形態におけるミスト回収部30は、配管ラインL2に接続される筒状のケーシング31と、配管ラインL3に接続される筒状のケーシング32と、を有する。配管ラインL2、ケーシング31の内部、ケーシング32の内部、および、配管ラインL3は連通している、
ケーシング31の内部には、バフラーユニット33(衝突板)およびルーバーユニット35(他の衝突板)が設けられる。バフラーユニット33は、ルーバーユニット35よりも配管ラインL2寄りに配置され、支持具37によって取付プレート38上に固定される。取付プレート38には、複数の微細孔が設けられており、取付プレート38の下方にはドレン室31Bが形成される。ドレン室31Bには、ドレン31Cが設けられる。
【0044】
バフラーユニット33は、金属製の板状部材が湾曲されることによって構成される。配管ラインL2からエアフローとともに供給されたキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は(矢印DR2参照)、まずバフラーユニット33に衝突する。
【0045】
キャリア液ミストおよびキャリア液蒸気がバフラーユニット33に衝突した際、バフラーユニット33の湾曲によって、キャリア液ミストおよびキャリア液蒸気が外方に向かって移動することに対して抵抗が付与される。これにより、バフラーユニット33によって、キャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は効果的に捕捉されることとなる。バフラーユニット33の表面に付着したキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は、バフラーユニット33によって冷却され、重力の作用によってドレン室31Bに向かって垂れ落ちる。
【0046】
バフラーユニット33によって捕捉されなかったキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は、ルーバーユニット35に接触する。ルーバーユニット35は、全体として鎧状に構成される。ルーバーユニット35は、金属製の板状部材がルーバー状(または格子状)に開口するように形成されている。
【0047】
キャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は、ルーバーユニット35に設けられた複数の開口を通過する際、ルーバーユニット35に接触し、ルーバーユニット35によって捕捉される。ルーバーユニット35の表面に付着したキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気は、ルーバーユニット35によって冷却され、重力の作用によってドレン室31Bに向かって垂れ落ちる。
【0048】
バフラーユニット33およびルーバーユニット35によって捕捉された後にドレン室31Bに垂れ落ちたキャリア液(キャリア液ミスト)は、ドレン31Cから外部に排出される。なお、バフラーユニット33およびルーバーユニット35は、どちらか一方のみが用いられてもよい。
【0049】
ケーシング32の内部には、フィルター34およびファイナルフィルター36(微細粒子捕集フィルター)が設けられる。フィルター34は、ファイナルフィルター36よりもケーシング31寄りに配置される。プレート39には、複数の微細孔が設けられており、プレート39の下方にはドレン室32Bが形成される。ドレン室32Bには、ドレン32Cが設けられる。
【0050】
ルーバーユニット35を通過したキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気に含まれる比較的大きなキャリア液の粒子は、フィルター34によって捕捉される。フィルター34を通過したキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気に含まれる比較的小さなキャリア液の粒子は、ファイナルフィルター36によって捕捉される。
【0051】
フィルター34およびファイナルフィルター36によって捕捉されたキャリア液(キャリア液ミスト)も、重力の作用によってドレン室32Bに向かって垂れ落ちる。ドレン室32Bに垂れ落ちたキャリア液(キャリア液ミスト)は、ドレン32Cから外部に排出される。なお、ミスト回収部30において、バフラーユニット33、ルーバーユニット35、フィルター34、およびファイナルフィルター36は、これらのうちの一つのみが用いられてもよく、これらのうちの中からいくつかが組み合わせられて用いられてもよい。
【0052】
ドレン31Cおよびドレン32Cから排出されたキャリア液ミストは液回収され、比重差を利用して水分と分離した後に再利用に供される。キャリア液蒸気と、ミスト回収部30によって回収されなかった微量のキャリア液ミストとは、ミスト回収部30から配管ラインL3に排出される(矢印DR3参照)。
【0053】
図2を再び参照して、湿式画像形成装置100Aにおいては、配管ラインL1〜L5、流路切換器61,62、および排気ファン50によって、ミスト回収部30および蒸気処理部40にエアフローを供給するエアフロー供給手段が構成されている。本実施の形態におけるエアフロー供給手段は、第1エアフロー供給状態S1(図4参照)と、第2エアフロー供給状態S2(図5参照)と、を有する。
【0054】
(第1エアフロー供給状態S1)
図4は、画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態S1を形成している際の湿式画像形成装置100Aを模式的に示す図である。
【0055】
上述の比較例における湿式画像形成装置100Z(図1参照)の場合と同様に、現像プロセスおよび転写プロセスにおいては、転写ユニット10内(特に、現像器11、感光体12、および中間転写体13の周辺)に、キャリア液蒸気が発生する。定着プロセスにおいても、定着ユニット20内(特に、定着ローラー21,22の周辺)に、キャリア液蒸気が発生する。
【0056】
定着プロセスにおいては、定着ユニット20内でトナーとキャリア液とが加熱されることによって、キャリア液は多く揮発する。キャリア液の揮発によって発生したキャリア液蒸気の一部は、濃度が高い状態で高温部から離れると、温度が低下することによって液化され、ミストとなる。キャリア液蒸気の一部は、キャリア液ミストに変化する。
【0057】
第1エアフロー供給状態S1においては、上記のエアフロー供給手段によって、ミスト回収部30が上流となり蒸気処理部40がその下流となるようにミスト回収部30および蒸気処理部40にエアフローが供給される。キャリア液ミストはミスト回収部30に通流されるとともに、キャリア液蒸気は蒸気処理部40に通流される。
【0058】
具体的には、転写ユニット10内において発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、転写ユニット10から配管ラインL1に排出される(矢印DR1参照)。定着ユニット20内において発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、定着ユニット20から配管ラインL2に排出される(矢印DR2参照)。
【0059】
ここで、制御装置60は、画像形成プロセスに同期して、配管ラインL1、配管ラインL2、およびミスト回収部30を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせるように、流路切換器61を制御している。さらに、制御装置60は、画像形成プロセスに同期して、ミスト回収部30、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらと配管ラインL5とを非連通にさせるように、流路切換器62を制御している。
【0060】
これにより、エアフローの流路が変更され、キャリア液蒸気およびキャリア液ミストは、配管ラインL1,L2を通過した後、排気ファン50によるエアフローとともにミスト回収部30に供給される。ミスト回収部30においては、キャリア液蒸気およびキャリア液ミストのうち、キャリア液ミストが主として回収される。キャリア液蒸気と、ミスト回収部30によって回収されなかった微量のキャリア液ミストとは、ミスト回収部30から配管ラインL3に排出される(矢印DR3参照)。
【0061】
キャリア液蒸気と微量のキャリア液ミストとは、排気ファン50によるエアフローとともに蒸気処理部40に供給される。蒸気処理部40は、活性炭、冷却装置、または燃焼装置(触媒)などを内蔵している。蒸気処理部40においては、キャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストの双方が処理される。蒸気処理部40における処理としては、たとえば、吸着および冷却による液回収、または、燃焼による酸化分解などが挙げられる。
【0062】
蒸気処理部40によって清浄化された気体は、蒸気処理部40から配管ラインL4に排出される(矢印DR4参照)。その後、清浄化された気体(キャリア液を全く含まない気体またはキャリア液をほとんど含まない気体)は、排気ファン50を通して湿式画像形成装置100Aの外部に排出される。
【0063】
湿式画像形成装置100Aにおいては、キャリア液ミストを回収するミスト回収部30とキャリア液蒸気を処理する蒸気処理部40とが別個に設けられている。画像形成プロセス時に発生したキャリア液ミストのほとんど(または全部)は、ミスト回収部30によって回収される。蒸気処理部40のみによってキャリア液ミストおよびキャリア液蒸気を処理(たとえば回収)する場合に比べて、湿式画像形成装置100Aにおいては、蒸気処理部40による処理の負荷が低減されている。ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストは、たとえば液回収されて再利用されることができる。
【0064】
(第2エアフロー供給状態S2)
図5は、画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態S2を形成している際の湿式画像形成装置100Aを模式的に示す図である。
【0065】
画像形成プロセスが停止されている際には、キャリア液ミストは発生しないか、もしくは、極めて微量しか発生しない。キャリア液蒸気は、画像形成プロセス停止後から一定時間は徐々に発生する。第2エアフロー供給状態S2においては、ミスト回収部30にはエアフローが供給されずに、蒸気処理部40にのみエアフローが供給される。
【0066】
具体的には、転写ユニット10内において発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、転写ユニット10から配管ラインL1に排出される(矢印DR1参照)。定着ユニット20内において発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローの作用によって、定着ユニット20から配管ラインL2に排出される(矢印DR2参照)。
【0067】
ここで、制御装置60は、画像形成プロセスに同期して(画像形成プロセスが停止していることに同期して)、配管ラインL1、配管ラインL2、および配管ラインL5を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせるように、流路切換器61を制御している。さらに、制御装置60は、画像形成プロセスに同期して(画像形成プロセスが停止していることに同期して)、配管ラインL5、配管ラインL3、および蒸気処理部40を連通させるとともにこれらとミスト回収部30とを非連通にさせるように、流路切換器62を制御している。
【0068】
これにより、エアフローの流路が変更され、キャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストは、配管ラインL1,L2を通過した後、配管ラインL5に導入される。その後、キャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストは、排気ファン50によるエアフローとともに蒸気処理部40に供給される。蒸気処理部40においては、キャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストの双方が処理される。
【0069】
蒸気処理部40によって清浄化された気体は、蒸気処理部40から配管ラインL4に排出される(矢印DR4参照)。その後、清浄化された気体(キャリア液を全く含まない気体またはキャリア液をほとんど含まない気体)は、排気ファン50を通して湿式画像形成装置100Aの外部に排出される。
【0070】
たとえば画像形成プロセスが停止している場合などには、キャリア液ミストがほとんど発生せずに、キャリア液蒸気が主として発生する。湿式画像形成装置100Aにおいては、キャリア液ミストがほとんど発生せずにキャリア液蒸気が主として発生する場合には、エアフロー供給手段によって、第2エアフロー供給状態S2が選択される。ミスト回収部30にはエアフローが供給されず、ミスト回収部30内の蒸気圧が低下することもない。
【0071】
ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは無く、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することもない。したがって、湿式画像形成装置100Aにおいては、蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を効果的に向上させることが可能となる。
【0072】
画像形成プロセスの停止後としては、それまでの画像形成履歴などに基づいて計算可能な一定時間の間、第2エアフロー供給状態S2によってキャリア液蒸気の回収を続けてもよいし、排気中のキャリア液蒸気の濃度を検知してその濃度が許容値以上である間、第2エアフロー供給状態S2によってキャリア液蒸気の処理を続けてもよい。
【0073】
実施の形態1においては、流路切換器61,62が各配管ラインに対して完全な開閉を行なうように構成される。これに対して、流路切換器61,62が各配管ラインに対して完全な開閉を行なわずに、第2エアフロー供給状態S2においては、第1エアフロー供給状態S1の場合に比べてミスト回収部30に通流されるエアフローの流量が少なくなるように、蒸気処理部40にエアフローが供給されてもよい。当該構成によっても、ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは抑制され、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することも抑制される。蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を向上させることが可能となる。
【0074】
[実施の形態2]
図6および図7を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置100Bについて説明する。図6は、湿式画像形成装置100Bにおいて画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態S1を形成している状態を模式的に示す図である。図7は、湿式画像形成装置100Bにおいて画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態S2を形成している状態を模式的に示す図である。
【0075】
現像プロセスおよび転写プロセスにおいては、キャリア液ミストの発生量は微量であるため、蒸気処理部40の処理に必要な負荷に対するキャリア液ミストの影響は小さい。湿式画像形成装置100Bのように、配管ラインL1は、ミスト回収部30よりも下流であって蒸気処理部40よりも上流に位置する配管ラインL3に接続されてもよい。
【0076】
(第1エアフロー供給状態S1)
図6に示すように、現像プロセスおよび転写プロセスにおいて転写ユニット10内に発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、転写ユニット10、配管ラインL1、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Bの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0077】
一方、定着プロセスにおいて定着ユニット20内に発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストに対しては、定着ユニット20、配管ラインL2、ミスト回収部30、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Bの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0078】
(第2エアフロー供給状態S2)
図7に示すように、画像形成プロセスが停止している場合などにおいて転写ユニット10内に発生した微量のキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、転写ユニット10、配管ラインL1、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Bの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0079】
一方、画像形成プロセスが停止している場合などにおいて定着ユニット20内に発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、定着ユニット20、配管ラインL2、配管ラインL5、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Bの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0080】
湿式画像形成装置100Bによっても、上述の実施の形態1における湿式画像形成装置100Aと同様に、ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは無く、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することもない。蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を効果的に向上させることが可能となる。
【0081】
[実施の形態3]
図8および図9を参照して、本実施の形態における湿式画像形成装置100Cについて説明する。図8は、湿式画像形成装置100Cにおいて画像形成プロセスが実行されており、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態S1を形成している状態を模式的に示す図である。図9は、湿式画像形成装置100Cにおいて画像形成プロセスが停止されており、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態S2を形成している状態を模式的に示す図である。
【0082】
湿式画像形成装置100Cにおいては、キャリア液の揮発物中に含有されるキャリア液ミストの濃度を検知する濃度センサー65(検知手段)が用いられる。濃度センサー65は、配管ラインL1,L2の合流部よりも下流であって流路切換器61よりも上流に設けられる。濃度センサー65としては、パーティクルカウンター、または、光散乱方式によるミスト濃度計等が用いられるとよい。濃度センサー65によって検知されたデータ(キャリア液の揮発物中に含有されるキャリア液ミストの濃度)は、制御装置66に送られる。
【0083】
制御装置66は、濃度センサー65から受け取ったデータに基づいて、キャリア液ミストの濃度が所定の値以上の場合には、エアフロー供給手段が第1エアフロー供給状態S1(図8参照)を形成するように流路切換器61,62を制御し、キャリア液ミストの濃度が所定の値未満の場合には、エアフロー供給手段が第2エアフロー供給状態S2(図9参照)を形成するように流路切換器61,62を制御する。
【0084】
(第1エアフロー供給状態S1)
図8に示すように、現像プロセスおよび転写プロセスにおいて転写ユニット10内に発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、転写ユニット10、配管ラインL1、配管ラインL2、ミスト回収部30、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Cの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0085】
一方、定着プロセスにおいて定着ユニット20内に発生したキャリア液蒸気およびキャリア液ミストに対しては、定着ユニット20、配管ラインL2、ミスト回収部30、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Cの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0086】
(第2エアフロー供給状態S2)
図9に示すように、画像形成プロセスが停止している場合などにおいて転写ユニット10内に発生した微量のキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、転写ユニット10、配管ラインL1、配管ラインL2、配管ラインL5、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Cの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0087】
一方、画像形成プロセスが停止している場合などにおいて定着ユニット20内に発生したキャリア液蒸気および微量のキャリア液ミストに対しては、定着ユニット20、配管ラインL2、配管ラインL5、配管ラインL3、蒸気処理部40、配管ラインL4、排気ファン50、および湿式画像形成装置100Cの外部、となるようなエアフローが形成される。
【0088】
湿式画像形成装置100Cによっても、上述の実施の形態1における湿式画像形成装置100Aと同様に、ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは無く、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することもない。蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を効果的に向上させることが可能となる。
【0089】
形成される画像の濃度によって、画像形成プロセス動作中にも関わらずキャリア液ミストの発生量が極少量となる場合がある。湿式画像形成装置100Cによれば、このような場合であっても、濃度センサー65の検知値に基づいて制御装置66が流路切換器61,62を制御することによって、ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは防止され、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することもない。蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を効果的に向上させることが可能となる。
【0090】
[変形例]
上述の各実施の形態1〜3においては、流路切換器61,62によってエアフローの流路が切り換えられることにより、ミスト回収部30にエアフローが供給される第1エアフロー供給状態S1と、ミスト回収部30にエアフローが供給されない(若しくはミスト回収部30へのエアフローの供給量が少なくなる)第2エアフロー供給状態S2とが切り換えられる。
【0091】
図10に示すように、エアフローの流路が切り換えられなくても、ミスト回収部30にエアフローが供給される第1エアフロー供給状態S1と、ミスト回収部30にエアフローが供給されない(若しくはミスト回収部30へのエアフローの供給量が少なくなる)第2エアフロー供給状態S2とは、切り換えられることが可能である。
【0092】
本変形例においては、ミスト回収部30が、図示しない駆動装置によって、配管ラインL3中に配置されたり、配管ラインL3中から退避されたりすることが可能なように構成される(矢印AR参照)。ミスト回収部30が配管ラインL3中に配置される場合、ミスト回収部30にエアフローが供給される第1エアフロー供給状態S1が形成される。ミスト回収部30が配管ラインL3中から退避される場合、ミスト回収部30にエアフローが供給されない(若しくはミスト回収部30へのエアフローの供給量が少なくなる)第2エアフロー供給状態S2が形成される。
【0093】
当該構成によっても、上述の各実施の形態1〜3における湿式画像形成装置100A,100B,100Cと同様に、ミスト回収部30によって捕捉されたキャリア液ミストが再び揮発(脱着)することは無く、ミスト回収部30からキャリア液蒸気が継続的に発生することもない。したがって、エアフローの流路が切り換えられなくても、蒸気処理部40による処理の負荷が低減することとなり、キャリア液を処理する際のエネルギー効率を効果的に向上させることが可能となる。
【0094】
以上、本発明に基づいた各実施の形態およびその変形例について説明したが、今回開示された各実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0095】
10 転写ユニット、11 現像器、12 感光体、13 中間転写体、14 転写ローラー、15 記録用紙、20 定着ユニット、21,22 定着ローラー、23,24 ヒーターランプ、30 ミスト回収部、31,32 ケーシング、31B,32B ドレン室、31C,32C ドレン、33 バフラーユニット(衝突板)、34 フィルター、35 ルーバーユニット(他の衝突板)、36 ファイナルフィルター、37 支持具、38 取付プレート、39 プレート、40 蒸気処理部、50 排気ファン、60,66 制御装置、61,62 流路切換器、65 濃度センサー、100A,100B,100C,100Z 湿式画像形成装置、AR,AR15,DR1,DR2,DR3,DR4 矢印、L1,L2,L3,L4,L5 配管ライン、S1 第1エアフロー供給状態、S2 第2エアフロー供給状態。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリア液とを含む液体現像剤を用いて画像を形成する湿式画像形成装置であって、
前記キャリア液が揮発することによって発生したキャリア液ミストを回収するミスト回収部と、
前記キャリア液が揮発することによって発生したキャリア液蒸気を処理する蒸気処理部と、
前記ミスト回収部および前記蒸気処理部にエアフローを供給するエアフロー供給手段と、を備え、
前記エアフロー供給手段は、
前記ミスト回収部が上流となり前記蒸気処理部がその下流となるように前記ミスト回収部および前記蒸気処理部に前記エアフローを供給することによって、前記キャリア液ミストを前記ミスト回収部に通流させるとともに、前記キャリア液蒸気を前記蒸気処理部に通流させる第1エアフロー供給状態と、
前記第1エアフロー供給状態の場合に比べて前記ミスト回収部に通流される前記エアフローの流量が少なくなるように、前記蒸気処理部に前記エアフローを供給する第2エアフロー供給状態と、を有する、
湿式画像形成装置。
【請求項2】
前記第2エアフロー供給状態においては、前記エアフロー供給手段は、前記ミスト回収部には前記エアフローを供給せずに前記蒸気処理部にのみ前記エアフローを供給する、
請求項1に記載の湿式画像形成装置。
【請求項3】
前記エアフロー供給手段は、
前記ミスト回収部および前記蒸気処理部に供給される前記エアフローの流路を変更することによって、前記第1エアフロー供給状態および前記第2エアフロー供給状態を切り換える流路変更手段と、
画像形成プロセスに同期して前記流路変更手段を制御する制御手段と、を含む、
請求項1または2に記載の湿式画像形成装置。
【請求項4】
前記キャリア液の揮発物中に含有される前記キャリア液ミストの濃度を検知する検知手段をさらに備え、
前記検知手段が検知した前記キャリア液ミストの濃度が所定の値以上の場合には、前記エアフロー供給手段は前記第1エアフロー供給状態を形成し、
前記検知手段が検知した前記キャリア液ミストの濃度が前記所定の値未満の場合には、前記エアフロー供給手段は前記第2エアフロー供給状態を形成する、
請求項1または2に記載の湿式画像形成装置。
【請求項5】
前記エアフロー供給手段は、前記ミスト回収部および前記蒸気処理部に供給される前記エアフローの流路を変更することによって、前記第1エアフロー供給状態および前記第2エアフロー供給状態を切り換える流路変更手段を含む、
請求項4に記載の湿式画像形成装置。
【請求項6】
前記ミスト回収部は、衝突板若しくはフィルターまたはこれらの組み合わせにより前記キャリア液ミストを捕捉して液回収する、
請求項1から5のいずれかに記載の湿式画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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