説明

溶接システムおよび溶接方法

【課題】複数種類のホイールにおけるリムとディスクとの溶接を、単一の溶接ラインで処理する事が出来て、生産性が低下しない溶接システムおよび溶接方法の提供。
【解決手段】溶接前のホイール(1)を搬送ラインから取り込みかつ溶接後のホイール(1)を搬送ラインに移動する搬送装置(2)と、リム(11)とディスク(12)との接合箇所を溶接する溶接機構(3)と、頂部にホイール(1)を保持して搬送手段(2)と溶接機構(3)との間を移動する複数の移動装置(4)を有し、前記移動装置(4)は、頂部に保持されたホイール(1)が水平になる姿勢と、ホイール(1)が水平面に対して傾斜する姿勢とを変更可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のホイールにおけるリムとディスクとを溶接(例えばMAG溶接)するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ホイールには、様々な種類が存在する。そして、種類毎にリムとディスクとの組み合わせが相違する。さらに、ホイールの種類が異なると、リムとディスクとの溶接箇所が異なる。
そのため、ホイールの溶接作業が複雑化してしまう。
【0003】
例えば、ホイールの種類毎に、リムとディスクとを溶接(例えばMAG溶接)する専用の溶接システム或いは溶接ラインを用意すれば、ライン毎の溶接作業を複雑化しなくても済む。
しかし、ホイールの種類毎に専用ラインを設けるのでは、ラインを製造するために必要なコストが膨大となり、且つ、非常に大きなスペースが必要となるので、非能率的である。
【0004】
近年、ディスクがホイール中でデザイン性が強い部分であることに着目して、デザイン性の強い部分であるディスクの面積を大きくしたタイプのホイールが登場した。そのようなディスクの面積を大きくしたタイプのホイールは、「2PFS」、「フルフェイス」、あるいは「フルデザイン」等と呼ばれている。本明細書においては、係るホイールを、「フルフェイス」と表記する。
「フルフェイス」のホイールの一例を図8に示す。当該ホイール1Fは、リム11fとディスク12fとが溶接wによって一体に構成されている。図8において、ディスク12fの直径を符号「Df」で示す。
【0005】
既存のホイール、例えば、「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」(図9に一例を示す)のホイールや、「ビードシート部でディスクと接合するタイプ」のホイールや、「レッジ部でディスクと接合するタイプ」のホイール等においては、ディスク12dをリム11dに嵌め込んでいる構造である。
図9は、既存のホイールの一種である「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」のホイールを示している。図9において、ホイール1Dは、リム11dとディスク12dとが溶接wによって一体に構成されている。ディスク12dの直径はDdである。
図8の直径Dfと、図9の直径Ddとを比較すれば明らかな様に、ホイール自体のサイズが同一であれば、既存のホイール1Dにおけるディスク12dの直径Ddは、上述した「フルフェイス」(ディスクの面積を大きくしたタイプのホイール)のホイール1Fにおけるディスク12fの直径Dfに比較して小さい(図8、図9参照)。
【0006】
リムとディスクとの溶接作業においては、ポジショナーと呼ばれる機器(移動装置)4にホイール1を保持し、溶接ロボット30が設けられている溶接ステーション3に移動する。そして、溶接ロボット30の溶接トーチ31を所定の位置に移動して、溶接する。溶接を行っている間は、溶接トーチ31の位置は固定されており、ホイール1における必要な溶接範囲が溶接される。
【0007】
ここで、既存のホイール(例えば、「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」)と、「フルフェイス」とでは、溶接位置が異なり、溶接方法も異なる。
既存のホイール1(「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」、「ビードシート部でディスクと接合するタイプ」、「レッジ部でディスクと接合するタイプ」)では、ホイール1あるいはディスクが水平となるように配置された状態に保持された1個のホイール1に対して、4本の溶接トーチ31を同時に使用して溶接する(いわゆる「水平4点溶接」)。
図10では、そのような溶接(「水平4点溶接」)方法を示している。但し、図10では、図示を簡略化するため、溶接トーチ31は1本のみ示す。図10において、符号Cは、溶接時のスパッタがホイールへ付着することを防ぐため、ディスク内部の表面を覆うスパッタカバーを示す。
【0008】
既存のホイールについて行われる溶接(「水平4点溶接」)では、(ホイールあるいはディスクが)水平な状態でポジショナー(図10では図示せず)上で保持されたホイール1に対して、4本の溶接トーチ31を所定の位置に配置し、溶接トーチ31の位置が変化しないように(溶接トーチが動かないように)保持する。そして4本の溶接トーチ31を同時に用いてアーク溶接を行いつつ、ホイール1を回転することにより、4箇所同時に溶接が為されている。
4本の溶接トーチ31を同時に使用するため、ホイールが1/4回転すれば、全周に亘る溶接が完了する。
【0009】
ここで、既存のホイールで行われる溶接(水平4点溶接)では、水平面において溶接が行われるため、溶接箇所におけるビードが盛り上がった形状となり易い。
しかしながら、図11で示すように、既存のホイール1Dにおいては、リム11dとディスク12dとの溶接箇所wはリムの内周面に位置するため、溶接箇所wにはタイヤTは接触しない。従って、その溶接箇所wにおいて、溶接ビードが盛り上がっても、タイヤTから空気が漏れる心配は無い。なお、図11では、既存のホイールである「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」のホイール1Dについて、リム11dとディスク12dと溶接箇所wとの相対関係が示されている。
【0010】
これに対して、図12に示すように、ディスクの面積が大きい「フルフェイス」のホイール1Fでは、リム11fとディスク12fとを接続する溶接箇所wはリムの外周面側で、且つ、タイヤTのビード部が常時接触する位置である。そのため、「フルフェイス」のホイール1Fでは、溶接箇所wにおける溶接の品質が低いと(例えば、溶接箇所の表面に凹凸があり、或いは、溶接表面の面粗度が荒い場合)、タイヤTからの空気漏れが生じて、ホイールとして成立しなくなってしまう。
【0011】
すなわち、「フルフェイス」のホイール1Fにおいては、溶接箇所wにおける溶接ビードの形状が盛り上がった形状となってしまうと、リム11fとディスク12fの溶接個所wにタイヤTが当たる(常時接触している)ので、その溶接箇所w(接触面の隙間)からタイヤT内の空気が漏れてしまい、ホイールとして成立しなくなってしまうのである。
【0012】
また、リム11fとディスク12fの溶接箇所wに対して、リム11fの外周側のタイヤと当る部分CR(図12において、リム11fの左側上部)はロール成形により加工されるので、形状が高精度に決定される。それに伴い、リム11fとディスク12fの溶接個所wにおけるビードの形状も、ロール成形並みに形状が正確に決まる(変形がなく表面が平滑である)ことが要求されている。
【0013】
従って、「フルフェイス」のホイール1Fの場合、既存のホイールにおける溶接(水平4点溶接)のように、ビードが盛り上がってしまうような溶接方式は不適当である。
【0014】
上述した通り、「フルフェイス」のホイール1Fでは、既存のホイールにおける溶接(水平4点溶接)は適用できない。
「フルフェイス」の溶接ラインでは、溶接に際して1本の溶接トーチしか使用せず、図13に示すように、ホイール(あるいはディスク)1Fを移動装置であるポジショナー4によって水平面に対して45°傾斜した状態で保持して、ホイール1Fを回転させて溶接を行っている(1点傾斜溶接)。
【0015】
係る方式の溶接(1点傾斜溶接)であれば、リム11fとディスク12fとの溶接箇所wは水平面に対して45°に傾斜しているので、図14の部分詳細図に示すように、溶接の溶融金属が重力により下方(破線の矢印方向)へ左右均等に引張られるので、溶接ビードが盛り上がり難い。
【0016】
言い換えると、ホイール1F(あるいはディスク)を水平面に対して45°傾斜させて保持し、溶接トーチを1箇所(1点)のみで固定(保持)した状態でホイールを回転しないと、「フルフェイス」1Fで要求される品質の溶接ビードは得られないのである。
【0017】
ここで、リムとディスクの溶接は、円周方向全域にわたって行う必要がある。
上述した「フルフェイス」のホイール1Fにおける溶接(1点傾斜溶接)で用いられている溶接トーチは1本のみである。
そのため、「フルフェイス」のホイール1Fにおける溶接ラインでは、4本の溶接トーチを同時に使用する既存のホイールにおける溶接(水平4点溶接)を行うラインに比較して、溶接作業の効率あるいは生産性が低下してしまうという問題を有している。
【0018】
「フルフェイス」のホイール1Fにおける溶接専用のラインを別途作成した場合には、上述した溶接(1点傾斜溶接)を行った場合でも生産性を向上することは可能である。しかし、専用のラインを構築すると、上述した様に、そのためのスペースが必要となり、かつ、専用ライン構築のためのコストがかさんでしまう。
【0019】
その他の従来技術として、リムとディスクとの接合強度を向上させると共に、ホイールの生産効率を向上するホイールおよびその生産方法が提供されている(特許文献1参照)。
しかし、そのような従来技術は、上述したような問題点を解消するものではない。
【特許文献1】特開2005−7994号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は上述した従来技術の問題点に鑑みて提案されたものであり、複数種類のホイールにおけるリムとディスクとの溶接を、単一の機構(溶接ライン)で処理する事が出来て、しかも、異なる種類のホイールにおける生産性が低下しない溶接システムおよび溶接方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の溶接システムは、溶接前のホイール(1)を搬送ラインから取り込みかつ溶接後のホイール(1)を搬送ラインに移動する搬送装置(搬送ロボット2)と、リム(11f、11d)とディスク(12d、12f)との接合箇所を溶接する溶接機構(溶接ステーション3)と、頂部にホイール(1)を保持して搬送装置(2)と溶接機構(3)との間を移動する複数(例えば2個)の移動装置(ポジショナー4)と、制御装置(50)とを有し、前記溶接機構(3)は複数(例えば4本)の溶接装置(溶接ロボット30)を備えており、前記移動装置(4)は、頂部に保持されたホイール(1)が水平になる姿勢(水平4点溶接時の姿勢)と、ホイール(1)が水平面に対して傾斜する姿勢(1点傾斜溶接時の姿勢)とを変更可能に構成されており、前記制御装置(50)は、(ホイールの生産計画に従って、)ホイール(1)が水平な状態で行われる溶接(水平4点溶接)の場合には、溶接機構(3)には1個の移動装置(4)が進入して、その移動装置(4)の頂部に保持された1個のホイールに対して複数の溶接装置(30)を用いて溶接し、ホイール(1)が水平面に対し傾斜した状態で行われる溶接(1点傾斜溶接)の場合には、溶接機構(3)には複数(例えば2個)の移動装置(4)が進入して、複数の移動装置(4)の頂部に保持された複数のホイール(1)の各々について1個の溶接装置(30)を用いて溶接する制御を行うように構成されていることを特徴としている(請求項1)。
【0022】
また、上述した溶接システム(請求項1の溶接システム)を用いた本発明の溶接方法は、(ホイールの生産計画に従って、)ホイール(1)を水平な状態で溶接する(水平4点溶接)のか、あるいは、水平面に対し傾斜した状態で溶接する(1点傾斜溶接)のかを決定する工程(ステップS1:図4)と、ホイールを水平な状態で溶接する場合(水平4点溶接)には、溶接機構(3)に1個の移動装置(4)を進入させて、その移動装置(4)の頂部に保持された1個のホイール(1)に対して複数の溶接装置(30)を用いて溶接する工程(ステップS2及び図5)と、ホイール(1)を水平面に対し傾斜した状態で溶接する場合(1点傾斜溶接)には、溶接機構(3)に複数(例えば2個)の移動装置(4)を進入させて、複数の移動装置(4)の頂部に保持された複数のホイール(1)の各々について1個の溶接装置(30)を用いて溶接する工程(ステップS3及び図6)、とを有することを特徴としている(請求項4)。
【0023】
本発明の溶接システムにおいて、前記制御装置(50)は、ホイール(1)を水平面に対し傾斜させた状態で溶接する場合(1点傾斜溶接)に、溶接機構(3)に進入した(頂部にホイール1を保持した)移動装置(4)の頂部を水平面に対して傾斜し、予め選択された一つの溶接装置(30)を移動装置(4)に保持されたホイール(1)における溶接箇所(ディスクとリムとの接合箇所w)に近接させて溶接を行い、溶接されている間に(頂部にホイール1を保持した)他の移動装置(4)を溶接機構(3)に進入させて、進入した他の移動装置(4)の頂部を水平面に対して傾斜させ、溶接をしていない溶接装置(30)の中の予め選択された一つの溶接装置(30)を他の移動装置(4)に保持されているホイール(1)に近接させて溶接する制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項2)。
【0024】
また、本発明の溶接システムにおいて、移動装置(4)の頂部に保持されたホイール(1)の内側にスパッタカバー(C)を被せるスパッタカバー載置装置(9)を有し、前記制御装置(50)は、ホイール(1)を水平な状態で溶接する場合(水平4点溶接)に、溶接機構(3)で溶接が行われている間は、溶接前のホイール(1)を頂部に保持した移動装置(4)はスパッタカバー載置装置(9)の位置で待機し、溶接機構(3)で溶接が行われていなければ溶接前のホイール(1)を頂部に保持した移動装置(4)を溶接機構(3)に進入させる制御を行う様に構成されているのが好ましい(請求項3)。
【0025】
本発明の溶接方法において、ホイール(1)を水平面に対し傾斜させた状態で溶接する場合(1点傾斜溶接)に、溶接機構(3)に進入した移動装置(4)の頂部を水平面に対して傾斜させる工程(S33)と、予め選択された一つの溶接装置(30)を移動装置(4)に保持されたホイール(1)における溶接箇所(ディスクとリムとの接合箇所w)に近接させて溶接する工程(S34)と、その溶接を行う工程の間に(その溶接を行う工程に対して所定の時間差を設けて)他の移動装置(4)を溶接機構(3)に進入させる工程(S32)と、進入した他の移動装置(4)の頂部を水平面に対して傾斜させる工程(S33)と、溶接をしていない溶接装置(30)の中の予め選択された一つの溶接装置(30)を他の移動装置(4)に保持されているホイール(1)に近接させて溶接する工程(S34)、とを有しているのが好ましい(請求項5:図6)。
【0026】
また、本発明の溶接方法において、ホイール(1)を水平な状態で溶接する場合(水平4点溶接)に、スパッタカバー載置装置(9)により移動装置(4)の頂部に保持されたホイール(1)の内側にスパッタカバー(C)を被せる工程(13)と、溶接機構(3)で溶接が行われている間は、溶接前のホイール(1)を頂部に保持した移動装置(4)をスパッタカバー載置装置(9)の位置で待機させる待機工程(S140)と、溶接機構(3)で溶接が行われていなければ溶接前のホイール(1)を頂部に保持した移動装置(4)を溶接機構(3)に進入せしめる工程(S15)、とを有するのが好ましい(請求項6:図11)。
【発明の効果】
【0027】
上述する構成を具備する本発明によれば、ホイール(1)が水平な状態で行われる溶接(水平4点溶接)と、ホイール(1)が水平面に対し傾斜した状態で行われる溶接(1点傾斜溶接)とが実行可能である。そのため、一つのラインで複数種類の溶接を行い、複数種類のホイールにおけるディスクとリムとの接合部を溶接することができる。
【0028】
そして本発明により、ホイール(1)が水平面に対し傾斜した状態で溶接を行う(1点傾斜溶接)場合には、所定の時間差を付けて(タイミングをずらして)、溶接機構(溶接ステーション3)に複数(例えば2台)の移動装置(ポジショナー4)を進入させて、複数(例えば2個)のホイール(1)を溶接することが出来る。
そのため、従来は溶接機構(溶接ステーション3)で1個のホイールしか溶接できなかったのに比較して、溶接作業の効率(1台あたりの溶接時間、あるいは生産性)が遥かに向上するのである。
【0029】
言い換えると、本発明において、水平面に対し傾斜した状態で溶接を行う(1点傾斜溶接)場合、ホイール(1)を水平にした状態で溶接を行う(水平4点溶接)場合における「待機時間」(前のホイール1が溶接している間、後続のホイール1を保持する移動装置4を溶接機構3に進入させず、スパッタカバー載置装置5の位置で待機させている時間)が不要となり、ホイール1個あたりの加工時間(ホイール1個を溶接するのに必要な作業時間:1サイクルに必要な加工時間)が節約されるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、添付図面の図1〜図7を参照して、本発明の実施形態について説明する。
先ず、図1〜図6を参照して、第1実施形態を説明する。
【0031】
図1、図2は第1実施形態に係る溶接システムの全体構成を示している。
図1及び図2において、全体を符号100で示す溶接システムは、搬送装置(搬送ロボット)2と、溶接機構(溶接ステーション)3と、移動装置(ポジショナー)4と、制御装置(集中制御盤)50とを有している。
【0032】
搬送ロボット2は、図示しない搬送ライン(搬送コンベア)とポジショナー4との間で、ワークであるホイール1を移動させる。
すなわち、搬送ロボット2は、図示しない搬送コンベアから溶接前のホイール1を挟み込んで取り出し、ポジショナー4上に載置する。或いは、搬送ロボット2は、ポジショナー4上に載置されている溶接後のホイール1を挟み込んで取り出し、後続する工程に連続する搬送ラインへ移動せしめる。
【0033】
搬送ロボット2の詳細は、図2で示す様に、台座21と、ターンテーブル22と、ロッド駆動部23と、ロッド24と、アーム部25と、回転ヘッド26と、ホイール支持部27とを有している。
【0034】
台座21は搬送ロボット2全体を固定位置で支持し、ターンテーブル22は台座21の上方に位置し、ロッド駆動部23を水平面で回転運動させる。
ロッド駆動部23は、2本のロッド24A、24Bを備えたロッド24を駆動する。
アーム部25は、2本のロッド24A、24Bの先端の回転支持部に支持され、平行運動及び揺動運動を行う様に構成されている。
【0035】
回転ヘッド26は、アーム部25の先端に支持され、回転中心点26aの周りで図2の時計回り、反時計回り(矢印R3の方向)に回転可能に構成されている。
ホイール支持部27は、回転ヘッド26に取付けられ、矢印R4方向に回転可能に構成されている。
搬送ロボット2は、6自由度(前後・左右・上下と、3軸方向の回転)の運動が可能に構成されており、図示しない搬送ラインとポジショナー4の停止位置との相対位置関係に対処して、ホイールを移動することが出来る。
【0036】
溶接ステーション3は、図1、図2において、全体を符号Lで示す領域である。図1〜図3の例では、溶接ステーション3には溶接ロボット30が4台装備されている。詳細については説明を省略するが、この溶接ロボット30も搬送ロボット2同様、多関節で構成され、先端の溶接トーチ31は、ホイール1の溶接位置に対して自在に対処可能に構成されている。
【0037】
図1〜図3において、ポジショナー4は2台装備されている。
ポジショナー4は、頂部にホイール1を保持して、前記搬送ロボット2のホイール支持部27が到達する位置と、溶接ステーション3との間の移動ライン5(図1、図2参照)上を移動するように構成されている。なお、第1実施形態では、2つの移動ライン5が設けられている。
ポジショナー4は、頂部に保持されたホイール1が水平になる姿勢(水平4点溶接時の姿勢)と、ホイール1が水平面に対して傾斜する姿勢(1点傾斜溶接時の姿勢)とを変更可能に構成されている。
【0038】
明確には図示されていないが、ポジショナー4が移動ライン5上を移動するための手段は、例えば、ポジショナー4側に固定された図示しないウォームナットと、該ウォームナットに噛み合うウォームスクリューGと、ウォームスクリューGの駆動源としての電動モータ6と、移動ライン5に設けた図示しないレールによって構成する事が可能である。
【0039】
その場合、電動モータ6が回転すると、図示しない減速機によってウォームスクリューGが減速して回転する。ウォームスクリューGにはポジショナー4に固定されたウォームナットが噛み合っているため、ポジショナー4がウォームスクリューGに沿って移動するのである。
尚、移動手段として、ウォームスクリューG、ウォームナットの組み合わせに変えて、例えばベルト等、公知の機構を用いることが出来る。
【0040】
前記溶接ステーション3には4隅に支柱7が立設してあり、図1における左側の2本の支柱7の上端及び右側の支柱7の上端は、それぞれ、水平部材8によって接続されている(図3参照)。
【0041】
水平部材8には、スパッタカバー載置装置9が設けられている。スパッタカバー載置装置9は、図2において実線で示したポジショナー4の位置(搬送ロボット2がホイール1を授受する位置:移動ライン5における端部)と、図2において2点鎖線で示したポジショナー4の位置(溶接位置)との、ほぼ中間に位置している。
スパッタカバーCは、ホイール1にスパッタが飛散し、付着してしまうことを防止するためのキャップ状の部材であり、スパッタカバー載置装置9は、水平4点溶接を行うべきホイール1に対して、その溶接前に(水平4点溶接を行う前に)、ホイール1のディスクの内側にスパッタカバーCを被せるように構成されている。
【0042】
図1〜図3で示す溶接システムでは、ホイール1が水平な状態で溶接される場合(水平4点溶接を行う場合)には、溶接ステーション3には1台のポジショナー4が進入して、そのポジショナー4の頂部に保持された1個のホイール1に対して、4台の溶接ロボット30を用いて溶接が行われる。
一方、ホイール1が水平面に対し傾斜した状態で溶接される場合(1点傾斜溶接の場合)には、溶接ステーション3には2個のポジショナー4が、時間をずらして進入して、1つのホイール1について、1個の溶接ロボット30を用いて溶接が行われる。
前記集中制御盤50は、ホイールの生産計画に従って、上述した2つの溶接に関する制御を適宜実行する様に構成されている。
【0043】
後述するように、水平4点溶接の際には4台の溶接ロボット30の全てのトーチ31が使用されるが、1点傾斜溶接の場合には、2本のトーチ31のみが使用され、残りの2本のトーチ31は未使用となる。
【0044】
なお、図3において、既存のホイール1Dを水平4点溶接する場合が、図3の左側のポジショナー4で示されている。
一方、「フルフェイス」のホイール1Fにおける1点傾斜溶接をする場合は、図3の右側のポジショナー4で示す様に、上部部材41が回動して、ホイール1Fが水平面に対して45°傾斜する。
【0045】
次に、図4〜図6をも参照して、第1実施形態における溶接の手順について説明する。
先ず、図3において、集中制御盤50は決定済みの生産計画に従って、ホイールについて、水平4点溶接を行うのか、あるいは、1点傾斜溶接を行うのかを判定する(図4のステップS1)。
ここで、決定済みの生産計画に従って水平4点溶接を行うのか、あるいは、1点傾斜溶接を行うのかを判定するにあたっては、既存の制御技術が用いられている。
【0046】
ホイールが既存のタイプのホイール(「ドロップ部でディスクと接合するタイプ」、「ビードシート部でディスクと接合するタイプ」、「レッジ部でディスクと接合するタイプ」)として製造されるべき場合には(図4のステップS1が「4点水平」)、図示の実施形態に係る溶接システムを「水平4点溶接」モードに設定し(ステップS2)、図5の符合「A」に進む。
【0047】
一方、ホイールが「フルフェイス」タイプのホイールとして製造されるべき場合には(図4のステップS1が「1点傾斜溶接」)、図示の実施形態に係る溶接システムを「1点傾斜溶接」モードに設定し(ステップS3)、図6の符合「B」に進む。
【0048】
図5は、既存のホイール製造に当たって、水平4点溶接する場合の工程を示している。
図5において、先ず、溶接前のホイール1を搬送ロボット2によりポジショナー4の頂部へ設置する(ステップS11)。
ここで、システム100において、空いているポジショナー4(ホイール1を頂部に保持していないポジショナー4)が存在していないことを確認する(ステップS111)。
空いているポジショナーが存在しなければ(ステップS111がYES)、ステップS12に進む。
空いているポジショナー4が存在している場合には(ステップS111がNO)、当該空いているポジショナー4にホイールをセットし(ステップS112)、ステップS12に進む。
【0049】
そして、溶接前のホイール1を頂部へ設置されたポジショナー4を、スパッタカバー載置装置9の位置まで移動し(ステップS12)、スパッタカバー載置装置9により、当該ホイール1にスパッタカバーCを被せる(ステップS13)。前述したように、溶接時のスパッタがホイール1の内側に飛び散り、付着してしまうことを防止するためである。
【0050】
集中制御盤50は、溶接ステーション3において、先行するホイールの溶接が行われていないか否か、換言すれば、ホイールを載置したポジショナー4が溶接ステーション3に既に進入しているか否かを判断する(ステップS14)。
先行ホイールが溶接中の場合、或いは、ホイールを載置したポジショナー4が溶接ステーション3に既に進入している場合には(ステップS14でNO)、ポジショナー4は、スパッタカバーCを載せる位置で、先行ホイールの溶接が終了するまで待機する(ステップS140)。
先行ホイールの溶接が行われていない場合、或いは、ホイールを載置したポジショナー4が溶接ステーション3に進入していない場合には(ステップS14でYES)、ポジショナー4を溶接ステーション3の溶接位置まで移動する(ステップS15)。
【0051】
次のステップS16では、4台の溶接ロボット30の各々における溶接トーチ31を同時に使用して、水平4点溶接を行う。このときポジショナー4のヘッド41は水平状態を保っている。
【0052】
次に、集中制御盤50は、水平4点溶接が終了したか否かを判断する(ステップS17)。水平4点溶接の作業中であれば(ステップS17がNO)、ステップS16に戻る。
水平4点溶接が終了したなら(ステップS17がYES)、溶接トーチ30を溶接前の位置に戻し、ポジショナー4をスパッタカバー載置装置9の位置まで移動させる(ステップS18)。
【0053】
スパッタカバー載置装置9は、ポジショナー4上のホイール1からスパッタカバーCを取り外す(ステップS19)。
そして、スパッタカバーCを取り外したポジショナー4を移動して、移動ライン5の端部(搬送ロボット2のホイール支持部27が到達する位置)まで戻り(ステップS119)、搬送ロボット2によって、溶接の完了したホイールを、ポジショナー4から図示しない搬送ラインへ移動する(ステップS20)。
【0054】
ステップS20が完了したならば、集中制御盤50は、溶接システム100を停止させるか否かを判断する(ステップS21)。
全てのホイールの溶接を完了し、或いは、予定された作業を全て完了して、溶接システム100を停止させるのであれば(ステップS21がYES)、そのまま溶接システム100を停止させる。
溶接するべきホイールが未だに存在し、溶接システム100を停止させないのであれば(ステップS21がNO)、図4の「C」に進む。
【0055】
水平4点溶接では、4台の溶接ロボット30におけるそれぞれのトーチ31で溶接する。4本のトーチ31で溶接するので、ホイールを1/4周だけ回転すれば、水平4点溶接が完了する。そのため、溶接に要する時間が短縮されるので、生産性を高く保つことが出来る。
【0056】
図6は、「フルフェイス」タイプのホイール1Fの様に「1点傾斜溶接」を行う場合の工程を示している。
図6において、先ず、搬送ロボット2によって、図示しない搬送ラインから、溶接前のホイール1Fをポジショナー4の頂部にセットする(ステップS31)。
【0057】
ここで、システム100中に、空いているポジショナー4(ホイール1を頂部に保持していないポジショナー4)が存在していないことを確認する(ステップS311)。
空いているポジショナーが存在しなければ(ステップS311がYES)、ステップS32に進む。
空いているポジショナー4が存在している場合には(ステップS311がNO)、当該空いているポジショナー4にホイールをセットし(ステップS312)、ステップS32に進む。
【0058】
溶接前のホイール1Fを頂部にセットしたポジショナー4は溶接ステーション3の溶接位置まで移動する(ステップS32)。
溶接位置まで移動すると、ポジショナー4のヘッド41が水平面に対して45°傾斜して、ホイール1Fを水平面に対して45°傾斜した状態で保持する(ステップS33)。
【0059】
4台の溶接ロボット30の内、所定の1台の溶接ロボット30における溶接トーチ31が、溶接するべきホイールへアプローチして、溶接を開始する(ステップS34、ステップS35)。溶接を行っている間(ステップS35がNOのループ)は、ポジショナー4のヘッド41は、水平面に対して45°傾斜した状態で、ホイール1Fが、ポジショナー4の回転軸CLを中心に360°回転するまで回転を続ける。
【0060】
1台のポジショナー4にセットされたホイールを溶接している間(ステップS35がNOのループ)に、頂部に溶接すべきホイールを保持した他方のポジショナー4が、溶接ステーション3の溶接位置まで移動する(ステップS32)。そして、ポジショナー4が傾斜する(ステップS33)。そして、残り3本の溶接トーチの内、所定の1本の溶接トーチが、当該他方のポジショナー4に保持されたホイール1Fにアプローチして溶接する(ステップS34、ステップS35)。
【0061】
集中制御盤50は、1点傾斜溶接が終了したか否かを判断する(ステップS35)。
溶接が終了していないのなら(ステップS35がNO)、1点傾斜溶接を続行する。溶接が終了していれば(ステップS35がYES)、ポジショナー4のヘッド41を傾斜した状態を、ヘッド41が水平となった状態に復帰させる(ステップS36)。
【0062】
その後、ポジショナー4が搬送ロボット2の位置(搬送ラインへの載せ換え位置)まで移動し(ステップS37)、搬送ロボット2によって、溶接の完了したホイール1Fを、図示しない搬送ラインへ移動させる(ステップS38)。
【0063】
ステップS38が完了したならば、集中制御盤50は、溶接システム100を停止させるか否かを判断する(ステップS39)。
全てのホイールの溶接を完了し、或いは、予定された作業を全て完了して、溶接システム100を停止させるのであれば(ステップS39がYES)、そのまま溶接システム100を停止させる。
溶接するべきホイールが未だに存在し、溶接システム100を停止させないのであれば(ステップS39がNO)、図4の「D」に進む。
【0064】
上述したように、水平4点溶接では、溶接ステーション3では1個のホイールの溶接しか出来ないが、1点傾斜溶接の場合は、溶接ステーション3で2個のホイールの溶接を同時に行うことが出来る。従って、従来の溶接設備において、1つのホイールずつしか1点傾斜溶接が出来ないのに比較して、図示の実施形態に係る溶接システム100では、1点傾斜溶接の作業性が著しく向上するのである。
【0065】
ここで、第1実施形態の1点傾斜溶接の場合、スパッタカバーCをホイール内側に設置することは行わない。水平面に対して45°傾斜して行われ、且つ、ホイール1Fの外周部を溶接する「1点傾斜溶接」の場合、溶接位置から飛散するスパッタは、ディスクの表面には到達しないからである。
【0066】
なお、ポジショナー4を傾斜させる機構としては、従来から存在する公知・市販のものを利用すれば良い。
【0067】
上述した様に、第1実施形態では、1点傾斜溶接を行う場合、2台のポジショナー4における溶接のタイミングを「ずらす」ことにより、溶接ステーションにおいて2個のホイールの溶接を行うことが出来るので、溶接作業の効率(ホイール1個あたりの溶接時間、あるいは生産性)を、水平4点溶接と同等程度にまで、向上することが出来る。また、1台の搬送ロボット2で2台のポジショナー4への乗せ換えを行うことが出来るので、設備費を節約出来る。
【0068】
さらに、水平4点溶接によれば、「待機時間」、すなわち、前のホイール1Fが溶接している間に、後続のホイール1Fを保持するポジショナー4は溶接ステーション3の溶接位置まで移動せず、スパッタカバー載置装置9の位置で待機している時間が必要である。それに対して、第1実施形態における1点傾斜溶接では、そのような「待機時間」が不要となるので、ホイール1個あたりの加工時間(1サイクルに必要な加工時間)が節約される。
【0069】
すなわち、図1〜図6の第1実施形態によれば、ホイールの種類に対応して、同一の溶接システムにおいて、水平4点溶接と1点傾斜溶接とを自在に実行することが出来る。
【0070】
そして第1実施形態によれば、従来技術においては生産性が低いとされていた1点傾斜溶接であっても、2つのホイールを同時に溶接することにより、既存の溶接システムで1点傾斜溶接を行う場合に比較して、生産性が遥かに高くなるのである。
【0071】
なお、明確には図示されていないが、既存のホイールの溶接を行う際に、4個の溶接トーチ31を使用せずに、1個の溶接トーチ31のみを使用して、水平1点溶接を実施することも可能である。
【0072】
次に、図7を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。ここで、図7の第2実施形態は搬送ロボット2を2台設けた実施形態である。
図7において、溶接システム全体を符号101で示す。
図7で示す溶接システム101は、図1〜図6の第1実施形態における溶接システム100に対して、ポジショナー4を2台追加し、その追加した2台と、搬送ロボット2の1台を、溶接ステーション3を挟んで、図1、図2の搬送ロボット2とは反対側の位置に設けている。
【0073】
図7で示す溶接システム101によれば、最大、4個のホイールを1点傾斜溶接で同時に溶接が可能となる。そして、1点傾斜溶接における生産性をさらに向上することが可能となる。
【0074】
図7の第2実施形態における上記以外の構成及び作用効果については、図1〜図6の第1実施形態と同様である。
【0075】
図示の実施形態はあくまでも例示であり、本発明の技術的範囲を限定する趣旨の記述ではない旨を付記する。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の第1実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す平面図。
【図2】第1実施形態の全体構成を示す正面図。
【図3】ポジショナー上におけるホイールの配置を示す側面図。
【図4】第1実施形態における工程を示すフローチャート。
【図5】第1実施形態で水平4点溶接を行う場合のフローチャート。
【図6】第1実施形態で1点傾斜溶接を行う場合のフローチャート。
【図7】本発明の第2実施形態に係る溶接システムの全体構成を示す平面図。
【図8】ドロップ部でディスクと接合するタイプのホイールの一例を示す断面図。
【図9】フルフェイスタイプのホイールの一例を示す断面図。
【図10】既存のホイールにおける水平4点溶接の1例を示す断面図。
【図11】既存のドロップ部でディスクと接合するタイプのホイールにおけるディスクとリムと溶接箇所との相対位置関係を示す模式図。
【図12】フルフェイスタイプのホイールにおけるディスクとリムと溶接箇所との相対位置関係を示す模式図。
【図13】1点傾斜溶接を示す断面図。
【図14】図13のA部拡大図。
【符号の説明】
【0077】
1・・・ホイール
2・・・搬送装置/搬送ロボット
3・・・溶接機構/溶接ステーション
4・・・移動装置/ポジショナー
5・・・移動ライン
6・・・スパッタカバー
7・・・支柱
8・・・水平部材
9・・・スパッタカバー載置装置
30・・・溶接装置/溶接ロボット
31・・・溶接トーチ
50・・・制御手段/集中制御盤
C・・・

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接前のホイールを搬送ラインから取り込みかつ溶接後のホイールを搬送ラインに移動する搬送装置と、リムとディスクとの接合箇所を溶接する溶接機構と、頂部にホイールを保持して搬送手段と溶接機構との間を移動する複数の移動装置と、制御装置とを有し、前記溶接機構は複数の溶接装置を備えており、前記移動装置は、頂部に保持されたホイールが水平になる姿勢と、ホイールが水平面に対して傾斜する姿勢とを変更可能に構成されており、前記制御装置は、ホイールが水平な状態で行われる溶接の場合には、溶接機構には1個の移動装置が進入して、その移動装置の頂部に保持された1個のホイールに対して複数の溶接装置を用いて溶接し、ホイールが水平面に対し傾斜した状態で行われる溶接の場合には、溶接機構には複数の移動装置が進入して、複数の移動装置の頂部に保持された複数のホイールの各々について1個の溶接装置を用いて溶接する制御を行うように構成されていることを特徴とする溶接システム。
【請求項2】
前記制御装置は、ホイールを水平面に対し傾斜させた状態で溶接する場合に、溶接機構に進入した移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させ、予め選択された一つの溶接装置を移動装置に保持されたホイールにおける溶接箇所に近接させて溶接を行い、溶接されている間に他の移動装置を溶接機構に進入させて、進入した他の移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させ、溶接をしていない溶接装置の中の予め選択された一つの溶接装置を他の移動装置に保持されているホイールに近接させて溶接する制御を行う様に構成されている請求項1の溶接システム。
【請求項3】
移動装置の頂部に保持されたホイールの内側にスパッタカバーを被せるスパッタカバー載置装置を有し、前記制御装置は、ホイールを水平な状態で溶接する場合に、溶接機構で溶接が行われている間は、溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置はスパッタカバー載置装置の位置で待機し、溶接機構で溶接が行われていなければ溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置を溶接機構に進入させる制御を行う様に構成されている請求項1、2の何れかの溶接システム。
【請求項4】
請求項1の溶接システムを用いた溶接方法において、ホイールを水平な状態で溶接するのか、あるいは、水平面に対し傾斜した状態で溶接するのかを決定する工程と、ホイールを水平な状態で溶接する場合には、溶接機構に1個の移動装置を進入させて、その移動装置の頂部に保持された1個のホイールに対して複数の溶接装置を用いて溶接する工程と、ホイールを水平面に対し傾斜した状態で溶接する場合には、溶接機構に複数の移動装置を進入させて、複数の移動装置の頂部に保持された複数のホイールの各々について1個の溶接装置を用いて溶接する工程、とを有することを特徴とする溶接方法。
【請求項5】
ホイールを水平面に対し傾斜させた状態で溶接する場合に、溶接機構に進入した移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させる工程と、予め選択された一つの溶接装置を移動装置に保持されたホイールにおける溶接箇所に近接させて溶接する工程と、その溶接を行う工程の間に他の移動装置を溶接機構に進入させる工程と、進入した他の移動装置の頂部を水平面に対して傾斜させる工程と、溶接をしていない溶接装置の中の予め選択された一つの溶接装置を他の移動装置に保持されているホイールに近接させて溶接する工程、とを有している請求項4の溶接方法。
【請求項6】
ホイールを水平な状態で溶接する場合に、スパッタカバー載置装置により移動装置の頂部に保持されたホイールの内側にスパッタカバーを被せる工程と、溶接機構で溶接がされている間は、溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置をスパッタカバー載置装置の位置で待機させる待機工程と、溶接機構で溶接が行われていなければ溶接前のホイールを頂部に保持した移動装置を溶接機構に進入せしめる工程、とを有する請求項4、5の何れかの溶接方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−43957(P2008−43957A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−219313(P2006−219313)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【出願人】(000110251)トピー工業株式会社 (255)