溶接用アース電極チップホルダー
【課題】
本発明は、曲面状の被磁体材質面にアース電極チップを被溶接面に垂直に取り付けられる構造の加圧可能な溶接用アース電極チップホルダーに関する。
【解決手段】
被溶接物上に吸着される吸着装置と、該吸着装置に保持されたアース電極チップとを備え、前記電極チップの先端側はオネジ加工が施され、該オネジ加工部上に調節可能な接当具が装着され、前記吸着装置が被溶接物に固定された際、接当具の調整で被溶接物の表面に押圧支持され、前記接当具の端面が前記アース電極チップの先端近傍周縁で被溶接物の表面に全面当接するようにしたことを特徴とする溶接用アース電極チップホルダーとしたもの。
本発明は、曲面状の被磁体材質面にアース電極チップを被溶接面に垂直に取り付けられる構造の加圧可能な溶接用アース電極チップホルダーに関する。
【解決手段】
被溶接物上に吸着される吸着装置と、該吸着装置に保持されたアース電極チップとを備え、前記電極チップの先端側はオネジ加工が施され、該オネジ加工部上に調節可能な接当具が装着され、前記吸着装置が被溶接物に固定された際、接当具の調整で被溶接物の表面に押圧支持され、前記接当具の端面が前記アース電極チップの先端近傍周縁で被溶接物の表面に全面当接するようにしたことを特徴とする溶接用アース電極チップホルダーとしたもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や農業機械、建設機械、電化製品等の外装ボディに接触事故等により不測に発生したへこんだ凹部を板金修理時に元の形状(原形)に戻す方向に引っ張り出すため、該凹部にプーラー用電極チップなどの引っ張り具(プーラー)を溶着する電気溶接を行う際のアースとなる溶接用アース電極チップホルダーの取り付けに関する技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
接触事故等により外装部に変形が生じた自動車のボディの修理を大別すると、外装部品を交換する比較的大きな修理と、フェンダーや、ボンネットやドア等の外板の一部に生じたへこんだ凹部を修正する程度の小さな修理のものに分かれている。この小さなへこんだ部分の修正には、へこんだ凹部を元の状態に近いところまで引き出し、その後にパテを塗り、表面の凹凸を元の状態になるまで砥石(ペーパー)で磨いて最後に仕上げ塗装して修理を完了する事例が多い。
【0003】
このへこんだ凹部をできるだけ元の状態に引き出すための手法として、プーラー電極チップを凹部に溶着し、プーラー電極チップを引き出すことにより、凹部を溶着したまま元の状態に近いところまで引き出し、溶接部をはずして凹部をパテ塗りし、塗装を行い修理することとなる。
【0004】
このプーラー電極チップを凹部に溶着するためには、電気溶接機のプラス電極からのプラス電流がプーラー電極チップに流れ、凹部との間で電着させる溶接熱を発生させる必要がある。溶接熱を発生させるために凹部側に流れた溶接電流を電気溶接機のアース電極に通電させる回路の構成が必要である。
【0005】
このため、凹部を溶接機アース電極に通電させるために、凹部近傍の塗装面を剥いだボディーの被溶接面にアース電極チップを押圧接触させ、アース電極チップと電気溶接機のアース電極をアース線で接続することにより、溶接電流がプーラー電極チップと、凹部との間で溶接熱を発生させる電流回路を構成することができる。
【0006】
このような技術背景を解決するため、例えば下記の特許文献に示すような技術手段が採用されている。
【特許文献1】特開2001−353580号公報
【特許文献2】特開2005−324232号公報 なお、特許文献2はプーラー電極を用いて鈑金修正する一手段の参考として例示するものである。
【0007】
近年の傾向として、修理を行う自動車のフェンダー、ボンネット、ドア等の外板は、デザインの観点から、また強度上の観点から微妙な曲線が設けられており、また材質も軽量化のため、鋼鈑より軽量なアルミニューム、または樹脂に移行しつつあり、磁力での磁着が作用しない部材が多くなってきている
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示す溶接用電極チップホルダーは、自動車修理業界で一般に採用されているタイプのものであり、自動車のフェンダー、ボンネット、ドア等の外板に磁石の磁着機能を活用して装着を果すもので、アース電極の自動車修理部分への脱着が比較的容易に短時間で実施することが出来、好評を博しているものである。
【0009】
しかし、板金修理工場には鉄板をグラインダー仕上げする作業が多く、工場内には多くの鉄粉が飛散している環境のため、溶接用電極チップホルダーの磁石に鉄粉が付着し、鉄粉が付着したまま自動車のボディーに磁石を磁着すると自動車の塗装面を傷つけることがある。また、付着した鉄粉を磁石から取り除くには磁石の磁力を抜き取る必要があり、脱磁装置が必要となり、手で取る程度の大まかな除去での使用を余儀なくされている。特許文献1では溶接用電極チップホルダーの磁石から鉄粉の付着を取り除くため、非磁体材質の被覆層を用いているが磁石の磁着面と磁着するボディー鉄板までの距離が遠のき、磁石の磁着力が低下するため磁石の磁力を強くする必要がある。また被覆層を磁石から取り外し、付着した鉄粉を清掃するのがわずらわしく、被覆層を取り付けても磁力が被覆層を通過して容易に鉄粉が吸着するため塗装面の損傷は解決するに至ってない状況である。
【0010】
また、車体に磁着するための磁石は、磁着面が平面に加工されており、自動車の車体の曲線に合致せず、車体の鉄板と磁石との接触面が小さくなり、距離が離れ磁着力が著しく低下する。このため、磁石を大型化するため、重量が重く、大きくなるなどの欠点を誘発するものであった。また、アース用電極チップを取り付ける磁着部は、平坦にされて且つ磁石が磁着できる磁性材料にされている部分が必要であるが、最近の自動車は、燃費改善などを目的として軽量化が図られており、重量が重い鉄板から重量の軽いアルミ系の材料に移行しつつあり、樹脂化も目立ってきており、これらのアルミ系材料や樹脂材料などの非磁性体材料であると磁石による磁着が出来ない場合があるため、磁石を用いた従来のアース電極チップホルダーでは作業が出来ない状況になりつつある。
【0011】
また、アース電極チップ部に採用されている蝶ナットの端面は、被溶接面との接触が傾きにより接触面積が少なくなるため、蝶ナットは被溶接面に垂直に取り付ける必要があるが、特許文献1に例示される構造のものでは修理部が平坦であれば可能であるが、曲面部では蝶ナットを垂直に調整することが出来ない構造となっている。
【0012】
さらに、本来、電極チップ先端の被溶接面ボディー接触部は大きな溶接電流を通電するため溶損の発生があり、接触面の押圧と通電面積を大きくする必要があるが、特許文献1に例示される構造では磁石の磁着部と電極チップ部とはバネ作用する金属板で連結されており、自動車ボディーが平坦でなく曲面の場合は電極チップ先端が自動車ボディーに垂直な状態に取り付けることができず、傾斜したままの接触が一般的である。溶接時、過大な溶接電流がアース電極チップの接触面を通電するため、接触部が通電電流で溶損することがあり、これを防止する方策としてアース電極チップと被溶接面との接触面圧を強くするが、特許文献1のような金属板と磁着面を被覆層で保護された平面の磁石では磁着力の弱さも原因して溶損を防ぐほどの押圧荷重が得られず溶損防止効果が少ないのが現状である。
【0013】
溶接には過大な電流が必要で、そのため電気溶接機のプラス電線、アース電線は一般に太くて曲り難いものが多い。このため、アース電極チップにアース電線を接続する場合、ボルト、ナットでの接続が一般的であるが、アース線の曲がり、捩れや歪がアース電極チップの磁着部に伝わり、条件が悪い時には磁着部がボディーから外れることもあり、これらの障害を防ぐためには事前に、長いアース電線の曲がり、捩れをほぐしてから磁着させねばならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題解決に資する溶接回路について、図1で溶接に関する電気溶接機1、プーラー電極チップ2、アース電極チップ10の関係を概略説明する。自動車のボディー6のへこんだ部分(陥没凹部)3を原形に復元する方向に引き出して修理する場合、凹部3にプーラー電極チップ2を溶着し、該プーラー電極チップ2を引き出して修正する(参考文献2を参照方)。プーラー電極チップ2を溶着するため電気溶接機1からのプラス線4をプーラー電極チップ2に接続し、電気溶接機1からのアース線51をアース電線接続部50に接続する。溶接電流は電気溶接機1からプーラー電極チップ2を通り、ボディー6に流れアース電極チップ10から電導体11、アース電線51を通って電気溶接機1に流れる回路が構成され、これらの回路構成を段取りすることにより始めて電気溶接が可能となる。
本発明は、この回路の中のアース用電極チップに係わる部分の発明である。
【0015】
本発明は、前述の課題解決のために、第1に、被溶接物の表面に軟性部材を弾接触して密着される吸着装置と、該吸着装置に一体的に設けたホルダー部に上下旋回自在及び進退摺動自在な状態に固定保持されたアース電極チップ付きの電導体とを備え、該ホルダー部に対する電導体の設定位置を調節して前記アース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させるようにしたことを特徴とし、アース電極チップを被溶接物上に吸着保持する部分(吸着装置)をホルダー部(保持体)に装着されるオネジと一体的に構成された軟質製の樹脂材質形成した円錐形状の吸盤を使用し、被溶接部の材質に関係なく軟質部材を弾接触して吸着できる構造としている。
【0016】
第2に、被溶接物に密着させる吸着装置を吸盤で構成すると共に、該吸盤を被溶接面に強制的に押圧する押圧付与手段を設けて、吸盤の吸引力を強制的に増加させる機能を有したことを特徴とし、吸盤部は、吸盤の吸着面を押さえて、吸盤の上部を強制的に持ち上げるためのプレートが設けられ、オネジにねじ込まれたメネジを締めこむことにより吸盤が持ち上がり、吸盤内面と、被溶接面とで構成される空間Aの体積が大きくなり、負圧が大きくなり吸引力が増加する構造となっている。
【0017】
第3に、基端側に溶接機からのアース線を接続可能とし、先端部にアース電極チップを取り付けた電導体を取り付けるのに、吸着装置に固定保持されたホルダー部をブロック状の保持体に形成し、該保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで電導体を取り付けられる構造を有する構成とし、吸盤部のオネジには、保持体が固着されており保持体には先端をL字状に屈曲された剛性棒状の電導体が、取り付け具A,Bとつまみにより変位自在の位置に取り付けられる構造となっている。
【0018】
第4に、保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで取り付けられる電導体を、断面円形の丸棒状の形状にする。すなわち、先端をL字状に屈曲された剛性棒状の電導体はアース電極チップを最適な状態にセットするため、変異自在に相対位置を変化させる必要がある。このため、断面が円状に構成され、取り付け具A,Bの取り付け孔に挿入され、上下旋回自在、軸回りに回転自在、進退摺動自在に変位し、つまみの締め付けにより所望姿勢にセットして固着できる構造となっている。
【0019】
第5に、上面視で、アース電極チップと、電導体の中心線上に吸着装置を設けるとともに、電導体を直線状に形成したしたことにより、必要に応じて電導体をジャッキで持ち上げる際にも確実にアース電極チップの接触圧を増加させることができる構造となっている。
【0020】
第6に、電導体のアース電線接続部は、電気溶接機からのアース線を周方向に回転自在で、かつ軸方向に接離固定可能に接合できる構造とし、通電電流による接続部の焼損時に容易に交換できる構造としたアース電線接続部を有することにより、電気溶接機のアース線を接続するアース電線接続部は、電導体に取り付けた軸により回動自在な筒が取り付けられ、この筒にねじ込まれた留め金にアース電線をボルト、ナットで固着するようになっている。このアース接続部は電導体に取り付けた例で説明しているが、アース電線の中間、または、電気溶接機のアース電極部に取り付けても同様な効果が発揮できる。
【0021】
第7に、アース電極チップ部のネジ棒のネジに装着された調節可能な接当具のメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、前記接当具を被溶接面の傾きに合わせて均等に接当する構造とし、アース電極チップ部のネジ棒に装着された調節可能な接当具のオネジとメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、接当具のネジ部を接当面側に片寄せて設け、接当面の反対側はオネジと大きな隙間を有した接当具に構成したことで、ネジ棒軸心に対して接当具が角度αだけ傾けることができる構造となっている。
【0022】
第8に、電導体の長さを設定するのに、アース電極チップを被溶接面に加圧接触するためのジャッキが容易に装着できるよう、吸着装置の吸着面から電導体までの高さを確保し、吸着位置からアース電極チップまでの距離とほぼ同等な距離で、吸着位置からジャッキが設置できるよう電導体の長さを確保したことにより、被溶接面部が薄い鉄板とか、アルミニュームのような溶損しやすい場合はアース電極チップと被溶接物との接触面の溶接電流による溶損を防止するため、接触面に押し付け荷重を付して防止するが、押圧を行うジャッキの取り付けのため吸着位置から電導体までの高さが、ジャッキの取り付けが可能な高さを有し、また、吸盤の吸着装置位置からアース電極チップまでの距離にほぼ相当する距離で、吸着装置位置からジャッキが装着できる電導体の長さが確保されている構造となっている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、従来使用されている磁石による磁着に比べ、軟質性の樹脂材料で成形された吸盤の負圧吸引力で吸着するため、磁力を持たず鉄粉等の付着がなく清掃が容易であり、吸着面が多少変形した曲面であっても軟質性吸盤が曲面に沿うため吸引力は低下しない。また磁石でなく負圧による吸引のため、表面が平滑な部材であればどのような材質のものにも吸引が可能で、自動車の外装のように滑らかな塗装面の吸引には最適な吸引方法といえる。
また、吸着装置はホルダー部に一体的に設けられており、このホルダー部にアース電極チップ付きの電導体がシーソー状態に上下旋回自在及び前後方向に進退摺動自在な状態に固定保持されるので、該電導体によるアース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させることが確実にできる。
【0024】
請求項2の発明によれば、前記記載の吸盤の負圧力を増加させることができるため、負圧力の増加に比例して吸引力を強くすることができ、軽くて小さく、強力な吸引力を持つアース電極チップホルダーを提供することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、過大な溶接電流が流れるアース電極チップの被溶接面は、接触面積が大きく、接触面圧が高い状態が溶損を防ぐ方法といわれている。このため本発明では、アース用電極チップと一体構成の電導体が保持体に対して変位自在に固着できる構造となっているため、どのような曲面でも、アース電極チップが被溶接面に垂直に取り付けられることとなる。また、請求項7による発明のアース電極チップの接当具のネジの嵌合が大きい隙間を持った融通性のあるガタ付き構造としてあるため、ネジ棒が多少傾いて取り付けられても、ナットの端面は非溶接面に倣って全面接触することができ、適宜な接触姿勢が確保されるため、溶損事故を防ぐことができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、前記したアース電極チップを変位自在に固着できるように構成してあるが、これは電導体を保持体に固定保持する取り付け具A,Bの電導体ならびに取り付け具A,Bの取り付け部が断面円形の形状にしてあるため、旋回、回転、摺動が自在になることにより可能となったもので、自動車のボディーがいかなる曲面でもアース電極チップを被溶接面に所望姿勢にセットして垂直に取り付けることができる構造を提供するものである。
【0027】
請求項6の発明によれば、一般に電気溶接機からのプラス電線は溶接するために動かす度合いが多いため軟らかい線で構成されているが、アース線は動かす度合いが少なく電線の太さが太くて硬い。アース電線は都度、個々の作業場所に移動するため、線が捩れ、曲がっており、アース電線接続時はボルト等で固定するよう取り付け孔があいているが、アース線取り付け部が軽い部材の場合、アース線の捩れにより取り付け部材が捩じられて回転する場合がある。アース電極チップの場合における固定力は、磁着力か本考案の吸引力であり強いものではなく磁着部、または吸着部が外れる場合があるが、本考案のように固定した電導体にアース電線を止める止め金が回転自在な構造になっているため、アース電線が捩れていても止め金が回転し、回転力が解除され吸着部を捻る力が伝わらないため、これによる吸着部が外れる事故を防ぐことができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、アース電極チップの被溶接面との接触部は大きな溶接電流が流れ、溶損を起こすことがあるため、接触部の面積を大きくし、接触面の押圧を大きくすることが予防策とされている。本発明では、必要に応じて吸盤の吸着部からアース電極チップ部と反対側に電導体を持ち上げるジャッキを設置できるよう、保持体の高さと電導棒の長さのジャッキ取り付けスペースが設けられているため、ジャッキを使用しジャッキ側の電導体を持ち上げることにより、てこの原理で吸着部を介してアース電極チップ部を押し下げることができ、この部分の溶損を防止することができる。このジャッキは、鉄板が厚い材料等溶損が心配されない場合は使用する必要はなく、アタッチメント的にセットして使うものであり、必要のないときにはセットしない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、凹部修理作業の作用説明概略図、図2は本発明の溶接用アース電極チップホルダー実施例全体の平面図、図3は図2の側面図を示す。図3で、吸着部20−1の保持体28に変位自在に取り付けられた導電性金属材質からなる剛性丸棒状の電導体11には、先端をL字状に屈曲された側の先端部にアース電極チップ10を取り付け、他方の基端側にアース電線接続部50を設けている。アース電極チップ10は被溶接面18に接当具12の接当面15を全面が均等に接触するよう電導体11を変位自在に容易に調整できる距離L1が設けてある。必要に応じてジャッキ40を用いることがあるが、該ジャッキ40は、距離L1とほぼ同じ距離L2が取れるよう電導体11の長さが設けてある。また、図2に示すようアース電極チップ10の中心Rと、ジャッキ40の中心Tとを結ぶ線上に吸盤装置20−1の中心Sと電導体11の軸心も同一線上に設置されている。
【0030】
図4はアース電極チップ部10の詳細断面図である。電導体11のL字状に屈曲された先端部にはボルト状のネジ棒13がはめ込み接続され、止めメネジ14で固着されている。ネジ棒13には、ナット状の接当具12がメネジ16で接合されており、ネジの嵌合は通常の隙間より大きくとって、融通性のあるガタ付き構成にしてある。接当具12の接当面15側にメネジを設け、反対側にはネジ棒13とは大きな隙間17が設けられている。また、ねじ棒13は、止めねじ14を緩めることにより、電導体11から脱着が出来る構造であり、ねじ棒13が磨耗、損傷した場合に容易に交換できる構造となっている。
【0031】
図5は、ネジ棒13が被溶接面18に垂直に取り付かない場合の図である。
ネジ棒13が被溶接面に垂直に取り付かないと、ネジ棒13と接当具12とのネジ嵌合の隙間がない場合は接当具12の接当面15はネジ棒13に沿って被溶接面に接当するため片当たりとなるが、ネジの嵌合にガタ付き構成の隙間があるため接当具12はネジ棒13の軸心とはずれて接当面15が被溶接面18に沿うように傾き、接当面15が被溶接面18に沿って全面接触することとなる。
【0032】
図6は、図3の断面A−Aの吸着装置20−1及びホルダー部20−2の詳細図である。吸盤23は変形自在になるよう柔軟で電気を通さない軟質製の樹脂材質で円錐状に成形され、ボルト形状のオネジ27と一体的に成形してある。オネジ27にはナット状のメネジ26がねじ込まれて、吸盤23とメネジ27との間に金属製からなる傘状の剛体のプレート24が設けてある。吸盤23と吸着面21とは空間部A22が、またプレート24と吸盤23との間には、空間部B25が設けられている。また、吸盤23の外径は、プレート24の外径より少し大きく設定されている。
【0033】
オネジ27にネジで嵌合されたメネジ26を回転させて吸着面21側に下げると、プレート24が吸盤23の外周部に接当し下降が止まり、次に吸盤23の上側を持ち上げることとなる。吸盤23が持ち上がると、空間部A22を広げるように変形することとなる。空間部A22の体積が広がると空間部A22の内部の圧力は低下し、負圧が大きくなり外気との圧力差に比例して吸引力が増加することなり、強力な吸引力を得て、吸着面21に吸盤23が強固に吸着することとなる。
【0034】
このように吸着力を外気との圧力差により発生する負圧を利用しているため、吸着面21の材質に関係なく、吸盤23と吸着面21との機密性が確保されれば、どのようなものにでも吸着することが出来る。
【0035】
吸着部に電流が流れると自動車の塗装面が焼けて損傷する不具合が発生する場合があるが、本考案の場合、吸盤23は前記したように柔軟で電気を通さない軟質樹脂材質で成形されているため、溶接時の電流は、吸着面21に流れることがないため吸着面の塗装面損傷は皆無である。
【0036】
オネジ27の上部には硬質の樹脂材質で形成された四角形状のホルダー部20−2となる保持体28がねじで嵌合され、ナット29で固着されている。保持体28には丸軸形態の取り付け具A31、丸筒形態の取り付け具B32が設けられ丸棒状の電導体11が取り付け具A31、取り付け具B32、保持体28のそれぞれに穿設された孔を貫通して取り付けられ、電導体11は回転自在に、摺動自在に装着されている。取り付け具A31にはネジ37がつまみ30とネジで嵌合され、つまみ30を閉めこむと各部材に穿設された孔のガタがなくなり電導体11が締め付け固着され、緩めると各部材に穿設された孔のガタにより電導体11は自在に変位することができる。
【0037】
図7は、図6の断面B−Bの詳細図である。電導体11が取り付け具A31、取り付け具B32、保持体28のそれぞれに穿設された孔を貫通して取り付けられているが、それぞれの孔は、電導体11が自由に回転、摺動できる隙間を有している。取り付け具B32には鍔36が保持体28の溝35にはまっている、つまみ30をねじ込むと、取り付け具A31がつまみ側に移動し、電導体11を介して取り付け具B32がつまみ30側に移動するが取り付け具B32は鍔36が保持体28の溝部35で止まり移動ができなくなる。さらにつまみ30をねじ込むと、取り付け具A31は電導体11をつまみ30側に移動させるが取り付け具B32が移動しないため、取り付け具B32の孔に貫通した電導体11も移動ができなくなり、電導体11を保持体28に固着することとなる。電導体11は断面が円状に成形されており、取り付け具A,Bの取り付け孔に挿入され、シーソー状に上下旋回自在、軸回りに回転自在、前後方向に進退摺動自在に変位し、つまみ30の締め付けにより所望姿勢にセットして固着できる構造となっている。
【0038】
図8は、ジャッキ40の詳細断面図である。塗装面を傷つけないようやや軟質の樹脂材質で成形されたベース41の中央に、ネジ42が設けられノブ43がネジ嵌合されている。受け44はノブ43にリング45で回転自在で分離できないよう接合されている。また受け44の先端部は電導棒11の丸軸部を保持するようV溝48が設けられている。
これらの構成により図1、図2、図3に示すように、電導棒11の丸軸部下部にV溝48が位置するようにジャッキ40をセットし、ノブ43を人為的に回すことによりジャッキ40のV溝48が電導棒11を押し上げることができてアース電極チップの接触圧を増大することができる。
【0039】
図9は、アース電線接続部50を拡大した断面図である。電導体11の基部にパイプ筒11Aが溶着されており、パイプ筒11Aには外周にパイプ状の筒53を固定した軸54の先端が回転自在に挿入されて、軸54の先端の小径段部に位置されるねじ52で抜け止めされている。軸54の後端は大径とされて筒53の後方への抜けを阻止している。そしてこの筒53にネジ55が設けられ、留め金56がネジ55で筒53に固着されている。留め金56には孔60があり、この孔60を利用して溶接機から来ているアース電線51がボルト57、ナット58で固着されている。
【0040】
このアース線51には多大な電流が流れるため太い線が使われており、作業場所ごとに持ち運ばれて、アース線51の捩れが強く残る場合がある。このため、電導体11に捩れ力が伝わらないよう筒53が捩れ力がなくなるまで回転して、捩れ力を電導体側に伝えない。しかし、過大な電流の通電で焼損が起こり、損傷が進行して回転できなくなることがあり、損傷時、交換できるよう止めねじ52で分解・部品交換ができる構造となっている。
【0041】
図10は本発明の応用変形例を示すもので、アース線の中間部に取り付けるアース線の接続の実施例を示す。アース線接続時のアース線の捩れの問題は、アース電極チップのみの問題でなく一般のアース接続でも解決が必要とされている。このため電導体11に接続するのではなく、電気溶接機からアース接続部までの中間にアース電線の捩れを解消する機構が必要な場合があり、図10は本発明から派生したアース線の中間部に設置する装置を提案している。この図10の構成を採用すると図2、3等に示す電極チップホルダーの重量が軽くなって自動車ボディーへの負担が軽減される副次的な利点も生じる。
【0042】
図15は、前記ジャッキ40とアース電線接続部50とを連接させたタイプの変形例を示す常設型ジャッキ部の詳細断面図である。電導体11の後端にパイプ状のカップリング筒体77前部を差し込み止めネジ80で固定する。そして該カップリング筒体77の後部にアース電線接続部81からの支持軸を軸回りに回転可能状態に差し込み、該支持軸先端の小径部86に抜け止めネジ82 を位置させてカップリング筒体77に固定する。アース電線接続部81の他
端部は、アース線51を挿入できる穴83を有する薄肉円筒部84が設けられ、アース線51は薄肉パイプ部84でかしめ固着されており、これによりアース電線51は軸回りに回転自在に支持される。さらに、カップリング筒体77の中間に上下方向に貫通するネジ孔76を加工し、該ネジ孔76にジャッキボルト75をねじ込み螺装し、該ジャッキボルト75の下部に金属性の傘状部材72の裾周面に軟性部材71を設けたスタンド部材を駒74、ビス73で遊転可能に取り付け、ジャッキボルト75の上部に円盤状の操作ノブ79を固設する。
この構成にすることにより、図16に示す通り常設型ジャッキ70が電導体11に常設される状態となりジャッキを必要に応じてすぐに使える利便性が増すこととなり、併せてアース電線接続部の構成もコンパクトになった。
【実施例】
【0043】
以下、本考案の実施形態による実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図11で、本考案に係る溶接用アース電極チップホルダーの実施例を示す。
自動車のボディーの鈑金修理の実施例を示す。図1で示すようへこんだ部分(凹部)3をできるだけ元の状態に引き出すため、プーラー電極チップ2を凹部3に溶着し、凹部3を引っ張り出す作業を行うが、プ―ラー電源チップ2を溶着するために別にアース電極を設置しなければならないことは前述した通りである。
【0044】
自動車のボディーは鉄板が主流であるが、最近は軽量化のため、アルミニューム、または樹脂の使用が増加している。実施例に示すボディーは、鉄板のボディー6と非磁体材質ボディー7の複合ボディーで説明する。
【0045】
図1に示す修正部分の凹部3と距離が近い通電可能なボディー部6の被溶接面19の塗装を剥いでアース電極チップ10のネジ棒13を接当させ、かつ、重要な作業管理点である被溶接面にネジ棒13が垂直になるよう距離L1離れた所に吸着装置20−1を吸着させる。
【0046】
特許文献1に示す従来例では、磁石による磁着のため、磁着する面の材質が磁石で磁着する材質のみにしか適用できない欠点があったが、本考案では吸着面の表面が吸盤の円錐状裾部分である耳部が全周面に渡って接当できる程度の平坦で、滑らかな面であれば、吸着面の材質には関係なく吸着が可能で、軽量化する最近の自動車に最適な溶接用アース電極チップホルダーを提供することが出来る。
【0047】
図6で、吸着装置20−1のメネジ26を緩めプレート24が遊ぶ状態にして吸着面に押し付けると、吸盤23が変形し空間A22が押し潰されるが、吸盤23の復元力により空間A22は体積を広げようとして負圧となり、吸着面21に吸着する。手で押し付けた程度では吸盤23の吸引力は小さいためメネジ26をネジで押し下げると、吸盤23の上部が持ち上がり空間A22は体積が大きくなり、負圧が増加され吸盤23による吸引力は強力となる。
【0048】
強固に吸着された吸引装置20−1の上方に設けられたホルダー部20−2で、図7に示す保持体28、取り付け具A31、取り付け具B32に貫通された電導体11をつまみ30で締めこむと、取り付け具A31がつまみ30側に引き付けられて、電導体11が保持体28に固着される。
【0049】
再度、固着された電導体11の先端のネジ棒13が非溶接面に垂直になっているか確認し、修正を有する場合はつまみ30を緩め、電導体11のネジ棒13が垂直になるよう電導体11を回転または摺動させて調整を行いつまみ30で固着させる。
【0050】
電導体11先端の接当具12をねじ込み、接当面15を被溶接面19に接当させる。吸着装置20−1とアース電極チップ10までの距離L1とほぼ同等の距離L2の部分にジャッキ40を設置し、図8に示す受け44の先端部のV溝48を電導体11に当てて、ノブ43を回して受け44を持ち上げ、吸着装置20−1を支点にした梃子の原理でアース電極チップ部10のネジ棒13、接当具12の接当面15を被溶接面19に強く押し当てることができ、溶接の大電流による溶損を防止することができる。
【0051】
ジャッキ40による接当面の押し付け力の強化は、図2に示すように垂直に作用するジャッキ40の持ち上げ力の作用点T部とアース電極チップ10の押し付け面の作用点Rとを結ぶ一直線上に梃子の支点となる吸盤装置20−1の中心Sが配置されているため、また、電導体11の中心がR,S,Tの線上あるため効率よく持ち上げ荷重を押し付け荷重に確実に変換し、伝えることができる。
【0052】
図16の常設型ジャッキ70の場合には、ジャッキボルト75が電導体11の後部に固定されたカップリング筒体77に上下に螺装して安定位置に常設されているので、ジャッキ40をいちいちセットする手間が省略され、ジャッキボルト75の回転操作も電導体11の軸芯に合わせた位置で安定した姿勢にして操作ノブ79で迅速に行える利点がある。ジャッキを使用しない場合にはジャッキボルト75を上昇させて傘状部材72を上方へ退避しておけば良い。ジャッキを紛失したりすることもなく作業の都度ごとに探す手間も省略されて作業効率性の向上に寄与できる。
【0053】
図12、図13、図14は、本発明に至る開発過程の構造を説明するもので、アース電極チップ10、吸盤装置20−1、ジャッキ40の取り付け事例を示す図である。図12は上面視の図であるが、アース電極チップ10の中心Uとジャッキ40の押し上げ中心Wとの線上に対して、吸着装置20−1の吸引部中心VはLだけずれている。
【0054】
金属製で厚い外装部材の時にはジャッキ40を用いる事例は少ないのでこの構造のものでも一応の作業性は発揮し得るものの、前述したとおり近年自動車の軽量化のため、薄い鉄板の採用やアルミ素材の非電導性素材製の外装部材になるとジャッキ40が必要となる場合が多く、このようなジャッキが必要となる作業の際には、前記のように3点にずれがある状態で、ジャッキ40で電導体11を押し上げると吸引装置20−1の吸引部中心Vと距離Lだけ離れているため、押し上げ力は電導体11に作用し吸引装置20−1を傾けるモーメントとして作用する。このため図14に示すよう吸盤が片側に持ち上げられ、弱い力で外れてしまいジャッキ40の力を有効にアース電極チップ部に伝えることができない事例が発生し、これらの課題を更に解決するために本発明を創案することに至った。
【0055】
吸着装置20−1、ジャッキ40共にボディーの接当面である吸盤23は軟質の樹脂材質で、ジャッキ40のベース41はやや硬い樹脂で製作されており、修理工場内の鉄粉の付着も少なく、また付着しても鉄粉よりやわらかい材質で製作されており、付着時は吸盤23、ベース41側が変形し、ボディーを損傷することがない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、主用途としては幅広く自動車の板金修理に使用されるが、自動車以外に農業機械、建設機械はもとより、シャッターの修理、エアコンなどの電化製品の外装カバー等幅広い用途が開けるものであり、本発明の用途は自動車修理用に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】凹部修理作業の作用を説明する概略図である。
【図2】図3の上面視(平面図)である。
【図3】アース電極装置の側面図である。
【図4】アース電極チップの詳細断面図である。
【図5】アース電極チップの傾斜時の説明図である。
【図6】吸着装置の詳細断面図である。
【図7】図6の保持体部分の詳細断面図である。
【図8】ジャッキ部の詳細断面図である。
【図9】アース電線接続部の詳細断面図である。
【図10】アース電線接続部の他の実施例の図である。
【図11】アース電極チップの実際の取り付けを説明する図である。
【図12】本発明開発過程を説明する構造の上面視(平面図)である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図12の正面図である。
【図15】ジャッキとアース電線接続部とを連接させたタイプの変形例を示す常設ジャッキ部の詳細断面図である。
【図16】図15の常設型ジャッキを装着した装備図である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気溶接機
2 プーラー電極チップ
3 凹部
4 プラス電極
5 アース電極
6 鉄板ボディー
7 非磁体材質ボディー
8 プラス線
10 アース電極チップ
11 電動体
12 接当具
13 ネジ棒
14 止めネジ
15 接当面
16 メネジ
17 隙間
18 被溶接面
20−1 吸着装置
20−2 ホルダー部
21 吸着面
22 空間A
23 吸盤
24 プレート
25 空間B
26 メネジ
27 オネジ
28 保持体
29 ナット
30 つまみ
31 取り付け具A
32 取り付け具B
33 穴
34 溝
35 保持体の溝
36 取り付け具Bの鍔
37 ネジ
40 ジャッキ
41 ベース
42 ネジ
43 ノブ
44 受け
45 リング
46 受けの溝
47 ノブの溝
48 V溝
50 アース電線接続部
51 アース線
52 止めネジ
53 筒
54 軸
55 ネジ
56 留め金
57 ボルト
58 ナット
59 止め金
60 孔
70 常設型ジャッキ
71 軟質部材
72 傘状部材
73 ビス
74 駒
75 ジャッキボルト
76 ネジ孔
77 カップリング筒体
78 孔
79 操作ノブ
80 止めネジ
81 アース電線接続部
82 抜け止めネジ
83 穴
84 薄肉パイプ部
85 被服材
86 小径部
L U−W線上とV迄の距離
L1 アース電極チップの中心と吸着装置の中心距離
L2 吸着装置の中心とジャッキ中心距離
R アース電極チップの中心
S 吸着装置の中心
T ジャッキの中心
h 吸着面から電導体までの高さ
U 図13に示すアース電極チップの中心
V 図13に示す吸着装置の中心
W 図13に示すジャッキの中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車や農業機械、建設機械、電化製品等の外装ボディに接触事故等により不測に発生したへこんだ凹部を板金修理時に元の形状(原形)に戻す方向に引っ張り出すため、該凹部にプーラー用電極チップなどの引っ張り具(プーラー)を溶着する電気溶接を行う際のアースとなる溶接用アース電極チップホルダーの取り付けに関する技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
接触事故等により外装部に変形が生じた自動車のボディの修理を大別すると、外装部品を交換する比較的大きな修理と、フェンダーや、ボンネットやドア等の外板の一部に生じたへこんだ凹部を修正する程度の小さな修理のものに分かれている。この小さなへこんだ部分の修正には、へこんだ凹部を元の状態に近いところまで引き出し、その後にパテを塗り、表面の凹凸を元の状態になるまで砥石(ペーパー)で磨いて最後に仕上げ塗装して修理を完了する事例が多い。
【0003】
このへこんだ凹部をできるだけ元の状態に引き出すための手法として、プーラー電極チップを凹部に溶着し、プーラー電極チップを引き出すことにより、凹部を溶着したまま元の状態に近いところまで引き出し、溶接部をはずして凹部をパテ塗りし、塗装を行い修理することとなる。
【0004】
このプーラー電極チップを凹部に溶着するためには、電気溶接機のプラス電極からのプラス電流がプーラー電極チップに流れ、凹部との間で電着させる溶接熱を発生させる必要がある。溶接熱を発生させるために凹部側に流れた溶接電流を電気溶接機のアース電極に通電させる回路の構成が必要である。
【0005】
このため、凹部を溶接機アース電極に通電させるために、凹部近傍の塗装面を剥いだボディーの被溶接面にアース電極チップを押圧接触させ、アース電極チップと電気溶接機のアース電極をアース線で接続することにより、溶接電流がプーラー電極チップと、凹部との間で溶接熱を発生させる電流回路を構成することができる。
【0006】
このような技術背景を解決するため、例えば下記の特許文献に示すような技術手段が採用されている。
【特許文献1】特開2001−353580号公報
【特許文献2】特開2005−324232号公報 なお、特許文献2はプーラー電極を用いて鈑金修正する一手段の参考として例示するものである。
【0007】
近年の傾向として、修理を行う自動車のフェンダー、ボンネット、ドア等の外板は、デザインの観点から、また強度上の観点から微妙な曲線が設けられており、また材質も軽量化のため、鋼鈑より軽量なアルミニューム、または樹脂に移行しつつあり、磁力での磁着が作用しない部材が多くなってきている
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に示す溶接用電極チップホルダーは、自動車修理業界で一般に採用されているタイプのものであり、自動車のフェンダー、ボンネット、ドア等の外板に磁石の磁着機能を活用して装着を果すもので、アース電極の自動車修理部分への脱着が比較的容易に短時間で実施することが出来、好評を博しているものである。
【0009】
しかし、板金修理工場には鉄板をグラインダー仕上げする作業が多く、工場内には多くの鉄粉が飛散している環境のため、溶接用電極チップホルダーの磁石に鉄粉が付着し、鉄粉が付着したまま自動車のボディーに磁石を磁着すると自動車の塗装面を傷つけることがある。また、付着した鉄粉を磁石から取り除くには磁石の磁力を抜き取る必要があり、脱磁装置が必要となり、手で取る程度の大まかな除去での使用を余儀なくされている。特許文献1では溶接用電極チップホルダーの磁石から鉄粉の付着を取り除くため、非磁体材質の被覆層を用いているが磁石の磁着面と磁着するボディー鉄板までの距離が遠のき、磁石の磁着力が低下するため磁石の磁力を強くする必要がある。また被覆層を磁石から取り外し、付着した鉄粉を清掃するのがわずらわしく、被覆層を取り付けても磁力が被覆層を通過して容易に鉄粉が吸着するため塗装面の損傷は解決するに至ってない状況である。
【0010】
また、車体に磁着するための磁石は、磁着面が平面に加工されており、自動車の車体の曲線に合致せず、車体の鉄板と磁石との接触面が小さくなり、距離が離れ磁着力が著しく低下する。このため、磁石を大型化するため、重量が重く、大きくなるなどの欠点を誘発するものであった。また、アース用電極チップを取り付ける磁着部は、平坦にされて且つ磁石が磁着できる磁性材料にされている部分が必要であるが、最近の自動車は、燃費改善などを目的として軽量化が図られており、重量が重い鉄板から重量の軽いアルミ系の材料に移行しつつあり、樹脂化も目立ってきており、これらのアルミ系材料や樹脂材料などの非磁性体材料であると磁石による磁着が出来ない場合があるため、磁石を用いた従来のアース電極チップホルダーでは作業が出来ない状況になりつつある。
【0011】
また、アース電極チップ部に採用されている蝶ナットの端面は、被溶接面との接触が傾きにより接触面積が少なくなるため、蝶ナットは被溶接面に垂直に取り付ける必要があるが、特許文献1に例示される構造のものでは修理部が平坦であれば可能であるが、曲面部では蝶ナットを垂直に調整することが出来ない構造となっている。
【0012】
さらに、本来、電極チップ先端の被溶接面ボディー接触部は大きな溶接電流を通電するため溶損の発生があり、接触面の押圧と通電面積を大きくする必要があるが、特許文献1に例示される構造では磁石の磁着部と電極チップ部とはバネ作用する金属板で連結されており、自動車ボディーが平坦でなく曲面の場合は電極チップ先端が自動車ボディーに垂直な状態に取り付けることができず、傾斜したままの接触が一般的である。溶接時、過大な溶接電流がアース電極チップの接触面を通電するため、接触部が通電電流で溶損することがあり、これを防止する方策としてアース電極チップと被溶接面との接触面圧を強くするが、特許文献1のような金属板と磁着面を被覆層で保護された平面の磁石では磁着力の弱さも原因して溶損を防ぐほどの押圧荷重が得られず溶損防止効果が少ないのが現状である。
【0013】
溶接には過大な電流が必要で、そのため電気溶接機のプラス電線、アース電線は一般に太くて曲り難いものが多い。このため、アース電極チップにアース電線を接続する場合、ボルト、ナットでの接続が一般的であるが、アース線の曲がり、捩れや歪がアース電極チップの磁着部に伝わり、条件が悪い時には磁着部がボディーから外れることもあり、これらの障害を防ぐためには事前に、長いアース電線の曲がり、捩れをほぐしてから磁着させねばならなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題解決に資する溶接回路について、図1で溶接に関する電気溶接機1、プーラー電極チップ2、アース電極チップ10の関係を概略説明する。自動車のボディー6のへこんだ部分(陥没凹部)3を原形に復元する方向に引き出して修理する場合、凹部3にプーラー電極チップ2を溶着し、該プーラー電極チップ2を引き出して修正する(参考文献2を参照方)。プーラー電極チップ2を溶着するため電気溶接機1からのプラス線4をプーラー電極チップ2に接続し、電気溶接機1からのアース線51をアース電線接続部50に接続する。溶接電流は電気溶接機1からプーラー電極チップ2を通り、ボディー6に流れアース電極チップ10から電導体11、アース電線51を通って電気溶接機1に流れる回路が構成され、これらの回路構成を段取りすることにより始めて電気溶接が可能となる。
本発明は、この回路の中のアース用電極チップに係わる部分の発明である。
【0015】
本発明は、前述の課題解決のために、第1に、被溶接物の表面に軟性部材を弾接触して密着される吸着装置と、該吸着装置に一体的に設けたホルダー部に上下旋回自在及び進退摺動自在な状態に固定保持されたアース電極チップ付きの電導体とを備え、該ホルダー部に対する電導体の設定位置を調節して前記アース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させるようにしたことを特徴とし、アース電極チップを被溶接物上に吸着保持する部分(吸着装置)をホルダー部(保持体)に装着されるオネジと一体的に構成された軟質製の樹脂材質形成した円錐形状の吸盤を使用し、被溶接部の材質に関係なく軟質部材を弾接触して吸着できる構造としている。
【0016】
第2に、被溶接物に密着させる吸着装置を吸盤で構成すると共に、該吸盤を被溶接面に強制的に押圧する押圧付与手段を設けて、吸盤の吸引力を強制的に増加させる機能を有したことを特徴とし、吸盤部は、吸盤の吸着面を押さえて、吸盤の上部を強制的に持ち上げるためのプレートが設けられ、オネジにねじ込まれたメネジを締めこむことにより吸盤が持ち上がり、吸盤内面と、被溶接面とで構成される空間Aの体積が大きくなり、負圧が大きくなり吸引力が増加する構造となっている。
【0017】
第3に、基端側に溶接機からのアース線を接続可能とし、先端部にアース電極チップを取り付けた電導体を取り付けるのに、吸着装置に固定保持されたホルダー部をブロック状の保持体に形成し、該保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで電導体を取り付けられる構造を有する構成とし、吸盤部のオネジには、保持体が固着されており保持体には先端をL字状に屈曲された剛性棒状の電導体が、取り付け具A,Bとつまみにより変位自在の位置に取り付けられる構造となっている。
【0018】
第4に、保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで取り付けられる電導体を、断面円形の丸棒状の形状にする。すなわち、先端をL字状に屈曲された剛性棒状の電導体はアース電極チップを最適な状態にセットするため、変異自在に相対位置を変化させる必要がある。このため、断面が円状に構成され、取り付け具A,Bの取り付け孔に挿入され、上下旋回自在、軸回りに回転自在、進退摺動自在に変位し、つまみの締め付けにより所望姿勢にセットして固着できる構造となっている。
【0019】
第5に、上面視で、アース電極チップと、電導体の中心線上に吸着装置を設けるとともに、電導体を直線状に形成したしたことにより、必要に応じて電導体をジャッキで持ち上げる際にも確実にアース電極チップの接触圧を増加させることができる構造となっている。
【0020】
第6に、電導体のアース電線接続部は、電気溶接機からのアース線を周方向に回転自在で、かつ軸方向に接離固定可能に接合できる構造とし、通電電流による接続部の焼損時に容易に交換できる構造としたアース電線接続部を有することにより、電気溶接機のアース線を接続するアース電線接続部は、電導体に取り付けた軸により回動自在な筒が取り付けられ、この筒にねじ込まれた留め金にアース電線をボルト、ナットで固着するようになっている。このアース接続部は電導体に取り付けた例で説明しているが、アース電線の中間、または、電気溶接機のアース電極部に取り付けても同様な効果が発揮できる。
【0021】
第7に、アース電極チップ部のネジ棒のネジに装着された調節可能な接当具のメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、前記接当具を被溶接面の傾きに合わせて均等に接当する構造とし、アース電極チップ部のネジ棒に装着された調節可能な接当具のオネジとメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、接当具のネジ部を接当面側に片寄せて設け、接当面の反対側はオネジと大きな隙間を有した接当具に構成したことで、ネジ棒軸心に対して接当具が角度αだけ傾けることができる構造となっている。
【0022】
第8に、電導体の長さを設定するのに、アース電極チップを被溶接面に加圧接触するためのジャッキが容易に装着できるよう、吸着装置の吸着面から電導体までの高さを確保し、吸着位置からアース電極チップまでの距離とほぼ同等な距離で、吸着位置からジャッキが設置できるよう電導体の長さを確保したことにより、被溶接面部が薄い鉄板とか、アルミニュームのような溶損しやすい場合はアース電極チップと被溶接物との接触面の溶接電流による溶損を防止するため、接触面に押し付け荷重を付して防止するが、押圧を行うジャッキの取り付けのため吸着位置から電導体までの高さが、ジャッキの取り付けが可能な高さを有し、また、吸盤の吸着装置位置からアース電極チップまでの距離にほぼ相当する距離で、吸着装置位置からジャッキが装着できる電導体の長さが確保されている構造となっている。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明によれば、従来使用されている磁石による磁着に比べ、軟質性の樹脂材料で成形された吸盤の負圧吸引力で吸着するため、磁力を持たず鉄粉等の付着がなく清掃が容易であり、吸着面が多少変形した曲面であっても軟質性吸盤が曲面に沿うため吸引力は低下しない。また磁石でなく負圧による吸引のため、表面が平滑な部材であればどのような材質のものにも吸引が可能で、自動車の外装のように滑らかな塗装面の吸引には最適な吸引方法といえる。
また、吸着装置はホルダー部に一体的に設けられており、このホルダー部にアース電極チップ付きの電導体がシーソー状態に上下旋回自在及び前後方向に進退摺動自在な状態に固定保持されるので、該電導体によるアース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させることが確実にできる。
【0024】
請求項2の発明によれば、前記記載の吸盤の負圧力を増加させることができるため、負圧力の増加に比例して吸引力を強くすることができ、軽くて小さく、強力な吸引力を持つアース電極チップホルダーを提供することができる。
【0025】
請求項3の発明によれば、過大な溶接電流が流れるアース電極チップの被溶接面は、接触面積が大きく、接触面圧が高い状態が溶損を防ぐ方法といわれている。このため本発明では、アース用電極チップと一体構成の電導体が保持体に対して変位自在に固着できる構造となっているため、どのような曲面でも、アース電極チップが被溶接面に垂直に取り付けられることとなる。また、請求項7による発明のアース電極チップの接当具のネジの嵌合が大きい隙間を持った融通性のあるガタ付き構造としてあるため、ネジ棒が多少傾いて取り付けられても、ナットの端面は非溶接面に倣って全面接触することができ、適宜な接触姿勢が確保されるため、溶損事故を防ぐことができる。
【0026】
請求項4の発明によれば、前記したアース電極チップを変位自在に固着できるように構成してあるが、これは電導体を保持体に固定保持する取り付け具A,Bの電導体ならびに取り付け具A,Bの取り付け部が断面円形の形状にしてあるため、旋回、回転、摺動が自在になることにより可能となったもので、自動車のボディーがいかなる曲面でもアース電極チップを被溶接面に所望姿勢にセットして垂直に取り付けることができる構造を提供するものである。
【0027】
請求項6の発明によれば、一般に電気溶接機からのプラス電線は溶接するために動かす度合いが多いため軟らかい線で構成されているが、アース線は動かす度合いが少なく電線の太さが太くて硬い。アース電線は都度、個々の作業場所に移動するため、線が捩れ、曲がっており、アース電線接続時はボルト等で固定するよう取り付け孔があいているが、アース線取り付け部が軽い部材の場合、アース線の捩れにより取り付け部材が捩じられて回転する場合がある。アース電極チップの場合における固定力は、磁着力か本考案の吸引力であり強いものではなく磁着部、または吸着部が外れる場合があるが、本考案のように固定した電導体にアース電線を止める止め金が回転自在な構造になっているため、アース電線が捩れていても止め金が回転し、回転力が解除され吸着部を捻る力が伝わらないため、これによる吸着部が外れる事故を防ぐことができる。
【0028】
請求項8の発明によれば、アース電極チップの被溶接面との接触部は大きな溶接電流が流れ、溶損を起こすことがあるため、接触部の面積を大きくし、接触面の押圧を大きくすることが予防策とされている。本発明では、必要に応じて吸盤の吸着部からアース電極チップ部と反対側に電導体を持ち上げるジャッキを設置できるよう、保持体の高さと電導棒の長さのジャッキ取り付けスペースが設けられているため、ジャッキを使用しジャッキ側の電導体を持ち上げることにより、てこの原理で吸着部を介してアース電極チップ部を押し下げることができ、この部分の溶損を防止することができる。このジャッキは、鉄板が厚い材料等溶損が心配されない場合は使用する必要はなく、アタッチメント的にセットして使うものであり、必要のないときにはセットしない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、凹部修理作業の作用説明概略図、図2は本発明の溶接用アース電極チップホルダー実施例全体の平面図、図3は図2の側面図を示す。図3で、吸着部20−1の保持体28に変位自在に取り付けられた導電性金属材質からなる剛性丸棒状の電導体11には、先端をL字状に屈曲された側の先端部にアース電極チップ10を取り付け、他方の基端側にアース電線接続部50を設けている。アース電極チップ10は被溶接面18に接当具12の接当面15を全面が均等に接触するよう電導体11を変位自在に容易に調整できる距離L1が設けてある。必要に応じてジャッキ40を用いることがあるが、該ジャッキ40は、距離L1とほぼ同じ距離L2が取れるよう電導体11の長さが設けてある。また、図2に示すようアース電極チップ10の中心Rと、ジャッキ40の中心Tとを結ぶ線上に吸盤装置20−1の中心Sと電導体11の軸心も同一線上に設置されている。
【0030】
図4はアース電極チップ部10の詳細断面図である。電導体11のL字状に屈曲された先端部にはボルト状のネジ棒13がはめ込み接続され、止めメネジ14で固着されている。ネジ棒13には、ナット状の接当具12がメネジ16で接合されており、ネジの嵌合は通常の隙間より大きくとって、融通性のあるガタ付き構成にしてある。接当具12の接当面15側にメネジを設け、反対側にはネジ棒13とは大きな隙間17が設けられている。また、ねじ棒13は、止めねじ14を緩めることにより、電導体11から脱着が出来る構造であり、ねじ棒13が磨耗、損傷した場合に容易に交換できる構造となっている。
【0031】
図5は、ネジ棒13が被溶接面18に垂直に取り付かない場合の図である。
ネジ棒13が被溶接面に垂直に取り付かないと、ネジ棒13と接当具12とのネジ嵌合の隙間がない場合は接当具12の接当面15はネジ棒13に沿って被溶接面に接当するため片当たりとなるが、ネジの嵌合にガタ付き構成の隙間があるため接当具12はネジ棒13の軸心とはずれて接当面15が被溶接面18に沿うように傾き、接当面15が被溶接面18に沿って全面接触することとなる。
【0032】
図6は、図3の断面A−Aの吸着装置20−1及びホルダー部20−2の詳細図である。吸盤23は変形自在になるよう柔軟で電気を通さない軟質製の樹脂材質で円錐状に成形され、ボルト形状のオネジ27と一体的に成形してある。オネジ27にはナット状のメネジ26がねじ込まれて、吸盤23とメネジ27との間に金属製からなる傘状の剛体のプレート24が設けてある。吸盤23と吸着面21とは空間部A22が、またプレート24と吸盤23との間には、空間部B25が設けられている。また、吸盤23の外径は、プレート24の外径より少し大きく設定されている。
【0033】
オネジ27にネジで嵌合されたメネジ26を回転させて吸着面21側に下げると、プレート24が吸盤23の外周部に接当し下降が止まり、次に吸盤23の上側を持ち上げることとなる。吸盤23が持ち上がると、空間部A22を広げるように変形することとなる。空間部A22の体積が広がると空間部A22の内部の圧力は低下し、負圧が大きくなり外気との圧力差に比例して吸引力が増加することなり、強力な吸引力を得て、吸着面21に吸盤23が強固に吸着することとなる。
【0034】
このように吸着力を外気との圧力差により発生する負圧を利用しているため、吸着面21の材質に関係なく、吸盤23と吸着面21との機密性が確保されれば、どのようなものにでも吸着することが出来る。
【0035】
吸着部に電流が流れると自動車の塗装面が焼けて損傷する不具合が発生する場合があるが、本考案の場合、吸盤23は前記したように柔軟で電気を通さない軟質樹脂材質で成形されているため、溶接時の電流は、吸着面21に流れることがないため吸着面の塗装面損傷は皆無である。
【0036】
オネジ27の上部には硬質の樹脂材質で形成された四角形状のホルダー部20−2となる保持体28がねじで嵌合され、ナット29で固着されている。保持体28には丸軸形態の取り付け具A31、丸筒形態の取り付け具B32が設けられ丸棒状の電導体11が取り付け具A31、取り付け具B32、保持体28のそれぞれに穿設された孔を貫通して取り付けられ、電導体11は回転自在に、摺動自在に装着されている。取り付け具A31にはネジ37がつまみ30とネジで嵌合され、つまみ30を閉めこむと各部材に穿設された孔のガタがなくなり電導体11が締め付け固着され、緩めると各部材に穿設された孔のガタにより電導体11は自在に変位することができる。
【0037】
図7は、図6の断面B−Bの詳細図である。電導体11が取り付け具A31、取り付け具B32、保持体28のそれぞれに穿設された孔を貫通して取り付けられているが、それぞれの孔は、電導体11が自由に回転、摺動できる隙間を有している。取り付け具B32には鍔36が保持体28の溝35にはまっている、つまみ30をねじ込むと、取り付け具A31がつまみ側に移動し、電導体11を介して取り付け具B32がつまみ30側に移動するが取り付け具B32は鍔36が保持体28の溝部35で止まり移動ができなくなる。さらにつまみ30をねじ込むと、取り付け具A31は電導体11をつまみ30側に移動させるが取り付け具B32が移動しないため、取り付け具B32の孔に貫通した電導体11も移動ができなくなり、電導体11を保持体28に固着することとなる。電導体11は断面が円状に成形されており、取り付け具A,Bの取り付け孔に挿入され、シーソー状に上下旋回自在、軸回りに回転自在、前後方向に進退摺動自在に変位し、つまみ30の締め付けにより所望姿勢にセットして固着できる構造となっている。
【0038】
図8は、ジャッキ40の詳細断面図である。塗装面を傷つけないようやや軟質の樹脂材質で成形されたベース41の中央に、ネジ42が設けられノブ43がネジ嵌合されている。受け44はノブ43にリング45で回転自在で分離できないよう接合されている。また受け44の先端部は電導棒11の丸軸部を保持するようV溝48が設けられている。
これらの構成により図1、図2、図3に示すように、電導棒11の丸軸部下部にV溝48が位置するようにジャッキ40をセットし、ノブ43を人為的に回すことによりジャッキ40のV溝48が電導棒11を押し上げることができてアース電極チップの接触圧を増大することができる。
【0039】
図9は、アース電線接続部50を拡大した断面図である。電導体11の基部にパイプ筒11Aが溶着されており、パイプ筒11Aには外周にパイプ状の筒53を固定した軸54の先端が回転自在に挿入されて、軸54の先端の小径段部に位置されるねじ52で抜け止めされている。軸54の後端は大径とされて筒53の後方への抜けを阻止している。そしてこの筒53にネジ55が設けられ、留め金56がネジ55で筒53に固着されている。留め金56には孔60があり、この孔60を利用して溶接機から来ているアース電線51がボルト57、ナット58で固着されている。
【0040】
このアース線51には多大な電流が流れるため太い線が使われており、作業場所ごとに持ち運ばれて、アース線51の捩れが強く残る場合がある。このため、電導体11に捩れ力が伝わらないよう筒53が捩れ力がなくなるまで回転して、捩れ力を電導体側に伝えない。しかし、過大な電流の通電で焼損が起こり、損傷が進行して回転できなくなることがあり、損傷時、交換できるよう止めねじ52で分解・部品交換ができる構造となっている。
【0041】
図10は本発明の応用変形例を示すもので、アース線の中間部に取り付けるアース線の接続の実施例を示す。アース線接続時のアース線の捩れの問題は、アース電極チップのみの問題でなく一般のアース接続でも解決が必要とされている。このため電導体11に接続するのではなく、電気溶接機からアース接続部までの中間にアース電線の捩れを解消する機構が必要な場合があり、図10は本発明から派生したアース線の中間部に設置する装置を提案している。この図10の構成を採用すると図2、3等に示す電極チップホルダーの重量が軽くなって自動車ボディーへの負担が軽減される副次的な利点も生じる。
【0042】
図15は、前記ジャッキ40とアース電線接続部50とを連接させたタイプの変形例を示す常設型ジャッキ部の詳細断面図である。電導体11の後端にパイプ状のカップリング筒体77前部を差し込み止めネジ80で固定する。そして該カップリング筒体77の後部にアース電線接続部81からの支持軸を軸回りに回転可能状態に差し込み、該支持軸先端の小径部86に抜け止めネジ82 を位置させてカップリング筒体77に固定する。アース電線接続部81の他
端部は、アース線51を挿入できる穴83を有する薄肉円筒部84が設けられ、アース線51は薄肉パイプ部84でかしめ固着されており、これによりアース電線51は軸回りに回転自在に支持される。さらに、カップリング筒体77の中間に上下方向に貫通するネジ孔76を加工し、該ネジ孔76にジャッキボルト75をねじ込み螺装し、該ジャッキボルト75の下部に金属性の傘状部材72の裾周面に軟性部材71を設けたスタンド部材を駒74、ビス73で遊転可能に取り付け、ジャッキボルト75の上部に円盤状の操作ノブ79を固設する。
この構成にすることにより、図16に示す通り常設型ジャッキ70が電導体11に常設される状態となりジャッキを必要に応じてすぐに使える利便性が増すこととなり、併せてアース電線接続部の構成もコンパクトになった。
【実施例】
【0043】
以下、本考案の実施形態による実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図11で、本考案に係る溶接用アース電極チップホルダーの実施例を示す。
自動車のボディーの鈑金修理の実施例を示す。図1で示すようへこんだ部分(凹部)3をできるだけ元の状態に引き出すため、プーラー電極チップ2を凹部3に溶着し、凹部3を引っ張り出す作業を行うが、プ―ラー電源チップ2を溶着するために別にアース電極を設置しなければならないことは前述した通りである。
【0044】
自動車のボディーは鉄板が主流であるが、最近は軽量化のため、アルミニューム、または樹脂の使用が増加している。実施例に示すボディーは、鉄板のボディー6と非磁体材質ボディー7の複合ボディーで説明する。
【0045】
図1に示す修正部分の凹部3と距離が近い通電可能なボディー部6の被溶接面19の塗装を剥いでアース電極チップ10のネジ棒13を接当させ、かつ、重要な作業管理点である被溶接面にネジ棒13が垂直になるよう距離L1離れた所に吸着装置20−1を吸着させる。
【0046】
特許文献1に示す従来例では、磁石による磁着のため、磁着する面の材質が磁石で磁着する材質のみにしか適用できない欠点があったが、本考案では吸着面の表面が吸盤の円錐状裾部分である耳部が全周面に渡って接当できる程度の平坦で、滑らかな面であれば、吸着面の材質には関係なく吸着が可能で、軽量化する最近の自動車に最適な溶接用アース電極チップホルダーを提供することが出来る。
【0047】
図6で、吸着装置20−1のメネジ26を緩めプレート24が遊ぶ状態にして吸着面に押し付けると、吸盤23が変形し空間A22が押し潰されるが、吸盤23の復元力により空間A22は体積を広げようとして負圧となり、吸着面21に吸着する。手で押し付けた程度では吸盤23の吸引力は小さいためメネジ26をネジで押し下げると、吸盤23の上部が持ち上がり空間A22は体積が大きくなり、負圧が増加され吸盤23による吸引力は強力となる。
【0048】
強固に吸着された吸引装置20−1の上方に設けられたホルダー部20−2で、図7に示す保持体28、取り付け具A31、取り付け具B32に貫通された電導体11をつまみ30で締めこむと、取り付け具A31がつまみ30側に引き付けられて、電導体11が保持体28に固着される。
【0049】
再度、固着された電導体11の先端のネジ棒13が非溶接面に垂直になっているか確認し、修正を有する場合はつまみ30を緩め、電導体11のネジ棒13が垂直になるよう電導体11を回転または摺動させて調整を行いつまみ30で固着させる。
【0050】
電導体11先端の接当具12をねじ込み、接当面15を被溶接面19に接当させる。吸着装置20−1とアース電極チップ10までの距離L1とほぼ同等の距離L2の部分にジャッキ40を設置し、図8に示す受け44の先端部のV溝48を電導体11に当てて、ノブ43を回して受け44を持ち上げ、吸着装置20−1を支点にした梃子の原理でアース電極チップ部10のネジ棒13、接当具12の接当面15を被溶接面19に強く押し当てることができ、溶接の大電流による溶損を防止することができる。
【0051】
ジャッキ40による接当面の押し付け力の強化は、図2に示すように垂直に作用するジャッキ40の持ち上げ力の作用点T部とアース電極チップ10の押し付け面の作用点Rとを結ぶ一直線上に梃子の支点となる吸盤装置20−1の中心Sが配置されているため、また、電導体11の中心がR,S,Tの線上あるため効率よく持ち上げ荷重を押し付け荷重に確実に変換し、伝えることができる。
【0052】
図16の常設型ジャッキ70の場合には、ジャッキボルト75が電導体11の後部に固定されたカップリング筒体77に上下に螺装して安定位置に常設されているので、ジャッキ40をいちいちセットする手間が省略され、ジャッキボルト75の回転操作も電導体11の軸芯に合わせた位置で安定した姿勢にして操作ノブ79で迅速に行える利点がある。ジャッキを使用しない場合にはジャッキボルト75を上昇させて傘状部材72を上方へ退避しておけば良い。ジャッキを紛失したりすることもなく作業の都度ごとに探す手間も省略されて作業効率性の向上に寄与できる。
【0053】
図12、図13、図14は、本発明に至る開発過程の構造を説明するもので、アース電極チップ10、吸盤装置20−1、ジャッキ40の取り付け事例を示す図である。図12は上面視の図であるが、アース電極チップ10の中心Uとジャッキ40の押し上げ中心Wとの線上に対して、吸着装置20−1の吸引部中心VはLだけずれている。
【0054】
金属製で厚い外装部材の時にはジャッキ40を用いる事例は少ないのでこの構造のものでも一応の作業性は発揮し得るものの、前述したとおり近年自動車の軽量化のため、薄い鉄板の採用やアルミ素材の非電導性素材製の外装部材になるとジャッキ40が必要となる場合が多く、このようなジャッキが必要となる作業の際には、前記のように3点にずれがある状態で、ジャッキ40で電導体11を押し上げると吸引装置20−1の吸引部中心Vと距離Lだけ離れているため、押し上げ力は電導体11に作用し吸引装置20−1を傾けるモーメントとして作用する。このため図14に示すよう吸盤が片側に持ち上げられ、弱い力で外れてしまいジャッキ40の力を有効にアース電極チップ部に伝えることができない事例が発生し、これらの課題を更に解決するために本発明を創案することに至った。
【0055】
吸着装置20−1、ジャッキ40共にボディーの接当面である吸盤23は軟質の樹脂材質で、ジャッキ40のベース41はやや硬い樹脂で製作されており、修理工場内の鉄粉の付着も少なく、また付着しても鉄粉よりやわらかい材質で製作されており、付着時は吸盤23、ベース41側が変形し、ボディーを損傷することがない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、主用途としては幅広く自動車の板金修理に使用されるが、自動車以外に農業機械、建設機械はもとより、シャッターの修理、エアコンなどの電化製品の外装カバー等幅広い用途が開けるものであり、本発明の用途は自動車修理用に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】凹部修理作業の作用を説明する概略図である。
【図2】図3の上面視(平面図)である。
【図3】アース電極装置の側面図である。
【図4】アース電極チップの詳細断面図である。
【図5】アース電極チップの傾斜時の説明図である。
【図6】吸着装置の詳細断面図である。
【図7】図6の保持体部分の詳細断面図である。
【図8】ジャッキ部の詳細断面図である。
【図9】アース電線接続部の詳細断面図である。
【図10】アース電線接続部の他の実施例の図である。
【図11】アース電極チップの実際の取り付けを説明する図である。
【図12】本発明開発過程を説明する構造の上面視(平面図)である。
【図13】図12の側面図である。
【図14】図12の正面図である。
【図15】ジャッキとアース電線接続部とを連接させたタイプの変形例を示す常設ジャッキ部の詳細断面図である。
【図16】図15の常設型ジャッキを装着した装備図である。
【符号の説明】
【0058】
1 電気溶接機
2 プーラー電極チップ
3 凹部
4 プラス電極
5 アース電極
6 鉄板ボディー
7 非磁体材質ボディー
8 プラス線
10 アース電極チップ
11 電動体
12 接当具
13 ネジ棒
14 止めネジ
15 接当面
16 メネジ
17 隙間
18 被溶接面
20−1 吸着装置
20−2 ホルダー部
21 吸着面
22 空間A
23 吸盤
24 プレート
25 空間B
26 メネジ
27 オネジ
28 保持体
29 ナット
30 つまみ
31 取り付け具A
32 取り付け具B
33 穴
34 溝
35 保持体の溝
36 取り付け具Bの鍔
37 ネジ
40 ジャッキ
41 ベース
42 ネジ
43 ノブ
44 受け
45 リング
46 受けの溝
47 ノブの溝
48 V溝
50 アース電線接続部
51 アース線
52 止めネジ
53 筒
54 軸
55 ネジ
56 留め金
57 ボルト
58 ナット
59 止め金
60 孔
70 常設型ジャッキ
71 軟質部材
72 傘状部材
73 ビス
74 駒
75 ジャッキボルト
76 ネジ孔
77 カップリング筒体
78 孔
79 操作ノブ
80 止めネジ
81 アース電線接続部
82 抜け止めネジ
83 穴
84 薄肉パイプ部
85 被服材
86 小径部
L U−W線上とV迄の距離
L1 アース電極チップの中心と吸着装置の中心距離
L2 吸着装置の中心とジャッキ中心距離
R アース電極チップの中心
S 吸着装置の中心
T ジャッキの中心
h 吸着面から電導体までの高さ
U 図13に示すアース電極チップの中心
V 図13に示す吸着装置の中心
W 図13に示すジャッキの中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被溶接物の表面に軟性部材を弾接触して密着される吸着装置と、該吸着装置に一体的に設けたホルダー部に上下旋回自在及び進退摺動自在な状態に固定保持されたアース電極チップ付きの電導体とを備え、該ホルダー部に対する電導体の設定位置を調節して前記アース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させるようにしたことを特徴とする溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項2】
被溶接物に密着させる吸着装置を吸盤で構成すると共に、該吸盤を被溶接面に強制的に押圧する押圧付与手段を設けて、吸盤の吸引力を強制的に増加させる機能を有したことを特徴とする請求項1記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項3】
基端側に溶接機からのアース線を接続可能とし、先端部にアース電極チップを取り付けた電導体を取り付けるのに、吸着装置に固定保持されたホルダー部をブロック状の保持体に形成し、該保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで電導体を取り付けられる構造を有する請求項1,2記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項4】
保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで取り付けられる電導体を、断面円形の丸棒状の形状にした請求項1,2,3記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項5】
上面視で、アース電極チップと、電導体の中心線上に吸着装置を設けるとともに、電導体を直線状に形成した請求項1,2,3、4記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項6】
電導体のアース電線接続部は、電気溶接機からのアース線を周方向に回転自在で、かつ軸方向に接離固定可能に接合できる構造とし、通電電流による接続部の焼損時に容易に交換できる構造としたアース電線接続部を有する請求項1,2,3,4,5記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項7】
アース電極チップ部のネジ棒のネジに装着された調節可能な接当具のメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、前記接当具を被溶接面の傾きに合わせて均等に接当する構造とした請求項1,2,3,4,5,6記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項8】
電導体の長さを設定するのに、アース電極チップを被溶接面に加圧接触するためのジャッキが容易に装着できるよう、吸着装置の吸着面から電導体までの高さを確保し、吸着位置からアース電極チップまでの距離とほぼ同等な距離で、吸着位置からジャッキが設置できるよう電導体の長さを確保した請求項1,2,3,4,5,6、7記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項1】
被溶接物の表面に軟性部材を弾接触して密着される吸着装置と、該吸着装置に一体的に設けたホルダー部に上下旋回自在及び進退摺動自在な状態に固定保持されたアース電極チップ付きの電導体とを備え、該ホルダー部に対する電導体の設定位置を調節して前記アース電極チップの先端側を被溶接物の表面に押圧接触させるようにしたことを特徴とする溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項2】
被溶接物に密着させる吸着装置を吸盤で構成すると共に、該吸盤を被溶接面に強制的に押圧する押圧付与手段を設けて、吸盤の吸引力を強制的に増加させる機能を有したことを特徴とする請求項1記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項3】
基端側に溶接機からのアース線を接続可能とし、先端部にアース電極チップを取り付けた電導体を取り付けるのに、吸着装置に固定保持されたホルダー部をブロック状の保持体に形成し、該保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで電導体を取り付けられる構造を有する請求項1,2記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項4】
保持体に変位自在に固着する取り付け具A,Bで取り付けられる電導体を、断面円形の丸棒状の形状にした請求項1,2,3記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項5】
上面視で、アース電極チップと、電導体の中心線上に吸着装置を設けるとともに、電導体を直線状に形成した請求項1,2,3、4記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項6】
電導体のアース電線接続部は、電気溶接機からのアース線を周方向に回転自在で、かつ軸方向に接離固定可能に接合できる構造とし、通電電流による接続部の焼損時に容易に交換できる構造としたアース電線接続部を有する請求項1,2,3,4,5記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項7】
アース電極チップ部のネジ棒のネジに装着された調節可能な接当具のメネジとの嵌合を、融通を有するガタ付き構成とし、前記接当具を被溶接面の傾きに合わせて均等に接当する構造とした請求項1,2,3,4,5,6記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【請求項8】
電導体の長さを設定するのに、アース電極チップを被溶接面に加圧接触するためのジャッキが容易に装着できるよう、吸着装置の吸着面から電導体までの高さを確保し、吸着位置からアース電極チップまでの距離とほぼ同等な距離で、吸着位置からジャッキが設置できるよう電導体の長さを確保した請求項1,2,3,4,5,6、7記載の溶接用アース電極チップホルダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
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【図6】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2009−45648(P2009−45648A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213306(P2007−213306)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(391060867)有限会社福庭鉄工所 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(391060867)有限会社福庭鉄工所 (3)
【Fターム(参考)】
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