説明

溶着ブラシ

【課題】 樹脂のブラシ毛を使用して軽量化されたブラシであって、ブラシ毛が抜けにくく、しかもブラシ毛の量が十分多い溶着ブラシを提供する。
【解決手段】 複数本の樹脂のブラシ毛11が樹脂の基台12の面12aから外部に突出して前記樹脂の基台12に溶着された状態で一体成形されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂のブラシ毛を使用したブラシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
樹脂のブラシ毛を使用したブラシとしては、金属帯の長尺チャンネルの上に交差してブラシ毛を配置し、その上から波形に蛇行した芯線をあてがうとともに、芯線を長尺チャンネルの内部に押し込んでブラシ毛を2つ折りし、前記長尺チャンネルの開放する左右の端縁を挟圧することによりブラシ毛を波形に挟着し、ブラシ毛の折曲部を長尺チャンネルに植え込むようにしたチャンネルブラシが知られている。(特許文献1参照)
【0003】
また、洗浄もしくは研磨に使用するブラシ において、極細繊維を束ねて得られた繊維束ね体をブラシ 本体に植毛して構成した植込みブラシが知られている。(特許文献2参照)
【特許文献1】特開2003−275026
【特許文献2】特開2001−224433
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
チャンネルブラシの場合、金属を使用しているためブラシもシャフトも重量がある。また、植込みブラシの場合、合成樹脂や木などに植込むためチャンネルブラシと違い重量はない。しかしブラシ毛の量としては、チャンネルブラシの方が、植込みブラシの2倍以上多い。また、チャンネルブラシも植込みブラシもブラシ毛が抜ける場合がある。このように樹脂のブラシ毛を使用して軽量化されたブラシは、ブラシ毛の量が十分でなく、また、ブラシ毛が抜けるためブラシの改善が望まれていた。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するもので、樹脂のブラシ毛を使用して軽量化されたブラシであって、ブラシ毛が抜けにくく、しかもブラシ毛の量が十分多い溶着ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために請求項1記載の発明は、複数本の樹脂のブラシ毛が樹脂の基台の面から外部に突出して前記樹脂の基台に溶着された状態で成形されていることを特徴とする溶着ブラシである。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、前記樹脂の基台は長尺であり、前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の一面から突出して長手方向に連続した状態で成形されている請求項1に記載の溶着ブラシである。
【0008】
また、請求項3記載の発明は前記長尺な樹脂の基台が長手方向に同軸に棒状の軸を有しており、前記樹脂のブラシ毛が前記樹脂の基台の外部に放射状に突出して固定されている請求項2に記載の溶着ブラシである。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、前記長尺な樹脂の基台が長尺部材に巻き付けられて溶着により固定されている請求項2または3に記載の溶着ブラシである。
【0010】
また、請求項5記載の発明は、前記樹脂の基台は厚みのある環状または円盤状であり、前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の周面から突出して前記樹脂の基台に溶着された状態で成形されている請求項1に記載の溶着ブラシである。
【0011】
また、請求項6記載の発明は、前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の一面から突出していると共に、前記一面とは別の面からシャフトが外部に突出して成形されている請求項1に記載の溶着ブラシである。
【0012】
また、請求項7記載の発明は、前記シャフトが成形されている樹脂の基台は厚みのある円盤状であり、前記長尺な樹脂の基台が前記円盤の縁に沿って溶着により固定されて前記樹脂のブラシ毛が前記樹脂の基台のシャフトが成形されている一面の裏面に環状に立設されている請求項3に記載の溶着ブラシである。
【0013】
また、請求項8記載の発明は、前記シャフトが成形されている樹脂の基台は、円柱型、角柱型、またはカップ型である請求項3に記載の溶着ブラシである。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、樹脂のブラシ毛を使用して軽量化されたブラシであって、ブラシ毛が抜けにくく、しかもブラシ毛の量も十分多くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、実施の形態を示す図面に基づいて本発明を詳細に説明する。また、図に示す同符号は同じものを示している。下記の実施例1〜11に示す溶着ブラシ10〜110は、射出成形法により樹脂が一体成形されて形成されたものである。
【実施例1】
【0016】
図1は本発明の溶着ブラシの実施例1の概略図である。溶着ブラシ10は、複数本の樹脂のブラシ毛11が樹脂の基台12の一面12aから略垂直に外部に略一定長さ突出して樹脂の基台12に溶着された状態で一体成形されている。この樹脂の基台12は長尺であり、樹脂のブラシ毛11は樹脂の基台の一面(図1では上面)12aから突出して長手方向に連続した状態で成形されている。
【実施例2】
【0017】
図2は本発明の溶着ブラシの実施例2の概略図である。実施例2の溶着ブラシ20は、長尺な円柱状の樹脂の基台22を有している。長尺な樹脂の基台22には、基台22よりも径が細く基台22の長手方向の両端に所定長さ突出して同軸に棒状の軸21が成形されている。樹脂の基台22には、実施例1の溶着ブラシ10が巻き付けられて溶着により樹脂の基台22に固定されている。樹脂のブラシ毛11は樹脂の基台22の外部に放射状に突出して固定されている。この場合、長尺な樹脂の基台22が棒状の軸21を兼ねていて、両者が同一のものであっても良い。
【実施例3】
【0018】
図3は本発明の溶着ブラシの実施例3の概略図である。実施例3の溶着ブラシ30は、
厚みのある環状の樹脂の基台31を有している。環状の樹脂の基台31の周面には、多数の樹脂のブラシ毛33が樹脂の基台31の周面から外部に略一定長さ突出して樹脂の基台31に溶着された状態で一体成形されている。樹脂の基台31の中央には、孔32が設けられ、加工用工具等の回転シャフトに取付けられるようになっている。また、この樹脂のブラシ毛33は磨耗してもすぐに短くならないようにウェーブがかかった波状に形成されている。前記の環状の樹脂の基台31は、孔32が不要な場合もあり、その場合には樹脂の基台31は円盤状であっても良い。
【実施例4】
【0019】
図4は本発明の溶着ブラシの実施例4の概略図である。実施例4の溶着ブラシ40は、長尺な樹脂の基台42を有している。長尺な樹脂の基台42には、基台42よりも径が細く基台42の長手方向の一端から所定長さ突出して同軸に棒状の軸41が成形されている。樹脂の基台42には、実施例3の環状の溶着ブラシ30が複数個連続して樹脂の基台42の一端部まで嵌め込まれ、樹脂の基台42の他端部に成形された軸41が所定長さ突出した状態で、長尺な樹脂の基台42に複数個の溶着ブラシ30が溶着されている。この場合、樹脂の基台42が実施例3の環状の樹脂の基台31を兼ねていても良く、その場合には多数の樹脂のブラシ毛33が樹脂の基台42の周面から外部に略一定長さ突出して樹脂の基台42に溶着された状態で一体成形されていても良い。なお、樹脂の基台42の他端部に成形された軸41は、溶着ブラシ40のシャフトとして機能する。
【実施例5】
【0020】
図5は本発明の溶着ブラシの実施例5の概略図である。実施例5の溶着ブラシ50は、四角柱状の樹脂の基台51の一面51aから多数の樹脂のブラシ毛52を突出させた状態で一体成形されている。そして、射出成形の際に、樹脂の基台51には、多数の樹脂のブラシ毛52を突出させた一面51aとは別の面(図では裏面)51bの中央から外部に突出するシャフト53が成形されている。
【実施例6】
【0021】
図6は本発明の溶着ブラシの実施例6の概略図である。実施例6の溶着ブラシ60は、三角柱状の樹脂の基台61の一面61aから多数の樹脂のブラシ毛62を突出させた状態で一体成形されている。そして、射出成形の際に、樹脂の基台61には、多数の樹脂のブラシ毛62を突出させた一面61aとは別の面(図では裏面)61bの中央から外部に突出するシャフト63が成形されている。
【実施例7】
【0022】
図7は本発明の溶着ブラシの実施例7の概略図である。実施例7の溶着ブラシ70は、円柱状の樹脂の基台71の一面71aから多数の樹脂のブラシ毛72を突出させた状態で一体成形されている。そして、射出成形の際に、樹脂の基台71には、多数の樹脂のブラシ毛72を突出させた一面71aとは別の面(図では裏面)71bの中央から外部に突出するシャフト73が成形されている。
【実施例8】
【0023】
図8は本発明の溶着ブラシの実施例8の概略図である。実施例8の溶着ブラシ80は、
厚みのある円盤状の樹脂の基台81を有している。樹脂の基台81の一面81aの中央には、シャフト83が外部に突出して成形されている。樹脂の基台81の一面81aの裏面81bには、円盤の縁に沿って実施例1の溶着ブラシ10が溶着により樹脂の基台81に固定されて、樹脂のブラシ毛11が樹脂の基台81の面81bに環状に立設されている。
【実施例9】
【0024】
図9は本発明の溶着ブラシの実施例9の概略図である。実施例9の溶着ブラシ90は、実施例3の溶着ブラシ30の円盤状の樹脂の基台31を成形する際に、樹脂の基台31の一面31aの中央から外部に突出するシャフト93が成形されたものである。
【実施例10】
【0025】
図10は本発明の溶着ブラシの実施例10の概略図である。実施例10の溶着ブラシ100は、外観が先の細いカップ状をした丸柱状の樹脂の基台101の一面101aから多数の樹脂のブラシ毛102を突出させた状態で一体成形されている。そして、射出成形の際に、樹脂の基台101には、多数の樹脂のブラシ毛102を突出させた一面101aとは別の面(図では裏面)101bの中央から外部に突出するシャフト103が成形されている。
【実施例11】
【0026】
図11は本発明の溶着ブラシの実施例11の概略図である。実施例11の溶着ブラシ110は、外観が先の広いカップ状をした丸柱状の樹脂の基台111の一面111aから多数の樹脂のブラシ毛112を突出させた状態で一体成形されている。そして、射出成形の際に、樹脂の基台111には、多数の樹脂のブラシ毛112を突出させた一面111aとは別の面(図では裏面)111bの中央から外部に突出するシャフト113が成形されている。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、クレームに記載の構成を変更しない限りどのようにでも実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の溶着ブラシの実施例1の概略図である。
【図2】本発明の溶着ブラシの実施例2の概略図である。
【図3】本発明の溶着ブラシの実施例3の概略図である。
【図4】本発明の溶着ブラシの実施例4の概略図である。
【図5】本発明の溶着ブラシの実施例5の概略図である。
【図6】本発明の溶着ブラシの実施例6の概略図である。
【図7】本発明の溶着ブラシの実施例7の概略図である。
【図8】本発明の溶着ブラシの実施例8の概略図である。
【図9】本発明の溶着ブラシの実施例9の概略図である。
【図10】本発明の溶着ブラシの実施例10の概略図である。
【図11】本発明の溶着ブラシの実施例11の概略図である。
【符号の説明】
【0029】
10,20,30,40,50,60,70,80,90,100,110 溶着ブラシ
11,33,52,62,72,102,112 ブラシ毛
12,22,31,42,51,61,71,81,101,111 樹脂の基台
12a,31a,51a,61a,71a,81a,101a,111a 一面
51b,61b,71b,81b101b,111b 別の面
21,41 軸
32 孔
53,63,73,83,93,103,113 シャフト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の樹脂のブラシ毛が樹脂の基台の面から外部に突出して前記樹脂の基台に溶着された状態で成形されていることを特徴とする溶着ブラシ。
【請求項2】
前記樹脂の基台は長尺であり、前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の一面から突出して長手方向に連続した状態で成形されている請求項1に記載の溶着ブラシ。
【請求項3】
前記長尺な樹脂の基台が長手方向に同軸に棒状の軸を有しており、前記樹脂のブラシ毛が前記樹脂の基台の外部に放射状に突出して固定されている請求項2に記載の溶着ブラシ。
【請求項4】
前記長尺な樹脂の基台が長尺部材に巻き付けられて溶着により固定されている請求項2または3に記載の溶着ブラシ。
【請求項5】
前記樹脂の基台は厚みのある環状または円盤状であり、前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の周面から突出して前記樹脂の基台に溶着された状態で成形されている請求項1に記載の溶着ブラシ。
【請求項6】
前記樹脂のブラシ毛は前記樹脂の基台の一面から突出していると共に、前記一面とは別の面からシャフトが外部に突出して成形されている請求項1に記載の溶着ブラシ。
【請求項7】
前記シャフトが成形されている樹脂の基台は厚みのある円盤状であり、前記長尺な樹脂の基台が前記円盤の縁に沿って溶着により固定されて前記樹脂のブラシ毛が前記樹脂の基台のシャフトが成形されている一面の裏面に環状に立設されている請求項3に記載の溶着ブラシ。
【請求項8】
前記シャフトが成形されている樹脂の基台は、円柱型、角柱型、またはカップ型である請求項3に記載の溶着ブラシ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−68282(P2006−68282A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−255302(P2004−255302)
【出願日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(398029234)
【出願人】(300038675)
【Fターム(参考)】