説明

滑り止め踏面部材及び滑り止め踏面部材を形成する方法、並びに滑り止め踏面部材を有するソール

【課題】スタッド、滑り止め器具、或いはその他の補助的な滑り止め部材を装着することなく、その機能を十分に発揮可能な滑り止め踏面部材を提供する。
【解決手段】滑り止め踏面部材を形成する方法、及び同方法によって得られる滑り止め踏面部材であって、上記踏面部材は、ゴム素材或いはプラスチック素材からなる接地面(25,125)から露出した織物或いは不織布からなる複数のインサート(26,126)を有し、織物或いは不織布からなる上記インサート(26,126)は、上記接地面(25,125)と実質的に連続的な面を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は履物用の滑り止め踏面部材に関し、また上記滑り止め踏面部材を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
既に知られているように、雨、泥、雪及び氷などによって滑りやすくなった地面の上で歩く、走る或いは作業をしなければならないような場合、もしくはそういった地面から塗装されて堅い乾燥した地面へ移動した後、非常に滑りやすい地面に戻らなければならないような場合が多々ある。こうした地面の状態は、運動競技者、登山家、旅行者、或いはこういった条件の下で日々作業を行わなければならない人々の足に影響を及ぼしかねないものである。
【0003】
現在、トッレキングや歩行、そして安全のために、滑り止め踏面部材を有するソールが設けられた様々なタイプの靴が知られている。
ソールに踏面部材が直接形成された靴が知られている一方で、耐摩耗性のない素材で形成されたソールの下方部分に装着され、耐摩耗性を有すると共に走行時や歩行時に加わる力によって生じるストレスに対して耐性を有する、ソールとは別の素材で形成された踏面部材を備える靴も存在する。
【0004】
滑り止めの安全機能を有した靴は、ほとんどの場合、単純に特定の方法で溝が形成された踏面部材を有するソールが設けられるのが一般的であるのに対し、トレッキングブーツの場合にはソールに滑り止め器具を固定することができるようになっている。また、凍結面を歩くか否かに応じてソールから出し入れすることができる滑り止め器具を備えた一般的なブーツ及びロッククライミング用ブーツも知られている。
【0005】
更に、様々なタイプの靴においてゴム素材或いはプラスチック素材からなる様々な踏面部材に適用可能な滑り止めスタッドも知られている。このスタッドは踏面部材に螺合することにより装着され、取付座から容易に取り外し可能であって、その後に再び装着することができるようになっている。
上述した靴のソールと同様に、タイヤの踏面部材においても、溝が設けられると共に温度調整がなされているにもかかわらず、チェーンやスタッドを用いた場合にのみ滑りやすい地面に良好に対応することができる。
【0006】
また最近では、滑り止め織物で形成されて車輪を包み込むスノーソックスがスノーチェーンに代わるものとして知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
出し入れ可能な滑り止め器具の場合、この滑り止め器具はソールの限られた1又は2カ所の領域で作用するものであるため、そのような2カ所の領域、即ち一般的には爪先及び踵の少なくとも一方が地面に押しつけられたときにのみグリップを確保できる。しかも、滑り止め器具を出し入れするためには、歩行を中断し、履いている靴に対して作業を行うべくかがみながら、ソールに設けられた機構を手で操作しなければならない。
【0008】
更に、このような出し入れ可能な滑り止め器具を有したソールを備えている靴を履いた人は、滑りやすい地面の上を歩こうとするときに、滑り止め器具を素早く引き出さなければならず、さもなければ普通の靴を履いているときと同様に転倒の危険性が存在することに気づくはずである。
また、踏面部材に1式のスタッドを設けた場合には、氷上や岩の上において優れたグリップを確保することができるが、着脱にかなりの時間を要する。このため、凍結した地面或いは一般的に滑りやすい地面にも対応できるようにした靴は、通常の地面の上で使用する場合に極めて扱いにくいものとなる。
【0009】
更に、極めて頑丈なスタッドを踏面部材に螺合させる場合、締結力が過大であると、スタッドのねじ部分でソールの断裂や切断を引き起こすため、スタッドは不完全に装着された状態となって正しく機能しなくなるばかりでなく、ゆがんだ状態となり、ねじ部分によって踏面部材に形成された取付座から脱落するおそれがある。
スタッドを有した車輪の場合は、単に溝が設けられている通常の車輪と交換して装着しなければならず、極めて扱いにくいものである。一方、スノーチェーンについては、車輪を保護するホイルハウスに車輪が近接していることから、大排気量の車両の全てにそのようなスノーチェーンを装着することができるわけではないという事実に加え、よく知られているように取り扱いが極めて不便である。
【0010】
また、スノーソックスはスノーチェーンよりも容易に装着可能であって、氷上でのグリップについては同様に効果的であるものの、スノーチェーンと同様にある程度のスペースをトランクに占有することに加え、着脱作業も必要である。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、本発明の狙いは、公知のタイプの踏面部材における欠点を解消可能な滑り止め踏面部材を提供することにある。
【0011】
このような狙いの中で、本発明の目的は、スタッド、滑り止め器具、或いはその他の補助的な滑り止め部材を装着することなく、その機能を十分に発揮可能な滑り止め踏面部材を提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、靴或いはブーツ、タイヤ、無限軌道等のような公知の製品に容易に組み込み可能な滑り止め踏面部材を提供することにある。
【0012】
また、このような狙いの中で、本発明のもう1つの目的は、公知のタイプの踏面部材や関連する滑り止め部材における欠点を解消する踏面部材を備えた、靴、タイヤ、無限軌道等に用いられる底面を製造するための、滑り止め踏面部材の形成方法を提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、通常の市街地用の靴から専門的なトレッキングブーツやスポーツシューズ全般、並びに安全靴に至る、あらゆるタイプ及び形状の靴及びブーツに用いられるソールに対しても適用可能な滑り止め踏面部材を提供することにある。
【0013】
本発明のもう1つの目的は、公知のタイプの靴用ソールに対して劣ることのない技術的特性及び快適性に関する特性を有した滑り止め踏面部材を備えるソールを提供することにある。
本発明のもう1つの目的は、公知の装置及び技術を用いて実現可能な滑り止め踏面部材及び同踏面部材を製造するための方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
これらの狙い及び目的、並びに後に明らかになるであろう目的を達成するため、本発明の滑り止め踏面部材は、接地面に織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサートを有することを特徴とする。
好ましくは、上記滑り止め踏面部材において、織物或いは不織布からなる上記インサートは、上記接地面から露出、或いは上記接地面と実質的に連続的な面を形成することを特徴とする。
【0015】
また、上記狙い及び目的、並びに後に明らかになるであろう目的を達成するため、本発明による滑り止め踏面部材の形成方法は、第1成形型内に形成された成形用空洞内を通過するように第1型部材から突設されて上記踏面部材に穴を形成する1式のピンを内部に備えた第1成形型内に、織物或いは不織布からなり上記成形用空洞内全体にわたって展開された単一の布部材、もしくは織物或いは不織布からなり上記ピンに配置された複数の布部材を挿入することにより、上記第1成形型が閉じられたときに、上記単一の布部材、又は上記ピンに配置された上記複数の布部材によって、上記ピンの少なくとも自由端を包囲する第1工程と、ゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材を上記第1成形型内に導入することにより、上記ゴム素材或いはプラスチック素材を、第2型部材と、上記単一の布部材、又は上記ピンに配置された上記複数の布部材との間に入り込ませる第2工程と、上記第2工程で導入された上記ゴム素材或いはプラスチック素材を硬化させることにより、上記単一の布部材又は上記ピンに配置された上記複数の布部材が内部に埋め込まれると共に上記ピンに押圧された状態で上記踏面部材の第1層を形成し、第1中間部材を形成する第3工程と、上記第1成形型内で得られた上記第1中間部材を第2成形型内に封じ込め、プラスチック素材或いはゴム素材からなる第2層を上に重ねて成形することにより、上記ピンによって生成された上記穴を埋めると共に、上記単一の布部材又は上記ピンに配置された上記複数の布部材を、上記第1層と上記第2層との間に固定して第2中間部材を形成する第4工程と、上記第2成形型から上記第2中間部材を取り出して仕上げを行う第5工程とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、織物或いは不織布からなる滑り止めインサートを有した滑り止め踏面部材が得られるので、このような滑り止め踏面部材を靴やブーツなどのソールに設けることにより、滑り止め部材或いはスタッドを補足的に装着せずに、氷上や、油が付着した表面或いは滑りやすい表面の上であっても地面へのグリップを確保することができる。
また、本発明によれば、通常の市街地用の靴から専門的なトレッキングブーツやスポーツシューズ全般、並びに安全靴に至る、あらゆるタイプ及び形状の靴及びブーツに対しても適用可能な滑り止め踏面部材を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面中の限定されない例によって示された、その好ましいが限定されない実施形態についての以下の詳細な説明からより明確になるであろう。
図を参照すると、本発明に係る踏面部材は、ソール17の一部として図1及び図2に例示されており、隆起部24a,24b,24c,24dなど、即ちソール17から下方に突設された溝付き部材によってソール17に形成されている。
【0018】
滑り止め踏面部材24は、地面と接触する接地面25に、織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサート26を有している。このインサート26は、踏面部材24に適用される後述の仕上げ工程に応じ、接地面25から露出するか、或いは接地面25と実質的に連続的な面を形成している。
本発明に係る滑り止め踏面部材を得るための方法は、図3に概略の断面が示された第1成形型10、及び図5に概略の断面が示された第2成形型13を用いる。この第1成形型10は、第1型部材11とこれに付随する第2型部材12とからなる。また、第2成形型13は、第3型部材14及び第4型部材15、並びにこれら2つの型部材によって形成された成形用空洞を取り囲むようにこれら2つの型部材の間に挿入された環状スペーサ16からなる。
【0019】
第1成形型10は、第1成形型10内に形成された成形用空洞内を通過するように第1型部材11から突設されたピン17a,17b,17cを有しており、これらのピンが踏面部材における穴の形状を決定する。
第1成形型10及び第2成形型13は、本発明に係る滑り止め踏面部材24をソール17に設けることができるようにするものであって、それは本発明の主題であり、詳細は後述するが、図1及び2に明確に示されている。
【0020】
本発明の限定されない例によってここに示された本発明に係る方法は、ソール17を得るためのものであるが、踏面部材を備えたいかなる製品を得る場合にも、同様の方法を広く利用可能であることは明らかである。
本発明に係る方法は以下のような工程からなる。
本発明に係る方法の第1工程において、第1成形型10内に織物或いは不織布からなる布部材18が挿入される。この布部材18は、第1成形型10内の成形用空洞内全体に及ぶように展開されている。第1成形型10が閉じられると、布部材18は第1型部材11のピン17a,17b,17cと、これらのピン17a,17b,17cに対向して第2型部材12に設けられた凹部19a,19b,19cとの間で押圧される。凹部19a,19b,19cは、ピン17a,17b,17cの端部を包囲するように位置する布部材18の一部18a,18b,18cを収容するような形状に形成されている。
【0021】
本発明に係る方法の第2工程では、ゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材が第1成形型10内に導入されることにより、図3に示されるように、この素材が第2型部材12と織物或いは不織布からなる布部材18との間に入り込む。
ゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材は、射出によって第1成形型10内に導入することが可能であり、或いはこれに代えてゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材からなる材料片を型内に置いて圧縮成形してもよいし、ゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材を鋳造することによって成形してもよい。
【0022】
本発明に係る方法の第3工程では、射出されたゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材を硬化させることにより、織物或いは不織布からなる布部材18が埋め込まれると共にピン17a,17b,17cに圧接された状態の第1層20が形成される。織物或いは不織布からなる布部材18を有した第1層20は、第1中間部材21を形成する。
本発明に係る方法の第4工程では、第1成形型10内で得られた第1中間部材21が第2成形型13内に封じ込められ、プラスチック素材或いはゴム素材からなる第2層22を第1中間部材21の上に重ねて成形することにより、ピン17a,17b,17cによって生成された穴を埋めると共に、織物或いは不織布からなる布部材18を第1層20と第2層22との間に固定する。
【0023】
この場合にも、上述の第4工程の成形は射出によって行うことが可能であり、或いはこれに代えてプラスチック素材或いはゴム素材からなる材料片を型内に置いて圧縮成形してもよいし、プラスチック素材或いはゴム素材を鋳造することによって成形してもよい。また、この第4工程で用いられる材料については、ゴム素材或いはプラスチック素材から選択可能であり、プラスチック素材の場合は合成ゴム、熱可塑性プラスチック素材、或いはポリウレタン素材であるのが好ましい。
【0024】
第4工程の特徴は、布部材18の外縁片18zが第4型部材15と、その上に位置して第3型部材14により押圧された環状部材16との間に挟まれている点にある。外縁片18zはシールとして機能し、第3型部材14と布部材18との間に形成されたチャンバーを効果的に密閉する。このチャンバーは、高膨張性のプラスチック素材が内部に射出された場合に高い圧力を受ける。
【0025】
上記第4工程により、図6に符号23によって示される第2中間部材が得られる。
本発明に係る方法の第5工程では、第2中間部材23が第2成形型13から取り出されて仕上げが行われる。仕上げ工程は、布部材18の外縁片18zを除去するための第1作業を有する。また、仕上げ工程は、踏面部材24を形成する隆起部24a,24b,24c,24dの接地面25から素材を除去する作業、或いはピン17a,17b,17cの下方端部を包囲する布部材18の一部18a,18b,18cを除去する作業を含むことにより、織物或いは不織布からなるインサート26が、接地面25と実質的に連続的な面を形成しながら接地面25に現れる。
【0026】
ピン17a,17b,17cの端部を包囲する布部材18の一部18a,18b,18cを部分的に除去することにより、インサート26の舌片状部分が接地面25に露出するようにすることも可能である。
図7及び図8には、本発明に係る方法の構成上の変形例について、その概要が示されている。
【0027】
この変形例において第1工程では、上述したようにピンを有した第1成形型内に、織物或いは不織布からなる単一の布部材18が第1成形型内の成形用空洞内全体に及ぶように展開されるのではなく、同様に織物或いは不織布からなる複数の布部材130a,130b,130c,130dが個々のピンに局所的に配置されており、第1成形型を閉じたときにピンの少なくとも自由端を包囲するようになっている。こうして個々のピンに局所的に配置された布部材130a,130b,130c,130dは、織物或いは不織布からなるチューブによって得られるものであり、第1型部材のそれぞれ対応するピンを覆うように装着されている。
【0028】
図7は、ソール117を得るための第2中間部材123の一部を例示するものである。図7に示されるように、各ピンに局所的に配置された布部材130a,130b,130c,130dは、ピンによって形成される穴の縁に装着されており、第2層122を形成するゴム素材又はプラスチック素材が内側に満たされていると共に、第1層120の隆起部の下面125から突出する下端部131a,131b,131c,131dを除き、第1層120によって外側から包囲されている。
【0029】
第1工程において、各ピンに局所的に配置された布部材130a,130b,130c,130dの下端部131a,131b,131c,131dは、インサート126を得るために、第2型部材12の符号19a,19b,19cなどで表される凹部の中に配置される。
最初に説明した本発明に係る方法の実施形態と同様に、この変形例においても、踏面部材124の隆起部124a,124bにおける接地面125からの素材の補足的な除去作業による最終的な仕上げのための工程を有しており、この仕上げ工程により、インサート126はゴム素材或いはプラスチック素材からなる接地面125と連続的な表面を形成する。このようにして、最初に説明した本発明に係る実施形態で達成したものと同様に、インサート126はゴム素材或いはプラスチック素材からなる接地面125と共に実質的に連続的となる表面を形成する。なお、これに代えて、各ピンに局所的に設けられる布部材130a,130b,130c,130dの下端部131a,131b,131c,131dは、除去しなくてもよいし、接地面125から露出するように、部分的に除去するようにしてもよい。
【0030】
このように、上述したような本発明に係る方法によって、本発明に係る踏面部材24及び124を備えたソール17及び117を得ることができる。
ソール17の隆起部24a,24b,24c,24d及びソール117の隆起部124a,124bによって規定される踏面部材24及び124は、踏面部材24及び124の接地面25及び125に、織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサート26及び126を有することを特徴としている。
【0031】
なお、織物或いは不織布は、靴の製造者或いは使用者の要求と必要性とに応じて様々なタイプを用いることが可能である。
本発明により、織物或いは不織布からなる滑り止めインサート26,126を有した滑り止め踏面部材24,124がソール17,117に設けられ、このソール17,117を靴或いはブーツに設けることにより、滑り止め部材或いはスタッドの装着を必要とすることなく、氷上や、油が付着した表面或いは滑りやすい表面の上であっても地面へのグリップを確保することができるので、あらゆる滑りやすい地面の上でも効果的に使用することが可能となる。
【0032】
また、本発明は、通常の市街地用の靴から専門的なトレッキングブーツやスポーツシューズ全般、並びに安全靴に至る、あらゆるタイプ及び形状の靴及びブーツに対しても適用可能な滑り止め踏面部材を備えたソール17,117を提供するものである。
更に、本発明に係る方法は、第2層とは異なる素材で形成することが可能な第1層の上に、使用者に所定の快適性を提供すると共にソールが適用される靴の目的に応じた技術的特性を提供するのに最も適した素材で形成することが可能な第2層22,122を重ねて成形することにより、公知のタイプの靴用ソールの特性から劣ることのない技術的特性及び快適性に関する特性を備えたソールを製造することが可能な滑り止め踏面部材を提供することができる。
【0033】
また、本発明は、公知の装置及び技術を用いて実現可能な滑り止め踏面部材、滑り止め踏面部材を得るための方法、及び上記滑り止め踏面部材を有したソールを提供する。
以上のような発明は、様々な変更や変形が可能であり、それらの全ては添付の特許請求の範囲内に含まれるものであって、それらは詳細にわたり他の技術的均等物との置き換えが可能である。
【0034】
寸法並びに使用される素材は、ここに述べた特定の使用に適合するものである限り、要求に応じたものとすると共に技術の状況に応じたものとすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明に係る方法によって得られた、本発明に係る踏面部材の斜視図である。
【図2】図1のソールの断面図である。
【図3】本発明に係る方法の第1工程で用いる第1成形型の概略側面図である。
【図4】本発明に係る方法の第1工程で得られる第1中間部材の断面図である。
【図5】本発明に係る方法の第4工程で用いられる第2成形型の概略断面図である。
【図6】本発明に係る方法の第4工程で得られる第2中間部材の断面図である。
【図7】本発明に係る方法の変形例を示す概略図である。
【図8】本発明に係る方法の変形例で得られる踏面部材の一部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0036】
10 第1成形型
11 第1型部材
12 第2型部材
13 第2成形型
14 第3型部材
15 第4型部材
16 環状部材
17,117 ソール
17a,17b,17c ピン
18,130a,130b,130c,130d 布部材
19a,19b,19c 凹部
20,120 第1層
21 第1中間部材
22,122 第2層
23,123 第2中間部材
24 滑り止め踏面部材
24a,24b,24c,24d,124a,124b 隆起部
25,125 接地面
26,126 滑り止めインサート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地面(25,125)に織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサート(126,126)を有することを特徴とする滑り止め踏面部材。
【請求項2】
上記インサート(26,126)は、上記接地面(25,125)から露出、或いは上記接地面(25,125)と実質的に連続的な面を形成することを特徴とする請求項1に記載の滑り止め踏面部材。
【請求項3】
滑り止め踏面部材を形成するための方法であって、
第1成形型(10)内に形成された成形用空洞内を通過するように第1型部材(11)から突設されて上記踏面部材に穴を形成する1式のピン(17a,17b,17c)を内部に備えた第1成形型(10)内に、織物或いは不織布からなり上記成形用空洞内全体にわたって展開された単一の布部材(18)、もしくは織物或いは不織布からなり上記ピン(17a,17b,17c)に配置された複数の布部材(130a,130b,130c,130d)を挿入することにより、上記第1成形型が閉じられたときに、上記単一の布部材(18)、又は上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)によって、上記ピン(17a,17b,17c)の少なくとも自由端を包囲する第1工程と、
ゴム素材或いはこれに同等のプラスチック素材を上記第1成形型(10)内に導入することにより、上記ゴム素材或いはプラスチック素材を、第2型部材(12)と、上記単一の布部材(18)又は上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)との間に入り込ませる第2工程と、
上記第2工程で導入された上記ゴム素材或いはプラスチック素材を硬化させることにより、上記単一の布部材(18)或いは上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)が内部に埋め込まれると共に上記ピン(17a,17b,17c)に押圧された状態で上記踏面部材の第1層(20,120)を形成し、第1中間部材(21)を形成する第3工程と、
上記第1成形型(10)内で得られた上記第1中間部材(21)を第2成形型(13)内に封じ込め、プラスチック素材或いはゴム素材からなる第2層(22)を上に重ねて成形することにより、上記ピン(17a,17b,17c)によって生成された上記穴を埋めると共に、上記単一の布部材(18)或いは上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)を、上記第1層(20,120)と上記第2層(22,122)との間に固定して第2中間部材(23,123)を形成する第4工程と、
上記第2成形型(13)から上記第2中間部材(23,123)を取り出して仕上げを行う第5工程と
を備えることを特徴とする滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項4】
上記第5工程の仕上げは、上記踏面部材の接地面(25,125)から露出する上記単一の布部材(18)又は上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)の少なくとも一部を除去する工程からなることを特徴とする請求項3に記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項5】
上記第5工程の仕上げは、織物或いは不織布からなる上記インサート(26,126)が上記接地面(25,125)と実質的に連続的な面を形成するように、上記踏面部材の接地面(25,125)から素材を除去するものであることを特徴とする請求項4に記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項6】
織物或いは不織布からなる単一の布部材(18)が上記第1成形型(10)内に挿入されて上記成形用空洞内全体にわたって展開される上記第1工程において、上記単一の布部材(18)は、上記第1成形型(10)が閉じられたときに、上記第1型部材(11)のピン(17a,17b,17c)と、これに対向して上記第2型部材(12)に設けられた凹部(19a,19b,19c)との間で押圧されることにより、上記踏面部材の接地面と面一となる、或いは上記踏面部材の接地面(25,125)から露出するインサート(26,126)が形成されることを特徴とする請求項3に記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項7】
上記凹部(19a,19b,19c)は、上記ピン(17a,17b,17c)の端部を包囲するように設けられた上記単一の布部材(18)又は上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)の一部(18a,18b,18c,131a,131b,131c,131d)を収容するように形状が定められていることを特徴とする請求項6に記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項8】
上記第2工程において上記第1成形型(10)内に上記ゴム素材又はプラスチック素材を導入して行う成形は、射出成形、或いはこれに代えて材料片の圧縮成形、或いは鋳造によって行われることを特徴とする請求項3乃至7のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項9】
上記第4工程において上記第2成形型(13)内で行われる成形は、射出成形、或いはこれに代えて材料片の圧縮成形、或いは鋳造によって行われることを特徴とする請求項3乃至8のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項10】
上記第4工程において上記第2層(22)の成形に使用される材料はゴム素材或いはプラスチック素材から選択され、上記プラスチック素材は、合成ゴム、熱可塑性プラスチック、或いはポリウレタンであることを特徴とする請求項3乃至9のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項11】
上記第4工程において上記第1中間部材(21)を上記第2成形型(13)内に封入して上記第2層(22)を上に重ねて成形する際に、上記単一の布部材(18)の外縁片(18z)が第4型部材(15)と上記第2成形型(13)の環状部材(16)との間に挟持されて第3型部材(14)により押圧され、上記外縁片(18z)は、上記第3型部材(14)と上記単一の布部材(18)との間に形成されたチャンバーを密閉するシールとなることを特徴とする請求項3乃至10のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項12】
上記第5工程の仕上げは、織物或いは不織布からなる上記布部材(18)の外縁片(18z)と、上記ピン(17a,17b,17c)の下方端領域を包囲する部分(18a,18b,18c,131a,131b,131c,131d)とを除去する工程からなることを特徴とする請求項3乃至11のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項13】
上記第1工程において、上記第1成形型(10)が閉じられたときに、上記ピンの少なくとも自由端を包囲するように、織物或いは不織布からなる複数の布部材(130a,130b,130c,130d)を、個々のピン(17a,17b,17c)に局所的に配置することを特徴とする請求項3乃至10のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項14】
上記布部材130a,130b,130c,130d)は、それぞれが織物或いは不織布によってチューブ状に形成され、上記第1成形型(10)の対応するピン(17a,17b,17c)に装着されていることを特徴とする請求項13に記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項15】
上記単一の布部材(18)或いは上記ピン(17a,17b,17c)に配置された上記複数の布部材(130a,130b,130c,130d)に用いられる織物或いは不織布は、必要に応じていかなる形式のものとすることも可能であることを特徴とする請求項3乃至14のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項16】
織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサート(26,126)を有する接地面(25,125)が設けられた踏面部材を備える製品或いは製品の一部を得るように構成されたことを特徴とする請求項3乃至15のいずれかに記載の滑り止め踏面部材を形成するための方法。
【請求項17】
滑り止め踏面部材を有するソールであって、
上記踏面部材は、ゴム素材或いはプラスチック素材からなる接地面(25,125)に織物或いは不織布からなる複数の滑り止めインサート(26,126)を有した隆起部(24a,24b,24c,24d,124a,124b)によって形成され、上記インサート(26,126)は、上記接地面(25,125)と実質的に連続的な面を形成することを特徴とするソール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−237907(P2008−237907A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71222(P2008−71222)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(508085774)フラッソン ソシエタ ア レスポンサビリタ リミタータ (1)
【氏名又は名称原語表記】FRASSON S.R.L.
【住所又は居所原語表記】Via Giorgione,24, 31037 LORIA, Frazione RAMON(Prov. of TREVISO), ITALY
【Fターム(参考)】