漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーター
【課題】漁撈シミュレーション方法と漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを提供する。
【解決手段】漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、水中の物理化学的な環境と併せて多数の魚類個体よりなる魚群行動をシミュレーションすると同時に、様々な漁船及び漁具の挙動を3次元空間において正確に計算し、魚群の漁具に対する反応行動を連動させることにより漁撈過程に関する学習及び技術習得効果を増大させる。
【解決手段】漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、水中の物理化学的な環境と併せて多数の魚類個体よりなる魚群行動をシミュレーションすると同時に、様々な漁船及び漁具の挙動を3次元空間において正確に計算し、魚群の漁具に対する反応行動を連動させることにより漁撈過程に関する学習及び技術習得効果を増大させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターに係り、さらに詳しくは、魚群を探知して集魚した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューターの3次元仮想空間において実現することができ、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、コンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境と漁撈活動が実際の漁場環境と漁撈活動に類似するように漁場環境と漁撈活動に関する学習効果が増大可能な漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車、航空、船舶などの各種の分野において設計条件の判断や運行能力の向上を目的にコンピューター仮想空間においてシミュレーション対象物を具現するシミュレーターを開発して使用している。
【0003】
このようなシミュレーターは、対象物の設計や実験、運行などにおいて時間と費用を節減すると同時に条件を種々に変更可能であるという特徴があるため、特に、大規模の対象物や一定規模以上のシステムに適用する場合が多い。
【0004】
特に、沿近海及び遠洋漁業などにおいて行われるトロール漁業、旋網漁業、延縄漁業などは一定規模以上の魚群を対象とする大型漁業であって、漁撈活動が、漁場環境、漁船運動、漁具運動、魚群行動などが複合的に連動されてなるのに対し、魚群行動に合わせて漁具を正確に制御して魚類を捕獲する必要があることから、効率よい漁撈活動のために漁船及び漁具に対する専門的な知識と運行能力習得が重要である。
【0005】
このような漁船及び漁具に対する制御能力は、実際に海洋における漁撈活動経験を通じて直接的に学習して習得することが一般的であった。しかしながら、これは、直接的に漁船により漁具を曳網する実習を行わなければならないため、膨大な時間と経費がかかり、熟練されるとしても漁船のサイズ(曳網馬力)によって漁具の規模が異なってき、漁具の種類によってもそれぞれ特性が異なってくるため、これを一々学習して運行能力を習得することが困難であった。
【0006】
上記のように漁撈活動に関する学習と技術の熟練に長い時間と経費の支出が要されることから、現在、漁撈活動に対するシミュレーターの開発が様々な形態にて進行中にあるが、従来の漁撈活動シミュレーターは、器具装置を使用するアナログ基盤の技術がほとんどであり、単に漁船運動をシミュレーションする一方、魚類を漁獲する漁具運動も単に2次元空間において具現するレベルであっただけではなく、漁撈環境を構成する魚群の漁具に対する反応行動はシミュレーションされず、実際と類似する漁撈活動のシミュレーションが困難であるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の問題点を改善して、魚群を探知して駆集した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューターの3次元仮想空間において実現可能な新規なタイプの漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを提供することを目的とする。
【0008】
特に、本発明は、様々な漁船と漁具の運動を正確に計算して操業ステップ別漁具の実際の様子を3次元空間において表示し、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、コンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境と漁撈活動が実際の漁場環境と漁撈活動に類似するようにして、漁場環境と漁撈活動に関する学習効果が増大可能な新規なタイプの漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の特徴によれば、水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションする方法において、前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、前記入力部を介して海底地形モード、潮流の速力と方向が設定値として入力されて前記制御部において水中の物理化学的な環境データを演算するステップと、前記入力部を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、前記海底地形モード、潮流の速力と方向を条件値として前記制御部において魚群行動データを演算するステップと、前記入力部を介して漁船の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して漁船の進行速力と進行方向が運転値として入力されて前記制御部において漁船運動データを演算するステップと、前記入力部を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、前記運転部を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて前記制御部において漁撈機械作動データを演算するステップと、前記海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄の長さを条件値とし、前記入力部を介して漁具の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して前記漁船から水中に投縄される漁具の縄の長さが運転値として入力されて前記制御部において漁具運動データを演算するステップと、前記制御部に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部においてソーナーシステム探知データを演算するステップと、前記制御部に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部において魚群探知機探知データを演算するステップと、上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動を立体的にディスプレイするステップと、を含んで、漁場環境と漁撈活動を3次元上にシミュレーションすることを特徴とする。
【0010】
本発明による漁撈シミュレーション方法において、前記魚群行動データを演算するステップは、入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において互いに異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成して前記それぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えるが、前記それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、前記入力部において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性を前記それぞれの魚類個体の体長に連動させて決定することを特徴とする。
【0011】
本発明による漁撈シミュレーション方法において、前記水中の物理化学的な環境データを演算するステップは、前記入力部から水中の照度が設定値として入力され、前記魚群行動データを演算するステップは、上記において演算された漁具運動データが入力され、水中の照度、魚類の游泳速力、魚類の游泳方向及び入力された魚類の種類による魚類の漁具認知距離を条件値として前記制御部において漁具運動データと連動して演算される魚群行動データを算出して魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにすることを特徴とする。
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明の他の特徴によれば、漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法において、前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類を設定値とする漁具運動条件をそれぞれ前記入力部を介してシミュレーション遂行者が入力して前記シミュレーターを初期設定するシミュレーション設定ステップと、前記シミュレーション遂行者が前記運転部を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、前記シミュレーション遂行者が前記出力部にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを介して漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄の長さを前記運転部を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするシミュレーション運用ステップと、所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して前記シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価する漁撈活動評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明のさらに他の特徴によれば、水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションするためのシミュレーターにおいて、漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械の種類、漁具の種類と規格が設定値として入力される入力部と、漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄が水中に投縄される長さを運転値として入力する運転部と、前記入力部から入力される設定値と前記運転部から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び前記運転部から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算し、定まった範囲の3次元空間内において上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動をシミュレーションする制御部と、前記制御部からシミュレーションされた漁場環境と漁撈活動を画面上にディスプレイする出力部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明による漁撈シミュレーターにおいて、前記出力部は、水中漁具運動グラフィックモニター、水中魚群行動グラフィックモニター、ソーナーシステム探知モニター、魚群探知機探知モニター、計器板モニター及び漁具状態情報モニターよりなることを特徴とする。
【0015】
本発明による漁撈シミュレーターにおいて、前記制御部は、漁船運動データ演算プログラム、漁撈機械作動データ演算プログラム及び漁具運動データ演算プログラムを含む第1のデータ演算モジュールと、魚群行動データ演算プログラム、ソーナーシステム探知データ演算プログラム及び魚群探知機探知データ演算プログラムを含む第2のデータ演算モジュールと、前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュールから入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを3次元グラフィックにレンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラムから構成されたレンダーリング演算モジュールと、を備えるが、前記制御部は、多数のサブコントローラーを備えて、それぞれのサブコントローラーに前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュール及び前記レンダーリング演算モジュールが互いに別々に内蔵されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターによれば、魚群を探知して集魚した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューター仮想空間において実現することが可能になる。特に、魚類個体の回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションして実際の漁場環境と漁撈活動に近い漁場環境と漁撈活動が提供されて漁撈活動に関する学習効果が増大されるだけではなく、魚類の種類と個体のサイズを異に設定して魚類の種類と個体のサイズによって行動を異にする魚群をシミュレーションすることが可能になることから、魚種別行動を踏まえて漁具を運用する方法を習得することができ、漁撈活動時に目的魚の漁獲を高め、非目的魚の漁獲を低減可能な選択的な漁業技術も向上させることができる。また、様々な漁船と漁具の操業ステップ別運動と形状を正確に計算して3次元空間において観察することができ、漁具が水中においてどのように運動して操業ステップによってどのように変わるかを視認することができることから、漁具運動に関する理解を増進させることができ、漁具の3次元的な構造を明確に把握することができることから、漁具の改良にも活用することができる。
【0017】
そして、探知された魚群と魚類を漁獲するための漁具を出力部にディスプレイしながら、漁船と漁具の操作を行うことが可能になることから、魚類漁獲のための漁船と漁具の運用を効果的に学習し、漁船と漁具運用能力を増大することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による漁撈シミュレーターを示すためのブロック図である。
【図2】本発明による漁撈シミュレーション方法を示すためのブロック図である。
【図3】本発明による漁撈シミュレーションの遂行方法を示すためのブロック図である。
【図4】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターの全体斜視図である。
【図5】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する制御部と出力部の構成関係を示すためのブロック図である。
【図6】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する運転部の操舵器、速力制御器、ウィンチ制御器のアナログ信号がデジタル信号に変換されて制御部に入力される過程を示すための図である。
【図7】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する出力部に設けられたモニターにより漁場環境と漁撈活動を構成する要素がディスプレイされた状態を示すための図である。
【図8A】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図8B】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図8C】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図9】図9の(a)〜(c)は本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において魚群行動をシミュレーションするための魚類の行動パターンを示す図である。
【図10A】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10B】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10C】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10D】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10E】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10F】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図10に基づき、本発明による好適な実施形態を詳述する。なお、図面及び詳細な説明において、一般的な漁撈シミュレーターからこの分野の従事者が容易に理解可能な構成及び作用についての図示及び言及は簡略化または省略している。特に、図面の図示及び詳細な説明において、本発明の技術的な特徴と直接的に連関しない要素の具体的な技術的構成及び作用についての詳細な説明及び図示は省略し、本発明と関連する技術的な構成だけを簡略に図示または説明している。
【0020】
図1は、本発明による漁撈シミュレーターを示すためのブロック図であり、図2は、本発明による漁撈シミュレーション方法を示すためのブロック図であり、図3は、本発明による漁撈シミュレーションの遂行方法を示すためのブロック図であり、図4は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターの全体斜視図であり、図5は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する制御部と出力部の構成関係を示すためのブロック図であり、図6は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する運転部の操舵器、速力制御器、ウィンチ制御器のアナログ信号がデジタル信号に変換されて制御部に入力される過程を示すための図であり、図7は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する出力部に設けられたモニターに漁場環境と漁撈活動を構成する要素がディスプレイされた状態を示すための図であり、図8A、図8B及び図8Cは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図であり、図9A、図9B及び図9Cは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において魚群行動をシミュレーションするための魚類の行動パターンを示す図であり、図10A、図10B、図10C、図10D、図10E及び図10Fは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【0021】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、水中の物理化学的な環境、魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動、漁撈活動に用いられる漁具以外の漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステムと魚群探知機を用いた魚群探知を含んで具現される漁撈活動をシミュレーションするものであって、海洋において魚群を探索し、探索された魚群を漁船と漁撈機械及び漁具を運用して魚類を漁獲する漁撈活動をコンピューター仮想空間において実現してこの過程において随伴された知識と技術を学習し、且つ、熟達できるようにしたものである。特に、本発明は、コンピューターの3次元仮想空間に漁場環境及び漁撈活動がディスプレイされ、魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動がシミュレーションされて実際の漁場環境及び漁撈活動に類似する漁場環境及び漁撈活動シミュレーションが提供される。
【0022】
本発明による漁撈シミュレーター100は、図1に示すように、入力部10と、運転部20と、制御部30と、出力部40と、を備えるが、入力部10は、漁撈シミュレーター100が定まった漁場環境条件及び漁撈活動条件において作動されるように漁場環境及び漁撈活動を構成する要素を設定するものであって、本発明の好適な実施形態による入力部10は、漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械(漁具の他に、漁撈活動に用いられるウィンチ、揚縄機、揚網機、集魚灯などを言う用語)の種類、漁具の種類と規格などを設定値として入力する。
【0023】
ここで、海底地形は、本発明による漁撈シミュレーター100を介して行われる漁場環境に対応して丘や溪谷のように屈曲がある地形を水中に表現するものであって、コンピューターの3次元仮想空間をより臨場感よく表現する。
【0024】
このような海底地形は、事前設定により定まるようにしてもよく、より様々で且つ力動的な漁場環境が具現されるように多数の海底地形モードを設定してシミュレーション遂行者が海底地形モードを選択するようにしてもよい。
【0025】
そして、シミュレーションすべき漁場環境と漁撈活動の条件に応じて、特に、トロール漁業、旋網漁業、延縄漁業など相異なる形態の漁撈活動のうちシミュレーションすべき漁撈活動に合う漁船と漁撈機械及び漁具を選択してシミュレーター100を設定する。例えば、トロール漁業を選択すると、入力部10の下位メニューから低層トロール及び中層トロールのうちいずれか一方を選択してシミュレーションすることが可能になり、旋網漁業を選択すると、入力部10の下位メニューから近海鯖旋網などの中型旋網及び遠洋マグロなどの大型旋網のうちいずれか一方を選択してシミュレーションすることが可能になり、延縄漁業を選択すると、マグロなどの中層延縄をシミュレーションすることができる。ここで、図8Aには、本発明による漁撈シミュレーター100において、漁具の種類として中層トロール漁具が選択されたものが出力部40をなす水中漁具運動グラフィックモニター45に表示された状態を示し、図8Bは、大型の遠洋旋網漁具が選択されたものであり、図8Cは、マグロ延縄漁具が選択されたものである。
【0026】
ここで、本発明の好適な実施形態による入力部10は、図4に示すように、キーパッド12の形でシミュレーター胴体50に外付けられてシミュレーション遂行者が出力部40の計器板モニター41などを通じてディスプレイされる設定メニューによってシミュレーター100を設定する。
【0027】
運転部20は、漁撈シミュレーター100が作動された後に実際に漁撈活動をするための操作を行うものであって、漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄(漁船と漁具を結ぶ縄であって、漁具の種類によって曳索、締縄、幹縄などから選ばれる)が水中に投縄される長さを運転値として入力する。
【0028】
本発明の好適な実施形態による運転部20は、漁船の進行速力を調節する速力制御器22、漁船の進行方向に調節する操舵器24、漁具の縄(曳索、引締索、幹縄)が水中に投縄されたり巻き上げられる長さを調節するウィンチ制御器26を備えるが、本発明の好適な実施形態による運転部20は、図4に示すように、実際の漁船において用いられる速力制御器22、操舵器24を用いて実際の漁撈活動に類似する環境が提供されるようにしている。そして、ウィンチ制御器26は、設定用のボタンが設けられて設定用のボタンに入力されたウィンチの縄長が7−SEGMENTにディスプレイされるようにしている。
【0029】
ここで、本発明の好適な実施形態による速力制御器22、操舵器24のアナログ入力信号は、図6に示すステップを経てデジタル信号に変換されて制御部30に入力される。
【0030】
制御部30は、入力部10から入力される設定値と運転部20から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び運転部20から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算するものであって、上記のようにして演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動が定まった3次元空間内においてシミュレーションされるようにする。
【0031】
ここで、制御部30は、データ演算とデータをディスプレイするためのレンダーリング演算を同時に行う必要があるが、これにより演算量が多くて単一のCPUまたはコントローラーだけでは円滑な演算を行うことが困難になり、その結果、本発明の好適な実施形態による制御部30は、多数のCPUまたはサブコントローラーを備え、それぞれのCPUまたはサブコントローラーにデータ演算とレンダーリング演算を分散遂行させる。これにより、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーター100は、シミュレーター100のデータ処理時間と実際の時間が同期化されてリアルタイム処理システムにてまたはリアルタイムよりも早くシミュレーションを行うことが可能になる。
【0032】
すなわち、図5に示すように、本発明の好適な実施形態による制御部30は、データ演算を行う第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34、コンピューターの3次元仮想空間上にデータをディスプレイするための演算を行うレンダーリング演算モジュール36と、を備え、第1のデータ演算モジュール32、第2のデータ演算モジュール34、レンダーリング演算モジュール36をそれぞれ多数のCPUまたはサブコントローラーに分散配置してそれぞれのCPUまたはサブコントローラーにおいて独立して演算が行われた後に互いに連動される。
【0033】
ここで、第1のデータ演算モジュール32は、漁船運動データ演算プログラム322、漁具運動データ演算プログラム324及び漁撈機械作動データ演算プログラム326から構成され、第2のデータ演算モジュール34は、魚群行動データ演算プログラム342、ソーナーシステム探知データ演算プログラム344及び魚群探知機探知データ演算プログラム346から構成される。ここで、水中の物理化学的な環境データは演算量が多くないため、第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34のうちから選ばれるいずれか一方に配置可能である。
【0034】
レンダーリング演算モジュール36は、第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34から入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを3次元レンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラム362から構成されることが好ましい。
【0035】
上記のようにそれぞれの演算プログラムを配置したのは、それぞれの演算プログラムにおいて行われる演算量を考慮したためである。
【0036】
出力部40は、制御部30から水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを渡されてこれを画面上にディスプレイするものであって、本発明の好適な実施形態による出力部40は、図4及び図5に示すように、水中漁具運動グラフィックモニター45、水中魚群行動グラフィックモニター46、ソーナーシステム探知モニター43、魚群探知機探知モニター44、計器板モニター41及び漁具状態情報モニター42を備える。
【0037】
ここで、水中漁具運動グラフィックモニター45は、水中における漁具の運動状態を3次元グラフィックにて表示するためのモニターであり、水中魚群行動グラフィックモニター46は、水中における魚群の行動状態を3次元グラフィックにて表示するためのモニターであり、ソーナーシステム探知モニター43は、ソーナーシステムを通じて現在の魚群の探知状態をレーダー計器板などの形態にて表示するためのモニターであり、魚群探知機探知モニター44は、魚群探知機を通じて現在の魚群の探知状態を表示するためのモニターであり、計器板モニター41は、漁撈シミュレーションのための各種の要素の設定値や現在運転中の漁船、漁具、漁具の縄などの運転値を表示するためのモニターであり、漁具状態情報モニター42は、漁具の高さ、幅、深さなどの現在状態情報を幾何学的な形態にて表示するモニターである。
【0038】
本発明による漁撈シミュレーション方法は、漁場環境を具現する水中の物理化学的な環境、魚群行動と、漁撈活動を具現する漁船運動、漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステム探知、魚群探知機探知などをシミュレーションするためのものであって、上記のように構成される漁撈シミュレーター100を備えて、図2に示すように、水中の物理化学的な環境データ演算ステップ、魚群行動データ演算ステップ、漁船運動データ演算ステップ、漁撈機械作動データ演算ステップ、漁具運動データ演算ステップ、ソーナーシステム探知データ演算ステップ、魚群探知機探知データ演算ステップ、漁場環境/漁撈活動ディスプレイステップなどを経て漁場環境及び漁撈活動をシミュレーションする。
【0039】
水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して海底地形モード、潮流の速力と方向を設定値として入力されて制御部30において水中の物理化学的な環境データを演算するステップである。
【0040】
このような水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、水中の物理化学的な環境をコンピューターの3次元仮想空間上にディスプレイするためのデータを演算するステップであって、本発明による漁撈シミュレーター100におけるレンダーリング演算モジュール36の3次元レンダーリング演算プログラム362において演算が行われる。
【0041】
ここで、本発明の好適な実施形態による水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して水中の照度を設定値としてさらに入力されるが、これは、魚群行動データ演算ステップにおいて魚群行動が漁具運動に反応する状況をシミュレーションするときに魚群をなすそれぞれの魚類個体の漁具認知有無及び漁具認知距離に水中の照度が及ぼす影響を考慮したことである。
【0042】
魚群行動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、潮流の速力と方向を条件値として制御部30において魚群行動データを演算するステップである。
【0043】
このような魚群行動データ演算ステップは、先ず、入力部10において入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において互いに異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成し、このように生成されたそれぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えて魚類個体が相異なる游泳速力をもって相異なる游泳方向に運動するようにする。
【0044】
それぞれの魚類個体は、周りの状況によって、順航、維持、突進などの様々な速力パターンにより游泳するが、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法においては、それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルに定まった条件による順航、維持、突進などの速力パターンが設定されている。
【0045】
ここで、順航速力は、魚類個体が200分以上持続可能な游泳速力をいい、維持速力は、魚類個体が15秒から200分未満の時間の間に維持可能な游泳速力をいい、突進速力は、魚類個体が15秒未満の時間の間に限って持続可能な游泳速力を言う。
【0046】
上記のようにそれぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、入力部10において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性をそれぞれの魚類個体の体長に連動させて決定するものである。
【0047】
例えば、本発明の実施形態において、魚類の種類として鯖を選択して入力する場合、鯖の最大順航速力は下記式により決定される。
【0048】
〔数1〕
Ums=1.64L0.32
【0049】
ここで、Umsは鯖の最大順航速力、Lは鯖の体長、1.64は鯖の游泳速度特性による特性値である。
【0050】
一方、本発明の好適な実施形態による魚群行動は、図9Aに示す凝集行動パターン、図9Bに示す分離行動パターン、図9Aに示す整列行動パターンによりモデリングされる。
【0051】
凝集行動パターンは、魚群に属するそれぞれの魚類が周りの魚類との平均位置に行けるように魚類の方向と速力を調整する行動パターンであり、分離行動パターンは、それぞれの魚類が周りの他の魚類と衝突しないように魚類の方向と速力を調整する行動パターンであり、整列行動パターンは、それぞれの魚類が周りの魚類と同じ游泳方向と游泳速力を維持するようにする行動パターンである。
【0052】
上記のようにモデリングされて具現される魚群行動は、それぞれの魚類個体が自分が属する魚群に対するいかなる情報(魚群の全体の移動方向など)も有さない臨機応変的な行動であって、これにより、本発明による魚群行動は実際の魚群行動とほとんど同様にシミュレーションすることが可能になる。
【0053】
ここで、本発明の好適な実施形態による魚群行動データ演算ステップは、魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにするが、このために、先ず、水中の物理化学的な環境データを演算するステップにおいて入力部10から水中の照度が設定値として入力される。
【0054】
次に、魚群行動データ演算ステップは、漁場環境をなす水中の照度と選択された魚類の游泳速力/游泳方向などの魚類の游泳能力、魚類の漁具認知距離などの魚類の漁具反応特性を条件値とし、前記漁具運動の出力値を入力値としてリアルタイムにて計算された魚類の漁具運動に対するリアルタイム反応を含んで魚群行動をモデリングする。すなわち、本発明の好適な実施形態においては、魚群をなす魚類個体が漁具などの障害物を発見した場合に行う回避行動をモデリングしてシミュレーションする。図10には、このような漁具運動に反応する魚群行動が示してあるが、図10Aには、トロール漁具を回避してトロール漁具から逃げる魚群行動が示してあり、図10Bには、トロール漁具の内部に駆集される魚群行動が示してあり、図10Cには、旋網漁具を回避してトロール漁具から逃げる魚群行動が示してあり、図10Dには、トロール漁具の内部に駆集される魚群行動が示してあり、図10E及び図10Fには、水中照度によって異なってくる魚群行動が例示されている。
【0055】
このように、本発明は、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、シミュレーションされる魚群行動が実際の魚群行動にさらに近接してコンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境及び漁撈活動が実際の漁場環境及び漁撈活動とほとんど同様になる。
【0056】
漁船運動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁船の種類が設定値として入力され、シミュレーター100の運転部20を介して漁船の進行速力と進行方向を運転値として入力されて制御部30において漁船運動データを演算するステップである。
【0057】
漁撈機械作動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、シミュレーター100の運転部20を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて制御部30において漁撈機械作動データを演算するステップである。
【0058】
ここで、漁撈機械とは、漁具以外に漁撈作業に使用する種々の機械を言うものであって、漁具の縄(曳索 、締縄、幹縄)が水中に投縄されたり巻き上げられる長さを調節するウィンチ制御器26をはじめとして、揚縄機、揚網機、集魚灯などが本発明においてシミュレーション可能である。
【0059】
このような漁撈機械は、シミュレーター100の入力部10を介して選択された漁撈機械のそれぞれの特徴によって作動方式を異にするため、それぞれの漁撈機械に対する作動値を異に設定して運転部20を介して異に設定された作動値が入力されるようにする。
【0060】
漁具運動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁具の種類と規格が設定値として入力され、シミュレーター100の運転部20を介して漁具の縄の長さが運転値として入力されるが、海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄長を条件値として制御部30において漁具運動データを演算するステップである。
【0061】
ここで、漁具の縄(曳索、締縄、幹縄)とは漁船と漁具を結ぶものを言い、本発明の好適な実施形態においては、バネと質点よりなるシステムにより漁具の縄をモデリングした後、漁船運動と、水中の物理化学的な環境をなす潮流の速力と方向、漁具の縄の水中への投縄長を条件値として漁具の縄運動データが演算される。
【0062】
そして、漁具(網)もバネと質点よりなるシステムによりモデリングするが、漁具運動(網運動)は水中の物理化学的な環境をなす潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、さらに漁船の曳網力を伝達する曳引速度によって決定されるため、潮流の速力と方向を条件値として上記において演算された漁船運動データと漁具の縄運動データを連動させて漁具運動データを演算する。
【0063】
上記のように漁具運動データ演算ステップにおいては、トロール漁具、旋網漁具、延縄漁具など漁業的に重要なあらゆる漁具から選ばれる漁具が演算される。
【0064】
ソーナーシステム探知データ演算ステップは、シミュレーター100の制御部30に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、漁船の進行速力と進行方向を条件値として制御部30においてソーナーシステム探知データを演算するステップであり、魚群探知機探知データ演算ステップは、シミュレーター100の制御部30に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、漁船の進行速力と進行方向を条件値として制御部30において魚群探知機探知データを演算するステップである。
【0065】
このようなソーナーシステム探知データ演算ステップと魚群探知機探知データ演算ステップは、衝突検査技法を用いてソーナーシステムによる魚群探知と魚群探知機による魚群探知をモデリングする。
【0066】
衝突検査技法は、コンピューター仮想空間において定義された3次元物体間の衝突有無を検査する方法であって、物体を構成する頂点や面が他の物体のそれらに出会って重なり合うかどうかを検査して物体同士が互いに通過できないようにする方法である。
【0067】
ここで、ソーナーシステムは、漁船を中心として前後左右の方向に比較的に広い領域において魚群探知を行うためのものであり、魚群探知機は、漁船の下部から海底に向かって音波を円錐状の軌跡を描きながら進行するように発射することにより、漁船の近傍領域において魚群探知を行うためのものである。
【0068】
漁場環境/漁撈活動ディスプレイステップは、上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境、魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動、漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データよりなる魚群探知を含んで具現される漁撈活動が立体的にディスプレイされるようにするステップであって、これは、3次元レンダーリング演算により行われる。
【0069】
上記のように構成した漁撈シミュレーター100と上記のステップよりなる漁撈シミュレーション方法を用いて漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法は、図3に示すように、シミュレーション設定ステップと、シミュレーション運用ステップと、漁撈活動評価ステップと、を含む。
【0070】
シミュレーション設定ステップは、海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類と規格を設定値とする漁具運動条件をそれぞれシミュレーター100の入力部10を介してシミュレーション遂行者が入力してシミュレーター100を初期設定するステップである。
【0071】
このようなシミュレーター100の初期設定が終わると、シミュレーション運用ステップにおいてシミュレーションを行うが、シミュレーション運用ステップは、シミュレーション遂行者が運転部20を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、シミュレーション遂行者がシミュレーター100の出力部40にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データに基づいて漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄長を運転部20を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするステップである。
【0072】
漁撈活動評価ステップは、所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して、シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価するステップである。
【0073】
上記の如きステップを経て、シミュレーション遂行者は、漁船と漁具、漁撈機械の運用を習得する。
【0074】
上述したように、本発明の実施形態による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを説明及び図示したが、これは単なる例示的な説明に過ぎず、本発明の技術的な思想から逸脱しない範囲内において様々な変化及び変更が可能であることは、この分野における通常の技術者であればよく理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、ソフトウェア技術とハードウェア技術が組み合わせられたものであって、水産海洋分野の先端技術化を加速化する。そして、漁具の構成及び運用に関連するソフトウェアとハードウェアの開発により国内漁具製作産業の技術競争力を高めることができ、それにより、国内製品の輸出競争力向上及び輸出増大に寄与可能になり、漁撈活動をゲームソフトウェアとして開発可能な基盤を確保することが可能になる。
【0076】
特に、本発明による漁撈シミュレーターは、漁業関係の教育機関において漁業の操業過程を容易に理解し、漁具特性及び魚群の行動を学習/訓練可能なツールとして活用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10:入力部
12:キーパッド
20:運転部
22:速力制御器
24:操舵器
26:ウィンチ制御器
30:制御部
32:第1のデータ演算モジュール
34:第2のデータ演算モジュール
36:レンダーリング演算モジュール
40:出力部
50:胴体
100:漁撈活動シミュレーター
【技術分野】
【0001】
本発明は、漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターに係り、さらに詳しくは、魚群を探知して集魚した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューターの3次元仮想空間において実現することができ、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、コンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境と漁撈活動が実際の漁場環境と漁撈活動に類似するように漁場環境と漁撈活動に関する学習効果が増大可能な漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、自動車、航空、船舶などの各種の分野において設計条件の判断や運行能力の向上を目的にコンピューター仮想空間においてシミュレーション対象物を具現するシミュレーターを開発して使用している。
【0003】
このようなシミュレーターは、対象物の設計や実験、運行などにおいて時間と費用を節減すると同時に条件を種々に変更可能であるという特徴があるため、特に、大規模の対象物や一定規模以上のシステムに適用する場合が多い。
【0004】
特に、沿近海及び遠洋漁業などにおいて行われるトロール漁業、旋網漁業、延縄漁業などは一定規模以上の魚群を対象とする大型漁業であって、漁撈活動が、漁場環境、漁船運動、漁具運動、魚群行動などが複合的に連動されてなるのに対し、魚群行動に合わせて漁具を正確に制御して魚類を捕獲する必要があることから、効率よい漁撈活動のために漁船及び漁具に対する専門的な知識と運行能力習得が重要である。
【0005】
このような漁船及び漁具に対する制御能力は、実際に海洋における漁撈活動経験を通じて直接的に学習して習得することが一般的であった。しかしながら、これは、直接的に漁船により漁具を曳網する実習を行わなければならないため、膨大な時間と経費がかかり、熟練されるとしても漁船のサイズ(曳網馬力)によって漁具の規模が異なってき、漁具の種類によってもそれぞれ特性が異なってくるため、これを一々学習して運行能力を習得することが困難であった。
【0006】
上記のように漁撈活動に関する学習と技術の熟練に長い時間と経費の支出が要されることから、現在、漁撈活動に対するシミュレーターの開発が様々な形態にて進行中にあるが、従来の漁撈活動シミュレーターは、器具装置を使用するアナログ基盤の技術がほとんどであり、単に漁船運動をシミュレーションする一方、魚類を漁獲する漁具運動も単に2次元空間において具現するレベルであっただけではなく、漁撈環境を構成する魚群の漁具に対する反応行動はシミュレーションされず、実際と類似する漁撈活動のシミュレーションが困難であるという問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明は、このような従来の技術の問題点を改善して、魚群を探知して駆集した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューターの3次元仮想空間において実現可能な新規なタイプの漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを提供することを目的とする。
【0008】
特に、本発明は、様々な漁船と漁具の運動を正確に計算して操業ステップ別漁具の実際の様子を3次元空間において表示し、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、コンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境と漁撈活動が実際の漁場環境と漁撈活動に類似するようにして、漁場環境と漁撈活動に関する学習効果が増大可能な新規なタイプの漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的を達成するために、本発明の特徴によれば、水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションする方法において、前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、前記入力部を介して海底地形モード、潮流の速力と方向が設定値として入力されて前記制御部において水中の物理化学的な環境データを演算するステップと、前記入力部を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、前記海底地形モード、潮流の速力と方向を条件値として前記制御部において魚群行動データを演算するステップと、前記入力部を介して漁船の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して漁船の進行速力と進行方向が運転値として入力されて前記制御部において漁船運動データを演算するステップと、前記入力部を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、前記運転部を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて前記制御部において漁撈機械作動データを演算するステップと、前記海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄の長さを条件値とし、前記入力部を介して漁具の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して前記漁船から水中に投縄される漁具の縄の長さが運転値として入力されて前記制御部において漁具運動データを演算するステップと、前記制御部に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部においてソーナーシステム探知データを演算するステップと、前記制御部に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部において魚群探知機探知データを演算するステップと、上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動を立体的にディスプレイするステップと、を含んで、漁場環境と漁撈活動を3次元上にシミュレーションすることを特徴とする。
【0010】
本発明による漁撈シミュレーション方法において、前記魚群行動データを演算するステップは、入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において互いに異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成して前記それぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えるが、前記それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、前記入力部において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性を前記それぞれの魚類個体の体長に連動させて決定することを特徴とする。
【0011】
本発明による漁撈シミュレーション方法において、前記水中の物理化学的な環境データを演算するステップは、前記入力部から水中の照度が設定値として入力され、前記魚群行動データを演算するステップは、上記において演算された漁具運動データが入力され、水中の照度、魚類の游泳速力、魚類の游泳方向及び入力された魚類の種類による魚類の漁具認知距離を条件値として前記制御部において漁具運動データと連動して演算される魚群行動データを算出して魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにすることを特徴とする。
【0012】
上述した目的を達成するために、本発明の他の特徴によれば、漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法において、前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類を設定値とする漁具運動条件をそれぞれ前記入力部を介してシミュレーション遂行者が入力して前記シミュレーターを初期設定するシミュレーション設定ステップと、前記シミュレーション遂行者が前記運転部を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、前記シミュレーション遂行者が前記出力部にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを介して漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄の長さを前記運転部を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするシミュレーション運用ステップと、所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して前記シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価する漁撈活動評価ステップと、を含むことを特徴とする。
【0013】
上述した目的を達成するために、本発明のさらに他の特徴によれば、水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションするためのシミュレーターにおいて、漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械の種類、漁具の種類と規格が設定値として入力される入力部と、漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄が水中に投縄される長さを運転値として入力する運転部と、前記入力部から入力される設定値と前記運転部から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び前記運転部から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算し、定まった範囲の3次元空間内において上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動をシミュレーションする制御部と、前記制御部からシミュレーションされた漁場環境と漁撈活動を画面上にディスプレイする出力部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
本発明による漁撈シミュレーターにおいて、前記出力部は、水中漁具運動グラフィックモニター、水中魚群行動グラフィックモニター、ソーナーシステム探知モニター、魚群探知機探知モニター、計器板モニター及び漁具状態情報モニターよりなることを特徴とする。
【0015】
本発明による漁撈シミュレーターにおいて、前記制御部は、漁船運動データ演算プログラム、漁撈機械作動データ演算プログラム及び漁具運動データ演算プログラムを含む第1のデータ演算モジュールと、魚群行動データ演算プログラム、ソーナーシステム探知データ演算プログラム及び魚群探知機探知データ演算プログラムを含む第2のデータ演算モジュールと、前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュールから入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを3次元グラフィックにレンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラムから構成されたレンダーリング演算モジュールと、を備えるが、前記制御部は、多数のサブコントローラーを備えて、それぞれのサブコントローラーに前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュール及び前記レンダーリング演算モジュールが互いに別々に内蔵されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターによれば、魚群を探知して集魚した後に漁獲する漁撈活動過程をコンピューター仮想空間において実現することが可能になる。特に、魚類個体の回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションして実際の漁場環境と漁撈活動に近い漁場環境と漁撈活動が提供されて漁撈活動に関する学習効果が増大されるだけではなく、魚類の種類と個体のサイズを異に設定して魚類の種類と個体のサイズによって行動を異にする魚群をシミュレーションすることが可能になることから、魚種別行動を踏まえて漁具を運用する方法を習得することができ、漁撈活動時に目的魚の漁獲を高め、非目的魚の漁獲を低減可能な選択的な漁業技術も向上させることができる。また、様々な漁船と漁具の操業ステップ別運動と形状を正確に計算して3次元空間において観察することができ、漁具が水中においてどのように運動して操業ステップによってどのように変わるかを視認することができることから、漁具運動に関する理解を増進させることができ、漁具の3次元的な構造を明確に把握することができることから、漁具の改良にも活用することができる。
【0017】
そして、探知された魚群と魚類を漁獲するための漁具を出力部にディスプレイしながら、漁船と漁具の操作を行うことが可能になることから、魚類漁獲のための漁船と漁具の運用を効果的に学習し、漁船と漁具運用能力を増大することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による漁撈シミュレーターを示すためのブロック図である。
【図2】本発明による漁撈シミュレーション方法を示すためのブロック図である。
【図3】本発明による漁撈シミュレーションの遂行方法を示すためのブロック図である。
【図4】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターの全体斜視図である。
【図5】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する制御部と出力部の構成関係を示すためのブロック図である。
【図6】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する運転部の操舵器、速力制御器、ウィンチ制御器のアナログ信号がデジタル信号に変換されて制御部に入力される過程を示すための図である。
【図7】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する出力部に設けられたモニターにより漁場環境と漁撈活動を構成する要素がディスプレイされた状態を示すための図である。
【図8A】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図8B】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図8C】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図である。
【図9】図9の(a)〜(c)は本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において魚群行動をシミュレーションするための魚類の行動パターンを示す図である。
【図10A】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10B】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10C】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10D】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10E】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【図10F】本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図1から図10に基づき、本発明による好適な実施形態を詳述する。なお、図面及び詳細な説明において、一般的な漁撈シミュレーターからこの分野の従事者が容易に理解可能な構成及び作用についての図示及び言及は簡略化または省略している。特に、図面の図示及び詳細な説明において、本発明の技術的な特徴と直接的に連関しない要素の具体的な技術的構成及び作用についての詳細な説明及び図示は省略し、本発明と関連する技術的な構成だけを簡略に図示または説明している。
【0020】
図1は、本発明による漁撈シミュレーターを示すためのブロック図であり、図2は、本発明による漁撈シミュレーション方法を示すためのブロック図であり、図3は、本発明による漁撈シミュレーションの遂行方法を示すためのブロック図であり、図4は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターの全体斜視図であり、図5は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する制御部と出力部の構成関係を示すためのブロック図であり、図6は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する運転部の操舵器、速力制御器、ウィンチ制御器のアナログ信号がデジタル信号に変換されて制御部に入力される過程を示すための図であり、図7は、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーターを構成する出力部に設けられたモニターに漁場環境と漁撈活動を構成する要素がディスプレイされた状態を示すための図であり、図8A、図8B及び図8Cは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において選択された漁具が出力部を構成する水中漁具運動グラフィックモニターに表示された状態を示す図であり、図9A、図9B及び図9Cは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において魚群行動をシミュレーションするための魚類の行動パターンを示す図であり、図10A、図10B、図10C、図10D、図10E及び図10Fは、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法において漁具運動に反応する魚群行動を示すための図である。
【0021】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、水中の物理化学的な環境、魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動、漁撈活動に用いられる漁具以外の漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステムと魚群探知機を用いた魚群探知を含んで具現される漁撈活動をシミュレーションするものであって、海洋において魚群を探索し、探索された魚群を漁船と漁撈機械及び漁具を運用して魚類を漁獲する漁撈活動をコンピューター仮想空間において実現してこの過程において随伴された知識と技術を学習し、且つ、熟達できるようにしたものである。特に、本発明は、コンピューターの3次元仮想空間に漁場環境及び漁撈活動がディスプレイされ、魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動がシミュレーションされて実際の漁場環境及び漁撈活動に類似する漁場環境及び漁撈活動シミュレーションが提供される。
【0022】
本発明による漁撈シミュレーター100は、図1に示すように、入力部10と、運転部20と、制御部30と、出力部40と、を備えるが、入力部10は、漁撈シミュレーター100が定まった漁場環境条件及び漁撈活動条件において作動されるように漁場環境及び漁撈活動を構成する要素を設定するものであって、本発明の好適な実施形態による入力部10は、漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械(漁具の他に、漁撈活動に用いられるウィンチ、揚縄機、揚網機、集魚灯などを言う用語)の種類、漁具の種類と規格などを設定値として入力する。
【0023】
ここで、海底地形は、本発明による漁撈シミュレーター100を介して行われる漁場環境に対応して丘や溪谷のように屈曲がある地形を水中に表現するものであって、コンピューターの3次元仮想空間をより臨場感よく表現する。
【0024】
このような海底地形は、事前設定により定まるようにしてもよく、より様々で且つ力動的な漁場環境が具現されるように多数の海底地形モードを設定してシミュレーション遂行者が海底地形モードを選択するようにしてもよい。
【0025】
そして、シミュレーションすべき漁場環境と漁撈活動の条件に応じて、特に、トロール漁業、旋網漁業、延縄漁業など相異なる形態の漁撈活動のうちシミュレーションすべき漁撈活動に合う漁船と漁撈機械及び漁具を選択してシミュレーター100を設定する。例えば、トロール漁業を選択すると、入力部10の下位メニューから低層トロール及び中層トロールのうちいずれか一方を選択してシミュレーションすることが可能になり、旋網漁業を選択すると、入力部10の下位メニューから近海鯖旋網などの中型旋網及び遠洋マグロなどの大型旋網のうちいずれか一方を選択してシミュレーションすることが可能になり、延縄漁業を選択すると、マグロなどの中層延縄をシミュレーションすることができる。ここで、図8Aには、本発明による漁撈シミュレーター100において、漁具の種類として中層トロール漁具が選択されたものが出力部40をなす水中漁具運動グラフィックモニター45に表示された状態を示し、図8Bは、大型の遠洋旋網漁具が選択されたものであり、図8Cは、マグロ延縄漁具が選択されたものである。
【0026】
ここで、本発明の好適な実施形態による入力部10は、図4に示すように、キーパッド12の形でシミュレーター胴体50に外付けられてシミュレーション遂行者が出力部40の計器板モニター41などを通じてディスプレイされる設定メニューによってシミュレーター100を設定する。
【0027】
運転部20は、漁撈シミュレーター100が作動された後に実際に漁撈活動をするための操作を行うものであって、漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄(漁船と漁具を結ぶ縄であって、漁具の種類によって曳索、締縄、幹縄などから選ばれる)が水中に投縄される長さを運転値として入力する。
【0028】
本発明の好適な実施形態による運転部20は、漁船の進行速力を調節する速力制御器22、漁船の進行方向に調節する操舵器24、漁具の縄(曳索、引締索、幹縄)が水中に投縄されたり巻き上げられる長さを調節するウィンチ制御器26を備えるが、本発明の好適な実施形態による運転部20は、図4に示すように、実際の漁船において用いられる速力制御器22、操舵器24を用いて実際の漁撈活動に類似する環境が提供されるようにしている。そして、ウィンチ制御器26は、設定用のボタンが設けられて設定用のボタンに入力されたウィンチの縄長が7−SEGMENTにディスプレイされるようにしている。
【0029】
ここで、本発明の好適な実施形態による速力制御器22、操舵器24のアナログ入力信号は、図6に示すステップを経てデジタル信号に変換されて制御部30に入力される。
【0030】
制御部30は、入力部10から入力される設定値と運転部20から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び運転部20から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算するものであって、上記のようにして演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動が定まった3次元空間内においてシミュレーションされるようにする。
【0031】
ここで、制御部30は、データ演算とデータをディスプレイするためのレンダーリング演算を同時に行う必要があるが、これにより演算量が多くて単一のCPUまたはコントローラーだけでは円滑な演算を行うことが困難になり、その結果、本発明の好適な実施形態による制御部30は、多数のCPUまたはサブコントローラーを備え、それぞれのCPUまたはサブコントローラーにデータ演算とレンダーリング演算を分散遂行させる。これにより、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーター100は、シミュレーター100のデータ処理時間と実際の時間が同期化されてリアルタイム処理システムにてまたはリアルタイムよりも早くシミュレーションを行うことが可能になる。
【0032】
すなわち、図5に示すように、本発明の好適な実施形態による制御部30は、データ演算を行う第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34、コンピューターの3次元仮想空間上にデータをディスプレイするための演算を行うレンダーリング演算モジュール36と、を備え、第1のデータ演算モジュール32、第2のデータ演算モジュール34、レンダーリング演算モジュール36をそれぞれ多数のCPUまたはサブコントローラーに分散配置してそれぞれのCPUまたはサブコントローラーにおいて独立して演算が行われた後に互いに連動される。
【0033】
ここで、第1のデータ演算モジュール32は、漁船運動データ演算プログラム322、漁具運動データ演算プログラム324及び漁撈機械作動データ演算プログラム326から構成され、第2のデータ演算モジュール34は、魚群行動データ演算プログラム342、ソーナーシステム探知データ演算プログラム344及び魚群探知機探知データ演算プログラム346から構成される。ここで、水中の物理化学的な環境データは演算量が多くないため、第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34のうちから選ばれるいずれか一方に配置可能である。
【0034】
レンダーリング演算モジュール36は、第1のデータ演算モジュール32と第2のデータ演算モジュール34から入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを3次元レンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラム362から構成されることが好ましい。
【0035】
上記のようにそれぞれの演算プログラムを配置したのは、それぞれの演算プログラムにおいて行われる演算量を考慮したためである。
【0036】
出力部40は、制御部30から水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを渡されてこれを画面上にディスプレイするものであって、本発明の好適な実施形態による出力部40は、図4及び図5に示すように、水中漁具運動グラフィックモニター45、水中魚群行動グラフィックモニター46、ソーナーシステム探知モニター43、魚群探知機探知モニター44、計器板モニター41及び漁具状態情報モニター42を備える。
【0037】
ここで、水中漁具運動グラフィックモニター45は、水中における漁具の運動状態を3次元グラフィックにて表示するためのモニターであり、水中魚群行動グラフィックモニター46は、水中における魚群の行動状態を3次元グラフィックにて表示するためのモニターであり、ソーナーシステム探知モニター43は、ソーナーシステムを通じて現在の魚群の探知状態をレーダー計器板などの形態にて表示するためのモニターであり、魚群探知機探知モニター44は、魚群探知機を通じて現在の魚群の探知状態を表示するためのモニターであり、計器板モニター41は、漁撈シミュレーションのための各種の要素の設定値や現在運転中の漁船、漁具、漁具の縄などの運転値を表示するためのモニターであり、漁具状態情報モニター42は、漁具の高さ、幅、深さなどの現在状態情報を幾何学的な形態にて表示するモニターである。
【0038】
本発明による漁撈シミュレーション方法は、漁場環境を具現する水中の物理化学的な環境、魚群行動と、漁撈活動を具現する漁船運動、漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステム探知、魚群探知機探知などをシミュレーションするためのものであって、上記のように構成される漁撈シミュレーター100を備えて、図2に示すように、水中の物理化学的な環境データ演算ステップ、魚群行動データ演算ステップ、漁船運動データ演算ステップ、漁撈機械作動データ演算ステップ、漁具運動データ演算ステップ、ソーナーシステム探知データ演算ステップ、魚群探知機探知データ演算ステップ、漁場環境/漁撈活動ディスプレイステップなどを経て漁場環境及び漁撈活動をシミュレーションする。
【0039】
水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して海底地形モード、潮流の速力と方向を設定値として入力されて制御部30において水中の物理化学的な環境データを演算するステップである。
【0040】
このような水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、水中の物理化学的な環境をコンピューターの3次元仮想空間上にディスプレイするためのデータを演算するステップであって、本発明による漁撈シミュレーター100におけるレンダーリング演算モジュール36の3次元レンダーリング演算プログラム362において演算が行われる。
【0041】
ここで、本発明の好適な実施形態による水中の物理化学的な環境データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して水中の照度を設定値としてさらに入力されるが、これは、魚群行動データ演算ステップにおいて魚群行動が漁具運動に反応する状況をシミュレーションするときに魚群をなすそれぞれの魚類個体の漁具認知有無及び漁具認知距離に水中の照度が及ぼす影響を考慮したことである。
【0042】
魚群行動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、潮流の速力と方向を条件値として制御部30において魚群行動データを演算するステップである。
【0043】
このような魚群行動データ演算ステップは、先ず、入力部10において入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において互いに異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成し、このように生成されたそれぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えて魚類個体が相異なる游泳速力をもって相異なる游泳方向に運動するようにする。
【0044】
それぞれの魚類個体は、周りの状況によって、順航、維持、突進などの様々な速力パターンにより游泳するが、本発明の好適な実施形態による漁撈シミュレーション方法においては、それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルに定まった条件による順航、維持、突進などの速力パターンが設定されている。
【0045】
ここで、順航速力は、魚類個体が200分以上持続可能な游泳速力をいい、維持速力は、魚類個体が15秒から200分未満の時間の間に維持可能な游泳速力をいい、突進速力は、魚類個体が15秒未満の時間の間に限って持続可能な游泳速力を言う。
【0046】
上記のようにそれぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、入力部10において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性をそれぞれの魚類個体の体長に連動させて決定するものである。
【0047】
例えば、本発明の実施形態において、魚類の種類として鯖を選択して入力する場合、鯖の最大順航速力は下記式により決定される。
【0048】
〔数1〕
Ums=1.64L0.32
【0049】
ここで、Umsは鯖の最大順航速力、Lは鯖の体長、1.64は鯖の游泳速度特性による特性値である。
【0050】
一方、本発明の好適な実施形態による魚群行動は、図9Aに示す凝集行動パターン、図9Bに示す分離行動パターン、図9Aに示す整列行動パターンによりモデリングされる。
【0051】
凝集行動パターンは、魚群に属するそれぞれの魚類が周りの魚類との平均位置に行けるように魚類の方向と速力を調整する行動パターンであり、分離行動パターンは、それぞれの魚類が周りの他の魚類と衝突しないように魚類の方向と速力を調整する行動パターンであり、整列行動パターンは、それぞれの魚類が周りの魚類と同じ游泳方向と游泳速力を維持するようにする行動パターンである。
【0052】
上記のようにモデリングされて具現される魚群行動は、それぞれの魚類個体が自分が属する魚群に対するいかなる情報(魚群の全体の移動方向など)も有さない臨機応変的な行動であって、これにより、本発明による魚群行動は実際の魚群行動とほとんど同様にシミュレーションすることが可能になる。
【0053】
ここで、本発明の好適な実施形態による魚群行動データ演算ステップは、魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにするが、このために、先ず、水中の物理化学的な環境データを演算するステップにおいて入力部10から水中の照度が設定値として入力される。
【0054】
次に、魚群行動データ演算ステップは、漁場環境をなす水中の照度と選択された魚類の游泳速力/游泳方向などの魚類の游泳能力、魚類の漁具認知距離などの魚類の漁具反応特性を条件値とし、前記漁具運動の出力値を入力値としてリアルタイムにて計算された魚類の漁具運動に対するリアルタイム反応を含んで魚群行動をモデリングする。すなわち、本発明の好適な実施形態においては、魚群をなす魚類個体が漁具などの障害物を発見した場合に行う回避行動をモデリングしてシミュレーションする。図10には、このような漁具運動に反応する魚群行動が示してあるが、図10Aには、トロール漁具を回避してトロール漁具から逃げる魚群行動が示してあり、図10Bには、トロール漁具の内部に駆集される魚群行動が示してあり、図10Cには、旋網漁具を回避してトロール漁具から逃げる魚群行動が示してあり、図10Dには、トロール漁具の内部に駆集される魚群行動が示してあり、図10E及び図10Fには、水中照度によって異なってくる魚群行動が例示されている。
【0055】
このように、本発明は、魚群をなす魚類個体が漁船と漁具の運動に反応する回避行動を含んで魚群行動をシミュレーションすることにより、シミュレーションされる魚群行動が実際の魚群行動にさらに近接してコンピューター仮想空間においてシミュレーションされる漁場環境及び漁撈活動が実際の漁場環境及び漁撈活動とほとんど同様になる。
【0056】
漁船運動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁船の種類が設定値として入力され、シミュレーター100の運転部20を介して漁船の進行速力と進行方向を運転値として入力されて制御部30において漁船運動データを演算するステップである。
【0057】
漁撈機械作動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、シミュレーター100の運転部20を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて制御部30において漁撈機械作動データを演算するステップである。
【0058】
ここで、漁撈機械とは、漁具以外に漁撈作業に使用する種々の機械を言うものであって、漁具の縄(曳索 、締縄、幹縄)が水中に投縄されたり巻き上げられる長さを調節するウィンチ制御器26をはじめとして、揚縄機、揚網機、集魚灯などが本発明においてシミュレーション可能である。
【0059】
このような漁撈機械は、シミュレーター100の入力部10を介して選択された漁撈機械のそれぞれの特徴によって作動方式を異にするため、それぞれの漁撈機械に対する作動値を異に設定して運転部20を介して異に設定された作動値が入力されるようにする。
【0060】
漁具運動データ演算ステップは、シミュレーター100の入力部10を介して漁具の種類と規格が設定値として入力され、シミュレーター100の運転部20を介して漁具の縄の長さが運転値として入力されるが、海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄長を条件値として制御部30において漁具運動データを演算するステップである。
【0061】
ここで、漁具の縄(曳索、締縄、幹縄)とは漁船と漁具を結ぶものを言い、本発明の好適な実施形態においては、バネと質点よりなるシステムにより漁具の縄をモデリングした後、漁船運動と、水中の物理化学的な環境をなす潮流の速力と方向、漁具の縄の水中への投縄長を条件値として漁具の縄運動データが演算される。
【0062】
そして、漁具(網)もバネと質点よりなるシステムによりモデリングするが、漁具運動(網運動)は水中の物理化学的な環境をなす潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、さらに漁船の曳網力を伝達する曳引速度によって決定されるため、潮流の速力と方向を条件値として上記において演算された漁船運動データと漁具の縄運動データを連動させて漁具運動データを演算する。
【0063】
上記のように漁具運動データ演算ステップにおいては、トロール漁具、旋網漁具、延縄漁具など漁業的に重要なあらゆる漁具から選ばれる漁具が演算される。
【0064】
ソーナーシステム探知データ演算ステップは、シミュレーター100の制御部30に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、漁船の進行速力と進行方向を条件値として制御部30においてソーナーシステム探知データを演算するステップであり、魚群探知機探知データ演算ステップは、シミュレーター100の制御部30に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、漁船の進行速力と進行方向を条件値として制御部30において魚群探知機探知データを演算するステップである。
【0065】
このようなソーナーシステム探知データ演算ステップと魚群探知機探知データ演算ステップは、衝突検査技法を用いてソーナーシステムによる魚群探知と魚群探知機による魚群探知をモデリングする。
【0066】
衝突検査技法は、コンピューター仮想空間において定義された3次元物体間の衝突有無を検査する方法であって、物体を構成する頂点や面が他の物体のそれらに出会って重なり合うかどうかを検査して物体同士が互いに通過できないようにする方法である。
【0067】
ここで、ソーナーシステムは、漁船を中心として前後左右の方向に比較的に広い領域において魚群探知を行うためのものであり、魚群探知機は、漁船の下部から海底に向かって音波を円錐状の軌跡を描きながら進行するように発射することにより、漁船の近傍領域において魚群探知を行うためのものである。
【0068】
漁場環境/漁撈活動ディスプレイステップは、上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境、魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動、漁撈機械作動、漁具運動、ソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データよりなる魚群探知を含んで具現される漁撈活動が立体的にディスプレイされるようにするステップであって、これは、3次元レンダーリング演算により行われる。
【0069】
上記のように構成した漁撈シミュレーター100と上記のステップよりなる漁撈シミュレーション方法を用いて漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法は、図3に示すように、シミュレーション設定ステップと、シミュレーション運用ステップと、漁撈活動評価ステップと、を含む。
【0070】
シミュレーション設定ステップは、海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類と規格を設定値とする漁具運動条件をそれぞれシミュレーター100の入力部10を介してシミュレーション遂行者が入力してシミュレーター100を初期設定するステップである。
【0071】
このようなシミュレーター100の初期設定が終わると、シミュレーション運用ステップにおいてシミュレーションを行うが、シミュレーション運用ステップは、シミュレーション遂行者が運転部20を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、シミュレーション遂行者がシミュレーター100の出力部40にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データに基づいて漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄長を運転部20を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするステップである。
【0072】
漁撈活動評価ステップは、所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して、シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価するステップである。
【0073】
上記の如きステップを経て、シミュレーション遂行者は、漁船と漁具、漁撈機械の運用を習得する。
【0074】
上述したように、本発明の実施形態による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターを説明及び図示したが、これは単なる例示的な説明に過ぎず、本発明の技術的な思想から逸脱しない範囲内において様々な変化及び変更が可能であることは、この分野における通常の技術者であればよく理解できるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明による漁撈シミュレーション方法と、漁撈シミュレーションの遂行方法及び漁撈シミュレーターは、ソフトウェア技術とハードウェア技術が組み合わせられたものであって、水産海洋分野の先端技術化を加速化する。そして、漁具の構成及び運用に関連するソフトウェアとハードウェアの開発により国内漁具製作産業の技術競争力を高めることができ、それにより、国内製品の輸出競争力向上及び輸出増大に寄与可能になり、漁撈活動をゲームソフトウェアとして開発可能な基盤を確保することが可能になる。
【0076】
特に、本発明による漁撈シミュレーターは、漁業関係の教育機関において漁業の操業過程を容易に理解し、漁具特性及び魚群の行動を学習/訓練可能なツールとして活用可能である。
【符号の説明】
【0077】
10:入力部
12:キーパッド
20:運転部
22:速力制御器
24:操舵器
26:ウィンチ制御器
30:制御部
32:第1のデータ演算モジュール
34:第2のデータ演算モジュール
36:レンダーリング演算モジュール
40:出力部
50:胴体
100:漁撈活動シミュレーター
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションする方法において、
前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、
前記入力部を介して海底地形モード、潮流の速力と方向が設定値として入力されて前記制御部において水中の物理化学的な環境データを演算するステップと、
前記入力部を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、前記海底地形モード、潮流の速力と方向を条件値として前記制御部において魚群行動データを演算するステップと、
前記入力部を介して漁船の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して漁船の進行速力と進行方向が運転値として入力されて前記制御部において漁船運動データを演算するステップと、
前記入力部を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、前記運転部を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて前記制御部において漁撈機械作動データを演算するステップと、
前記海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄の長さを条件値とし、前記入力部を介して漁具の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して前記漁船から水中に投縄される漁具の縄の長さが運転値として入力されて前記制御部において漁具運動データを演算するステップと、
前記制御部に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部においてソーナーシステム探知データを演算するステップと、
前記制御部に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部において魚群探知機探知データを演算するステップと、
上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動を立体的にディスプレイするステップと、
を含んで、漁場環境と漁撈活動を3次元上にシミュレーションすることを特徴とする漁撈シミュレーション方法。
【請求項2】
前記魚群行動データを演算するステップは、入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において相異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成して前記それぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えるが、
前記それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、前記入力部において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性を前記それぞれの魚類個体の体長に連動させて決定されることを特徴とする請求項1に記載の漁撈シミュレーション方法。
【請求項3】
前記水中の物理化学的な環境データを演算するステップにおいて前記入力部から水中の照度を設定値として入力し、
前記魚群行動データを演算するステップは、上記において演算された漁具運動データが入力され、水中の照度、魚類の游泳速力、魚類の游泳方向及び入力された魚類の種類による魚類の漁具認知距離を条件値として前記制御部において漁具運動データと連動して演算される魚群行動データを算出して魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにすることを特徴とする請求項2に記載の漁撈シミュレーション方法。
【請求項4】
漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法において、
前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、
海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類を設定値とする漁具運動条件をそれぞれ前記入力部を介してシミュレーション遂行者が入力して前記シミュレーターを初期設定するシミュレーション設定ステップと、
前記シミュレーション遂行者が前記運転部を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、前記シミュレーション遂行者が前記出力部にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データに基づいて漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄の長さを前記運転部を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするシミュレーション運用ステップと、
所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して前記シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価する漁撈活動評価ステップと、
を含むことを特徴とする漁撈シミュレーションの遂行方法。
【請求項5】
水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションするためのシミュレーターにおいて、
漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械の種類、漁具の種類と規格を設定値として入力する入力部と、
漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄が水中に投縄される長さを運転値として入力する運転部と、
前記入力部から入力される設定値と前記運転部から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び前記運転部から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算し、定まった範囲の3次元空間内において上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動をシミュレーションする制御部と、
前記制御部からシミュレーションされた漁場環境と漁撈活動を画面上にディスプレイする出力部と、
を備えることを特徴とする漁撈シミュレーター。
【請求項6】
前記出力部は、水中漁具運動グラフィックモニター、水中魚群行動グラフィックモニター、ソーナーシステム探知モニター、魚群探知機探知モニター、計器板モニター及び漁具状態情報モニターよりなることを特徴とする請求項5に記載の漁撈シミュレーター。
【請求項7】
前記制御部は、
漁船運動データ演算プログラム、漁撈機械作動データ演算プログラム及び漁具運動データ演算プログラムを含む第1のデータ演算モジュールと、
魚群行動データ演算プログラム、ソーナーシステム探知データ演算プログラム及び魚群探知機探知データ演算プログラムを含む第2のデータ演算モジュールと、
前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュールから入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ及び魚群探知機探知データを3次元グラフィックにレンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラムから構成されたレンダーリング演算モジュールと、
を備えるが、
前記制御部は、多数のサブコントローラーを備えて、それぞれのサブコントローラーに前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュール及び前記レンダーリング演算モジュールが互いに別々に内蔵されることを特徴とする請求項5または6に記載の漁撈シミュレーター。
【請求項1】
水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションする方法において、
前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、
前記入力部を介して海底地形モード、潮流の速力と方向が設定値として入力されて前記制御部において水中の物理化学的な環境データを演算するステップと、
前記入力部を介して魚類の種類と個体数が設定値として入力され、前記海底地形モード、潮流の速力と方向を条件値として前記制御部において魚群行動データを演算するステップと、
前記入力部を介して漁船の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して漁船の進行速力と進行方向が運転値として入力されて前記制御部において漁船運動データを演算するステップと、
前記入力部を介して漁撈活動に使用する漁具以外の漁撈機械の種類を選択して設定値として入力し、前記運転部を介して選択された漁撈機械に相当する作動値が入力されて前記制御部において漁撈機械作動データを演算するステップと、
前記海底地形モード、潮流の速力と方向、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄の長さを条件値とし、前記入力部を介して漁具の種類が設定値として入力され、前記運転部を介して前記漁船から水中に投縄される漁具の縄の長さが運転値として入力されて前記制御部において漁具運動データを演算するステップと、
前記制御部に予め設定されたソーナーシステムの音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部においてソーナーシステム探知データを演算するステップと、
前記制御部に予め設定された魚群探知機の音波進行速力と進行方向、前記漁船の進行速力と進行方向を条件値として前記制御部において魚群探知機探知データを演算するステップと、
上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを互いに連動させて3次元空間に水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動を立体的にディスプレイするステップと、
を含んで、漁場環境と漁撈活動を3次元上にシミュレーションすることを特徴とする漁撈シミュレーション方法。
【請求項2】
前記魚群行動データを演算するステップは、入力された魚類の個体数に合わせて定まった範囲において相異なる体長と体重を有するようにそれぞれの魚類個体を生成して前記それぞれの魚類個体に游泳速力と游泳方向よりなる游泳速度ベクトルを与えるが、
前記それぞれの魚類個体に与えられる游泳速度ベクトルは、前記入力部において入力された魚類の種類による魚類の游泳速度特性を前記それぞれの魚類個体の体長に連動させて決定されることを特徴とする請求項1に記載の漁撈シミュレーション方法。
【請求項3】
前記水中の物理化学的な環境データを演算するステップにおいて前記入力部から水中の照度を設定値として入力し、
前記魚群行動データを演算するステップは、上記において演算された漁具運動データが入力され、水中の照度、魚類の游泳速力、魚類の游泳方向及び入力された魚類の種類による魚類の漁具認知距離を条件値として前記制御部において漁具運動データと連動して演算される魚群行動データを算出して魚群行動が漁具運動に反応する状況がシミュレーションされるようにすることを特徴とする請求項2に記載の漁撈シミュレーション方法。
【請求項4】
漁撈活動をシミュレーションにより行うための方法において、
前記漁場環境と漁撈活動を具現する設定値を入力する入力部と、漁船/漁撈機械/漁具/魚群探知装置の作動有無及び運転値を入力する運転部と、魚群探知装置を構成するソーナーシステムと魚群探知機の音波進行速力と進行方向を予め設定してそれぞれの魚群探知データを演算し、前記入力部と運転部から入力される設定値と運転値に基づいて水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データを演算する制御部、及び前記制御部から入力された水中の物理化学的な環境データ/魚群行動データ/漁船運動データ/漁撈機械作動データ/漁具運動データ/魚群探知データに合わせて漁場環境と漁撈活動をディスプレイする出力部を有する漁撈シミュレーターを備えて、
海底地形モード、潮流の速力と方向、水中の照度を設定値とする水中の物理化学的な環境条件と、魚類の種類と個体数を設定値とする魚群行動条件と、漁船の種類を設定値とする漁船運動条件と、漁撈機械の種類を設定値とする漁撈機械条件と、漁具の種類を設定値とする漁具運動条件をそれぞれ前記入力部を介してシミュレーション遂行者が入力して前記シミュレーターを初期設定するシミュレーション設定ステップと、
前記シミュレーション遂行者が前記運転部を介して漁船と漁船に設けられたソーナーシステム及び魚群探知機を仮想的に稼働させ、前記シミュレーション遂行者が前記出力部にディスプレイされるソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データに基づいて漁場環境をリアルタイムにて点検して魚群を探知しながら漁船の進行速力と進行方向、漁撈機械の作動、漁具の投網、投網された漁具の縄の長さを前記運転部を介してリアルタイムにて入力して魚群の探知、魚類の漁獲をシミュレーションするシミュレーション運用ステップと、
所定の時間が経過すると、シミュレーションを終え、漁具を介して漁獲された魚類の全体の漁獲量を算出して前記シミュレーション設定ステップにおいて設定された魚類の個体数と比較して漁撈活動の結果を評価する漁撈活動評価ステップと、
を含むことを特徴とする漁撈シミュレーションの遂行方法。
【請求項5】
水中の物理化学的な環境/魚群行動を含んで具現される漁場環境と、漁船運動/漁撈機械作動/漁具運動/魚群探知を含んで具現される漁撈活動と、をシミュレーションするためのシミュレーターにおいて、
漁場環境をなす海底地形、潮流の速力と方向、水中の照度、魚類の種類、魚類の個体数と、漁撈活動をなす漁船の種類、漁撈機械の種類、漁具の種類と規格を設定値として入力する入力部と、
漁船の稼働有無、漁撈機械の稼働有無、漁具の投網有無、ソーナーシステムの稼働有無、魚群探知機の稼働有無、漁船の進行速力と進行方向、漁具の縄が水中に投縄される長さを運転値として入力する運転部と、
前記入力部から入力される設定値と前記運転部から入力される運転値に基づいて、水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データを演算し、予め設定されたソーナーシステムと魚群探知機それぞれの音波進行速力と進行方向及び前記運転部から入力される漁船の進行速力と進行方向を条件値としてソーナーシステム探知データと魚群探知機探知データを演算し、定まった範囲の3次元空間内において上記において演算された水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ、魚群探知機探知データを連動させて漁場環境と漁撈活動をシミュレーションする制御部と、
前記制御部からシミュレーションされた漁場環境と漁撈活動を画面上にディスプレイする出力部と、
を備えることを特徴とする漁撈シミュレーター。
【請求項6】
前記出力部は、水中漁具運動グラフィックモニター、水中魚群行動グラフィックモニター、ソーナーシステム探知モニター、魚群探知機探知モニター、計器板モニター及び漁具状態情報モニターよりなることを特徴とする請求項5に記載の漁撈シミュレーター。
【請求項7】
前記制御部は、
漁船運動データ演算プログラム、漁撈機械作動データ演算プログラム及び漁具運動データ演算プログラムを含む第1のデータ演算モジュールと、
魚群行動データ演算プログラム、ソーナーシステム探知データ演算プログラム及び魚群探知機探知データ演算プログラムを含む第2のデータ演算モジュールと、
前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュールから入力される水中の物理化学的な環境データ、魚群行動データ、漁船運動データ、漁撈機械作動データ、漁具運動データ、ソーナーシステム探知データ及び魚群探知機探知データを3次元グラフィックにレンダーリングするための3次元レンダーリング演算プログラムから構成されたレンダーリング演算モジュールと、
を備えるが、
前記制御部は、多数のサブコントローラーを備えて、それぞれのサブコントローラーに前記第1のデータ演算モジュールと第2のデータ演算モジュール及び前記レンダーリング演算モジュールが互いに別々に内蔵されることを特徴とする請求項5または6に記載の漁撈シミュレーター。
【図10A】
【図10B】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【図10B】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10C】
【図10D】
【図10E】
【図10F】
【公開番号】特開2009−213473(P2009−213473A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−40155(P2009−40155)
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(509053891)プキョン ナショナル ユニバーシティ インダストリー−ユニバーシティ コーポレーション ファンデーション (2)
【出願人】(000110882)ニチモウ株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月24日(2009.2.24)
【出願人】(509053891)プキョン ナショナル ユニバーシティ インダストリー−ユニバーシティ コーポレーション ファンデーション (2)
【出願人】(000110882)ニチモウ株式会社 (52)
【Fターム(参考)】
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