説明

漂白パルプの製造方法

【課題】 製紙用化学パルプの製造で、初段に分子状塩素を用いないECF漂白において、漂白コストを削減し、かつパルプ粘度を維持しながら、ECF漂白パルプの褪色性を改善することである。さらに、オゾン、二酸化塩素の使用量を削減し、有機塩素化合物の生成を抑制し、より環境に好ましい漂白方法を提供する。
【解決手段】リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、次いでモノ過硫酸を用いる処理段を含む多段漂白処理を行う漂白パルプの製造方法において、モノ過硫酸を用いる処理段に絶乾パルプ質量当たり少なくとも0.01質量%のモノ過硫酸を添加し、モノ過硫酸の消費率が少なくとも40%となるようにモノ過硫酸処理を行った後、次いでオゾン処理を行うことを特徴とする漂白パルプの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リグノセルロース物質から漂白パルプを製造する方法に関する。さらに詳しく述べれば、オゾン使用量の少ないECF(エレメンタリークロリンフリー)漂白パルプの褪色性を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙用化学パルプの漂白は、多段にわたる漂白処理により実施されている。従来より、この多段漂白には漂白剤として塩素系漂白薬品が使用されている。具体的には、塩素(C)、次亜塩素酸塩(H)、二酸化塩素(D)の組み合わせにより、たとえば、C−E−H−D、C/D−E−H−E−Dなどのシーケンスによる漂白が行われてきた。
ここで、「C」は、塩素処理段、「H」は、次亜塩素酸塩処理段、「D」は、二酸化塩素処理段、「E」は、アルカリ処理段を意味する。また、「−」は、「−」の直前に記載の処理段の工程の後、洗浄を行い、その後、「−」の直後に記載の処理段の工程を行なうことを意味する。さらに、「/」は、「/」の直前及び直後に記載の薬品等を併用した処理段を意味し、例えば、「C/D」は、塩素と二酸化塩素とを併用した処理段を意味する。
【0003】
しかし、これらの塩素系漂白薬品は漂白時に環境に有害な有機塩素化合物を副生し、この有機塩素化合物を含む漂白廃水の環境汚染が問題になっている。有機塩素化合物は一般にAOX法、たとえば米国環境庁(EPA;METHOD−9020号)によって分析、評価される。
【0004】
有機塩素化合物の副生を低減・防止するには、塩素系薬品の使用量を低減するか、ないしは使用しない事が最も効果的であり、特に初段に分子状塩素を使用しないことが最も有効な方法である。この方法で製造されたパルプはECF(エレメンタリークロリンフリー)パルプと呼ばれ、更に塩素系薬品を全く用いずに製造されたパルプはTCF(トータリークロリンフリー)パルプと呼ばれている。
【0005】
蒸解−酸素脱リグニン処理したパルプを初段に分子状塩素を用いない漂白方法として、初段に二酸化塩素を用いたD−Eo−D、D−Eop−D或いは、D−Eo−D−D、D−Eop−D−Dシークエンス、D−Eo−P−D、D−Eop−P−Dシークエンス(pまたはPは過酸化水素)、また初段にオゾンを用いたZ−Eop−D、Z−Eo−P−D、ZD−Eop−Dシークエンスによる漂白が一般に知られている。
ここで、「Z」は、オゾン処理段を意味し、「P」は、過酸化水素処理段を意味する。また、「p」は、過酸化水素を意味し、「o」は、酸素を意味する。そして、「Eo」は、酸素を併用したアルカリ処理段を意味し、「Eop」は、酸素、過酸化水素を併用したアルカリ処理段を意味する。さらに、「ZD」は、オゾン処理段(Z)と二酸化塩素処理段(D)との間に洗浄を行うことなく処理を連続することを意味する。その他は、前述したとおりである。
【0006】
しかしながら、二酸化塩素、オゾンは、従来用いられていた塩素と比べるとヘキセンウロン酸(「HexA」ということがある)の除去能力が低いために、漂白後のパルプに多量のHexAが残存する。この残存HexAがECFあるいはTCF漂白パルプの褪色性悪化の原因となる。
【0007】
ヘキセンウロン酸とは、パルプ中に存在するヘミセルロースであるキシランに結合しているα−グルクロン酸が蒸解工程にて脱メタノールする事により生じる物質である。パルプの白色度への影響は小さいものの、分子内に二重結合を有するため、過マンガン酸カリウムと反応し、K価あるいはkappa価としてカウントされ、二酸化塩素、オゾン等の漂白剤を消費する。
【0008】
また、紙を製造する方法として、硫酸バンドを使用する酸性抄紙と炭酸カルシウムを使用する中性抄紙がある。中性紙もHexA含有量の増大とともに褪色性が悪化するが、その程度は少なく、特に褪色性が悪化する紙は硫酸バンドを使用した酸性紙である。酸性抄紙した紙の褪色性が悪化する原因については、今のところ分かっていないが、HexAの存在、硫酸バンドの使用が原因の一因と考えられている。
【0009】
一般に、製紙工場では、一連の漂白設備からでてきた無塩素漂白パルプは多数の抄紙機によって、それぞれ中性紙、酸性紙に抄造されている。従って、同一漂白工程からでてきた同じ無塩素漂白パルプを使用して、一方では酸性紙を抄造し、他方では中性紙を抄造している。この場合、中性抄紙で製造した紙の褪色性は問題なくても、酸性抄紙した紙の褪色性が問題となる場合がある。
【0010】
この褪色性悪化を改善する方法に、脱HexA能力のある二酸化塩素あるいはオゾンの使用量を増やしHexAを除去する必要がある。しかし、この場合、白色度が上がり過ぎる、漂白コストが大幅に増大するとの問題を生じている。
【0011】
二酸化塩素の使用量を抑え褪色を改善する方法として、漂白前処理として高温酸処理を行う方法(特許文献1参照)、また二酸化塩素段を高温下で行う方法(特許文献2参照)が提案されている。しかしながら、いずれの方法も多大なエネルギーコストを要するという問題がある。
【0012】
オゾンの使用量を抑える方法として、高温酸処理を行った後、オゾン処理、アルカリ抽出処理を行い、さらに二酸化塩素処理を行う方法が提案されている(特許文献3参照)。この方法は初段脱リグニン、粘度低下抑制に関する方法であるが、HexA除去、褪色性の改善については何ら記載されていない。
【0013】
モノ過硫酸を漂白に適用する方法として、モノ過硫酸とオゾンの組み合わせで行う漂白法に関する方法が提案されている(特許文献4参照)。この方法は漂白工程の初段脱リグニンに関する方法であるが、HexA除去、褪色性の改善、粘度低下抑制効果については何ら記載されていない。
【0014】
また、アルカリ酸素漂白後のパルプを無機ペルオキシ酸で処理した後、オゾン処理から始まる多段漂白を行う方法が提案されている(特許文献5参照)。この方法は、モノ過硫酸処理を漂白の初段に導入することによりHexAを除去し、褪色性を改善する方法であるが、モノ過硫酸の消費率とヘキセンウロン酸除去・褪色性の改善の関係については何ら記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特表平10−508346号公報
【特許文献2】特表2004−522008号公報
【特許文献3】特開2000−290887号公報
【特許文献4】特表平8−511308号公報
【特許文献5】特開2007−308815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の目的は、製紙用化学パルプの製造で、初段に分子状塩素を用いないECF漂白において、漂白コストを削減し、かつパルプ粘度を維持しながら、ECF漂白パルプの褪色性を改善することである。さらに、オゾン、二酸化塩素の使用量を削減し、有機塩素化合物の生成を抑制し、より環境に好ましい漂白方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、蒸解、アルカリ酸素漂白後のパルプに、所定の消費率までモノ過硫酸処理した後、オゾン処理を行うことにより、パルプ粘度を過度に低下させずに褪色性の改善した漂白パルプを製造することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0018】
すなわち、本発明はリグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、次いでモノ過硫酸を用いる処理段を含む多段漂白処理を行う漂白パルプの製造方法において、モノ過硫酸を用いる処理段に絶乾パルプ質量当たり少なくとも0.01質量%のモノ過硫酸を添加し、モノ過硫酸の消費率が少なくとも40%となるようにモノ過硫酸処理を行った後、次いでオゾン処理を行うことを特徴とする漂白パルプの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、蒸解、アルカリ酸素漂白後のパルプにモノ過硫酸を用いて処理を行う方法において、所定の消費率までモノ過硫酸処理した後、オゾン処理を行うことにより、二酸化塩素を増量しなくてもヘキセンウロン酸を効率的に除去することができ、パルプ粘度を過度に低下させずに褪色性を改善できる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明で用いられるリグノセルロース物質は、ヘキセンウロン酸を生成するメチルグルクロン酸を多く含有する広葉樹材が好適であるが、針葉樹材でもよく、竹や麻のような非木材と呼ばれるものでもよく、さらにこれらの混合物でもよく、特に限定されるものではない。
【0021】
本発明に使用されるパルプを得るための蒸解法としては、クラフト蒸解、ポリサルファイド蒸解、ソーダ蒸解、アルカリサルファイト蒸解等の公知の蒸解法を用いることができるが、パルプ品質、エネルギー効率等を考慮すると、クラフト蒸解法、または、ポリサルファイド蒸解が好適に用いられる。
【0022】
例えば、広葉樹材100%のリグノセルロースをクラフト蒸解する場合、クラフト蒸解液の硫化度は5〜75質量%、好ましくは15〜45質量%、有効アルカリ添加率は絶乾木材質量当たり5〜30質量%、好ましくは10〜25質量%、蒸解温度は130〜170℃である。蒸解方式は、連続蒸解法あるいはバッチ蒸解法のどちらでもよく、連続蒸解釜を用いる場合は、蒸解液を多点で添加する修正蒸解法でもよく、その方式は特に問わない。
【0023】
蒸解に際して、使用する蒸解液に蒸解助剤として公知の環状ケト化合物、例えばベンゾキノン、ナフトキノン、アントラキノン、アントロン、フェナントロキノン及び前記キノン系化合物のアルキル、アミノ等の核置換体、或いは前記キノン系化合物の還元型であるアントラヒドロキノンのようなヒドロキノン系化合物、さらにはディールスアルダー法によるアントラキノン合成法の中間体として得られる安定な化合物である9,10−ジケトヒドロアントラセン化合物等から選ばれた1種或いは2種以上が添加されてもよく、その添加率は通常の添加率であり、例えば、木材チップの絶乾質量当たり0.001〜1.0質量%である。
【0024】
公知の蒸解法により得られた未漂白化学パルプは洗浄、粗選及び精選工程を経て、公知のアルカリ酸素漂白法により脱リグニンされる。本発明に使用されるアルカリ酸素漂白法は、公知の中濃度法あるいは高濃度法がそのまま適用できるが、現在汎用的に用いられているパルプ濃度が8〜15質量%で行われる中濃度法が好ましい。
【0025】
前記中濃度法によるアルカリ酸素漂白法において、アルカリとしては苛性ソーダあるいは酸化されたクラフト白液を使用することができ、酸素ガスとしては、深冷分離法からの酸素、PSA(Pressure Swing Adsorption)からの酸素、VSA(Vacuum Swing Adsorption)からの酸素等が使用できる。
前記酸素ガスとアルカリは中濃度ミキサーにおいて中濃度のパルプスラリーに添加され混合が十分に行われた後、加圧下でパルプ、酸素及びアルカリの混合物を一定時間保持できる反応塔へ送られ、脱リグニンされる。酸素ガスの添加率は、絶乾(BD:bone dry)パルプ質量当たり0.5〜3質量%、アルカリ添加率は0.5〜4質量%、反応温度は80〜120℃、反応時間は15〜100分、パルプ濃度は8〜15質量%が好適であり、この他の条件は公知のものが適用できる。本発明では、アルカリ酸素漂白工程において、上記アルカリ酸素漂白を連続して複数回行い、できる限り脱リグニンを進め、重金属の含有量を減らしておくのが好ましい実施形態である。アルカリ酸素漂白が施されたパルプは次いで洗浄工程へ送られる。洗浄後のパルプは、多段漂白処理工程へ送られる。
【0026】
本発明のモノ過硫酸処理を用いる処理段を含む多段漂白処理としては、例えば、PxZD−Ep−D、PxZD−Eop−D、PxZD−Ep−P−D、PxZD−Eop−P−D、PxZD−Ep−D−D、PxZD−Eop−D−D、PxZD−Ep−D−P、PxZD−Eop−D−P、Px−ZD−Ep−D、Px−ZD−Eop−D、Px−ZD−Ep−P−D、Px−ZD−Eop−P−D、Px−ZD−Ep−D−D、Px−ZD−Eop−D−D、Px−ZD−Ep−D−P、Px−ZD−Eop−D−P、PxZ−D−Ep−D、PxZ−D−Eop−D、PxZ−D−Ep−P−D、PxZ−D−Eop−P−D、PxZ−D−Ep−D−D、PxZ−D−Eop−D−D、PxZ−D−Ep−D−P、PxZ−D−Eop−D−P、Px−Z−D−Ep−D、Px−Z−D−Eop−D、Px−Z−D−Ep−P−D、Px−Z−D−Eop−P−D、Px−Z−D−Ep−D−D、Px−Z−D−Eop−D−D、Px−Z−D−Ep−D−P、Px−Z−D−Eop−D−P、PxZ−Ep−D、PxZ−Eop−D、Px−Z−Ep−D、Px−Z−Eop−D、PxZ−Ep−P−D、PxZ−Eop−P−D、Px−Z−Ep−P−D、Px−Z−Eop−P−D、PxZ−Ep−D−D、PxZ−Eop−D−D、Px−Z−Ep−D−D、Px−Z−Eop−D−D、D−Ep−PxZD、D−Eop−PxZD、D−Ep−P−PxZD、D−Eop−P−PxZD、D−Ep−D−PxZD、D−Eop−D−PxZD、D−Ep−Px−ZD、D−Eop−Px−ZD、D−Ep−P−Px−ZD、D−Eop−P−Px−ZD、D−Ep−D−Px−ZD、D−Eop−D−Px−ZD、D−Ep−PxZ−D、D−Eop−PxZ−D、D−Ep−P−PxZ−D、D−Eop−P−PxZ−D、D−Ep−D−PxZ−D、D−Eop−D−PxZ−D、D−Ep−Px−Z−D、D−Eop−Px−Z−D、D−Ep−P−Px−Z−D、D−Eop−P−Px−Z−D、D−Ep−D−Px−Z−D、D−Eop−D−Px−Z−D、D−Ep−D−PxZ、D−Eop−D−PxZ、D−Ep−P−PxZ、D−Eop−P−PxZ、D−Ep−D−Px−Z、D−Eop−D−Px−Z、D−Ep−P−Px−Z、D−Eop−P−Px−Zのようなオゾンと二酸化塩素を使用したECFシークエンスが挙げられるが、これらのシーケンスに限定されるものではない。
ここで、「Px」はモノ過硫酸処理段を意味し、「PxZ」は、モノ過硫酸処理段(Px)とオゾン処理段(Z)との間に洗浄を行うことなく処理を連続することを意味する。さらに、「ZD」は、オゾン処理段(Z)と二酸化塩素処理段(D)との間に洗浄を行うことなく処理を連続することを意味する。
モノ過硫酸処理は、モノ過硫酸の添加率あたりのパルプの褪色性改善効果がより大きい点から多段漂白処理の初段に行うのが好ましい実施形態である。
【0027】
本発明で使用されるモノ過硫酸(以下、MPSということがある)は、ペルオキシ二硫酸を加水分解して製造することもできるし、過酸化水素と硫酸を任意の割合で混合して製造することもできるが、その製造方法については特に限定するものではない。また、モノ過硫酸の複塩(2KHSO・KHSO・KSO)であるオキソンのようなものを使用することもできる。ただし、経済性を考慮すると、高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造し、使用するのが好ましい実施形態である。
【0028】
高濃度の過酸化水素と高濃度の硫酸を混合してモノ過硫酸を製造する方法としては、20質量%〜70質量%、好ましくは35質量%〜60質量%濃度の過酸化水素水に80質量%〜98%質量%、好ましくは93質量%〜98質量%の濃硫酸を滴下、混合する方法が好適である。前記硫酸と過酸化水素の混合モル比は好ましくは1:1〜5:1であり、さらに好ましくは2:1〜4:1である。過酸化水素、硫酸共に、濃度の低いものを用いるとモノ過硫酸の製造効率が低下するため適さない。また、濃度が高すぎると、発火等の危険性が大きくなるため適さない。さらに、硫酸と過酸化水素の混合モル比が1:1〜5:1から外れる場合にもモノ過硫酸の製造効率が低下するために好ましくない。
【0029】
本発明では、モノ過硫酸を用いる処理段にモノ過硫酸を添加し、所定の消費率までモノ過硫酸処理する。本発明のモノ過硫酸処理条件を以下に示す。モノ過硫酸添加率は、絶乾パルプ質量当たり少なくとも0.01質量%である。処理pHは好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜4である。モノ過硫酸添加率が0.01質量%未満ではヘキセンウロン酸の低減効果が不十分である。モノ過硫酸添加率が高くなるに従い、パルプスラリーのpHが低下する傾向を示し、pH1.5未満となるとパルプ粘度が著しく低下する怖れがある。このため、公知のアルカリおよび酸を使用することで前記pH範囲にpH調整することでこれらの問題を回避できるが、経済性を考慮するとモノ過硫酸添加率としては、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.1〜1質量%が好適である。処理温度は20〜100℃が好ましく、40〜90℃がさらに好ましい。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。処理時間は、添加したモノ過硫酸の40%以上が消費されるように決定される。
【0030】
本発明のパルプは、添加したモノ過硫酸の少なくとも40%が消費された後に、引き続きオゾン処理が施される。特にモノ過硫酸の消費率が40〜60%になった時点でオゾン処理に移行するのが好ましい。モノ過硫酸の消費率が40〜60%の範囲であるときに、オゾン処理に移ると、ヘキセンウロン酸を効率的に除去できるだけでなく、パルプの粘度低下を抑制できるために好ましい。
【0031】
更に粘度低下を抑制するために、モノ過硫酸処理時にキレート剤、多価カルボン酸、またはこれらの混合物を併用使用してもよい。
【0032】
本発明では、モノ過硫酸処理を行った後、次いでオゾン処理を行う。モノ過硫酸処理からオゾン処理に移行する際には、モノ過硫酸処理を行ったパルプを水で洗浄をしてもしなくてもよいが、モノ過硫酸処理を行った後、パルプを洗浄しないでオゾン処理を行う方が、オゾン処理後のヘキセンウロン酸濃度を小さくできるので好ましい。
【0033】
モノ過硫酸処理に次いで実施されるオゾン処理の条件としては、オゾン添加率は絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.05〜2質量%、より好ましくは0.1%〜1.0質量%である。処理pHは好ましくは1〜7、より好ましくは2〜5、さらに好ましくは2.5〜4であり、pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は数十秒〜数十分である。処理温度は好ましくは20〜100℃、より好ましくは40〜80℃である。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、30%程度の高濃度、あるいは10%程度の中濃度のいずれでも行うことができるが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。
【0034】
本発明では、オゾン処理後のパルプは、洗浄せずに二酸化塩素処理を行うことが好ましい形態である。二酸化塩素処理段の条件としては、二酸化塩素添加率は絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.2%〜2.0%である。処理pHは好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜4であり、pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は好ましくは1分〜5時間、より好ましくは10分〜180分である。処理温度は好ましくは20℃〜100℃、より好ましくは40℃〜90℃である。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。
【0035】
モノ過硫酸処理を用いる処理段を含む多段漂白処理の一例としてPxZD−Eop−Dについて、この漂白方法のZD段以降の漂白方法について説明する。
【0036】
PxZD処理されたパルプは洗浄工程へ移送される。洗浄方法としては、一般的な洗浄方法を用いることができ、パルプ中の残存薬液、COD等が効率よく洗浄できればいずれの洗浄機でもよく、例えば、ディヒュージョンタイプ、プレスタイプ、ワイヤ−タイプの洗浄機が使用できる。
【0037】
洗浄されたパルプはアルカリ/酸素/過酸化水素処理工程(Eop)に送られる。一般にアルカリ量としては、絶乾パルプ質量あたり0.5〜3.0質量%であり、酸素量としては、0.05〜0.3質量%であり、過酸化水素量量としては、絶乾パルプ質量あたり0.05〜1.0質量%である。処理pHは漂白後のpHとして好ましくは10〜12であり、より好ましくは11.0〜11.7である。処理時間は好ましくは15分〜5時間、より好ましくは30分〜3時間である。処理温度は、好ましくは20〜100℃、より好ましくは50〜90℃である。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。アルカリ/酸素/過酸化水素処理されたパルプは、洗浄工程へ移送される。洗浄方法としては、パルプ中の残存薬液、COD等が効率よく洗浄できればいずれの方法でもよい。
【0038】
洗浄されたパルプは、最終段の二酸化塩素処理段へ送られる。この処理段の二酸化塩素添加率は、絶乾パルプ質量当たり好ましくは0.05〜1.0質量%であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。処理pHは好ましくは1.5〜6、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは4〜6である。pH調整用に公知のアルカリおよび酸を使用することができる。処理時間は好ましくは15分〜5時間、より好ましくは30分〜180分である。処理温度は好ましくは20℃〜100℃、より好ましくは50℃〜80℃である。パルプスラリー中のパルプ濃度に関しては特に限定されるものではないが、操作性の点から好適には8〜15質量%で行われる。
【0039】
上記多段漂白処理シーケンスで漂白された完成パルプの白色度は70〜89%であることが好ましい。また、パルプの褪色度の指標になるK価、ヘキセンウロン酸残量は低ければ低いほど好ましいが、そのためには多量の漂白薬剤を必要とし、パルプ粘度低下、コストアップの問題が生じる。そこで、パルプの褪色問題と漂白コストの両方を解決できる本発明法に好適な完成パルプ物性としては、K価1.5以下、ヘキセンウロン酸残量10μmol/パルプg以下である。
【0040】
上記の多段漂白処理シーケンスにより所望の白色度、K価、ヘキセンウロン酸残量となるように漂白された完成パルプは、貯槽工程を経て抄紙工程へ送られる。
【0041】
本発明で用いるpH調整用の酸としては、特に限定されるものではないが、塩酸、硫酸、亜硫酸、硝酸、蟻酸、シュウ酸等の無機、有機の酸が挙げられる。pH調整用のアルカリとしては、特に限定されるものではないが、苛性ソーダ、苛性カリウム、炭酸ソーダ、炭酸カルシウム、アンモニア、アミン類等の無機、有機のアルカリが挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例、比較例においては、特に示さない限り、モノ過硫酸の製造、モノ過硫酸の消費率の測定法、パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定、パルプ粘度の測定、パルプ白色度の測定、パルプの褪色性評価、パルプのヘキセンウロン酸の測定、各段の漂白条件はそれぞれ以下の方法・条件で行った。なお、実施例及び比較例における薬品の添加率は絶乾パルプ質量当たりの質量%を示す。
【0043】
1.モノ過硫酸(MPS)の製造
工業用の45質量%過酸化水素水442g中に工業用の95質量%硫酸1810gを添加し、モノ過硫酸を製造した。製造したモノ過硫酸の濃度は、18.2質量%であった。
【0044】
2.モノ過硫酸(MPS)の消費率の測定法
モノ過硫酸処理後のパルプを絶乾パルプ質量当たり20g取り出し、綿布を用いて50mlのろ液を採取した。ろ液を25mlずつ分割し、一方を0.025mol/Lの硫酸セリウム(IV)溶液を用いて、もう一方を0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム溶液を用いて酸化還元滴定を行った。0.1mol/Lのチオ硫酸ナトリウム滴定で測定した、ろ液中の全過酸化物の濃度から、0.025mol/Lの硫酸セリウム滴定で測定した、過酸化水素濃度を差し引き、ろ液中のMPS濃度を求め、パルプ質量当たりの残存MPS濃度を算出した。MPSの消費率は、下式により算出した。
MPS消費率(%)=100−{(残存MPS濃度/添加したMPS濃度)×100}
【0045】
3.パルプの過マンガン酸カリウム価(K価)の測定
過マンガン酸カリウム価の測定は、TAPPI UM 253に準じて行った。
【0046】
4.パルプ粘度の測定
パルプ粘度の測定は、J.TAPPI No.44法に準じて行った。
【0047】
5.パルプ白色度の測定
漂白パルプを離解後、ISO3688−1977に従って坪量400g/mのシートを2枚作製し、JIS P 8148に従ってパルプの白色度を測定した。
【0048】
6.パルプの褪色性評価
漂白パルプを離解後、硫酸アルミニウムを加え、pH4.5に調整した後、坪量400g/mのシート2枚を作製し、送風乾燥機にて乾燥させた。このシートを80℃、相対湿度65%の条件下で、24時間静置しさせ、褪色前後の白色度から下式に従いPC価を算出し、評価した。
PC価={(1−褪色後白色度)/(2×褪色後白色度)−(1−褪色前白色度)/(2×褪色前白色度)}×100
【0049】
7.パルプのヘキセンウロン酸量の測定
完全洗浄したパルプを絶乾質量で0.8g精秤した。このパルプを耐圧容器に入れ純水80mlを加えた後、蟻酸を加えpH3に調整した。この耐圧容器をオーブンに入れ、120℃で4時間処理し、ヘキセンウロン酸を酸加水分解した。処理後ろ過を行い、濾別された溶液中に存在するヘキセンウロン酸の酸加水分解物である2−フランカルボン酸と5−カルボキシ−2−フランアルデヒドをHPLCにて定量し、そのモル量の合計からヘキセンウロン酸量を求めた。
【0050】
8.使用未晒パルプ物性
未晒パルプ:アルカリ酸素漂白後パルプ
白色度:52.7%、K価:6.7、粘度:2 1.3mPa・s、
HexA:39.9μmol/パルプg
【0051】
9.各段の漂白条件
・Px段:PC(パルプ濃度)10%、温度60℃、時間1〜120分
・Z段:PC(パルプ濃度)10%、温度60℃、時間3分
・D0段:PC(パルプ濃度)10%、温度60℃、時間30分
・Eop段:PC(パルプ濃度)10%、温度60℃、時間120分
・D1段:PC(パルプ濃度)10%、温度70℃、時間180分
・各段の洗浄条件:洗浄率90%(漂白後パルプ濃度2.5%に中空糸濾過水で希釈し、次いでパルプ濃度20%に脱水した)
【0052】
実施例1(PxZD0処理)
絶乾(BD)質量として50gのアルカリ酸素漂白後の未晒パルプをポリエチレン袋にサンプリングした。パルプ濃度10%で漂白するために必要な中空糸濾過水を添加後、恒温槽に45分間浸漬し60℃にした。このパルプにモノ過流酸処理後のpHが3となる量の水酸化ナトリウム、18.2質量%モノ過硫酸水溶液1.4g(絶乾パルプ当たり0.5質量%)の順に添加・混合した後10分反応させた。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は43%であった。モノ過硫酸処理後直ちにオゾン0.3質量%を添加・混合した後3分間反応させた。オゾン処理後のパルプにすぐさま二酸化塩素0.2質量%を添加・混合した後10分反応させた。処理後のpHは2.5であった。漂白後所定の洗浄条件で洗浄した後、パルプをBDとして16gサンプリングし純水で2Lに希釈後、亜硫酸水でpH5.5に調整し、ブフナーロート上に2枚のパルプシートを作成した。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0053】
実施例2(PxZD0処理)
モノ過硫酸量の処理時間を30分にした以外、実施例1と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は58%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0054】
実施例3(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った後にオゾン、二酸化塩素処理を行った以外、実施例1と同様に行った。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0055】
実施例4(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った後にオゾン、二酸化塩素処理を行った以外、実施例2と同様に行った。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0056】
実施例5(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を60分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例1と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は80%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0057】
実施例6(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を120分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例1と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は94%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0058】
実施例7(PxZD0処理)
実施例1で用いた18.2質量%モノ過硫酸水溶液を0.7g添加し、絶乾パルプ当たりのモノ過硫酸の添加率を0.25質量%にした以外、実施例1と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は45%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0059】
実施例8(PxZD0処理)
モノ過硫酸量の処理時間を30分にした以外、実施例7と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は59%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0060】
実施例9(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸処理後に所定条件で洗浄を行った後にオゾン、二酸化塩素処理を行った以外、実施例7と同様に行った。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0061】
実施例10(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸処理後に所定条件で洗浄を行った後にオゾン、二酸化塩素処理を行った以外、実施例8と同様に行った。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0062】
実施例11(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を60分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例7と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は72%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0063】
実施例12(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を120分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例7と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は89%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0064】
比較例1(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を1分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例1と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は23%であった。1夜風乾後パルプの、HexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0065】
比較例2(Px−ZD0処理)
モノ過硫酸の処理時間を1分にして、モノ過硫酸処理後に所定の洗浄条件で洗浄を行った以外、実施例7と同様に行った。オゾン処理前のモノ過硫酸の消費率は19%であった。1夜風乾後パルプのHexA量、粘度を測定した。結果を表1に示した。
【0066】
【表1】

【0067】
モノ過硫酸(MPS)添加率が0.5質量%の実施例1〜6と比較例1、またはMPS添加率が0.25質量%の実施例7〜12と比較例2を比較すると、MPS消費率を40%以上にすることにより、ZD0後のHexA量をより低減できることがわかった。また、MPS消費率を40〜60%の範囲とした実施例1〜4、または実施例7〜10では、ZD0後の粘度低下を抑制することもできる。さらに、MPS添加率が同一の実施例1、2と実施例3、4を比較すると、MPS処理後に洗浄を行わないほうが、ZD0後のHexA量をより低減できることがわかった。同様に、実施例7、8と実施例9、10を比較すると、モノ過硫酸処理後に洗浄を行わない方が、より多くのヘキセンウロン酸が除去されることがわかった。
【0068】
実施例13(PxZD0−Eop−D1)
実施例1の条件でPxZD0処理したパルプを所定の洗浄条件で洗浄した後、水酸化ナトリウム0.9質量%、酸素0.15質量%、過酸化水素 0.3質量%の順に添加し、Eop処理を行った。Eop処理後、所定の洗浄条件で洗浄したパルプに二酸化塩素0.2質量%、所定量の硫酸を加え、D1処理を行った。尚、硫酸量は反応終了後のpHが5になる量を添加した。漂白後所定の洗浄条件で洗浄した後、実施例1と同様に2枚のパルプシートを作成し、1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0069】
実施例14(Px−ZD0−Eop−D1)
実施例1のPxD0処理パルプの代わりに、実施例3の洗浄後パルプを使用した以外、実施例13と同様に行った。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0070】
実施例15(PxZD0−Eop−D1)
実施例1のPxZD0処理パルプの代わりに、実施例7の洗浄後パルプを使用し、D1処理時の二酸化塩素の添加率を0.25質量%とした以外、実施例13と同様に行った。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0071】
実施例16(Px−ZD0−Eop−D1)
実施例1のPxZD0処理パルプの代わりに、実施例9の洗浄後パルプを使用し、D1処理時の二酸化塩素の添加率を0.25質量%とした以外、実施例13と同様に行った。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0072】
比較例3(Px−ZD0−Eop−D1)
実施例1のPxZD0処理パルプの代わりに、比較例1の洗浄後パルプを使用した以外、実施例13と同様に行った。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0073】
比較例4(Px−ZD0−Eop−D1)
実施例1のPxZD0処理パルプの代わりに、比較例2の洗浄後パルプを使用し、D1処理時の二酸化塩素の添加率を0.25質量%とした以外、実施例13と同様に行った。1夜風乾後パルプの白色度、K価、HexA量、PC価を測定した。結果を表2に示した。
【0074】
【表2】

【0075】
実施例13、14と比較例3、または実施例15、16と比較例4を比較すると、MPSの消費率を40%以上にすることにより、完成パルプのK価、HexA量を褪色への問題がない範囲まで低減でき、褪色性を改善できることが分かった。また、実施例13〜16から、MPS処理後に洗浄を行わない方(実施例13、15)が、よりHexA量を低減できることが分かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リグノセルロース物質を蒸解して得られる未漂白パルプをアルカリ酸素漂白し、次いでモノ過硫酸を用いる処理段を含む多段漂白処理を行う漂白パルプの製造方法において、モノ過硫酸を用いる処理段に絶乾パルプ質量当たり少なくとも0.01質量%のモノ過硫酸を添加し、モノ過硫酸の消費率が少なくとも40%となるようにモノ過硫酸処理を行った後、次いでオゾン処理を行うことを特徴とする漂白パルプの製造方法。
【請求項2】
モノ過硫酸処理を行った後、洗浄しないでオゾン処理を行うことを特徴とする請求項1記載の漂白パルプの製造方法。
【請求項3】
モノ過硫酸の消費率が40〜60%であることを特徴とする請求項1または2に記載の漂白パルプの製造方法。
【請求項4】
オゾン処理を行った後、洗浄しないで二酸化塩素処理を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。
【請求項5】
モノ過硫酸処理が、多段漂白処理の初段であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の漂白パルプの製造方法。

【公開番号】特開2011−1637(P2011−1637A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−143382(P2009−143382)
【出願日】平成21年6月16日(2009.6.16)
【出願人】(000004466)三菱瓦斯化学株式会社 (1,281)
【Fターム(参考)】